JP3205292B2 - 耐食性およびめっき密着性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents
耐食性およびめっき密着性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法Info
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材、機械部品、筺体、缶体、自動車車体などに用いられ
る溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関し、特に、優れた
耐食性とめっき密着性を有する溶融亜鉛めっき鋼板の製
造方法に関する。
っき層の犠牲防食機能によって得られていることは一般
的に広く知られている。この場合、耐食性は、ほぼめっ
き付着量に比例して向上するため、より厳しい腐食環境
で使用する場合は、めっき付着量を増やすことによって
対応している。
る亜鉛のめっき付着量を増やすことによってアノード反
応の時間を延長し、防食作用が持続する時間を延ばして
いることになる。しかし、実際には、めっき付着量の上
限は、溶融亜鉛の粘度、比重、めっき後の空冷による冷
却速度などによる物理的な限界および連続溶融亜鉛めっ
きラインの生産性の問題から決まり、最大でも200g/m2
を超えることは困難である。
命は、実質的に最大でも付着量200g/m2 の場合の耐食寿
命を超えることはなかった。一方、主に、建材用途など
において、耐食性をさらに向上させることを目的とし
て、めっき層中のAl含有量を5%ないし55%まで上げた
めっきが行われている。
商品名で知られるこれらのめっき鋼板は、無塗装状態で
優れた耐食性を示すが、Alの含有量が高いことから、め
っき金属そのものが高価である上に、めっき浴温度が純
亜鉛めっきに比べて高いため生産性に劣り、結果として
亜鉛めっき鋼板よりも高価となる。さらに、従来より、
溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法においては、必要とされ
る原板(:素地鋼板)の表面性状およびめっき密着性に
ついての要求から、経済性に優れた製造方法を達成する
上で制約がある。
いては、連続溶融亜鉛めっき設備(以下CGLとも記
す)が用いられているが、CGLプロセスでのめっき原
板としては、前記した原板の表面性状についての要求か
ら、熱間圧延鋼板を酸洗し、熱間圧延時に生成する表面
酸化膜(熱延スケール)を除去した酸洗板か、酸洗板を
さらに冷間圧延した冷間圧延鋼板が用いられる。
も、熱延スケールの残存は、不めっきおよびめっき密着
性不良の原因となるため、鋼板表面の酸化物層の除去は
めっき前処理として必須となっていた。熱間圧延鋼板
に、直接、溶融亜鉛めっきを施すことが可能であれば、
酸洗および冷間圧延工程を省略でき、溶融亜鉛めっき鋼
板の製造コストを飛躍的に低減することが可能となる
が、めっき密着性確保のために酸洗工程における脱スケ
ールが必須とされていた。
接、溶融金属めっき装置に通板し、該装置に付設された
還元性雰囲気の焼鈍炉でスケール層を還元し、溶融金属
めっきとの濡れ性を確保し、めっきする技術が開示され
ている(特開平6−145937号公報、特開平3−2779967
号公報参照)。しかしながら、この場合においても、ス
ケールを十分に還元しないとめっき密着性が十分確保さ
れず、加工に耐えられるようなめっき密着性が確保でき
なかった。
に金属鉄にするためには、比較的高還元性の雰囲気ガス
を焼鈍炉に供給し、十分な時間をかけて還元する必要が
あり、さらには、スケールの還元により発生する水分を
含んだ焼鈍炉内の雰囲気ガスを除湿しないと、めっき密
着性の劣化などめっき品質の劣化および焼鈍炉炉内ロー
ルの腐食に例示される焼鈍炉炉体の損傷といった問題が
