JPH08259974A - 潤滑油基油及びその製造方法 - Google Patents

潤滑油基油及びその製造方法

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JPH08259974A
JPH08259974A JP32271995A JP32271995A JPH08259974A JP H08259974 A JPH08259974 A JP H08259974A JP 32271995 A JP32271995 A JP 32271995A JP 32271995 A JP32271995 A JP 32271995A JP H08259974 A JPH08259974 A JP H08259974A
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fraction
oil
lubricating
base oil
dewaxed
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JP32271995A
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Inventor
Akemi Tanaka
明示 田中
Masami Takasaki
正己 高崎
Keiji Karasaki
啓治 唐崎
Yukio Yasuhara
幸夫 保原
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Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【解決手段】炭化水素系の潤滑油基油であって、常圧
における沸点が300〜520℃の範囲にあり、全芳
香族分が1.8重量%以下であり、40℃における動
粘度が15〜25mm2/sの範囲にあり、粘度指数が
107以上であり、流動点が−10℃以下であり、か
つ、2,6−ジターシャリ−ブチル−p−クレゾール
(DBPC)を0.5重量%添加した時の酸化安定性が
RBOT値で410分以上である潤滑油基油及びその製
造方法。 【効果】十分に高い粘度指数を有し、かつ芳香族含量が
低く安定性(熱、光、酸化、剪断安定性等)等に優れる
潤滑油基油であって、これを基油として適用することに
よって、適用温度範囲の拡大、安定性・耐久性の向上、
潤滑油としての物性や性能の最適化を容易に達成でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばガソリンエ
ンジンやディーゼルエンジン等による自動車類や船舶
類、あるいは建設・工作用機械等の各種の産業機械や装
置類等に種々の目的で用いられる各種の潤滑油(エンジ
ン油、ATF油、各種作動油等々)にその主成分となる
基油として有利に使用される潤滑油基油及びその製造方
法に関し、更に詳しく言うと、高粘度指数を有し、かつ
芳香族含量が極めて低く安定性(熱、光、酸化、剪断安
定性等)等に優れるなど潤滑油基油としての理想的な物
性及び性能を有しているので、これを基油として適用す
ることによって、適用温度範囲の拡大、安定性・耐久性
の向上、各種潤滑油としての物性及び性能の最適化を容
易に達成することができ、上記の用途に有利に使用する
ことができる高性能の潤滑油を容易に調製することがで
きる炭化水素系の潤滑油基油とその好適な製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車や産業機械等の高性能化、
省エネルギー対応化が進み、それらに使用する潤滑油の
性能の向上が強く求められている。潤滑油の性能は、そ
の主成分となる基油すなわち潤滑油基油の品質によると
ころが大きく、特に、自動車用の潤滑油(エンジン油、
ATF油、作動油等)や建設・工作用機械類の作動油等
においては、剪断安定性の向上、適用温度範囲の拡大、
酸化や熱、光等に対する安定性に優れ、しかも適度に低
粘度な高性能の炭化水素系の潤滑油基油が望まれてい
る。
【0003】なお、適用温度範囲の拡大の対策として
は、潤滑油基油の粘度指数を高くすることが望ましく、
また、酸化や熱、光等に対する安定性の向上あるいは確
保には、特に芳香族含量を低減させることが良策とされ
ている。
【0004】炭化水素系の潤滑油基油の製造あるいは物
性の調整には、従来から、溶剤抽出による方法すなわち
溶剤精製法が広く用いられており、かかる溶剤精製法に
よって高粘度指数の潤滑油基油を製造することも古くか
ら行われてはきた。しかし、こうした溶剤精製法によっ
て高粘度指数の潤滑油基油を製造する場合には、溶剤精
製によって潤滑油留分の粘度指数を大きく向上させるこ
とは一般に容易ではないので、原油の種類自体が狭く限
定されてしまい、しかも、抽出条件を厳格にしても高粘
度指数化を十分に達成することは容易ではなく、また酸
化安定性等の他の物性の改善や制御も難しいため、製品
の物性や用途に強い制限を受けるという問題点があっ
た。
【0005】そこで、比較的最近、高粘度指数の潤滑油
基油を製造する手段として、水素化分解法に溶剤精製法
及び/又は水素化処理法と脱ろう処理を組み合わせる方
法が提案され、その際、溶剤精製及び/又は水素化処理
によって芳香族分を低減あるいは制御することによっ
て、高粘度指数化と同時に熱や酸化等に対する安定性も
向上させようとする試みがなされている(特開平3−2
23393号公報、同4−36391号公報、同6−1
16571号公報及び同6−116572号公報参
照)。このように粘度指数の向上と共に、低芳香族化に
よって安定性の向上を図ろうとする技術的思想は注目に
値する。
【0006】しかしながら、上記の公報に記載の方法で
は、いずれの場合にも芳香族含量の低減を効率よく行い
がたいため、たとえ高粘度指数化が満足されたとしても
酸化や熱、光等に対する安定性の確保が容易ではないと
いう問題点がある。実際、上記の特開平4−36391
号公報等においては、脱芳香族処理には水素化処理法よ
りも溶剤精製法の方が好ましいとしているが、その溶剤
精製法でも脱芳香族率が低いため、得られる潤滑油基油
中には例えば2〜15重量%という高濃度の芳香族分が
含まれている。このような高芳香族含量の潤滑油基油で
は、十分な酸化、熱、光等に対する安定性は期待できな
い。また、溶剤精製法と水素化処理法をよりうまく組み
合わせればそれだけ脱芳香族率を向上させることも期待
できるが、その場合には脱芳香族のための工程が複雑と
なり、建設コストや製造コストが高くなる。なお、特開
平6−116571号公報及び同6−116572号公
報には、溶剤精製法の後に水素化処理法を組み合わせて
脱芳香族による安定性の向上を試みているが、実際には
上記同様に十分な改善効果は得られていない。
【0007】一方、特開平6−116570号公報に
は、水素化分解油に、常用される水素化処理触媒を用い
て2段階の水素化処理法を施し耐光性を有する低芳香族
炭化水素油を得るという方法が開示されている。該方法
では、1段目の水素化処理を反応温度290〜355
℃、反応圧50〜150kg/cm2Gの条件で行い芳
香族分を1重量%以下に低減させ、2段目の水素化処理
を反応温度120〜280℃、反応圧50〜150kg
/cm2Gの条件で行い耐光性を向上させている。この
ような温和な条件での水素化処理によって芳香族分を1
重量%以下に低減できるということは、一見、注目され
る。しかしながら、この場合には、該公報の実施例に見
られるように、実際には、1段目の水素化処理の原料油
として、水素化分解油にMEK(メチルエチルケトン)
法による脱ろう処理を施した後、更にフルフラールによ
る溶剤精製処理を施したものを用いていることに注意す
べきである。したがって、この場合も結局は上記の技術
と同様に、特定の溶剤精製法と水素化処理法を組み合わ
せた技術にほかならない。すなわち、該方法では、その
実施例において1段目の水素化処理を反応圧80kg/
cm2G、LHSV0.2hr-1という比較的温和な条
件で行って芳香族分が0.5重量%という低い値の生成
油を得ているが、これは、上記のように特殊な溶剤精製
による脱芳香族処理を施した極めて特定の性状の良い原
