JPH08209306A

JPH08209306A - 熱膨張係数の小さい鉄−ニッケル合金

Info

Publication number: JPH08209306A
Application number: JP7326613A
Authority: JP
Inventors: Jacques Baudry; ボードゥリージャック; Michel Faral; ファラルミシェル; Jean Francois Tiers; ティエルジャン−フランソワ
Original assignee: Imphy SA
Current assignee: Imphy SA
Priority date: 1994-11-23
Filing date: 1995-11-21
Publication date: 1996-08-13
Also published as: PL311448A1; KR960017884A; FR2727131A1; DE69517575D1; DE69517575T2; EP0713923B1; US20010045246A1; KR100227354B1; EP0713923A1; PL180440B1; CN1044825C; FR2727131B1; CN1131702A; DK0713923T3

Abstract

(57)【要約】【課題】熱膨張係数の小さい鉄−ニッケル合金【解決手段】化学組成（重量％）が35.5〜37％のニッ
ケル、0.1 ％以下のマンガン、0.03〜0.15％の珪素、0.
0001〜0.002 ％のカルシウム、0.0001〜0.002 ％のマグ
ネシウム、0.005 ％以下のアルミニウム、0.001 ％以下
の硫黄、0.01％以下の酸素、0.005 ％以下の窒素および
0.003 ％以下のリンを含み、さらに下記関係式を満足す
る：Ｓ≦0.02×Mn＋ 0.8×Ca＋ 0.6×Mg。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は熱膨張係数の小さい
鉄／ニッケル合金に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】35重量％〜40重量％のニッケルを含有す
る熱膨張係数の小さい鉄／ニッケル合金は周知である。
この合金はニッケル、鉄の他に硫黄、リン、酸素、窒素
および炭素等の製錬に起因する不純物を一般に含んでい
る。この合金には機械特性を調節するために添加される
コバルト、クロム、銅、モリブデン、バナジウム、ニオ
ブおよびシリコン等の元素が含まれていることもある。
しかし、こうした不純物が存在するため、この合金は圧
延または鍛練で加熱変形するのが困難である。加熱変形
性を向上させるためにマンガンを 0.2％以上添加するこ
とは公知であるが、この元素は熱膨張係数を大幅に大き
くするという欠点がある。米国特許第 2,050,387号には
熱膨張係数が小さく、熱間鍛練性に優れた鉄／ニッケル
合金の製造方法が提案されている。この方法では高純度
の原材料を1150℃以上で水素中で20時間焼きなました後
に鋳造し、水素雰囲気下で硬化させる。しかし、この方
法は複雑で、実施コストが高いという欠点がある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的はマンガ
ン含有率が低く、高温延性に優れ、しかも、通常の方法
で製造可能な鉄／ニッケル合金を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は下記化学組成
（重量％）を有する鉄／ニッケル合金を提供する： 35.5％≦Ni≦37％ Mn≦0.1 ％ 0.03％≦Si≦0.15％ 0.0001％≦Ca≦0.002 ％ 0.0001％≦Mg≦0.002 ％ Al≦0.005 ％Ｓ≦0.001 ％Ｏ≦0.01％Ｎ≦0.005 ％Ｐ≦0.003 ％残部は鉄この化学組成は下記の関係を満足する：Ｓ≦0.02×Mn＋0.8 ×Ca＋0.6 ×Mg

【０００５】

【発明の実施の形態】本発明化学組成は下記を満足する
のが好ましい：Ｏ≦0.005 ％Ｎ≦0.003 ％Ｓ≦0.0005％深絞り性に優れ且つ熱処理後の表面上体を良くするには
下記を満足するのが好ましい：Ｃ≦0.005 ％Ｂ≦0.0004％

