JPH08120440A - 放射性同位元素生成用ターゲット板、その製造方法及び製造装置 - Google Patents
放射性同位元素生成用ターゲット板、その製造方法及び製造装置Info
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- JPH08120440A JPH08120440A JP27712394A JP27712394A JPH08120440A JP H08120440 A JPH08120440 A JP H08120440A JP 27712394 A JP27712394 A JP 27712394A JP 27712394 A JP27712394 A JP 27712394A JP H08120440 A JPH08120440 A JP H08120440A
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Abstract
同位元素生成用金属)の膜が形成され、ターゲット物質
膜にプロトン照射を行って放射性同位元素を製造するタ
ーゲット板において、プロトン照射時におけるターゲッ
ト物質膜の耐ビーム性が高く、しかも安全かつ簡便な工
程で製造することが可能なターゲット板を提供する。 【構成】 ターゲット基板上に物理的気相成長法、特に
イオンプレーティングによってターゲット物質膜を形成
する。この場合、ターゲット物質の水酸化物の脱水及び
還元を行うか、ターゲット物質の酸化物の還元を行って
ターゲット物質を生成した後、生成したターゲット物質
の膜をターゲット基板上に物理的気相成長法により形成
する。
Description
射性同位元素生成用金属(ターゲット物質)の膜が形成
され、上記ターゲット物質にプロトン照射を行って放射
性同位元素を製造する放射性同位元素生成用ターゲット
板並びにその製造方法及び製造装置に関する。
性同位元素は、通常、ターゲット基板上にターゲット物
質の膜を形成した放射性同位元素生成用ターゲット板を
用いて製造される。すなわち、上記ターゲット基板上の
ターゲット物質にサイクロトロン等の粒子加速器を用い
てプロトンを照射し、核反応を行わせることにより製造
される。この場合、上述したターゲット板としては、従
来、銅や銀といった金属からなるターゲット基板上にタ
ーゲット物質の膜を電気めっき等の電着法によって形成
したものが使用されている。
板上にターゲット物質の膜を電着法によって形成した放
射性同位元素生成用ターゲット板は、下記のような欠点
を有するものであった。
び強度が低いこと、膜中に電着時の溶媒が残存している
ことなどに起因して、プロトン照射時の耐ビーム性が低
く、目的とする放射性同位元素の収量が低いという欠点
がある。すなわち、ターゲット物質膜はプロトン照射時
の耐ビーム性が高いほど多量のプロトンを照射すること
ができ、多量のプロトンを照射するほど放射性同位元素
を高収率で得ることができるが、電着によるターゲット
物質膜は耐ビーム性が低いため、それほど多量のプロト
ンを照射することができず、放射性同位元素の収量が低
い。
着するに際しては、シアン化ソーダ等の有害物質を用い
て電着液を調製する必要がある。そのため、ターゲット
板の製造に危険を伴い、安全性の点で問題がある。
素を得るために特定の質量を有する物質を出発物質とし
て製造されるが、その出発物質は極めて高価であること
が多く、ターゲット物質の製造には非常にコストがかか
る。そのため、通常、ターゲット物質にプロトン照射を
行って放射性同位元素を得た後、未変換のターゲット物
質は回収して再使用している。しかし、未返還のターゲ
ット物質の回収・再使用に際しては、数回の溶解や濾過
等の精製操作を行わなければならず、精製操作が煩雑で
回収コストが高くつく。また、その精製工程中にシアン
化ソーダ等の有毒物質を用いるため、安全性の面で問題
がある。
で、プロトン照射時の耐ビーム性が高く、しかも安全か
つ簡便な工程で製造することが可能な放射性同位元素生
