JPH1088307A - めっき密着性に優れた溶融めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

めっき密着性に優れた溶融めっき鋼板の製造方法

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JPH1088307A
JPH1088307A JP26559296A JP26559296A JPH1088307A JP H1088307 A JPH1088307 A JP H1088307A JP 26559296 A JP26559296 A JP 26559296A JP 26559296 A JP26559296 A JP 26559296A JP H1088307 A JPH1088307 A JP H1088307A
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steel sheet
dip
plating
heat treatment
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JP26559296A
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Motoi Uesugi
基 上杉
Masaki Omura
雅紀 大村
Akira Takase
朗 高瀬
Toshihiko Oi
利彦 大居
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れためっき密着性を有する溶融めっき鋼板
を脱スケール処理工程を経ることなく低コストに製造す
ること 【解決手段】 脱スケール処理を経ない熱延板を連続溶
融めっきラインに装入し、還元性ガス雰囲気中で熱処理
した後、未還元スケール層が残存した鋼板に溶融めっき
を施し、次いで、下記(1)式を満足し、且つ溶融亜鉛め
っきでは下記(2)式を、Alを2.0〜8.0wt%含有する溶融A
l-Zn系合金めっきでは下記(3)式を、Alを20〜95wt%含
有する溶融Al-Zn系合金めっきでは下記(4)式を、それぞ
れ満足する条件で熱処理し、地鉄表面に体積分率で30%
以上がFe3O4である未還元スケール層を有し、その上層
に溶融めっき層を有する溶融めっき鋼板を得る。 t≧0.0073(T−425)2+15 …(1) T<−0.4t+420 …(2) T<375 …(3) T<−0.55t+558 …(4) 但し t:熱処理時間(分),T:熱処理温度(℃)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、酸洗等の脱スケ
ール処理を施さない熱延鋼板を素材とする溶融めっき鋼
板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、連続溶融めっき設備で製造される
溶融亜鉛めっき鋼板や溶融亜鉛−アルミニウム系合金め
っき鋼板は、熱延鋼板の表面に生成している酸化膜(ス
ケール)を予め酸洗工程で除去し、めっき設備において
還元処理を経た後、溶融めっきすることにより製造され
てきた。このように溶融めっき前に酸洗によるスケール
除去を行うのは、鋼板のめっき浴浸漬時にスケールがめ
っき金属をはじくことによって不メッキを生じさせた
り、鋼板とめっき金属との反応が妨げられることにより
めっき密着性が劣化するためであり、このため従来の溶
融亜鉛めっき鋼板や溶融亜鉛−アルミニウム系合金めっ
き鋼板の製造では、めっき前に鋼板を酸洗処理し、スケ
ールを完全に除去することが不可欠であるとされてき
た。しかし、酸洗工程を設置するには莫大な設備コスト
がかかり、また酸洗を行うことは操業コストの増大につ
ながるため、酸洗工程の簡略化若しくは工程そのものを
省略できる技術の開発が望まれていた。
【0003】このような背景の下で、特開昭54−14
7125号公報や特開平6−279967号公報等で
は、酸洗工程を省略するための熱延鋼板の処理方法ない
