JPH08170045A - 無機質建材用水性塗料 - Google Patents

無機質建材用水性塗料

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JPH08170045A
JPH08170045A JP33500594A JP33500594A JPH08170045A JP H08170045 A JPH08170045 A JP H08170045A JP 33500594 A JP33500594 A JP 33500594A JP 33500594 A JP33500594 A JP 33500594A JP H08170045 A JPH08170045 A JP H08170045A
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JP
Japan
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weight
monomer
coating material
parts
polymerizing
Prior art date
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Pending
Application number
JP33500594A
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English (en)
Inventor
Koichi Nishiwaki
孝一 西脇
Tatsuya Shimizu
達也 清水
Minoru Kato
稔 加藤
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JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐汚染性に優れた塗膜を容易に形成し、基材
の膨張収縮に対する追従性、基材の割れに対する抵抗性
に優れた無機質建材を塗装するための水性塗料に関す
る。 【構成】 フッ化ビニリデン50〜95重量%、六フッ
化プロピレン5〜50重量%およびその他共重合可能な
単量体0〜45重量%からなる単量体を重合してなる含
フッ素重合体を含有し、平均粒子径が30〜200nm
である重合体粒子を含有することを特徴とする無機質建
材用水性塗料ならびにフッ化ビニリデン50〜95重量
%、六フッ化プロピレン5〜50重量%およびその他共
重合可能な単量体0〜45重量%からなる単量体を重合
してなる含フッ素重合体と、(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステル40〜100重量%およびその他共重合可能
な単量体0〜60重量%からなる単量体を重合してなる
アクリル系重合体とが複合した重合体粒子を含有するこ
とを特徴とする無機質建材用水性塗料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、無機質建材用水性塗料
に関わり、詳しくは、特に耐候性、耐汚染性に優れた塗
膜を容易に形成し、基材の膨張収縮に対する追従性、基
材の割れに対する抵抗性に優れる、セメント、モルタル
またはコンクリートで仕上げられた床、壁、天井または
屋根、あるいは床、壁、天井または屋根を構築するのに
用いられる石膏ボード、石綿スレート、アスベストボー
ド、プレキャストコンクリート、軽量気泡コンクリー
ト、繊維補強コンクリート、厚型スレート、石綿セメン
ト珪酸カルシウム板、木片セメント板、硝子、タイル、
煉瓦、焼成瓦等の無機質建材を塗装するための水性塗料
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、無機質建材は、塩化ビニル樹脂、
塩化ゴム、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂
などの溶剤型塗料あるいはスチレンブタジエンゴムラテ
ックス、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、エチレン−酢酸
ビニル共重合体エマルジョン、アクリル樹脂エマルジョ
ン等の水性塗料が、組立施工前に工場において、あるい
は組立施工後に建築現場において塗装されてきた。しか
し、近年の技術革新によって無機質建材そのものの耐久
性が著しく向上しながら、表面外観に意匠性を与え、美
観を保つための塗料においては、塗膜の耐候性・耐汚染
性に十分な性能が得られていなかった。
【0003】含フッ素重合体粒子を含有する水性塗料
は、耐候性に優れ長期にわたって塗り直す必要がなく、
また耐熱性、気体不透過性、電気絶縁性等にも優れてい
るとともに、近年一般に使用されつつある溶剤系フッ素
樹脂塗料のように多量の溶剤を使用する必要がなく、環
境保護、省資源、安全性などの社会的要請に合致したも
のとして、近年開発が進められている。しかしながら、
これまでの含フッ素重合体粒子を含有する水性塗料は、
含フッ素重合体の結晶性により造膜性・塗膜の伸びに劣
っているか、含フッ素重合体が非結晶性であるため造膜
性・塗膜の伸びに優れるが、塗膜が柔軟であるため耐汚
染性に劣るものであった。従って、無機質建材用塗料と
しては、耐候性、耐汚染性に優れた塗膜を容易に形成
し、基材の膨張収縮に対する追従性、基材の割れに対す
る抵抗性に優れるものがなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、耐候性、耐汚染性に優れた塗膜を容易に形成し、基
材の膨張収縮に対する追従性、基材の割れに対する抵抗
性に優れる無機質建材用塗料を提供することある。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、(1)
フッ化ビニリデン50〜95重量%、六フッ化プロピレ
ン5〜50重量%およびその他共重合可能な単量体0〜
45重量%からなる単量体を重合してなる含フッ素重合
体(以下、「含フッ素重合体」という)からなり、平均
粒子径が30〜200nmである重合体粒子を含有する
