JP4723056B2 - 潤滑油基油及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、GF−3規格のNoack値を満足し、かつ低温特性が重視される0W20用エンジン油の基油に適した潤滑油基油とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、内燃機関用エンジンはより省燃費型へと進み、その要求に対応するためエンジン油の粘度はさらに低粘度化している。その低粘度化に対して、従来から低粘度油と高粘度油の配合の変更で対応してきたが、低粘度油はエンジン内の高温により蒸発し易いため、使用するに従って排ガスとともに排出され、次第に粘度が上昇する結果、燃費が悪化する。このような従来のオイルの欠点を解決するため、新たに蒸発性の指標としてNoack値(ノアック値)がGF−1規格で導入され、その結果、低蒸発性の要求を満足する低粘度基油の利用が高まってきた。そのNoack値もGF−3規格ではさらに厳しいものになっている。
【0003】
一方、従来10W30仕様であったものが5W30仕様となった具合に、省燃費の要求の一つとして低温粘度をより低くする方向にある。また、低温粘度規格はSAE(米国自動車技術車協会)のCCS(コールド・クランキング・シミュレータ)粘度により規定されているが、2000年から低温粘度特性が一番厳しい0W20仕様のエンジン油も上梓され、さらに各粘度グレードの低温粘度測定時の規定温度が、0Wでは−35℃と、より低温での規定に変更され、低温特性が厳しいものになる。
【0004】
したがって、GF−3規格のNoack値及びSAEのCCS規格を満足する0W20仕様ガソリンエンジン油に適した潤滑油基油が望まれている。
従来より、蒸発性と低温特性の両方を一つの基油で満足するのは難しいため、合成油や添加剤の配合で対応せざるを得ない。例えば、特開平11−286696号公報には、水素化脱ろう油と水素化分解によって生成した基油を混合したものに有機モリブデンを配合した0W20仕様のエンジン油が開示されている。しかし、Noack値が15質量%以下を達成するのは困難でGF−2対応であることを示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記観点からなされたもので、GF−3規格のNoack値及びSAEのCCS規格を満足する0W20仕様ガソリンエンジン油に適した潤滑油基油とその製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意研究の結果、特定の原料油を水素化異性化触媒を使用して水素化脱ろうを行って得られた基油が蒸発性と低温特性の両方を満足することを見出した。本発明はその知見に基づいて完成したものである。
【0007】
すなわち、本発明の要旨は下記のとおりである。
1.重質軽油、減圧軽油、減圧留出油及び脱歴油から選ばれる少なくとも一種の原料油を水素化分解して得られる沸点範囲300〜650℃(常圧換算)の潤滑油留分50〜80質量%と、該潤滑油留分を溶剤脱ろうして得られたワックス20〜50質量%を混合したものを原料として水素化異性化触媒を使用して水素化脱ろうを行った後、減圧蒸留にて引火点を210℃以上に調整した留分を、更に水素化仕上げを行い、次いで減圧蒸留にて100℃における動粘度と5%留出温度を調整することを特徴とする、−35℃におけるCCS粘度が3,000mPa・s以下であり、40℃における動粘度が19.5〜23mm2/sの範囲にあり、蒸留試験における5%留出温度が380〜398℃、20%留出温度が405〜420℃の範囲にあり、Noack値が15質量%以下である、潤滑油基油の製造方法。
2.潤滑油基油がさらに、粘度指数が120以上で135未満の範囲にあり、流動点が−30〜−15℃の範囲にある前記1記載の潤滑油基油の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明の潤滑油基油について説明する。
本発明の潤滑油基油は、目的及び製造方法に応じて多種多様な組成や性状のものとして実現することができるが、少なくとも、前記▲1▼〜▲4▼の条件すべて満足することが肝要である。
【0009】
▲1▼〜▲4▼の条件について、順次述べる。
▲1▼−35℃におけるCCS粘度が3,000mPa・s以下である。