し溶融亜鉛めっき鋼板の製造法が提案されている。これ
らのうち、特開昭54−147125号公報が提案する
熱延鋼帯の処理方法は、熱間圧延されたスケール付着量
1mg/cm2以下の鋼帯を、還元性ガス雰囲気の連続
焼鈍炉において500℃以上で60秒以上保持して焼鈍
することによりスケール除去を行う方法である。また、
特開平6−279967号公報が提案する溶融亜鉛めっ
き鋼帯の製造方法は、熱延鋼帯を酸洗処理することな
く、還元性ガス雰囲気中において還元温度、還元時間及
び水素濃度をスケール厚さに応じて制御した還元処理を
行った後、連続的に溶融亜鉛めっきを行う方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらのうち
特開昭54−147125号公報の処理法は、スケール
付着量が1mg/cm2以下と極めて薄い場合にのみ適
用可能であり、したがって、通常得られる3〜5mg/
cm2(スケール厚で5.7〜9.5μm)程度のスケ
ール付着量の熱延鋼板にそのまま適用することは不可能
であり、あえて適用しようとすると薄スケール化のため
の付帯設備が必須となり、コストの増大を招く。また、
特開平6−279967号公報の製造法は通常のスケー
ル厚さを有する熱延鋼板にも適用可能な方法であるが、
スケールを還元処理するために必要とされる温度、時
間、水素濃度が増すため、操業コストや設備コストが増
大するという欠点がある。
【0005】したがって本発明の目的は、通常の工程で
得られる熱延鋼板を素材とし、酸洗等の脱スケール処理
工程を経ることなく且つ操業コストや設備コストを増大
させることなく、酸洗処理を経て製造される従来のめっ
き鋼板に匹敵する優れためっき密着性を有する溶融めっ
き鋼板を製造することができる方法を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のよ
うな課題を解決するため種々の実験と検討を行い、その
結果、以下に述べるような知見を得た。まず、表面にス
ケールが生成した熱延鋼板を還元性ガス雰囲気中で熱処
理した場合、スケール表層から還元が進行し、鋼板面に
還元Fe層が形成されるが、通常行われるような操業条
件での還元処理では、スケールを完全に還元することは
難しく、還元Fe層と地鉄との間に未還元スケール層が
不可避的に残存してしまう。
【0007】このように未還元スケール層が残存した鋼
板に溶融亜鉛めっきや溶融亜鉛−アルミニウム合金めっ
きを施した場合、スケール表層の還元されたFe層とめ
っき浴とが反応してめっき層が形成される。したがっ
て、この溶融めっき鋼板のめっき構造は表層側からめっ
き層−未還元スケール層−地鉄の3層構造となり、酸洗
工程を経て製造される通常の溶融めっき鋼板のめっき構
造(めっき層−地鉄の2層構造)とは異なったものとな
る。そして、このようなめっき層−未還元スケール層−
地鉄の3層構造を有する溶融めっき鋼板は、曲げ歪みを
与えた場合に未還元スケール層−地鉄界面に割れが発生
してめっき剥離を生じ易いため、めっき密着性が著しく
劣る。このような未還元スケール層−地鉄界面の割れに
起因するめっき剥離は未還元スケール層が厚いほど生じ
易く、特に未還元スケール層の平均厚さが3.5μm以
上の場合において顕著である。
【0008】そこで、本発明者らは溶融めっき鋼板の未
還元スケール層の組成に着目し、この組成がめっき密着
性に及ぼす影響を調査すべく、めっき後の未還元スケー
ル層の組成をX線回折により解析した。その結果、熱延
ままのスケールの組成がFe34主体であるのに対し、
めっき後の未還元スケール層の組成はほぼFeO単層と
なっていることが判った。これは、熱延鋼板を連続溶融
めっきラインの還元性ガス雰囲気中で熱処理(還元処
理)した際、鋼板が平衡温度である570℃以上で保持
されることにより、スケールの組成が下式に従ってFe
34からFeOに変態したためであると考えられる。 Fe34+Fe→4FeO
【0009】そして、FeOの常温での破壊強度は0.
