JP3057125B2 - 高粘度指数低粘度潤滑油基油の製造方法 - Google Patents
高粘度指数低粘度潤滑油基油の製造方法Info
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Description
品質な燃料油と共に高粘度指数の低粘度潤滑油基油を製
造する方法に関する。
は、まず原油を常圧蒸留し、その残油を更に減圧蒸留
し、低粘度から高粘度にわたる各種潤滑油留分及び減圧
蒸留残油に分離する。減圧蒸留残油から重質潤滑油留分
(ブライトストック)を得るには、減圧蒸留残油を溶剤
脱れき法により処理し、アスファルト分を除去する。ブ
ライトストックを含むこれらの各種粘度の潤滑油留分は
更に溶剤精製、水素化精製、脱ろう等の工程により処理
され、潤滑油基油が製造される。
法として、水素化分解法が知られている。これは、減圧
蒸留留出油、ブライトストックや各種ワックス、あるい
はそれらの混合物を高温度、高圧下で触媒を用いて水素
化分解し、その生成油から高粘度指数基油を製造する方
法である。ワックスを原料油としたアルミナ触媒による
水素化分解法については、例えば、特公昭57−170
37号により開示されている。また、他方スラックワッ
クスを原料油とした接触異性化法による高粘度指数潤滑
油基油製造法もあり、例えば特開平1−223196号
や特開平1−301790号等により開示されている。
機械の高性能化、省エネルギー対応が進み、それらの機
械に使用する潤滑油の性能向上が強く求められてきてい
るが、その性能は潤滑油基油の品質によるところが大き
い。特にエンジン油や変速機油などの自動車潤滑油や、
また、建設機械用作動油等においては、高粘度指数の低
粘度基油が求められている。しかしながら、高粘度指数
の潤滑油基油は従来技術である溶剤精製法で製造する場
合、特定の良質な原油からの潤滑油留分に限定され、し
かも溶剤精製工程において、抽出溶剤比を極めて高くし
なければならず、高粘度指数を有する潤滑油基油の製造
は容易ではない。
蒸留留出油、ブライトストック等の重質油や各種ワック
ス、あるいはそれらの混合物を原料油とするものであ
り、この方法で製造される潤滑油留分は粘度が比較的高
い留分については粘度指数が高いが、100℃における
動粘度が3.0〜7.5 cStの比較的低粘度の留分につ
いては粘度指数はあまり高くない。即ち、従来技術によ
る水素化分解法は比較的高粘度の潤滑油基油の製造を対
象にしたものであり、比較的低粘度で、且つ、高粘度指
数の潤滑油基油の製造には適しているとはいえない。
は、異性化触媒がスラックワックスに含有されている、
窒素及び硫黄化合物により劣化を受けやすいため、異性
化工程の前に、水素化精製工程を設け、窒素分及び硫黄
分を除去するなどの処理が必要とされている。本発明
は、水素化分解法による従来技術の問題点を解決し、中
間留分を主体とする高品質な燃料油と共に、100℃に
おける動粘度が3.0〜7.5 cStと比較的低く、しか
も粘度指数が120以上と高く、且つ、流動点が−10
℃以下である、高粘度指数の低粘度潤滑油基油を製造す
る方法を提供することを目的としている。
達成すべく種々研究を進めた結果、重質常圧蒸留留出油
及び/又は減圧蒸留留出油とスラックワックスの混合物
を原料油とし、水素化分解触媒の存在下で水素化分解
し、その分解生成物を蒸留することにより、中間留分を
主体とする高品質な燃料油と共に潤滑油留分が得られ、
この潤滑油留分を脱ろう処理、又は、脱ろう処理に溶剤
精製処理及び/又は水素化精製処理を付加することによ
り、100℃における動粘度が3.0〜7.5 cStで粘
度指数が120以上、且つ、流動点が−10℃以下であ
る、高粘度指数の低粘度基油が得られることを見いだし
た。
び/又は減圧蒸留留出油98容量%以下とスラックワッ
クス2容量%以上の混合物をいう。上記原料油を調整す
るのに使用する重質常圧蒸留留出油及び/又は減圧蒸留
留出油は370〜540℃の蒸留温度範囲に60容量%
以上の留出成分を有するものである。このように、高粘
度指数の低粘度潤滑油基油を製造するには重質常圧蒸留
留出油及び/又は減圧蒸留留出油のうち留出温度が比較
的低い留分が好ましい。これは、粘度指数が低い芳香族
化合物や多環ナフテン化合物の含有量が少ないためであ