成用ターゲット板並びにその製造方法及び製造装置を提
供することを目的とする。
元素生成用ターゲット板は、上記目的を達成するため、
ターゲット基板上に放射性同位元素生成用金属の物理的
気相成長法による膜が形成された構成としてある。
ット板の製造方法は、上記目的を達成するため、放射性
同位元素生成用金属の水酸化物の脱水及び還元又は放射
性同位元素生成用金属の酸化物の還元を行って放射性同
位元素生成用金属を生成し、次いで生成した放射性同位
元素生成用金属の膜をターゲット基板上に物理的気相成
長法により形成する構成としてある。
ット板の製造装置は、上記目的を達成するため、真空容
器と、前記真空容器内に設置され、放射性同位元素生成
用金属の水酸化物の脱水及び還元又は放射性同位元素生
成用金属の酸化物の還元を行って放射性同位元素生成用
金属を生成する金属生成機構と、前記真空容器内に設置
され、前記金属生成機構により生成した放射性同位元素
生成用金属の膜をターゲット基板上に物理的気相成長法
により形成する膜形成機構とを備えた構成としてある。
ゲット板、その製造方法及び製造装置につきさらに詳し
く説明する。まず、これらに共通の事項であるターゲッ
ト基板、物理的気相成長法(PVD)、放射性同位元素
生成用金属(ターゲット物質)及びその膜について説明
し、次いで製造方法及び製造装置に固有の事項について
説明する。
高い材質であることがプロトン照射時の耐ビーム性を高
くする点で好ましい。この場合、電着によるターゲット
物質膜の形成では金属製のターゲット基板しか使用でき
ないが、物理的気相成長法によるターゲット物質膜の形
成では金属製以外のターゲット基板も使用できる。ター
ゲット基板が金属であるとプロトン照射によって長半減
期の放射性物質が副生されることがあるため、金属以外
のターゲット基板を使用できることは本発明の利点の1
つである。ターゲット基板として、具体的には、銅、
銀、アルミニウム、炭素又はセラミックスからなるもの
を好適に使用することができる。
固体の物質を物理的な作用により原子、分子あるいはク
ラスタ状にし、基板の置かれた空間に供給して基板上に
薄膜を形成する技術であり、例えば真空蒸着、イオンプ
レーティング、イオン化クラスタビーム蒸着、スパッタ
蒸着、イオンビーム蒸着等が挙げられるが、イオンプレ
ーティングが特に好ましい。イオンプレーティングは、
原子・分子単位の蒸着粒子を生成し、蒸着粒子の一部を
イオン化し、イオン化した粒子を加速し、真空中に置か
れた基板に蒸着粒子とそのイオンを照射することによっ
て基板上に薄膜を形成する技術である。イオンプレーテ
ィングを用いることにより、高密度でプロトン照射時の
耐ビーム性が高いターゲット物質膜を確実に得ることが
できる。イオンプレーティングとしては、直流放電励起
方式、高周波放電励起方式、ホローカソード電子ビーム
励起方式、アーク放電励起方式等の任意の方式を採用す
ることができる。
性同位元素を得ることができる元素から選ばれる。ター
ゲット物質は、遷移金属及びタリウムから選ばれた金属
であることが好ましく、特に亜鉛、カドミウム又はタリ
ウムであることが好ましい。より具体的には、放射性同
位元素として67Gaを得る場合はターゲット物質として
68Znが好適に選択され、同様に201Tlを得る場合は
203Tl、111Inを得る場合は112Cdが好適に選択さ
れる。
の脱水及び還元を行うか、ターゲット物質の酸化物の還
元を行って、ターゲット物質を金属として生成させる。
ここで、ターゲット物質の水酸化物としては、例えば水
酸化亜鉛、水酸化カドミウム、水酸化タリウム等が挙げ
られ、ターゲット物質の酸化物としては、例えば酸化亜
鉛、酸化カドミウム、酸化タリウム等が挙げられる。ま
た、上述した脱水や還元の方法及び条件は、上記水酸化
物又は酸化物の種類等に応じて適宜決定する。
ーゲット基板上に物理的気相成長法、好ましくはイオン
プレーティングにより形成する。この場合の膜形成条件
は、物理的気相成長法の種類、ターゲット物質の種類等
に応じて適宜決定する。
酸化物又は酸化物からのターゲット物質の生成と、ター