04kgf/mm2であり、Fe34の破壊強度4kg
f/mm2に比べ著しく低いため、これがめっき密着性
が劣る原因であると考えられる。そこで、FeOに変態
した未還元スケールを熱処理により再びFe34に変態
させる実験を行った結果、基本的に未還元スケール層中
のFe34の体積分率が30%以上になるとめっき密着
性が顕著に改善されることが明らかになった。
【0010】一方、上記のめっき後の熱処理に関して熱
処理温度と保持時間を種々変えて行った試験において、
比較的高温且つ長時間保持した場合に、Fe34の体積
分率が30%以上となったにも拘らず、めっき密着性が
改善されない場合が認められた。このようにめっき密着
性が改善されなかっためっき鋼板のめっき断面構造を観
察した結果、これらのめっき鋼板ではめっき金属と鉄と
の合金化反応が過度に進行しており、硬質の合金化層が
多量に形成されたためにめっき密着性が低下したもので
あることが判った。また、上記合金化反応の進行の程度
はめっき組成に依存することから、良好なめっき密着性
を得るためにめっき層の組成に応じたそれぞれの適正な
熱処理条件が存在することが判った。本発明はこのよう
な知見に基づきなされたもので、その特徴とする構成は
以下の通りである。
【0011】[1] 連続溶融めっきラインにて熱延鋼板に
溶融亜鉛めっきを施すに当り、表面にスケール層を有す
る熱延鋼板を脱スケール処理することなく連続溶融めっ
きラインに装入し、該熱延鋼板を還元性ガス雰囲気中で
熱処理した後、未還元スケール層が残存した鋼板に溶融
亜鉛めっきを施し、次いで、下記(1)式および(2)
式を満足する条件で熱処理し、地鉄表面に体積分率で3
0%以上がFe34である未還元スケール層を有し、そ
の上層に溶融亜鉛めっき層を有する溶融めっき鋼板を得
ることを特徴するめっき密着性に優れた溶融めっき鋼板
の製造方法。 t≧0.0073(T−425)2+15 …(1) T<−0.4t+420 …(2) 但し t:熱処理時間(分) T:熱処理温度(℃)
【0012】[2] 連続溶融めっきラインにて熱延鋼板に
Alを2.0〜8.0wt%含有する溶融Al−Zn系
合金めっきで施すに当り、表面にスケール層を有する熱
延鋼板を脱スケール処理することなく連続溶融めっきラ
インに装入し、該熱延鋼板を還元性ガス雰囲気中で熱処
理した後、未還元スケール層が残存した鋼板に溶融Al
−Zn系合金めっきを施し、次いで、下記(1)式およ
び(3)式を満足する条件で熱処理し、地鉄表面に体積
分率で30%以上がFe34である未還元スケール層を
有し、その上層にAlを2.0〜8.0wt%含有する
溶融Al−Zn系合金めっき層を有する溶融めっき鋼板
を得ることを特徴するめっき密着性に優れた溶融めっき
鋼板の製造方法。 t≧0.0073(T−425)2+15 …(1) T<375 …(3) 但し t:熱処理時間(分) T:熱処理温度(℃)
【0013】[3] 連続溶融めっきラインにて熱延鋼板に
Alを20〜95wt%含有する溶融Al−Zn系合金
めっきを施すに当り、表面にスケール層を有する熱延鋼
板を脱スケール処理することなく連続溶融めっきライン
に装入し、該熱延鋼板を還元性ガス雰囲気中で熱処理し
た後、未還元スケール層が残存した鋼板に溶融Al−Z
n系合金めっきを施し、次いで、下記(1)式および
(4)式を満足する条件で熱処理し、地鉄表面に体積分
率で30%以上がFe34である未還元スケール層を有
し、その上層にAlを20〜95wt%含有する溶融A
l−Zn系合金めっき層を有する溶融めっき鋼板を得る
ことを特徴するめっき密着性に優れた溶融めっき鋼板の
製造方法。 t≧0.0073(T−425)2+15 …(1) T<−0.55t+558 …(4) 但し t:熱処理時間(分) T:熱処理温度(℃)
【0014】[4] 上記[1]〜[3]のいずれかの製造方法に
おいて、還元性ガス雰囲気中で熱処理した後に残存する
未還元スケール層の平均厚さが2.0μm以上であるこ
とを特徴とするめっき密着性に優れた溶融めっき鋼板の
製造方法。 [5] 上記[1]〜[4]のいずれかの製造方法において、還元
性ガス雰囲気中で還元されるスケールの平均厚さが0.
