JPH09100480A - 軽質潤滑油基油及びその製造方法 - Google Patents

軽質潤滑油基油及びその製造方法

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JPH09100480A
JPH09100480A JP25837795A JP25837795A JPH09100480A JP H09100480 A JPH09100480 A JP H09100480A JP 25837795 A JP25837795 A JP 25837795A JP 25837795 A JP25837795 A JP 25837795A JP H09100480 A JPH09100480 A JP H09100480A
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JP
Japan
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oil
fraction
base oil
lubricating base
range
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JP25837795A
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English (en)
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Akemi Tanaka
明示 田中
Masami Takasaki
正己 高崎
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Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 各種の潤滑油の基油として有利に使用できる
軽質潤滑油基油と、重質軽油や減圧軽油から該高性能の
軽質潤滑油基油を比較的低コストで容易に製造する方法
を提供する。 【解決手段】 炭化水素系の軽質潤滑油基油であって、
常圧における沸点が250〜430℃の範囲内にあ
り、全芳香族分が1.8重量%以下であり、40℃
における動粘度が5〜10mm2 /sの範囲にあり、
粘度指数が95以上であり、流動点が−10℃以下で
あり、かつ、2,6−ジターシャリーブチル−p−ク
レゾール(DBPC)を0.5重量%添加した時の酸化
安定性がRBOT値で340分以上である軽質潤滑油基
油及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車類や船舶
類、あるいは建設・工作用機械等の各種の産業機械や装
置類等に種々の目的で使用される各種の潤滑油(エンジ
ン油、ATF油、各種作動油等々)にその主成分となる
基油として有利に使用される軽質潤滑油基油及びその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車や産業機械等の高性能化、
省エネルギー対応が進み、それらに使用する潤滑油の性
能の向上が強く求められている。潤滑油の性能は、その
主成分となる基油すなわち潤滑油基油の品質に依るとこ
ろが大きく、特に、自動車用の潤滑油(エンジン油、A
TF油、作動油等)や建設・工作用機械類の作動油等に
おいては、剪断安定性の向上、適用温度範囲の拡大、酸
化や熱、光に対する安定性に優れ、しかも適度に低粘度
で蒸発損失も少ない高性能の炭化水素系の潤滑油基油が
望まれている。
【0003】なお、適用温度範囲の拡大の対策として
は、潤滑油基油の粘度指数を高くすることが望ましく、
また、酸化や熱、光等に対する安定性の向上あるいは確
保には、特に芳香族含量を低減させることが良策とされ
ている。炭化水素系の潤滑油基油の製造には、従来か
ら、溶剤抽出による方法、すなわち、溶剤精製法が広く
用いられており、かかる溶剤精製法によって高粘度指数
の潤滑油基油を製造することも古くから行われてはき
た。しかし、こうした溶剤精製法によって潤滑油基油を
製造する場合には、潤滑油留分の粘度指数を大きく向上
させることは一般に容易ではない。従って、原油の種類
自体が狭く限定されてしまい、しかも、抽出条件を厳格
にしても高粘度指数化を十分に達成することは容易では
なく、また酸化安定性等の他の物性の改善や制御も難し
いため、製品の物性や用途に強い制限を受けるという問
題点があった。
【0004】そこで、比較的最近、高粘度指数の潤滑油
基油を製造する手段として、水素化分解法に溶剤精製法
及び/又は水素化処理法を組み合わせる方法が提案さ