ことを特徴とする無機質建材用水性塗料(以下、「塗料
A」という)と(2)フッ化ビニリデン50〜95重量
%、六フッ化プロピレン5〜50重量%およびその他共
重合可能な単量体0〜45重量%からなる単量体を重合
してあなる含フッ素重合体と、(メタ)アクリル酸アル
キルエステル40〜100重量%およびその他共重合可
能な単量体0〜60重量%からなる単量体を重合してな
るアクリル系重合体(以下、「アクリル系重合体」とい
う)とが複合した重合体粒子を含有することを特徴とす
る無機質建材用水性塗料(以下、「塗料B」という)を
提供するものである。
【0006】本発明における含フッ素重合体は、フッ化
ビニリデンを50〜95重量%、好ましくは60〜80
量%、特に好ましくは60〜70重量%、六フッ化プロ
ピレンを5〜50重量%、好ましくは5〜20重量%、
特に好ましくは10〜20重量%、その他共重合可能な
単量体0〜45重量%、好ましくは0〜35重量%、特
に好ましくは10〜30重量%からなる単量体を共重合
体して得られる。本発明において、フッ化ビニリデンが
50重量%より少ない場合は耐汚染性に劣り、95重量
%より多い場合は造膜性に劣る。六フッ化プロピレン
が、5重量%より少ない場合は造膜性・伸びに劣り、5
0重量%より多い場合は耐汚染性に劣る。特に無機質建
材の場合はに、表面に細かな凹凸が存在し汚れが着き易
いことから、六フッ化プロピレンは20重量%以下であ
ることが好ましい。その他共重合可能な単量体が45重
量%より多い場合は、耐汚染性に劣る。
【0007】前記その他共重合可能な単量体としては、
例えばフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン、トリフ
ルオロクロロエチレン、ヘキサフルオロイソブチレン、
パーフルオロアクリル酸またはそのアルキルエステル、
パーフルオロメタクリル酸またはそのアルキルエステ
ル、アクリル酸またはメタクリル酸のフルオロアルキル
エステル、パーフルオロビニルエーテル、パーフルオロ
アルキルビニルエーテル等のフッ素含有エチレン性不飽
和化合物、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシ
エチルビニルエーテル等のフッ素非含有エチレン性不飽
和化合物、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の
フッ素非含有ジエン化合物等を挙げることができる。こ
れらの中では、フッ化ビニル、テトラフルオロエチレ
ン、トリフルオロクロロエチレン、ヘキサフルオロイソ
ブチレン、パーフルオロビニルエーテルが好ましく使用
され、特に好ましくはテトラフルオロエチレンである。
【0008】前記含フッ素重合体を製造する際には、乳
化重合、溶液重合、沈澱重合等、種々の方法を採用する
ことができるが、本発明においては、特に乳化重合によ
って得られる含フッ素重合体が好ましい。前記含フッ素
重合体は、粒子として水性媒体中に分散されていなけれ
ばならないが、その分散方法は特に限定されるものでは
ない。本発明において、水性媒体としては水およびアル
コール、エーテルなどの親水性溶媒などのうち、含フッ
素重合体を溶解しないものを挙げることができるが、水
を使用することが好ましい。含フッ素重合体を水性媒体
中に分散させる方法としては、例えば、(i) 構成モノマ
ーを水性媒体中で乳化重合する方法、(ii)含フッ素重合
体溶液を水性分散液に転相する方法、(iii) 構成モノマ
ーを沈澱重合したのち、生成重合体粒子を水性媒質中に
分散させる方法等が挙げられる。これらの方法のうち、
乳化重合法が、得られる含フッ素重合体粒子の水性分散
液をそのまま、あるいは必要に応じて後述する添加剤を
加えることにより、塗料Aとして使用することができる
点で、好ましい方法である。含フッ素重合体の乳化重合
は、原料単量体を水性媒質中で、後述するような乳化
剤、重合開始剤、pH調整剤等の存在下で、重合するこ
とによって行なうことができる。
【0009】乳化剤としては、陰イオン性界面活性剤、
非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤と非イオ
ン性界面活性剤との組み合わせ等が使用され、場合によ
り両性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤も用いること
ができる。陰イオン性界面活性剤としては、例えば高級
アルコール硫酸エステルナトリウム塩、アルキルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウム塩、コハク酸ジアルキルエステ
ルスルホン酸ナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテ
ルジスルホン酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレンアル
キルエーテル硫酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレンア
ルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム塩等を挙げるこ
とができる。これらのうち、ラウリル硫酸エステルナト
リウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム
塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸
ナトリウム塩等が好ましい。非イオン性界面活性剤とし
ては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポ
リオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキ
シエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビ
タン脂肪酸エステル等を挙げることができる。一般的に
は、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリ
オキシエチレンオクチルフェニルエーテル等が使用され
る。両性界面活性剤としては、例えばラウリルベタイ
ン、ヒドロキシエチルイミダゾリン硫酸エステルナトリ
ウム塩、イミダゾリンスルホン酸ナトリウム塩等を挙げ
ることができる。陽イオン性界面活性剤としては、例え
ばアルキルピリジニウムクロライド、アルキルトリメチ
ルアンモニウムクロライド、ジアルキルジメチルアンモ
ニウムクロライド、アルキルジメチルベンジルアンモニ
ウムクロライド等を挙げることができる。また本発明に
おいては、乳化剤として、パーフルオロアルキルカルボ
ン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフル
オロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルポ
リオキシエチレン、パーフルオロアルキルベタイン等の
フッ素系界面活性剤を使用することもできる。本発明に
おいては、フルオロアルキル基を有する界面活性剤が好
適に用いられるが、特に炭素数9以上のパーフルオロア
ルキル基を有する界面活性剤が好ましい。さらに、炭素
数9以上のパーフルオロカルボン酸およびその塩が好ま
しく、特にパーフルオロノナン酸、パーフルオロデカン
酸およびその塩が好ましい。またパーフルオロカルボン
酸およびその塩の中では、パーフルオロカルボン酸のア
ンモニウム塩が好ましい。乳化剤の使用量は、全単量体
100重量部当たり、通常0.05〜5重量部、好まし
くは0.1〜2重量部、特に好ましくは0.5〜1.5
重量部がであると、所定の粒子径を得ながら、耐水性、
引いては耐候性に及ぼす影響を小さくできる。
【0010】重合開始剤としては、過硫酸ナトリウム、
過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素など
の水溶性重合開始剤、あるいはこれらの水溶性重合開始
剤と還元剤とを組み合わせたレドックス系を使用するこ
とができる。この還元剤としては、例えばピロ重亜硫酸
ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウ
ム、チオ硫酸ナトリウム、L−アスコルビン酸またはそ
の塩、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、
硫酸第一鉄、グルコース等を挙げることができる。ま
た、油溶性重合開始剤も溶媒に溶解して使用することが
できる。この油溶性重合開始剤としては、例えば2,
2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビ
ス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)、2,2′−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニ
トリル、1,1′−アゾビスシクロヘキサン−1−カル
ボニトリル、2,2′−アソビスイソバレロニトリル、
2,2′−アゾビスイソカプロニトリル、2,2′−ア
ゾビス(フェニルイソブチロニトリル)、ベンゾイルパ
ーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ジラウロイ
ルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、ジイソ
プロピルベンゼンハイドロパーオキシド、パラメンタン
ハイドロパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキシ
ド、3,5,5−トリメチルヘキサノールパーオキシ
ド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブ
チルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)等を挙げ
ることができる。好ましい油溶性重合開始剤は、2,2
´−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキ
シド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ジイソプロピルパ
ーオキシジカーボネート等である。重合開始剤の使用量
は、全単量体100重量部当たり、通常0.1〜5重量
部程度である。耐候性の点から油溶性重合開始剤が好適
に使用される。水溶性開始剤を用いる場合は、全単量体
100重量部当たり1重量部以下の使用が耐候性の点か
ら好ましい。
【0011】連鎖移動剤としては、ハロゲン化炭化水素
類(例えば、クロロホルム、ブロモホルム等)、メルカ
プタン類(例えばn−ドデシルメルカプタン、t−ドデ
シルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ヘ
キサデシルメルカプタン等)、キサントゲン類(例えば
ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサント
ゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスル
フィド等)、テルペン類(例えばジペンテン、ターピノ
ーレン等)、チウラムスルフィド類(例えばテトレメチ
ルチウラムモノスルフィド、テトラエチルチウラムジス
ルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペン
タメチルチウラムジスルフィド等)、イソペンタン、ア
ルコール類を挙げることができる。特に、イソペンタ
ン、メタノール、エタノール、イソプロパノールが好ま
しい。連鎖移動剤の使用量は、全単量体100重量部当
たり、0〜10重量部程度である。キレート化剤として
は、例えばグリシン、アラニン、エチレンジアミン四酢
酸等を、またpH調整剤としては、例えば炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、第二燐酸ナト
リウム等を挙げることができる。キレート化剤およびp
