JP4747656B2 - 高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法および高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法および高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、Si含有高張力鋼板をめっき原板とする高張力溶融亜鉛めっき鋼板あるいは高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に係り、とくに溶融亜鉛めっき鋼板あるいは高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板における不めっき等の表面外観、めっき密着性の改善、さらには合金化処理後の耐パウダリング性の向上に関する。
近年、自動車、建材、家電製品等の使途で耐食性を要求される部位には、防錆性を有する表面処理鋼板が使用されている。なかでも、安価に製造できかつ防錆性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板や合金化溶融亜鉛めっき鋼板が使用される場合が多い。
一般に、溶融亜鉛めっき鋼板は、つぎのような工程で製造されている。
所定の化学組成を有する鋼素材(スラブ)に熱間圧延、冷間圧延を施し、あるいはさらに熱処理を施して得られた薄鋼板をめっき原板とする。この薄鋼板に、脱脂及び/又は酸洗を行ったのち洗浄する前処理工程を施し、あるいは該前処理工程を施すことなく該めっき原板を予熱炉に挿入して表面に付着した油分を燃焼・除去したのち、非酸化性雰囲気あるいは還元性雰囲気中で加熱する再結晶焼鈍を施す加熱焼鈍処理を施す。引き続き、非酸化性雰囲気あるいは還元性雰囲気中でめっき処理に適した温度まで冷却され、大気に触れることなく溶融亜鉛めっき浴中に浸漬し表面に溶融亜鉛めっき層を形成する溶融亜鉛めっき処理を施されて溶融亜鉛めっき鋼板とされる。なお、溶融亜鉛めっき浴中には、通常、0.1〜0.2mass%程度の微量Alが添加されている。また、溶融亜鉛めっき鋼板は、溶融亜鉛めっき処理に引き続いて合金化炉内で合金化処理を施され合金化溶融亜鉛めっき鋼板とされる。
上記した加熱焼鈍処理では、600〜900℃の範囲の温度に加熱されるため、鋼板中に含まれる易酸化性元素であるAl、Siが、一般に用いられる還元性雰囲気においても選択酸化されて表面に濃化し酸化物膜を形成する。鋼板表面にSiやAlの酸化物膜が存在すると、溶融亜鉛との濡れ性が低下し、不めっきが生じやすくなる。不めっきは、鋼板中のSiやAl含有量の増加とともに多発する。また、鋼板表面にSiやAlの酸化物膜が存在すると、不めっきが発生しない場合でもめっき密着性が低下するという問題がある。
とくに、Siを多量に含有する高張力鋼板では、上記したようなSiの表面への濃化に際し、濃化ムラが発生しやすく、それに起因してめっきムラや合金化ムラが発生するという問題がある。めっきムラが発生するとめっき付着量の少ない低めっき付着量領域では、腐食が進行しやすく、耐食性が劣化するという問題に繋がる。最近では、自動車の12年防錆化などの要求により、自動車部材の耐食性、耐穴あき性などに対する要求レベルが高くなってきており、耐食性の劣化は問題となる。
さらに、鋼板に含まれるSiやさらにはMn、Alが選択酸化され表面に濃化すると、溶融亜鉛めっき処理後の合金化処理時に溶融亜鉛めっき層の合金化反応が著しく遅滞し、生産性が著しく低下する。生産性を高めるために、著しく高い温度で合金化処理を施すと耐パウダリング性の劣化を招くという問題が生じ、高い生産性と良好な耐パウダリング性を両立させることは困難であった。さらに、機械的特性向上のために残留オーステナイト相(以下、残留γ相ともいう)が形成されている場合には、合金化処理を高温で行うと、残留γ相が不安定となり、機械的特性が劣化するという問題もある。
このような問題に対し、例えば特許文献1には、酸化帯燃焼空気比0.95〜1.10で、かつ予熱帯を除く酸化帯での平均酸化速度を30Å/sec以上とする急速酸化後、還元帯水素濃度10%以下なる雰囲気中で焼鈍し、溶融亜鉛めっきする、めっき密着性の良好な高Si高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法が提案されている。特許文献2に記載された技術では、酸化帯での焼鈍ではSiの酸化物が鋼板表面に濃化することなく、Fe酸化物のみが生成し、還元帯で容易に還元されるため、溶融亜鉛めっき処理後のめっき密着性の向上および外観の均一性を図ることができるとしている。
また、特許文献2には、Siが0.2%以上含まれるSi含有高強度鋼板に溶融亜鉛めっきを行うに際し、硫黄または硫黄化合物をS量として0.1〜1000mg/m2付着させ、あるいはさらに予熱工程として弱酸化性雰囲気で行った後、水素を含む非酸化性雰囲気で680℃以上の温度で焼鈍し、その後少なくとも0.05〜0.30%のAlを含む溶融亜鉛浴に浸漬してめっきを行う皮膜の均一性および密着性に優れたSi含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法が提案されている。特許文献2に記載された技術によれば、表面外観が良好で、めっき皮膜の均一性および密着性に優れたSi含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板が得られ、また合金化ムラが発生せず、耐パウダリング性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られるとしている。
特許第2587724号公報 特開平11−50223号公報
