JP3002746B2 - フッ素系重合体水性分散液およびフッ素系重合体含有水性分散液 - Google Patents

フッ素系重合体水性分散液およびフッ素系重合体含有水性分散液

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JP3002746B2
JP3002746B2 JP1-204088A JP20408889A JP3002746B2 JP 3002746 B2 JP3002746 B2 JP 3002746B2 JP 20408889 A JP20408889 A JP 20408889A JP 3002746 B2 JP3002746 B2 JP 3002746B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はフッ素系重合体水性分散液およびフッ素系重
合体含有水性分散液に関し、詳しくは貯蔵安定性、成膜
性に優れ、また基体への密着性、耐薬品性、機械的強度
などの性質に優れた被膜を形成する、フッ素系重合体の
水性分散液およびフッ素系重合体と水溶性樹脂および/
または水分散性樹脂とを含有する水性分散液に関する。
これら水性分散液は、塗料のほかに、繊維処理剤、紙
加工材、床塗布材、カーペットパッキング材などとして
利用することができる。
(従来の技術) フッ素樹脂は、耐薬品性、耐溶剤性に極めて優れてい
るほか、耐熱性、耐候性、気体不透過性、耐放射線性、
電気絶縁性なども良好である。このため、フッ素樹脂
は、ライニング材、耐食材、多孔質物質(例えばアスベ
ストシート、ガラスシート、フェルトシート、紙など)
の含浸加工材、パッキング材、塗工材、耐酸、耐アルキ
ル性あるいは電気絶縁性が要求される材料表面への吹き
付け材、焼付け塗料、ラミネートフィルム材、繊維など
の非粘着付与材、撥水材、床などへの塗布材などとして
利用が広く検討されている。
しかし、フッ素樹脂は、加工性、例えば成膜性が悪
く、高温での焼付け処理を必要とすることからピンホー
ルなどの被膜欠陥が生じやすく、また基体への密着性、
透明性、さらには引張強度などの機械的強度が劣るとい
う欠点がある。このため、フッ素樹脂は限られた用途の
みに使用され、汎用されるに至っていないのが実状であ
る。
上記フッ素樹脂の欠点を改善するため、例えば懸濁重
合によって得られるフッ化ビニリデン重合体の存在下に
アクリル酸メチルとイソブチレンと共重合させる粉末状
組成物の製造方法(特公昭54−15077号公報)、含フッ
素ランダム共重合体に水溶性樹脂を配合した含フッ素水
性分散体(特開昭62−158766号公報)、フッ素系重合体
を界面活性剤を用いて微分散して得られる微粒子分散体
100重量部に対しエチレン系不飽和カルボン酸エステル
および/またはこれと共重合可能な単量体100〜500重量
部を添加し、乳化重合してフッ素系重合体の複合体を製
造する方法(特開昭63−312836号公報)などが提案され
ている。
(発明が解決しようとする課題) 本発明者らの研究によれば、上記従来の方法はフッ素
樹脂の欠点を充分改良するに至らず、実用化にはなお問
題が残されていることか判明した。
特開昭54−15077号公報記載の粉末状組成物の場合、
得られる重合体の粒子径が通常50〜200μmと大きいた
め、この粉末状組成物を用いて形成される塗膜は耐候
性、耐薬品性などが劣る。特開昭62−158766号公報記載
の含フッ素水性分散体は、貯蔵安定性が低く、またこの
分散体を用いて形成される被膜は耐久性などの性質が充
分でない。また、特開昭63−312836号公報記載の方法に
よって得られる複合体は、シード粒子に対するエチレン
系不飽和カルボン酸エステルおよび/またはこれと共重
合可能な単量体の使用量が多すぎるためフッ素樹脂の特
性である耐候性、耐薬品性などが失われてしまう。
従って、本発明は、フッ素樹脂本来の優れた性質を保
持しながら上記欠点を改善し、貯蔵安定性、成膜性に優
れ、また基体への密着性、耐薬品性、機械的強度などの
性質に優れた被膜を形成するフッ素系重合体水性分散液
を提供することを目的とするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、フッ化ビリニデン系重合体粒子をシー
ド粒子として、特定組成の単量体混合物を水性媒体中で
乳化重合して得られ、かつ得られる重合体粒子が特定範
囲の粒径を有するフッ素系重合体水性分散液を用いると
上記目的が達成できることを知り、この知見に基づいて
本発明を完成するに至った。
フッ化ビリニデンと四フッ化エチレンおよび/または
六フッ化エチレンとを必須成分とするフッ化ビニリデン
系共重合体粒子100重量部の存在下に、 (A)アルキル基の炭素数が1〜18のアクリル酸アルキ
ルエステル、 (B)アルキル基の炭素数が1〜18のアクリル酸アルキ
ルエステルとアルキル基の炭素数が1〜18のメタクリル
酸アルキルエステルとの単量体混合物、 (C)アルキル基の炭素数が1〜18のアクリル酸アルキ
ルエステルとこれと共重合可能なエチレン系不飽和化合
物との単量体混合物、 (D)アルキル基の炭素数が1〜18のアクリル酸アルキ
ルエステルと、アルキル基の炭素数が1〜18のメタクリ
ル酸アルキルエステルと、これらと共重合可能はエチレ
ン系不飽和化合物との単量体混合物、または (E)アルキル基の炭素数が1〜18のメタクリル酸アル
キルエステルとこれと共重合可能なエチレン系不飽和化
合物との単量体混合物5〜95重量部を水性媒体中で乳化
重合して得られ、かつ重合体粒子径が0.05〜3μmであ