H調整剤の使用量は、全単量体100重量部当たり、そ
れぞれ、0〜0.1重量部および0〜3重量部程度であ
る。本発明において、含フッ素重合体のポリスチレン換
算重量平均分子量は、通常1〜50万である。
【0012】本発明における含フッ素重合体粒子の平均
粒子径は、30〜200nm、好ましくは、30〜15
0nm、特に好ましくは30〜100nmの範囲であ
る。平均粒子径が30nmより小さい場合、粒子の分散
安定性を保つために耐候性に悪影響を及ぼす界面活性剤
を多量に用いなければならず、200nmより大きい場
合は、沈降安定性、造膜性に劣る。本発明において、含
フッ素重合体粒子の平均粒子径を特定の範囲以内にする
には、通常、乳化剤を全単量体100重量部に対して
0.2重量部以上、好ましくは炭素数9以上のパーフル
オロカルボン酸またはその塩を0.2重量部以上するこ
とによる。本発明の塗料Aの固形分は、通常10〜70
重量%、好ましくは20〜60重量%である。塗料A
は、単独で、または2種以上を混合して使用することが
できる。
【0013】本発明において、含フッ素重合体は、(メ
タ)アクリル酸アルキルエステルを40〜100重量%
含有する単量体を重合してなるアクリル系重合体と複合
した重合体粒子(以下、「複合重合体粒子」という)と
することによって、耐汚染性、造膜性、沈降安定性に、
より優れた無機質建材用塗料とすることができる。本発
明において複合重合体粒子とは、重合体間の化学的結合
の有無に関わらず、2つ以上の重合体が1つの粒子内に
存在するものである。耐候性、造膜性、粒子の分散安定
性の点から、何れかの重合体が粒子の表面を覆ったコア
・シェル型は好ましくない。本発明においては、コア・
シェル型以外の何れの粒子構造でも支障ないが、使用条
件、特に乾燥温度・乾燥時間の制約を少なくするために
は、均質型が好ましい。
【0014】本発明において、複合重合体粒子の製造方
法としては、予め、含フッ素重合体粒子またはアクリル
系重合体粒子の何れかの重合体粒子を製造しておき、一
方の重合体粒子の存在下に他方の重合体を重合する方
法、含フッ素重合体を得るための単量体およびアクリル
系重合体を得るための単量体を同じ反応容器中で重合す
る方法、含フッ素重合体を含有する溶液を水性分散液に
転換する方法が上げられる。本発明においては、含フッ
素重合体粒子の存在下で、(メタ)アクリル酸アルキル
エステルを含有する単量体を重合する方法が好ましい。
本発明において、(メタ)アクリル酸アルキルエステル
はアクリル系重合体中40〜100重量%、好ましくは
40〜99.9重量%、特に好ましくは50〜99重量
%である。(メタ)アクリル酸アルキルエステルが40
重量%より少ない場合、耐候性が劣る。
【0015】本発明において、複合重合体粒子を製造す
るために使用できる(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、ア
クリル酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル
酸イソアミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロ
ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸
ラウリルなど、好ましくはアクリル酸ブチル、アクリル
酸2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステル、メタ
クリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ア
ルキルエステル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸
n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n
−アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸ヘキ
シル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−
エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリルなどのメタクリ
ル酸エステルを挙げることができる。
【0016】本発明においては、耐候性の点からアルキ
ル基の炭素数が1または2のメタクリル酸アルキルエス
テル、すなわち、メタクリル酸メチルまたはメタクリル
酸エチルを使用することが、さらに造膜性の点から、メ
タクリル酸アルキルエステルとアクリル酸アルキルエス
テルを組み合わせて用いることが好ましい。なお、アク
リル酸アルキルエステルは、アクリル系重合体中、通常
5〜50重量%の範囲で使用することが好ましい。本発
明において、(メタ)アクリル酸エステルと共重合する
ことのできる単量体としては、以下のものを挙げること
ができる。
【0017】(イ)オキシエチレン単位を繰り返し単位
として複数有する単量体、例えばメトキシポリエチレン
グリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコー
ルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリ
レート、メトキシトリエチレングリコールアクリレー
ト、エトキシトリエチレングリコールアクリレート、フ
ェノキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキ
シポリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノ
キシポリプロピレングリコールアクリレート、 メトキ
シポリエチレングリコールメタクリレート、メトキシト
リエチレングリコールメタクリレート、フェノキシポリ
エチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチ
レングリコールメタクリレート等、重合時に必要な乳化
剤の役割も持つもので好ましい、ノニルフェノキシポリ
プロピレングリコールメタクリレート、ノニル−1−プ