料油を用いているためであり、原料油にそのような特定
の前処理(フルフラール等による溶剤精製処理)を施さ
ずに脱ろう処理のみを行ってから上記のような温和な条
件で水素化処理に供した場合には、1段の水素化処理で
芳香族分を0.5重量%という低い値まで低減させるこ
とは一般に極めて困難である。
【0008】また、特開平6−116570号公報には
目的とする耐光性を有する低芳香族炭化水素油の製造方
法については詳細に述べられているが、該炭化水素油の
用途としては、クリーニング用溶剤、塗料、殺虫剤やイ
ンキ用溶剤に主眼をおいており、潤滑油については、水
素化分解に供する原料油の沸点(320℃以上の留分)
が記載されているのみで他に何ら説明はなく、実際、該
炭化水素油製品の潤滑油基油あるいは潤滑油としての物
性や性能については何も記載されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、潤滑油基油
としての好適な基本物性を具備し、しかも十分に高い粘
度指数を有し、かつ芳香族含量が極めて低く安定性
(熱、光、酸化、剪断安定性等)等に優れるなど理想的
な物性及び性状を有する高性能の潤滑油基油であって、
これを基油として適用することによって、適用温度範囲
の拡大、安定性・耐久性の向上、潤滑油としての物性や
性能の最適化を容易に達成することができ、したがっ
て、例えば自動車類、船舶あるいは建設・工作用機械等
の各種の産業機械や装置類等に用いられる各種の潤滑油
(例えば、エンジン油、ATF油、作動油等々)にその
主成分となる基油として有利に使用することができる実
用上著しく有用な低芳香族炭化水素系の潤滑油基油と、
その好適な製造方法として重質軽油や減圧軽油から該高
性能の潤滑油基油を比較的低コストで容易に得る方法を
提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、多種多様
な原油から得られる重質軽油や減圧軽油(以下、原料油
と称することがある)を常法に従って水素化分解し、そ
の水素化分解油を燃料油留分と潤滑油留分に蒸留分離
し、得られた潤滑油留分を脱ろうした後、水素化処理触
媒の存在下で、従来の条件よりも過酷な反応条件すなわ
ち、170〜230kg/cm2Gという比較的高い反
応圧で、かつ、反応温度220〜370℃、供給液空間
速度(LHSV)0.2〜1.5hr-1という特定の条
件で水素化処理し、この生成油から蒸留分離により回収
した常圧における沸点が300〜520℃の範囲にある
特定の炭化水素留分が、十分に高い粘度指数を有し、し
かも、芳香族分が十分に少なく、熱、光、酸化等に対す
る安定性に優れており、上記の各種の用途に好適に使用
することができる高性能の潤滑油の基油として極めて有
用であることを見いだした。なお、こうして得た低芳香
族の炭化水素留分をもとに、高性能の潤滑油を設計・調
製するにはその基油にはどのような物性等が望まれるか
を、更に一般に詳細に検討したところ、少なくとも、沸
点範囲、全芳香族含量、動粘度、粘度指数、流動点及び
酸化安定性(RBOT値)がある特定の範囲にあること
が肝要であるという結論に達した。
【0011】すなわち、本発明者らは、そのような特定
の物性及び性状を有する該潤滑油基油が上記の目的を満
足する優れた潤滑油基油となること、そして、そのよう
な高性能の目的とする潤滑油基油の製造方法としては、
上記の特定の条件で水素化処理をするという新規な手法
からなる方法が好適であり実用上に有利な方法であると
いうことを確認した。
【0012】また、本発明者らは、上記水素化分解油の
蒸留によって得た燃料油留分と潤滑油留分のうち、燃料
油留分を更に蒸留して軽質留分と重質留分に分離し、そ
の重質留分を潤滑油留分と共に脱ろうして上記水素化処
理を行うか、又は別個に脱ろうした後混合して上記水素
化処理を行うことにより、上記の優れた潤滑油基油と共
に、粘度グレードの異なる安定性に優れた潤滑油基油が
副生物として得られることを見出した。
【0013】本発明者らは、これらの知見に基づき、本
発明を完成するに至った。
【0014】すなわち、本発明は、炭化水素系の潤滑油
基油であって、常圧における沸点が300〜520℃
の範囲にあり、全芳香族分が1.8重量%以下であ
り、40℃における動粘度が15〜25mm2/sの
範囲にあり、粘度指数が107以上であり、流動点
が−10℃以下であり、かつ、2,6−ジターシャリ
ーブチル−p−クレゾール(DBPC)を0.5重量%
添加したときの酸化安定性がRBOT値で410分以上
であることを特徴とする潤滑油基油を提供するものであ
る。
【0015】また、本発明は、上記本発明の潤滑油基油
の好適な製造方法として、重質軽油(HGO)及び/又
は減圧軽油(VGO)を、シリカアルミナ、アルミナ及
び/又はゼオライトを担体とし周期表6族の金属及び/
又は8〜10族(IUPAC1991年周期表)の金属
を含む水素化分解触媒の存在下で水素化分解し、当該分
解生成物を燃料油留分と潤滑油留分に蒸留分離し、当該
潤滑油留分に溶剤脱ろう及び/又は水素化脱ろうによる
脱ろう処理を施して該留分からろう分を除去し、得られ
た脱ろう潤滑油留分をシリカアルミナ及び/又はアルミ
ナを担体とし周期表6族の金属及び/又は8〜10族の
金属を含む水素化触媒の存在下で、全圧170〜230
kg/cm2G、反応温度220〜370℃、供給液空
間速度(LHSV)0.2〜1.5hr-1の条件で水素
化処理し、この生成油から蒸留により常圧における沸点
が300〜520℃の範囲にある留分を分離回収するこ
とを特徴とする方法を併せて提供する。なお、この方法
すなわち本発明の方法を方法Aと呼ぶことがある。
【0016】更に、本発明は、上記本発明の潤滑油の好
適な製造方法として、重質軽油(HGO)及び/又は減
圧軽油(VGO)を、シリカアルミナ、アルミナ及び/
又はゼオライトを担体とし周期表6族の金属及び/又は
8〜10族の金属を含む水素化分解触媒の存在下で水素
化分解し、当該分解生成物を燃料油留分と潤滑油留分に
蒸留分離し、当該燃料油留分を更に軽質留分と重質留分
に蒸留分離し、当該潤滑油留分及び当該重質留分との混
合留分に溶剤脱ろう及び/又は水素化脱ろうによる脱ろ
う処理を施して該混合留分からろう分を除去して脱ろう
混合留分を得、或は、当該潤滑油留分及び当該重質留分
の各々に溶剤脱ろう及び/又は水素化脱ろうによる脱ろ
う処理を施して各留分からろう分を除去して脱ろう潤滑
油留分及び脱ろう重質留分を得、次いで、当該脱ろう混
合留分、又は当該脱ろう潤滑油留分及び当該脱ろう重質
留分の混合物をシリカアルミナ及び/又はアルミナを担
体とし周期表6族の金属及び/又は8〜10族の金属を
含む水素化触媒の存在下で、全圧170〜230kg/
cm2G、反応温度220〜370℃、供給液空間速度
(LHSV)0.2〜1.5hr-1の条件で水素化処理
し、この生成油から蒸留により常圧における沸点が30
0〜520℃の範囲にある留分を分離回収することを特
徴とする方法を併せて提供する。なお、この方法すなわ
ち本発明の方法を方法Bと呼ぶことがある。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、まず、本発明の潤滑油基油
について詳細に説明する。
【0018】本発明の潤滑油基油は、目的及び製造方法
に応じて多種多様な組成や性状のものとして実現するこ
とができるが、少なくとも、前記〜の条件をすべて
満足していることが肝要である。
【0019】すなわち、本発明の潤滑油基油は、常圧に
おける沸点が300〜520℃の範囲にあることが重要
であり、特に、330〜510℃の留分が好ましい。こ
こで、沸点が300℃未満の低沸点留分や520℃を超
える著しく高沸点の留分を含むと、潤滑油基油としての
基本特性が十分に発揮されないことがあり、例えば、蒸
発損失が多くなったり、あるいは、粘性抵抗大によるエ
ネルギー損失の増となるなどの支障を生じやすい。ただ
し、この潤滑油基油を用いて各種の潤滑油を調製する際
に一般に目的に応じて酸化安定性向上剤等の種々の添加
剤を添加するのが普通であるが、その際添加する添加剤
等については特に制限はなく、通常の種々の沸点のもの