ることを特徴とするフッ素系重合体水性分散液である。
さらに、本発明は、上記フッ素系重合体水性分散液95
〜30重量部(固形分)、および水溶性樹脂および/また
は水分散性樹脂の水性分散液5〜70重量部(固形分)と
からなることを特徴とするフッ素系重合体含有水性分散
液に関する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明では、シード粒子として、フッ化ビリニデンと
四フッ化エチレンおよび/または六フッ化エチレンとを
必須成分とするフッ化ビニリデン系共重合体粒子を用い
る。なお、このフッ化ビニリデン系共重合体は、その特
性を損なわない範囲内において、その他の共重合可能な
単量体、例えばトリフルオロクロロエチレン、フッ化ビ
ニル、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロアク
リル酸などのフッ素含有エチレン系不飽和化合物、シク
ロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエ
ーテルなどのフッ素非含有エチレン系不飽和化合物、ブ
タジエン、イソプレン、クロロプレンなどのフッ素非含
有ジエン化合物などを共重合させて得られるものでもよ
い。
上記フッ化ビニリデン系共重合体は種々の方法で得ら
れるが、本発明においては、特に乳化重合によって得ら
れるフッ化ビニリデン系共重合体が好適に使用される。
しかして、本発明においては、乳化重合によって得られ
るフッ化ビニリデン/四フッ化エチレン共重合体、フッ
化ビニリデン/四フッ化エチレン/六フッ化プロピレン
共重合体などが特に好ましく使用される。
フッ化ビニリデン系共重合体は、水性媒体中で粒子と
して分散される限り、どのような状態で添加してもよい
が、前記のとおり本発明においては乳化重合によって得
られるフッ化ビニリデン系共重合体が好ましく、この場
合、水性分散液として製造されることから、そのまま水
性分散液として使用するのが好都合である。このような
フッ化ビニリデン系共重合体の水性分散液は、通常の乳
化重合方法により、例えば原料単量体を水性媒体中で後
記するような乳化剤、重合開始剤、pH調整剤などの存在
下に乳化重合して製造することができる。
なお、フッ化ビニリデン系共重合体粒子の粒径は、目
的とするフッ素系重合体水性分散液中の重合体粒子の粒
径に応じて変わるが、通常、0.04〜2.9μmの範囲にあ
るのが好ましい。
本発明においてシード粒子として使用するフッ化ビニ
リデン系共重合体粒子は乳化重合によって得られるもの
が好ましく、例えば懸濁重合によって得られるフッ化ビ
ニリデン系共重合体粒子をシード粒子とする場合、得ら
れる重合体の粒子径が50〜200μmと大きくなって、本
発明の目的を達成することができなくなる。
上記フッ化ビニリデン系共重合体粒子の存在下に乳化
重合させる単量体としての、アルキル基の炭素数が1〜
18のアクリル酸アルキルエステルとしては、例えばアク
リル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピ
ル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、ア
クリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸ヘ
キシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラ
ウリルなどを挙げることができる。アルキル基の炭素数
が1〜8のアクリル酸アルキルエステル、特にアルキル
基の炭素数が1〜5のアクリル酸アルキルエステルが好
ましく使用される。
アルキル基の炭素数が1〜18のメタクリル酸アルキル
エステルとしては、例えばメタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n
−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸アミ
ル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸ヘキシル、
メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリ
ルなどを挙げることができる。アルキル基の炭素数が1
〜8のメタクリル酸アルキルエステル、特にアルキル基
の炭素数が1〜5のメタクリル酸アルキルエステルが好
ましく使用される。
上記アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸
アルキルエステルと共重合可能なエチレン系不飽和化合
物としては、(イ)官能性ビニル化合物および(ロ)上
記(イ)の官能性ビニル化合物以外のビニル化合物など
を挙げることができる。
官能性ビニル化合物(イ)としては、アクリル酸、メ
タクリル酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸などの
α,β−不飽和カルボン酸、酢酸ビニルなどのビニル化
合物、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル
アクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メ
チロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルア
ミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタ
クリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N,N−
ジアルキルメタクリルアミドなどのアミド化合物、アク
リル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸N−ジアルキ
ルアミノエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸フ
ルオロアルキルなどのアクリル酸エステル、メタクリル
酸ジアルキルアミノエチル、メタクリル酸フルオロアル
キル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル
酸グリシジル、エチレングリコールジメタクリレートな
どのメタクリル酸エステル、アリルグリシジルエーテル
などのビニルエーテル化合物などを挙げることができ
る。これらのうち、アクリル酸、メタクリル酸、イタコ
ン酸、フマル酸、N−メチロールアクリルアミド、N−
メチロールメタクリルアミド、アクリル酸2−ヒドロキ
シエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アリル
グリシジルエーテルなどが好ましく使用される。
ビニル化合物(ロ)としては、1,3−ブタジエン、イ
ソプレンなどの共役ジエン、スチレン、α−メチルスチ
レン、ハロゲン化スチレンなどの芳香族ビニル化合物、
ジビニルベンゼンなどのジビニル化合物、アクリロニト
リル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニルなどを
挙げることができる。これらのうち、1,3−ブタジエ
ン、スチレン、アクリロニトリルなどが好ましく使用さ
れる。
これらエチレン系不飽和化合物のうち、官能性ビニル
化合物(イ)は、単量体混合物の50重量%未満となる割
合で、またビニル化合物(ロ)は、単量体混合物の30重
量%未満となる割合で使用するのが好ましい。
なお、上記アクリル酸アルキルエステル、メタクリル
酸アルキルエステルおよび必要に応じて使用するエチレ
ン系不飽和化合物としては、いずれも、先に例示したよ
うな単量体を単独または2種以上の混合物として使用す
ることができる。
アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキル
エステルとを併用する場合、両者の比率については特に
制限はなく、目的とするフッ素系重合体の性質などに応
じて適宜決定することができる。また、単量体混合物中
のアクリル酸アルキルエステルの割合は、80重量%未満
が好ましく、特に60重量%未満が好ましい。80重量%以
上では耐薬品性、耐候性、機械的強度などが低下して好
ましくない。
本発明のフッ素系重合体水性分散液は、上記フッ化ビ
ニリデン系共重合体粒子100重量部の存在下に、(A)
アルキル基の炭素数が1〜18のアクリル酸アルキルエス
テル、(B)アルキル基の炭素数が1〜18のアクリル酸
アルキルエステルとアルキル基の炭素数が1〜18のメタ
クリル酸アルキルエステルとの単量体混合物、(C)ア
ルキル基の炭素数が1〜18のアクリル酸アルキルエステ
ルとこれと共重合可能なエチレン系不飽和化合物との単
量体混合物、(D)アルキル基の炭素数が1〜18のアク
リル酸アルキルエステルと、アルキル基の炭素数が1〜
18のメタクリル酸アルキルエステルと、これらと共重合
可能はエチレン系不飽和化合物との単量体混合物、また
は(E)アルキル基の炭素数が1〜18のメタクリル酸ア
ルキルエステルとこれと共重合可能なエチレン系不飽和
化合物との単量体混合物(以下、これらを総称して「単
量体混合物」という場合もある。)5〜95重量部、好ま
しくは20〜90重量部を水性媒体中で乳化重合して得られ
る。
単量体混合物の使用量が5重量部未満では加工性(成
膜性)、基体への密着性が劣り、一方95重量%を超える
とフッ化ビニリデン系共重合体自体が有する耐候性、耐
薬品性などの特性が失われ好ましくない。
上記乳化重合において、どのような生成物が得られる
かは明らかではないが、単量体は主としてフッ化ビニリ
デン系共重合体粒子中に吸収あるいは吸着されて、粒子
を膨潤させながら重合して行くものと考えられる。
上記乳化重合は、通常の乳化重合条件下で行うことが
できる。例えば、水性媒体中に乳化剤、重合開始剤、pH
調整剤、溶媒などを添加し、温度30〜100℃程度で1〜3
0時間程度反応を行う。
乳化剤としては、陰イオン性、非イオン性または陰イ
オン−非イオン性の組合せが用いられ、場合によっては
両性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤も用いることが
できる。陰イオン性乳化剤としては、例えば高級アルコ
ール硫酸エステルナトリウム塩、アルキルベンゼンスル
ホン酸ナトリウム塩、コハク酸ジアルキルエステルスル
ホン酸ナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルジス
ルホン酸ナトリウム塩などを挙げることができる。これ
らのうち、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、
ラウリルサルフェートナトリウム塩、ポリオキシエチレ
ンアルキル(またはアルキルフェニル)エーテルの硫酸
塩などが好ましく使用される。非イオン性乳化剤として
