JP2002371342A - 溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents
溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法Info
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- JP2002371342A JP2002371342A JP2001180398A JP2001180398A JP2002371342A JP 2002371342 A JP2002371342 A JP 2002371342A JP 2001180398 A JP2001180398 A JP 2001180398A JP 2001180398 A JP2001180398 A JP 2001180398A JP 2002371342 A JP2002371342 A JP 2002371342A
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Abstract
き鋼板およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 Al :0.1〜1.0%、Mg :0.02〜1.5
%、Pb 、Sn 、CdおよびBi の含有量が合計で 200
ppm以下、Fe 含有量が0.50g/m2以下、めっき面に平行
なZn(00・2) 面の配向指数が 3.5以下である溶融亜鉛め
っき皮膜を備える。めっき皮膜はさらにSi : 0.001〜
0.05%を含有してもよい。上記鋼板は、溶融めっき浴か
ら引き上げて付着量を調整し、次いで酸化性雰囲気中で
スパングル調整処理を施して溶融めっき層を凝固させ、
その後 400〜 120℃の領域に冷却して当該温度領域で10
秒以上保持するか、一旦 120℃以下に冷却した後 120〜
400℃に加熱し、該温度領域で10秒間以上保持して製造
される。
Description
等の素材として好適な溶融亜鉛めっき鋼板およびその製
造方法に関する。さらに詳しくは、耐食性、意匠性およ
び加工性に優れためっき皮膜を有し、さらに経済性にも
優れた溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法に関する。
え安価で経済性にも優れるので、屋根・壁材等の建材製
品、ガードレール、配線配管や防音壁等の土木製品など
に加えて、自動車や家電製品など種々の用途に使用され
ている。溶融亜鉛めっき鋼板は平板状態での使用に加え
て曲げ加工やプレス加工を施して使用する場合も多い。
じると、成形品の外観を損なううえその部分での耐食性
も低下する。従ってそのめっき皮膜には耐食性が優れて
いることに加えて、加工性がよいことも重要とされてい
る。
き皮膜にMg を含有させることにより改善できることが
知られている。例えば特開昭56-152955 号公報には、質
量%で(以下、特に断らない限り化学組成を表す%表示
は質量%を意味し、 ppm表示は質量ppm を意味する)M
g を 0.1〜 2.0%、Al を 0.1〜 1.0%、Si を0.01〜
0.5%含有する溶融亜鉛合金めっき鋼板のめっき組成物
が提案されている。また、特開昭56-41359号公報には、
Mg を 0.1%超、 1.5%以下、Al をMg の 0.2倍以上
1.5%未満含有する溶融亜鉛めっき浴を用いて溶融めっ
きを施す耐食性溶融亜鉛めっき鋼材の製造方法が提案さ
れている。
られるめっき皮膜の加工性がいかなるものであるか明ら
かではない。溶融めっき皮膜の加工性改善方法として、
例えば特開昭58-84963号公報には、亜鉛めっき鋼板に圧
下率が10〜60%の範囲の圧延を施してη亜鉛層を粉砕し
た後、再結晶させてめっき皮膜に延性を付与する方法