しかしながら、溶融亜鉛めっき鋼板のめっき原板としてSi、あるいはさらにMn、Al含有量が高い高張力鋼板を用いる場合には、鋼板中Si、あるいはさらにMn、Al含有量の増加に伴い、鋼板表面における酸化速度が大きく低下するため、特許文献1に記載された技術によっては酸化が進まず、Si、あるいはさらにMn、Alの表面濃化を抑制するために必要な十分な酸化物量を確保することが困難となり、不めっきを生じたり、あるいは合金化処理する場合には著しい合金化反応の遅延を生じるという問題があった。また、特許文献2に記載された技術によっても、溶融亜鉛めっき鋼板のめっき原板としてSi、あるいはさらにMn、Al含有量が高い高張力鋼板を用いる場合には、溶融亜鉛との濡れ性を十分に改善することができず不めっきが生じたり、合金化反応の遅延を完全には解消するまでに至っていないのが現状である。
本発明は、上記した従来技術の問題を有利に解決し、不めっきがなく美麗な表面外観を有し、かつめっき密着性および耐食性に優れたSi含有高張力溶融亜鉛めっき鋼板を、経済的に安価でかつ高い生産性で製造することができる、Si含有高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提案することを目的とする。なお、本発明は、合金化処理を施した後にも、不めっきがなく美麗な表面外観を有し、かつ耐パウダリング性および耐食性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られる、Si含有高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提案することも目的とする。
本発明者らは、上記した課題を達成するために、とくにSiの表面濃化に及ぼす各種要因について鋭意考究した。その結果、単なるFe系酸化物を形成させるのではなく、予め鋼板表面にSi含有量に応じた所定量以上のマグネタイトを付着形成させるマグネタイト付着処理を施し、ついで加熱し還元処理を施すことにより、Si、さらにはMn、Alの表面濃化が完全に抑制できることを知見した。これにより、還元処理後の表面状態を最適化でき、溶融亜鉛めっき処理を施した後に、良好な表面外観と優れためっき密着性および優れた耐食性を有する溶融亜鉛めっき鋼板が得られることを知見した。また、本発明者らは、前記加熱還元処理における雰囲気の露点をマグネタイト付着量に応じて調整することにより、さらに良好な表面外観と優れためっき密着性および優れた耐食性を有する溶融亜鉛めっき鋼板が得られることを知見した。また、マグネタイト付着処理を施す前に、予め鋼板表面に特定元素を含む化合物を付着させることにより、更に容易に、還元処理後の、Si、さらにはMn、Alの表面濃化を完全に抑制できることを知見した。
つぎに、本発明の基礎となった実験結果について説明する。
mass%で、0.15%C−0.25〜2.5%Si−1.5%Mn−0.01%P−0.004%S−0.03%Alを含む組成のスラブを1200℃×60min加熱して、熱間圧延により3.2mm厚の熱延鋼板とした。ついでこれら熱延鋼板を酸洗し黒皮スケールを除去したのち、冷間圧延により1.6mm厚の冷延鋼板とした。これら冷延鋼板をめっき原板とし、鋼板表面に硫酸アンモニウム水溶液を、S換算で片面で50mg/m2となるように塗布し乾燥した。ついでSを付着させた鋼板に、直火型(DFF)加熱炉を有する連続式溶融亜鉛めっきラインの加熱帯で、鋼板の最高到達温度と保持時間を種々変化させて 酸化性雰囲気中で加熱して、生成するマグネタイト量を変化させて、鋼板表面にマグネタイトを付着させた。その際、試料を採取して鋼板表面に付着したマグネタイト付着量[M](g/m2 )を測定した。
表面にマグネタイトを付着させた鋼板に、さらに、連続式溶融亜鉛めっきラインの均熱帯で加熱還元処理を施し、ついでめっき処理に適当な温度まで冷却したのち、めっき層を片面当たり50g/m2形成する溶融亜鉛めっき処理を施し、540℃で合金化処理を施した。
得られた溶融亜鉛めっき鋼板についてめっき密着性を調査した。
まず、得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板にセロハンテープを貼り、セロハンテープ面を90°曲げ−曲げ戻しした。ついで、90°曲げ−曲げ戻し後のセロハンテープ面に、蛍光X線を照射し、Znカウント数を測定して、単位長さ当たりの剥離量の指標とした。Znカウント数が、0〜500カウントの場合をランク1、500超〜1000カウントの場合をランク2、1000超〜2000カウントの場合をランク3、2000超〜3000カウントの場合をランク4、3000カウント超の場合をランク5とした。ランク1が耐剥離性が良、ランク5が劣である。ランク1,2の場合をめっき密着性が良好(○)とし、ランク3以上の場合を不良(黒○)として、めっき密着性を評価した。
得られためっき密着性の結果を鋼板Si含有量とマグネタイト付着量の関係で図1に示す。
図1から、マグネタイト付着量[M](g/m2 )が、
[M]≧[Si] ………(1)
(ここで、[M]:マグネタイト付着量(g/m2 )、[Si]:鋼板のSi含有量(mass%))
を満足する場合に、めっき密着性が良好となることがわかった。 次に、加熱還元処理における雰囲気中露点の影響について調査した。
mass%で、0.15%C−1.5%Si−1.5%Mn−0.01%P−0.004%S−0.03%Alを含む組成のスラブを1200℃×60min加熱して、熱間圧延により3.2mm厚の熱延鋼板とした。ついでこれら熱延鋼板を酸洗し黒皮スケールを除去したのち、冷間圧延により1.6mm厚の冷延鋼板とした。これら冷延鋼板をめっき原板とし、鋼板表面に硫酸アンモニウム水溶液を、S換算で片面で50mg/m2となるように塗布し乾燥した。Sを付着させた鋼板に、直火型(DFF)加熱炉を有する連続式溶融亜鉛めっきラインの加熱帯で、鋼板の最高到達温度と保持時間を種々変化させて 酸化性雰囲気中で加熱して、生成するマグネタイト量を変化させて、鋼板表面にマグネタイトを付着させた。その後、表面にマグネタイトを付着させた鋼板に、連続式溶融亜鉛めっきラインの均熱帯で雰囲気中露点を種々変化させた加熱還元処理を施したのち、めっき処理に適当な温度まで冷却し、めっき層を片面当たり50g/m2形成する溶融亜鉛めっき処理を施し、ついで、540℃で合金化処理を施した。得られた溶融亜鉛めっき鋼板について耐食性を調査した。
