JPWO2018225761A1 - プロトンビーム又は中性子ビーム照射用ターゲット及びそれを用いた放射性物質の発生方法 - Google Patents

プロトンビーム又は中性子ビーム照射用ターゲット及びそれを用いた放射性物質の発生方法 Download PDF

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Abstract

長時間のビーム照射にも耐え得る中性子ビーム又はプロトンビーム用ターゲットを実現することを目的とする。25℃におけるグラファイト層のa−b面に平行な方向の熱伝導率が500W/mK以上であるグラファイト膜(A)と、放射性物質製造用原料層(B)との積層体であることを特徴とするプロトンビーム又は中性子ビーム用ターゲットである。前記グラファイト膜(A)の密度が1.8g/cm3以上、且つ、2.26g/cm3以下であることや、前記グラファイト膜(A)の引張り強度が5MPa以上であることが好ましい。

Description

本発明は、プロトンビーム又は中性子ビーム照射用ターゲットに関する。
医療用分野では、放射性同位体(以下、RIと称する)が病気の診断に利用されており、例えば、PET(Positron Emission Tomography)診断などに利用されている(非特許文献1)。放射性同位体の中でも特にテクネチウム(99mTc)は脳、甲状腺、骨のシンチグラフィなどに利用されており、世界で年に4000万回ものスキャンに利用されている。
テクネチウム(99mTc)の親核種であるモリブデン(以下、99Mo)はウランの同位体である235Uから作ることができるが、世界で必要とされる99Moの35〜40%を供給していたカナダのチョークリバー原子炉が2016年に99Moの製造を停止したため、99Moの供給が不十分であるという問題が生じている(非特許文献2)。
他方、99Moの製造方法としては、天然のモリブデンに含まれるモリブデン同位体のモリブデン100(100Mo)を原料(放射性物質製造用原料)として、加速器を用いて99Moの製造することも検討されている。100Moを原料として99Moを製造する方法としては主に、中性子ビームを使う方法とプロトンビームを使う方法が挙げられる。中性子ビームを使う方法では9.5〜25MeVのエネルギーを有する高速中性子を発生させて、100Moを含む原料ターゲットに照射し、一個の中性子により二個の中性子を放出する(n,2n)反応によって99Moを生成させている(例えば、特許文献1)。また、プロトンビームを使う方法では、プロトンビームを、100Moを含む原料ターゲットに照射し、(p,2n)反応によって99Moを生成している(例えば非特許文献2、3、特許文献2)。
100Moを原料として、加速器を用いて99Moを製造する方法において、非特許文献2では、100Moを含む粉末を圧縮加工してペレット状とし、水素雰囲気下で焼結してモリブデンプレートを得て、前記モリブデンプレートをアルミナと銅との複合基板にロウ付けすることによって、ビーム照射用ターゲットを製造している。
また、ビーム照射用ターゲットの別の作製方法としては、electrophoretic deposition法(電気泳動析出法又は電気泳動電着法)によってタンタル製の基板の表面に100Moを積層して、ビーム照射用ターゲットを得る方法が知られている(非特許文献3)。
放射性物質製造用原料としては、上記したように100Mo(つまり、金属モリブデン)を用いる方法以外に、モリブデン酸化物を利用した方法も報告されている(特許文献3)。
特開2010−223937号公報 国際公開第2011/132265号 国際公開第2016/063774号
Review of Accelerator Science and Technology 2009,2,1−15. Physics Procedia 2015,66,383−395. The Journal of Nuclear Medicine 2014,55,1017−1022. Journal of American Chemical Society 2014,136,6083−6091.