れ、その際、溶剤精製及び/又は水素化処理によって芳
香族分を低減あるいは制御することによって、高粘度指
数化と同時に熱や酸化等に対する安定性も向上させよう
とする試みがなされている。(特開平3−223393
号公報、同4−36391号公報、同6−116570
号公報、同6−116571号公報及び同6−1165
72号公報参照)。しかしながら、上記の公報に記載の
方法では、いずれの場合にも芳香族含量の低減を効率よ
く行い難いため、たとえ高粘度指数化が満足されたとし
ても酸化や熱、光等に対する安定性の確保が容易でない
という問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記観点か
らなされたもので、十分に高い粘度指数を有し、かつ芳
香族含量が低く安定性(熱、光、酸化、剪断安定性等)
等に優れた軽質潤滑油基油であって、これを基油として
使用することによって、適用温度範囲の拡大、安定性・
耐久性の向上、潤滑油としての物性や性能の最適化を容
易に達成することができ、例えば自動車類、船舶あるい
は建設・工作用機械等の産業機械や装置類に用いられる
各種の潤滑油の基油として有利に使用することができる
軽質潤滑油基油と、重質軽油や減圧軽油から該高性能の
軽質潤滑油基油を比較的低コストで容易に得ることがで
きる軽質潤滑油基油の製造方法を提供することを目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は鋭意研究の
結果、特定の物性及び性状を有する軽質潤滑油基油が上
記の目的を満足する優れた軽質潤滑油基油となること、
そして、そのような高性能の目的とする軽質潤滑油基油
の製造方法としては、特定の条件で水素化処理するとい
う新規な手法からなる方法が好適であり実用的に有利な
方法であることを見出し、本発明を完成したものであ
る。
【0007】すなわち、本発明は、炭化水素系の軽質潤
滑油基油であって、常圧における沸点が250〜43
0℃の範囲内にあり、全芳香族分が1.8重量%以下
であり、40℃における動粘度が5〜10mm2 /s
の範囲にあり、粘度指数が95以上であり、流動点
が−10℃以下であり、かつ、2,6−ジターシャリ
ーブチル−p−クレゾール(DBPC)を0.5重量%
添加した時の酸化安定性がRBOT値で340分以上で
あることを特徴とする軽質潤滑油基油を提供するもので
ある。
【0008】また、本発明は、上記本発明の軽質潤滑油
基油の好適な製造方法として、重質軽油(HGO)及び
/又は減圧軽油(VGO)を、水素化分解し、当該分解
生成物を沸点の終点が250〜390℃の留分(留分
I)と沸点範囲が250〜540℃の留分(留分II)
に蒸留分離し、更に、当該留分Iを蒸留して沸点範囲が
240〜390℃の留分(留分III)を分離回収し、
当該留分III又は留分IIIと留分IIの混合物をに
脱ろう処理を施して該留分からろう分を除去し、得られ
た脱ろうされた留分を水素化触媒の存在下で、全圧17
0〜230kg/cm2 G、反応温度220〜370
℃、供給液空間速度(LHSV)0.2〜1.5hr-1
の条件で水素化処理し、この生成油から蒸留により常圧
における沸点が250〜430℃の範囲内にある留分を
分離回収することを特徴とする方法を併せて提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を説
明する。まず、本発明の軽質潤滑油基油について説明す
る。本発明の軽質潤滑油基油は、目的及び製造方法に応
じて多種多様な組成や性状のものとして実現することが
できるが、少なくとも、前記〜の条件すべて満足す
ることが肝要である。
【0010】すなわち、本発明の軽質潤滑油基油は、常
圧における沸点が250〜430℃の範囲内にあること
が重要であり、290〜390℃が好ましく、300〜
380℃が更に好ましい。ここで、沸点が250℃未満
の低沸点や430℃を超える著しく高沸点の留分を含む
と、潤滑油基油としての基本特性が十分発揮されないこ
とがあり、例えば、蒸発損失が多くなったり、あるい
は、粘性抵抗大によるエネルギー損失の増となるなどの
支障が生じやすい。
【0011】本発明の軽質潤滑油基油は、炭化水素系の
ものであり、一般に、n−パラフィン、分岐パラフィ
ン、ナフテン系炭化水素等の飽和炭化水素を主成分とす
る炭化水素混合物であるが、芳香族炭化水素を含有して
いるとしても、全芳香族分が1.8重量%以下であるこ
とも重要であり、中でも、全芳香族分が1.2重量%以
下であるものが好ましい。ここでいう全芳香族分の値
は、ASTM−D−2549の方法によって測定された
ものである(以下、同様)。このように全芳香族含量を