を適宜添加しても構わない。
【0020】本発明の潤滑油基油は、炭化水素系のもの
であり、一般に、n−パラフィン、分岐パラフィン、ナ
フテン系炭化水素等の飽和炭化水素を主成分とする炭化
水素混合物であるが、芳香族炭化水素を含有していると
しても、全芳香族分が1.8重量%以下であることも重
要であり、中でも、全芳香族分が1.0重量%以下であ
るものが好ましい。ここでいう全芳香族分の値は、AS
TM−D−2549の方法によって測定されたものであ
る(以下、同様)。このように全芳香族含量を1.8重
量%以下という低い値にすることによって、熱、光、酸
化等に対する安定性を十分に確保することができ、十分
に安定で耐久性に優れた潤滑油を容易に実現することが
できる。もちろん、本発明の潤滑油基油の場合にも、必
要に応じて、酸化安定剤等の公知の各種の安定剤若しく
は安定化助剤等を適宜添加して、安定性や耐久性を更に
向上させて使用してもよい。
【0021】また、本発明の潤滑油基油は、40℃にお
ける動粘度が15〜25mm2/sの範囲にあることも
肝要であり、中でも、40℃における動粘度が18〜2
2mm2/sの範囲にあるものが好ましい。すなわち、
本発明の潤滑油基油は、上記のように比較的低い動粘度
特性を有することを特徴としており、高性能の低粘度潤
滑油基油である。
【0022】また、本発明の潤滑油基油は、粘度指数が
107以上であることも重要であり、中でも、粘度指数
が110以上であるものが好ましい。本発明の潤滑油基
油は、このように粘度指数が107以上という高い値を
有しているので、これを潤滑油の基油として適用するこ
とによってその潤滑油の適用温度範囲を十分に拡大する
ことができ、潤滑油のマルチグレード化を好適に図るこ
とができる。本発明の潤滑油基油の場合にも、従来のも
のと同様に例えばポリメタクリレート等の粘度指数を向
上するための添加剤を適宜添加して使用することもでき
るが、本発明の場合には、そのような添加剤は従来の場
合より少なくてよいので、添加剤の添加によって生じが
ちな他の物性や特性の低下(例えば、剪断安定性の低
下)を最小限に抑制することができるという利点があ
る。なお、本発明の潤滑油基油は高い剪断安定性を具備
している。
【0023】更に、本発明の潤滑油基油は、流動点が−
10.0℃以下であることも重要であり、中でも、流動
点が−15℃以下であるものが好ましい。このことによ
って、潤滑油の低温流動性を確保することができ、低温
環境における使用にも十分に対応できる。
【0024】また、本発明の潤滑油基油は、それ自体で
も十分な熱、光、酸化等に対する安定性を有している
が、必要に応じて、酸化安定剤等の各種の安定剤や安定
化助剤等を添加して使用することができる。この酸化安
定剤等としては、後述のものなど公知の各種のものが使
用可能であるが、本発明の潤滑油基油は、2,6−ジタ
ーシャリーブチル−p−クレゾール(DBPC)を0.
5重量%添加したときの酸化安定性がRBOT値で41
0分以上であることも重要である(なお、この場合RB
OT値はASTM−D−2272によって測定されたも
のである)。もちろん、このことは、常にDBPCを添
加して使用するということを意味しているものではな
く、上記のようにごく微量の酸化安定剤の添加によって
も十分に高い酸化安定性を確保することができるという
ことを示すものであり、必要に応じて、任意の酸化安定
剤を任意の割合で添加して使用することができる。
【0025】本発明の潤滑油基油は、上記のように少な
くとも上記〜の条件を満足していれば、これら以外
の一般的物性や性状等については特に制限はないのであ
るが、一般に、アニリン点が100〜120℃の範囲に
あるものが好ましく、引火点については、200℃以上
のものが好ましく、また、色相について言えば、例え
ば、セイボルトカラーで+20以上のものが好ましい。
【0026】以上のように、本発明の潤滑油基油は、各
種の高性能の潤滑油を調製するための潤滑油基油として
の基本物性に優れており、特に、高粘度指数を有し、芳
香族分が十分に少なくそれ自体でも熱、光、酸化等に対
する安定性に優れ、極く微量の酸化安定剤等の安定剤の
添加によっても熱、光、酸化等に対する安定性の更なる
向上を十分に達成することができるなどの種々の利点を
有する高性能の低粘度潤滑油基油であり、目的に応じ
て、上記の範囲内で〜の物性や性状を調節・最適化
したり、他の物性や性状を適宜選定・調整することによ
って、各種の用途に最適な潤滑油を調製するための基油
として極めて有利に使用することができる。
【0027】なお、本発明の潤滑油基油には、目的に応
じて、各種の添加剤を混合若しくは添加して使用するこ
とができる。すなわち、本発明の潤滑油基油は、それ自
体でも潤滑油として使用可能ではあるが、通常は、一般
に行われるように、目的に応じて各種の添加剤を添加し
てそれぞれの用途に適合した潤滑油として使用するのが
よい。
【0028】添加剤としては、公知のものなど各種のも
のが使用可能であり、この添加剤としては例えば、2,
6−ジターシャリーブチル−p−クレゾール等のフェノ
ール系、アミン系、硫黄系、チオリン酸亜鉛系、フェノ
チアジン系などの酸化防止剤、モリブデンジチオホスフ
ェート、モリブデンジチオカルバメート、二硫化モリブ
デン、フッ化カーボン、ほう酸エステル、脂肪族アミ
ン、高級アルコール、高級脂肪酸、脂肪酸エステル、脂
肪酸アミドなどの摩擦低減剤、トリクレジルホスフェー
ト、トリフェニルホスフェート、ジチオリン酸亜鉛など
の極圧剤、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホ
ネート、ジノニルナフタレンスルホネートなどの錆止め
剤、ベンゾトリアゾールなどの金属不活性化剤、アルカ
リ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属フェネー
ト、アルカリ土類金属サリシレート、アルカリ土類金属
ホスホネートなどの金属系清浄剤、シリコーンなどの消
泡剤、ポリメタクリレート、ポリイソブチレン、ポリス
チレンなどの粘度指数向上剤、流動点降下剤などが挙げ
られ、これらを単独又は2種以上組み合わせて添加する
ことができる。
【0029】本発明の潤滑油基油は、前記した各種の用
途に適合した高性能の潤滑油の基油として好適に使用こ
とができる。
【0030】本発明の潤滑油基油は、その一般的な製造
方法としては特に制限はないが、前記本発明の方法によ
って好適にかつ生産性よく製造することができる。ま
た、本発明の潤滑油基油は、中でもこの方法Aによって
製造したものが好ましい。
【0031】以下、本発明の潤滑油基油の好適な製造方
法である本発明の方法Aについて詳細に説明する。
【0032】この方法Aにおいては、原料油として、重
質軽油(HGO)又は減圧軽油(VGO)あるいはこれ
らの任意の割合の混合油を使用する。該原料油として
は、各種の原油等からのものが使用可能である。
【0033】目的とする潤滑油基油は、該原料油から、
以下に示すように、基本的に、水素化分解工程、蒸留工
程、脱ろう(ワックス分除去)工程、水素化処理(脱芳
香族)工程及び蒸留工程からなる精油プロセスによって
製造される。
【0034】(工程A−1)水素化分解 この水素化分解に供する原料油としては、基本的には、
前記重質軽油(HGO)又は減圧軽油(VGO)あるい
はこれらの任意の割合の混合油を使用するが、必要に応
じて、これらに後段の工程からのリサイクル油を適宜適
量添加して反応に供してもよい。
【0035】水素化分解は、通常、次に示す諸条件で好
適に実施される。
【0036】すなわち、反応圧は全圧で、通常、100
〜190kg/cm2G、好ましくは、130〜180
kg/cm2Gの範囲に選定するのが好適である。
【0037】供給水素ガスの割合は、供給油1klに対
して、通常、500〜1500Nm3、好ましくは、8
00〜1200Nm3の範囲に調整するのが適当であ
る。
【0038】反応温度は、通常、340〜440℃、好
ましくは、350〜420℃の範囲に選定するのが好適
である。
【0039】また、液空間速度(LHSV)は供給油基
準で、通常、0.3〜1.5hr-1、好ましくは、0.