100Moなどの放射性物質製造用原料を含むターゲットに中性子ビーム又はプロトンビームを照射する方法では、高エネルギーのビーム照射によるターゲットの損傷(基板及び放射性物質製造用原料の損傷)が懸念される。特に放射性物質製造用原料として融点の低い物質を用いる場合には、放射性物質製造用原料層の損傷が生じ得る。従って、本発明は、長時間のビーム照射にも耐え得る中性子ビーム又はプロトンビーム照射用ターゲットを実現することを目的とする。
本発明者らは、ターゲットの基板として、ビーム照射部分の熱を拡散するような、すなわち熱伝導率の高い基板を採用すれば、前記目的が達成できると考えた。更に、ターゲットに中性子ビーム又はプロトンビームが照射されることも考慮すれば、放射化しにくいという観点から、前記ターゲット基板材料としてベリリウムや炭素のような軽元素を用いるのがよいと考えた。しかし、ベリリウムは非常に高価であり、またベリリウムを含有する塵は人体に毒性を示すという問題がある。そこで、本発明者らは、ターゲット基板材料として熱伝導の良いグラファイトを用いるとターゲットの損傷(変形など)を防ぐことができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]25℃におけるグラファイト層のa−b面に平行な方向の熱伝導率が500W/mK以上であるグラファイト膜(A)と、放射性物質製造用原料層(B)との積層体であることを特徴とするプロトンビーム又は中性子ビーム照射用ターゲット。
[2]前記グラファイト膜(A)の密度が1.8g/cm3以上、且つ、2.26g/cm3以下である前記[1]に記載のターゲット。
[3]前記グラファイト膜(A)の引張り強度が5MPa以上である前記[1]又は[2]に記載のターゲット。
[4]前記グラファイト膜(A)をレーザーラマン分光法で測定して得られる、1575〜1600cm-1に現れるラマンバンドの強度RGと1330〜1360cm-1に現れるラマンバンドの強度RCとの比RG/RCが、4以上である前記[1]〜[3]のいずれかに記載のターゲット。
[5]前記グラファイト膜(A)の厚みが0.1μm以上、且つ、50μm以下である前記[1]〜[4]のいずれかに記載のターゲット。
[6]前記放射性物質製造用原料が、金属及び/又は金属酸化物である前記[1]〜[5]のいずれかに記載のターゲット。
[7]前記放射性物質製造用原料が、金属モリブデン100及び/又は金属モリブデン100の酸化物である前記[1]〜[6]のいずれかに記載のターゲット。
[8]前記放射性物質製造用原料が、更に金属モリブデン同位体及び/又はモリブデン同位体の酸化物を含む前記[7]に記載のターゲット。
[9]前記グラファイト膜(A)と前記放射性物質製造用原料層(B)が、金属層(C)を介して積層されている前記[1]〜[8]のいずれかに記載のターゲット。
[10]前記金属層(C)がアルミニウム、チタン、ニッケル、鉄、銅、タンタル、タングステン、金、銀、白金、及びルテニウムよりなる群から選択される少なくとも1種である前記[9]に記載のターゲット。
[11]前記金属層(C)の厚みが、1μm以下である前記[9]又は[10]に記載のターゲット。
[12]前記[1]〜[11]のいずれかに記載のターゲットに、プロトンビーム又は中性子ビームを照射することを特徴とする放射性物質の発生方法。
本発明は、熱伝導率の良好なグラファイト膜を、放射性物質製造用原料層と積層したターゲットであるため、プロトンビーム又は中性子ビームを照射した際に熱を効率良く拡散でき、ターゲットの変形などの損傷を防ぐことができる。またターゲット基板がグラファイトであるため、長時間のビーム照射後もターゲット基板の放射化が抑えられ、ターゲット交換時の作業者の被曝が軽減される。
図1は、本発明のターゲットの構成例を示す模式図である。 図2は、後記する実施例で用いた耐熱性試験用装置の概略模式図である。