5μm以上であることを特徴とするめっき密着性に優れ
た溶融めっき鋼板の製造方法。
【0015】[6] 上記[1]〜[5]のいずれかの製造方法に
おいて、スラブを下記(5)式を満足する条件で熱間圧
延し、該熱延鋼板を脱スケール処理することなく連続溶
融めっきラインに装入することを特徴とするめっき密着
性に優れた溶融めっき鋼板の製造方法。 3655≧3×FT+1.7×CT …(5) 但し FT:熱延仕上温度(℃) CT:熱延巻取温度(℃)
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細と限定理由に
ついて述べる。本発明が製造の対象とする溶融めっき鋼
板は、溶融亜鉛めっき鋼板、5%Al−Zn系溶融めっ
き鋼板に代表されるめっき層がAlを2.0〜8.0w
t%含有する溶融Al−Zn系合金めっき鋼板及び55
%Al−Zn溶融めっき鋼板に代表されるめっき層がA
lを20〜95wt%含有する溶融Al−Zn系合金め
っき鋼板である。
【0017】5%Al−Zn系溶融めっき鋼板に代表さ
れる溶融Al−Zn系合金めっき鋼板において、めっき
層中のAl量が2.0wt%未満ではAl−Znの共晶
体形成が少ないためめっき層の耐食性が十分でなく、一
方、Al量が8.0wt%を超えると加工に脆いFe−
Al系合金層の異常成長が起こる。このためめっき層中
のAl量は2.0〜8.0wt%とする。また、55%
Al−Zn系溶融めっき鋼板に代表される溶融Al−Z
n系合金めっき鋼板において、めっき層中のAl量が2
0wt%未満では表面外観品質が劣り、また耐食性も十
分ではない。一方、Al量が95wt%を超えるとAl
めっきに近くなるため、鋼板表面にスパングル模様が鮮
明に現われなくなる。このためめっき層中のAl量は2
0〜95wt%とする。通常、このめっき鋼板のめっき
層は1.2〜2.0wt%程度のSiを含有している。
【0018】本発明の製造法は、連続溶融めっきライン
にて熱延鋼板に上記の溶融めっき施すに当り、表面にス
ケール層を有する熱延鋼板を脱スケール処理することな
く連続溶融めっきラインに装入し、該熱延鋼板を還元性
ガス雰囲気中で熱処理した後、未還元スケール層が残存
した鋼板に溶融めっきを施し、次いで、特定の条件で熱
処理することを特徴とする。先に述べたように、通常の
連続亜鉛めっき設備内の還元性ガス雰囲気中、例えば1
0%H2−N2ガス雰囲気中において、高温でスケールの
還元を行った場合、熱延終了時にはFe34であったス
ケール組成が、めっき後の未還元スケール層ではほぼ完
全にFeOに変態してしまう。そして、本発明者らが実
験等で確認したところによれば、未還元スケール層中の
Fe34が体積分率で30%未満ではめっき密着性が劣
ることが判った。
【0019】したがって、このような未還元スケール層
の組成に起因しためっき密着性の劣化を防止するために
は、めっき後に熱処理を行い、未還元スケール層の組成
をFeO→Fe34に再変態させて、Fe34の体積分
率を増加させればよい。図1は、未還元スケール層の組
成がほぼFeO単層である溶融めっき鋼板を熱処理して
FeO→Fe34の変態を生じさせた際における、Fe
34の生成に及ぼす熱処理温度および熱処理時間の影響
を示したもので、Fe34の体積分率が30%以上とな
る熱処理条件(熱処理温度および時間)の範囲を“○”
で示した。したがって、この“○”で示した領域内の条
件で熱処理を実施すれば、Fe34の体積分率が30%
以上の未還元スケール層を得ることができる。ここで、
図1の“○”の領域は下記(1)式により定義される。 t≧0.0073(T−425)2+15 …(1) 但し t:熱処理時間(分) T:熱処理温度(℃)
【0020】しかしながら、上記の熱処理を行う場合、
熱処理条件によってはめっき金属と鉄との合金化反応が
過度に進行して硬質の合金化層が多量に形成されるた
め、Fe34の体積分率が30%以上となったにも拘ら
ずめっき密着性が低下する場合があること、またこのよ