る。
滑油留分から潤滑油基油を製造する際、溶剤脱ろう工程
で副生するもので、n−パラフィン及び側鎖の少ない分
岐パラフィンを主成分とし、ナフテン分や芳香族分は少
ない。従って、原料油の調整に使用するスラックワック
スの留出温度範囲は特に限定するものではないが、低粘
度基油を製造するには比較的低粘度のスラックワックス
が好ましい。
5.0 cStの潤滑油基油を得るには、重質常圧蒸留留出
油に混合するスラックワツクスとして、特に100℃に
おける動粘度が3.0〜5.5 cStのものが好ましい。
また、100℃における動粘度が4.5〜7.5 cStの
潤滑油基油を得るには、減圧蒸留留出油に加えるスラッ
クワックスとして、100℃における動粘度が4.5〜
25 cSt、好ましくは4.5〜9 cStのものが望まし
い。
ている粘度指数の劣る芳香族化合物を粘度指数の高い単
環芳香族化合物、ナフテン化合物及びパラフィン化合物
に変えると共に、多環ナフテン化合物を単環ナフテン化
合物やパラフィン化合物に変換して粘度指数が向上する
のであるが、原料油中には、前記のごとく特に高沸点で
粘度指数の低い化合物が少ない方が望ましい。換言すれ
ば、原料油は粘度指数ができるだけ高いものがよく、特
に、85以上のものが好ましい。
モリブデン、タングステン等のうち少なくとも1種類以
上を各々5〜30質量%、また、第VIII族金属、例えば
コバルト、ニッケル等のうち少なくとも1種類以上を各
々0.2〜10質量%含む、アモルファス系のシリカ・
アルミナを担体とした触媒である。この水素化分解触媒
は、水素化能と分解能とを併せもち、中間留分の収率が
高く、且つ、高粘度指数の潤滑油基油の製造に適してい
る。
〜140kg/cm 2 G 、平均反応温度360〜430℃、
LHSV0.3〜1.5hr-1、水素/油比5,000〜
14,000scf/bbl 、分解率40〜90容量%で、好
ましくは、水素分圧105〜130kg/cm 2 G 、平均反
応温度380〜425℃、LHSV0.4〜1.0hr-1
であり、分解率45〜90容量%となるように設定す
る。分解率とは100−(生成物中の360℃+ 留分の
割合(容量%))をいい、分解率が40容量%未満では
原料油中に含まれる粘度指数の劣る芳香族分や多環ナフ
テン分の水素化分解が不十分で、粘度指数120以上の
低粘度基油(100℃における動粘度3.0〜7.5 c
St)は得られにくい。また、分解率が90容量%を越え
ると潤滑油留分の収率が低くなり、好ましくない。
解生成油を燃料油留分と潤滑油留分とに蒸留分離する。
燃料油留分は脱硫、脱窒素が十分に行われ、また、芳香
族の水素化も行われている。この内、ナフサ留分はイソ
パラフィン分が多く、灯油留分は煙点が高く、また、軽
油留分はセタン価が高い等、燃料油としていずれも高品
質である。一方、潤滑油留分は一部は水素化分解工程へ
リサイクルしてもよい。またこれから、所望の動粘度の
潤滑油留分を得るため、これを更に減圧蒸留してもよ
い。なお、この減圧蒸留分離は次に示す脱ろう処理後に
行ってもよい。
望の流動点を有する潤滑油基油を得るために脱ろうす
る。脱ろう処理は溶剤脱ろう法又は接触脱ろう法などの
通常の方法で行われる。この内、溶剤脱ろう法は一般に
MEK、トルエンの混合溶剤が用いられるが、ベンゼ
ン、アセトン、MIBK等の溶剤を用いてもよい。脱ろ
う油の流動点を−10℃以下にするために溶剤/油比1
〜6倍、ろ過温度−15〜−40℃の条件で行う。な
お、ここで副生するスラックワックスは水素化分解工程
の材源として再び利用することができる。
製処理及び/又は水素化精製処理を付加してもよい。こ
れらの付加する処理は潤滑油基油の紫外線安定性や酸化
安定性を向上させるために行うもので、通常の潤滑油精
製工程で行われている方法で行うことができる。即ち、
溶剤精製は溶剤として一般にフルフラール、フェノー
ル、N−メチルピロリドン等を使用し、潤滑油留分中に
残存している少量の芳香族化合物、特に多環芳香族化合
物を除去する。なお、回転円板式向流接触抽出装置によ
るフルフラール精製の場合、原料油1容量部に対して、
0.5〜6容量部のフルフラールが抽出塔で向流接触す
るように、抽出塔内に温度勾配をつけて抽出を行う。通
常、抽出温度は抽出塔頂部で60〜150℃、抽出塔底