1.8重量%以下にすることによって、熱、光、酸化等
に対する安定性を十分に確保することができ、十分に安
定で耐久性に優れた潤滑油を容易に実現することができ
る。
【0012】また、本発明の軽質潤滑油基油は、40℃
における動粘度が5〜10mm2 /sの範囲にあること
も肝要であり、中でも6〜9mm2 /sの範囲にあるも
のが好ましい。すなわち、本発明の軽質潤滑油基油は、
上記のように比較的低い動粘度特性を有することを特徴
としており、高性能の低粘度潤滑油基油である。また、
本発明の軽質潤滑油基油は、粘度指数が95以上である
ことも重要であり、中でも、98以上であることが好ま
しい。本発明の軽質潤滑油基油は、このように粘度指数
が95以上という高い値を有しているのでこれを潤滑油
の基油として適用することによってその潤滑油の適用温
度範囲を十分に拡大することができ、潤滑油のマルチク
レード化を好適に図ることができる。本発明の軽質潤滑
油基油の場合にも、粘度指数を向上するための添加剤を
適宜添加して使用することもできるが、本発明の場合に
は、添加剤は少なくてよいので、添加剤の添加によって
生じがちな他の物性や特性の低下(例えば、剪断安定性
の低下)を最小限に抑制することができるという利点が
ある。なお、本発明の軽質潤滑油基油は高い剪断安定性
を具備している。
【0013】更に、本発明の軽質潤滑油基油は、流動点
が−10.0℃以下であることも重要であり、中でも、
−15.0℃以下であるものが好ましい。このことによ
って、潤滑油の低温流動性を確保することができ、低温
環境における使用にも十分に対応できる。また、本発明
の軽質潤滑油基油は、それ自体でも十分な熱、光、酸化
等に対する安定性を有しているが、必要に応じて、酸化
安定剤等の各種の安定剤や安定化助剤等を添加して使用
することができる。この酸化安定剤としては、後述のも
のなど公知の各種のものが使用可能であるが、本発明の
軽質潤滑油基油は、2,6−ジターシャリーブチル−p
−クレゾール(DBPC)を0.5重量%添加した時の
酸化安定性がRBOT値で340分以上であることも重
要である(なお、この場合RBOT値はASTM−D−
2272によって測定されたものである)。もちろん、
このことは、常にDBPCを添加して使用することを意
味しているものではなく、上記のようにごく微量の酸化
安定剤の添加によっても十分に高い酸化安定性を確保す
ることができると言うことを示すものであり、必要に応
じて、任意の酸化安定剤を任意の割合で添加して使用す
ることができる。
【0014】本発明の軽質潤滑油基油は、上記のように
少なくとも上記〜の条件を満足していれば、これら
以外の一般物性や性状等については特に制限はないので
あるが、一般に、アニリン点が95〜110℃の範囲に
あるものが好ましく、引火点については、150℃以上
のものが好ましく、また、色相について言えば、例え
ば、セイボルトカラーで+20以上のものが好ましい。
【0015】以上のように、本発明の軽質潤滑油基油
は、各種の高性能の潤滑油を調製するための潤滑油基油
としての基本物性に優れており、特に、高粘度指数を有
し、芳香族分が十分に少なくそれ自体でも熱、光、酸化
等に対する安定性の更なる向上を十分に達成することの
できるなどの種々の利点を有する高性能の低粘度軽質潤
滑油基油であり、目的に応じて、上記の範囲内で〜
の物性や性状を調節・最適化したり、他の物性や性状を
適宜選定・調整することによって、各種の用途に最適な
潤滑油を調製するための基油として極めて有利に使用す
ることができる。
【0016】なお、本発明の軽質潤滑油基油には、目的
に応じて、各種の添加剤を混合もしくは添加して使用す
ることができる。すなわち、本発明の軽質潤滑油基油
は、それ自体でも潤滑油として使用可能であるが、通常
は、目的に応じて下記の各種の添加剤を添加してそれぞ
れの用途に適合した潤滑油として使用するのがよい。添
加剤としては、公知のものなど各種のものが使用可能で
あり、例えば、2,6−ジターシャリーブチル−p−ク
レゾール等のフェノール系、アミン系、硫黄系、チオリ
ン酸亜鉛系、フェノチアジン系などの酸化防止剤、モリ
ブデンジチオホスフェート、モリブデンジチオカルバメ
ート、二硫化モリブデン、フッ化カーボン、ほう酸エス
テル、脂肪族アミン、高級アルコール、高級脂肪酸、脂
肪酸エステル、脂肪酸アミドなどの摩擦低減剤、トリク
レジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジチ
オリン酸亜鉛などの極圧剤、石油スルホネート、アルキ
ルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネ
ートなどの錆止め剤、ベンゾトリアゾールなどの金属不
活性剤、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類
金属フェネート、アルカリ土類金属サリシレート、アル
カリ金属ホスホネートなどの金属系清浄剤、シリコーン
などの消泡剤、ポリメタクリレート、ポリイソブチレ
ン、ポリスチレンなどの粘度指数向上剤、流動点降下剤
などが挙げられ、これらを単独又は2種以上組み合わせ
て添加することができる。
【0017】次に、本発明の潤滑油は、その一般的な製
造方法としては特に制限はないが、前記本発明の方法に
よって好適にかつ生産性よく製造することができる。ま
た、本発明の潤滑油基油は、本発明の方法によって製造
したものが好ましい。以下、本発明の軽質潤滑油基油の
好適な製造方法である本発明の方法について詳細に説明
する。
【0018】本発明の方法においては、原料油として、
重質軽油(HGO)又は減圧軽油(VGO)あるいはこ
れらの任意の割合の混合油を使用する。該原料油として
は、各種の原油等からのものが使用可能である。目的と
する潤滑油基油は、該原料油から、以下に示すように、
基本的に、順に、水素化分解工程、蒸留工程、脱ろう
(ワックス分除去)処理工程、水素化処理(脱芳香族)
工程及び蒸留工程からなる精油プロセスによって製造さ
れる。
【0019】(工程1)水素化分解 この水素化分解に供する原料油としては、基本的には、
前記重質軽油(HGO)又は減圧軽油(VGO)あるい
はこれらの任意の割合の混合油を使用するが、必要に応
じて、これらに後段の工程からのリサイクル油を適宜適
量添加して反応に供してもよい。
【0020】水素化分解は、通常、次に示す諸条件で好
適に実施される。すなわち、反応圧は全圧で、通常、1
00〜190kg/cm2 G、好ましくは、130〜1
80kg/cm2 Gの範囲に選定するのが好適である。
供給水素ガスの割合は、供給油1klに対して、通常、
500〜1500Nm 3 、好ましくは、800〜120
0Nm3 の範囲に調整するのがよい。
【0021】反応温度は、通常、340〜440℃、好
ましくは、350〜420℃の範囲に選定するのが好適
である。また、液空間速度(LHSV)は供給油基準
で、通常、0.3〜1.5hr-1、好ましくは、0.5
〜1.2hr-1の範囲に適宜調節すればよい。該水素化
分解に用いる触媒としては、シリカアルミナ、アルミナ
及び/又はゼオライトを担体とし、その担体に周期律表
VIA族の金属及び/又はVIII族の金属を担持した
ものを使用する。ここで、周期律表VIA族金属として
は、Cr、Mo及びWを挙げることができ、中でも、M
o、Wが好ましい。周期律表VIII族金属としては、
Fe、Co、Ni、Rh、Ru、Pd、Os、Ir及び
Ptを挙げることができるが、通常は、Niが好まし
い。これらの金属は、一種単独で使用することもできる
し、二種以上を組み合わせて使用することもできるが、
通常は、Ni−Mo、Ni−W等の組み合わせが好適で
ある。
【0022】なお、ゼオライトを用いる場合には、例え
ば、X型、Y型、フォージャサイト、ZSM−5、モル
デナイト等の各種のものが使用できるが、中でも特にY
型が好適に使用される。また、複数の種類の担体を適宜
混合もしくは複合して使用してもよい。例えば、ゼオラ
イトの場合には、これにアルミナやシリカアルミナ等を
マトリックスとして用いて成形したものなどが好適に使
用される。更に、該触媒としては、上記以外の担体成分
や金属成分を含有するものも適宜使用可能である。
【0023】(工程2)蒸留 この工程では、上記工程1の水素化分解によって得た分
解生成油を蒸留によって沸点の終点が250〜390℃
の留分(留分I)と沸点範囲が250〜540℃の留分
(留分II)に分離する。留分IIの好ましい沸点範囲
は、300〜530℃である。次いで、留分Iを更に蒸
留して、沸点範囲が240〜390℃の留分(留分II
I)と留分IIIよりも軽い留分に分離する。留分II
Iの好ましい沸点範囲は、270〜390℃である。な
お、沸点範囲はいずれも常圧もしくは常圧換算の沸点で
示す(以下、同様)。
【0024】こうして分離した留分III又は留分II
Iと留分IIの混合物(以下軽質潤滑油留分という)
は、次の工程3に送られ脱ろう処理に供される。ここ
で、留分IIIと留分IIの混合割合は、通常、留分I
IIが10〜100重量%に対して、留分IIは90〜
10重量%である。なお、留分IIは必要に応じて、一
部を上記工程1にリサイクルしてもよい。一方、分離し
た留分II、留分IIIよりも軽い留分、回収ガスはそ