生じる。
融亜鉛めっき鋼板の素地鋼板選択上の制約を受けず、か
つ、耐食性確保のためのめっき付着量の増加を伴うこと
がない、耐食性およびめっき密着性の両者に優れた溶融
亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供することを目的とす
る。
いて、鋼板表面に、最大厚みが15μm以下で、かつ、マ
グネタイト含有率(:体積率)>50%の鉄酸化物層を形
成し、得られた熱間圧延鋼板を、還元雰囲気下で焼鈍し
前記鉄酸化物層の一部を還元し、その後、溶融亜鉛めっ
きを施すことによって、熱間圧延鋼板である素地鋼板の
表面に、該素地鋼板表面に対する被覆面積率が10%以上
の鉄酸化物層および該鉄酸化物層の上層として形成され
た還元鉄層の2層から成る下層皮膜と、該下層皮膜を覆
う溶融亜鉛めっき層とから構成され、かつ、前記鉄酸化
物層および該鉄酸化物層の上層として形成された還元鉄
層の2層の合計厚みの最大値が5μm以下である複合皮
膜を形成せしめることを特徴とする耐食性およびめっき
密着性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
面に、最大厚みが15μm以下で、かつ、マグネタイト含
有率(:体積率)>50%の鉄酸化物層を形成し、得られ
た熱間圧延鋼板を、還元雰囲気下で焼鈍し前記鉄酸化物
層の一部を還元し、その後、溶融亜鉛めっきを施すこと
によって、熱間圧延鋼板である素地鋼板の表面に、該素
地鋼板表面に対する被覆面積率が10%以上の鉄酸化物層
および該鉄酸化物層の上層として形成された還元鉄層お
よび該還元鉄層の上層として形成された鉄−亜鉛合金層
の3層から成る下層皮膜と、該下層皮膜を覆う溶融亜鉛
めっき層とから構成され、かつ、前記鉄酸化物層および
該鉄酸化物層の上層として形成された還元鉄層の2層の
合計厚みの最大値が5μm以下である複合皮膜を形成せ
しめることを特徴とする耐食性およびめっき密着性に優
れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
が形成されず一部が露出した素地鋼板の部分とその上層
である溶融亜鉛めっき層の間に、溶融亜鉛めっき時に形
成される鉄−亜鉛合金層を有してもよい。
する。本発明は、めっき素地鋼板(下地鋼板)として熱
間圧延鋼板を用いた耐食性およびめっき密着性の両者に
優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供する。
めに鋭意検討した結果、下記知見を得、本発明に至っ
た。 (1) :溶融亜鉛めっき層と素地鋼板(下地鋼板)との間
に、素地鋼板表面に対する被覆面積率が10%以上、より
好ましくは30%以上の鉄酸化物層を介在せしめ、亜鉛と
鋼素地との直接接触を防止し、亜鉛−鉄電池の形成を抑
制することによって、亜鉛めっき層の犠牲防食作用を維
持した状態で、めっき層の溶解速度を低減し、優れた耐
食性を長期に渡って保持することができる。
鋼板)との間の鉄酸化物層およびその上層として形成さ
れた還元鉄層の合計厚みの最大値を5μm以下とするこ
とによって、めっき密着性を改善し、加工時のめっき剥
離を抑制し、加工性に優れためっき鋼板を得ることが可
能であること。 (3) :熱間圧延のままの鋼板をめっき下地鋼板として用
い、熱間圧延時に形成される鉄酸化物層の厚みおよび該
鉄酸化物層のマグネタイト含有率を規定すると共に、該
熱間圧延鋼板を還元雰囲気下で焼鈍し、鉄酸化物層の上
層として還元鉄層を形成することによって、めっき密着
性を改善し、加工時のめっき剥離を抑制し、加工性に優
れ、さらには耐食性に優れためっき鋼板を、工程の簡略
化を実現しつつ経済性に優れた方法で製造可能であるこ
と。
を、熱間圧延鋼板である素地鋼板の表面に、該素地鋼板
表面に対する被覆面積率が10%以上の鉄酸化物層および
