JPH0827469A - 原油の水素化精製法 - Google Patents

原油の水素化精製法

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JPH0827469A
JPH0827469A JP16811894A JP16811894A JPH0827469A JP H0827469 A JPH0827469 A JP H0827469A JP 16811894 A JP16811894 A JP 16811894A JP 16811894 A JP16811894 A JP 16811894A JP H0827469 A JPH0827469 A JP H0827469A
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oil
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hydrogen
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Satoshi Matsuda
聡 松田
Ryuichiro Iwamoto
隆一郎 岩本
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 品質が良好で安定した灯油・軽油を増産しう
るとともに精油設備の簡素化をはかることのできる原油
の水素化処理方法を提供すること。 【構成】 原油又はナフサ留分を除いた原油を、水素の
存在下、触媒と接触させて水素化脱硫し、次いで常圧蒸
留を行い、ナフサ留分、灯油留分、軽油留分及び重油留
分に分離し、上記得られた灯油留分及び軽油留分の少な
くとも一種の留分を水素化触媒と接触させて水素化処理
を行い、炭化水素油を得ることを特徴とする原油又はナ
フサ留分を除いた原油の水素化精製法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、原油の水素化精製法に
関する。さらに詳しくは、原油又はナフサ留分を除いた
原油の一括水素化脱硫工程において、高品質の灯油・軽
油を増産しうるとともに、精油設備の簡素化を図ること
のできる原油の水素化精製法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、原油の精製処理方法としては、一
般に、原油を常圧蒸留して各留分を分離したのち、分離
した各留分をそれぞれ脱硫する方法がとられている。し
かしながら、この方法は、精油設備の基数が多く、かつ
工程が煩雑である上、製品の冷却、加熱を繰り返すため
にエネルギー効率が悪いなどの問題があり、必ずしも満
足しうるものではなく、新しい形式の原油処理方法が求
められている。このような観点から、近年ナフサ留分を
除いた原油の一括処理が試みられている。例えば、
(1)原油中のナフサ留分を蒸留分離したのち、ナフサ
留分を除いた残油を一括水素化脱硫処理し、次いで蒸留
して各製品に分離する方法(特開平3−294390号
公報)、(2)原油中のナフサ留分を蒸留分離したの
ち、ナフサ留分を除いた残油を一括水素化脱硫処理し、
次いで、高圧分離槽で軽質留分と重質留分とに分離し、
得られた軽質留分を水素化精製する方法(特開平4−2
24890号公報)、などが提案されている。しかしな
がら、上記(1)の方法においては、通常の脱硫触媒を
用いているため、品質が安定した灯油・軽油留分が得ら
れない上、白油増産効果も満足できるものではない。即
ち、この方法においては、各留分の製品性状、例えば灯
油・軽油の窒素含有量及び色相、あるいは灯油の煙点、
残油中の窒素あるいは金属またはアスファルテンの含有
量は、従来の精製方法により製造される製品の性状に比
較して劣っていた。また、上記(2)の方法において
は、灯軽油の性状は高められるものの、使用する目的に
よっては煙点が完全に満足いくものではなく、需要構成
によっては使用できる原油に制限がある。このように、
従来のナフサ留分を除いた原油の一活処理方法では、品