は、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリ
オキシエチレンアルキルアリルエーテルなどを挙げるこ
とができる。一般的には、ポリオキシエチレンノニルフ
ェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニル
エーテルなどが使用される。両性乳化剤としては、ラウ
リルベタインなどが適当である。陽イオン界面活性剤と
しては、アルキルピリジニウムクロライド、アルキルア
ンモニウムクロライドを使用することができる。更に、
上記単量体と共重合可能な、いわゆる反応性乳化剤、例
えばスチレンスルホン酸ナトリウム、アリルアルキルス
ルホン酸ナトリウムなども乳化剤として使用してもよ
い。
乳化剤の使用量は、通常、フッ化ビニリデン系共重合
体粒子と単量体混合物との合計100重量部当り0.05〜5
重量部程度である。
重合開始剤としては、例えば水溶性の過硫酸塩、過酸
化水素などが使用可能であり、場合によっては還元剤と
組み合わせて使用することができる。還元剤としては、
例えばピロ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウ
ム、チオ硫酸ナトリウム、L−アスコルビン酸およびそ
の塩、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートな
どを挙げることができる。また、油溶性の重合開始剤、
例えば2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−ア
ゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)、2,2′−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリ
ル、1,1′−アゾビス−シクロヘキサン−1−カルボニ
トリル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、クメンヒ
ドロ過酸化物などを単量体あるいは溶媒に溶解して使用
することができる。好ましい油溶性重合開始剤として
は、キュメンハイドロパーオキシド、ジメイソプロピル
ベンゼンハイドロパーオキシド、パラメンタンハイドロ
パーオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイ
ルパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキシド、3,
5,5−トリメチルヘキサノールパーオキシド、t−ブチ
ルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)などを挙げ
ることができる。重合開始剤の使用量は、単量体混合物
100重量部当り0.1〜3重量部程度である。
連鎖移動剤としては、ハロゲン化炭化水素(例えば、
四塩化炭素、クロロホルム、ブロモホルムなど)、メル
カプタン類(例えば、n−ドデシルメルカプタン、t−
ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタンな
ど)、キサントゲン類(例えば、ジメチルキサントゲン
ジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルフ
ァイドなど)、テルペン類(例えば、ジペンテン、ター
ピノーレンなど)などを挙げることができる。連鎖移動
剤の使用量は、単量体混合物100重量部当り0〜10重量
部程度である。
キレート化剤としては、例えばグリシン、アラニン、
エチレンジアミン四酢酸などを、またpH調整剤として
は、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナ
トリウムなどを挙げることができる。キレート化剤およ
びpH調整剤の使用量は、それぞれ、単量体混合物100重
量部当り0〜0.1重量部および0〜3重量部程度であ
る。
溶剤としては、作業性、防災安全性、環境安全性およ
び製造安全性を損なわない範囲内で少量のメチルエチル
ケトン、アセトン、トリクロロトリフルオロエタン、メ
チルイソブチルケトン、ジメチルスルホキサイド、トル
エン、ジブチルフタレート、メチルピロリドン、酢酸エ
チルなどを使用してもよい。溶剤の使用量は、単量体混
合物100重量部当り0〜20重量部程度である。
上記フッ化ビニリデン系共重合体をシード粒子とした
乳化重合は、公知の方法、例えばフッ化ビニリデン系共
重合体粒子の存在下に単量体全量を反応系に一括して仕
込む方法、単量体の一部を仕込んで反応させた後、残り
の単量体を連続または分割して仕込む方法、単量体全量
を連続して仕込む方法、単量体の反応下にフッ化ビニリ
デン系共重合体粒子を分割または連続して添加する方法
などによって行うことがいできる。
本発明のフッ素系重合体水性分散液中のフッ素系重合
体粒子の平均粒子径は、通常、0.05〜3μm程度であ
り、好ましくは0.05〜1μm程度、更に好ましくは0.1
〜1μm程度である。平均粒子径が0.05μm未満では水
性分散液の粘度が上昇し、高固形分の水性分散液が得ら
れず、使用条件により機械的剪断が過酷な場合において
は凝固物を発生して好ましくない。一方、3μmを超え
ると水性分散液の貯蔵安定性が劣り好ましくない。
フッ素系重合体粒子の平均粒子径は、フッ化ビニリデ
ン系共重合体粒子の大きさを適宜選択することによって
調整することができる。
なお、本発明におけるフッ素系重合体の粒子径はナノ