得られた耐食性の結果を加熱還元処理雰囲気中の露点とマグネタイト付着量の関係で表示し図2に示す。なお、耐食性試験の条件は次の通りである。
湿潤(温度:40℃、相対湿度:95%、2h)→塩水噴霧(液温:35℃、5%NaCl水溶液、2h)→乾燥(温度:60℃、2h)→湿潤(温度:50℃、相対湿度:95%、6h)→乾燥(温度:60℃、2h)→湿潤(温度:50℃、相対湿度:95%、6h)→乾燥(温度:60℃、2h)→低温(−20℃、3h)
このサイクルを1サイクルとし、30サイクル付与したのち、めっき層、錆層を剥離し、腐食されていない個所を基準として,孔食深さを測定した。10個所以上の孔食深さを測定し、その平均値を求め、平均の孔食深さが0.3mm以下の場合を耐食性が良好(○)、0.3mmを超える場合を不良(黒○)として評価した。得られた耐食性の結果を加熱還元処理雰囲気中の露点とマグネタイト付着量の関係で表示し図2に示す。
図2から、加熱還元処理雰囲気の露点[D]が、
[D]≦ −2[M]+10 ………(2)(ここで、[D]:加熱還元処理雰囲気の露点(℃)、[M]:マグネタイト付着量(g/m2 ))
を満足する場合に、耐食性が良好となることがわかった。
本発明は、上記した知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)Si を0.1〜3mass%含有する組成の鋼板をめっき原板として、該鋼板に溶融亜鉛めっき処理を施し高張力溶融亜鉛めっき鋼板とするに当たり、前記溶融亜鉛めっき処理前に、前記鋼板表面にS、Se、Cl、Br、Na、K、Cのうちから選ばれた1種または2種以上の元素を含有する化合物を付着させる化合物付着処理を施し、ついで前記鋼板表面に次(1)式
[M]≧[Si] ………(1)
(ここで、[M]:マグネタイト付着量(g/m2 )、[Si]:鋼板のSi含有量(mass%))
を満足する量[M]のマグネタイトを付着させるマグネタイト付着処理を施し、ついで加熱還元処理を施し、引き続き前記溶融亜鉛めっき処理を施すことを特徴とするめっき密着性と耐食性に優れた高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(2)(1)において、前記加熱還元処理が、次(2)式
[D]≦ −2[M]+10 ………(2)
(ここで、[D]:加熱還元処理雰囲気の露点(℃)、[M]:マグネタイト付着量(g/m2 ))
を満足する露点[D]を有する加熱還元雰囲気中で行う処理であることを特徴とする高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(3)(または(2)において、前記化合物の付着量が、前記元素換算で合計0.1〜1000mg/m2であることを特徴とする高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
)Siを0.1〜3mass%含有する組成の鋼板をめっき原板として、該鋼板に溶融亜鉛めっき処理を施して溶融亜鉛めっき層を形成し、引き続き該溶融亜鉛めっき層の合金化処理を施して高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板とするに当たり、前記溶融亜鉛めっき処理前に、前記鋼板表面にS、Se、Cl、Br、Na、K、Cのうちから選ばれた1種または2種以上の元素を含有する化合物を付着させる化合物付着処理を施し、ついで前記鋼板表面に次(1)式
[M]≧[Si] ………(1)
(ここで、[M]:マグネタイト付着量(g/m2 )、[Si]:鋼板のSi含有量(mass%))
を満足する量[M]のマグネタイトを付着させるマグネタイト付着処理を施し、ついで加熱還元処理を施し、引き続き前記溶融亜鉛めっき処理を施し、さらに前記合金化処理を、前記溶融亜鉛めっき層中のFe含有量が7〜15mass%となるように施すことを特徴とする高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
)()において、前記加熱還元処理が、次(2)式
[D]≦−2[M]+10 ………(2)
(ここで、[D]:加熱還元処理雰囲気中の露点(℃)、[M]:マグネタイト付着量(g/m2 ))
を満足する露点[D]を有する加熱還元雰囲気中で行う処理であることを特徴とする高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
)()または()において、前記合金化処理が、460〜600℃の範囲の温度で行うことを特徴とする高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
本発明によれば、Siを多量に含有する高張力鋼板をめっき原板として用いても、不めっきの発生がなく美麗なめっき表面外観を有し、かつめっき密着性および耐食性に優れた高張力溶融亜鉛めっき鋼板を経済的に安価でかつ高い生産性で製造できるという、産業上格段の効果を奏する。また、本発明によれば、美麗なめっき表面外観を有し、かつ耐パウダリング性および耐食性に優れた高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造できるという効果もある。
本発明は、めっき原板として、Si を0.1〜3.0mass%含有する組成を有する鋼板を使用する。組成の限定理由は次のとおりである。
Siは、鋼の強度増加に寄与する有用な元素であり、高強度化するために0.1mass%以上の含有を必要とする。Si含有量が0.1mass%未満では、溶融亜鉛めっき処理前の還元処理時において鋼板表面へのSiの濃化が顕著でなく、不めっきが多発したり、また合金化処理時に著しい合金化反応の遅滞が生じたりはしない。一方、Si含有量が3.0mass%を超えると、鋼板強度が高くなりすぎ延性が低下する。