本発明のターゲットは、プロトンビーム又は中性子ビームを照射するターゲットであって、グラファイト膜(A)と放射性物質製造用原料層(B)との積層体であり、該グラファイト膜(A)の25℃におけるグラファイト層のa−b面に平行な方向の熱伝導率が500W/mK以上である点に特徴を有しており、ビーム照射によって発生した熱を、ターゲット基板(すなわちグラファイト膜(A))及び放射性物質製造用原料層(B)から速やかに拡散させることができ、ターゲットの損傷を防ぐことができる。本発明におけるグラファイト膜(A)は、25℃におけるa−b面方向の熱伝導率が500W/mK以上であるグラファイト層であり、言い換えると、25℃におけるグラファイト層のa−b面に平行な方向の熱伝導率が500W/mK以上であるグラファイト膜である。本発明のターゲットの構成の一例を図1に示す。本発明のターゲットは図1(a)に示すように、グラファイト膜(A)11と放射性物質製造用原料層(B)12が積層されており、好ましい態様では、図1(b)に示すようにグラファイト膜(A)11と放射性物質製造用原料層(B)12が金属層(C)13を介して積層される。図1では、本発明に係るターゲットを構成する層として上記(A)、(B)、(C)層を示したが、本発明のターゲットは、本発明の効果を阻害しない範囲で、(A)、(B)、(C)層以外の他の層が積層されていてもよい。以下、グラファイト膜(A)及び放射性物質製造用原料層(B)、金属層(C)について順に説明する。
(1)グラファイト膜(A)
(1−a)グラファイト層のa−b面に平行な方向の熱伝導率
本発明において、グラファイト膜(A)の25℃におけるグラファイト層のa−b面に平行な方向の熱伝導率は500W/mK以上である。通常、ターゲットにプロトンビーム又は中性子ビーム(以下、両者を合わせて単に「ビーム」と呼ぶ場合がある)が照射されると、ビーム照射部位が局所的に加熱及び冷却されるため、ターゲットが変形する。グラファイト膜(A)の熱伝導率が前記範囲であると、ターゲットの局所的な熱を速やかに周囲に分散させ、ターゲットの温度変化を小さくすることができる。前記熱伝導率は、好ましくは1000W/mK以上、より好ましくは1200W/mK以上、更に好ましくは1500W/mK以上であり、特に1800W/mK以上が好ましく、最も好ましくは1950W/mK以上である。前記熱伝導率の上限は特に限定されず、例えば2200W/mK以下であり、2100W/mK以下であってもよい。
グラファイト層のa−b面に平行な方向のグラファイト膜(A)の熱伝導率は、下記式(1)によって算出する。
λ=α×d×Cp ・・・(1)
式(1)中、λは、グラファイト層のa−b面に平行な方向のグラファイト膜(A)の熱伝導率、αは、グラファイト層のa−b面に平行な方向のグラファイト膜(A)の熱拡散率、dは、グラファイト膜(A)の密度、Cpは、グラファイト膜(A)の比熱容量をそれぞれ表わしている。なお、グラファイト膜(A)の密度、熱拡散率、および比熱容量は、以下に述べる方法で求める。
グラファイト層のa−b面に平行な方向のグラファイト膜(A)の熱拡散率は、グラファイト膜の厚さが3μmを超える場合には、市販の光交流法に基づく熱拡散率測定装置(例えば、アルバック理工(株)製の「LaserPit」)を用いて測定することができる。例えば、4mm×40mmの形状に切り取られたグラファイトについて、25℃で10Hzの交流条件下で測定する。一方、グラファイト膜の厚さが3μm以下である場合、グラファイト層のa−b面に平行な方向のグラファイト膜の熱拡散率の測定は、アルバック理工(株)製、「LaserPit」などの周期加熱法による熱拡散率測定装置では不正確である。そこで第二の測定方法として、周期加熱放射測温法((株)BETHEL製サーモアナライザーTA3)を用いて測定をおこなった。これは周期加熱をレーザーで行い、温度測定を放射温度計で行う装置であり、測定時にグラファイトシートとは完全に非接触であるため、グラファイトシートの厚さ3μm以下の試料でも測定が可能である。両装置の測定値の信頼性を確認するために、幾つかの試料については両方の装置で測定を行い、その数値が一致する事を確認した。BETHEL社の装置では周期加熱の周波数を最高800Hzまでの範囲で変化させることができる。すなわち、この装置の特徴は通常熱電対で接触的に行われる温度の測定が放射温度計により行われ、測定周波数を可変できる点である。原理的に周波数を変えても一定の熱拡散率が測定されるはずなので、本装置を用いた計測では周波数を変えてその測定を行った。3μm以下の厚さの試料の測定を行った場合は、10Hzや20Hzの測定においては測定値がばらつくことが多かったが、70Hzから800Hzの測定では、その測定値はほぼ一定になった。そこで、周波数に寄らず一定の値を示した数値(70Hz〜800Hzでの値)を用いて熱拡散率とした。