上記のCCS粘度が3,000mPa・sを超えると、流動点降下剤を添加しても、0W20規格の6,200mPa・s以下をクリアしない場合があり好ましくない。好ましくは、2,700mPa・s以下である。
なお、上記のCCS粘度はJIS K 2010に従って測定されたものである。
【0010】
▲2▼40℃における動粘度が19.5〜23mm2 /sの範囲にある。
上記の動粘度が19.5mm2 /s未満であると、Noack値が15.0以上になり好ましくない。また、23mm2 /sを超えると、前記のCCS粘度が3,000mPa・sを超える場合があり好ましくない。好ましい範囲は、19.5〜22.5mm2 /s、更に好ましくは19.5〜22mm2 /sである。
なお、上記の動粘度はJIS K 2283に従って測定されたものである。
【0011】
▲3▼蒸留試験における5%留出温度が380〜398℃、20%留出温度が405〜420℃の範囲にある。
5%留出温度及び20%留出温度が低すぎると、Noack値が15質量%より大きくなり好ましくない。一方、高すぎると、粘度が高くなり過ぎたり、潤滑油得率が著しく低下し好ましくない。5%留出温度の好ましい範囲は383〜395℃であり、20%留出温度の好ましい範囲は406〜415℃である。
なお、上記の蒸留試験における5%留出温度及び20%留出温度はJIS K
2254(ガスクロマトグラフ法)に従って測定されたものである。
【0012】
▲4▼Noack値が15質量%以下である。
Noack値とは、蒸発性を示す指標であり、GF−1規格で新しく設けられたものである。
なお、Noack値はASTM D5800に従って測定されたものである。
また、本発明の潤滑油基油においては、▲5▼粘度指数が120以上で135未満の範囲にあり、▲6▼流動点が−30〜−15℃の範囲にあるものが好ましい。
【0013】
▲5▼粘度指数が120以上で135未満の範囲にある。
粘度指数が120未満であると、前記▲1▼の−35℃におけるCCS粘度が3,000mPa・sを超える可能性があり、135以上であると、原料中のワックスが70%を超え潤滑油基油得率が低下する可能性があり好ましくない。好ましい粘度指数の範囲は125〜133である。
なお、上記の粘度指数はJIS K 2283に従って測定されたものである。
【0014】
▲6▼流動点が−30〜−15℃の範囲にある。
流動点が−30℃より低いと、潤滑油基油得率が著しく低下する可能性があり、一方、−15℃より高いと、高温でくもりを生じる可能性があり好ましくない。このことによって、潤滑油の低温流動性を確保することができ、低温環境における使用にも十分に対応できる。
なお、上記の流動点はJIS K 2269に従って測定されたものである。
本発明の潤滑油基油は以上の条件を満たすことにより、各種の高性能の潤滑油を調製するための潤滑油基油、特にエンジン油の基油としての性能を有するものである。
【0015】
なお、本発明の潤滑油基油は、エンジン油の用途を始め、目的に応じて、各種の添加剤を配合して使用することができる。すなわち、本発明の潤滑油基油は、それ自体でも潤滑油として使用可能であるが、通常は、目的に応じて下記の添加剤を配合してそれぞれの用途に適合した潤滑油として使用するのがよい。
【0016】
添加剤としては、公知のものなど各種のものが使用可能であり、例えば、酸化防止剤として、アルキル化ジフェニルアミン,フェニル−α−ナフチルアミンなどのアミン系化合物、2,6−ジ−t−ブチルフェノール,4,4’−メチレンビス−(2,6−ジ−t−ブチルフエノール)などのフェノール系化合物;粘度指数向上剤として、ポリメチルメタクリレート系,ポリイソブチレン系,エチレン−プロピレン共重合体系,スチレン−イソプレン共重合体系,スチレン−ブタジエン水添共重合体系;金属系清浄剤として、アルカリ土類金属スルホネート,アルカリ土類金属フェネート,アルカリ土類金属サリチレート,アルカリ土類金属ホスホネート;無灰系分散剤として、アルケニルコハク酸イミド,ベンジルアミン,アルキルポリアミン,アルケニルコハク酸エステル;摩擦低減剤としては、脂肪族アルコール,脂肪酸,脂肪酸エステル,脂肪族アミン,脂肪酸アミン塩,脂肪酸アミド;金属不活性剤として、ベンゾトリアゾール,チアジアゾール,アルケニルコハク酸エステル;流動点降下剤として、ポリアルキルメタクリレート,ポリアルキルスチレン;耐摩耗剤としては、MoDTP,MoDTCなどの有機モリブデン化合物、ZnDTPなどの有機亜鉛化合物、アルキルメルカプチルボレートなどの有機ホウ素化合物、グラファイト,二硫化モリブデン,硫化アンチモン,ホウ素化合物,ポリテトラフルオロエチレンなどの固体潤滑剤系耐摩耗剤;消泡剤として、ジメチルポリシロキサン,ポリアクリレート;極圧剤として、硫化油脂,ジフェニルスルフィド,メチルトリクロロステアレート,塩素化ナフタレンなどを挙げることができる。