れぞれの用途に有効に利用することができる。なお、留
分IIIと留分IIの混合物を使用する場合には、別々
に工程3の脱ろう処理を行った後混合し、工程4の水素
化処理を行ってもよい。
【0025】(工程3)脱ろう処理 この工程3では、上記工程2で得た軽質潤滑油留分を脱
ろう処理し、ろう分(ワックス分)を十分に除去する。
この脱ろう処理は、下記の溶剤抽出による溶剤脱ろう法
(a)又は触媒を用いて水素化を行う水素化脱ろう法
(b)によって行う。なお、必要に応じて、適宜、
(a)と(b)を組み合わせてもよく、その場合、
(a)の後に(b)を実施してもよいし、あるいは逆に
(b)の後に(a)を行ってもよい。ただし、通常は、
下記の(a)又は(b)のみによって十分な脱ろう処理
を行うことができる。
【0026】(a)溶剤脱ろう法 この溶剤脱ろう法としては、各種の溶剤を用いる公知の
各種の溶剤脱ろう法が適用可能であるが、通常はメチル
エチルケトン(MEK)を抽出溶剤成分として用いるM
EK法が好適に使用される。このMEK法による脱ろう
処理は、基本的には常法に従って行うことができるが、
通常は、下記の諸条件で実施するのが好適である。
【0027】すなわち、抽出溶剤としては、MEKとト
ルエンからなり、MEKが30〜70容量%、好ましく
は35〜50容量%で、これに対応して、トルエンが7
0〜30容量%、好ましくは65〜50容量%の組成の
ものが好適に使用される。なお、必要に応じて、MEK
及びトルエン以外の他の溶剤を適宜適量添加した溶剤を
使用してもよい。
【0028】前記抽出溶剤と脱ろう処理に供する前記軽
質潤滑油留分の供給割合としては、特に制限はないが、
通常は、容量比(供給溶剤/軽質潤滑油留分)を1.0
〜6.0、好ましくは、1.5〜4.5の範囲に選定し
て抽出脱ろうを実施するのが好適である。その際、抽出
処理の温度としては、特に制限はないが、抽出時の溶剤
の温度が、通常、−40〜−10℃、好ましくは、−4
0〜−15℃の範囲に保持されるように実施するのが好
適である。以上のようにして、前記軽質潤滑油留分から
ろう分を抽出除去し、ろう分を除去した軽質潤滑油留分
を溶剤と分離して回収する。なお、ろう分を十分に除去
するためには、通常、回収軽質潤滑油留分の収率が用い
た原料軽質潤滑油留分に対して75〜93重量%の範囲
になるように実施するのが好ましい。
【0029】(b)水素化脱ろう法 この方法では、適当な触媒の存在下で前記軽質潤滑油留
分を水素と接触反応せしめ脱ろうを行う。この水素化脱
ろうも基本的には常法に従って行うことができるが、通
常は、脱ろうのための水素化反応を次の諸条件で行うこ
とによって好適になすことができる。
【0030】触媒としては、各種のものが使用可能であ
るが、通常は、ZSM−5あるいはZSM−5型のゼオ
ライトが好適に使用される。反応の全圧は、通常、20
〜100kg/cm2 G、好ましくは、25〜70kg
/cm2 Gの範囲に選定するのが適当である。反応温度
は、通常、230〜360℃、好ましくは、250〜3
50℃の範囲に選定するのが好適である。
【0031】液空間速度(LHSV)は供給油(軽質潤
滑油留分)基準で、通常、0.3〜3.0hr-1、好ま
しくは、0.5〜2.5hr-1の範囲に選定するのが適
当である。反応後、生成物を気液分離し、更に必要に応
じて、蒸留あるいは溶剤抽出等の後処理を施すことによ
って所望の脱ろうされた軽質潤滑油留分を回収する。た
だし、場合によっては生成物を気液分離しないでそのま
ま次の水素化処理工程に供給する方式を採用してもよ
い。
【0032】(工程4)水素化処理(脱芳香族処理) この工程4では、上記工程3で得た脱ろう軽質潤滑油留
分を所定の水素化処理触媒の存在下で水素化処理し、該
原料軽質潤滑油留分中に含まれている芳香族化合物を水
素化して芳香族分が所定の値以下に低減された精製軽質
潤滑油留分を得る。
【0033】該水素化処理反応に用いる触媒としては、
シリカ、アルミナ又はシリカアルミナを担体とし周期律
表VIA族の金属及び/又はVIII族の金属を含む水
素化触媒を使用する。ここで、周期律表VI族の金属と
しては、Cr、Mo及びWを挙げることができ、これら
の中でも、通常、Mo、Wが好ましい。周期律表VII
I族の金属としては、Fe、Co、Ni、Rh、Ru、
Pd、Os、Ir及びPtを挙げることができるが、通
常は、Niが好ましい。これらの金属は、場合に応じ
て、一種単独で使用することができるし、二種以上を組
み合わせて使用することもできるが、通常は、Ni−M
o、Ni−W等の組み合わせが好適である。なお、複数
の種類の担体を適宜混合もしくは複合化して使用しても
