JP3503594B2 - 耐黒変性に優れた溶融Zn−Al合金めっき鋼板とその製造方法 - Google Patents

耐黒変性に優れた溶融Zn−Al合金めっき鋼板とその製造方法

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JP3503594B2 JP2000370017A JP2000370017A JP3503594B2 JP 3503594 B2 JP3503594 B2 JP 3503594B2 JP 2000370017 A JP2000370017 A JP 2000370017A JP 2000370017 A JP2000370017 A JP 2000370017A JP 3503594 B2 JP3503594 B2 JP 3503594B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、家電、建
材等の素材として好適な溶融Zn-Al 系合金めっき鋼板
とその製造方法に関する。特に、高温多湿の環境下での
耐黒変性に優れ、製品の外観を重視する部材に好適な溶
融Zn-Al 合金めっき鋼板およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】Al を質量%で(以下、化学組成を表す
%表示は質量%を意味する)3.5〜6.5%含有する
Zn-Al 系合金めっき鋼板はAl を含有するために溶融
Zn めっき鋼板に較べ耐食性に優れる。また、上記Zn-
Al 系合金めっき浴は、その化学組成が共晶点近傍のも
のであるために融点がZn よりも低く、溶融亜鉛めっき
よりも低温でめっきできる。これによりめっき皮膜界面
での合金層の発達を抑制できるので、上記めっき鋼板で
は、めっき皮膜の曲げ加工などの加工性が良好な製品を
得ることができる。このため、上記Zn-Al 系合金めっ
き鋼板は、屋根・壁材等の建材製品、ガードレール、配
線配管や防音壁等の土木製品、自動車の遮熱板、および
電気洗濯機、電子レンジ等の家電製品などの素材として
急速に普及しつつある。
【0003】上記共晶点近傍の組成を有するめっき浴で
溶融めっきすると、得られるめっき皮膜には、めっき付
着量が局部的に少なくなった凹部が亀甲模様状に発生す
ることがある(以下、これを「亀甲模様」とも記す)。
この亀甲模様は塗装後も残るため、外観を重視する塗装
製品には望ましくない。
【0004】上記亀甲模様は、特開平02−17585
2号公報にも開示されているように、めっき浴にMg を
含有させることにより大幅に低減することができる。こ
のため、Mg を適量含有させたZn-Al 系合金めっき鋼
板が、特に好まれて使用されている。
【0005】溶融Zn 系めっき鋼板では、一次防錆や裸
仕様で用いられる際の耐食性を向上させるために、めっ
き皮膜表面にクロメート処理を施すことが一般的におこ
なわれている。Al とMg を多量に含有するZn-Al 系
合金めっき皮膜にクロメート処理を施すと、保管される
環境によっては、例えば大気中などで保管中に、比較的
短時間で一部のスパングルが黒く着色したように視認さ
れる外観変化(以下、「黒変」と記す)が生じる。黒変
は特に高温高湿環境で著しく進行する。
【0006】黒変が生じてもめっき皮膜の耐食性等に悪
影響を与えるものではないが、外観が損なわれるので、
意匠性を重視する部材用素材としての商品価値が低下す
る。このため黒変が生じにくい、耐黒変性に優れためっ
き鋼板が求められている。
【0007】特開昭59−177381号公報には、Z
n に少量のAl 、Mg などを含有する溶融亜鉛系めっき
を施した後に、Ni イオンまたはCo イオンを含有する
溶液に浸漬し、必要によってはさらにその後に通常のク
ロメート処理を施す耐黒変性に優れた溶融亜鉛系めっき
鋼板の製造方法が提案されている。
【0008】この製造方法によれば黒変防止は可能であ
るが、めっき皮膜よりも電位が貴な金属を上層に形成さ
せることになるために耐食性が劣化するうえ、表面外観
において溶融Zn めっき特有の金属光沢が若干なりとも
失われるという問題がある。また、特殊な浸漬槽を要す
るので設備コストが高くなり、一般的ではない。