【0017】
次に、本発明の潤滑油は、その一般的な製造方法としては特に制限はないが、前記本発明の方法によって好適にかつ生産性よく製造することができる。また、本発明の潤滑油基油は、本発明の方法によって製造したものが好ましい。
【0018】
以下、本発明の潤滑油基油の好適な製造方法である本発明の方法について詳細に説明する。重質軽油、減圧軽油、減圧留出油及び脱歴油から選ばれる少なくとも一種の原料油を水素化分解して得られる沸点範囲300〜650℃(常圧換算)の潤滑油留分50〜80質量%と、該潤滑油留分を溶剤脱ろうして得られたワックス20〜50質量%を原料として水素化異性化触媒を使用して水素化脱ろうを行った後、減圧蒸留にて引火点を210℃以上に調整した留分を、更に水素化仕上げを行い、次いで減圧蒸留にて100℃における動粘度と5%留出温度を調整するものである。上記の目的とする潤滑油基油の製造法は、特に限定されないが、以下に示すように、基本的に、順に、水素化分解工程、溶剤脱ろう工程、水素化脱ろう工程、水素化仕上げ工程からなる製油プロセスによって製造されるのが好ましい。
【0019】
(工程1)水素化分解工程
この水素化分解に供する原料油としては、重質軽油(HGO)、減圧軽油(VGO)、減圧留出油、脱歴油から選ばれる少なくとも一種が使用される。
水素化分解は、通常、次に示す諸条件で好適に実施される。
すなわち、反応の水素分圧については、好ましくは、10〜30MPa、より好ましくは、13〜22MPaの範囲に選定することができる。
【0020】
供給水素ガスの割合については、供給油1klに対して、好ましくは、500〜1,500Nm3 、より好ましくは、800〜1,200Nm3 の範囲に調整するのがよい。
反応温度については、好ましくは、340〜440℃、より好ましくは、350〜420℃の範囲に選定することができる。
また、液空間速度(LHSV)については、供給油基準で、好ましくは、0.3〜1.5hr-1、より好ましくは、0.5〜1.2hr-1の範囲に適宜調節すればよい。
【0021】
該水素化分解に用いる触媒としては、シリカ・アルミナ、アルミナ及び/又はゼオライトを担体とし、その担体に周期律表第6族の金属及び/又は第8〜10族の金属を担持したものを使用する。ここで、周期律表第6族金属としては、Cr、Mo及びWを挙げることができ、中でも、Mo、Wが好ましい。周期律表第8〜10族金属としては、Fe、Co、Ni、Rh、Ru、Pd、Os、Ir及びPtを挙げることができるが、通常は、Niが好ましい。これらの金属は、一種単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできるが、通常は、Ni−Mo、Ni−W等の組み合わせが好適である。
【0022】
なお、ゼオライトを用いる場合には、例えば、X型、Y型、フォージャサイト、ZSM−5、モルデナイト等の各種のものが使用できるが、中でも特にY型が好適に使用される。また、複数の種類の担体を適宜混合もしくは複合して使用してもよい。例えば、ゼオライトの場合には、これにアルミナやシリカ・アルミナ等をマトリックスとして用いて成形したものなどが好適に使用される。
反応後気液分離し、得られた生成油を減圧蒸留して、常圧換算で沸点範囲300〜650℃の潤滑油留分を分離する。その潤滑油留分の一部を次の溶剤脱ろう工程に供する。
【0023】
(工程2)溶剤脱ろう工程
溶剤脱ろう法としては、各種の溶剤を用いる公知の各種の溶剤脱ろう法が適用可能であるが、通常はメチルエチルケトン(MEK)を抽出溶剤成分として用いるMEK法が好適に使用される。このMEK法による脱ろう処理は、基本的には常法に従って行うことができるが、通常は、下記の諸条件で実施するのが好適である。
【0024】
