JP4690848B2 - 外観、加工性、溶接性に優れた高張力溶融Znめっき鋼材及びその製造方法 - Google Patents

外観、加工性、溶接性に優れた高張力溶融Znめっき鋼材及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、自動車、家電製品、建材などに適する外観の良好な溶融Znめっき高強度鋼材およびその製造方法に関する。
近年、自動車車体に於いて燃費向上を目的とした車体軽量化の観点から、高強度鋼材の需要が高まりつつある。亜鉛めっきが施された自動車用鋼材は溶融めっきで製造されるのが一般的であり、連続ラインに於いて、脱脂洗浄後、非酸化性雰囲気にて加熱し、H2及びN2を含む還元雰囲気にて焼鈍後、めっき浴温度近傍まで冷却し、溶融Zn浴に浸漬後、冷却、もしくは再加熱してFe−Zn合金相を生成させた後に冷却するゼンジマー法が多用されている。また、めっき前の焼鈍については、脱脂洗浄後、非酸化性雰囲気中での加熱を経ず直ちにH2及びN2を含む還元雰囲気にて焼鈍を行う、全還元炉方式も行われる場合がある。
鋼材の強化法としては安価なSi、Mn添加が多用されるが、鋼中のSiの含有率が質量%で0.3%を超えると、めっき濡れ性が大きく低下し、不めっきが発生するため外観品質が悪化するという問題があった。この原因としては、還元焼鈍時に鋼材表面にSi酸化物が濃化し、Si酸化物の溶融Znに対する濡れ性が悪いためであると言われている。Mnに関してもSiと同様に鋼材表面に濃化しめっき性を低下させ、その影響は0.5%を超えると特に顕著である。一方、加工性改善の目的で添加されるTiもMn,Siと同様に鋼材表面に濃化し、0.01%を超えると大幅にめっき性を低下させる。
また、還元焼鈍時の条件を工夫すれば表面濃化の程度を軽減出来、めっき濡れ性の確保は可能となるものの、表面に部分的に微量濃化したこれら元素の影響で合金化反応のばらつきを生じ、めっき外観不良を誘発する。さらにはこれら元素が表面に濃化することでFe,Znの拡散反応である合金化反応が遅延されるため、合金化させるための時間延長が必須で、通板速度を低下して対応する必要があるため生産性の大幅な低下を引き起こす。
これらの問題を解決する手段としては、特開平4−276057号公報(特許文献1)に開示されているように、あらかじめ空気比を0.9〜1.2の雰囲気中で加熱を行ってFe酸化物を生成させた後、H2を含む還元帯にて酸化物の厚みを500Å以下にした後、Mn、Alを添加した浴でめっきを行うという方法があるが、実ラインでは様々な添加元素を含む多様な品種の鋼板が通板されており、酸化物の厚みを制御することには相当の困難が伴う。
他の抑制手段として、特開平5−148604号公報(特許文献2)には、Fe−Cプレめっきを施す技術が、また特開平6−128758号公報(特許文献3)には、Ni,Fe,Cu,Coの一種類以上をめっきした後酸化雰囲気で加熱し酸化鉄を形成し、その後還元し溶融めっきを施す技術が開示されている。これらの技術では特定のプレめっきを付与することでめっき濡れ性の改善や合金化の促進を図っているが、焼鈍時の鋼板表面の酸化物状態を制御しめっき反応性を改善したり、健全なFe−Alバリア層を形成することで加工性に優れるめっき組織を形成する思想がないため外観が良好な亜鉛めっきは製造することが出来ても、めっき組織の制御が困難となり加工性に劣るめっきとなってしまうといった欠点があった。特許文献3で開示された技術は酸化工程を経た後、焼鈍還元しめっきする工程でのみ効果の発揮する技術であり、近年主流となりつつある全還元炉(All−RTF)には適用出来ない技術である。