該鉄酸化物層の上層として形成された還元鉄層の2層、
あるいはさらに該還元鉄層の上層として形成された鉄−
亜鉛合金層の3層、から成る下層皮膜と、該下層皮膜を
覆う溶融亜鉛めっき層とから構成される複合皮膜を有
し、前記鉄酸化物層および該鉄酸化物層の上層として形
成された還元鉄層の2層の合計厚みの最大値が5μm以
下である構成とすることによって、耐食性およびめっき
密着性の両者に優れた溶融亜鉛めっき鋼板を得る製造方
法を提供するものである。
の間に鉄酸化物層を設けることを必須とする。これは、
上記構成を採用することによって、亜鉛と素地鋼板との
直接接触を防止し、亜鉛−鉄電池の形成(:亜鉛の溶
解)を抑制し、亜鉛めっき層の犠牲防食作用を維持した
まま、めっき層の溶解速度を低減することで、優れた耐
食性を長期に渡って保持することが可能となるためであ
る。
の素地鋼板表面に対する被覆面積率が、10%以上である
ことが必要である。上記被覆面積率が10%未満の場合
は、鉄酸化物層による亜鉛−鉄電池の形成(:亜鉛の溶
解)の抑制が十分ではなく、従来の溶融亜鉛めっき鋼板
と同等の耐食性保持期間しか得られなくなる。
以上の鉄酸化物層の素地鋼板表面に対する被覆面積率
が、10%以上であることがより好ましい。上記鉄酸化物
層の素地鋼板表面に対する被覆面積率は、30%以上であ
ることが、より好ましい。さらには、本発明において
は、厚みが0.1 μm以上の鉄酸化物層の素地鋼板表面に
対する被覆面積率が、30%以上であることがより好まし
い。
鏡を用いて確認できる面積率が100%であっても、めっ
き層の鉄に対する犠牲防食作用は十分に発揮される。な
お、前記した鉄酸化物層の素地鋼板表面に対する被覆面
積率は、上記した顕微鏡による鋼板断面観察または後記
の実施例に示すEPMAによる測定によって求めること
ができる。
の上層として形成された還元鉄層の合計厚みの最大値を
5μm以下と規定する。本発明によれば、従来の熱間圧
延鋼板のスケールの平均厚み(:鉄酸化物層の平均厚
み)15μm以上に対して、鉄酸化物層とその上層として
形成された還元鉄層の合計厚みの最大値を5μm以下と
することによって、めっき密着性を大幅に改善すること
が可能となった。
元鉄層の合計厚みの最大値が5μmを超える複層皮膜が
めっき層と素地鋼板との間に介在する場合、加工時にめ
っき層が剥離する。本発明の方法で製造された溶融亜鉛
めっき鋼板は、熱間圧延鋼板である素地鋼板の表面に、
鉄酸化物層および該鉄酸化物層の上層として形成された
還元鉄層とから成る下層皮膜と、該下層皮膜を覆う溶融
亜鉛めっき層とから構成される複合皮膜を有する。
めっき鋼板は、後記の図1、図2に示すように、上記還
元鉄層と溶融亜鉛めっき層の層間、および/または、鉄
酸化物層が形成されず一部が露出した素地鋼板の部分と
その上層である溶融亜鉛めっき層の間に、溶融亜鉛めっ
き時に形成される鉄−亜鉛合金層を有する溶融亜鉛めっ
き鋼板を包含する。
る鉄酸化物(:スケール)であることが好ましく、前記
した還元鉄層は、前記鉄酸化物層の一部が還元された還
元鉄層であることが好ましい。また、前記した鉄−亜鉛
合金層は、前記還元鉄層と亜鉛の拡散合金化などによっ
て形成された鉄−亜鉛合金層、および/または、表面に
鉄酸化物層が形成されず一部が露出した素地鋼板と亜鉛
の拡散合金化などによって形成された鉄−亜鉛合金層で
あることが好ましい。
亜鉛めっき層と素地鋼板との間に介在せしめ、亜鉛と鋼
素地との直接接触を防止し亜鉛−鉄電池の形成を抑制す
ることによって、亜鉛めっき層の犠牲防食作用を維持し
た状態で、めっき層の溶解速度を低減し、優れた耐食性
を長期に渡って保持することが可能となった。また、鉄
酸化物層とその上層として形成される還元鉄層の合計厚
みの最大値を5μm以下とすることによって、優れた耐
食性を得ると共に、優れためっき密着性を達成すること
が可能となった。