5〜1.2hr-1の範囲に適宜調節すればよい。
【0040】該水素化分解に用いる触媒としては、シリ
カアルミナ、アルミナ及び/又はゼオライトを担体とし
周期表6族の金属及び/又は8〜10族の金属を含む水
素化分解触媒を使用する。ここで、周期表6族金属とし
ては、Cr、Mo及びWを挙げることができ、これらの
中でも、通常、Mo、Wが好ましい。周期表8〜10族
金属としては、Fe、Co、Ni、Rh、Ru、Pd、
Os、Ir及びPtを挙げることができるが、通常は、
Ni等が好ましい。これらの金属は、場合に応じて、1
種単独で使用することができるし、2種以上を組み合わ
せて使用することもできるが、通常は、Ni−Mo、N
i−W等の組み合わせが好適である。なお、ゼオライト
を用いる場合には、例えば、X型、Y型、B型等の各種
のものが使用可能であるが、中でも特にY型等が好適に
使用される。また、複数の種類の担体を適宜混合若しく
は複合して使用してもよい。例えば、ゼオライトの場合
には、これにアルミナやシリカアルミナ等をマトリック
スとして用いて成形したものなどが好適に使用される。
更に、該触媒としては、上記以外の担体成分や金属成分
を含有するものも適宜使用可能である。
【0041】(工程A−2)蒸留 この工程では、上記工程A−1の水素化分解によって得
た分解生成油を蒸留により潤滑油留分と燃料油留分等に
分離する。その際、潤滑油留分として、通常、沸点範囲
250〜540℃の留分、好ましくは、沸点範囲300
〜530℃の留分を分離回収するのがよく、そのために
は、燃料油留分はその沸点の終点が250〜390℃に
なるように分離するのがよい。なお、沸点はいずれも常
圧若しくは常圧換算の沸点で示してある(以下、同
様)。
【0042】こうして分離した所定の沸点範囲にある潤
滑油留分は、次の工程A−3に送られ脱ろう処理に供さ
れるが、必要に応じて、該潤滑油留分の一部を上記工程
A−1にリサイクルしてもよい。一方、分離した燃料油
や回収ガスはそれぞれの用途に有効に利用することがで
きる。
【0043】(工程A−3)脱ろう この工程A−3では、上記工程A−2で得た潤滑油留分
を脱ろう処理し、ろう分(ワックス分)を十分に除去す
る。この脱ろうは、下記の溶剤抽出による溶剤脱ろう法
(a)又は触媒を用いて水素化を行う水素化脱ろう法
(b)によって行う。なお、必要に応じて、適宜、
(a)と(b)を組み合わせてもよく、その場合、
(a)の後に(b)を実施しても良いし、あるいは逆に
(b)の後に(a)を行ってもよい。ただし、通常は、
下記の(a)又は(b)のみによって十分な脱ろうを行
うことができる。
【0044】(a)溶剤脱ろう この溶剤脱ろう法としては、各種の溶剤を用いる公知の
各種の溶剤脱ろう法が適用可能であるが、通常はメチル
エチルケトン(MEK)を抽出溶剤成分として用いるM
EK法が好適に使用される。このMEK法による脱ろう
処理は、基本的には常法に従って行うことができるが、
通常は、下記の諸条件で実施するのが好適である。
【0045】すなわち、脱ろう溶剤としては、MEKと
トルエンからなり、MEKが30〜70容量%、好まし
くは、35〜50容量%で、これに対応して、トルエン
が70〜30容量%、好ましくは、65〜50容量%の
組成のものが好適に使用される。なお、必要に応じて、
MEK及びトルエン以外の他の溶剤を適宜適量添加した
溶剤を使用してもよい。
【0046】前記脱ろう溶剤と脱ろう処理に供する前記
潤滑油留分の供給割合としては、特に制限はないが、通
常は、容量比(供給溶剤/供給潤滑油留分)を1.0〜
6.0、好ましくは、1.5〜4.5の範囲に選定して
脱ろうを実施するが好適である。
【0047】その際、脱ろう処理の温度としては、特に
制限はないが、脱ろう時の溶剤の温度が、通常、−45
〜−10℃、好ましくは、−40〜−15℃の範囲に保
持されるように実施するのが好適である。
【0048】以上のようにして、前記潤滑油留分からろ
う分を抽出除去し、ろう分を除去した潤滑油留分を溶剤
と分離して回収する。なお、ろう分を十分に除去するた
めには、通常、回収潤滑油留分の収率が用いた原料潤滑
油留分に対して60〜85容量%の範囲になるように実
施することが好ましい。
【0049】(b)水素化脱ろう この方法では、適当な触媒の存在下で前記潤滑油留分を
水素と接触反応せしめて脱ろうを行う。この水素化脱ろ
うも基本的には常法に従って行うことができるが、通常
は、脱ろうのための水素化反応を次の諸条件で行うこと
によって好適になすことができる。
【0050】触媒としては、各種のものが使用可能であ
るが、通常は、ZSM−5あるいはZSM−5型のゼオ
ライトが好適に使用される。
【0051】反応の全圧は、通常、20〜100kg/
cm2G、好ましくは、25〜70kg/cm2Gの範囲
に選定するのが適当である。
【0052】反応温度は、通常、230〜360℃、好
ましくは、250〜350℃の範囲に選定するのが好適
である。
【0053】液空間速度(LHSV)は供給油(潤滑油
留分)基準で、通常、0.3〜3.0hr-1、好ましく
は、0.5〜2.5hr-1の範囲に選定するのが適当で
ある。
【0054】反応後、生成物を気液分離し、更に、必要
に応じて、蒸留あるいは溶剤抽出等の後処理を施すこと
によって所望の脱ろうされた潤滑油留分を回収する。た
だし、場合によっては生成物を気液分離しないでそのま
ま次の水素化処理工程に供給する方式を採用してもよ
い。
【0055】(工程A−4)水素化処理(脱芳香族処
理) この工程A−4では、上記工程A−3で得た脱ろう潤滑
油留分を所定の水素化処理触媒の存在下で水素化処理
し、該原料潤滑油留分中に含まれている芳香族化合物を
水素化して芳香族分が所定の値以下に低減された精製潤
滑油留分を得る。
【0056】該水素化処理反応に用いる触媒としては、
シリカアルミナ及び/又はアルミナを担体とし周期表6
族の金属及び/又は8〜10族の金属を含む水素化触媒
を使用する。ここで、周期表6族金属としては、Cr、
Mo及びWを挙げることができ、これらの中でも、通
常、Mo、Wが好ましい。周期表8〜10族金属として
は、Fe、Co、Ni、Rh、Ru、Pd、Os、Ir
及びPtを挙げることができるが、通常は、Ni等が好
ましい。これらの金属は、場合に応じて、1種単独で使
用することができるし、2種以上を組み合わせて使用す
ることもできるが、通常は、Ni−Mo、Ni−W等の
組み合わせが好適である。なお、複数の種類の担体を適
宜混合若しくは複合化して使用してもよい。該触媒とし