特開平4−314848号公報(特許文献4)には、Siを質量%で、0.2〜1.2%含有した鋼板に対して、Fe,Co,Mn,Znの少なくとも1種類以上を0.1〜20%含有するNi合金プレめっきを施し、Si:0.001〜0.2%、Al:0.05〜0.2%を含有したZn浴でめっきする方法が開示されている。この方法は上記条件でめっきすることで加工性に優れた高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する技術で、Siを含有した特定のZn浴を用いてめっきすることで合金化を不均一化させめっき層の加工性の改善を図るものである。この方法ではSiを含有した特別な浴を用いるためドロスが発生し操業管理が困難である上に、合金化の均一性を保ちつつ合金化を促進するものでは無いため、外観品質が大きく劣っためっきになってしまう。
特許第2800285号公報(特許文献5)には、Ni:20〜70mg/m2のプレめっき、あるいは50〜200mg/m2に相当するNiをめっき層内に含有し付着量70〜1000mg/m2のNi−Feめっきを付与し合金均一化を図りクレーターを防止する技術が開示されている。上記プレめっきを施すことである程度の合金化均一化は図れるが、FeとNiの最適な比率が規定されていないためZn浴内での合金化が進行してしまい加工性に劣るめっきとなってしまうとう欠点がある。また、Si及びMnを含有した鋼に対する効果、および効果を最大限に発揮するための条件に関しては何も言及されていない。
一方、プレめっきを施す代わりに、特開平12−248347号公報(特許文献6)でNi系化合物及びFe系化合物の両者を鋼板表面に塗布し、焼鈍・めっきする方法が開示されている。この方法では塗布という方法で元素を付与しているため均一性に劣り、逆に塗布むらに起因しためっき反応むらが生じることが明らかになった。また、この方法はNi及びFeを付与することで鋼板表面のP、Si等の元素濃度を希釈することが目的であり、元素を付与することで焼鈍工程での表面酸化反応、溶融めっき工程で生じるFe−Alバリア層生成過程を制御するものでは無い。
また、CAMP−ISIJ Vol.15(2002)−1124(非特許文献1)に見られる様に、熱延時の酸化層形態を制御することで焼鈍時の表面濃化を抑制する技術も開示されているが、表面濃化を完全に抑制するには至らず、合金化反応のばらつきに起因した外観不良を解決することは出来ない。
特開平4−276057号公報 特開平5−148604号公報 特開平6−128758号公報 特開平4−314848号公報 特許第2800285号公報 特開平12−248347号公報 CAMP−ISIJ Vol.15(2002)−1124
本発明は、上記課題を解決し、不めっき、筋模様等の外観的な欠陥の発生を抑制し、また加工性・溶接性の良好な溶融Znめっき高強度鋼材を高い生産性で提供することを目的とする。
発明者らは、種々検討を行った結果、めっき前に作用の異なる2種類以上の特定元素を鋼材表面に存在させた状態で焼鈍・めっきを行うことで、焼鈍時のSi、Mn、Ti等の易酸化元素の表層濃化を抑制し、結果として高強度鋼材の溶融Znめっき濡れ性が向上し、合金化の不均一性に起因する模様も無くなることを見出した。また従来の方法のように合金化が遅延することも無く、生産性を落さず安定して溶融Znめっき高強度鋼材を製造できることを見出し本発明に至ったもので、その要旨とするところは以下の通りである。
(1)質量%で、Si:0.01〜4%、Mn:0.01〜3%、Ti:0.001〜0.5%を含有する、高強度鋼材において、Ni,Co,Cu,Inの中から選ばれる元素のうち少なくとも1種類の元素と、Fe,Cr,Mo,Nb中から選ばれる元素のうち少なくとも1種類の元素を合計で0.10g/m2以上で、8種類の元素中に占めるNi,Co,Cu,Inの合計比率が0.15以上0.70以下になるように電解処理にて付与した後、還元雰囲気で焼鈍し、Alを0.10〜0.20%含有したZn浴を用いてめっきすることを特徴とする、外観、加工性、溶接性の良好な溶融Znめっき高強度鋼材の製造方法。