【0009】特開平5−125515号公報にはTi を
含有させたZnーAl 系合金めっき浴を用いる耐黒変性に
優れた溶融Zn-Al めっき鋼板の製造方法が、特開平6
−158257号公報にはTi とMg を含有し、スパン
グルサイズが0.5mm以下のめっき皮膜を備えた耐黒変
性に優れた溶融Zn-Al めっき鋼板が提案されている。
これらはいずれもめっき層凝固時の冷却速度を15℃/
秒以上に制限して製造される。しかしながらめっき後に
このように急速冷却すると、得られるめっき皮膜が硬質
になり、めっき皮膜の加工性が著しく損なわれるという
問題が生じる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、亀
甲模様を防止するべくMg を含有させた溶融Zn めっき
鋼板では、耐黒変性を改善するためにめっき層の凝固時
の冷却速度を早くすると、厳しい成形を伴う部位では皮
膜にクラックが形成され、加工部の耐食性が著しく低下
する。
【0011】本発明はこのような状況に鑑みてなされた
ものであり、その目的とするところは、厳しい加工に耐
え得る耐食性に優れ、かつ、耐黒変性にも優れためっき
皮膜を備えて溶融Zn-Al 系合金めっき鋼板およびその
製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、Mg を含
有するZn-Al 合金めっき皮膜の耐黒変性を改善する方
法に関して種々研究を重ねた結果以下に記す新たな知見
を得た。
【0013】a.めっき皮膜表層における結晶方位を、
Zn(00・2) 面がめっき面に平行に配向したものとするこ
とにより、めっき皮膜の耐黒変性を大幅に改善できる。
めっき皮膜表面におけるZn の酸化反応性は結晶方位に
より異なり、Zn(00・2) 面においては他の結晶面よりも
酸化速度が遅く、黒変の原因であるZn 酸化物が形成さ
れにくい。従ってめっき面に平行に配向したZn(00・2)
面の集積の強さ(以下、単に「Zn(00・2) 面配向性」と
も記す)を高めることにより、Zn 酸化物の成長を抑制
し、結果的に耐黒変性を向上させることができるものと
推測される。
【0014】b.従来のMg を含有しない溶融Zn-Al
系めっき皮膜では、曲げ加工に際してZn とAl の共晶
部が大きく変形し、めっき皮膜での亀裂発生を抑制して
いた。しかしながら、Mg を含有させると上記共晶部の
延性が極端に低下するために、曲げ加工に際して亀裂が
生じやすい。
【0015】めっき皮膜中にAl とMg が共存する場合
には、凝固時の冷却速度を大きくすると、急速冷却によ
るめっき皮膜の硬化が相乗的に加速される。このため、
めっき皮膜がさらに硬くなり、曲げ加工等に際して亀裂
が発生しやすくなり、亀裂の幅も大きくなる。この亀裂
は、ラメラー状の凝固組織を有する共晶部か、その共晶
部とZn 相との境界で多く発生する。このような場合に
は、加工部の耐食性が平板部に較べて、著しく損なわれ
る。
【0016】溶融状態のZn めっき層やZn-Al 系合金
めっき層を冷却する場合、冷却速度を増すと凝固後のめ
っき皮膜のZn(00・2) 面配向性が高まる。しかしながら
めっき層が、Zn よりも酸化されやすいAl やMg を多
量に含むものである場合は、耐黒変性を改善するのに必
要なZn(00・2) 面配向性を得るのは、このような方法の
みでは十分ではない。これは、めっき皮膜の凝固に際し
てAl やMg が酸化し、その結果生じる厚い酸化皮膜が
凝固時のZn(00・2) 面の優先配向を阻害するからであ
る。
【0017】十分なZn(00・2) 面配向性を得るには、め
っき後の冷却に際して、鋼板をめっき浴から引き上げた
後、めっき皮膜が凝固するまでの間の冷却雰囲気を非酸
化性ガスとするか、酸素濃度が5体積%以下、残部が非
酸化性ガスからなる雰囲気で冷却する方法が有効であ
る。
【0018】本発明はこれらの知見に基づいて完成され
たものであり、その要旨は下記(1)、(2)に記載の
ロール成形性に優れたZn-Al 系合金めっき鋼板、およ
び(3)、(4)に記載のその製造方法にある。
【0019】(1) 母材の少なくとも片面に溶融Zn−Al系