ゲット基板上のターゲット物質膜の形成とを同一の容器
内で行うことが好ましい。このように一連の操作を同一
容器内で行うことにより、ターゲット基板上に密着性の
良いターゲット物質膜を形成することができる。
構及び膜形成機構を設置したものである。この場合、金
属生成機構の構成に限定はないが、後述する実施例に示
すように、ターゲット物質の水酸化物の脱水及び還元又
はターゲット物質の酸化物の還元を行う脱水・還元領域
と、生成したターゲット物質を析出させる析出領域とか
ら構成することが好ましい。また、膜形成機構の構成に
も限定はないが、後述する実施例に示すように、前記析
出領域に析出したターゲット物質の膜をイオンプレーテ
ィングによりターゲット基板上に形成する機構であるこ
とが好ましい。なお、真空容器はステンレススチール、
石英等の通常の材質によって作製することができる。
長法によって形成するので、電着によるターゲット物質
膜よりも高密度のターゲット物質膜を得ることができ
る。高密度のターゲット物質膜は熱伝導率が高く、効率
よく冷却できるため、本発明ターゲット板ではターゲッ
ト物質膜の耐ビーム性が高くなる。また、ターゲット物
質膜の形成において、電着法のように有害物質を使用し
ないため、本発明ターゲット板は安全な工程で製造する
ことができる。
や酸化物として供給される。また、プロトン照射後の未
変換ターゲット物質の回収・再使用工程では、通常、未
変換ターゲット物質の水酸化物や酸化物が生成する。本
発明製造方法では、これら水酸化物や酸化物を原料とし
て物理的気相成長法によってターゲット物質膜を形成す
るため、ターゲット板の製造や未変換ターゲット物質の
回収・再使用を簡略化された安全な工程で行うことがで
きる。
が、本発明は下記実施例に限定されるものではない。製造装置1 図1は本発明製造装置の一実施例を示すもので、この装
置はイオンプレーティングによってターゲット基板上に
ターゲット物質膜を形成するものである。図中2はステ
ンレススチール製の真空容器を示す。真空容器2には排
気管4が連結されているとともに、排気管4には真空ポ
ンプ(図示せず)が接続され、真空ポンプの作動により
真空容器2内が高真空に排気されるようになっている。
置されている。石英ガラス管6の内部上流側にはガス導
入管8が挿入され、ガス導入管8を通して真空容器2の
外部から石英ガラス管6内に水素ガス、アルゴンガス等
のガスが導入されるようになっている。また、石英ガラ
ス管6の内部下流側には複数本の小径のセラミックス管
10が束ねて詰められている。石英ガラス管6の外周上
流側には上流側タングステンヒータ12が巻き付けら
れ、外周下流側には下流側タングステンヒータ13が巻
き付けられており、これらタングステンヒータ12、1
3によって石英ガラス管6の上流側及び下流側をそれぞ
れ独立して加熱できるようになっている。
6内の上流側(セラミックス管10が詰められていない
部分)がターゲット物質の水酸化物の脱水及び還元又は
ターゲット物質の酸化物の還元を行う脱水・還元領域
A、下流側(セラミックス管10が詰められている部
分)がターゲット物質を析出させる析出領域Bに形成さ
れている。なお、図中14は石英ガラス管6の支持装
置、16は石英ガラス管6の周囲に配置された赤外線反
射板を示す。
うに従い大径となる石英ガラス製の筒体18の基端部が
取り付けられているとともに、真空容器2内には上記筒
体18の先端開口部に対向して基板ホルダ20が設置さ
れている。基板ホルダ20はターゲット基板22を保持
するもので、ターゲット基板22を冷却する水冷装置
(図示せず)が設置されている。また、基板ホルダ20
にはターゲット基板22に高周波電力を供給するRF電
源24が接続されている。
管10は石英ガラス管等の他の耐熱管に代えてもよく、
タングステンヒータ12、13はハロゲンランプ、赤外
線ヒータ等の他の加熱手段に代えてもよい。
ついて、ターゲット物質の原料が金属水酸化物である場
合を例にして説明する。なお、以下のターゲット板の製