ロペニルフェノキシポリエチレングリコール、ノニル−
1−プロペニルフェノキシポリエチレングリコールスル
フェート塩、オクチル−1−プロペニルフェノキシポリ
エチレングリコール、オクチル−1−プロペニルフェノ
キシポリエチレングリコールスルフェート塩、2−(ノ
ニルフェノキシ)−1−(アリルオキシメチル)エトキ
シポリエチレングリコール、2−(ノニルフェノキシ)
−1−(アリルオキシメチル)エトキシポリエチレング
リコールスルフェート塩等。沈降安定性の点から0.1
〜5重量%の範囲で用いることが好ましい。 (ロ)エチレン性不飽和カルボン酸、例えばアクリル
酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン
酸、無水マレイン酸、クロトン酸等。特にアクリル酸、
イタコン酸が好ましく使用され、沈降安定性の点から
0.1〜5重量%の範囲で用いることが好ましい。
【0018】(ハ)その他の単量体、例えばアクリルア
ミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、
N−メチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリル
アミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−アルキ
ルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、
N,N−ジアルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキ
ルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ジア
セトンメタクリルアミド等のアミド化合物、アクリル酸
2−ヒドロキシエチル、アクリル酸N,N−ジアルキル
アミノエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸フル
オロアルキル、アセトニトリルアクリレート、ジアセト
ンアクリレート等のアクリル酸エステル、メタクリル酸
2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸N,N−ジアルキ
ルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル
酸フルオロアルキル、エチレングリコールジメタクリレ
ート、ジアセトンメタクリレート等のメタクリル酸エス
テル、アクロレイン、アリルグリシジルエーテル等のビ
ニルエーテル化合物、1,3−ブタジエン、イソプレ
ン、クロロプレン等の共役ジエン、スチレン、α−メチ
ルスチレン、ハロゲン化スチレン、ジビニルベンゼン、
ホルミルスチロール等の芳香族ビニル化合物、アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合
物、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニル
イソブチルケトン等のビニルアルキルケトン等。
【0019】これら共重合可能な他の単量体のうち、特
にエチレン不飽和カルボン酸を0.1〜5重量%するこ
とによって、得られる複合重合体粒子の沈降安定性をよ
り良くすることができる。また、重合反応を抑制し含フ
ッ素重合体とアクリル系重合体の相溶性を上げるため
に、重合反応性が低いモノマーをアクリル系重合体中
0.1〜5重量部、特に0.2〜1重量部用いることが
好ましい。重合反応性が低いモノマーとしては、2−エ
チルヘキシル、ラウリル、ステアリル、シクロヘキシ
ル、t−ブチル、ノルボルニル等のアルキル基を持つア
クリル酸またはメタクリル酸エステル、α−メチルスチ
レン等が挙げられる。前記アクリル系重合体100重量
部に対する含フッ素重合体の割合は、10〜10000
重量部、好ましくは50〜5000重量部、さらに好ま
しくは100〜900重量部である。含フッ素重合体が
10000重量部より多い場合は、耐汚染性、造膜性、
沈降安定性の改良効果が小さく、10重量部より少ない
場合は耐候性に劣る。
【0020】本発明において、含フッ素重合体粒子の存
在下でのアクリル系重合体の乳化重合は、1種のシード
重合と考えることができる。その反応挙動は必ずしも明
確ではないが、添加される単量体は主として含フッ素重
合体粒子中に吸収あるいは吸着され、該粒子を膨潤させ
ながら重合が進行して行くものと考えられる。この乳化
重合の条件は特に制約されるものではなく、例えば、水
性媒体中、乳化剤および重合開始剤の存在下で、必要に
より連鎖移動剤、キレート化剤、pH調整剤、有機溶媒
等を添加して、30〜100°C程度の温度で1〜30
時間程度反応を行なう。前記乳化剤としては、陰イオン
性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面
活性剤と非イオン性界面活性剤との組み合わせ等が使用
され、場合により両性界面活性剤、陽イオン性界面活性
剤も用いることができ、それぞれの具体例は含フッ素重
合体の製造に用いるものと同様である。さらに、本発明
においては、アクリル系重合体に共重合可能な、いわゆ
る反応性乳化剤、例えばスチレンスルホン酸ナトリウム
塩、アリルアルキルスルホン酸ナトリウム塩等を使用す
ることもできる。乳化剤の使用量は、アクリル系重合体
100重量部当たり、通常0.05〜5重量部程度であ
る。
【0021】重合開始剤、連鎖移動剤、キレート化剤と
しては、含フッ素重合体の製造と同様のもを使用するこ
とができる。好ましい重合開始剤としては、過硫酸カリ
ウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の水溶
性開始剤を挙げることができる。重合開始剤の使用量
は、アクリル系重合体100重量部当たり、通常0.1
〜3重量部程度である。連鎖移動剤の使用量は、アクリ
ル系重合体100重量部当たり、0〜10重量部程度で
ある。キレート化剤およびpH調整剤の使用量は、アク
リル系重合体100重量部当たり、それぞれ、0〜0.