よい。該触媒としては、公知の各種のものが適用でき、
上記以外の担体成分や金属成分を含有するもののも適宜
使用可能である。
【0034】この脱芳香族のための水素化処理は、従来
の場合よりも高圧下で行うことを特徴としており、下記
の諸条件で行うことが肝要である。すなわち、該水素化
処理は、反応圧を全圧で、170〜230kg/cm2
Gの範囲に選定して行うことが肝要であり、特に180
〜220kg/cm2 Gの範囲に選定して実施するのが
好ましい。
【0035】ここで、反応圧が170kg/cm2 G未
満であると、十分な脱芳香族化が成されないので、本発
明の目的を十分に達成することはできない。一方、23
0kg/cm2 Gより高圧であると、それだけ高圧に耐
える特殊の装置を必要とするので設備コストが高くなる
ので不経済である。このように反応を上記のように従来
法よりも高圧の範囲で行うことによって、従来行われて
いたような、原料軽質潤滑油留分のフルフラール等によ
る溶剤精製等の前処理(前段脱芳香族処理)を行うこと
なく、十分な脱芳香族が可能となる。したがって、本発
明の方法では、その分工程が簡略化され経済的に著しく
有利になる。
【0036】なお、該水素化処理における供給水素ガス
の割合は、供給油1klに対して、通常、250〜15
00Nm3 、好ましくは、300〜1200Nm3 の範
囲に調整するのが適当である。反応温度は、220〜3
70℃の範囲に選定するのが肝要であり、特に、230
〜360℃の範囲に選定するのが好ましい。反応温度
が、220℃未満では、脱芳香族が不十分となり、一
方、370℃を超えると、水素化分解反応等の副反応が
無視できなくなり、所望の潤滑油留分の収率が低下し、
プロセス上での不利を招く。
【0037】また、該水素化処理反応は、液空間速度
(LHSV)は供給油基準で、0.2〜1.5hr-1
好ましくは、0.3〜0.8hr-1の範囲に適宜調節し
て実施される。LHSVが0.2hr-1未満では、生産
性が悪くなり、一方、1.5hr-1を超えると十分な脱
芳香族化を達成することができない。以上のようにし
て、水素化処理によって得た生成油は、次の蒸留工程に
送られ蒸留分離される。
【0038】(工程5)蒸留(目的とする低芳香族軽質
潤滑油基油の回収) この工程5では、上記工程4の水素化処理で得た生成油
を蒸留し、目的とする軽質潤滑油基油を得る。該蒸留
は、常法に従って行うことができるが、目的とする潤滑
油基油は、沸点範囲が250〜430℃、好ましくは、
260〜420℃の留分として分離回収する。なお、前
記脱ろう工程に、留分IIIと留分IIの混合物を供す
る場合には、この蒸留で、本発明の軽質潤滑油基油より
も重質の潤滑油基油を同時に分離することができる。
【0039】以上の工程1〜5によって、安価で付加価
値の低い重質軽油や減圧軽油あるいはその混合物から、
前記〜の条件を満足する本発明の軽質潤滑油基油の
を効率よく、低コストでしかも生産性よく製造すること
ができる。こうして得た潤滑油基油は、前記した各種の
用途に有利に使用することができる。
【0040】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、これらの実施例になんら制限されるものではな
い。 〔実施例1〕表1に示す重質軽油と減圧軽油の混合油を
原料油として用い、アルミナ担体にニッケル、モリブデ
ンを含む触媒系とアルミナ+Y型ゼオライトにニッケ
ル、モリブデンを含む触媒系の存在下で、全圧160k
g/cm2 、反応温度380℃、LHSV1.0h
-1、水素/油比1000Nm3 /klで水素化分解を
行った。
【0041】分解生成油を常圧蒸留し、留分Iが60重
量%(沸点の終点390℃)と留分IIが40重量%
(沸点範囲が320〜530℃)それぞれ得られた。次
に、留分Iを更に蒸留で軽質留分60重量%と重質留分
(留分III、沸点範囲270〜380℃)40重量%
がそれぞれ得られた。この留分IIIについて、MEK
/トルエン容量比(5/5)混合溶剤を用いて溶剤/油
比3倍、濾過温度−30℃の条件で溶剤脱ろうを行っ
た。脱ろう収率は86容量%であった。
【0042】この脱ろう油の動粘度は6.3mm2 /s
(40℃)で粘度指数は104であった。この時の流動
点は−25.0℃であった。次に、脱ろう油をニッケ
ル、タングステンが担持されたアルミナ触媒を用い、反
応温度290℃、全圧210kg/cm2 G、LHSV
0.5hr-1、水素/油比360Nm3 /klで水素化
処理を行った。
【0043】次いで水素化処理生成油を蒸留で沸点範囲
310〜380℃留分の軽質潤滑油基油を得た。この基
油の収率は、脱ろう油に対して55重量%であった。こ