ては、公知の各種のものが適用でき、上記以外の担体成
分や金属成分を含有するものも適宜使用可能である。
【0057】この脱芳香族のための水素化処理は、従来
の場合よりも高圧下で行うことを特徴としており、下記
の諸条件で行うことが重要である。
【0058】すなわち、該水素化処理は、反応圧を全圧
で、170〜230kg/cm2Gの範囲に選定して行
うことが肝要であり、特に、180〜220kg/cm
2Gの範囲に選定して実施するのが好ましい。
【0059】ここで、反応圧(全圧)が、170kg/
cm2G未満であると、十分な脱芳香族化がなされない
ので、本発明の目的を十分に達成することができない。
一方、反応圧が230kg/cm2G以上では、それだ
け高圧に耐える特殊な装置を必要とするので設備コスト
が高くなるので不経済である。
【0060】このように反応を上記のように従来法より
も高圧の範囲で行うことによって、従来行われていたよ
うな、原料潤滑油留分のフルフラール等による溶剤精製
等の前処理(前段脱芳香族処理)を行うことなく、十分
な脱芳香族が可能となる。したがって、本発明の方法で
は、その分工程が簡略化され経済的に著しく有利にな
る。
【0061】なお、該水素化処理における供給水素ガス
の割合は、供給油1klに対して、通常、250〜15
00Nm3、好ましくは、300〜1200Nm3の範囲
に調整するのが適当である。
【0062】反応温度は、220〜370℃の範囲に選
定するのが肝要であり、特に、230〜360℃の範囲
に選定するのが好ましい。反応温度が、220℃未満で
は、脱芳香族化が不十分となり、一方、370℃を超え
ると、水素化分解反応等の副反応が無視できなくなり、
所望の潤滑油留分の収率が低下し、プロセス上の不利を
招く。
【0063】また、該水素化処理反応は、液空間速度
(LHSV)を供給油基準で、0.2〜1.5hr-1
好ましくは、0.3〜1.0hr-1の範囲に適宜調節し
て実施される。LHSVが0.2hr-1未満では、生産
性が悪くなり、一方、1.5hr-1より大きいと十分な
脱芳香族化を達成することができない。
【0064】以上のようにして、水素化処理によって得
た生成油は、次の蒸留工程に送られ蒸留分離される。
【0065】(工程A−5)蒸留(目的とする低芳香族
潤滑油基油の回収) この工程A−5では、上記工程A−4の水素化処理で得
た生成油を蒸留し、目的とする潤滑油基油(本発明の潤
滑油基油の好ましい態様)を得る。
【0066】該蒸留は、常法に従って行うことができる
が、目的とする潤滑油基油は、沸点範囲が300〜52
0℃、好ましくは、330〜510℃の留分として分離
回収する。
【0067】以上の工程A−1〜A−5によって、安価
で付加価値の低い重質軽油や減圧軽油あるいはその混合
物から、前記〜の条件を満足する本発明の潤滑油基
油の好ましい態様である高性能の潤滑油基油を効率よ
く、低コストでしかも生産性よく製造することができ
る。
【0068】こうして得た潤滑油基油は、前記した各種
の用途に有利に使用することができる。
【0069】次に、本発明の潤滑油基油の他の好適な製
造方法である本発明の方法Bについて詳細に説明する。
【0070】上記方法Aにおいては原料油の水素化分解
油の蒸留によって得潤滑油留分のみに上記水素化処理を
施し、蒸留することにより本発明の潤滑油基油を製造し
ているのに対し、この方法Bにおいては、原料油の水素
化分解油によって得た燃料油留分を更に蒸留して軽質留
分と重質留分に分離し、その重質留分を潤滑油留分と共
に用いて本発明の潤滑油基油を製造する。この方法Bに
よれば、燃料油留分中の重質分を本発明の優れた潤滑油
基油の原料として有効利用することができ、本発明の潤
滑油基油(以下、潤滑油基油Aと称することがある)と
粘度グレードが異なり、安定性に優れた潤滑油基油(以
下、潤滑油基油Bと称することがある)が副生物として
得られる。
【0071】この方法Bにおいては、方法Aと同様に、
原料油として、重質軽油(HGO)又は減圧軽油(VG
O)あるいはこれらの任意の割合の混合油を使用する。
該原料油としては、各種の原油等からのものが使用可能
である。
【0072】この方法Bの精製プロセスは、以下に示す
ように、基本的に、該原料油の水素化分解工程、蒸留工
程(蒸留工程及び蒸留工程)、脱ろう(ワックス分
除去)工程、水素化処理(脱芳香族)工程及び蒸留工程
からなる。
【0073】(工程B−1)水素化分解 この水素化分解に供する原料油、水素化分解の条件は、
方法Aの工程A−1と同様である。
【0074】(工程B−2)蒸留 蒸留工程 この蒸留工程では、方法Aと同様にして、上記工程B
−1の水素化分解によって得た分解生成油を蒸留により
潤滑油留分と燃料油留分等に分離する。方法Aと同様、
潤滑油留分として、通常、沸点範囲250〜540℃の
留分、好ましくは、沸点範囲300〜530℃の留分を
分離回収するのがよく、そのためには、燃料油留分はそ
の沸点の終点が250〜390℃になるように分離する
のがよい。
【0075】こうして分離した潤滑油留分の一部を、方
法Aと同様、必要に応じて、上記工程B−1にリサイク
ルしてもよい。一方、回収ガスはそれぞれの用途に有効
に利用することができる。
【0076】蒸留工程 この蒸留工程では、上記蒸留工程で得た燃料油留分
を、更に蒸留して軽質留分及び重質留分に分離する。そ
の際、重質留分として、通常、沸点範囲240〜390
℃の留分、好ましくは、沸点範囲270〜390℃の留
分を分離回収するのがよく、そのためには、軽質留分は
その沸点の終点が230〜320℃になるように分離す
るのがよい。
【0077】こうして分離した軽質留分は、燃料油等と
しての用途に有効に利用することができる。
【0078】(工程B−3)脱ろう この工程B−3では、(1)上記工程B−2の蒸留工程
で得た潤滑油留分と蒸留工程で得た重質留分との混
合留分に脱ろう処理を施して脱ろう混合留分を得るか、
或は、(2)上記潤滑油留分及び上記重質留分の各々に
別個に脱ろう処理を施して脱ろう潤滑油留分及び脱ろう
重質留分を得る。
【0079】上記(1)及び(2)の場合共に、この脱
ろうは、方法Aの工程A−3におけると同様に、溶剤抽
出による溶剤脱ろう法(a)又は触媒を用いて水素化を
行う水素化脱ろう法(b)によって行う。なお、必要に
応じて、適宜、(a)と(b)を組み合わせてもよく、
その場合、(a)の後に(b)を実施しても良いし、あ
るいは逆に(b)の後に(a)を行ってもよい。ただ
し、通常は、下記の(a)又は(b)のみによって十分
な脱ろうを行うことができる。