(2)質量%で、Si:0.01〜4.0%、Mn:0.01〜3.0%、Ti:0.001〜0.5%を含有する、高強度鋼材において、Ni,Co,Cu,Inの中から選ばれる元素のうち少なくとも1種類の元素を0.21g/m2以上と、Fe,Cr,Mo,Nb中から選ばれる元素のうち少なくとも1種類の元素を8種類の元素中に占めるNi,Co,Cu,Inの合計比率が0.15以上0.70以下になるように電解処理にて付与した後、還元雰囲気で焼鈍し、Alを0.10〜0.20%含有したZn浴を用いてめっきすることを特徴とする、外観、加工性、溶接性の良好な溶融Znめっき高強度鋼材の製造方法。
(3)前記(1)または(2)に記載の外観、加工性、溶接性の良好な溶融Znめっき高強度鋼材の製造方法によって得られた鋼板にある。
以上述べたように、本発明により合金化溶融亜鉛めっき鋼材に要求される、めっき性、外観、結晶形態、加工性、溶接性の全ての性能を満足する鋼材を高生産性で得ることが出来る極めて優れた効果を奏するものである。
次に、本発明において上述のように限定する理由について詳述する。なお、本明細書において鋼組成およびめっき組成を規定する「%」は「質量%」である。
Si:0.01〜4.0%
対象とする鋼におけるSi量の範囲を0.01〜4.0%の範囲内としたのは、材質上強度を確保するためである。鋼中Si量が0.01%以上で強化効果が現れること、4.0%を上限としたのは、材質上これ以上Siを添加しても強度の向上はなく、逆に加工性に悪影響を及ぼすためである。
Mn:0.01〜3.0%
Mn量を0.01〜3.0質量%の範囲としたのは、0.01%以上で強化効果が現れること、3.0%を上限としたのは、これ以上添加すると伸びに悪影響を及ぼすためである。
Ti:0.001〜0.5%
Ti量を0.001〜0.5%としたのは、0.001%以上で加工性改善効果が発揮されるがその効果は0.5%で飽和し、それ以上の濃度で添加してもコスト的な負荷が増加するためである。
予め鋼材表面に付与する元素、及び付与した結果としてFe−Znめっき層中に含有される元素に関しては以下のとおりである。
Ni,Co,Cu,Inに関しては、これら元素を付与して焼鈍することでSi,Mn,Ti等の易酸化元素が表面に濃化することを抑制し、結果として高強度鋼材の溶融Znめっき濡れ性が向上し、合金化の不均一性に起因する模様も無くなり、さらには合金化を促進する効果を有する。
また、Fe,Cr,Mo,Nbはめっき浴内Alと反応し一般的にバリア相と呼ばれているFe−Alを主体とする金属間化合物を形成することで、めっき浴内でのFe−Zn合金化反応を抑制する効果がある。上述のようにNi,Co,Cu,Inは焼鈍時のSi、Mn、Ti等の易酸化元素の表層濃化を抑制するが、これら元素を単独で付与するとFe−Alバリア相の生成が抑制されてしまう。理由は明確には明らかになっていないが、浴内のAlと地鉄との反応性を低下させてしまうためと推察される。Fe−Alバリア相の生成が不十分であるとめっき浴内でのFe−Zn合金化反応が進行してしまう。
めっき浴は一般的には500℃以下に保持されており、その条件で合金化反応が進行すると、10μm以上の粗大な柱状晶を呈するζ層(FeZn13)が生成する。浴内でζ層が生成すると、その後500℃以上に加熱し合金化処理を行い目的とするδ1 層(FeZn7 )にしても、最初に浴内で形成されたζ層の形態を保持してしまい、10μm以上の粗大なめっき結晶となり、加工性を著しく低下させる。一方でFe,Cr,Mo,Nbを同時に付与すると浴内での合金化反応を抑制出来て、鋼板を浴から引き出した後の加熱により合金化反応が進行するため微細なδ1 層が直接生成し、良好な加工性のめっき層となる。
上述した付与元素の効果を最大限に発揮するためには、Ni,Co,Cu,Inより選択される元素とFe,Cr,Mo,Nbより選択される元素を同時に、特定の比率を保った状態で一定量以上付与することが必要である。先ず8種類の元素中に占めるNi,Co,Cu,Inの合計比率に関してであるが0.15以上必要である。0.15以下であるとSi,Mn,Ti等の易酸化元素の表面濃化を抑制する効果が発揮されず、濡れ性改善、外観向上、合金化促進効果も発揮されない。また、その比率が0.7以上となるとFe,Cr,Mo,Nbの効果が不十分となりFe−Alバリア相の生成が抑制されめっき浴内でのFe−Zn合金化反応が進行してしまう。