うなめっき密着性の低下を生じる熱処理条件の領域は、
溶融めっきの成分によってそれぞれ異なることが判っ
た。
【0021】まず、溶融亜鉛めっき鋼板について、めっ
き密着性に及ぼす熱処理温度及び熱処理時間の影響を図
2に示す。同図によれば、Fe34の体積分率が30%
以上となる熱処理温度T(℃)及び熱処理時間t(分)
の領域(上記(1)式で定義される領域)であっても、
T≧−0.4t+420の領域では合金化反応が過度に
進行するためにめっき密着性が劣っている。したがっ
て、溶融亜鉛めっき鋼板においてFe34の体積分率を
30%以上とし、且つ合金化反応を過度に進行させない
ことにより優れためっき密着性を得るためには、めっき
後の熱処理を下記(1)式及び(2)式の条件を満足す
るように行う必要がある。 t≧0.0073(T−425)2+15 …(1) T<−0.4t+420 …(2)
【0022】次に、めっき層がAlを2.0〜8.0w
t%含有する溶融Al−Zn系合金めっき鋼板につい
て、めっき密着性に及ぼす熱処理温度及び熱処理時間の
影響を図3に示す。同図によれば、Fe34の体積分率
が30%以上となる熱処理温度T(℃)及び熱処理時間
t(分)の領域(上記(1)式で定義される領域)であ
っても、T≧375の領域では合金化反応が過度に進行
するためにめっき密着性が劣っている。したがって、め
っき層がAlを2.0〜8.0wt%含有する溶融Al
−Zn系合金めっき鋼板においてFe34の体積分率を
30%以上とし、且つ合金化反応を過度に進行させない
ことにより優れためっき密着性を得るためには、めっき
後の熱処理を下記(1)式及び(3)式の条件を満足す
るように行う必要がある。 t≧0.0073(T−425)2+15 …(1) T<375 …(3)
【0023】次に、めっき層がAlを20〜95wt%
含有する溶融Al−Zn系合金めっき鋼板について、め
っき密着性に及ぼす熱処理温度及び熱処理時間の影響を
図4に示す。同図によれば、Fe34の体積分率が30
%以上となる熱処理温度T(℃)及び熱処理時間t
(分)の領域(上記(1)式で定義される領域)であっ
ても、T≧−0.55t+558の領域では合金化反応
が過度に進行するためにめっき密着性が劣っている。し
たがって、めっき層がAlを20〜95wt%含有する
溶融Al−Zn系合金めっき鋼板においてFe34の体
積分率を30%以上とし、且つ合金化反応を過度に進行
させないことにより優れためっき密着性を得るために
は、めっき後の熱処理を下記(1)式及び(4)式の条
件を満足するように行う必要がある。 t≧0.0073(T−425)2+15 …(1) T<−0.55t+558 …(4)
【0024】以上のようなめっき後の熱処理により、地
鉄表面に体積分率で30%以上がFe34である未還元
スケール層を有し、その上層に合金化反応が過度に進行
していない溶融亜鉛めっき層または溶融Al−Zn系合
金めっき層を有するめっき密着性に優れた溶融めっき鋼
板が得られる。上記の熱処理はバッチ炉、連続炉等を用
いて行うことができ、また、連続溶融めっきラインのイ
ンライン、オフラインのいずれで行ってもよい。また、
この熱処理はコイルをシート状に切断した後に行っても
よい。
【0025】FeOを主体とする未還元スケール層の残
存によるめっき密着性の劣化は、未還元スケール層の厚
さに大きく左右される。具体的には、めっき密着性の劣
化は未還元スケール層の平均厚さが2.0μm以上にお
いて生じ易く、特に3.5μm以上において顕著にな
る。しかし、本発明のようにめっき後の熱処理によって
未還元スケール層のFe33の体積分率を所定のレベル
以上(30%以上)まで高め、且つ熱処理時における合
金化反応を過度に進行させないことにより、未還元スケ
ール層の平均厚さが2.0μm以上、さらには3.5μ
m以上の場合でも良好なめっき密着性が得られる。
【0026】次に、本発明の溶融めっき鋼板の製造法に
おける、他の好ましい製造条件を説明する。連続溶融め
っきラインに装入する原板(熱延鋼板)としては、スケ