造の説明において、脱水、還元、膜形成時における温
度、真空度等の条件は例示であり、これらの条件はター
ゲット物質の種類等に応じて適宜決定される。また、タ
ーゲット物質の原料が金属酸化物である場合は、脱水操
作を除くこと以外は同様の操作を行えばよい。
定量の粉状金属水酸化物26を置き、基板ホルダ20に
ターゲット基板22を固定する。このとき、ターゲット
基板22の前面には、その中央の特定部分にのみターゲ
ット物質膜が形成されるように石英ガラス等からなるマ
スク板を取り付けておく。
ー5Torrの真空に排気しながら、上流側タングステンヒー
タ12で脱水・還元領域Aを金属水酸化物の脱水が可能
な温度(例えば650〜750℃)に保ち、下流側タン
グステンヒータ13で析出領域Bを金属の蒸発温度未満
の温度(例えば100〜400℃)に保持して、金属水
酸化物26の脱水を行う。
に水素ガスを150〜350ml/min程度導入し、真空容
器2内の圧力を4〜5.5Torrにして、還元雰囲気中に
おいて上流側タングステンヒータ12で脱水・還元領域
Aを金属酸化物の加熱還元が可能な温度(例えば650
〜750℃)に保つとともに、下流側タングステンヒー
タ13で析出領域Bを金属の蒸発温度未満の温度(例え
ば100〜400℃)に保持することにより、脱水後の
金属水酸化物(金属酸化物)26の加熱還元を行う。上
記の操作により、金属水酸化物は脱水、還元され、高純
度の金属(ターゲット物質)としてセラミックス管10
の内壁に析出、付着する。同時に発生した水分は系外に
排出される。
スを導入し、真空容器2内を真空度2×10ー5〜5×1
0ー5のアルゴン雰囲気にして、ターゲット基板22にR
F電源24から高周波電力を供給し、高周波放電を起こ
してターゲット基板22の表面付近にプラズマを発生さ
せる。次いで、タングステンヒータ12、13により脱
水・還元領域A及び析出領域Bを金属の蒸発温度以上の
温度(例えば420℃以上)に保持して、セラミックス
管10の内壁に付着しているターゲット物質を蒸発させ
ると、ターゲット物質がイオンプレーティングによって
ターゲット基板22の表面に蒸着され、ターゲット物質
膜が形成される。なお、金属は圧力にかかわらず融点付
近の温度で蒸発する。このように、ターゲット物質の水
酸化物の脱水、還元及びイオンプレーティングによるタ
ーゲット物質膜の形成という一連の操作を同一の容器内
で行うことにより、ターゲット基板22の表面に密着性
の良いターゲット物質膜を形成することができる。
装置も図1の装置と同様にイオンプレーティングによっ
てターゲット基板上にターゲット物質膜を形成するもの
である。図中52はステンレススチール製の真空容器を
示す。真空容器52には排気管54が連結されていると
ともに、排気管54には真空ポンプ(図示せず)が接続
され、真空ポンプの作動により真空容器52内が高真空
に排気されるようになっている。
ラス容器56が設置されている。石英ガラス容器56の
下部にはガス導入管58が連結され、ガス導入管58を
通して真空容器52の外部から石英ガラス容器56内に
水素ガス、アルゴンガス等のガスが導入されるようにな
っている。また、石英ガラス容器56内の上部には充填
材60が充填されている。充填材60は、孔を開けた複
数の窒化ホウ素製の板62を孔の位置が重ならないよう
な組み合わせで互いに間隔を開けて水平に配置したもの
で、板62の表面にターゲット物質を析出させるもので
ある。石英ガラス容器56の下方には下側ハロゲンラン
プ64が設置され、両側方には一対の上側ハロゲンラン
プ66、66(図には一方のハロゲンランプ66のみを
示してある)が設置されており、これらハロゲンランプ
64及び66によって石英ガラス容器56の下部及び上
部をそれぞれ独立して加熱できるようになっている。
器56内の下部(充填材60が充填されていない部分)
がターゲット物質の水酸化物の脱水及び還元又はターゲ
ット物質の酸化物の還元を行う脱水・還元領域A、上部
(充填材60が充填されている部分)がターゲット物質