合金めっき皮膜を備えた鋼板であって、そのめっき皮膜
は、化学組成が質量%でAlを3.5 %以上、10%以下、Mg
を0.05%以上、0.50%未満含有し、残部がZnおよび不可
避的不純物からなり、不可避的不純物としてのPb、Sn、
CdおよびBiの含有量が合計で0.020 %以下、かつ、めっ
き皮膜のめっき面に平行なZn(00・2)面配向性指数が
3.5 以上であることを特徴とする耐黒変性および加工性
に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板。
【0020】(2) めっき皮膜の硬度がビッカース硬度で
110 以下であることを特徴とする上記(1) に記載の耐黒
変性および加工性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼
板。 (3) 上記(1) に記載の化学組成を備えた溶融めっき浴に
母材を浸漬した後、引き上げてめっき付着量を調整して
溶融めっき層を形成し、次いで5℃/秒以上、15℃/秒
未満の冷却速度で冷却することを特徴とする上記(1) ま
たは(2) に記載の耐黒変性に優れた溶融Zn−Al系合金め
っき鋼板の製造方法。
【0021】(4) 上記(1) に記載の化学組成を備えた溶
融めっき浴に母材を浸漬した後、引き上げてめっき付着
量を調整し、次いで、酸素濃度が5体積%以下、残部が
非酸化性ガスからなる非酸化性雰囲気で5℃/秒以上 15
℃/秒未満の冷却速度で冷却することを特徴とする上記
(1) または (2) に記載の耐黒変性に優れた溶融Zn−Al系
合金めっき鋼板の製造方法。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を詳細に述べ
る。 めっき皮膜の化学組成; Al :めっき皮膜のAl 、Mg などの合金元素含有量
は、めっき浴における含有量とほぼ同一になる。Zn-A
l 系めっき皮膜においてAl はめっき皮膜の耐食性と耐
熱性を向上させる作用がある。これらの効果を確保する
ために、Al を3.5%以上含有させる。望ましくは
4.0%以上である。Al 含有量が10%を超えるとめ
っき浴の融点が上昇し、Fe-Al 合金層が発達してめっ
き皮膜の加工性が損なわれる。例えば曲げ加工などにお
いてもめっき皮膜に亀裂が生じやすく、曲げ部の耐食性
が劣化するなどの問題が生じる。合金層の発達を抑制す
るためにSi 等の界面合金層を抑制する第4元素を含有
させる方法もあるが、この方法はめっき浴管理が複雑に
なるなどの問題がある。これらの不都合を避けるために
Al 含有量は10%以下とする。望ましくは7%以下で
ある。
【0023】Mg :めっき皮膜の亀甲模様を防止するた
めにMg を含有させる。上記効果を確保するためにMg
を0.05%以上含有させる。望ましくは0.1%以上
である。Mg 含有量が0.50%以上になると、めっき
後の冷却に対して低酸素濃度雰囲気下の放冷手段を用い
てもビッカース硬度110以下を達成できなくなり、め
っき皮膜の加工性が劣化するので、これを避けるため
に、Mg 含有量は0.50%未満とする。望ましくは
0.45%以下である。
【0024】残部はZn および不可避的不純物である。
不可避的不純物としてのPb 、Sn 、Cd またはBi が
過度に含有されていると、めっき後の冷却時に気水スプ
レーなどの急速冷却処理を施した際にこれらの元素が結
晶粒界に偏析し、めっき鋼板として使用時に粒界腐食が
進行し、めっき皮膜の耐剥離性を損なう場合がある。こ
のような耐経時剥離性などの劣化を防止するために、こ
れら4元素の含有量を、その合計で0.020%以下と
する。望ましくは0.010%以下である。
【0025】なお、不可避不純物としてTi 、Ni 、C
r 、Mo 、W、Si 、B、Be などの元素がそれぞれ
0.02%以下の範囲でめっき皮膜に含有されても本発
明の目的を阻害しないので何ら問題はない。
【0026】めっき皮膜表面のZn(00・2) 面の配向性指
数:めっき皮膜表面のZn(00・2) 面の配向性の強さ(配
向性指数:Ia )は以下の方法で算出する。めっき皮膜
表面の(hk・l)面のX線回折強度をCo 管球を用い加速電