が、特公平6-10332 号公報には、Pb を0.05%以下、A
l を 0.1〜 0.3%含有する溶融亜鉛めっき浴でめっきを
おこない、その後、 420〜 300℃の温度領域を20℃/s以
上の冷却速度で冷却する方法が、特開平6-256924号公報
には、溶融亜鉛めっき後、めっき皮膜表層を研磨、研削
あるいは切削してめっき皮膜の平均粒径を 6μm 以下と
することにより加工時にクラックが生じにくいめっき皮
膜を有する溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法が提案さ
れている。
05〜 3%、Al を 0.1〜 1%、Ti、BまたはSi を1
種以上 0.1%以上含有するめっき皮膜を備えた、加工部
のめっき皮膜にミクロクラックが生じにくい溶融Zn-M
g-Al 系合金めっき鋼板が提案されている。
鋼板はめっき皮膜のスパングルが大きく、金属光沢に富
むのが特長とされてきたが、最近では用途によってはス
パングルが小さく金属光沢が少ない、いわゆるつや消し
外観を有する鋼板、すなわち意匠性に富む鋼板も求めら
れている。その対応としてめっき付着量を調整した後
に、溶融めっき層にミストスプレーやZn 粉末を吹き付
けるハーティ処理などを施してめっき層を凝固させ、こ
れによりスパングルを微細にしたりゼロスパングルとす
るスパングル調整がおこなわれるようになっている。
めっき皮膜が硬化し、その加工性が損なわれる。さら
に、スパングルを小さく調整するために溶融めっき層を
急速凝固させると、Mg を含有しない製品や溶融めっき
後に徐冷して製造された製品に比較するとめっき皮膜の
加工性はさらに低下する。
改善方法では、材質により圧下率が大きく変動するた
め、圧延前のめっき厚さを材質ごとに調整する必要があ
り、量産での対応が煩雑となるうえ、めっき後に大圧下
圧延と焼鈍が必要であるのでコストが高く生産性がよく
ないという問題がある。
では、鋼板の厚さが厚くなるにつれて強力な冷却能力を
有する設備が必要となり、特開平6-256924号公報で提案
された方法では研磨工程を追加する必要があるうえ、研
磨等によりめっき皮膜のロスが生じる。特開平9-143657
号公報で提案されたAl 、Mg に加えてTi などの第4
元素を大量にめっき皮膜に含有させるには、めっき浴組
成の管理が容易でなくなるうえ、ドロスが発生してめっ
き作業性が悪くなる。
善に対する従来の方法は、容易におこなえる方法ではな
かった。さらにその加工性改善効果も、特に耐食性を向
上させるためにMg を含有させてゼロスパングル処理を
施した溶融亜鉛めっき鋼板においては十分ではなかっ
た。
になされたものであり、その目的とするところは、優れ
た耐食性と加工性を備えた溶融亜鉛めっき鋼板およびそ
の製造方法を提供することにある。
g を微量に含有する溶融亜鉛めっきを施し、めっき付着
量を調整した後にミストスプレーを施してめっき層を凝
固させてゼロスパングルとした亜鉛めっき鋼板のめっき
皮膜の加工性改善方法について種々研究を重ねた結果、
以下の知見を得た。
速冷却してスパングルを微細化しためっき鋼板に曲げ加
工を施した場合、めっき皮膜がMg を含有しないもので
ある場合には亀裂が発生しないが、めっき皮膜がMg を
含有するものである場合には、曲げ加工部のめっき皮膜
に多数のクラックが発生する。
っき皮膜が凝固するまでの雰囲気を酸化性雰囲気とし、
次いで、めっき皮膜凝固後の冷却に際し、特定温度領域
で短時間保持するか、もしくは一旦冷却した後に上記特
定温度領域に再加熱して短時間保持する(以下、これら
を合わせて単に「後熱処理」とも記す)により、めっき
皮膜の加工性を大幅に改善することができる。
を子細に調査した結果、優れた加工性が発揮されるの
は、めっき皮膜表面に平行なZn(00・2)面 の配向性が特
定範囲以下に低い場合であった。これはZn(00・2) 面の
配向性が小さくなることにより、めっき皮膜内での双晶