を析出させる析出領域Bに形成されている。なお、図中
68は石英ガラス容器56の周囲に配置された反射フレ
ームを示す。
端開口部に対向して基板ホルダ70が設置されている。
基板ホルダ70はターゲット基板72を保持するもの
で、ターゲット基板72を冷却する水冷装置(図示せ
ず)が設置されている。また、基板ホルダ70にはター
ゲット基板72に高周波電力を供給するRF電源74が
接続されている。なお、図2の装置において、充填材6
0は窒化ホウ素製の板62と同様の形状を有する他のセ
ラミックス製の板や石英ガラス製の板で形成してもよ
い。また、ハロゲンランプ64、66は他の加熱手段に
代えてもよい。
ついて、ターゲット物質の原料が金属水酸化物である場
合を例にして説明する。まず、石英ガラス容器56内の
脱水・還元領域Aに所定量の粉状金属水酸化物76を置
き、基板ホルダ70にターゲット基板72を固定する。
このとき、ターゲット基板72の下面には、その周縁部
分にターゲット物質が付着することを防止するために石
英ガラス製のマスク板を取り付けておく。その後、図1
の装置と同様の条件で、金属水酸化物76の脱水及び還
元、充填材60上に析出したターゲット物質のターゲッ
ト基板72上へのイオンプレーティングを行うものであ
る。
製造した実施例を示す。実施例1 水酸化亜鉛0.25gを石英ガラス管内の脱水・還元領
域に投入するとともに、3cm2の窓を有するマスク板を
取り付けた銅製のターゲット基板を基板ホルダに固定し
た。真空容器内の圧力を3×10ー5Torrに減圧し、脱水
・還元領域を700℃に加熱して、上記圧力を保持する
ように10分間排気を続けた。次いで、ガス導入管から
水素ガスを250ml/minで送入し、真空容器内の圧力を
4.5Torrに保持しつつ、脱水・還元領域を700℃、
析出領域を300℃に保って10分間還元を行った。こ
れにより、析出領域に金属亜鉛が析出した。析出した金
属亜鉛の回収率は、水酸化亜鉛中の亜鉛に対して70%
であった。
入して真空容器内をアルゴン雰囲気にし、真空容器内の
真空度を5×10ー5Torrにした。ターゲット基板に高周
波電力を供給し、ターゲット基板の表面付近にプラズマ
を発生させるとともに、脱水・還元領域を600℃、析
出領域を600℃に加熱することにより、ターゲット基
板への亜鉛のイオンプレーティングを10分間行った。
ターゲット基板上に蒸着された亜鉛膜の密度は7.2g/c
m3であり、電着による亜鉛膜の密度6.6g/cm3に比べて
良好な値を示した。
域に投入するとともに、銅製のターゲット基板を実施例
1と同様にして基板ホルダに固定した。真空容器内の圧
力を5×10ー5Torrに減圧し、脱水・還元領域を500
℃に加熱して、上記圧力を保持するように10分間排気
を続けた。次いで、ガス導入管から水素ガスを350ml
/minで送入し、真空容器内の圧力を5.5Torrに保持し
つつ、脱水・還元領域を750℃、析出領域を350℃
に保って10分間還元を行った。これにより、析出領域
に金属亜鉛が析出した。析出した金属亜鉛の回収率は、
水酸化亜鉛中の亜鉛に対して70%であった。
入して真空容器内をアルゴン雰囲気にし、真空容器内の
真空度を3×10ー5Torrにした。ターゲット基板に高周
波電力を供給し、ターゲット基板の表面付近にプラズマ
を発生させるとともに、脱水・還元領域を700℃、析
出領域を700℃に加熱することにより、ターゲット基
板への亜鉛のイオンプレーティングを10分間行った。
ターゲット基板上に蒸着された亜鉛膜の密度は6.9g/c
m3であり、電着による亜鉛膜の密度6.6g/cm3に比べて
良好な値を示した。
に投入するとともに、銅製のターゲット基板を実施例1
と同様にして基板ホルダに固定した。ガス導入管から水
素ガスを250ml/minで送入し、真空容器内の圧力を
4.5Torrに保持しつつ、脱水・還元領域を700℃、
析出領域を300℃に保って10分間還元を行った。こ
れにより、析出領域に金属亜鉛が析出した。析出した金
属亜鉛の回収率は、酸化亜鉛中の亜鉛に対して80%で