サイザー(Nano−Sizer、コールター社製)を用いて測
定した。
本発明のフッ素系重合体含有水性分散液は、上記フッ
素系重合体水性分散液95〜30重量部(固形分)、好まし
くは90〜50重量部(固形分)に対し水溶性樹脂および/
または水分散性樹脂の水性分散液5〜70重量部(固形
分)、好ましくは10〜50重量部(固形分)(合計量100
重量部)を配合して得られる。
フッ素系重合体水性分散液の割合が95重量部(固形
分)を越えると被膜の耐久性などの性質が低下し、一方
30重量部(固形分)未満では耐薬品性などが低下する。
上記水溶性樹脂としては、一般に水溶性として知られ
ている樹脂はいずれも使用可能であり、代表的な水溶性
樹脂としては、N−メチロールメラミン樹脂、アルキル
化N−メチロールメラミン樹脂、水溶性アクリル樹脂、
ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、水性
ナイロン樹脂、アルキッド樹脂、尿素樹脂、マレイン化
ポリブタジエン、マレイン化油などを挙げることができ
る。これらのうち、N−メチロールメラミン樹脂、アル
キル化N−メチロールメラミン樹脂、水溶性アクリル樹
脂が好ましく使用される。
上記水分散性樹脂とは一般にエマルジョンを形成でき
るものであり、具体的には(メタ)アクリルエマルジョ
ン、酢酸ビニルエマルジョン、エチレン−酢酸ビニルエ
マルジョン、ウレタンエマルジョンなどを挙げることが
できる。これらのうち、(メタ)アクリルエマルジョン
が好ましく使用される。なお、エマルジョンを使用する
場合、その使用量は固形分が上記範囲内になるように決
定する。
上記水溶性樹脂と水分散性樹脂とを併用する場合、両
者の比率(水溶性樹脂/水分散性樹脂)は、20/80〜80/
20(重量部)の範囲に調整するのが好ましい。
本発明のフッ素系重合体含有水性分散液を調製する
際、水溶性樹脂は、そのままフッ素系重合体水性分散液
に添加し、適当な手段により、例えば撹拌器を用いて撹
拌すれば水溶性樹脂が均一に溶解された水性分散液が得
られるが、水溶性樹脂を予め水に溶解し、水溶液として
添加することもできる。水分散性樹脂は、一般にエマル
ジョンとして添加されるが、水溶性樹脂の場合と同様
に、例えば撹拌器を用いて撹拌することによって均一な
水性分散液を得ることができる。
フッ素系重合体含有水性分散液はそのまま使用するこ
とができるが、必要に応じて、顔料、顔料分散剤、充填
剤、老化防止剤などの添加剤を適宜添加して使用するこ
とができる。
フッ素系重合体水性分散液およびフッ素系重合体含有
水性分散液は、いずれも成膜性に優れ、耐候性、透明
性、耐薬品性、基体への密着性、機械的強度などに優れ
た被膜を形成することから、焼付または常乾型塗料のほ
かにカチオン電着塗料、繊維処理剤、紙加工剤、床塗布
剤、カーペットバッキング剤、パッキン剤、非粘着処理
剤、シール剤、ラミネート剤、撥水撥油処理剤などとし
て用いることもできる。例えば、フッ素系重合体水性分
散液を被塗装体に塗布して100〜200℃の温度で1〜30分
程度焼付けると耐久性、耐薬品性、耐候性に優れた被膜
が得られる。特に、フッ素系重合体含有分散液は、貯蔵
安定性に優れていることから貯蔵、輸送などの面で極め
て有利である。
(実施例) 以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明す
る。なお、「部」および「%」はいずれも重量基準であ
る。
実施例1 (フッ素系重合体水性分散液の製造) 撹拌器、温度計および単量体添加ポンプを備えたステ
ンレス製オートクレーブに加熱器および窒素ガス導入装
置を取り付け、これに水100部、フッ化ビニリデン系共
重合体水性分散液(フッ化ビニリデン/四フッ化エチレ
ン/六フッ化プロピレン共重合体、平均粒径0.25μm、
商品名カイナー(KYNAR)9301(ペンウオルト(株)
製)の凝固前のラテックス)100部(固形分)、過硫酸
ナトリウム0.3部を仕込み、気相部を15分間窒素ガスで
置換し、75℃に昇温した。
次に、別容器でアクリル酸n−ブチル15部、メタクリ
ル酸メチル23部、メタクリル酸2部、水50部および乳化
剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部
を乳化混合したものを上記オートクレーブに3時間かけ
て連続的に添加した。添加終了後さらに85〜95℃で2時
間熟成した後、冷却し、アンモニア水にてpH8に調整し
た後、200メッシュ金網でろ過してフッ素系共重合体の
水性分散液を得た。
得られた水性分散液中の共重合体粒子の平均粒径は0.
27μmであった。
なお、共重合体粒子の平均粒径はコールター社のナノ
サイザー(Nano−Sizer)を用いて測定した。
上記水性分散液の最低成膜温度(MFT)を熱勾配試験
装置(理学工業(株))にて測定した。MFTが低いほど
成膜性が優れている。
また、上記水性分散液を15cm×10cmの大きさで深さ0.
2cmのガラス製枠付き容器に乾燥後のフィルム厚さが0.0
6cmになるように流し込み50℃で24時間乾燥させた。得
られた乾燥フィルムをダンベル状2号形を用いて打ち抜
き、JIS−K6301に準じて引張強さ、切断時の伸び、100
%モジュラスを測定した。この結果、引張強さ70kg/c
m2、切断時の伸び350%、100%モジュラス45kg/cm2であ
った。
透明性は上記フィルムを目視により観察し、下記のよ
うに評価した。
○: 透明 △: やや不透明 ×: 白濁 また、クラックの有無は上記フィルムを目視により調