本発明では、Si以外の成分の含有はとくに限定されない。用途に応じて必要とされる特性を付与するために、C、Mn、Al、P等の各元素を、C:0.0001〜0.5mass%、Mn:0.1〜5mass%、Al:0.01〜5mass%、P:0.005〜0.2mass%の範囲内で適正量、適宜含有することができる。なお、C、Mn、Al、P以外にも、Cr、Mo、Nb、Tiのうちの1種以上、Cu、Ni、Bのうちの1種以上の元素を要求される特性に応じて適正量選択して含有できることは言うまでもない。
なお、以下に、好ましい組成の限定理由について説明する。以下、組成におけるmass%は単に%で記す。
Cは、鋼の強度増加に寄与する有用な元素であり、さらに強度−延性バランスを向上させる残留γ相の生成を促進させる作用を有する。このような作用は0.0001%以上の含有で顕著に発現する。一方、0.5%を超える含有は溶接性を劣化させる。このため、Cは0.0001〜0.5%に限定することが好ましい。
Mnは、鋼の強度増加に寄与する有用な元素であり、強度確保のために0.1%以上の含有を必要とする。一方、5%を超える含有は、強度−延性バランスや溶接性に悪影響を及ぼすとともにめっき密着性の改善が困難となる。このため、Mnは0.1〜5%の範囲に限定することが好ましい。
Alは、Siと補完的に添加される元素であり、結晶粒微細化のために、0.01%以上の含有を必要とするが、5%を超える含有は、強度−延性バランスや溶接性に悪影響を及ぼすとともに、めっき密着性の改善が困難となる。このため、Alは0.01〜5%の範囲に限定することが好ましい。
Mn、Alは、Siと同様に、焼鈍時に鋼板表面に酸化膜を形成し、不めっきやめっき密着性に悪影響を及ぼす元素である。
Pは、強度を高める元素であり、この目的のためには0.005%以上含有することが好ましいが、0.2%を超える多量の含有は溶接性、表面品質等を劣化させ、さらに非合金化の場合にはめっき密着性を劣化させ、まためっき合金化の場合には合金化温度を上昇させ、延性を低下させると同時に合金化めっき層の密着性を低下させる。このため、Pは0.005〜0.2%の範囲に限定することが好ましい。
上記したC、Mn、Al、P以外に必要に応じて他の元素を含有できる。例えば、強度―延性バランスを調整するために、Cr:1%以下、Mo:1%以下、Nb:0.2%以下、Ti:0.2%以下のうちから選ばれる1種または2種以上を含有してもよい。
Cr、Mo、Nb、Tiはいずれも、強度―延性バランスを調整する作用を有するとともに、Cr、Mo、Nbはさらに、Si、Alが鋼板表面ではなく内部で酸化する、いわゆる内部酸化を促進させる作用を有し、Si、Alの鋼板表面での酸化を抑制する効果を有する。このような効果はCr:0.01%以上、Mo:0.01%以上、Nb:0.005%以上、Ti:0.005%以上の含有で顕著となる。一方、1%を超えるCrの含有は、Cr自体が表面濃化してめっき密着性を低下させるとともに溶接性に悪影響を及ぼす。このため、Crは1%以下に限定することが好ましい。また、1%を超えるMoの含有は、製造コストを高騰させ、経済的に不利となる。このため、Moは1.0%以下に限定することが好ましい。また、0.2%を超えるNbの含有は、コストアップに繋がるため、Nbは0.2%以下に限定することが好ましい。また、0.2%を超える含有は、めっき密着性を低下させる。このため、Tiは0.2%以下に限定した。
また、残留γ相の形成促進のために、Cu:0.5以下、Ni:1.0%以下、B:0.01%以下のうちから選ばれる1種または2種以上を含有してもよい。
Cu、Ni、Bは、いずれも残留γ相の形成を促進させる作用を有し、またCuはさらに、Si、Alを内部酸化を促進させる作用を有し、Si、Alの鋼板表面での酸化を抑制する効果を有し、必要に応じて選択して含有できる。このような効果は、Cu:0.01%以上、Ni:0.01%以上、B:0.0005%以上の含有で顕著となる。一方、Cu:0.5%、Ni:1.0%を超える含有は、製造コストを高騰させ、経済的に不利となるため、Cu:0.5%以下、Ni:1.0%以下に限定することが好ましい。また、B:0.01%を超える含有は、めっき密着性が劣化するため、Bは0.05%以下に限定することが好ましい。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としては、S:0.2%以下が許容できる。Sの多量含有は溶接性を劣化させるため、できるだけ低減することが好ましいが、0.2%までは許容できる。
本発明では、好ましくは上記した組成を有する鋼板(高張力鋼板)に、まずマグネタイト付着処理を施す。このマグネタイト付着処理により、次(1)式を満足する所定量[M]のマグネタイトを鋼板表面に付着させる。
[M]≧[Si] ………(1)
(ここで、[M]:マグネタイト付着量(g/m2 )、[Si]:鋼板のSi含有量(mass%))
マグネタイト付着量[M]が(1)式を満足しない場合には、鋼板表面へのSi濃化を抑制する効果が少なくなる。鋼板中のSi含有量が増加するとともに、Siの鋼板表面への濃化が顕著となり、Siの表面濃化を抑制するためには、鋼板中のSi含有量に応じた多量のマグネタイトを鋼板表面に付着させる必要がある。(1)式を満足するように鋼板表面にマグネタイトを付着させることにより、Siの表面濃化を抑制する効果が高くなり、これにより、溶融亜鉛めっき処理時における鋼板表面と溶融亜鉛との濡れ性が改善され、Si含有高張力溶融亜鉛めっき鋼板の耐食性が改善される。
鋼板表面へのマグネタイトの付着は、例えば酸化性雰囲気中で鋼板を最高到達温度:500℃超えとする加熱を行うことにより容易に達成できるが、鋼板の最高到達温度が500℃以下では、ヘマタイトが形成されやすく、所定量のマグネタイトを付着させることができない。また、(1)式を満足する所定量のマグネタイトを付着させることができない場合には、Si、さらにはMn、Alの表面濃化が完全に抑制できず、溶融亜鉛との濡れ性が低下し、めっき密着性および耐食性が低下する。なお、本発明では酸化の手段、加熱の手段はとくに限定されない。