部でそれより20〜100℃低い温度で行われる。
香族化合物を水素化するために行うもので、特に触媒を
限定するものではないが、モリブデン等の第VIa族金属
のうち少なくとも1種類以上と、コバルト、ニッケル等
の第VIII族金属のうち、少なくとも1種類以上を担持し
たアルミナ触媒を用いて、反応圧力(水素分圧)70〜
160kg/cm 2 G 、平均反応温度300〜390℃、L
HSV0.5〜4.0hr-1の条件下で行うことができ
る。
明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるもの
ではない。
油80容量%と表2に示す軽質スラックワックス20容
量%の混合物を原料油として、シリカ・アルミナの割合
が10:90のアモルファス系シリカ・アルミナ担体に
ニッケル3質量%及びモリブデン15質量%が担持され
た触媒を硫化した状態で用い、水素分圧110kg/cm 2
G で平均反応温度418℃、LHSV0.69hr-1、水
素/油比9,000scf/bbl で水素化分解を行った。分
解生成物を常圧蒸留することにより、原料油に対してナ
フサ留分16容量%、灯油留分16容量%、軽油留分4
8容量%及び潤滑油留分26容量%がそれぞれ得られ
た。分解率は68%容量であった。
8であった。次に、潤滑油留分については、MEKート
ルエン混合溶剤を用いて、溶剤/油比4倍、ろ過温度−
21℃の条件で溶剤脱ろうを行った。脱ろう収率は76
容量%であった。かかる脱ろう油を減圧蒸留することに
より、100℃における動粘度3.56cStの潤滑油
基油が脱ろう油に対し60容量%得られた。この潤滑油
基油の粘度指数131で流動点は−15℃であった。
触媒を用い、水素分圧110kg/cm2 G で平均反応温度
395℃、LHSV0.69hr-1、水素/油比9,00
0scf/bbl で水素化分解を行った。分解生成物を常圧蒸
留することにより、原料油に対してナフサ留分9容量
%、灯油留分7容量%、軽油留分41容量%及び潤滑油
留分51容量%がそれぞれ得られた。分解率は47容量
%であった。
6であった。次に潤滑油留分については、MEK−トル
エン混合溶剤を用いて、溶剤/油比4倍、ろ過温度−2
1℃の条件で溶剤脱ろうを行った。脱ろう収率は72容
量%であった。かかる脱ろう油を減圧蒸留することによ
り、100℃における動粘度4.15cStの潤滑油基油
が脱ろう油に対し65容量%得られた。この潤滑油基油
の粘度指数123で流動点は−15℃であった。
油90容量%と表2に示す中質スラックワックス10容
量%の混合物を原料油として、実施例1と同様に、水素
化分解を行った。分解生成物を常圧蒸留することによ
り、原料油に対して、ナフサ留分15容量%,灯油留分
16容量%,軽油留分49容量%及び潤滑油留分25容
量%がそれぞれ得られた。分解率は67容量%であっ
た。また、灯油の煙点は23、軽油のセタン指数は57
であった。次に潤滑油留分について実施例1と同様に溶
剤脱ろうを行った。脱ろう収率は79容量%であった。
かかる脱ろう油を減圧蒸留することにより、100℃に
おける動粘度4.07 cStの潤滑油基油が脱ろう油に対
し、90容量%得られた。この潤滑油基油の粘度指数は
130であり、流動点は−15℃であった。
0容量%と表2に示す重質スラックワックス30容量%
の混合物を原料油とし、実施例1と同様の触媒を用い
て、水素分圧110kg/cm 2 G 、平均反応温度418
℃、LHSV0.69hr-1、水素/油比8,300scf/
bbl で水素化分解を行った。分解生成物を蒸留すること
により、原料油に対してナフサ留分15容量%、灯油留
分15容量%、軽油留分44容量%及び潤滑油留分32
容量%がそれぞれ得られた。なお、分解率は67容量%
であった。また、灯油の煙点は23、軽油のセタン指数
は57であった。
脱ろうした。脱ろう収率は62容量%であった。かかる
脱ろう油を減圧蒸留することにより、100℃における
動粘度4.13 cStの潤滑油基油が脱ろう油に対し50
容量%得られた。この基油の粘度指数は124で、流動
点は−15℃あった。また、100℃における動粘度
7.10 cStの潤滑油基油が脱ろう油に対し35容量%
得られた。この基油の粘度指数は141で、流動点は−
15℃であった。