ール層の平均厚さが2.0〜7.0μmの熱延鋼板を用
いることが好ましい。原板のスケール層の平均厚さが
7.0μmを超えると、連続溶融めっきライン内で還元
しなければならないスケール厚が過剰となるため、これ
を実現するためには長時間の還元処理が必要となる等、
設備や製造上のコストが大幅に増大するため好ましくな
い。一方、スケール層の平均厚さが2.0μm未満の熱
延鋼板を得るには、熱間圧延およびコイル巻取りを非酸
化雰囲気で行ったり或いは巻取り後の鋼板スケールを研
削する等の特別な処理が必要になり、これも設備や製造
上のコスト増大を招く。
【0027】本発明の溶融めっき鋼板は、原板である熱
延鋼板が還元処理された状態で表層にスケールの還元に
よるFe層が生成していることが必要である。この還元
Fe層の厚さ、すなわち還元されるスケールの平均厚さ
が0.5μmを下回ると不めっきが発生するおそれがあ
る。このため、還元されるスケールの平均厚さは0.5
μm以上とすることが好ましい。
【0028】上述したように通常の操業条件(還元温
度、還元時間、還元ガス濃度)による還元処理では熱延
鋼板のスケール層の全部を完全に還元することは難し
く、本発明の製造法も還元処理後に未還元スケール層が
不可避的に残存することを前提としている。したがっ
て、本発明の製造法では還元ガス濃度や還元時間及び温
度等の操業条件は特別なものとする必要はない。還元温
度は、還元時間との関係で処理効率を考慮して決められ
るが、一般にはめっき浴温度との関係から600℃以上
とすることが好ましい。また、還元性ガス雰囲気中の還
元性ガス濃度もあまり高くする必要はなく、H2の場合
で5〜30vol%程度の濃度で十分である。また、こ
のような還元性ガス雰囲気中における上記還元温度での
処理時間(還元時間)は50〜100秒程度とすること
が適当である。
【0029】また、めっき原板である熱延鋼板を得る際
に、表面スケール層の厚さが7.0μm以下の熱延鋼板
を得るには、下記(5)式を満足する仕上温度FT
(℃)及び巻取温度CT(℃)で熱間圧延を行うことが
好ましい。 3655≧3×FT+1.7×CT …(5) 一般に、仕上温度FTと巻取温度CTが上記(5)式を
満足しないと、鋼板表面に平均厚さ7.0μmを超える
スケール層が生成し易くなる。
【0030】
【実施例】表1に示す組成の鋼を転炉にて精錬した後、
連続鋳造によりスラブとし、再加熱後、仕上温度850
℃、巻取温度550℃で熱間圧延を行った。巻取った熱
延鋼板を常温まで冷却した後、酸洗処理することなく連
続溶融めっきライン(ライン速度:70m/分)に装入
し、ライン内の還元炉で表層スケールの還元処理(還元
性ガス雰囲気:10%H2−N2、処理条件:800℃×
50秒)を行った後、溶融亜鉛めっき(浴組成:亜鉛−
0.2%Al、浴温:460℃)、溶融亜鉛−5%Al
合金めっき(浴組成:亜鉛−5%Al、浴温:460
℃)または溶融亜鉛−55%Al合金めっき(浴組成:
亜鉛−55%Al−1.5%Si、浴温:600℃)を
施した。
【0031】得られた各溶融めっき鋼板について、素材
熱延鋼板の還元処理前のスケール層の平均厚さ、めっき
後における未還元スケールの平均厚さ、めっき密着性及
び未還元スケール層中のFe34体積分率を表2に示
す。なお、Fe34の体積分率はめっき鋼板の断面を検
鏡後、エッチングを施し、光学顕微鏡像から測定を行っ
た。また、めっき密着性の評価は、めっき鋼板に180
°の曲げを与え、曲げを与えた面に対してテープ剥離試
験を実施することにより行った。その評価基準は以下の
通りである。 評点1:めっきが全面剥離したもの 評点2:めっきの剥離が著しいもの 評点3:めっきの剥離が若干見られるもの 評点4:めっきの剥離はないが、クラックがみられるも
の 評点5:めっきの剥離、クラックともにみられないもの 表2によれば、いずれの溶融めっき鋼板もめっき密着性
評点は“3”であり、めっき密着性に劣っていることが
判る。