マグネタイト付着のために、鋼板を加熱する手段としては、例えばバーナー加熱、誘導加熱、通電加熱、放射加熱等の従来から公知の手段が例示でき、いずれも本発明に適用できるが、本発明ではこれに限定されるものではない。
バーナー加熱であれば、従来から用いられている酸化炉、無酸化炉等の加熱炉を使用することができる。無酸化炉を使用する場合には、直火型バーナーの空燃比を例えば1.0超えに設定することで鋼板表面にマグネタイトを容易に付着させることができる。また、誘導加熱、通電加熱、放射加熱であれば、鋼板近傍の雰囲気を酸化性雰囲気とすることで、鋼板表面にマグネタイトを容易に付着させることができる。酸化性雰囲気としては、例えば酸素ガス、水蒸気、二酸化炭素ガス等の酸化性ガスを1種または2種以上含む雰囲気が例示できる。また、無酸化型や直火型等の加熱炉を有する連続式溶融亜鉛めっきラインの加熱帯を利用して、マグネタイト付着処理を行ってもよい。
また、マグネタイトの付着は、予め鋼板表面に酸化鉄を含む溶液を塗布したのち加熱する方法や、鋼板表面を酸化剤等で化学的に酸化処理する方法を用いて行ってもよい。
(1)式を満足するようにマグネタイトを鋼板表面に付着させることにより、Si等の表面濃化が抑制され、めっき密着性および耐食性が向上する機構については、現在までに明確になっていないが、本発明者らはつぎにように考えている。
マグネタイト付着処理を施すことにより鋼板表面の酸化皮膜の組成が異なり、そのため、その後の還元処理時にSiの表面濃化挙動が影響され、さらに還元処理によりマグネタイトを還元した地鉄表面とすることにより、めっき処理や合金化処理後のめっき層と地鉄との界面の密着力が強化されるとともに、地鉄部分の耐食性が向上するものと考えられる。また、Siの表面濃化が抑制されることで、めっきムラがなくなることもめっき鋼板の耐食性改善に寄与しているものと考えられる。なお、ウスタイトもマグネタイトと同様に効果があるが、マグネタイトのほうが効果が安定している。
なお、マグネタイト付着処理によるマグネタイト付着量[M]は、X線回折法を用いて測定するものとする。マグネタイト付着処理により形成された鋼板表面の酸化物に次のような条件 X線管球:Cu
管電圧:50kV
管電流:250mA
でX線回折を行い、 得られたX線回折の結果から、酸化物中の各鉄酸化物(ヘマタイト、マグネタイト、ウスタイト)の組成比率を求める。ついで、表面付着酸素量をガス分析法により求め、割り戻して各鉄酸化物の含有量を密度から算出し、得られたマグネタイト量をマグネタイト付着量(g/m2 )とする。なお、各鉄酸化物の組成比率は次のようにして求める。
予め、ヘマタイト(FeO)、マグネタイト(FeO)、ウスタイト(FeO)の粉末標準試料を準備し、混合比率が異なる3種のサンプルを作製する。各サンプルについて、X線回折によりヘマタイト(FeO)の(104)面、マグネタイト(FeO)の(511)面、ウスタイト(FeO)の(200)面の回折ピーク強度(cps)を測定する。これらの結果から、混合割合(mass%)と回折ピーク強度(cps)の関係を求め検量線を作成する。この検量線をもとに、マグネタイト付着処理後の試料について得られた回折ピーク強度(cps)から各鉄酸化物の組成比率(mass%)を算出する。
本発明では、上記したマグネタイト付着処理前に、めっき原板である鋼板表面にS、Se、Cl、Br、Na、K、Cのうちから選ばれた1種または2種以上の元素を含有する化合物を付着させる化合物付着処理を施す。これにより、加熱還元処理後の鋼板表面が活性化し、Si等の表面酸化を抑制する効果がさらに増加する。これら元素を含有する化合物を付着させる化合物付着処理を施すことにより、鋼板表面が活性化する機構については、現在までのところ明確にはなっていないが、本発明者らは次のように考えている。化合物付着処理により付着された化合物の各元素により、その後のマグネタイト付着処理時に鋼板表面の酸化が促進されるとともに、ヘマタイトの生成が抑制されマグネタイトの生成が促進されるものと考えている。
これらの元素を含有する化合物のうち、使用可能な1例として以下の化合物が挙げられるが、本発明ではこれらに限定されないことは言うまでもない。
S含有化合物:硫酸(H2SO4)、硫酸ナトリウム(Na2SO4)、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)、硫化ナトリウム(Na2S)、硫酸アンモニウム((NH4)SO4)、硫化アンモニウム((NH4)2S)、チオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3)、硫酸水素ナトリウム(NaHSO4)、硫酸水素アンモニウム(NH4HSO4)、硫酸カリウム(K2SO4)、硫酸鉄(FeSO4,Fe2(SO4)3)、硫酸アンモニウム鉄(Fe(NH4)2(SO4)2,FeNH4(SO4)2)、硫酸バリウム(BaSO4)、硫化アンチモン(Sb2S3)、硫化鉄(FeS)、チオ尿素(H2NCSNH2)、二酸化チオ尿素((NH2)2CSO2)、SCH基のチオフェン酸塩類、SCN基を有するチオシアン酸塩類等;
Se含有化合物:セレン酸カリウム(K2SeO4)等;
Cl含有化合物:塩酸(HCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化アンモニウム(NH4Cl)、塩化アンチモン(SbCl3)、塩化カリウム(KCl)、塩化鉄(FeCl2, FeCl3)、塩化チタン(TiCl4)、塩化銅(CuCl)、塩化バリウム(BaCl2)、塩化モリブデン(MoCl5)、塩素酸ナトリウム(NaClO3)等;
Br含有化合物:臭化鉄(FeBr2, FeBr3)等;