1重量部および0〜3重量部程度である。前記有機溶媒
としては、例えばメチルエチルケトン、アセトン、トリ
クロロトリフルオロエタン、メチルイソブチルケトン、
ジメチルスルホキシド、トルエン、ジブチルフタレー
ト、メチルピロリドン、酢酸エチル等を挙げることがで
きる。溶媒の使用量は、作業性、防災安全性、環境安全
性および製造安全性を損なわない範囲内の少量であるこ
とが好ましく、アクリル系重合体100重量部当たり、
約20重量部以下である。
【0022】含フッ素重合体粒子の存在下、アクリル系
重合体を乳化重合する際、含フッ素重合体粒子およびア
クリル系単量体は種々の方法で添加することができる。
それらの添加方法としては、含フッ素重合体粒子の水
性分散液にアクリル系単量体の全量を一括して添加する
方法、フッ素重合体粒子の水性分散液にアクリル系単
量体の一部を仕込んで反応させたのち、残りの単量体を
連続または分割して仕込む方法、含フッ素重合体粒子
の水性分散液にアクリル系単量体の全量を連続または分
割して添加する方法、アクリル系単量体の重合下で、
含フッ素重合体粒子を連続または分割して添加する方法
等を挙げることができる。好ましい添加方法は、前記
またはの方法において初めに仕込む単量体一部の量が
全単量体量の50重量%以上である方法である。複合重
合体粒子の平均粒径は、通常、30〜200nm、好ま
しくは、30〜150nm、特に好ましくは30〜10
0nmの範囲である。平均粒子径が30nmより小さい
場合、粒子の分散安定性を保つために耐候性に悪影響を
及ぼす界面活性剤を多量に用いなければならず、200
nmより大きい場合は、沈降安定性、造膜性に劣る。複
合重合体粒子の平均粒径は、含フッ素重合体粒子の大き
さを適宜選択することによって、調節することができ
る。本発明において、塗料Bの固形分濃度は、通常、2
0〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。
塗料Bは、単独で、または2種以上を混合して使用され
る。また塗料Aと塗料Bを混合して使用することもでき
る。
【0023】本発明の無機質建材用塗料には、必要に応
じて、各種有機添加剤を、該塗料の固形分換算で100
重量部に対して、40重量部以下配合することができ
る。前記添加剤としては、例えばシリコーン系消泡剤、
エチレングリコール、プロピレングリコール等の凍結防
止剤、染料、有機顔料、分散剤、エタノールアミン等の
pH調整剤、ヒドロキシエチルセルロール、ポリエーテ
ルウレタン、アクリル酸共重合体等の増粘剤、ブチルセ
ロソルブ、エチルセロソルブ等の濡れ性改善剤、有機充
填剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、老化防止剤、紫外線
吸収剤、紫外線安定剤、水溶性溶剤、造膜助剤等を挙げ
ることができる。紫外線吸収剤としては、サリチル酸エ
チル、サリチル酸フェニル、サリチル酸クレジル、サリ
チル酸ベンジル等のサリチル酸エステル類;2−ヒドロ
キシベンソフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキ
シベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベ
ンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロロベンゾフェ
ノン、2−アミノベンゾフェノン、高分子量変性ベンソ
フェノン(例えば、アデカ・アーガス社販売T−57)
等のベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’
−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−5
−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ
−5’−メトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジネオペンチルフェ
ニル)ベンゾトリアゾール、高分子量変性ベンゾトリア
ゾール(例えば、チバ・ガイギー社販売チヌビン90
0、チヌビン1130)等のベンゾトリアゾール類;2
−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチル、2−
シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキ
シル、α−シアノ−β−メチル−4−メトキシ桂皮酸メ
チル等の置換アクリロニトリル類;2,2’−チオビス
(4−オクチルフェノレート)ニッケル錯塩、(2,
2’−チオビス(4−t−オクチルフェノラート))−
n−ブチルアミン・ニッケル錯塩等のニッケル錯塩;p
−メトキシベンジリデンマロン酸ジメチル、レゾルシノ
ールモノ安息香酸エステル、ヘキサメチル燐酸トリアミ
ド、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン等が挙げら
れる。紫外線安定剤としては、ビス(2,2,6,6−
テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート、コハク酸
ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロ
キシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合
物、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベ
ンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,
6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、高分子量変
性ヒンダードアミン(例えば、アデカ・アーガス社販売
MARK LA 57、62、63、67、68)、チ