また、元素の付着量に関しては合計量が0.1g/m2でその効果が発揮される。また、上限は特に規定するものではないがコスト的観点からは3g/m2以下に抑えるのが望ましい。特に8種類の元素中に占めるNi,Co,Cu,Inの合計量が0.21g/m2以上で8種類の元素中に占めるNi,Co,Cu,Inの合計比率が0.15以上0.7以下の範囲であればその効果が顕著で、めっき性は極めて良好で、外観も全く不均一性の無い良好な状態となる。
また、Ni,Co,Cu,Inより選択される元素に関しては、これら4種類の元素は単独で付与しても、混合して付与しても全体として付与する量が同一であればその効果に差は無い。同様にFe,Cr,Mo,Nbより選択される元素に関しては、これら4種類の元素は単独で付与しても、混合して付与しても全体として付与する量が同一であればその効果に差は無い。また付与する形態は単体でも、化合物の形でもその効果には差が無い。付与方法は電解処理方法が均一性に最も優れ、本効果が最も効率良く発揮される。電解処理に用いる液は、目的とする元素を硫酸塩、塩化物塩、硝酸塩、蟻酸塩、酢酸塩のいずれの形で供給しても良く、その効果に差は無い。
本発明のポイントは上記2種類の作用を発揮する元素を同時に、かつ最適な比率を保った状態で付与することが外観、加工性、溶接性の3項目を同時に満足する鋼材を製造する上で必要不可欠であることを見出したことである。従来は外観改善、合金化促進等の観点から1種類の金属を付与する、あるいは付与した金属の作用を明確化せずに複数の元素を付与する技術は開示されていたが、外観、加工性、溶接性の3項目を満足する溶融Znめっき高強度鋼材の製造は不可能であった。
また、めっき相に含有される付与元素であるが、上述の条件で元素を予め付与するとその元素はめっき相にそのまま取り込まれる。Feに関しては合金化反応時にめっき相と地鉄との相互拡散によりめっき相中Fe含有量が10%程度に達するため、予め付与した量との対応は取れず規定することは困難である。
次に、めっき浴中Al濃度に関してであるが0.1%以下ではZnの酸化抑制が不十分でZnOを主体とするトップドロスの生成を抑制出来ない上に、浴内合金化を抑制するために必要なAlバリア相が生成しない。また、0.2%を超えると合金化反応を極端に抑制し生産性を大幅に低下させてしまう。層中Al濃度に関してであるが0.2%以下ではめっき浴内で生成するAl含有バリア層の効果が不十分で浴内Fe−Zn合金化反応が進行し、加工性に劣るζ層が生成してしまう。また、Al含有率が0.5%を超えると溶接性に悪影響を及ぼす。
結晶粒径は下限は特に限定するものでは無く、上限が10μmを超えると表面摺動性が劣化し、加工性に劣るめっきとなってしまう。
めっき付着量については、特に制約は設けないが、耐食性の観点から片面付着量で5g/m2以上であることが望ましい。本発明の溶融Znめっき鋼材上に塗装性、溶接性を改善する目的で上層めっきを施すことや、各種の処理、例えば、クロメート処理、りん酸塩処理、潤滑性向上処理、溶接性向上処理等を施しても本発明を逸脱するものではない。
本発明が対象とする鋼材としては、この他に合金元素として、Ni、Nb、V、Zr、Ta、Cr、Al、Hf、Cu、Mo、W、B、S、O、希土類元素の1種または2種以上を該鋼材の要求性能に応じて、もしくは、不可避不純物としてさらに含有しても構わない。また、鋼材は、線、管、板等、その形状を問わない。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