べた。
結果を表1に示す。
比較例1 実施例1で使用したと同じフッ化ビニリデン系共重合
体水性分散液を用いて実施例1と同じ試験を行った。
結果を表1に示す。
表1の結果からフッ化ビニリデン系共重合体水性分散
液は本発明のフッ素系重合体水性分散液に劣ることが理
解される。
比較例2 実施例1において、フッ化ビニリデン系共重合体水性
分散液を使用しなかった以外は実施例1と同様にして水
性分散液を得た。この水性分散液をアンモニア水でpH8
に調整した後、200メッシュの金網でろ過した。重合体
粒子の平均粒径は0.27μmであった。
上記水性分散液40部(固形分)と実施例1で使用した
と同じフッ化ビニリデン系共重合体水性分散液100部
(固形分)とを混合し、得られた水性分散液について実
施例1と同様の試験を行った。
結果を表1に示す。
表1の結果から、シード粒子を使用することなく調製
した重合体水性分散液とフッ化ビニリデン系共重合体水
性分散液とを単純に混合しただけでは良好な結果が得ら
れないことが判る。
比較例3 実施例1において、フッ化ビニリデン系共重合体水性
分散液の代わりに四フッ化エチレン単独重合体(平均粒
子径0.25μm)の水性分散液を用いた以外は実施例1と
同様にしてフッ素系重合体水性分散液(重合体の平均粒
子径0.27μm)を調製し、実施例1と同様にして試験し
た。
結果を表1に示す。
表1の結果からフッ化ビニリデン系共重合体以外のフ
ッ素含有重合体を使用しても、透明性が劣り本発明の目
的を達成できないことが判る。
実施例2〜7、比較例0 実施例1において、単量体の種類と仕込量とを表2の
ように変更した以外は実施例1と同様にしてフッ素系重
合体水性分散液を調製し、実施例1と同様にして試験し
た。
結果を表3に示す。
なお、各フッ素系重合体水性分散液の重合体粒子径は
表2に示した。
実施例8 実施例1で得られたフッ素系重合体水性分散液100部
(固形分)に、充填剤として酸化チタン(商品名、タイ
ペークR930、石原産業(株)製)50部、分散剤としてポ
リカルボン酸ナトリウム塩(商品名、SN−DISPERSANT50
44、サンノプコ社製)2部、凍結防止剤としてエチレン
グリコール1部、防腐剤(商品名、SN−215、サンノプ
コ社製)0.05部、消泡剤(商品名、FOAMASTER−AP、サ
ンノプコ社製)0.5部および2−アミノ−2−メチル−
1−プロパノール2部を添加し、固形分が60%になるよ
うに水で調整した後、増粘剤としてヒドロキシエチルセ
ルロース(商品名、A−5000、フジケミカル社製)を用
い、塗料粘度が4000cpsになるように調整した。混合は
ディスパー撹拌機を用い、充分混合した後、減圧脱泡機
に移し、脱泡した。
得られた塗料をキシレンおよびアルカリ性洗浄剤で脱
脂した鉄板(JIS−G3141、SPCCD板、0.8×70×150mm)
にエアレススプレーガンにて乾燥後の塗膜が200μmに
なるように塗布した。塗布した鉄板は150℃で15分間乾
燥した。
上記の塗布鉄板は以下の試験を行った。
(イ)耐候性 フェードメータ(スガ試験機(株)製)中に1000時間
入れた後の光沢の初期値に対する光沢の保持率(%)を
求め、下記基準により耐候性を評価した。
光沢保持率 ○: 100〜80 △: 79〜40 ×: 39以下 (ロ)密着性 塗膜面をクロスカット(2mmます目10×10ケ)した
後、粘着テープ(ニチバン(株)製)による剥離試験を
実施した。密着性は下記基準により評価した。
カット面上の残存個数 ○: 100〜80 △: 79〜40 ×: 39以下 (ハ)耐アルカリ性 JIS−K5400に準じ、5%炭酸ナトリウム溶液を用いて
試験した(40℃±2℃、24時間)。
(ニ)耐揮発油性 JIS−K5400に準じ、2号揮発油を用いて試験した。
(ホ)耐酸性 JIS−K5400に準じ、1%硫酸溶液を用いて試験した
(20±1℃、8時間)。
結果を表4に示す。
実施例6、7で得られた水性分散液についても上記と
同様にして評価し、その結果を表4に示した。
比較例4〜6 実施例8において、フッ素系重合体水性分散液の代わ
りに比較例1のフッ素系重合体水性分散液(比較例
4)、比較例2の水性分散液の混合物(比較例5)、お
よび比較例3の四フッ化エチレン単独重合体の水性分散
液(比較例6)を用いた以外は実施例8と同様にして塗
料を作成し、実施例8と同様にして試験した。
結果を表4に示す。
表4の結果から、上記塗料はいずれも本発明の目的を
達成できないことが理解される。
比較例7〜10 実施例1において、単量体の種類および仕込量を表5
に示すように変更した以外は実施例1と同様にして水性
分散液を調製し、その後実施例8と同様にして塗料を作
成し、その性能を評価した。
結果を表6に示す。
表6の結果から、単量体合計量がフッ化ビニリデン系
共重合体粒子100重量部に対し5重量部未満では密着性
が劣り、一方95重量部を超えると耐候性、耐薬品性が劣
ることが理解される。
実施例9 (フッ素系重合体水性分散液の製造) 実施例1で使用したと同じオートクレーブに水170
部、実施例1で使用したと同じフッ化ビニリデン系共重
合体水性分散液100部(固形分)、および過硫酸ナトリ
ウム0.3部を仕込み、気相部を15分間窒素ガスで置換
し、75℃に昇温した。
次に、別容器中でアクリル酸n−ブチル43部、メタク
リル酸メチル47部、メタクリル酸5部、水50部および乳
化剤としてのアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.