【０００６】ニッケル含有率は35.8％〜36.3％であるの
が好ましく、さらに好ましくは35.9％〜36.2％で、Cr≦
0.1 ％、Cu≦0.1 ％、Mo≦0.1 ％、Ｖ≦0.1 ％、Nb≦0.
1 ％であるのが好ましい。熱膨張係数を非常に低くする
には、Cr＋Cu＋Mo＋Ｖ＋Nb＋Si≦0.15％にするのが好ま
しい。

【０００７】本発明の他の対象は本発明の鉄／ニッケル
合金を熱間圧延および冷間圧延して得られる幅が 400 m
m 以上で20℃〜100 ℃における線膨張係数が0.9 ×10^-6
／Ｋ以下であるストリップにある。

【０００８】本発明合金は35.5％〜37％のニッケルを含
有する鉄とニッケルとをベースとした合金であり、場合
によっては、機械特性を調節するために用途に応じてさ
らにコバルト、クロム、銅、モリブデン、バナジウムま
たはニオブ等の追加の合金元素を３％以下の量含むこと
ができる。

【０００９】マンガンは熱膨張係数を増加させるため合
金のマンガン含有率は 0.1％以下、好ましくは0.05％以
下でなければならない。しかし、マンガン含有率を低く
すると合金の加熱変形性（熱間延性）に悪影響がでると
いう欠点があるので、熱間延性を良くするために合金は
下記元素を下記の比率で含む必要がある：硫黄： 0.001 ％以下、好ましくは0.0005％以
下リン： 0.003 ％以下カルシウム： 0.0001％〜0.002 ％マグネシウム： 0.0001％〜0.002 ％シリコン： 0.03 ％〜0.015 ％マンガン、カルシウム、マグネシウムおよび硫黄の含有
率は下記の式を満たす必要がある：Ｓ≦0.02×Mn＋ 0.8×Ca＋ 0.6×Mg

【００１０】カルシウムおよびマグネシウムの含有率
は、ケミカルエッチング時に点食を起す原因となる大き
な介在物の形成を防止するために 0.002％に制限され
る。これは本発明合金を薄いシート状にして陰極線管の
シャドーマスクの製造で用いた場合に特にいえることで
ある。高温延性を良くするためには合金のアルミニウム
含有量を 0.005％以下とし、窒素含有率は 0.005％以
下、好ましくは 0.003％以下とし、酸素含有率は 0.01
％以下、好ましくは 0.005％以下にする必要がある。熱
膨張係数をできるだけ小さくするためには、ニッケル含
有率は35.8％〜36.3％でなければならず、好ましくは3
5.9％〜36.2％にする。最適含有率は36.05 ％である。

【００１１】合金元素のクロム、銅、モリブデン、バナ
ジウム、ニオブおよびシリコンは熱膨張係数に好ましく
ない影響を与える。従って、熱膨張係数をできるだけ小
さくする場合には、これらの元素の含有率は 0.1％以下
にしなけれはならず、好ましくは0.05％以下でなければ
ならない。さらに、下記の範囲を満足するのが好まし
い： Cr ＋Cu＋Mo＋Ｖ＋Nb＋Si≦0.15％

【００１２】コバルトは10％以下の範囲で部分的にニッ
ケルの代わりに使用することが可能な元素であるが、こ
の元素は合金に化学的作用を施さなければならない場
合、例えば化学的エッチッグを行う場合には欠陥の原因
となる。特に合金で陰極線管のシャドーマスクを作る場
合にはコバルトの含有率は 0.5％以下に制限する必要が
ある。

【００１３】本発明合金で深絞り加工用の薄いシートを
作る場合には、炭素の含有率は0.02％以下、好ましくは
0.010％以下、さらに好ましくは 0.005％以下にして弾
性限界をできる限り低くして深絞り加工特性良くする必
要がある。