圧30kv、電流100mAの条件で測定し、その結果
から下記式により算出した値をIa とする。
【0027】
【数1】
【0028】ここで、I(hkl):X線回折における(hk・
l) 面の積分強度、 IF(hkl):X線回折における(hk・l) 面の積分強度比
率、 IFR(hkl):ASTMカード記載の(hk・l) 面のX線回
折における強度比率。
【0029】上記Zn(00・2) 面の配向性指数が3.5に
満たない場合には黒変が生じやすく、容易に外観品質が
損なわれるので商品価値が低くなる。これを避けるため
にめっき皮膜のZn(00・2) 面の配向性指数を3.5以上
とする。望ましくは4.0以上である。
【0030】めっき皮膜の硬さ:めっき皮膜の硬さが高
くなるにつれて、加工した際にめっき皮膜に亀裂が生じ
やすくなり、かつ、亀裂の幅も大きくなる。このため、
加工部の耐食性が損なわれる。これを避けるためにめっ
き皮膜の硬さはビッカース硬度で110Hv以下とする
のが望ましい。より望ましくは100Hv以下である。
【0031】製造方法:本発明の耐黒変性に優れたZn-
Al 合金めっき鋼板の好適な製造方法を以下に述べる。
ただし、以下に示すのは例であって、本発明に関わるめ
っき鋼板の製造方法がこれに限定されるものではない。
【0032】母材は、熱間圧延板、冷間圧延板のいずれ
を用いてもよい。冷間圧延板を母材に用いる場合には、
焼鈍していないものを用いるのが経済的で望ましいが、
焼鈍済みのものでも構わない。
【0033】めっきの方法は公知の方法でよい。まず、
母材の表面を溶融めっきに適する状態に前処理を行な
う。前処理法はアルカリ水溶液等で洗浄したり、ナイロ
ンブラシ等で表面を研削する等の公知の方法が適用でき
る。
【0034】引き続き母材を還元性雰囲気中で600℃
以上、あるいは再結晶温度以上に加熱して所要の時間保
持した後、めっき浴温近傍まで冷却し、溶融めっき浴に
浸漬する。母材の加熱雰囲気も、例えば水素を5体積%
以上、30体積%以下含有し、残部が窒素からなり、露
点が―60℃以上、―10℃以下である通常採用されて
いる還元性雰囲気でよい。
【0035】めっき皮膜のAl 、Mg などの合金元素含
有量は、めっき浴における含有量とほぼ同一になる。従
って、めっき浴の化学組成は、所望のめっき皮膜化学組
成と同一でよい。めっき浴の温度は、めっき皮膜組成の
合金の融点よりも30〜60℃高めるのが好ましい。6
0℃を超えて高めると、めっき浴に浸漬したときの合金
層の発達が著しくなるので好ましくない。
【0036】母材をめっき浴に浸漬し、引き上げて気体
絞り方式など公知の方法でめっき付着量を所定の量に調
整する。めっき皮膜の付着量は特に限定するものではな
いが、適正な操業効率を確保するために、片面当たり4
0〜250g/m2の範囲が好適である。
【0037】めっき皮膜の凝固時には、めっき表面のZ
n (00・2)面の配向性を高め、かつ、めっき皮膜の加工性
を損なわないために、めっき皮膜の溶融状態から凝固に
至るまでの間を5℃/秒以上、15℃/秒未満の冷却速
度で冷却する。冷却速度が5℃/秒に満たない場合には
Zn (00・2)面の配向性が高くならないために耐黒変性が
劣り、15℃/秒以上で急速冷却すると、得られるめっ
き皮膜が硬くなり、加工性を損ない、加工部の耐食性が
損なわれる。
【0038】めっき皮膜の凝固時には、めっき表面のZ
n (00・2)面の配向性を高める作用があるミストを用いる
ミスト冷却を施すのも好ましい。ミスト冷却としては、
水に適量のリン酸アンモニウム、リン酸ナトリゥムなど
の薬液を含有させた、従来のスパングル消去を目的とし
た冷却で用いられるのと同様のミスト溶液を使用するの
がよい。
【0039】めっき皮膜のZn(00・2) 面の配向性を高め
るために、めっき皮膜の凝固時の雰囲気を非酸化性雰囲
気、または、酸素濃度が5体積%以下、残部が非酸化性
ガスからなる雰囲気中で冷却するのが望ましい。酸素濃
度は2体積%以下であればなおよい。
【0040】非酸化性ガスとしては窒素ガスが好適であ
るが、アルゴンガス、ヘリウムガス、水素ガスなどでも
よい。またこれらのガスの混合ガスでも構わない。めっ
き皮膜冷却時の雰囲気を上記のようにすることにより、