スベリ変形の発生が容易になることによるものと推察さ
れた。
た場合、得られるめっき皮膜の結晶方位は、冷却速度の
増加に伴ってめっき面に平行なZn(00・2)面 への配向性
が増すことが知られている(例えば、Zinc-Based Steel
coating Systems、The Minerals、Metals Society、1998、
p261.)。
時の雰囲気を酸化性に保つことにより低減することがで
きる。この理由は定かではないが、溶融めっき層表面に
存在する酸化物がZn の凝固状態に影響し、Zn(00・2)
面 の配向性を小さくする作用があるものと推測され
る。
っき皮膜にはAl やMg が過飽和に固溶され、特にMg
の場合、大きい内部応力が発生している。これに低温短
時間の後熱処理を施すことにより、固溶原子の拡散促進
と内部応力の解放が促進され、これらを駆動源としてめ
っき皮膜の再結晶が容易に生じるようになり、これによ
り結晶の配向性がランダム化することでもZn(00・2)面
の配向性が小さくなるものと推測される。
去によるめっき皮膜の延性向上効果も加工性向上に寄与
するものと推察された。本発明はこれらの知見を基にし
て完成されたものであり、その要旨は下記(1)、
(2)に記載の溶融亜鉛めっき鋼板、および、(3)〜
(5)に記載のその製造方法にある。
組成が質量%でAl を 0.1%以上、1.0%以下、Mg を
0.02%以上、 1.5%以下含有し、Pb 、Sn 、Cd およ
びBi の含有量が合計で 200質量 ppm以下、Fe 含有量
が0.50g/m2以下、残部が実質的にZn からなり、めっき
面に平行なZn(00・2) 面の配向指数が 3.5以下である溶
融亜鉛めっき皮膜を備えた溶融亜鉛めっき鋼板。
組成が質量%でAl を 0.1%以上、1.0%以下、Mg を
0.02%以上、1.5%以下、Si を 0.001%以上、0.05%
以下含有し、Pb 、Sn 、CdおよびBi の含有量が合
計で 200質量 ppm以下、Fe含有量が0.50g/m2以下、残
部が実質的にZn からなり、めっき面に平行なZn(00・
2) 面の配向指数が 3.5以下である溶融亜鉛めっき皮膜
を備えた溶融亜鉛めっき鋼板。
以上、 1.0%以下、Mg を0.02%以上、 1.5%以下含有
し、Pb 、Sn 、Cd およびBi の含有量が合計で 200
ppm以下、残部が実質的にZn からなる溶融めっき浴に
浸漬し、引き上げて付着量を調整し、次いで酸化性雰囲
気中でスパングル調整処理を施して溶融めっき層を凝固
させ、その後 400℃以下、 120℃以上の領域に冷却して
当該温度領域で10秒以上保持した後、常温まで冷却する
ことを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
以上、 1.0%以下、Mg を0.02%以上、 1.5%以下、S
i を 0.001%以上、0.05%以下含有し、Pb 、Sn 、C
d およびBi の含有量が合計で 200 ppm以下、残部が実
質的にZn からなる溶融めっき浴に浸漬し、引き上げて
付着量を調整し、次いで酸化性雰囲気中でスパングル調
整処理を施して溶融めっき層を凝固させ、その後 400℃
以下、 120℃以上の領域に冷却して当該温度領域で10秒
以上保持した後、常温まで冷却することを特徴とする溶
融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
引き上げて付着量を調整し、次いで酸化性雰囲気中でス
パングル調整処理を施して溶融めっき層を凝固させた
後、一旦 120℃以下に冷却し、次いで 120℃以上、 400
℃以下の温度領域に加熱して、該温度領域で10秒間以上
保持した後、常温まで冷却することを特徴とする上記
(3)または(4)に記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造