層を形成せしめることによって、鉄酸化物層に対する亜
鉛めっきの濡れ性が改善され、めっき密着性が向上す
る。さらに、還元鉄層の上層に前記した鉄−亜鉛合金層
を形成せしめることによって、亜鉛めっき層と還元鉄層
との密着性が改善され、鉄酸化物層−還元鉄層−亜鉛め
っき層間の相互の密着性がさらに改善され、溶融亜鉛め
っき鋼板のめっき密着性がさらに改善される。
鋼板においては、さらに、鉄酸化物層による亜鉛−鉄電
池の形成(:亜鉛の溶解)の抑制の面から、前記した鉄
酸化物層の厚みは、鉄酸化物層被覆面における鉄酸化物
層の最小厚みで0.1 μm以上とすることが、より好まし
い。次に、本発明の製造方法についてさらに具体的に説
明する。
(原板)とする。ここで、熱間圧延鋼板とは、鋳造熱あ
るいは外部加熱などによって材料の再結晶温度以上の高
温状態で圧延を行って帯状に成形した鋼板である。
スラブあるいは分塊インゴットを加熱炉により、Fe−C
二元系状態図のA3変態点以上の高温に加熱した状態で圧
延する方法が一般的であが、この他にもストリップキャ
スターなどの溶鋼から、直接、鋼板に成形する方法によ
っても製造でき、特にその製法に制限はない。また、鋼
板はコイル状の鋼帯であってもよい。
おいて、鋼板表面に、最大厚みが15μm以下で、かつ、
マグネタイト含有率(:体積率)>50%の鉄酸化物
層(:酸化皮膜)を形成せしめることが好ましい。以
下、本発明の製造方法における構成要件である(1) 熱間
圧延後の鉄酸化物層の最大厚み、(2) 熱間圧延後の鉄酸
化物層のマグネタイト含有率について述べる。
本発明においては、熱間圧延後の鉄酸化物層の最大厚み
が15μm以下であることを必須とする。熱間圧延後の鉄
酸化物層の最大厚みが15μmを超えると、鉄酸化物層と
素地鋼板との密着性が確保できなくなり、得られる溶融
亜鉛めっき鋼板のめっき密着性が低下し、溶融亜鉛めっ
き鋼板の加工時に、めっき層の剥離が生じる。
みは、より好ましくは、8μm以下である。熱間圧延後
の鉄酸化物層の厚みは、鉄酸化物層による亜鉛−鉄電池
の形成(:亜鉛の溶解)の抑制の面から、最小厚みが0.
1 μm以上であることが好ましい。鉄酸化物層の厚みを
調整する方法としては、酸化皮膜の成長自体を制御する
方法と、生成した酸化皮膜を機械的、化学的、あるいは
電気化学的に一部を除去する方法とがあるが、酸化皮膜
の密着性の維持の観点と、経済効果の観点から、熱間圧
延において、熱間圧延最終仕上げ圧延温度、仕上圧延出
側以降の冷却速度、熱間圧延巻き取り温度を制御して酸
化皮膜の厚みを所定の範囲内に調整する方法が最も好ま
しい。
終仕上げ圧延温度(以下熱間圧延仕上げ温度と記す)を
低くして、鉄酸化物層の厚みを薄くし、最大厚みが15μ
m以下とすることが好ましい。熱間圧延仕上げ温度の好
適範囲は700 〜950 ℃である。熱間圧延仕上げ温度が70
0 ℃未満の場合、加工集合組織が生じ、逆に950 ℃を超
えると熱間圧延後の鉄酸化物層の最大厚みが15μmを超
え好ましくない。
670 〜820 ℃である。また、本発明においては、熱間圧
延巻き取り温度を、400 〜650 ℃とすることが好まし
い。熱間圧延巻き取り温度が400 ℃未満の場合、マグネ
タイト体積率が過少となり、逆に650 ℃を超えると鉄酸
化物層の厚みが15μmを超える。
は、470 〜540 ℃である。 (2) 熱間圧延後の鉄酸化物層のマグネタイト含有率:本
発明の製造方法においては、素地鋼板である熱間圧延鋼
板の表面の鉄酸化物層は、マグネタイト(Fe3O4) を体積
率で50%を超えて含有することが好ましい。これは、マ
グネタイトは、その他の鉄酸化物(Fe2O3, FeOOHなど)
と比較し、緻密であり、鋼板素地との密着性に優れ、鉄
酸化物層のマグネタイトの含有率(:体積率)が50%を
超えることによって、得られる溶融亜鉛めっき鋼板のめ