質の安定した灯油・軽油留分を得ることが困難であった
り、また設備費や運転費が高くつく等の点から、未だ実
用化に至っていないのが実状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる事情
下で、原油又はナフサ留分を除いた原油を一括水素化脱
硫し、次いで常圧蒸留する工程において、得られた灯油
留分及び軽油留分の水素化処理を別々に行い、品質が良
好でかつ安定した灯油・軽油を増産しうるとともに、精
油設備の簡素化を図ることのできる、経済的に有利な原
油の水素化精製法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、原油又はナフ
サ留分を除いた原油を触媒の存在下で水素化脱硫し、次
いで常圧蒸留して各製品に分離する水素化精製法におい
て、上記常圧蒸留の後段に水素化改質処理を組み合わせ
ることにより、飽和性の高い中間留分を生成させ、中間
留分の得率とともに品質も高めることが可能となること
を見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成した
ものである。
【0005】すなわち、本発明は、(1)原油又はナフ
サ留分を除いた原油を、水素の存在下、触媒と接触させ
て水素化脱硫し、次いで常圧蒸留を行い、ナフサ留分、
灯油留分、軽油留分及び重油留分に分離し、上記得られ
た灯油留分及び軽油留分の少なくとも一種の留分を水素
化触媒と接触させて水素化処理を行い、炭化水素油を得
ることを特徴とする原油又はナフサ留分を除いた原油の
水素化精製法、(2)水素化脱硫を、30〜200kg
/cm2 の圧力下、300〜450℃の温度で、LHS
Vが0.1〜3.0h-1、水素/油比が300〜2000N
3 /キロリットルの条件で触媒と接触させて行うこと
を特徴とする上記(1)記載の水素化精製法、(3)水
素化脱硫に用いられる触媒が、アルミナあるいはアルミ
ナにホウ素,珪素及びリンから選ばれる少なくとも一種
の化合物を加えたものを担体として、周期律表第6,
8,9又は10族に属する金属の中から選ばれる少なく
とも一種を担持した触媒であることを特徴とする上記
(1)記載の水素化精製法、(4)灯油留分及び軽油留
分の少なくとも一種の留分の水素化処理を、30〜20
0kg/cm2 の圧力下、300〜450℃の温度で、
LHSVが1.0〜10.0h-1、水素/油比が300〜5
000Nm3 /キロリットルの条件で行うことを特徴と
する上記(1)記載の水素化精製法、及び(5)水素化
精製処理に用いる水素化触媒が、アルミナあるいはアル
ミナにホウ素,珪素及びリンから選ばれる少なくとも一
種の化合物を加えたものを担体として、周期律表第6,
8,9又は10族に属する金属の中から選ばれる少なく
とも一種を担持したものであることを特徴とする上記
(1)記載の水素化精製法、を提供するものである。
【0006】以下に、本発明を更に詳細に説明する。各
石油製品を分離する方法としては、通常原油をまず予備
蒸留塔に供給してナフサ留分を除去したのち、その残油
を水素化脱硫し、次いで、常圧蒸留塔に導き、ナフサ留
分、灯油留分、軽油留分及び残油に分離する方法、また
は原油を直接水素化脱硫した後、常圧蒸留塔に導き、ナ
フサ留分、灯油留分、軽油留分及び残油に分離する方法
がある。即ち、本発明においては、予備蒸留塔でナフサ
留分を除いた原油を一括水素化処理してもよく、また、
ナフサ留分の硫黄含有量を1ppm未満程度にする必要
がない場合、例えばナフサ留分をエチレン製造装置の原
料として使用する場合には、予備蒸留塔にてナフサ留分
を除くことなく、原油を直接一括して水素化処理しても
よい。
【0007】予備蒸留塔に供給する原油や水素化処理工
程に供給する原油としては、通常入手可能な原油又はナ
フサ留分を除去した原油を用いることができ、このよう
な原油としては予備蒸留塔内の汚れや閉塞の防止、水素
化処理触媒の劣化防止などのために、予め脱塩処理を行
うことが好ましい。脱塩処理方法としては、当業者にて
一般的に行われている方法を用いることができ、例え