方法。
る。めっき皮膜は、Al を 0.1%以上、 1.0%以下、M
g を0.02%以上、1.5%以下、Pb 、Sn 、Cdおよび
Bi の含有量が合計で 200質量 ppm以下、Fe 含有量が
0.50g/m2以下、残部が実質的にZn からなる化学組成を
有する。さらに、Si を 0.001%以上、0.05%以下含有
しても構わない。
いる間に鋼板との界面にFe-Zn 合金層の形成を抑制す
る作用があり、これを利用してめっき皮膜の密着性を向
上させることができる。この効果を得るためにめっき皮
膜のAl 含有量を 0.1%以上とする。望ましくは0.15%
以上である。上記Fe-Zn 合金層の形成を抑制する作用
はAl 含有量が 1.0%を超えると飽和するため、めっき
皮膜のAl 含有量は 1.0%以下とする。望ましくは0.50
%以下である。
る作用がある。この効果を得るために、めっき皮膜には
Mg を0.02%以上含有させる。望ましくは0.05%以上で
ある。他方、めっき浴のMg 濃度を過度に高めるとドロ
スが大量に発生し、めっき作業性を阻害する。これを避
けるためにめっき皮膜のMg 含有量は 1.5%以下とす
る。望ましくは 1.0%以下である。
めっき後の冷却速度を遅く(緩冷却)したり、後熱処理
を施す場合に、母材とめっき皮膜との界面にFe-Zn 合
金層が過度に成長するとめっき皮膜の加工性が損なわれ
る。Si はこの合金層の発達を抑制する作用があり、適
量のSi を含有させることにより、上記緩冷却や後熱処
理時の合金層発達によるめっき皮膜の加工性低下を防ぐ
ことができる。従ってさらに加工性を向上させる必要が
ある場合には、Si を 0.001%以上含有させるのが望ま
しい。より望ましくは 0.005%以上である。
%程度が上限であり、これを超えてSi を含有させよう
としてもドロスが増すので好ましくない。従ってめっき
皮膜のSi 含有量は0.05%以下とするのが望ましい。よ
り望ましくは0.02%以下である。
皮膜との界面に形成されるFe-Zn合金層の成長に伴っ
て増加する。この合金層が厚く発達するとめっき皮膜の
加工性が損なわれるので、これを避けるために、めっき
皮膜のFe 含有量は0.50g/m2以下とする。望ましくは0.
20g/m2以下である。
グル処理のように溶融めっき皮膜を急速凝固させる際に
めっき皮膜と鋼板との界面に偏析しやすい。このため鋼
板界面で局部腐食が発生しやすくなり、耐食性あるいは
時日を経た後のめっき皮膜の密着性(耐経時剥離性)が
損なわれる。これらの元素は不可避的不純物であるが、
上記耐経時剥離性を損なわないために、その含有量は合
計で200ppm以下とする。望ましくは100ppm以下である。
との意味は、Ni 、Cr 、Ti 、Be 、Mo 、W、B等
の元素は、それぞれの含有量が 0.1%以下であれば本発
明の目的達成の障害にはならないので、これらの元素は
0.1%以下であれば含有されていても構わないことを意
味する。
向性(以下、単に「Zn(00・2) 配向性」と記す)が高く
なると亜鉛めっき皮膜の変形能が低下し、曲げ加工など
に際してめっき皮膜に亀裂が生じやすくなる。また上記
亀裂が生じた部分が腐食の起点となり、めっき皮膜の耐
食性が損なわれる。
2) 配向性は、下記式で計算される配向指数(以下、
「Ia 」と記す)で 3.5以下とする。望ましくは 3.0以
下である。Ia は、めっき皮膜の(hk・l)結晶面のX線回
折強度をCo 管球を用い加速電圧30kV、電流 100mAの条
件で測定し、その結果から下記式により算出した値を用
いる。
l)面の積分強度、 IF(hk・l):X線回折における(hk・l)面の積分強度比
率、 IFR(hk・l):ASTMカード記載の(hk・l)面のX線回折にお
ける強度比率を表す。
明する。ただし本発明の鋼板の製造方法はこれに限定さ