Na含有化合物:水酸化ナトリウム(NaOH)、硫酸ナトリウム(NaSO4)、硫化ナトリウム(NaS)、チオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3)、塩化ナトリウム(NaCl)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、クエン酸ナトリウム(Na3C6H5O7)、シアン酸ナトリウム(NaCNO)、酢酸ナトリウム(CH3COONa)、リン酸水素ナトリウム(Na2HPO4)、リン酸ナトリウム(Na3PO4)、フッ化ナトリウム(NaF)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、硝酸ナトリウム(NaNO3)、シュウ酸ナトリウム((COONa)2)、四ホウ酸ナトリウム(Na2B4O7)、酸化ナトリウム(Na2O)等;
K含有化合物:水酸化カリウム(KOH)、酢酸カリウム(CH3COOK)、ホウ酸カリウム(K2B4O7)、炭酸カリウム(K2CO3)、塩化カリウム(KCl)、シアン酸カリウム(KCNO)、クエン酸カリウム(KH2C6H5O7)、フッ化カリウム(KF)、モリブデン酸カリウム(K2MoO4)、硝酸カリウム(KNO3)、過マンガン酸カリウム(KMnO4)、リン酸カリウム(K3PO4)、硫酸カリウム(K2SO4)、チオシアン酸カリウム(KSCN)、シュウ酸カリウム((COOK)2)等;
C含有化合物:タンニン酸、アジピン酸等のカルボン酸含有化合物、糖類、フマル酸、フタル酸、フェノール、アニリン、安息香酸等の芳香族環含有化合物、グリシン、アラニンなどのアミノ酸、エチレングリコール、アセチレングリコール等の多価アルコール類、アクリル酸、ポリエステル、エポキシ、それらの変性化合物等の樹脂類等;
化合物付着処理は、上記した元素を含む化合物を単独または複合して、水または有機溶剤等に溶解した溶液を作製し、該溶液に鋼板を浸漬、該溶液を鋼板にスプレー等で噴霧、或いは該溶液をロールコータ等で鋼板に塗布して、上記した元素を含む化合物を鋼板表面に付着させ、あるいはさらに乾燥させる処理とすることが好ましい。なお、上記した元素を含む化合物を鋼板表面に直接塗布してもよい。また、上記した元素を含む化合物を圧延油に配合した圧延油を用いて圧延し、化合物付着処理としても効果は変わらない。また、化合物付着処理前または後に、鋼板表面の電解脱脂、酸洗等を行っても本発明の効果は何ら変わらない。 本発明における化合物付着処理における、上記した元素を含む化合物の付着量は、該元素換算で合計0.1〜1000mg/m2でとすることが好ましい。化合物の付着量が0.1 mg/m2 未満では、期待される効果が認められず、一方、1000mg/m2を超えて付着しても、効果が飽和して付着量に見合う効果が期待できないなり、経済的に不利となる。なお、化合物の付着量の定量方法は、鋼板を含み湿式分析法で該当する元素の含有量を定量し、鋼板中の該元素含有量を差し引くことにより求めるものとする。
マグネタイト付着処理を施された鋼板は、ついで加熱還元処理を施される。
加熱還元処理により、鋼板表面に付着した酸化物を還元する。加熱還元処理は、例えば放射加熱方式の焼鈍炉で、還元性雰囲気中で、600〜900℃の範囲の温度に加熱する処理とすることが好ましい。還元性雰囲気としては、通常公知の水素ガスを含む窒素ガス等不活性ガス雰囲気とすることが好ましいが、これに限定されるものではない。なお、水素ガスは1〜90体積%とすることが好ましく、1体積%未満では、還元能力が不足し、一方、90体積%を超えると経済的に不利となる。また、本発明では、加熱還元処理は、次(2)式
[D]≦ −2[M]+10 ………(2)(ここで、[D]:加熱還元処理雰囲気の露点(℃)、[M]:マグネタイト付着量(g/m2 ))
を満足する露点[D]を有する雰囲気中で行うことが好ましい。露点[D]が(2)式を満足しない場合には、マグネタイトが未還元で残留するため、めっき密着性が劣化したり、めっきムラが発生し耐食性が低下する。露点[D]が(2)式を満足する雰囲気中で加熱還元処理を行うことにより、鋼板表面が活性化し、その後の溶融亜鉛めっき処理時や合金化処理時に健全なめっき被膜が形成されるため、耐食性が更に向上する。 本発明では、加熱還元処理を施された鋼板は、引き続き、非酸化性あるいは還元性雰囲気中でめっき処理に適した温度まで冷却されたのち、溶融亜鉛めっき処理を施され、表面にめっき層を形成される。本発明における溶融亜鉛めっき処理は、従来から行われている通常の溶融亜鉛めっき処理がいずれも適用できる。すなわち、めっき浴は、Alを0.1〜0.2mass%含有する溶融亜鉛浴を使用し、浴温度を440〜520℃とし、鋼板のめっき浴侵入温度はめっき浴温度とほぼ等しい温度とすることが好ましい。しかし、本発明ではこれに限定されるものではない。なお、めっき浴には、上記したAl以外に、Pb、Sb、Fe、Mg、Mn、Ni、Ca、Ti、V、Cr、Co、Sn等の元素が混入する場合があるが、これら元素の混入は本発明の効果になんら影響を及ぼさない。
本発明における溶融亜鉛めっき処理では、鋼板表面に形成する溶融亜鉛めっき層の付着量は、片面当たり20〜100g/m2 とすることが好ましい。溶融亜鉛めっき層厚さが20g/m2未満では十分な防錆性が得られない。一方、100g/m2を超えて厚くなると、加工性、経済性が低下する。このため、形成する溶融亜鉛めっき層付着量は20〜100g/m2 とすることが好ましい。なお、溶融亜鉛めっき層付着量の調整は、ガスワイピングで行うことが好ましく、ガス圧、ワイピングノズルと鋼板の間の距離等により調整される。