バガイギー社販売チヌビン292等が挙げられる。造膜
助剤としては、脂肪族エステル、エチレングリコールま
たはプロピレングリコールの縮合誘導体、ケトン系溶剤
等が用いられるが、エチレングリコールまたはプロピレ
ングリコールの2量体または3量体の両端エーテル化物
が好ましい。その際、メチルエーテル化物が好ましく、
特にジメチルエーテル化物が好ましい。また、脂肪族エ
ステルの内、イソブチレートが、さらに脂肪族ジオール
のモノイソブチレートが好ましく使用できる。また、本
発明の無機質建材用塗料には、必要により、酸化チタ
ン、酸化鉄、カーボン等の顔料、炭酸カルシウム、シリ
カ、アエロジル等の充填剤などの無機化合物を添加する
こともできる。酸化チタンを用いる場合は、ルチル型酸
化チタンが好ましく、特に塩素法で製造された高純度な
ルチル型酸化チタンが好ましい。瓦など濃色の塗装が好
まれる場合には、カーボン分散液を固形分換算で含フッ
素重合体粒子あるいは複合重合体粒子100重量部当た
り、0.01〜5重量部加えることにより、耐候性、下
地・下塗りの保護性が向上する。
【0024】本発明の無機質建材用塗料は、特に各種無
機質建材に対する保護コーティング材として有用であ
る。その際には、基材に塗布後、通常室温〜200°C
程度の温度で乾燥させる。用途としては、現場施工用常
乾塗料、ライン塗装用塗料等である。特に複合重合体粒
子の塗料Bは、ライン塗装用塗料に優れていて、50〜
150℃の温度で0.5〜30分乾燥されて用いられ
る。この場合、基材としては、スレート瓦、セメント瓦
等の瓦、窯業系サイディング等が好ましい。下塗りとし
て、各種重合体の溶剤溶液、水溶液、水分散液が必要に
応じて用いられる。下塗りとしては、一般にアクリル系
重合体として知られているものが好ましく、特に塗料B
に用いられるアクリル系重合体と同じ組成のものが密着
性の点から好ましい。本発明の塗料Aおよび塗料Bの下
塗りが無機質建材用としての意匠性を得るために、着色
されているか、隠ぺい性をもたされている場合は、本発
明の無機質建材用塗料はいわゆるクリアコートとして用
いられる。この場合、塗料または下塗り、あるいは両方
に、紫外線吸収剤、紫外線安定剤を加えることが好まし
い。また、下塗りの意匠性を損なわない範囲で、本発明
の無機質建材用塗料に体質顔料、着色顔料を添加しカラ
ークリアとして用いることが好ましい。
【0025】
【実施例】以下実施例および比較例により、本発明をさ
らに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例のみ
に限定されるものではない。ここで、部および%は重量
に基づく。 実施例1 電磁式攪拌機を備えた内容積約6リットルのオートクレ
ーブを窒素ガスで充分に置換したのち、脱酸素した純水
2.5リットル、乳化剤としてパーフルオロデカン酸ア
ンモニウム25gを仕込み、350rpmで攪拌しなが
ら60℃まで昇温した。次いでフッ化ビニリデン単量体
(VdF)44.2%および六フッ化プロピレン単量体
(HFP)55.8%からなる混合ガスを20kg/c
2Gになるまで仕込み、重合開始剤のジイソプロピル
パーオキシジカーボネート20%を含有したフロン11
3溶液25gを窒素ガスで圧入し重合を開始させた。重
合の進行と共に圧力が降下するのでVdF60.2%お
よびHFP39.8%からなる混合ガスを逐次圧入し、
圧力を20kg/cm2Gに維持して反応を継続した。
反応時間と共に重合速度が低下するため、3時間経過
した後再度先と同量の重合開始剤を窒素ガスで圧入し、
更に3時間反応を継続させた。 次いで系内を冷却、攪
拌を停止した後未反応単量体を放出し反応を停止させ
た。かくして得られた塗料Aの固形分濃度は30.5%
であり、大塚電子製 PHOTON CORRELAT
OR LPA−3000Sで測定した平均粒子径は51
nmであった。また、19F−NMRから求めた各単量体
の重量組成比はVdF/HFP=60/40であった。
造膜性を理学工業製最低造膜温度測定装置にて、塗膜を
指で擦り、塗膜がに剥がれない温度を最低造膜温度とし
て測定した。値が小さい方が、容易に塗膜を形成するこ
とを示す。また、最低造膜温度に20℃を加えた温度に
て30分乾燥、同温度にて0.5MPa圧プレスして得
られた0.5mm厚のフィルムの引張降伏伸びと引張降
伏強さをJIS K 7127により、2号形試験片を
用いて測定した。値の高い方がそれぞれ基材の膨張収縮
に対する追従性、基材の割れに対する抵抗性に優れる。
結果をまとめて表1に示す。
【0026】実施例2 実施例1と同様にして、フッ化ビニリデン62%、六フ
ッ化プロピレン15%、テトラフルオロエチレン23%
の平均粒子径98nmの塗料Aを得た。
【0027】
【0028】比較例1 実施例1と同様にして、フッ化ビニリデン72%、テト
ラフルオロエチレン28%の平均粒子径97nmの塗料
Aを得た。 比較例2 パーフルオロデカン酸アンモニウムの量を0.2gとし
た以外は実施例1と同様にして、フッ化ビニリデン62
%、六フッ化プロピレン15%、テトラフルオロエチレ
ン23%の平均粒子径320nmの塗料Aを得た。以上
のデータから、本発明の塗料Aは、造膜性、伸び、強度
に優れていることがわかった。 実施例3〜9 容量7リットルのセパラブルフラスコの内部を窒素置換
したのち、実施例3では実施例1で、実施例4以降は実
施例2で得られた含フッ素重合体水性分散液を固形分換
算で150部および2−(1−アリル)−4−ノニルフ
ェノキシポリエチレングリコールスルフェートアンモニ
ウム3部を入れて、75℃に昇温させた。次に表2に示
す単量体混合物(および場合により水)を加え、75℃
で30分攪拌した。ここに過硫酸ナトリウム0.5部を
加え85〜95℃で2時間重合したのち、冷却して反応
を停止させて、複合重合体粒子の水性分散体を得た。実
施例1と同様にして、造膜性、伸び、強度を評価した。
また、石原産業製酸化チタンCR−97を65部、BY
K CHEMIE製顔料分散剤Disperbyk18
2を5.2部、サンノプコ製消泡剤SN−113を1.