あった。
入して真空容器内をアルゴン雰囲気にし、真空容器内の
真空度を5×10ー5Torrにした。ターゲット基板に高周
波電力を供給し、ターゲット基板の表面付近にプラズマ
を発生させるとともに、脱水・還元領域を600℃、析
出領域を600℃に加熱することにより、ターゲット基
板への亜鉛のイオンプレーティングを10分間行った。
ターゲット基板上に蒸着された亜鉛膜の密度は7.2g/c
m3であり、電着による亜鉛膜の密度6.6g/cm3に比べて
良好な値を示した。
元領域に投入するとともに、銅製のターゲット基板を実
施例1と同様にして基板ホルダに設置した。真空容器内
の圧力を3×10ー5Torrに減圧し、脱水・還元領域を6
00℃に加熱して、上記圧力を保持するように10分間
排気を続けた。次いで、ガス導入管から水素ガスを25
0ml/minで送入し、真空容器内の圧力を4.5Torrに保
持しつつ、脱水・還元領域を600℃、析出領域を25
0℃に保って10分間還元を行った。これにより、析出
領域に金属カドミウムが析出した。析出した金属カドミ
ウムの回収率は、水酸化カドミウム中のカドミウムに対
して60%であった。
入して真空容器内をアルゴン雰囲気にし、真空容器内の
真空度を5×10ー5Torrにした。ターゲット基板に高周
波電力を供給し、ターゲット基板の表面付近にプラズマ
を発生させるとともに、脱水・還元領域を450℃、析
出領域を450℃に加熱することにより、ターゲット基
板へのカドミウムのイオンプレーティングを10分間行
った。ターゲット基板上に蒸着されたカドミウム膜の密
度は8.8g/cm3であり、電着によるカドミウム膜の密度
7.5g/cm3に比べて良好な値を示した。
元領域に投入するとともに、銅製のターゲット基板を実
施例1と同様にして基板ホルダに設置した。真空容器内
の圧力を5×10ー5Torrに減圧し、脱水・還元領域を5
00℃に加熱して、上記圧力を保持するように10分間
排気を続けた。次いで、ガス導入管から水素ガスを35
0ml/minで送入し、真空容器内の圧力を5.5Torrに保
持しつつ、脱水・還元領域を500℃、析出領域を20
0℃に保って10分間還元を行った。これにより、析出
領域に金属カドミウムが析出した。析出した金属カドミ
ウムの回収率は、水酸化カドミウム中のカドミウムに対
して60%であった。
入して真空容器内をアルゴン雰囲気にし、真空容器内の
真空度を3×10ー5Torrにした。ターゲット基板に高周
波電力を供給し、ターゲット基板の表面付近にプラズマ
を発生させるとともに、脱水・還元領域を500℃、析
出領域を500℃に加熱することにより、ターゲット基
板へのカドミウムのイオンプレーティングを10分間行
った。ターゲット基板上に蒸着されたカドミウム膜の密
度は8.2g/cm3であり、電着によるカドミウム膜の密度
7.5g/cm3に比べて良好な値を示した。
ト基板上に亜鉛の電着膜を形成してターゲット板を製造
した。電着面積は3cm2になるようにターゲット基板の
マスキングを行った。ターゲット基板上に電着された亜
鉛膜の密度は6.6g/cm3であった。
ーゲット基板上にカドミウムの電着膜を形成してターゲ
ット板を製造した。電着面積は3cm2になるようにター
ゲット基板のマスキングを行った。ターゲット基板上に
電着されたカドミウム膜の密度は7.5g/cm3であった。
それぞれ750型サイクロトロン(住友重機械工業株式
会社製)によるプロトン照射を行って、耐ビーム量を比
較した。ここで、耐ビーム量とは、ターゲット膜に照射
可能なプロトンの最大量をそのプロトンが運ぶ電流量に
換算した値である。その結果、実施例のターゲット板
は、比較例のターゲット板に比べて1.4倍の耐ビーム
量を有していた。また、ターゲット膜のプロトン照射跡
は、比較例のターゲット板では表面が黒化していたが、
実施例のターゲット板では黒化が全く見られなかった。
したがって、本発明ターゲット板のターゲット膜は、優
れた耐ビーム性を有することが明らかになった。
明のターゲット板は高密度のターゲット物質膜を有する