すなわち、抽出溶剤としては、MEKとトルエンからなり、MEKが30〜70容量%、好ましくは35〜50容量%で、これに対応して、トルエンが70〜30容量%、好ましくは65〜50容量%の組成のものが好適に使用される。なお、必要に応じて、MEK及びトルエン以外の他の溶剤を適宜適量添加した溶剤を使用してもよい。
【0025】
前記抽出溶剤と脱ろう処理に供する前記軽質潤滑油留分の供給割合としては、特に制限はないが、通常は、容量比(供給溶剤/軽質潤滑油留分)を1.0〜6.0、好ましくは、1.5〜4.5の範囲に選定して抽出脱ろうを実施するのが好適である。
その際、抽出処理の温度としては、特に制限はないが、抽出時の溶剤の温度が、通常、−40〜−10℃、好ましくは、−40〜−15℃の範囲に保持されるように実施するのが好適である。
【0026】
この溶剤脱ろう工程で得られたワックス分0〜50質量%(好ましくは20〜50質量%)と前工程で得られた潤滑油留分50〜100質量%(好ましくは50〜80質量%)とを混合し、次の水素化脱ろう工程に供する。
工程3へ供する留分は、ワックスとして70質量%以下、100℃における4〜6mm2 、蒸留試験における10%留出温度が350℃以上、50%留出温度が400〜440℃、90%留出温度が460〜520℃の範囲のものを有するものが好適に使用される。
【0027】
(工程3)水素化脱ろう工程
工程2からの留分について水素化異性化触媒の存在下、下記の条件で水素化脱ろうを行う。
水素化異性化触媒としては、例えば、SAPOやゼオライトに白金、パラジウム等の貴金属を担持したものが好適に使用される。
反応の水素分圧については、好ましくは、2〜15MPa、より好ましくは、2.5〜10MPaの範囲に選定するのが適当である。
【0028】
反応温度については、好ましくは、250〜450℃、より好ましくは、260〜400℃、特に好ましくは、280〜390℃の範囲に選定することができる。
供給水素ガスの割合については、供給油1klに対して、好ましくは、100〜1,000Nm3 、より好ましくは、200〜800Nm3 、特に好ましくは250〜650Nm3 の範囲に調整するのがよい。
【0029】
液空間速度(LHSV)については、供給油基準で、好ましくは、0.1〜10hr-1、より好ましくは、0.3〜8hr-1、特に好ましくは0.5〜2hr-1の範囲に選定することができる。
反応後気液分離し、得られた生成油を減圧蒸留にて軽質分を留去し、引火点を210℃以上に調整する。得られた留分を次の水素化仕上げ工程に供する。
【0030】
(工程4)水素化仕上げ工程
工程3からの留分について下記の条件で水素化仕上げを行う。
触媒としては、例えば、シリカ・アルミナやアルミナ等の無機酸化物担体に、Ni/Mo、Co/Mo、Ni/Wの金属を担持したものを好適に使用することができる。
【0031】
反応の水素分圧については、好ましくは、10〜25MPa、より好ましくは、15〜22MPaの範囲に選定するのが適当である。
反応温度については、好ましくは、200〜350℃、より好ましくは、250〜330℃、特に好ましくは、280〜320℃の範囲に選定することができる。
【0032】
供給水素ガスの割合については、供給油1klに対して、好ましくは、500〜1,500Nm3 、より好ましくは、800〜1,200Nm3 の範囲に調整するのがよい。
液空間速度(LHSV)については、供給油基準で、好ましくは、0.1〜10hr-1、より好ましくは、0.2〜5hr-1、特に好ましくは0.4〜2hr-1の範囲に選定することができる。
【0033】
反応後気液分離し、得られた生成油を減圧蒸留にて軽質分を留去し、100℃における動粘度を4〜5mm2 /s(好ましくは4.2〜4.8mm2 /s)に調整し、また、5%留出点を380〜398℃の範囲に調整する。
以上の工程1〜4によって、安価で付加価値の低い重質軽油、減圧軽油、減圧留出油、脱歴油あるいはその混合物から、前記▲1▼〜▲4▼、又は▲1▼〜▲6▼の条件を満足する本発明の潤滑油基油を効率よく、低コストでしかも生産性よく製造することができる。
こうして得た潤滑油基油は、エンジン油を始め、各種の用途に有利に使用することができる。
【0034】
【実施例】
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらの実施例になんら制限されるものではない。
〔実施例1〕