グラファイト膜(A)の比熱容量は、エスアイアイナノテクノロジー株式会社製の熱分析システムである示差走査熱量計DSC220CUを用い、20℃から260℃まで10℃/minの昇温条件下で測定する。
(1−b)密度
グラファイト膜(A)の密度は、グラファイト膜(A)の熱伝導率を確保し、またビーム照射時のビームの散乱を防ぐという観点から、1.8g/cm3以上であることが好ましい。また、グラファイト膜(A)の密度が1.8g/cm3以上であることは、電着法(電気泳動電着法)によってターゲットを作製する際に特に有利である。一般的に電着法によって基板に金属層を積層させる技術においては、電極(基板)として金属が用いられており、グラファイトが用いられた例はない。例えば非特許文献4は、無機塩水溶液におけるグラファイトから電気化学的にグラフェンを剥離する技術に関するものであり、グラファイト上に金属層を積層させる技術に関するものではないが、非特許文献4を参照すれば、電着法によって通常のグラファイト基板上に金属層を積層させることは難しいと考えられる。その理由としては、密度の小さい通常のグラファイトを電極として用いると、グラファイトの隙間に水が入り込み、電気分解により水素が発生してグラファイトが剥離すること、グラファイト膜に入り込んだ水とイオンの影響でグラファイトが剥離すること、などが挙げられる。グラファイト膜(A)の密度は、より好ましくは1.9g/cm3以上であり、更に好ましくは2.0g/cm3以上である。グラファイト膜(A)の密度の好ましい上限は、グラファイト単結晶の理論値である2.26g/cm3以下であり、2.20g/cm3以下であってもよい。
グラファイト膜の密度は、所定形状(例えば100mm×100mm)に切り取られたグラファイト膜のサンプルについて、重量および厚さ(後述する)を測定し、測定された重量の値を、算出された体積の値(サンプル面積×厚さ)で除することにより、算出する。
(1−c)厚み
グラファイト膜(A)の厚みは0.1μm以上、且つ、50μm以下であることが好ましい。グラファイト膜の厚みは、強度を確保する観点から0.1μm以上であることが好ましい。0.1μm以上であると、電着法によりターゲットを製造した場合のグラファイト膜(A)の取扱性も良好である。グラファイト膜(A)の厚みは、より好ましくは0.5μm以上であり、更に好ましくは1μm以上、特に好ましくは2μm以上である。グラファイト膜が厚すぎると、ビーム照射により受け取る熱量が増えるためにターゲットが高温になる恐れがある。また、グラファイト膜が厚すぎると、ビームがグラファイト膜を通過できなくなり、グラファイト膜の内部でのイオン注入が起こるために、基板が破壊されるおそれがある。従って、グラファイト膜(A)の厚みは50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下が更に好ましい。グラファイト膜(A)の厚みは、前記したグラファイト膜(A)の密度の好ましい範囲を実現する観点からも、0.1μm以上、且つ、50μm以下であることが好ましい。
グラファイト膜(A)の厚さは、以下の方法で測定できる。厚さゲージ(ハイデンハイン(株)製、HElDENH:AIN−CERTO)を用い、50mm×50mmの形状に切り取られたグラファイトについて、25℃の恒温室にて任意の10点における厚さを測定し、当該測定値の平均値をグラファイト膜(A)の厚さとする。
(1−d)引張り強度
グラファイト膜(A)の引張り強度は5MPa以上であることが好ましい。グラファイト膜(A)に放射性物質製造用原料層(B)や金属層(C)を作製する際、特製の冶具に固定する場合がある。その際、グラファイト膜(A)の引張り強度が5MPa以上であることは、作業中にグラファイト膜(A)が破損しない上で好ましい。グラファイト膜(A)の引張り強度は5MPa以上がより好ましく、更に好ましくは10MPa以上、特に好ましくは15MPa以上である。グラファイト膜(A)の引張り強度の上限は限定されないが、通常50MPa以下である。