発明者らは、表1に示す様に質量%にて、C:0.0001〜0.3%、Si:0.01〜4%、Mn:0.01〜2%、Ti:0.001〜0.5%、P:0.1%以下を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなる種々の鋼材を準備した。これら鋼材に対しA群(Ni,Co,Cu,In)及びB群(Cr,Mo,Nb,Fe)及びその他(Bi,Sn,C)より目的とする元素を含む浴を用いて電解処理を行い種々元素を付与した。その後10%H2−N2雰囲気中800℃にて90秒間焼鈍を行い、浴温450〜470℃、Al含有率0.10〜0.25%のZnめっき浴に3秒間浸漬した後めっき付着量を片面当り45〜50g/m2になるようにガスワイピングで制御し520℃で合金化処理を行い、めっき鋼材を製造した。合金化時間を変化させ表層まで合金化する時間(合金化完了時間)を測定した。
Figure 0004690848
その後、以下の方法にて各種特性を調査した。
(めっき成分)
作成しためっき鋼材の一部を切り出しをインヒビター入り5%塩酸でめっき層のみを溶解した後、溶液を化学分析しめっき層成分を分析した。
(めっき性)
作成しためっき鋼材表面の不めっき部面積を測定することでめっき性を評価した。評点は以下の通りである。
◎:極めて良好、○:不めっき無し、△:不めっき微小、×:不めっき有り
(外観)
外観を目視で確認し、筋状の模様があるか否かで合金化反応の均一性を評価した。評点は以下の通りである。
◎:極度に均一外観、○:均一外観、△:多少の不均一存在、×:相当量の不均一存在
(結晶形態)
電子顕微鏡にてめっき結晶形態を5000倍にて観察し、結晶の最大粒径を測定した。最大粒経が10μを超えると加工性を阻害するため以下の評点を付けた。
○:最大粒径が10μ以下、×:最大粒径が10μより大きい
(加工性)
ビード幅40mmで肩R1 のコの字型雌ビードと、同じくビード幅40mmで先端0.5Rの雄ビードの間に幅30mmの試験片をはさみ、押し付け圧は500kgf、引き抜き速度500mm/minで引き抜き試験を行った。雄型ビードでしごかれた面のめっき皮膜の剥離量を測定し、めっき付着量に対する剥離量比率を求め以下の評点を付けた。
○:剥離率15%以下、×:剥離率15%超
(溶接性)
板厚0.6mmの試験片と先端半径DR6φ、40Rのアルミナ分散銅電極を用い加圧力1500N、15cycにて通電し適正電流範囲を求めた。ナゲット径が4√t(tは板厚でこの場合は0.6mm)となる電流を下限電流、チリ発生する電流を上限電流とした。その後上限電流の0.95倍の電流値で連続溶接を実施し電極寿命を求めた。連続溶接速度3回/sとし、25点毎にピール法で溶接部を剥離してボタン径を測定し,ボタン径が4√t(t:板厚mm)を切った時点でNGとし以下の評点を付けた。
○:連続打点数2000点以上、△:連続打点数1000点以上2000点未満、×:連続打点数1000点未満
Figure 0004690848
表2より本発明の鋼材(表中No.1〜15)は、めっき性、外観、結晶形態、加工性、溶接性の全ての項目において良好である。特に、例No.9、11、12、13で示すように、A群元素の付与量が0.21g/m2以上でA群付与量の比率が0.15から0.70の範囲にある場合は極めて良好な外観を呈することが分かった。
それに比較して、本発明の範囲を逸脱する場合(表中No.16〜28)は、全ての特性を満足することは出来ない。No.16の様に事前処理を全く施さない場合には不めっきが発生し、筋状の模様が発生した。また合金化反応が遅くなるため、合金化完了までの時間が極端に長くなる。
No.17では充分な量の元素を付与していないため、若干の効果は認められるものの充分な特性を発揮するには至っていない。No.18はNiのみしか与えていないため、めっき性、外観は改善されているが、めっき浴内での合金化が進行するため粗大なFe−Zn合金層が生成し、加工性に劣る皮膜となっている。No.19、No.20は付与する元素比率が適正でない場合で、No.19のように比率が上限を外れる場合はNo.18と同様にめっき浴内での合金化が進行するため粗大なFe−Zn合金層が生成し、加工性に劣る皮膜になった。また、No.20のように比率が下限を外れる場合は不めっきが発生し、筋状の模様が発生した。