7部を乳化混合したものを上記オートクレーブに5時間
かけて連続的に導入した。導入終了後、さらに85〜95℃
で2時間熟成した後、冷却し、アンモニア水にてpH8に
調整した後、200メッシュ金網でろ過してフッ素系重合
体水性分散液を得た。
この水性分散液中の重合体粒子の平均粒径を実施例1
で使用したと同じ装置を用いて測定したところ0.29μm
であった。
(フッ素系重合体含有水性分散液の調製) 上記のフッ素系重合体水性分散液80部(固形分)に対
し、N−メチロールメラミン(商品名、M−3、住友ス
リーエム(株)製)20部を添加、混合して、フッ素系重
合体含有水性分散液を得た。
このフッ素系重合体含有水性分散液の貯蔵安定性を下
記方法で評価した。
結果を表8に示す。
貯蔵安定性 フッ素系重合体含有水性分散液を室温で靜置し、分散
体の沈降または分離を目視により判定した。
○: 2ケ月間異常なし △: 1ケ月間異常なし ×: 1ケ月間で分散体の沈降、分離が発生 次に、上記フッ素系重合体含有水性分散液を用いて得
られる被膜の特性を評価するために、先ずこのフッ素系
重合体含有水性分散液を用いた塗料を調製した。
(塗料の調製) 上記フッ素系重合体含有水性分散液100部(固形分)
に、実施例1で使用したと同じ充填剤、分散剤、凍結防
止剤、消泡剤および2−アミノ−2−メチル−1−プロ
パノールをそれぞれ実施例1と同じ量で添加した後、水
を添加して固形分を50%に調整した。次いで、実施例1
で使用したと同じ増粘剤を添加して塗料粘度を2000cps
に調整した。混合は、ディスパー撹拌機を用い、充分混
合した後、減圧脱泡機に移し、脱泡した。
得られた塗料をキシレンおよびアルカリ性洗浄剤で脱
脂した、実施例1で使用したと同じ鉄板にエアスプレー
ガンにて乾燥後の塗膜厚が100μmになるように塗布し
た。塗布した鉄板は150℃で15分間乾燥した。
得られた塗装鉄板について下記試験を行った。
結果を表8に示す。
耐久性 2mの高さからビニールパイプを通してナット(M−
6)を塗膜上に60度の角度で落下させ、鉄板が露出した
ときのナットの重量を求め、下記基準により耐久性を評
価した。
○: 39kg以上 △: 11〜29kg ×: 10kg以下 鉛筆硬度 JIS−K5400、6−14に準じて測定した。
耐アルカリ性 JIS−K5400に準じて測定した(5%炭酸ナトリウム水
溶液を使用、温度40±2℃、6時間)。
耐揮発油性 JIS−K5400に準じて測定した(2号揮発油使用)。
比較例11 実施例9でシード粒子として使用したと同じフッ化ビ
ニリデン系共重合体水性分散液とN−メチロールメラミ
ンとを実施例9と同様に混合して、フッ素系重合体水性
分散液を調製した。
実施例9と同様にして、上記フッ素系重合体含有水性
分散液の貯蔵安定性を、またこれを用いて塗料を調製、
塗布し、得られた塗膜の特性を評価した。
結果を表8に示す。
表8の結果から、シード重合によって得られるフッ素
系重合体含有水性分散液の代わりに、シード粒子として
のフッ化ビニリデン系共重合体水性分散液をそのまま使
用した場合には、得られるフッ素系重合体含有水性分散
液は貯蔵安定性に劣り、また塗膜の耐久性も低いことが
判る。
実施例10 実施例9において、N−メチロールメラミンの代わり
に自己架橋型アクリルエマルジョン(商品名、AE−81
5、日本合成ゴム(株)製)を用いた以外は実施例9と
同様にしてフッ素系重合体含有水性分散液および塗料を
調製し、貯蔵安定性および塗膜の評価を実施例9と同様
にして行った。
結果を表8に示す。
実施例11〜13 実施例9において、単量体の種類および使用量、なら
びにシード粒子として用いたフッ化ビニリデン系共重合
体水性分散液の使用量を表7に示すように変更した以外
は実施例9と同様にしてフッ素系重合体含有水性分散液
および塗料を調製し、貯蔵安定性および塗膜の評価を行
った。
結果を表8に示す。
比較例12〜13 実施例9において、N−メチロールメラミンの配合量
を表7に示すように変更した以外は実施例9と同様にし
てフッ素系重合体水性分散液および塗料を調製し、貯蔵
安定性および塗膜の評価を行った。
結果を表8に示す。
表8の結果から、N−メチロールメラミンの配合量が
本発明に規定された範囲外では塗膜の耐久性および硬度
が劣り、また塗膜の耐アルカリ性が劣ることが判る。
比較例14〜15 実施例9において、単量体の種類および使用量、なら
びにシード粒子として使用したフッ化ビニリデン系共重
合体水性分散液の量を表7に示すように変更した以外は
実施例9と同様にしてフッ素系重合体含有水性分散液お
よび塗料を調製し、貯蔵安定性および塗膜の評価を行っ
た。
結果を表8に示す。
表7の結果から、フッ化ビニリデン系共重合体粒子の
使用量が本発明に規定された範囲外では塗膜の耐久性が
劣り、また塗膜の耐揮発油性、耐アルカリ性に劣ること
が判る。
比較例16〜17 実施例9において、シード粒子としてのフッ化ビニリ
デン系共重合体粒子の代わりに四フッ化エチレン重合体
粒子(商品名、AD−1、旭ガラス(株)製)(比較例1
6)、または四フッ化エチレン/六フッ化プロピレン共
重合体粒子(商品名、ND−1、ダイキン(株)製)(比
較例17)を使用して以外は実施例9と同様にしてフッ素
系重合体含有水性分散液および塗料を調製し、貯蔵安定
性および塗膜の評価を行った。
結果を表8に示す。
表8の結果から、シード粒子としてフッ化ビニリデン
系共重合体粒子以外のフッ素系重合体粒子を使用すると
耐揮発油性、耐アルカリ性が劣ることが判る。
比較例18 内容積1のステンレスオートクレーブに水600g、ジ
−n−プロピルパーオキシカーボネート2gおよびメチル
セルロース0.6gを仕込み、排気後、フッ化ビニリデンモ
ノマーボンベから導管を通してフッ化ビニリデン200gを
導入した。次に、オートクレーブを25℃の恒温水槽に入
れ350rpmの速度で撹拌すると20時間で内圧が40kg/cm2
ら18kg/cm2に下がった。この後、減圧下未反応モノマー
を留去し、気相部を窒素ガスで置換した。このとき、内
容物の固形分は18%であり、130gのポリフッ化ビニリデ
ンが得られたと計算された。
内温を85〜95℃として過硫酸ナトリウム0.39gを加
え、別容器で混合したアクリル酸n−ブチル19.5g、メ
タクリル酸メチル29.9gおよびメタクリル酸2.6g(ポリ