【0080】この工程B−3において好適に採用される
溶剤脱ろう法及び水素化脱ろう法の種類、それらの条件
等は、以下に示すとおり、方法Aの工程A−3における
と同様である。
【0081】(a)溶剤脱ろう 溶剤脱ろうに用いられる溶剤としては、方法Aにおいて
溶剤脱ろうについて説明したと同様のものが用いられ
る。
【0082】前記脱ろう溶剤と脱ろう処理に供する前記
混合留分の供給割合、並びに、前記潤滑油留分及び重質
留分の各々の供給割合としては、通常は、容量比(供給
溶剤/供給混合留分、供給溶剤/供給潤滑油留分、又は
供給溶剤/供給重質留分)を1.0〜6.0、好ましく
は、1.5〜4.5の範囲に選定して脱ろうを実施する
が好適であり、脱ろう処理の温度としては、特に制限は
ないが、脱ろう時の溶剤の温度が、通常、−45〜−1
0℃、好ましくは、−40〜−15℃の範囲に保持され
るように実施するのが好適である。
【0083】以上のようにして、前記混合留分から、又
は前記潤滑油留分及び重質留分の各々から別個にろう分
を抽出除去し、ろう分を除去した脱ろう混合留分を、又
は脱ろう潤滑油留分及び脱ろう重質留分の各々を溶剤と
分離して回収する。なお、ろう分を十分に除去するため
には、通常、回収脱ろう混合留分、回収脱ろう潤滑油留
分又は回収脱ろう重質留分の収率が、用いた原料混合留
分、原料潤滑油留分又は原料重質留分に対して60〜8
5容量%の範囲になるように実施することが好ましい。
【0084】(b)水素化脱ろう この方法では、適当な触媒の存在下で前記混合留分を、
又は前記潤滑油留分及び重質留分を別個に水素と接触反
応せしめて脱ろうを行う。この水素化脱ろうも基本的に
は常法に従って行うことができるが、通常は、脱ろうの
ための水素化反応を次の諸条件で行うことによって好適
になすことができる。
【0085】触媒としては、各種のものが使用可能であ
るが、通常は、ZSM−5あるいはZSM−5型のゼオ
ライトが好適に使用される。
【0086】反応の全圧は、通常、20〜100kg/
cm2G、好ましくは、25〜70kg/cm2Gの範囲
に選定するのが適当である。
【0087】反応温度は、通常、230〜360℃、好
ましくは、250〜350℃の範囲に選定するのが好適
である。
【0088】液空間速度(LHSV)は供給油(混合留
分、潤滑油留分又は重質留分)基準で、通常、0.3〜
3.0hr-1、好ましくは、0.5〜2.5hr-1の範
囲に選定するのが適当である。
【0089】反応後、生成物を気液分離し、更に、必要
に応じて、蒸留あるいは溶剤抽出等の後処理を施すこと
によって所望の脱ろうされた脱ろう混合留分、又は脱ろ
う潤滑油留分及び脱ろう重質留分を回収する。ただし、
場合によっては生成物を気液分離しないでそのまま次の
水素化処理工程に供給する方式を採用してもよい。
【0090】(工程B−4)水素化処理(脱芳香族処
理) この工程B−4では、上記工程B−3で得た脱ろう混合
留分、又は当該脱ろう潤滑油留分及び当該脱ろう重質留
分の混合物を、所定の水素化処理触媒の存在下で水素化
処理し、該原料脱ろう混合留分中、又は脱ろう潤滑油留
分及び脱ろう重質留分の混合物中に含まれている芳香族
化合物を水素化して芳香族分が所定の値以下に低減され
た精製留分を得る。
【0091】該水素化処理反応に用いる触媒、水素化処
理の条件は、方法Aにおける工程A−4と同様である。
【0092】(工程B−5)蒸留(目的とする低芳香族
潤滑油基油A及び副生物としての低芳香族潤滑油基油B
の回収) この工程B−5では、上記工程B−4の水素化処理で得
た生成油を蒸留し、目的とする潤滑油基油A(本発明の
潤滑油基油の好ましい態様)及び副生物としての潤滑油
基油Bを得る。
【0093】該蒸留は、常法に従って行うことができる
が、目的とする上記条件〜を満足する潤滑油基油A
は、沸点範囲が300〜520℃、好ましくは、330
〜510℃の留分として分離回収する。
【0094】また、該蒸留において、沸点範囲が250
〜430℃、好ましくは260〜420℃の留分を分離
することにより、潤滑油基油Aとは粘度グレードが異な
り、潤滑油基油として十分な安定性を有する潤滑油基油
Bを副生物として回収することができる。
【0095】この潤滑油基油Bは炭化水素系の潤滑油基
油であって、(a)常圧における沸点が250〜430
℃の範囲にあり、(b)全芳香族分が1.8重量%以下
であり、(c)40℃における動粘度が5〜10mm2
/sの範囲にあり、(d)粘度指数が95以上であり、
(e)流動点が−10℃以下であり、かつ、(f)2,
6−ジターシャリーブチル−p−クレゾール(DBP
C)を0.5重量%添加したときの酸化安定性がRBO
T値で340分以上のものである。
【0096】すなわち、潤滑油基油Bは、常圧における
沸点が250〜430℃の範囲にあることが重要であ
り、特に、260〜420℃の留分が好ましい。
【0097】潤滑油基油Bは、炭化水素系のものであ
り、一般に、n−パラフィン、分岐パラフィン、ナフテ
ン系炭化水素等の飽和炭化水素を主成分とする炭化水素
混合物であり、芳香族炭化水素を含有しているとして
も、全芳香族分が1.8重量%以下であることが重要で
あり、中でも、全芳香族分が1.2重量%以下であるも
のが好ましい。
【0098】また、潤滑油基油Bは、40℃における動
粘度が5〜10mm2/sの範囲にあり、中でも、40
℃における動粘度が6〜9mm2/sの範囲にあるもの
が好ましい。すなわち、潤滑油基油Bは、上記のように
本発明の潤滑油基油よりも低い動粘度特性を有すること
を特徴としており、高性能の低粘度潤滑油基油である。
【0099】また、潤滑油基油Bは、粘度指数が95以
上であり、中でも、粘度指数が98以上であるものが好
ましい。潤滑油基油Bは、このように粘度指数が95以
上という比較的高い値を有しているので、これを潤滑油
の基油として適用することによってその潤滑油の適用温
度範囲を十分に拡大することができ、潤滑油のマルチグ
レード化を好適に図ることができる。この潤滑油基油B
の場合にも、従来のものと同様に例えばポリメタクリレ
ート等の粘度指数を向上するための添加剤を適宜添加し
て使用することもできるが、この潤滑油基油Bの場合に
はそのような添加剤は従来の場合より少なくてよいの
で、添加剤の添加によって生じがちな他の物性や特性の
低下(例えば、剪断安定性の低下)を最小限に抑制する
ことができるという利点がある。なお、この潤滑油基油
Bは高い剪断安定性を具備している。
【0100】更に、潤滑油基油Bは、流動点が−10.