れるものではない。母材鋼板を所望の化学組成を有する
溶融めっき浴に浸漬し、引き上げて付着量を調整し、次
いで酸化性雰囲気中でスパングルを調整して溶融めっき
層を凝固させ、その後、 400℃以下、 120℃以上の領域
に冷却して当該温度領域で10秒以上保持するか、または
一旦 120℃以下に冷却し、次いで 120℃以上、 400℃以
下の温度領域に加熱し、該温度領域で10秒間以上保持す
る後熱処理を施した後、常温まで冷却する。
ずれを用いてもよい。母材鋼板として冷間圧延板を用い
る場合には焼鈍済みのものでも構わないが、焼鈍してい
ないものを用いるのが経済的で好ましい。
析出する。従ってめっき皮膜のAl含有量を 0.1%以上
とするには、めっき浴のAl 濃度は0.08%以上とすれば
よい。Mg 、Si などの元素はめっき皮膜とめっき浴と
でほぼ同一であるので、これらの元素のめっき浴での濃
度はめっき皮膜として所望の値と同一にすればよい。
融点よりも30〜60℃高くするのが好ましい。60℃を超え
て高めると、めっき浴に浸漬したときの合金層の発達が
著しくなる。また、めっき皮膜の付着量は任意である
が、適正な操業効率を確保するには、片面当たり40〜 1
50g/m2の範囲が好適である。溶融めっきは母材の両面に
施してもよいし、片面のみでも構わない。付着量の調整
はガスワイピング法など公知の方法でおこなえばよい。
融めっき層の凝固が完了するまでの間は酸化性雰囲気と
する。これにより凝固開始前の溶融状態のめっき表面に
酸化物を形成させ、Zn(00・2)面 の配向指数を低くする
ことができる。
体積%以上のものが望ましい。より望ましくは 6体積%
以上のものである。雰囲気ガスの組成は酸素以外は特に
限定するものではなく、窒素などとの混合ガスとすれば
よい。
限定するものではないが、過度に高くするとめっき浴面
での溶融金属の酸化が激しくなり、ドロスが増加してめ
っき皮膜の外観を損なう。これを避けるために酸素濃度
は30体積%以下とするのが望ましい。より望ましくは経
済的な理由から20体積%以下である。
ングルを小さくするか、またはゼロスパングルとするた
めにおこなうものであり、めっき層が溶融状態にある間
に水もしくは薬剤を該めっき層表面に噴霧するスパング
ル調整処理を施す。
例えばめっき層が溶融状態にある温度域で、水および昇
華性の薬剤、例えばリン酸アンモニウムなどを含有した
水溶液を噴霧してめっき層を凝固させる方法や、溶融め
っき層の凝固核となる金属粉末を吹き付けるいわゆるハ
ーティー法などで調整すればよい。
において、 400℃以下、 120℃以上の領域で10秒以上保
持するか、一旦 120℃以下まで冷却した後、 120℃以
上、 400℃以下の温度領域で10秒以上加熱する後熱処理
を施す。このめっき後の後熱処理は、急冷によってめっ
き皮膜中のZn 相に過飽和に固溶したMg を拡散消失さ
せ、本来のZn 固有の硬さに回復させるために行うもの
である。
っき皮膜の融点近傍となり、スパングル調整処理で得た
意匠性のよい表面外観が失われる場合があるのでよくな
い。望ましくは 350℃以下である。
記温度領域での処理時間が10秒に満たない場合には、A
l やMg の過飽和の解消が十分ではなく、めっき皮膜の
軟質化が不足し、めっき皮膜の加工性は改善効果は十分
ではない。後熱処理温度の下限は、皮膜の軟質化を短時
間でおこなわせるために 130℃以上とするのが望まし
い。処理時間の上限は特に限定するものではないが、イ
ンラインでの後熱処理が可能となる 300秒以下とするの
が望ましい。
法は特に限定するものではなく、高周波加熱、ガス燃焼
加熱、通電加熱など公知の加熱手段を単独で、または組
み合わせて用いればよい。一旦 120℃以下に冷却した後
に再加熱して後熱処理する場合の加熱手段も上記と同様
の方法でよい。
方法によればよい。例えば、母材鋼板には、アルカリ水
溶液等での洗浄、ナイロンブラシ等での表面研削などの