No.21は、No.18で生じた浴内合金化を抑制するために浴中Al添加量を0.21%まで上昇した例であるが、No.18と同様に良好な外観を呈し、Al濃度を上昇した結果、浴内合金化反応が抑制されめっき結晶形態、加工性は改善されている。しかし、添加したAlの影響で溶接性に劣る皮膜となっている。No.22は、浴内Alが下限以下となった場合であるが、めっき浴表面にZnOを主体とするドロスが生成し外観に劣るめっきとなった。また、Alが必要量ないため、バリア層が十分生成せず浴内での合金化が進行し加工性に劣るめっきとなっている。
No.23では、鋼材中Si,Mnが低い材料を用いているので事前処理無でも短時間で合金化反応が完了し、めっき性・めっき結晶形態、加工性、溶接性は良好であるが、Tiの影響で外観に劣るめっきとなっている。No.24は、特許文献2を参考にしてFe−Cめっきを付与したものである。合金化は促進するがNi,Co,Cu,Inから選択される元素が付与されていないため焼鈍時のSi等の表面酸化が抑制できないため十分なめっき性が得られなかった。また、合金化反応も不均一で良好な外観のめっきは得られなかった。
No.25、26は、特許文献4を参考にFe−Niめっきを付与したものであるが、Siを含有した特殊なめっき浴を用いるため合金化が不均一で外観に劣るめっきとなった。また、めっき結晶も10μm以上の粗大な結晶であった。No.27は、特許文献6を参考にして硫酸ニッケル水溶液と硫酸第一鉄水溶液を混合しバーコーターにて塗布後、熱風炉で乾燥させた。水溶液の濃度を調整しNi分及びFe分としての付着量がそれぞれ0.05g/m2になるようにした。不めっき抑制、合金化促進の効果は確認されたが、塗布斑に起因した筋模様が発生し、良好な外観を得ることは出来なかった。No.28は、本発明で規定されていない元素を付与した場合で全く効果が確認出来なかった。


特許出願人 新日本製鐵株式会社
代理人 弁理士 椎 名 彊 他1

Claims (3)

  1. 質量%で、
    Si:0.01〜4%、
    Mn:0.01〜3%、
    Ti:0.001〜0.5%
    を含有する、高強度鋼材において、Ni,Co,Cu,Inの中から選ばれる元素のうち少なくとも1種類の元素と、Fe,Cr,Mo,Nb中から選ばれる元素のうち少なくとも1種類の元素を合計で0.10g/m2以上で、8種類の元素中に占めるNi,Co,Cu,Inの合計比率が0.15以上0.70以下になるように電解処理にて付与した後、還元雰囲気で焼鈍し、Alを0.10〜0.20%含有したZn浴を用いてめっきすることを特徴とする、外観、加工性、溶接性の良好な溶融Znめっき高強度鋼材の製造方法。
  2. 質量%で、
    Si:0.01〜4%、
    Mn:0.01〜3%、
    Ti:0.001〜0.5%
    を含有する、高強度鋼材において、Ni,Co,Cu,Inの中から選ばれる元素のうち少なくとも1種類の元素を0.21g/m2以上と、Fe,Cr,Mo,Nb中から選ばれる元素のうち少なくとも1種類の元素を8種類の元素中に占めるNi,Co,Cu,Inの合計比率が0.15以上0.70以下になるように電解処理にて付与した後、還元雰囲気で焼鈍し、Alを0.10〜0.20%含有したZn浴を用いてめっきすることを特徴とする、外観、加工性、溶接性の良好な溶融Znめっき高強度鋼材の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の外観、加工性、溶接性の良好な溶融Znめっき高強度鋼材の製造方法によって得られた鋼板。
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