0℃以下であることも重要であり、中でも、流動点が−
15℃以下であるものが好ましい。このことによって、
潤滑油の低温流動性を確保することができ、低温環境に
おける使用にも十分に対応できる。
【0101】また、潤滑油基油Bは、それ自体でも熱、
光、酸化等に対する安定性を有しているが、必要に応じ
て、酸化安定剤等の各種の安定剤や安定化助剤等を添加
して使用することができる。この酸化安定剤等として
は、先に記載したものなど公知の各種のものが使用可能
である。なお、この潤滑油基油Bは、2,6−ジターシ
ャリーブチル−p−クレゾール(DBPC)を0.5重
量%添加したときの酸化安定性がRBOT値で340分
以上であるという特徴を有する。
【0102】本発明の方法Bにおいて得られる潤滑油基
油Bは、一般に、アニリン点が95〜110℃の範囲に
あり、引火点が150℃以上であり、また、色相につい
て言えば、例えば、セイボルトカラーで+20以上のも
のである。
【0103】以上のように、方法Bにおいて副生物とし
て得られる潤滑油基油Bは、比較的高い粘度指数を有
し、芳香族分が十分に少なくそれ自体でも熱、光、酸化
等に対する安定性に優れ、極く微量の酸化安定剤等の安
定剤の添加によって熱、光、酸化等に対する安定性の更
なる向上を十分に達成することができるなどの種々の利
点を有する優れた低粘度潤滑油基油であり、目的に応じ
て、物性や性状を上記の添加剤などによって調節・最適
化することによって、各種の用途に最適な潤滑油を調製
するための基油として極めて有利に使用することができ
る。
【0104】すなわち、以上の工程B−1〜B−5によ
って、安価で付加価値の低い重質軽油や減圧軽油あるい
はその混合物から、前記〜の条件を満足する本発明
の潤滑油基油の好ましい態様である高性能の潤滑油基油
Aを効率よく、低コストでしかも生産性よく製造するこ
とができるとともに、潤滑油基油Aとは粘度グレードが
異なり、熱、光、酸化に対して同様に優れた安定性を示
す潤滑油基油Bを副生物として得ることができる。
【0105】
【実施例】以下に、本発明の実施例及びその比較例を示
し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は該実施
例に限定されるものではない。
【0106】実施例1 表1に示す重質軽油と減圧軽油の混合油を原料油として
用い、アルミナ担体にニッケル、モリブデンを含む触媒
系とアルミナ+Y型ゼオライトにニッケル、モリブデン
を含む触媒系の存在下で、全圧160kg/cm2G、
反応温度380℃、LHSV1.0h-1、水素/油比1
000Nm3/klで水素化分解を行った。
【0107】分解生成油を常圧蒸留で燃料油留分60重
量%(沸点の終点が370℃)と潤滑油留分40重量%
(沸点範囲320〜530℃)がそれぞれ得られた。
【0108】次に、潤滑油留分についてMEK/トルエ
ン(容量比5/5)混合溶剤を用いて溶剤/油比3倍、
ろ過温度−27.5℃の条件で溶剤脱ろうを行った。脱
ろう収率は72容量%であった。
【0109】この脱ろう油の動粘度は24.2mm2
s(@40℃)で粘度指数は118であった。この時の
流動点は−17.5℃であった。
【0110】次に脱ろう油をニッケル、タングステンが
担持されたアルミナ触媒を用い、反応温度290℃、全
圧210kg/cm2G、LHSV0.5h-1、水素/
油比360Nm3/klで水素化処理を行った。
【0111】次いで水素化処理生成油を蒸留で沸点範囲
330〜510℃留分の潤滑油基油を得た。この潤滑油
基油の収率は、脱ろう油に対して76重量%であった。
【0112】表2に示すように芳香族分は0.46wt
%と低く、酸化安定性(RBOT@添加剤0.5wt%
添加)は436分と長く、更には熱安定性試験に容易に
合格する。また、粘度指数は118でこの時の流動点は
−17.5℃であった。
【0113】このように芳香族分が充分に低いため、耐
候性試験にも容易に合格する。
【0114】比較例1 水素化分解、蒸留、脱ろうまでは実施例1と同様な工程
及び条件で実施し、水素化処理条件の反応温度を290
℃、全圧を160kg/cm2G、LHSV0.5
-1、水素/油比360Nm3/klで水素化処理し、
次いで水素化処理生成油を蒸留で沸点範囲330〜51
0℃留分の潤滑油基油を得た。
【0115】表2に示すように芳香族分は3.7wt
%、酸化安定性(RBOT@添加剤0.5wt%添加)
は405分で、熱安定性試験は合格する。また、動粘度
は20.5mm2/s(@40℃)で、粘度指数は11
8でこの時の流動点は−17.5℃であった。耐候性試
験は不合格となった。
【0116】比較例2 水素化分解、蒸留、脱ろうまでは実施例1と同様な工程
及び条件で実施し、次いで蒸留で沸点範囲330〜51
0℃留分に分離し、この留分をフルフラール溶剤精製し
潤滑油基油を得た。
【0117】この基油は表2に示すように芳香族分が
6.6wt%と高く、酸化安定性(RBOT@添加剤
0.5wt%添加)も358分であった。比較例1と同
様、耐候性試験は不合格となった。
【0118】
【表1】
【0119】
【表2】 *1) JIS K 2540に準拠(170℃×12
時間後の評価) *2) ASTM D 2272に準拠(添加剤0.5
wt%添加) *3) 特開平1−94241号公報に記載されている
光劣化促進試験装置による96時間後の評価。いずれも
試験後の試料油が透明の場合を合格として○で示し、不
合格はその程度により曇りがある場合には△、沈殿物が
ある場合は×で示した。
【0120】実施例2 表1に示す重質軽油と減圧軽油の混合油を原料油として
用い、アルミナ担体にニッケル、モリブデンを含む触媒
系とアルミナ+Y型ゼオライトにニッケル、モリブデン
を含む触媒系の存在下で、全圧160kg/cm2G、
反応温度380℃、LHSV1.0h-1、水素/油比1
000Nm3/klで水素化分解を行った。
【0121】分解生成油を常圧蒸留することにより、燃
料油留分60重量%(沸点の終点が390℃)と潤滑油
留分40重量%(沸点範囲320〜530℃)がそれぞ
れ得られた。
【0122】次に、燃料油留分を更に常圧蒸留すること
により、軽質留分60重量%(沸点の終点が310℃)
と重質留分40重量%(沸点範囲270〜380℃)が
それぞれ得られた。
【0123】次に、潤滑油留分65容量%と蒸留で分離
した燃料油留分の重質留分35容量%を混合し、この混
合留分についてMEK/トルエン(容量比5/5)混合
溶剤を用いて溶剤/油比3倍、ろ過温度−30℃の条件
で溶剤脱ろうを行った。脱ろう収率は78容量%であっ
た。
【0124】この脱ろう油の動粘度は14.6mm2
s(@40℃)で粘度指数は113であった。この時の
流動点は−22.5℃であった。
【0125】次に脱ろう油をニッケル、タングステンが
担持されたアルミナ触媒を用い、反応温度290℃、全
圧210kg/cm2G、LHSV0.5h-1、水素/
油比360Nm3/klで水素化処理を行った。
【0126】次いで水素化処理生成油を蒸留で沸点範囲
374〜502℃留分の潤滑油基油Aを得た。この潤滑
油基油Aの収率は、脱ろう油に対して66重量%であっ
た。
【0127】表4に示すように、潤滑油基油Aの芳香族
分は0.55wt%と低く、酸化安定性(RBOT@添
加剤0.5wt%添加)は432分と長く、更には熱安
定性試験に容易に合格する。また、動粘度は20.9m
2/s(@40℃)で、粘度指数は116でこの時の
流動点は−22.5℃であった。このように芳香族分が
充分に低いため、耐候性試験にも容易に合格する。
【0128】また、この蒸留時に同時に、沸点範囲35
0〜380℃留分の潤滑油基油Bを得た。この潤滑油基
油Bの収率は、脱ろう油に対して7重量%であった。
【0129】表4に示すように、潤滑油基油Bの芳香族
分は0.75wt%と低く、酸化安定性(RBOT@添
加剤0.5wt%添加)は415分と長く、更には熱安
定性試験に容易に合格する。また、動粘度は8.11m
2/s(@40℃)で、粘度指数は100でこの時の
流動点は−25℃であった。このように芳香族分が充分
に低いため、耐候性試験にも容易に合格する。
【0130】実施例3 原料油の水素化分解、水素化分解からの生成油を常圧蒸
留で燃料油留分と潤滑油留分に分離する工程、及び燃料
油留分を常圧蒸留で軽質留分と重質留分に分離する工程
を、実施例2と同様に行った。
【0131】次に、潤滑油留分75容量%と蒸留で分離
した燃料油留分の重質留分25容量%を混合し、この混
合留分についてMEK/トルエン(容量比5/5)混合