【0032】次に、各溶融めっき鋼板から試験片を切り
出し、これを電気炉で種々の条件で熱処理した後、上記
と同様の方法で未還元スケール層中のFe34の体積分
率の測定とめっき密着性の評価を行い、また、合金化層
の過剰成長の有無を調べた。その結果を、熱処理条件と
未還元スケール層中のFe34体積分率とともに表3〜
表5に示す。めっき密着性評価は、熱処理後に密着性評
点が“4”または“5”に改善されたものを“○”、改
善されなかったものを“×”とした。
【0033】表3〜表5によれば、本発明例はいずれも
未還元スケール層中のFe34の体積分率が30%以上
に高められ、且つ合金化層の過剰成長も生じておらず、
このためめっき密着性が効果的に改善されている。これ
に対し、本発明の製造条件を満足していないNo.1、
No.3、No.5、No.7、No.15、No.1
7、No.27、No.29、No.31、No.3
3、No.35の各比較例では、未還元スケール層中の
Fe34の体積分率が30%まで達しておらず、また、
No.8、No.10〜No.12、No.14、N
o.20、No.22、No.24、No.26、N
o.38、No.40の各比較例では、未還元スケール
層中のFe34の体積分率は30%以上であるものの、
熱処理が高温且つ長時間行われたため合金化層の過剰成
長が生じ、それぞれめっき密着性の改善が見られない。
また、No.9、No.13、No.19、No.2
1、No23、No.25、No.39の各比較例では
未還元スケール層中のFe34の体積分率が30%未満
であるだけでなく、合金化層の過剰成長も生じており、
このためめっき密着性の改善が見られない。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】
【表5】
【0039】
【発明の効果】以上述べたように本発明の溶融めっき鋼
板の製造方法によれば、通常の工程で得られる熱延鋼板
を素材として、酸洗処理工程を経ることなく且つ操業コ
ストや設備コストを増大させることなく、酸洗処理工程
を経て製造される従来のめっき鋼板に匹敵する優れため
っき密着性を有する溶融めっき鋼板を効率的に製造する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】未還元スケール層の組成がほぼFeO単層であ
る溶融めっき鋼板を熱処理してFeO→Fe34の変態
を生じさせた際における、Fe34の生成に及ぼす熱処
理温度および時間の影響を示すグラフ
【図2】溶融亜鉛系めっき鋼板のめっき密着性に及ぼす
熱処理温度及び熱処理時間の影響を示すグラフ
【図3】めっき層がAlを2.0〜8.0wt%含有す
る溶融Al−Zn系合金めっき鋼板のめっき密着性に及
ぼす熱処理温度及び熱処理時間の影響を示すグラフ
【図4】めっき層がAlを20〜95wt%含有する溶
融Al−Zn系合金めっき鋼板のめっき密着性に及ぼす
熱処理温度及び熱処理時間の影響を示すグラフ
フロントページの続き (72)発明者 大居 利彦 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続溶融めっきラインにて熱延鋼板に溶
    融亜鉛めっきを施すに当り、表面にスケール層を有する
    熱延鋼板を脱スケール処理することなく連続溶融めっき
    ラインに装入し、該熱延鋼板を還元性ガス雰囲気中で熱
    処理した後、未還元スケール層が残存した鋼板に溶融亜
    鉛めっきを施し、次いで、下記(1)式および(2)式
    を満足する条件で熱処理し、地鉄表面に体積分率で30
    %以上がFe34である未還元スケール層を有し、その
    上層に溶融亜鉛めっき層を有する溶融めっき鋼板を得る
    ことを特徴するめっき密着性に優れた溶融めっき鋼板の
    製造方法。 t≧0.0073(T−425)2+15 …(1) T<−0.4t+420 …(2) 但し t:熱処理時間(分) T:熱処理温度(℃)
  2. 【請求項2】 連続溶融めっきラインにて熱延鋼板にA