【００１４】水素含有率は 0.001％以下、好ましくは0.
0005％以下にして、表面の荒れを防ぐ必要がある。ホウ
素含有率は0.01％以下、好ましくは 0.005％以下、さら
に好ましくは0.0004％以下にして、熱処理時に製品表面
に窒化硼素ができないようにする必要がある。この窒化
物は微粉末層を形成してシャドーマスク上に形成される
ブラッキング層の接着性を損う欠点がある。本発明合金
の化学組成の残部は鉄で構成される。

【００１５】本発明合金は熱間圧延でインゴットまたは
スラグにした後、冷間圧延して陰極管スクリーンのシャ
ドーマスクの製造で用いられる厚さが 0.3 mm 以下で、
幅が400mm 以上の薄いストリップにすることができる。

【００１６】

【実施例】以下、本発明の実施例を説明するが、本発明
が下記実施例に限定されるものではない。下記の化学組
成（重量％）を有する鉄／ニッケル合金のインゴットを
熱間圧延し、次いで冷間圧延して幅 600 mm 、厚さ0.15
mmのストリップを製造した： Ni： 35.97 ％ Co： 0.019 ％ Cr： 0.025 ％ Cu：＜0.01％ Mo： 0.0058％Ｖ：＜0.005 ％ Nb：＜0.005 ％ Mn： 0.041 ％ Si： 0.048 ％Ｓ：＜0.0005％ Ca： 0.0002％ Mg： 0.0003％ Al：＜0.005 ％Ｏ： 0.0045％Ｃ： 0.0033％Ｎ： 0.0032％Ｐ：＜0.003 ％Ｈ：＜0.001 ％Ｂ：＜0.0004％含有率の「以下」とは使用した分析法の感度限界以下で
あるということを意味する。

【００１７】熱間圧延はクラックを生じることなく行わ
れた。熱膨張係数は0.81×10^-6／Ｋであった。 800℃で
30分熱処理した後の弾性限界Ｅ_0.2は 270 MPaであり、
保磁磁力は 0.45 Ｏｅであった。このストリップは非常
に優れた化学エッチング特性を示した。これらの特徴か
らこのストリップは特に陰極管のシャドーマスクの製造
に適している。本発明合金は計測学またはバイメタルの
製造でも用いることもできる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者ジャン−フランソワティエルフランス国 58160 ソーヴィニィレボワリュピエールシュヴナール９

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】下記組成（重量％）： 35.5％≦Ni≦37％ Mn≦0.1 ％ 0.03％≦Si≦0.15％ 0.0001％≦Ca≦0.002 ％ 0.0001％≦Mg≦0.002 ％ Al≦0.005 ％Ｓ≦0.001 ％Ｏ≦0.01％Ｎ≦0.005 ％Ｐ≦0.003 ％Ｃ≦0.005 ％Ｂ≦0.0004％Ｈ≦0.001 ％ Cr≦0.1 ％ Cu≦0.1 ％ Mo≦0.1 ％Ｖ≦0.1 ％ Nb≦0.1 ％ Co≦0.5 ％残部は鉄を有し且つＳ≦0.02×Mn＋ 0.8×Ca＋ 0.6×Mgである鉄
／ニッケル合金。
【請求項２】下記組成（重量％）：Ｏ≦0.005 ％Ｎ≦0.003 ％Ｓ≦0.0005％である請求項１に記載の鉄／ニッケル合金。
【請求項３】 35.8％≦Ni≦36.3％である、請求項１ま
たは２に記載の鉄／ニッケル合金。
【請求項４】 35.9％≦Ni≦36.2％である、請求項３に
記載の鉄／ニッケル合金。
【請求項５】 Cr＋Cu＋Mo＋Ｖ＋Nb＋Si≦0.15％であ
る、請求項１〜４のいずれか一項に記載の合金。
【請求項６】請求項１〜５のいずれか一項に記載の鉄
／ニッケル合金を熱間圧延し、次いで冷間圧延して得ら
れる幅が 400 mm 以上で20℃〜100 ℃における熱膨張係
数が 0.9×10^-6／Ｋ以下であることを特徴とするストリ
ップ。