凝固時のめっき皮膜表面での酸化皮膜形成を防止し、Z
n(00・2) 面の配向性指数を高めることができる。急速冷
却する場合でも上記非酸化性雰囲気とするのが望まし
い。
【0041】上記以外は公知の方法によればよく、例え
ばめっきの後処理としては、無処理、防錆油、潤滑防錆
油、クロメート、樹脂塗膜、クロメート/樹脂塗膜等、
通常施される何れの手段を適用しても構わない。なかで
も処理が容易ということから、酸化物コロイドを含有し
た塗布型クロメートが望ましい。
【0042】
【実施例】C:0.05%、Mn :0.28%を含有し
残部が実質的にFe からなる厚さが0.70mmの未焼鈍
の低炭素冷延鋼板をめっき母材として準備した。上記母
材を75℃のNa OH溶液で脱脂し、洗浄して、水素を
20体積%含有し、残部が窒素からなり、露点が―40
℃である雰囲気中で800℃に加熱し、その温度で60
秒間保持して再結晶焼鈍を施した後、めっき浴温度近傍
まで冷却し、次いで、Al :3.0〜11%、Mg :0
〜1.2%を含有し、残部はFe を飽和まで含有したZ
n からなる溶融めっき浴に浸漬し、引き上げた後、気体
絞り方式によりめっき付着量を100g/m2(片面当た
り)に調整した。めっき浴温度は融点+40℃とした。
【0043】上記溶融めっき後は、徐冷か、水分量や薬
液(リン酸アンモニウム)添加量を変化させた気水スプ
レーにより冷却して、めっき皮膜のZn(00・2) 面配向性
指数を種々のレベルに調整した。上記徐冷の際には、め
っき浴面からめっき皮膜が凝固するまでの間を窒素ガス
でシールし、その酸素濃度を10体積%以下の範囲で種
々変化させ、Zn(00・2) 面配向性を調整した。その後、
常温まで冷却しためっき鋼板に、金属Cr量が20mg
/m2となる厚さまで塗布型クロメート処理を施した。
【0044】得られためっき鋼板のめっき皮膜の化学組
成を分析し、Zn(00・2) 面配向性指数、耐食性などの性
能を以下の方法で評価した。 Zn(00・2) 面の配向性指数:試料から隣接した25mm角
の試料片を6枚採取し、X線回折用の試料とした。X線
回折強度は、Co 管球を用い加速電圧30kv、電流1
00mAの条件で測定し、その結果から上記式(1)お
よび(2)により配向性指数を算出し、6個の平均値を
試料の代表値(Ia )とした。
【0045】平板部と加工部の耐食性:長さが150m
m、幅が70mmの試験片を採取し、端面をテープでシー
ルした平板部用試験片と、内側曲げ半径が0.70mmで
ある曲げ加工(2t曲げ加工)をおこなった加工部用試
験片を準備し、これらに以下のサイクル腐食試験を施
し、平板部または曲げ加工部に赤錆が発生するまでの日
数を求めた。腐食サイクルは、塩水噴霧(35℃×6時
間)→乾燥(60℃×12時間)→湿潤(50℃×6時
間)を1サイクル(1日)とした。耐食性は、平板部に
ついては30日以上、加工部については10日以上、赤
錆が発生しない場合を良好として評価した。
【0046】耐経時剥離性:長さが100mm、幅が25
mmの試験片を採取し、これを80℃、相対湿度95%の
環境下で240時間保持する腐食試験をおこなった後、
2t曲げ加工を施し、曲げ部に粘着テープを貼り付けて
引き剥がし、粘着テープによるめっき皮膜の剥離状況を
目視観察し、その結果を下記基準で評価した。 ◎:全く剥離が認められない、 ○:エッジ部にわずかに剥離が認められるが合格、 ×:曲げ部幅方向線状に剥離が認められ、不合格。
【0047】耐黒変性:長さが25mm、幅が50mmの試
験片を採取し、これを積層して防錆紙で梱包し、湿度8
5%、温度60℃の高温高湿雰囲気に種々の期間保管し
た。市販の色彩色差計を用いて、保管開始時のめっき皮
膜の明度指標(L*1値)と、所定期間保管した試験片の
めっき皮膜の明度指標(L*2値)を測定し、保管中の明
度指標の変化量(ΔL* =L*1−L*2)を求め、ΔL*
が4.5以下の場合を、耐黒変性が良好と評価した。
【0048】亀甲模様:亀甲模様の境界部が最もヒケが
大きく谷深さも大きい。この谷部の深さ(Rv )を市販
の3次元粗さ計にて測定し、Rv が1.0μm以下の場
合を良好(○)、1.0μmを超える場合を不良(×)
として評価した。