第1表に示す減圧軽油を原料油として用い、アルミナ担体にニッケル、モリブデンが担持されたものと(アルミナ+Y型ゼオライト)担体にニッケル、モリブデンが担持されたものの混合物を触媒とし、水素分圧;11MPa、反応温度;380℃、LHSV;1.0hr-1、水素/油比;1,000Nm3 /klで水素化分解を行った。
【0035】
分解生成油を減圧蒸留し、沸点範囲310〜540(常圧換算)の潤滑油留分Iを得た。
次に、潤滑油留分Iの一部について、MEK/トルエン容量比(5/5)混合溶剤を用いて溶剤/油比3倍、ろ過温度−30℃の条件で溶剤脱ろうを行った。得られたワックス40質量%と潤滑油留分60質量%を混合し、潤滑油留分IIを調製した。その潤滑油留分IIの物性を第2表に示す。
【0036】
次に、上記潤滑油留分IIを油をパラジウムが担持されたβゼオライトを触媒として用い、反応温度;330℃、水素分圧;3MPa、LHSV;1.0hr-1、水素/油比;450Nm3 /klで水素化脱ろう処理を行った。
気液分離後、減圧蒸留にて軽質留分を留去し、引火点を212℃に調整し、潤滑油留分III を得た。
【0037】
次に上記の潤滑油留分III をニッケル、タングステンが担持されたアルミナ触媒を用い、反応温度;300℃、水素分圧;21MPa、LHSV;0.5hr-1、水素/油比;1,000Nm3 /klで水素化仕上げを行った。
気液分離後、減圧蒸留にて軽質留分を留去し、100℃における動粘度を4.445mm2 /s、蒸留試験における5%留出温度を386℃に調整した。得られた潤滑油基油の物性を第3表に示す。
【0038】
〔比較例1〕
実施例1で得られた潤滑油留分Iについて、MEK/トルエン容量比(5/5)混合溶剤を用いて溶剤/油比3倍、ろ過温度−30℃の条件で溶剤脱ろうを行った。得られた脱ろう油について、実施例と同様に水素化仕上げを行った。気液分離後、減圧蒸留にて軽質留分を留去し、蒸留試験における5%留出温度を383℃に調整した。得られた潤滑油基油の物性を第3表に示す。
【0039】
〔比較例2〕
実施例1と同じ原料油(潤滑油留分II)を用いて、同様に水素化脱ろう、水素化仕上げを行った後、100℃における動粘度のみを4.275mm2 /sに調整した。得られた潤滑油基油の物性を第3表に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
〔エンジン油の調製〕
上記実施例1、比較例1、比較例2で得られた潤滑油基油85質量%に粘度指数向上剤、流動点降下剤、摩擦低減剤、金属系清浄剤、無灰系分散剤からなる添加剤組成物15質量%を配合してエンジン油を調製した。その物性を第4表に示す。
【0044】
【表4】
【0045】
第4表から明らかなように、比較例1においては、Noack値を満足していてもCCS粘度を満足できず、比較例2においては、基油の5%留出温度が低いとNoack値を満足しないことがわかる。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、GF−3規格のNoack値及びSAEのCCS規格を満足する0W20仕様ガソリンエンジン油に適した潤滑油基油とその製造方法を提供することができる。
Claims (2)
- 重質軽油、減圧軽油、減圧留出油及び脱歴油から選ばれる少なくとも一種の原料油を水素化分解して得られる沸点範囲300〜650℃(常圧換算)の潤滑油留分50〜80質量%と、該潤滑油留分を溶剤脱ろうして得られたワックス20〜50質量%を混合したものを原料として水素化異性化触媒を使用して水素化脱ろうを行った後、減圧蒸留にて引火点を210℃以上に調整した留分を、更に水素化仕上げを行い、次いで減圧蒸留にて100℃における動粘度と5%留出温度を調整することを特徴とする、−35℃におけるCCS粘度が3,000mPa・s以下であり、40℃における動粘度が19.5〜23mm2/sの範囲にあり、蒸留試験における5%留出温度が380〜398℃、20%留出温度が405〜420℃の範囲にあり、Noack値が15質量%以下である、潤滑油基油の製造方法。
- 潤滑油基油がさらに、粘度指数が120以上で135未満の範囲にあり、流動点が−30〜−15℃の範囲にある、請求項1記載の潤滑油基油の製造方法。
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