溶剤を用いて溶剤/油比3倍、ろ過温度−30℃の条件
で溶剤脱ろうを行った。脱ろう収率は76容量%であっ
た。
【0132】この脱ろう油の動粘度は16.7mm2
s(@40℃)で粘度指数は115であった。この時の
流動点は−22.5℃であった。
【0133】次に脱ろう油をニッケル、タングステンが
担持されたアルミナ触媒を用い、反応温度290℃、全
圧210kg/cm2G、LHSV0.5h-1、水素/
油比360Nm3/klで水素化処理を行った。
【0134】次いで水素化処理生成油を蒸留で沸点範囲
385〜495℃留分の潤滑油基油Aを得た。この潤滑
油基油Aの収率は、脱ろう油に対して72重量%であっ
た。
【0135】表4に示すように、潤滑油基油Aの芳香族
分は0.75wt%と低く、酸化安定性(RBOT@添
加剤0.5wt%添加)は429分と長く、更には熱安
定性試験に容易に合格する。また、動粘度は20.8m
2/s(@40℃)で、粘度指数は118でこの時の
流動点は−22.5℃であった。このように芳香族分が
充分に低いため、耐候性試験にも容易に合格する。
【0136】また、この蒸留時に同時に、沸点範囲36
0〜385℃留分の潤滑油基油Bを得た。この潤滑油基
油Bの収率は、脱ろう油に対して5重量%であった。
【0137】表4に示すように、潤滑油基油Bの芳香族
分は0.95wt%と低く、酸化安定性(RBOT@添
加剤0.5wt%添加)は380分と長く、更には熱安
定性試験に容易に合格する。また、動粘度は8.10m
2/s(@40℃)で、粘度指数は108でこの時の
流動点は−25℃であった。このように芳香族分が充分
に低いため、耐候性試験にも容易に合格する。
【0138】比較例3 原料油の水素化分解、水素化分解からの生成油を常圧蒸
留で燃料油留分と潤滑油留分に分離する工程、及び燃料
油留分を常圧蒸留で軽質留分と重質留分に分離する工程
を、実施例2と同様に行った。
【0139】次いで、水素化処理条件の反応温度を29
0℃、全圧を160kg/cm2G、LHSV0.5h
-1、水素/油比360Nm3/klで水素化処理し、次
いで水素化処理生成油を蒸留で沸点範囲370〜505
℃留分の潤滑油基油を得た。
【0140】表5に示すように芳香族分は3.5wt
%、酸化安定性(RBOT@添加剤0.5wt%添加)
は407分で、熱安定性試験は合格する。また、粘度指
数は115でこの時の流動点は−22.5℃であった。
耐候性試験は不合格となった。
【0141】比較例4 原料油の水素化分解、水素化分解からの生成油を常圧蒸
留で燃料油留分と潤滑油留分に分離する工程、及び燃料
油留分を常圧蒸留で軽質留分と重質留分に分離する工程
を、実施例2と同様に行った。
【0142】次いで得られた脱ろう油を蒸留で沸点範囲
377〜500℃留分に分離し、この留分をフルフラー
ル溶剤精製し潤滑油基油を得た。この基油の収率(フル
フラール抽出率)は74重量%であった。
【0143】表5に示すように、この基油は芳香族分が
6.3wt%と高く、酸化安定性(RBOT@添加剤
0.5wt%添加)も360分で、熱安定性試験は合格
する。また、粘度指数は115で、この時の流動点は−
22.5℃であった。比較例3と同様、耐候性試験は不
合格となった。
【0144】
【表3】
【0145】
【表4】 *1) JIS K 2540に準拠(170℃×12
時間後の評価) *2) ASTM D 2272に準拠(添加剤0.5
wt%添加) *3) 特開平1−94241号公報に記載されている
光劣化促進試験装置による96時間後の評価。いずれも
試験後の試料油が透明の場合を合格として○で示し、不
合格はその程度により曇りがある場合には△、沈殿物が
ある場合は×で示した。
【0146】
【発明の効果】本発明によると、潤滑油基油としての好
適な基本物性を具備し、しかも十分に高い粘度指数を有
し、かつ芳香族含量が極めて低く安定性(熱、光、酸
化、剪断安定性等)等に優れるなど理想的な物性及び性
状を有する高性能な潤滑油基油であって、これを基油と
して適用することによって、適用温度範囲の拡大、安定
性・耐久性の向上、各種潤滑油としての物性や性能の最
適化を容易に達成することができ、したがって、例えば
自動車類、船舶あるいは建設・工作用機械等の各種の産
業機械や装置類等に種々の目的で用いられる各種の潤滑
油(例えば、エンジン油、ATF油、作動油等々)にそ
の主成分となる基油として有利に使用することができる
実用上著しく有用な低芳香族炭化水素系の潤滑油基油を
提供することができる。
【0147】また、本発明によると、上記の本発明の高
性能な潤滑油基油を、安価で性状が悪く付加価値の低い
重質軽油や減圧軽油あるいはその混合物から効率よく、
低コストでしかも生産性よく製造するための方法を提供
することができ、その工業的価値は極めて大きい。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10G 47/12 9547−4H C10G 47/12 47/16 9547−4H 47/16 49/04 9547−4H 49/04 73/06 9547−4H 73/06 C10N 20:00 20:02 30:10 70:00 (72)発明者 保原 幸夫 千葉県市原市姉崎海岸2番地1 出光興産 株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭化水素系の潤滑油基油であって、常
    圧における沸点が300〜520℃の範囲にあり、全
    芳香族分が1.8重量%以下であり、40℃における
    動粘度が15〜25mm2/sの範囲にあり、粘度指
    数が107以上であり、流動点が−10℃以下であ
    り、かつ、2,6−ジターシャリーブチル−p−クレ
    ゾール(DBPC)を0.5重量%添加したときの酸化
    安定性がRBOT値で410分以上であることを特徴と
    する潤滑油基油。
  2. 【請求項2】 重質軽油(HGO)及び/又は減圧軽油
    (VGO)を、シリカアルミナ、アルミナ及び/又はゼ
    オライトを担体とし周期表6族の金属及び/又は8〜1
    0族の金属を含む水素化分解触媒の存在下で水素化分解
    し、当該分解生成物を燃料油留分と潤滑油留分に蒸留分
    離し、当該潤滑油留分に溶剤脱ろう及び/又は水素化脱
    ろうによる脱ろう処理を施して該留分からろう分を除去
    し、得られた脱ろう潤滑油留分をシリカアルミナ及び/
    又はアルミナを担体とし周期表6族の金属及び/又は8
    〜10族の金属を含む水素化触媒の存在下で、全圧17
    0〜230kg/cm2G、反応温度220〜370
    ℃、供給液空間速度(LHSV)0.2〜1.5hr-1
    の条件で水素化処理し、この生成油から蒸留により常圧
    における沸点が300〜520℃の範囲にある留分を分
    離回収することを特徴とする請求項1に記載の潤滑油基
    油の製造方法。
  3. 【請求項3】 重質軽油(HGO)及び/又は減圧軽油
    (VGO)を、シリカアルミナ、アルミナ及び/又はゼ
    オライトを担体とし周期表6族の金属及び/又は8〜1
    0族の金属を含む水素化分解触媒の存在下で水素化分解
    し、当該分解生成物を燃料油留分と潤滑油留分に蒸留分
    離し、当該燃料油留分を更に軽質留分と重質留分に蒸留
    分離し、当該潤滑油留分及び当該重質留分との混合留分
    に溶剤脱ろう及び/又は水素化脱ろうによる脱ろう処理
    を施して該混合留分からろう分を除去して脱ろう混合留
    分を得、或は、当該潤滑油留分及び当該重質留分の各々
    に溶剤脱ろう及び/又は水素化脱ろうによる脱ろう処理
    を施して各留分からろう分を除去して脱ろう潤滑油留分
    及び脱ろう重質留分を得、次いで、当該脱ろう混合留
    分、又は当該脱ろう潤滑油留分及び当該脱ろう重質留分
    の混合物をシリカアルミナ及び/又はアルミナを担体と
    し周期表6族の金属及び/又は8〜10族の金属を含む
    水素化触媒の存在下で、全圧170〜230kg/cm
    2G、反応温度220〜370℃、供給液空間速度(L
    HSV)0.2〜1.5hr-1の条件で水素化処理し、
    この生成油から蒸留により常圧における沸点が300〜
    520℃の範囲にある留分を分離回収することを特徴と
    する請求項1に記載の潤滑油基油の製造方法。
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