ば、化学的脱塩法,ペトレコ電気脱塩法、ハウ・ベーカ
ー電気脱塩法などが挙げられる。
【0008】前記のように予備蒸留塔で原油を処理する
場合、原油中のナフサ留分及びそれよりも軽質の留分の
除去が行われるが、この場合蒸留条件としては、通常、
温度は145〜200℃の範囲であり、また圧力は常圧
〜10kg/cm2 の範囲、好ましくは1.5kg/cm
2 前後である。この予備蒸留塔にて塔頂より除去するナ
フサ留分は、沸点が10℃以上で、上限が125〜17
4℃の範囲にあるものが好ましいが、後段にて水素化脱
硫して精留するため、精度よく蒸留する必要はない。な
お、沸点10〜125℃のナフサ留分としては、通常炭
素数が5〜8のものがあり、沸点10〜174℃のナフ
サ留分としては、通常炭素数5〜10のものがある。ナ
フサ留分を沸点125℃未満でカットした場合、次の工
程の水素化処理の際に水素分圧が低下して、水素化処理
の効率が低下するおそれがあり、また沸点174℃を超
えてカットすると、後段の水素化処理及び蒸留で得られ
る灯油留分の煙点が低下する傾向がみられる。
【0009】本発明において用いられる、原油あるいは
上記予備蒸留方法によりナフサ分を除去した原油として
は、バナジウム、ニッケル及び鉄の少なくとも一種から
なる金属成分を135重量ppm以下、アスファルテン
分を12重量%以下含有するものが用いられる。上記金
属成分が135重量ppmを越えるものは、金属成分の
蓄積により著しく触媒寿命を短くするため好ましくな
く、また、アスファルテン分が12重量%を越えるもの
は、炭素析出により著しく触媒寿命を短くするためやは
り好ましくない。
【0010】本発明の水素化精製法は、上記原油を、水
素の存在下、触媒と接触させて水素化脱硫し、次いで常
圧蒸留を行い、ナフサ留分、灯油留分、軽油留分及び重
油留分に分離し、上記得られた灯油留分及び軽油留分の
少なくとも一種の留分を水素化触媒と接触させて水素化
処理を行い、炭化水素油を得る工程を含むものである。
【0011】上記水素化脱硫工程で用いられる水素化脱
硫装置では、原油あるいはナフサ留分を除いた原油を水
素化精製する場合の反応条件としては以下の条件が用い
られる。まず、反応温度は300〜450℃の範囲が好
ましい。上記反応温度が300℃未満である時は反応の
進行が著しく遅く、また450℃を越える場合は触媒上
に固体炭素(コーク)が生成し、触媒寿命を著しく低下
させる。上記と同様の理由から、反応温度は360〜4
20℃の範囲が更に好ましい。また、反応圧力、即ち水
素分圧は30〜200kg/cm2 の範囲が好ましい。
上記圧力が30kg/cm2 未満である時は、固体炭素
を析出し、触媒寿命が著しく低下し、また200kg/
cm2 を越える圧力は装置設計上不経済である。上記と
同様の理由から、水素分圧は100〜180kg/cm
2 の範囲であることが更に好ましい。更に、水素/油比
は300〜2000Nm3 /キロリットルの範囲である
ことが好ましい。上記比率が300Nm3 /キロリット
ル未満の場合は、水素化精製が十分に進行せず、200
0Nm3 /キロリットルを越える場合は、装置設計上不
経済である。上記と同様の理由から、上記比率は500
〜1000Nm3 /キロリットルの範囲であることが更
に好ましい。液時空間速度(LHSV)は0.1〜3.0h
-1の範囲が好ましい。LHSVが0.1h-1未満の場合
は、経済的に十分な処理速度が得られず、また3.0h-1
を越える場合は、反応時間が不十分で原料油の水素化精
製が完了しないという欠点がある。上記と同様の理由か
ら、LHSVは0.15〜0.5h-1の範囲であることが更
に好ましい。原油を直接水素化脱硫処理する場合は、そ
の反応条件はナフサ留分を除いた原油を水素化脱硫処理
等する場合の反応条件と基本的に同様であるが、水素分
圧が低下するため、水素分圧及び水素/油比を、上記範
囲内で大きくすることが好ましい。
【0012】上記水素化脱硫工程で用いられる触媒は、
アルミナあるいはアルミナにホウ素,珪素及びリンから