っき密着性が改善され、溶融亜鉛めっき鋼板加工時のめ
っき層の剥離を防止できるためである。
率(:体積率)が50%以下の場合は、鉄酸化物層と鋼板
素地との密着性が確保できず、得られる溶融亜鉛めっき
鋼板のめっき密着性が改善されず、溶融亜鉛めっき鋼板
加工時にめっき層の剥離が生じる。鉄酸化物層中のマグ
ネタイトの含有率(:体積率)を調整する方法として
は、熱間圧延仕上温度、熱間圧延巻き取り温度を制御す
る方法が挙げられる。
酸化物層中のマグネタイトの含有率以外の制御因子は、
溶融亜鉛めっき鋼板に求められる機械的特性と、その鋼
板組成などを考慮し、適宜決定することができる。 (溶融亜鉛めっき;)前記で規定した熱間圧延鋼板(鋼
帯)を連続溶融亜鉛めっき設備においてめっきするに際
しては、先ず、脱脂処理を行う。
化皮膜)の密着性に影響を与えない程度の酸洗処理を行
ってもよい。この軽酸洗は、めっき濡れ性を改善する効
果を有する。溶融亜鉛めっき設備としては、脱脂設備お
よび必要に応じて酸洗設備を含む前処理設備を備え、還
元雰囲気下で焼鈍を行うことが可能な焼鈍炉を備え、焼
鈍炉から還元雰囲気のまま、溶融亜鉛めっき液あるいは
溶融亜鉛めっき浴に接触あるいは浸漬することが可能な
設備を備えているものであれば特にその形式は制限され
るものではない。
内で加熱するが、その際の雰囲気は鉄酸化物層の還元の
ために、還元雰囲気であることが必要である。上記した
焼鈍工程においては、亜鉛めっき後の亜鉛めっき層と鋼
素地との間に熱間圧延に起因する鉄酸化物層を残存せし
めると共に、該鉄酸化物層の一部が還元された還元鉄層
が形成されることが必要であり、熱間圧延で生成する酸
化皮膜の一部が還元されればよい。
l %以上の水素と残部窒素からなる雰囲気が好適であ
り、より好ましくは5vol %以上の水素雰囲気である
と、酸化皮膜の還元速度が速くなり、処理速度が向上す
る。この還元速度の向上効果は、水素濃度が12vol %を
超えると実質的に飽和するため、より好ましくは水素濃
度が3vol %以上、12vol %以下、さらに好ましくは水
素濃度が5vol %以上、12vol %以下の雰囲気が好適で
ある。
られる機械的特性から適宜設定すればよいが、鉄酸化物
層の還元促進の観点から鋼板の最高到達温度が650 ℃以
上である必要がある。鋼板の最高到達温度が650 ℃未満
の場合、鉄酸化物層の還元が十分進まず、めっきの濡れ
性を確保できず、不めっきが生じる。
層との間に、鉄−亜鉛合金層を形成せしめることが好ま
しいが、このためには、溶融亜鉛めっき後の鋼板冷却
を、冷却速度が5℃/sec以下で行うことが好ましい。溶
融亜鉛めっき浴の組成については、特に制限を設けるも
のではないが、鉄酸化物層の上層に形成された還元鉄層
は溶融亜鉛との反応性に優れるため、亜鉛と鉄の過剰の
合金化を抑制するために、適量のアルミニウムを添加す
ると好適である。
0.12〜0.16wt%の溶融亜鉛めっき液またはめっき浴を用
いることがより好ましい。また、本発明の溶融亜鉛めっ
き鋼板および溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法は、Zn−4
〜6wt%Al合金溶融亜鉛めっき鋼板などZn−Al合金溶融
亜鉛めっき鋼板にも適用可能であり、Zn−4〜6wt%Al
合金溶融亜鉛めっき鋼板の場合は、Al含有量が4〜6wt
%の溶融亜鉛めっき液またはめっき浴を用いればよい。
亜鉛めっき後の冷却方法、めっき表面平滑化のための再
加熱、形状矯正のための調質圧延やレベラー処理、クロ
メート処理およびりん酸処理、塗装などの後処理などに
ついては、必要に応じて実施すればよく、これらに制限
は設けない。
に説明する。なお、以下の実施例における鉄酸化物層の
最大厚み、または鉄酸化物層とその上層として形成され
た還元鉄層の合計厚みの最大値とは、鋼板の圧延方向の