の基油は、表2に示すように芳香族分は0.6重量%と
低く、酸化安定性(RBOT:添加剤0.5重量%添
加)は408分と長く、更には熱安定性試験に容易に合
格する。また、動粘度は8.18mm2 /s(40℃)
で粘度指数は104であった。この時の流動点は−2
5.0℃であった。このように芳香族分が低いため、耐
候試験にも容易に合格する。
【0044】〔実施例2〕実施例1において、水素化分
解した後蒸留して得られた留分III35重量%と留分
II65重量%を混合し、この混合留分についてMEK
/トルエン容量比(5/5)混合溶剤を用いて溶剤/油
比3倍、濾過温度−30℃の条件で溶剤脱ろうを行っ
た。脱ろう収率は78重量%であった。この脱ろう油の
動粘度は14.6mm2 /s(40℃)で粘度指数は1
13であった。この時の流動点は−22.5℃であっ
た。次に脱ろう油をニッケル、タングステンが担持され
たアルミナ触媒を用い、反応温度290℃、全圧210
kg/cm2 G、LHSV0.5hr-1、水素/油比3
60Nm3 /klで水素化処理を行った。
【0045】次いで水素化処理生成油を蒸留で沸点範囲
280〜415℃で、動粘度が8.13mm2 /s(4
0℃)と低粘度な本発明の軽質潤滑油基油を得た。この
潤滑油基油の収率は、脱ろう油に対して59重量%であ
った。この基油は、表2に示すように芳香族分は0.8
重量%と低く、酸化安定性(RBOT:添加剤0.5重
量%添加)は411分と長く、更には熱安定性試験に容
易に合格する。また、粘度指数は100でこの時の流動
点は−25.0℃であった。このように芳香族分が十分
に低いため、耐候試験にも容易に合格する。また、同時
に沸点範囲300〜480℃で、動粘度が20.2mm
2 /s(40℃)の重質潤滑油基油を得た。この基油の
収率は、脱ろう油に対して14重量%であった。この基
油は、芳香族分は0.6重量%と低く、酸化安定性(R
BOT:添加剤0.5重量%添加)は430分と長く、
更には熱安定性試験に容易に合格する。また、粘度指数
は116でこの時の流動点は−22.5℃であった。 〔実施例3〕実施例1において、水素化分解した後蒸留
して得られた留分III25重量%と留分II75重量
%を混合し、この混合留分についてMEK/トルエン容
量比(5/5)混合溶剤を用いて溶剤/油比3倍、濾過
温度−30℃の条件で溶剤脱ろうを行った。脱ろう収率
は76重量%であった。
【0046】この脱ろう油の動粘度は16.7mm2
s(40℃)で粘度指数は115であった。この時の流
動点は−22.5℃であった。次に脱ろう油をニッケ
ル、タングステンが担持されたアルミナ触媒を用い、反
応温度290℃、全圧210kg/cm2 G、LHSV
0.5hr-1、水素/油比360Nm3 /klで水素化
処理を行った。
【0047】次いで水素化処理生成油を蒸留で沸点範囲
280〜415℃で、動粘度が8.10mm2 /s(4
0℃)と低粘度な本発明の軽質潤滑油基油を得た。この
潤滑油基油の収率は、脱ろう油に対して46重量%であ
った。この基油は、表2に示すように芳香族分は1.0
重量%と低く、酸化安定性(RBOT:添加剤0.5重
量%添加)は361分と長く、更には熱安定性試験に容
易に合格する。また、粘度指数は102でこの時の流動
点は−25.0℃であった。このように芳香族分が十分
に低いため、耐候試験にも容易に合格する。また、同時
に沸点範囲340〜500℃で、動粘度が20.5mm
2 /s(40℃)の重質潤滑油基油を得た。この基油の
収率は、脱ろう油に対して28重量%であった。この基
油は、芳香族分は0.8重量%と低く、酸化安定性(R
BOT:添加剤0.5重量%添加)は435分と長く、
更には熱安定性試験に容易に合格する。また、粘度指数
は115でこの時の流動点は−22.5℃であった。
【0048】〔比較例1〕水素化分解、蒸留脱ろうまで
は実施例1と同様な工程及び条件で実施し、水素化処理
条件の全圧を160kg/cm2 G、反応温度290
℃、LHSV0.5hr-1、水素/油比360Nm3
klで水素化処理し、次いで水素化生成油を蒸留で沸点
範囲307〜383℃留分の軽質潤滑油基油を得た。こ
の基油の収率は、脱ろう油に対して56重量%であっ
た。この基油は表3に示すように全芳香族分は4.5重
量%、酸化安定性(RBOT:添加剤0.5重量%添
加)は390分で、熱安定性試験は合格する。また、粘
度指数は104でこの時の流動点は−25.0℃であっ
た。耐候試験は不合格となった。
【0049】〔比較例2〕水素化分解、蒸留、脱ろうま
では実施例1と同様な工程及び条件で実施し、得られた
脱ろう油をフルフラール溶剤精製し沸点範囲310〜3