選ばれる少なくとも一種の化合物を添加してなるものを
担体として、周期律表第6,8,9又は10族に属する
金属の中から選ばれる少なくとも一種を担持した触媒が
好ましく用いられるが、周期律表第6族に属する金属と
しては、タングステン、モリブデンが好ましく、また周
期律表第8〜10族に属する金属としては、ニッケル、
コバルトが好ましい。なお、第6族の金属及び第8〜1
0族の金属はそれぞれ一種用いてもよく、また複数種の
金属を組み合わせて用いてもよいが、特に水素化活性が
高く、かつ劣化が少ない点から、Ni−Mo,Co−M
o,Ni−W,Ni−Co−Mo等の組合せが好適であ
る。
【0013】また、前記金属の担持量については、特に
制限はなく、各種条件に応じて適宜選定すればよいが、
通常は触媒全重量に基づき、金属酸化物として1〜35
重量%の範囲である。この担持量が1重量%未満では、
水素化処理触媒としての効果が充分に発揮されず、また
35重量%を超えると、その担持量の割には水素化活性
の向上が顕著でなく、かつ経済的に不利である。特に、
水素化活性及び経済性の点から5〜30重量%の範囲が
好ましい。
【0014】上記触媒としては、アルミナにホウ素,珪
素及びリンから選ばれる少なくとも一種の化合物を添加
してなるものを担体として用いた場合、担体の全重量に
基づき、ホウ素化合物,珪素化合物又はリン化合物をそ
れぞれ0.5〜20重量%の割合で含有するものが好適で
ある。上記含有量が上記下限値未満では、水素化活性を
向上させる効果が小さく、またその上限値を超えると、
その量の割には水素化活性の向上効果があまりみられ
ず、経済的でない上、脱硫活性が低下する場合があり、
好ましくない。特に水素化活性の向上効果の点からそれ
ぞれ1〜18重量%の範囲が好ましい。
【0015】上記担体は、例えば水分含有量が65重量
%以上のアルミナ又はアルミナ前駆体に、ホウ素化合
物,珪素化合物またはリン化合物を所定の割合で加え、
60〜100℃程度の温度で好ましくは1時間以上、さ
らに好ましくは1.5時間以上加熱混練したのち、公知の
方法により成形,乾燥及び燒成を行うことによって、製
造することができる。加熱混練が1時間未満では、混練
が不充分となってホウ素原子等の分散状態が不充分とな
るおそれがあり、また混練温度が上記範囲を逸脱する
と、ホウ素等が高分散しない場合があり、好ましくな
い。なお、上記ホウ素,珪素,リン又はその各化合物の
添加は、必要に応じ、水に加熱溶解させて溶液状態で行
ってもよい。
【0016】ここで、アルミナ前駆体としては、焼成に
よりアルミナを生成するものであれば、特に制限はな
く、例えば、水酸化アルミニウム,擬ベーマイト,ベー
マイト,バイヤライト,ジブサイトなどのアルミナ水和
物などを挙げることができる。上記のアルミナ又はアル
ミナ前駆体は水分含有量65重量%以上として使用する
のが望ましく、水分含有量が65重量%未満である場
合、添加した前記リン等の各化合物の分散が充分でない
おそれがある。
【0017】また、ホウ素化合物としては、酸化ホウ素
の他に、焼成により酸化ホウ素に転化しうる各種のホウ
素化合物を使用することができ、例えば、ホウ酸,ホウ
酸アンモニウム,ホウ酸ナトリウム,過ホウ酸ナトリウ
ム,オルトホウ酸,四ホウ酸,五硫化ホウ素,三塩化ホ
ウ素,過ホウ酸アンモニウム,ホウ酸カルシウム,ジボ
ラン,ホウ酸マグネシウム,ホウ酸メチル,ホウ酸ブチ
ル,ホウ酸トリシクロヘキシルなどが挙げられる。ま
た、上記担体のうちアルミナにリン化合物を添加してな
る担体に用いられるリン化合物としては、リン単体を含
むことができる。リン単体としては、具体的には黄リ
ン、赤リン等が挙げられる。
【0018】リン化合物としては、例えばオルトリン
酸,次リン酸,亜リン酸,次亜リン酸等の低酸化数の無
機リン酸またはこれらのアルカリ金属塩あるいはアンモ
ニウム塩、ピロリン酸,トリポリリン酸,テトラポリリ
ン酸等のポリリン酸またはこれらのアルカリ金属塩ある
いはアンモニウム塩、トリメタリン酸,テトラメタリン
酸,ヘキサメタリン酸等のメタリン酸またはこれらのア