ものであることがわかる。
時におけるターゲット物質膜の耐ビーム性が高く、目的
とする放射性同位元素を高収率で得ることができる。ま
た、本発明の製造方法及び製造装置によれば、高密度の
ターゲット物質膜を有するターゲット板を簡略化された
安全な工程で製造することができる。
る。
る。
Claims (13)
- 【請求項1】 ターゲット基板上に放射性同位元素生成
用金属の物理的気相成長法による膜が形成されているこ
とを特徴とする放射性同位元素生成用ターゲット板。 - 【請求項2】 物理的気相成長法がイオンプレーティン
グである請求項1記載のターゲット板。 - 【請求項3】 放射性同位元素生成用金属が遷移金属及
びタリウムから選ばれた金属である請求項1又は2記載
のターゲット板。 - 【請求項4】 放射性同位元素生成用金属が亜鉛、カド
ミウム又はタリウムである請求項3記載のターゲット
板。 - 【請求項5】 ターゲット基板が銅、銀、アルミニウ
ム、炭素又はセラミックスからなる請求項1〜4のいず
れか1項に記載のターゲット板。 - 【請求項6】 放射性同位元素生成用金属の水酸化物の
脱水及び還元又は放射性同位元素生成用金属の酸化物の
還元を行って放射性同位元素生成用金属を生成し、次い
で生成した放射性同位元素生成用金属の膜をターゲット
基板上に物理的気相成長法により形成することを特徴と
する放射性同位元素生成用ターゲット板の製造方法。 - 【請求項7】 物理的気相成長法がイオンプレーティン
グである請求項6記載の製造方法。 - 【請求項8】 放射性同位元素生成用金属の水酸化物又
は酸化物からの放射性同位元素生成用金属の生成及びタ
ーゲット基板上の放射性同位元素生成用金属の膜の形成
を同一の容器内で行う請求項6又は7記載の製造方法。 - 【請求項9】 放射性同位元素生成用金属が遷移金属及
びタリウムから選ばれた金属である請求項6〜8のいず
れか1項に記載の製造方法。 - 【請求項10】 放射性同位元素生成用金属が亜鉛、カ
ドミウム又はタリウムである請求項9記載の製造方法。 - 【請求項11】 ターゲット基板が銅、銀、アルミニウ
ム、炭素又はセラミックスからなる請求項6〜10のい
ずれか1項に記載の製造方法。 - 【請求項12】 真空容器と、 前記真空容器内に設置され、放射性同位元素生成用金属
の水酸化物の脱水及び還元又は放射性同位元素生成用金
属の酸化物の還元を行って放射性同位元素生成用金属を
生成する金属生成機構と、 前記真空容器内に設置され、前記金属生成機構により生
成した放射性同位元素生成用金属の膜をターゲット基板
上に物理的気相成長法により形成する膜形成機構とを備
えたことを特徴とする放射性同位元素生成用ターゲット
板の製造装置。 - 【請求項13】 物理的気相成長法がイオンプレーティ
ングである請求項12記載の製造装置。
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JP27712394A JP2999381B2 (ja) | 1994-10-17 | 1994-10-17 | 放射性同位元素生成用ターゲット板、その製造方法及び製造装置 |
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JPH08120440A true JPH08120440A (ja) | 1996-05-14 |
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JP (1) | JP2999381B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2018225761A1 (ja) * | 2017-06-09 | 2018-12-13 | 株式会社カネカ | プロトンビーム又は中性子ビーム照射用ターゲット及びそれを用いた放射性物質の発生方法 |
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