断面の長さL=300 μmについて当該断面を顕微鏡観察
した時の最大厚み、または最大値を示す。
度(:熱間圧延仕上げ温度): 700〜830 ℃、熱間圧延
巻き取り温度: 450〜550 ℃として熱間圧延し、鋼板表
面の鉄酸化物層(:酸化皮膜)の厚みを3〜25μm に調
整した。得られた熱間圧延鋼帯について、鋼板断面の
層構造、鉄酸化物層の最大厚み、鉄酸化物層のマグ
ネタイト含有率(:体積率)を、下記方法で調査した。
ストピースを樹脂に埋め込み、埋め込み樹脂を鋼板断面
方向に切断し、切断面をアルミナペーストで研磨した
後、顕微鏡観察で鋼板の断面における鉄酸化物層の形成
状況を調べた。 〔鉄酸化物層の最大厚み;〕前記した鋼板断面の層構造
の調査に用いた研磨試料について、顕微鏡観察で、鋼板
断面においてスケールが存在する部分の鉄酸化物層の最
大厚みを求めた。
積率);〕鋼板表面から剥離したスケールについて粉末
X線回折を行い、Fe3O4 とFe2O3の回折ピーク強度比を
求め、標準試料(純Fe3O4 、純Fe2O3 の混合比を変えた
試料)の回折ピーク強度比に基づき算出した。前記で得
られた熱間圧延鋼帯を、一部はそのままで、一部は調質
圧延により軽圧下した後、連続溶融亜鉛めっき設備にお
いて還元雰囲気下で焼鈍後、溶融亜鉛めっきを施し、溶
融亜鉛めっき熱間圧延鋼帯を製造した。
っきの条件は、下記の条件とした。 〔焼鈍条件:〕 雰囲気ガス組成 :H2 濃度;3〜10 vol%、残部;N2 雰囲気ガスの露点:−40℃ 還元帯の最高板温:800 〜910 ℃ 〔溶融亜鉛めっきの条件:〕 溶融亜鉛めっき浴、溶融亜鉛中のAl含有量;0.12〜0.16重量% 溶融亜鉛めっき後の鋼板の冷却速度 ;5℃/sec 次に、得られた溶融亜鉛めっき熱間圧延鋼帯について、
表面外観、複合皮膜断面の層構造、鉄酸化物層の
素地鋼板に対する被覆面積率(:スケール残存面積
率)、鉄酸化物層とその上層として形成された還元鉄
層の合計厚みの最大値、めっき密着性試験、耐食性
試験を、下記方法、評価基準に基づき行った。
察し、下記基準で評価した。 ○:不めっき無し ×:不めっき有り 〔複合皮膜断面の層構造:〕めっき鋼板のテストピース
を樹脂に埋め込み、埋め込み樹脂を鋼板断面方向に切断
し、切断面をアルミナペーストで研磨した後、顕微鏡観
察で鋼板の断面における鉄酸化物層、還元鉄層、鉄−亜
鉛合金層、亜鉛めっき層の形成状況を調べた。
例を模式図によって示す。なお、図1、図2において、
1は素地鋼板(:熱間圧延鋼板)、2は鉄酸化物層、3
は還元鉄層、4は鉄−亜鉛合金層、5は溶融亜鉛めっき
層、Lは鋼板の断面の長さ、t(O+R),max は鉄酸化物層
とその上層に形成された還元鉄層の合計厚みの最大値を
示す。
率(:スケール残存面積率);〕めっき層、鉄−亜鉛合
金層、還元鉄層を電解剥離(:定電位溶解)後、EPM
A(Electron Probe Micro Analyzer )によって、鋼板
表面のFe、Oの平面的な分布の測定を行い、鉄酸化物層
の素地鋼板に対する被覆面積率を求めた。なお、測定
は、鋼板表面の500 μm×500 μmの面積について行っ
た。
値;〕前記した複合皮膜断面の層構造の調査に用いた研
磨試料について、顕微鏡観察で、鋼板断面においてスケ
ールが存在する部分の鉄酸化物層とその上層として形成
された還元鉄層の合計厚みの最大値(:t(O+R),max )
を求めた。 〔めっき密着性;〕めっき鋼板を180 度曲げて、加工部
をセロハンテープで剥離する0T曲げ密着性試験を行っ
た。
離・付着量を目視にて判定し、下記基準により評価し
た。 良好:めっき剥離無し。 剥離:めっき剥離有り。 〔耐食性:〕35℃の恒温室内でめっき鋼板に5%NaCl水
溶液を噴霧する塩水噴霧試験をJISZ2371 に準じて行
い、24時間後の赤錆発生面積率で評価した。
1に示す。表1に示されるように、本発明によれば、耐