ルカリ金属塩あるいはアンモニウム塩、カルコゲン化リ
ン、有機リン酸、有機リン酸塩、等が挙げられる。これ
らの中で、特に低酸化数の無機リン酸、縮合リン酸のア
ルカリ金属塩あるいはアンモニウム塩が活性、耐水耐熱
性、耐久性などの点から好ましい。
【0019】珪素化合物としては、酸化ケイ素の他に焼
成により酸化ケイ素に転化し得る各種のケイ素化合物を
使用することができ、例えばケイ酸,メタケイ酸,ヘキ
サフルオロケイ酸又はこれらのアルカリ金属塩、フッ化
ケイ素,塩化ケイ素,硫化ケイ素,酢酸ケイ素,シロキ
サン,シロキセン及びそれらのハロゲン置換体,アルキ
ル置換体,アリル置換体などが挙げられる。これらの中
ではケイ酸のアルカリ金属塩が活性,耐水耐熱性,耐久
性などの点から好ましい。
【0020】上記の触媒の平均細孔径は、50〜200
Åの範囲の値であることが好ましく、平均細孔径が50
Å未満の場合は触媒劣化が著しく加速され、200Åを
越える場合は触媒強度が低下する恐れがある。また、本
発明においては、上記触媒を用いた反応形式については
特に制限はなく、固定床方式、流動床方式、移動床方式
などのいずれの方式も採用することができる。更に、原
料油のメタル含有レベルに応じて、公知の脱メタル触媒
を全触媒充填量に対し10〜80容量%程度本触媒層の
前段に充填して組み合わせ用いることが、メタルによる
触媒劣化を抑制し、製品のメタル含有量を低減すること
ができる点で好ましい。このような脱メタル触媒として
は、例えば無機酸化物、酸性担体、天然鉱物等に周期律
表第6,8,9及び10族から選ばれる少なくとも一種
の金属を3〜30重量%程度担持した平均細孔100Å
以上の触媒が用いられ、具体的には、アルミナにNi−
Moを全触媒量に対し酸化物として10重量%程度担持
した平均細孔径120Å程度の触媒が挙げられる。
【0021】本発明においては、原油又はナフサ留分を
除いた原油を上記のように一括水素化脱硫処理したの
ち、得られた処理油は、常圧蒸留にて各種製品、即ちナ
フサ留分,灯油留分,軽油留分,重油留分,常圧残油な
どに分離される。この際、常圧蒸留塔の操作条件として
は、石油精製設備において広く行われている原油常圧蒸
留方法と同様であり、通常温度は300〜380℃程
度、圧力は常圧〜1.0kg/cm2 G程度である。この
工程を、水素化脱硫工程に引き続き行うことにより、熱
回収を図り運転費を大きく低減することができる。ま
た、既設の原油常圧蒸留塔を有効に利用するため、他の
場所にある製油所へ水素化脱硫処理油を転送して製品の
分離を行うことにより、建設費を低減することができ
る。
【0022】本発明においては、上記常圧蒸留により分
離され得られた灯油留分及び軽油留分の少なくとも一種
を水素化処理する。上記水素化処理で用いられる水素化
精製装置では、その反応条件としては以下の条件が用い
られる。まず、反応温度は300〜450℃の範囲が好
ましい。上記反応温度が300℃未満である時は灯油留
分の煙点が向上せず、また450℃を越える場合は軽油
留分の色相が低下する。上記と同様の理由から、反応温
度としては360〜420℃の範囲が更に好ましい。ま
た、反応圧力、即ち水素分圧は30〜200kg/cm
2 の範囲が好ましい。上記圧力が30kg/cm2 未満
であるときは固体炭素を析出して触媒寿命が著しく短く
なり、200kg/cm2 を越えるときは装置設計上不
経済である。同様の理由から水素分圧は100〜180
kg/cm2 の範囲であることが更に好ましい。更に、
水素/油比は300〜5000Nm3 /キロリットルの
範囲であることが好ましい。上記比率が300Nm3
キロリットル未満である場合は、水素化精製が充分に進
行せず、5000Nm3 /キロリットルを越える場合は
装置設計上不経済である。同様の理由から上記比率は5
00〜1000Nm 3 /キロリットルの範囲であること
が更に好ましい。LHSVは1.0〜10.0h -1の範囲で
あることが好ましい。LHSVが1.0h-1未満の場合は
経済的な観点から十分な処理速度が得られず、また10.