前処理を施した後、還元性雰囲気中で 600℃以上、ある
いは再結晶温度以上に加熱して焼鈍する。次いでめっき
浴温度近傍まで冷却し、溶融めっき浴に浸漬し、めっき
付着量を所望の量に調整する。めっき浴温度は、めっき
皮膜組成の合金の融点よりも30〜60℃高くするのが好ま
しい。60℃を超えて高めると、めっき浴に浸漬したとき
の合金層の発達が著しくなる。めっき皮膜の付着量は任
意であるが、適正な操業効率を確保するには、片面当た
り40〜 150g/m2の範囲が好適である。
融亜鉛めっき鋼板としてもよいが、防錆油、潤滑防錆
油、クロメート、樹脂塗膜、クロメート/樹脂塗膜等、
通常施される後処理を施しても構わない。
0.7mmの冷間圧延鋼板を母材鋼板とし、これを75℃のN
aOH 水溶液で脱脂、洗浄した後、水素:20体積%、残
部が窒素で、露点が−40℃の雰囲気中で 800℃に加熱
し、60秒間保持する再結晶焼鈍を施した。
た溶融亜鉛めっき浴を準備し、上記再結晶焼鈍した母材
を溶融めっき浴温度近傍まで冷却し、溶融めっき浴に浸
漬し、引き上げてガスワイピングして母材の両面に、片
面当たりの付着量を 100g/m2とする溶融めっきを施し
た。次いでミストを吹き付けてスパングル粒径が 0.5mm
以下になるように調整した後、種々の条件で後熱処理を
施して常温まで冷却した。この際、めっき浴面およびめ
っき皮膜が凝固するまでの間を種々の酸素濃度を有する
酸素−窒素混合雰囲気とした。得られためっき鋼板に金
属クロム量で20mg/m2 の塗布型クロメート処理を施し
た。
析し、Zn(00・2)面 の配向性、加工性、耐食性などを以
下の方法で評価した。 Zn(00・2)面 の配向性:めっき皮膜のX線回折強度をC
o 管球を用い加速電圧30kV、電流 100mAの条件で測定
し、その結果から前記式で計算される配向指数(Ia )
を算出した。
さ方向が圧延方向になるように採取した曲げ試験片に内
側半径を0.35mmとする折り曲げ加工( 1t折り曲げ加
工、tは板厚)を施し、曲げ部の外観を顕微鏡観察し、
めっき皮膜での亀裂の発生状況を下記の5段階で評価し
た。 ◎:亀裂が全く認められない。 ○:小さな亀裂が一部に認められる。 △:小さな亀裂が全面に認められる。 ×:大小の亀裂が混在し、全面に認められる。 XX:大きな亀裂が全面に認められる。
切断した試験片の端面を粘着テープでシールした試験片
と、上記寸法に切断した試験片に内側曲げ半径を 0.7mm
とする折り曲げ加工を施した試験片( 2t折り曲げ試験
片)とを準備し、これらにサイクル腐食試験を施し、平
板部と曲げ加工部について赤錆が発生するまでの日数を
求めた。
噴霧(35℃× 6時間)→乾燥(60℃×12時間)→湿潤
(50℃× 6時間)である。耐食性の評価は、平板部につ
いては20日以上、曲げ加工部については10日以上、赤錆
が発生しなかった場合を良好と判断した。
法に切断した試験片を80℃、相対湿度95%の高温高湿状
態で 240時間保管した後、 2t折り曲げ加工を施し、曲
げ部に粘着テープを貼り付けて引き剥がし、粘着テープ
によるめっき皮膜の剥離状況を目視観察し、その結果を
下記の基準で評価した。 ◎:全く剥離が認められない。 ○:エッジ部にわずかに剥離が認められる △:曲げ部幅方向線状に剥離が認められる ×:曲げ部全面に剥離が認められる 表1にめっき条件、めっき皮膜の化学組成および性能評
価結果を示す。
を満足する試験番号 1〜20はいずれも優れた曲げ加工
性、耐食性および耐経時剥離性を示していた。これに対
しめっき皮膜のAl 含有量が少なすぎた試験番号22はF
e 含有量が多く加工性と加工部の耐食性がよくなかっ
た。Mg 含有量が少なかった試験番号23および24では平
板部の耐食性がよくなかった。Mg 含有量が多すぎた試
験番号25、Si 含有量が多すぎた試験番号21および26は