食性およびめっき密着性の両者に優れた溶融亜鉛めっき
鋼板が得られることがわかる。また、表1に示されるよ
うに、本発明の溶融亜鉛めっき鋼板は非常に優れた耐食
性を有することがわかる。
めっき鋼板の素地鋼板(:原板)選択上の制約を受け
ず、かつ、耐食性確保のためのめっき付着量の増加を伴
うことがない、耐食性およびめっき密着性に優れた溶融
亜鉛めっき鋼板を、簡略化された工程によって、経済性
に優れた方法で供給することが可能となった。
制することで、亜鉛めっき層の犠牲防食作用を維持した
まま、めっき層の溶解速度を低減することで優れた耐食
性を長期に渡って保持し、なおかつ、基本的に熱間圧延
のままの鋼板をめっきの素地鋼板とすることで工程の簡
略化を実現しつつ、めっき密着性を改善し、加工時のめ
っき剥離を抑制することが可能な溶融亜鉛めっき鋼板お
よびその製造方法を提供することが可能となった。
鋼板断面の層構造の一例を示す模式図である。
鋼板断面の層構造の一例を示す模式図である。
鉄層の合計厚みの最大値
Claims (2)
- 【請求項1】 熱間圧延において、鋼板表面に、最大厚
みが15μm以下で、かつ、マグネタイト含有率(:体積
率)>50%の鉄酸化物層を形成し、得られた熱間圧延鋼
板を、還元雰囲気下で焼鈍し前記鉄酸化物層の一部を還
元し、その後、溶融亜鉛めっきを施すことによって、熱
間圧延鋼板である素地鋼板の表面に、該素地鋼板表面に
対する被覆面積率が10%以上の鉄酸化物層および該鉄酸
化物層の上層として形成された還元鉄層の2層から成る
下層皮膜と、該下層皮膜を覆う溶融亜鉛めっき層とから
構成され、かつ、前記鉄酸化物層および該鉄酸化物層の
上層として形成された還元鉄層の2層の合計厚みの最大
値が5μm以下である複合皮膜を形成せしめることを特
徴とする耐食性およびめっき密着性に優れた溶融亜鉛め
っき鋼板の製造方法。 - 【請求項2】 熱間圧延において、鋼板表面に、最大厚
みが15μm以下で、かつ、マグネタイト含有率(:体積
率)>50%の鉄酸化物層を形成し、得られた熱間圧延鋼
板を、還元雰囲気下で焼鈍し前記鉄酸化物層の一部を還
元し、その後、溶融亜鉛めっきを施すことによって、熱
間圧延鋼板である素地鋼板の表面に、該素地鋼板表面に
対する被覆面積率が10%以上の鉄酸化物層および該鉄酸
化物層の上層として形成された還元鉄層および該還元鉄
層の上層として形成された鉄−亜鉛合金層の3層から成
る下層皮膜と、該下層皮膜を覆う溶融亜鉛めっき層とか
ら構成され、かつ、前記鉄酸化物層および該鉄酸化物層
の上層として形成された還元鉄層の2層の合計厚みの最
大値が5μm以下である複合皮膜を形成せしめることを
特徴とする耐食性およびめっき密着性に優れた溶融亜鉛
めっき鋼板の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP33183997A JP3205292B2 (ja) | 1997-12-02 | 1997-12-02 | 耐食性およびめっき密着性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
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JP33183997A JP3205292B2 (ja) | 1997-12-02 | 1997-12-02 | 耐食性およびめっき密着性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
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JPH11158594A JPH11158594A (ja) | 1999-06-15 |
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