0h-1を越える場合は反応時間が不十分で分解油の得率
が十分に得られない。上記と同様の理由から、LHSV
は1.5〜5h-1の範囲であることが更に好ましい。
【0023】上記水素化処理において使用される水素化
触媒としては、アルミナあるいはアルミナにホウ素,珪
素及びリンから選ばれる少なくとも一種の化合物を添加
した担体に周期律表第6,8,9又は10族に属する金
属の中から選ばれる少なくとも一種を担持した触媒が好
ましく用いられる。周期律表第6族に属する金属として
は、タングステン、モリブデンが好ましく、また周期律
表第8〜10族に属する金属としては、ニッケル、コバ
ルトが好ましい。なお、第6族の金属及び第8〜10族
の金属はそれぞれ一種用いてもよく、また複数種の金属
を組み合わせて用いてもよいが、特に水素化活性が高
く、かつ劣化が少ない点から、Ni−Mo,Co−M
o,Ni−W,Ni−Co−Mo等の組合せが好適であ
る。
【0024】また、前記金属の担持量については、特に
制限はなく、各種条件に応じて適宜選定すればよいが、
通常は触媒全重量に基づき、金属酸化物として1〜35
重量%の範囲である。この担持量が1重量%未満では、
水素化処理触媒としての効果が充分に発揮されず、また
35重量%を超えると、その担持量の割には水素化活性
の向上が顕著でなく、かつ経済的に不利である。特に、
水素化活性及び経済性の点から5〜30重量%の範囲が
好ましい。本発明においては、上記触媒を用いた反応形
式については特に制限はなく、固定床、流動床、移動床
等のいずれの方式も採用することができる。
【0025】
【実施例】以下に、実施例により本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定さ
れるものではない。 実施例1 原料油として、アラビアンヘビー脱塩原油のナフサ留分
(C5〜157℃)を除いた下記性状のものを用いた。 原料油A 密度(15℃) 0.9319g/cm3 硫黄分 3.24重量% 窒素分 1500重量ppm バナジウム 55重量ppm ニッケル 18重量ppm 灯油留分(157℃より高く239℃以下) 9.8重量% 軽油留分(239℃より高く370℃以下) 25.8重量% 残油 (370℃より高いもの) 64.4重量% 第1表に示す脱メタル触媒Aと脱硫触媒Bをこの順にそ
れぞれ体積比20%、80%の割合で1000ミリリッ
トルの反応管に充填し、水素分圧130kg/cm2
水素/油比800Nm3 /キロリットル、反応温度38
0℃、LHSV0.4h-1の条件下で水素化処理を行っ
た。次に、得られた水素化処理油を蒸留によりナフサ留
分(C5〜157℃)、灯油留分(157〜239
℃)、軽油留分(239〜370℃)及び残油留分(3
70℃以上)に分留した。各留分の収率はナフサ留分が
1.2重量%、灯油留分が12.5重量%、軽油留分が28.