96℃留分の軽質潤滑油基油を得た。この基油の収率
(フルフラール抽出率)は72重量%であった。 この
基油は表3に示すように全芳香族分は9.6重量%、酸
化安定性(RBOT:添加剤0.5重量%添加)は34
0分で、熱安定性試験は合格する。また、粘度指数は1
05でこの時の流動点は−25.0℃であった。耐候試
験は不合格となった。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】 *1)JIS K 2540に準拠(170℃×12時
間後の評価) *2)ASTM D 2272に準拠(添加剤0.5重
量%添加) *3)特開平1−94241号公報に記載されている光
劣化促進試験装置による96時間後の評価。いずれも試
験後の試料油が透明の場合を合格として○で示し、不合
格はその程度により曇りがある場合には△、沈澱物があ
る場合は×で示した。
【0052】
【表3】 *1)、*2)、*3)は表2に同じ。
【0053】
【発明の効果】本発明によると、潤滑油基油としての好
適な基本物性を具備し、しかも十分に高い粘度指数を有
し、かつ芳香族含量が極めて低く安定性(熱、光、酸
化、剪断安定性等)等に優れるなど理想的な物性及び性
状を有する高性能な軽質潤滑油基油であって、これを基
油として適用することによって、適用温度範囲の拡大、
安定性・耐久性の向上、各種潤滑油としての物性や性能
の最適化を容易に達成することができ、したがって、例
えば自動車類、船舶あるいは建設・工作用機械等の各種
の産業機械や装置類等に種々の目的で用いられる各種の
潤滑油(例えば、エンジン油、ATF油、作動油等々)
にその主成分として有利に使用することができる実用上
著しく有用な低芳香族炭化水素系の潤滑油を提供するこ
とができる。また、本発明によると、上記の本発明の高
性能な軽質潤滑油基油を、安価で性状が悪く付加価値の
低い重質軽油や減圧軽油あるいはその混合物から効率よ
く、低コストでしかも生産性よく製造するための方法を
提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10G 45/64 9547−4H C10G 45/64 47/20 9547−4H 47/20 C10N 20:00 20:02 30:10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭化水素系の軽質潤滑油基油であって、
    常圧における沸点が250〜430℃の範囲内にあ
    り、全芳香族分が1.8重量%以下であり、40℃
    における動粘度が5〜10mm2 /sの範囲にあり、
    粘度指数が95以上であり、流動点が−10℃以下で
    あり、かつ、2,6−ジターシャリーブチル−p−ク
    レゾール(DBPC)を0.5重量%添加した時の酸化
    安定性がRBOT値で340分以上であることを特徴と
    する軽質潤滑油基油。
  2. 【請求項2】 重質軽油(HGO)及び/又は減圧軽油
    (VGO)を、水素化分解し、当該分解生成物を沸点の
    終点が250〜390℃の留分(留分I)と沸点範囲が
    250〜540℃の留分(留分II)に蒸留分離し、更
    に、当該留分Iを蒸留して沸点範囲が240〜390℃
    の留分(留分III)を分離回収し、当該留分III又
    は留分IIIと留分IIの混合物に脱ろう処理を施して
    該留分からろう分を除去し、得られた脱ろうされた留分
    を水素化触媒の存在下で、全圧170〜230kg/c
    2 G、反応温度220〜370℃、供給液空間速度
    (LHSV)0.2〜1.5hr-1の条件で水素化処理
    し、この生成油から蒸留により常圧における沸点が25
    0〜430℃の範囲内にある留分を分離回収することを
    特徴とする請求項1に記載の軽質潤滑油基油の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 水素化分解を、シリカアルミナ、アルミ
    ナ及び/又はゼオライトを担体とし、周期律表VIA族
    の金属及び/又はVIII族の金属を含む触媒の存在下
    で行うものである請求項2記載の軽質潤滑油基油の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 脱ろう処理が、溶剤脱ろう及び/又は水
    素化脱ろうである請求項2又は3記載の軽質潤滑油基油
    の製造方法。
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