による分解生成物からの潤滑油留分を減圧蒸留し、10
0℃における動粘度7.21cStの留分を潤滑油留分
に対し40容量%得た。かかる留分について、回転円板
式向流接触抽出装置によるフルフラール溶剤精製を、原
料油1容量部に対しフルフラール2容量部を用い、抽出
塔頂部135℃、抽出塔底部55℃の抽出温度で行っ
た。このラフィネートの収率は97容量%で、次に水素
化精製した。水素化精製はコバルト、モリブデンが担持
されたアルミナ触媒を用い、水素分圧105kg/cm 2 G
、LHSV3.0hr-1、反応温度340℃の条件で行
った。生成油の収率は99容量%で、これを更に実施例
1に示す条件で脱ろう処理をした。
100℃における動粘度7.38 cSt、粘度指数14
2、流動点−15℃であった。かかる基油を用いて紫外
線照射試験を実施したところ、油中に曇が生じるまでの
時間が40時間、また、沈澱が発生するまでの時間が5
0時間以上であり、優れた紫外線安定性を有していた。
ちなみに、フルフラール処理及び水素化精製処理をしな
い実施例4における100℃における動粘度7.10 c
Stの潤滑油基油についての紫外線照射試験の結果は、曇
が発生するまでの時間が10時間、また、沈澱が発生す
るまでの時間は20時間であった。
容量部とブライトストック30容量部の混合油を原料油
(沸点370〜540℃範囲の留分:57容量%)とし
て、実施例1と同様の触媒及び反応条件で水素化分解を
行った。分解生成物を常圧蒸留することにより、潤滑油
留分32容量%が得られた。分解率は68%容量であっ
た。この潤滑油留分を実施例1と同様の条件で脱ろう処
理をした。脱ろう収率は80容量%であった。かかる脱
ろう油を減圧蒸留することにより100℃における動粘
度3.54 cStの潤滑油基油が脱ろう油に対し38容量
%得られた。この潤滑油基油の流動点は−15℃であっ
たが、粘度指数は113と低い値であった。
た高品質な燃料油と共に、100℃における動粘度が
3.0〜7.5 cStと比較的低く、しかも、粘度指数が
120以上と高く、且つ、流動点が−10℃以下であ
る、高粘度指数の低粘度潤滑油基油の製造が可能であ
る。
Claims (5)
- 【請求項1】 原油の重質常圧蒸留留出油及び/又は減
圧蒸留留出油とスラックワックスの混合物をアモルファ
ス系シリカ・アルミナを担体とし、周期律表第VIa族の
金属のうち少なくとも1種類以上と第VIII族の金属のう
ち少なくとも1種類以上を含む水素化分解触媒の存在下
で水素化分解し、当該分解生成物から燃料油留分と潤滑
油留分を蒸留分離することにより、高品質の燃料油の製
造と共に、当該潤滑油留分を脱ろう処理により、又は、
脱ろう処理に溶剤精製処理及び/又は水素化精製処理を
付加することにより、100℃における動粘度が3.0
〜7.5 cStで粘度指数が120以上、且つ、流動点が
−10℃以下である、高粘度指数の低粘度潤滑油基油を
製造する方法。 - 【請求項2】 水素化分解の原料油が370〜540℃
の蒸留温度範囲に60容量%以上の留出成分を有する重
質常圧蒸留留出油及び/又は減圧蒸留留出油98容量%
以下とスラックワックス2容量%以上の混合物である請
求項1記載の方法。 - 【請求項3】 重質常圧蒸留留出油に100℃における
動粘度が3.0〜5.5 cStのスラックワックスを加え
た混合物を原料油として、水素化分解を行い、当該分解
生成物から100℃における動粘度が3.0〜5.0 c
Stである潤滑油基油を製造する請求項1及び請求項2記
載の方法。 - 【請求項4】 減圧蒸留留出油に100℃における動粘
度が4.5〜25 cStのスラックワックスを加えた混合
物を原料油として、水素化分解を行い、当該分解生成油
から100℃における動粘度が4.5〜7.5 cStであ
る潤滑油基油を製造する請求項1及び請求項2記載の方
法。 - 【請求項5】 モリブデン5〜30質量%及びニッケル
0.2〜10質量%を含む水素化分解触媒の存在下で、
水素分圧100〜140kg/cm 2 G 、平均反応温度36
0〜430℃,LHSV0.3〜1.5hr-1で分解率4
0〜90容量%となる反応条件で水素化分解を行う請求
項1〜請求項4記載の方法。
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