溶融亜鉛めっき処理を施され表面に溶融亜鉛めっき層を形成された鋼板は、用途に応じ、溶融亜鉛めっき層の合金化処理を施して、合金化溶融亜鉛めっき鋼板とすることができる。合金化処理は、溶融亜鉛めっき層中のFe含有量が7〜15mass%となるように、処理温度、保持時間を調整して施す。めっき層中のFe含有量が7mass%未満では、めっき層表面に柔らかいζ相が多量に生成し摺動性が低下する。また、合金化ムラなどのめっき外観不良も発生しやすくなる。一方、めっき層中のFe含有量が15masss%を超えると、めっき層中の地鉄界面に硬くて脆いΓ相が形成され、めっき密着性が劣化する。このため、合金化処理を行う場合には、めっき層中のFe含有量が7〜15mass%となるように合金化処理条件を調整することとする。このような条件として、合金化処理温度は460〜600℃、保持時間は5〜60s程度の範囲とすることが好ましい。合金化処理温度が460℃未満、保持時間が5s未満では、合金化反応が進行せず、一方、合金化処理温度が600℃超え、保持時間が60s超えでは、合金化反応が進みすぎて、めっき密着性が低下する。また、残留γ相を鋼組織中に含有させて、加工性と強度を両立させようとする場合には、合金化処理温度が600℃超であったり、保持時間が60s超となると、残留γ相を安定して得ることが困難となり、機械的性質確保の点が不利である。なお、合金化処理の方法は、加熱方法等従来の方法がそのまま適用でき、とくに限定されない。
このように、本発明によれば、鋼板表面へのSi濃化が抑制でき、合金化反応の著しい遅延も発生することがないため、耐パウダリング性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を生産性を阻害することなく容易に製造できる。つぎに、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明する。
表1に示す組成の鋼素材(スラブ)を、加熱炉で1260℃で60min間加熱し、熱間圧延により2.8mm厚の熱延鋼板とし580℃で巻き取った。その後、酸洗により黒皮スケールを除去し、ついで冷間圧延により1.6mm厚の冷延鋼板とした。これら冷延鋼板表面に、ロールコータ法で表2に示す種類の薬剤(化合物)の水溶液を塗布し、乾燥して鋼板に化合物を付着させる化合物付着処理を施した。薬剤の塗布量は、水溶液の濃度を変化して変化させた。なお、付着量は、鋼板を含め湿式分析法で含有する各元素量を分析し、各元素の付着量に換算した。
ついで、これら鋼板に、連続式溶融亜鉛めっきラインで、マグネタイト付着処理と、加熱還元処理と、それに続く溶融亜鉛めっき処理を施し溶融亜鉛めっき鋼板とし、ついで合金化炉でめっき層の合金化処理を行った。なお、一部の鋼板は合金化処理を実施しなかった。
マグネタイト付着処理は、連続式溶融亜鉛めっきラインの直火型焼鈍炉(DFF)で酸化性雰囲気中で350〜800℃に加熱し1〜20s間保持する処理(DFF直火バーナー処理)とし、表2に示す量のマグネタイトを付着させた。一部では、連続式溶融亜鉛めっきラインの無酸化型焼鈍炉(NOF)で同様に加熱温度、保持時間を変化する処理(NOF処理)を施し、表2に示す量のマグネタイトを付着させた。また、一部では、溶液に酸化鉄を分散させたゾルをロールコータで鋼板に塗布し、連続式溶融亜鉛めっきラインのラジアントチューブ型焼鈍炉(RTF)で加熱する処理(酸化鉄塗布処理)、あるいはシュウ酸と過酸化水素混合液中に鋼板を浸漬する酸化処理を施したのち連続式溶融亜鉛めっきラインのラジアントチューブ型焼鈍炉(RTF)で加熱する処理(薬品酸化処理)で、表2に示す量のマグネタイトを付着させた。なお、マグネタイト付着量は、めっきセクションや均熱セクションを空通しして、試料を採取し、前記したX線回折法で回折ピーク強度を測定し、予め得られた検量線を用いて算出した。
加熱還元処理は、連続式溶融亜鉛めっきラインの還元帯で、5Vol.%水素ガスを含む窒素ガスからなる還元性雰囲気で、800〜880℃に加熱する処理とした。
加熱還元処理後、めっき処理に適した温度まで非酸化性雰囲気中で400〜500℃まで冷却し、大気中に晒すことなく溶融亜鉛めっき処理を施した。
溶融亜鉛めっき処理は、めっき浴を0.14mass%Alを含有する溶融亜鉛浴とし、浴温を470℃として、鋼板を該めっき浴に浸漬して行った。めっき付着量はガスワイピングにより、表2に示すように片面当たり40±5g/m2に調整した。
溶融亜鉛めっき処理後、一部の鋼板について合金化炉でめっき層の合金化処理を施した。合金化処理の温度を540℃(表2中、鋼板No.10は比較のため620℃)とし、保持時間を20secとし、合金化処理後の外観にムラが発生した場合○、それ以外の場合を×として合金化特性を評価した。
なお、めっき層中のFe含有量は次のようにして求めた。
20mass%NaOH−10mass%トリエタノールアミン水溶液195ccと35mass%過酸化水素溶液7ccの混合液にめっき鋼板を浸漬してめっき層を溶解し、得られた液をICP(誘起結合プラズマ)法でFe含有量を定量し、めっき層中のFe含有量に換算した。
また、得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板(一部は溶融亜鉛めっき鋼板)について、めっき外観を目視で調査し、不めっきのない場合をめっき外観良好(○)とし、不めっきのある場合をめっき外観不良(×)と判定した。
また、得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板について、めっき密着性を調査した。
まず、得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板にセロハンテープを貼り、セロハンテープ面を90°曲げ−曲げ戻しした。そして、90°曲げ−曲げ戻し後のセロハンテープ面に、蛍光X線を照射し、Znカウント数を測定して、単位長さ当たりの剥離量の指標とした。Znカウント数が、0〜500カウントの場合をランク1、500超〜1000カウントの場合をランク2、1000超〜2000カウントの場合をランク3、2000超〜3000カウントの場合をランク4、3000カウント超の場合をランク5とした。ランク1が耐剥離性が良、ランク5が劣である。ランク1,2の場合をめっき密着性が良好(○、△)とし、ランク3以上の場合を不良(×)と評価した。