いずれもドロスが多発し表面外観がよくなかった。Pb
含有量が多すぎた試験番号27では平板部の耐食性と耐経
時剥離性がよくなかった。後熱処理温度が低すぎた試験
番号28、後熱処理時間が短すぎた試験番号29および後熱
処理を施さなかった試験番号30はいずれもめっき皮膜の
加工性がよくなく、加工部の耐食性もよくなかった。め
っき皮膜凝固時の雰囲気中の酸素濃度が低すぎた試験番
号31はドロスがなく美麗な表面外観を呈していたがZn
(00・2)面 の配向性が強く、めっき皮膜の加工性および
加工部の耐食性がよくなかった。
l とMg を含有し、安価で耐食性に優れ、かつ、そのめ
っき皮膜は加工性に富むので、加工部のめっき皮膜に亀
裂が生じない。このため、加工部の耐食性にも優れると
いう特徴を備えている。従って屋根・壁材等の建材製
品、ガードレール、配線配管や防音壁等の土木製品、自
動車や家電製品など種々の加工部品の耐食性を大幅に改
善できるので、工業的価値が大きい。
Claims (5)
- 【請求項1】 母材鋼板の少なくとも片面に、化学組成
が質量%でAl を 0.1%以上、 1.0%以下、Mg を0.02
%以上、 1.5%以下含有し、Pb 、Sn 、Cd およびB
i の含有量が合計で 200質量 ppm以下、Fe 含有量が0.
50g/m2以下、残部が実質的にZn からなり、めっき面に
平行なZn(00・2) 面の配向指数が 3.5以下である溶融亜
鉛めっき皮膜を備えた溶融亜鉛めっき鋼板。 - 【請求項2】 母材鋼板の少なくとも片面に、化学組成
が質量%でAl を 0.1%以上、 1.0%以下、Mg を0.02
%以上、1.5%以下、Si を 0.001%以上、0.05%以下
含有し、Pb 、Sn 、CdおよびBi の含有量が合計で
200質量 ppm以下、Fe 含有量が0.50g/m2以下、残部が
実質的にZn からなり、めっき面に平行なZn(00・2) 面
の配向指数が 3.5以下である溶融亜鉛めっき皮膜を備え
た溶融亜鉛めっき鋼板。 - 【請求項3】 母材鋼板を、質量%でAl を0.08%以
上、 1.0%以下、Mgを0.02%以上、 1.5%以下含有
し、Pb 、Sn 、Cd およびBi の含有量が合計で 200
ppm以下、残部が実質的にZn からなる溶融めっき浴に
浸漬し、引き上げて付着量を調整し、次いで酸化性雰囲
気中でスパングル調整処理を施して溶融めっき層を凝固
させ、その後 400℃以下、 120℃以上の領域に冷却して
当該温度領域で10秒以上保持した後、常温まで冷却する
ことを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。 - 【請求項4】 母材鋼板を、質量%でAl を0.08%以
上、 1.0%以下、Mgを0.02%以上、 1.5%以下、Si
を 0.001%以上、0.05%以下含有し、Pb 、Sn 、Cd
およびBi の含有量が合計で 200 ppm以下、残部が実質
的にZn からなる溶融めっき浴に浸漬し、引き上げて付
着量を調整し、次いで酸化性雰囲気中でスパングル調整
処理を施して溶融めっき層を凝固させ、その後 400℃以
下、 120℃以上の領域に冷却して当該温度領域で10秒以
上保持した後、常温まで冷却することを特徴とする溶融
亜鉛めっき鋼板の製造方法。 - 【請求項5】 母材鋼板を溶融めっき浴に浸漬し、引き
上げて付着量を調整し、次いで酸化性雰囲気中でスパン
グル調整処理を施して溶融めっき層を凝固させた後、一
旦 120℃以下に冷却し、次いで 120℃以上、 400℃以下
の温度領域に加熱して、該温度領域で10秒間以上保持し
た後、常温まで冷却することを特徴とする請求項3また
は4に記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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