3部、エチレングリコールを15.1部、水を13.4
部を三枚羽攪拌機で30分予備攪拌後、関ペパピオ製卓
上サンドミルで30分分散した白顔料分散液30.8部
に、得られた複合重合体粒子の水性分散液を固形分で8
0部、トリエチレングリコールジメチルエーテルを8部
加え塗料Bを得た。この塗料Bをスレート瓦に150μ
m隙間のアプリケーターを用いて塗布し、80℃にて3
0分乾燥後、サンシャインカーボンアーク式耐候性試験
機を用いて、JIS−K5400、9・8・1に準じて
試験を行なった。3000時間照射後の試料の光沢の照
射前の光沢に対する割合(%)を求めて、下記の基準で
評価した。 ○:100〜80% △:79〜40% ×:39%以下 同様にして得た塗装板を、日本合成ゴム(株)四日市工
場内にて南西方向、水平面より45°の角度で保持し、
1ヶ月屋外暴露後の明度差(ΔL*)を測定し、耐汚染
性を次の基準で評価した。 ○:5以下 △:5〜10 ×:10以上 また、基材の膨張収縮に対する追従性および基材の割れ
に対する抵抗性を総合的に評価するために、20℃の水
に18時間浸せき後、−20℃の低温槽に3時間保持
し、さらに50℃の恒温槽に3時間保持する試験を1サ
イクルとし、塗面にクラックが入るまでのサイクル数で
耐冷熱サイクル性を評価した。値が大きい方が耐冷熱サ
イクル性に優れることを示す。評価の結果を表2に示
す。
【0029】
【0030】実施例9および比較例3 実施例2の含フッ素重合体水性分散液の替わりに、比較
例2(実施例9)および比較例1(比較例3)の含フッ
素重合体水性分散液を用いて、実施例4と同様にして、
複合重合体粒子の水性分散液を得た。これら複合重合体
粒子の水性分散液および実施例2、比較例1の含フッ素
重合体水性分散液を、実施例4と同様にして評価した結
果を表3に示す。
【0031】
【0032】比較例4 日本合成ゴム製アクリルエマルジョンAE314の固形
分換算95部に実施例4で使用した白顔料分散液1部、
大日精化製カーボン分散液EP510BLACK TR
12部、トリエチレングリコールジメチルエーテル10
部を加え、実施例4と同様に塗装、耐候性を評価したと
ころ、×であった。。
【0033】実施例10〜12 比較例4の塗装板に、実施例4の複合重合体粒子の水性
分散液を添加物なし(実施例10)で、複合重合体粒子
の固形分100部当たり、チバガイギー製チヌビン11
30を3部およびチヌビン292を1部(実施例1
1)、EP510BLACK TRを0.5部(実施例
12)添加して、実施例4と同様に塗装、耐候性を評価
したところ、それぞれ、△、○、○であった。
【0034】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の塗料は、
耐候性、耐汚染性に優れた塗膜を容易に形成し、基材の
膨張収縮に対する追従性、基材の割れに対する抵抗性に
優れる。従って、セメント、モルタルまたはコンクリー
トで仕上げられた床、壁、天井または屋根、あるいは
床、壁、天井または屋根を構築するのに用いられる石膏
ボード、石綿スレート、アスベストボード、プレキャス
トコンクリート、軽量気泡コンクリート、繊維補強コン
クリート、厚型スレート、石綿セメント珪酸カルシウム
板、木片セメント板、硝子、タイル、煉瓦、焼成瓦等の
無機質建材を塗装するための水性塗料として有用であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 5/00 PPD PPU 133/06 PFX 151/06 PGX

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ化ビニリデン50〜95重量%、六
    フッ化プロピレン5〜50重量%およびその他共重合可
    能な単量体0〜45重量%からなる単量体を重合してな
    る含フッ素重合体を含有し、平均粒子径が30〜200
    nmである重合体粒子を含有することを特徴とする無機
    質建材用水性塗料。
  2. 【請求項2】 フッ化ビニリデン50〜95重量%、六
    フッ化プロピレン5〜50重量%およびその他共重合可
    能な単量体0〜45重量%からなる単量体を重合してな
    る含フッ素重合体と、(メタ)アクリル酸アルキルエス
    テル40〜100重量%およびその他共重合可能な単量
    体0〜60重量%からなる単量体を重合してなるアクリ
    ル系重合体とが複合した重合体粒子を含有することを特
    徴とする無機質建材用水性塗料。
  3. 【請求項3】 フッ化ビニリデン50〜95重量%、六
    フッ化プロピレン5〜50重量%およびその他共重合可
    能な単量体0〜45重量%からなる単量体を重合してな
    る含フッ素重合体の存在下、(メタ)アクリル酸アルキ
    ルエステル40〜100重量%およびその他共重合可能
    な単量体0〜60重量%からなる単量体を重合すること
    を特徴とする無機質建材用水性塗料の製造方法。
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