また、一部の合金化処理を行っていない溶融亜鉛めっき鋼板についてはボールインパクト試験を実施し、めっき密着性を評価した。ボールインパクト試験は、鋼板表面に高さ1mより重さ1kgのポンチを落下させる試験とした。
試験後、加工部にセロハンテープを貼り、剥離してめっき層の剥離の有無を目視で判定した。めっき層の剥離がある場合を×、ない場合を○とした。
また、得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板について、耐食性試験を実施した。耐食性試験の試験方法は次の通りとした。
湿潤(温度:40℃、相対湿度:95%、2h)→塩水噴霧(液温:35℃、5%NaCl水溶液、2h)→乾燥(温度:60℃、2h)→湿潤(温度:50℃、相対湿度:95%、6h)→乾燥(温度:60℃、2h)→湿潤(温度:50℃、相対湿度:95%、6h)→乾燥(温度:60℃、2h)→低温(−20℃、3h)
このサイクルを1サイクルとし、30サイクル付与したのち、めっき層、錆層を剥離し、腐食されていない個所を基準として,孔食深さを測定した。10個所以上の孔食深さを測定し,その平均値を求め,平均の孔食深さが0.3mm以下の場合を耐食性が良好(○)、0.3mmを超える場合を不良(×)として評価した。
得られた結果を表2に示す。
Figure 0004747656
Figure 0004747656
Figure 0004747656
本発明例はいずれも、Siを多量に含有する高張力鋼板をめっき原板としているにもかかわらず、めっき表面外観、めっき密着性および耐食性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板または合金化溶融亜鉛めっき鋼板となっている。また、本発明の溶融亜鉛めっき鋼板は合金化特性にも優れ、合金化反応の遅延もなく、合金化処理温度を低減でき、生産性を阻害することなくまた機械的特性の劣化を生じることなく、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造できる。
めっき密着性に及ぼすマグネタイト付着量[M]と鋼板中Si含有量[Si]との関係を示すグラフである。 耐食性に及ぼす加熱還元処理雰囲気の露点[D]とマグネタイト付着量[M]との関係を示すグラフである。

Claims (6)

  1. Si を0.1〜3mass%含有する組成の鋼板をめっき原板として、該鋼板に溶融亜鉛めっき処理を施し高張力溶融亜鉛めっき鋼板とするに当たり、前記溶融亜鉛めっき処理前に、前記鋼板表面にS、Se、Cl、Br、Na、K、Cのうちから選ばれた1種または2種以上の元素を含有する化合物を付着させる化合物付着処理を施し、ついで前記鋼板表面に下記(1)式を満足する量[M]のマグネタイトを付着させるマグネタイト付着処理を施し、ついで加熱還元処理を施し、引き続き前記溶融亜鉛めっき処理を施すことを特徴とするめっき密着性と耐食性に優れた高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。

    [M]≧[Si] ………(1)
    ここで、[M]:マグネタイト付着量(g/m2 )、
    [Si]:鋼板のSi含有量(mass%)
  2. 前記加熱還元処理が、下記(2)式を満足する露点[D]を有する加熱還元雰囲気中で行う処理であることを特徴とする請求項1に記載の高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。

    [D]≦ −2[M]+10 ………(2)
    ここで、[D]:加熱還元処理雰囲気の露点(℃)
    [M]:マグネタイト付着量(g/m2
  3. 前記化合物の付着量が、前記元素換算で合計0.1〜1000mg/m2であることを特徴とする請求項1または2に記載の高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  4. Siを0.1〜3mass%含有する組成の鋼板をめっき原板として、該鋼板に溶融亜鉛めっき処理を施して溶融亜鉛めっき層を形成し、引き続き該溶融亜鉛めっき層の合金化処理を施して高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板とするに当たり、前記溶融亜鉛めっき処理前に、前記鋼板表面にS、Se、Cl、Br、Na、K、Cのうちから選ばれた1種または2種以上の元素を含有する化合物を付着させる化合物付着処理を施し、ついで前記鋼板表面に下記(1)式を満足する量[M]のマグネタイトを付着させるマグネタイト付着処理を施し、ついで加熱還元処理を施し、引き続き前記溶融亜鉛めっき処理を施し、さらに前記合金化処理を、前記溶融亜鉛めっき層中のFe含有量が7〜15mass%となるように施すことを特徴とする高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。

    [M]≧[Si] ………(1)
    ここで、[M]:マグネタイト付着量(g/m2
    [Si]:鋼板のSi含有量(mass%)
  5. 前記加熱還元処理が、下記(2)式を満足する露点[D]を有する加熱還元雰囲気中で行う処理であることを特徴とする請求項に記載の高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。

    [D]≦−2[M]+10 ………(2)
    ここで、[D]:加熱還元処理雰囲気中の露点(℃)、
    [M]:マグネタイト付着量(g/m2
  6. 前記合金化処理が、460〜600℃の範囲の温度で行うことを特徴とする請求項またはに記載の高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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