9重量%及び残油留分が55.2重量%であった。次に、
反応管に第1表に示す水素化触媒Cを充填し、水素分圧
130kg/cm2 、水素/油比800Nm3 /キロリ
ットル、反応温度380℃、LHSV2.5h-1の条件下
で灯油留分の水素化処理を行った。水素化処理した灯油
留分の性状を第2表に示す。蒸留した灯油留分を水素化
処理することにより、硫黄分や窒素分が少なく、煙点が
向上した品質に優れた灯油が得られることがわかる。
【0026】実施例2 原料油をアラビアンヘビー脱塩原油にした以外は、実施
例1と同様にして水素化精製処理を行った。蒸留により
得られた灯油留分の性状を第2表に示す。蒸留した灯油
留分を水素化処理することにより、金属量や窒素分が少
なく煙点が向上した品質の優れた灯油が得られることが
わかる。
【0027】比較例1 蒸留して得られた灯油留分を水素化改質しなかった以外
は実施例1と同様にして水素化精製処理を行った。得ら
れた灯油の性状を第2表に示す。第2表より、軽油留分
と混合された状態で水素化処理した灯油留分は、煙点が
不十分であることがわかる。
【0028】比較例2 実施例1で触媒A及びBを用いて水素化脱硫処理した
後、高圧気液分離槽で気相成分1と液相成分1に分離し
て、該気相成分1を第1表に示す触媒Cを充填した反応
管に導入し、水素分圧130kg/cm2 、水素/油比
800Nm3 /キロリットル、反応温度380℃、LH
SV2.5h-1の条件下で水素化処理を行い、得られた水
素化処理気相成分2を液相成分1と混合し、蒸留してナ
フサ留分、灯油留分、軽油留分及び残油留分を得た。灯
油留分の性状を第2表に示す。第2表より、気相成分の
み水素化処理して得られた灯油留分は煙点が不十分であ
ることがわかる。
【0029】比較例3 灯油留分を水素化改質しなかった以外は実施例2と同様
にして水素化処理を行った。得られた灯油の性状を第2
表に示す。第2表より、軽油留分と混合された状態で水
素化処理した灯油留分は、煙点が不十分であることがわ
かる。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、原油又はナフサ留分を
除いた原油を一括水素化脱硫し、次いで常圧蒸留する工
程において、得られた灯油留分及び軽油留分の水素化処
理を別々に行うことにより、重質油の水素化脱硫に併せ
て軽灯油の水素化改質を効果的に行い、高品質の軽灯油
を増産し、かつ精製設備の簡素化を図ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10G 45/06 Z 2115−4H 45/08 Z 2115−4H

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原油又はナフサ留分を除いた原油を、水
    素の存在下、触媒と接触させて水素化脱硫し、次いで常
    圧蒸留を行い、ナフサ留分、灯油留分、軽油留分及び重
    油留分に分離し、上記得られた灯油留分及び軽油留分の
    少なくとも一種の留分を水素化触媒と接触させて水素化
    処理を行い、炭化水素油を得ることを特徴とする原油又
    はナフサ留分を除いた原油の水素化精製法。
  2. 【請求項2】 水素化脱硫を、30〜200kg/cm
    2 の圧力下、300〜450℃の温度で、LHSVが0.
    1〜3.0h-1、水素/油比が300〜2000Nm3
    キロリットルの条件で触媒と接触させて行うことを特徴
    とする請求項1記載の水素化精製法。
  3. 【請求項3】 水素化脱硫に用いられる触媒が、アルミ
    ナあるいはアルミナにホウ素,珪素及びリンから選ばれ
    る少なくとも一種の化合物を加えたものを担体として、
    周期律表第6,8,9又は10族に属する金属の中から
    選ばれる少なくとも一種を担持した触媒であることを特
    徴とする請求項1記載の水素化精製法。
  4. 【請求項4】 灯油留分及び軽油留分の少なくとも一種
    の留分の水素化処理を、30〜200kg/cm2 の圧
    力下、300〜450℃の温度で、LHSVが1.0〜1
    0.0h-1、水素/油比が300〜5000Nm3 /キロ
    リットルの条件で行うことを特徴とする請求項1記載の
    水素化精製法。
  5. 【請求項5】 水素化処理に用いる水素化触媒が、アル
    ミナあるいはアルミナにホウ素,珪素及びリンから選ば
    れる少なくとも一種の化合物を加えたものを担体とし
    て、周期律表第6,8,9又は10族に属する金属の中
    から選ばれる少なくとも一種を担持したものであること
    を特徴とする請求項1記載の水素化精製法。
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