フッ化ビニリデン100部に対し、それぞれ、15部、23部
および2部である)の混合物を3時間かけて連続的に添
加した。添加終了後さらに85〜95℃で2時間熟成した
後、冷却し、アンモニア水でpH8に調整した。
得られた分散液を光学顕微鏡で見ると平均粒径は約50
μmであった。
この水性分散液について実施例1および実施例8と同
様の方法により評価を行った結果を次に示す。
成膜性 クラック 多い(連続フィルムできず) 透明性 △ 最低造膜温度 120℃ 物理的性質 引張強さ 15kg/cm2 切断時の伸び 100% 100%モジュラス 7kg/cm2 塗膜性能 耐候性 △ 密着性 × 耐アルカリ性 若干ふくれあり 耐揮発油性 若干ふくれあり 耐酸性 若干ふくれあり 上記結果から懸濁重合によって得られたポリフッ化ビ
ニリデン粒子をシード粒子とした場合、本発明のフッ素
系重合体水性分散液を得ることができないことが判る。
(発明の効果) 本発明のフッ素系重合体水性分散体においては、フッ
素樹脂本来の優れた耐熱性、耐候性などの特性を損なう
ことなく、成膜性、透明性、基体への密着性などの性質
が著しく改善されている。
このように、本発明のフッ素系重合体含有水性分散液
は、成膜性に優れ、透明性、耐候性、基体への密着性、
耐薬品性、機械的強度などに優れた被膜を形成すること
から、各種塗料のほかに繊維処理材、紙加工材、床塗布
材などとして利用することができる。
フロントページの続き (72)発明者 西脇 孝一 東京都中央区築地2丁目11番24号 日本 合成ゴム株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−32102(JP,A) 特開 昭53−3495(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 51/06 C08F 2/44 C09D 151/06 C08L 27/16

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フッ化ビリニデンと四フッ化エチレンおよ
    び/または六フッ化エチレンとを必須成分とするフッ化
    ビニリデン系共重合体粒子100重量部の存在下に、 (A)アルキル基の炭素数が1〜18のアクリル酸アルキ
    ルエステル、 (B)アルキル基の炭素数が1〜18のアクリル酸アルキ
    ルエステルとアルキル基の炭素数が1〜18のメタクリル
    酸アルキルエステルとの単量体混合物、 (C)アルキル基の炭素数が1〜18のアクリル酸アルキ
    ルエステルとこれと共重合可能なエチレン系不飽和化合
    物との単量体混合物、 (D)アルキル基の炭素数が1〜18のアクリル酸アルキ
    ルエステルと、アルキル基の炭素数が1〜18のメタクリ
    ル酸アルキルエステルと、これらと共重合可能はエチレ
    ン系不飽和化合物との単量体混合物、または (E)アルキル基の炭素数が1〜18のメタクリル酸アル
    キルエステルとこれと共重合可能なエチレン系不飽和化
    合物との単量体混合物5〜95重量部を水性媒体中で乳化
    重合して得られ、かつ重合体粒子径が0.05〜3μmであ
    ることを特徴とするフッ素系重合体水性分散液。
  2. 【請求項2】請求項(1)のフッ素系重合体水性分散液
    95〜30重量部(固形分)、および水溶性樹脂および/ま
    たは水分散性樹脂の水性分散液5〜70重量部(固形分)
    とからなることを特徴とするフッ素系重合体含有水性分
    散液。
JP1-204088A 1988-09-20 1989-08-07 フッ素系重合体水性分散液およびフッ素系重合体含有水性分散液 Expired - Lifetime JP3002746B2 (ja)

Priority Applications (3)

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EP89309542A EP0360575B1 (en) 1988-09-20 1989-09-20 Aqueous fluorine-containing polymer dispersion and aqueous dispersion containing fluorine-containing polymer and water-soluble resin and/or water dispersible resin
DE1989611814 DE68911814T2 (de) 1988-09-20 1989-09-20 Wässrige, Fluorid enthaltende Kunststoffdispersion und wässrige Dispersion von Fluorid enthaltendem Kunststoff und wasserlöslichem Harz und/oder wasserdispergierbarem Harz.
US08/015,671 US5349003A (en) 1988-09-20 1993-02-09 Aqueous fluorine-containing polymer dispersion and aqueous dispersion containing fluorine-containing polymer and water-soluble resin and/or water dispersible resin

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JP63-235573 1988-09-20
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JP1-59998 1989-03-13
JP5999889 1989-03-13

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6355938B1 (en) 1998-11-25 2002-03-12 Phormax Corporation Phosphor screen scanning systems

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