【0049】表1にめっき後の冷却条件、得られためっ
き鋼板のめっき皮膜の化学組成とZn(00・2) 面の配向指
数、およびめっき皮膜の性能評価結果を併せて示す。
【0050】
【表1】
【0051】表1に示すように、本発明の規定する条件
を満足する試験番号2、3、5、6、10、11、13
〜15、17〜20、22〜27は、めっき皮膜に亀甲
模様がなく、耐食性、耐経時剥離性も良好であるうえ、
ΔL* が小さく耐黒変性が優れていた。特にめっき後の
冷却時に低酸素雰囲気中でミスト冷却を施した試験番号
23〜25は優れた耐黒変性を示した。また、めっき後
の冷却を比較的遅くした試験番号26および27は、耐
黒変性が良好であるうえ、めっき皮膜が軟質で加工性も
優れていた。
【0052】これに対し、めっき皮膜のAl 含有量が少
なかった試験番号1では平板部の耐食性がよくなかっ
た。Al 含有量が高すぎた試験番号7、およびMg 含有
量が高すぎた試験番号12は、いずれもめっき皮膜の曲
げ加工性がよくなく、加工部耐食性がよくなかった。M
g 含有量が少ない試験番号8、9は亀甲模様が顕著に発
生し、意匠性がよくなかった。Pb 、Sn 、Bi または
Cd の含有量が多い試験番号16、21は、耐経時剥離
性がよくなかった。冷却条件が好ましくなかった試験番
号4はZn(00・2) 面配向性が小さく、耐黒変性がよくな
かった。
【0053】
【発明の効果】本発明の溶融Zn-Al 系合金めっき鋼板
は、耐黒変性に優れ、厳しい加工に耐え得るめっき皮膜
を有し、平板部のみならず加工部の耐食性にも優れるの
で、自動車、家電、建材等の素材として好適である。ま
た、この鋼板は、特殊な設備を用いることなく安定して
合理的に製造できるので経済性に優れる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−175852(JP,A) 特開 平2−97654(JP,A) 特開 昭57−203764(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 2/00 - 2/40 C22C 18/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 母材の少なくとも片面に溶融Zn−Al系合
    金めっき皮膜を備えた鋼板であって、そのめっき皮膜
    は、化学組成が質量%でAlを3.5 %以上、10%以下、Mg
    を0.05%以上、0.50%未満含有し、残部がZnおよび不可
    避的不純物からなり、不可避的不純物としてのPb、Sn、
    CdおよびBiの含有量が合計で0.020 %以下、かつ、めっ
    き皮膜のめっき面に平行なZn(00・2)面配向性指数が
    3.5 以上であることを特徴とする耐黒変性および加工性
    に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 めっき皮膜の硬度がビッカース硬度で11
    0 以下であることを特徴とする請求項1に記載の耐黒変
    および加工性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の化学組成を備えた溶融
    めっき浴に母材を浸漬した後、引き上げてめっき付着量
    を調整して溶融めっき層を形成し、次いで5℃/秒以上
    15 ℃/秒未満の冷却速度で冷却することを特徴とする請
    求項1または2に記載の耐黒変性に優れた溶融Zn−Al系
    合金めっき鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の化学組成を備えた溶融
    めっき浴に母材を浸漬した後、引き上げてめっき付着量
    を調整し、次いで、酸素濃度が5体積%以下、残部が非
    酸化性ガスからなる非酸化性雰囲気で5℃/秒以上 15
    /秒未満の冷却速度で冷却することを特徴とする請求項
    または2に記載の耐黒変性に優れた溶融Zn−Al系合金
    めっき鋼板の製造方法。
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