    lを2.0〜8.0wt%含有する溶融Al−Zn系合
    金めっきを施すに当り、表面にスケール層を有する熱延
    鋼板を脱スケール処理することなく連続溶融めっきライ
    ンに装入し、該熱延鋼板を還元性ガス雰囲気中で熱処理
    した後、未還元スケール層が残存した鋼板に溶融Al−
    Zn系合金めっきを施し、次いで、下記(1)式および
    (3)式を満足する条件で熱処理し、地鉄表面に体積分
    率で30%以上がFe34である未還元スケール層を有
    し、その上層にAlを2.0〜8.0wt%含有する溶
    融Al−Zn系合金めっき層を有する溶融めっき鋼板を
    得ることを特徴するめっき密着性に優れた溶融めっき鋼
    板の製造方法。 t≧0.0073(T−425)2+15 …(1) T<375 …(3) 但し t:熱処理時間(分) T:熱処理温度(℃)
  3. 【請求項3】 連続溶融めっきラインにて熱延鋼板にA
    lを20〜95wt%含有する溶融Al−Zn系合金め
    っきを施すに当り、表面にスケール層を有する熱延鋼板
    を脱スケール処理することなく連続溶融めっきラインに
    装入し、該熱延鋼板を還元性ガス雰囲気中で熱処理した
    後、未還元スケール層が残存した鋼板に溶融Al−Zn
    系合金めっきを施し、次いで、下記(1)式および
    (4)式を満足する条件で熱処理し、地鉄表面に体積分
    率で30%以上がFe34である未還元スケール層を有
    し、その上層にAlを20〜95wt%含有する溶融A
    l−Zn系合金めっき層を有する溶融めっき鋼板を得る
    ことを特徴するめっき密着性に優れた溶融めっき鋼板の
    製造方法。 t≧0.0073(T−425)2+15 …(1) T<−0.55t+558 …(4) 但し t:熱処理時間(分) T:熱処理温度(℃)
  4. 【請求項4】 還元性ガス雰囲気中で熱処理した後に残
    存する未還元スケール層の平均厚さが2.0μm以上で
    あることを特徴とする請求項1、2または3に記載のめ
    っき密着性に優れた溶融めっき鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 還元性ガス雰囲気中で還元されるスケー
    ルの平均厚さが0.5μm以上であることを特徴とする
    請求項1、2、3または4に記載のめっき密着性に優れ
    た溶融めっき鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】 スラブを下記(5)式を満足する条件で
    熱間圧延し、該熱延鋼板を脱スケール処理することなく
    連続溶融めっきラインに装入することを特徴とする請求
    項1、2、3、4または5に記載のめっき密着性に優れ
    た溶融めっき鋼板の製造方法。 3655≧3×FT+1.7×CT …(5) 但し FT:熱延仕上温度(℃) CT:熱延巻取温度(℃)
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006299349A (ja) * 2005-04-20 2006-11-02 Jfe Steel Kk 高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法および高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
WO2015180463A1 (zh) * 2014-05-30 2015-12-03 宝山钢铁股份有限公司 带氧化物层的热镀产品、其制造方法及其应用
WO2015180462A1 (zh) * 2014-05-30 2015-12-03 宝山钢铁股份有限公司 由钢水直接生产免酸洗热镀薄板带产品的方法

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