上記したグラファイト膜(A)の引張り強度は、以下のようにして実施した。まず作製したグラファイト膜(A)をサイズ10×40mmに切り出し、両端を厚み12.5μmのポリイミドテープで補強した。作製した測定用試料を縦型電動計測スタンド((株)イマダ社製EMX−1000N)にセットした。引張速度を5mm/minとし、引張強度はデジタルフォースゲージ((株)イマダ社製ZTA−5N)で測定した。
(1−e)ラマンバンドの強度比R(=RG/RC)
グラファイト膜(A)は、レーザーラマン分光法により炭素質であるかグラファイト質であるかを評価できる。レーザーラマン分光測定では、1575〜1600cm-1にグラファイト構造に基づくバンド(RG)が現れ、1330〜1360cm-1にアモルファスカーボン構造に基づくバンド(RC)が現れる。本発明におけるグラファイト膜(A)とは、前記したRGが他のバンドに比べて最も高いものを意味するが、好ましくは前記2つのバンドの相対強度比RG/RC(以下、ラマン強度比Rと呼ぶ)が4以上であり、より好ましくは30以上、さらに好ましくは50以上である。
(2)放射性物質製造用原料層(B)
放射性物質とは、放射線を出す物質の全てを指し、好ましくはα線、β線、又はγ線を放出する物質であり、例えばβ線を放出する99Moなどが挙げられる。そして、放射性物質製造用原料とは、プロトンビーム又は中性子ビームが照射されることによって前記放射性物質が製造される物質であり、放射性物質が前記した99Moである場合には、該原料はモリブデン100(100Mo)であることが好ましい。
放射性物質製造用原料は、金属であってもよいし、金属酸化物であってもよいし、両者の混合物であってもよく、好ましくは金属モリブデン100(金属状態のモリブデン100を意味する)及び/又はモリブデン100の酸化物である。モリブデン100の酸化物は、金属モリブデン100に比べて融点が低いが、本発明によればグラファイト膜(A)の熱伝導率が高いため、ターゲットが高温になることを抑制でき、融点の低い酸化物も放射性物質製造用原料として用いることが可能である点は、本発明の大きな利点の1つである。モリブデン100は天然に存在するため、天然のモリブデン100を用いてもよく、天然のものにはモリブデン100以外のモリブデン同位体が存在するため、放射性物質製造用原料には金属モリブデン同位体及び/又はモリブデン同位体の酸化物が含まれていてもよい。放射性物質の製造効率の観点からモリブデン100の比率が高いものが好ましいため、天然のモリブデン100を濃縮してモリブデン100の比率を高めたものを用いてもよい。
放射性物質製造用原料層(B)の厚みは、好ましくは2μm以上であり、より好ましくは3μm以上であり、更に好ましくは5μm以上であり、また30μm以下であることが好ましく、より好ましくは25μm以下であり、更に好ましくは15μm以下である。
(3)金属層(C)
本発明のターゲットは、前記したグラファイト膜(A)と放射性物質製造用原料層(B)との積層体であるが、グラファイト膜(A)と放射性物質製造用原料層(B)は、金属層(C)を介して積層されることも好ましい。ターゲットに高エネルギーのビームが照射され、一時的に高温になると、グラファイト膜(A)と放射性物質製造用原料層(B)とが反応するおそれがある。そこで、グラファイト膜(A)及び放射性物質製造用原料層(B)との間に、金属層(C)を形成することが好ましい。金属層(C)の材質は、アルミニウム、チタン、ニッケル、鉄、銅、タンタル、タングステン、金、銀、白金、及びルテニウムよりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、より好ましくは金、ニッケル、チタン又はタンタルである。
グラファイト膜(A)と放射性物質製造用原料層(B)の反応を抑制するという観点から、金属層(C)の厚みは、例えば10nm以上が好ましく、より好ましくは30nm以上である。一方、金属層(C)の厚みが厚すぎると、金属層(C)と放射性物質製造用原料層(B)との間に熱が蓄熱され、ターゲットの変形を引き起こすおそれがある。従って、金属層(C)は1μm以下が好ましく、より好ましくは0.5μm以下であり、更に好ましくは0.25μm以下である。
本発明のターゲットは、加速器を用いて加速された中性子ビーム又はプロトンビームの軌道上に配置され、ターゲット上の放射性物質製造用原料に中性子ビーム又はプロトンビームが照射されることで、放射性物質が製造される。中性子ビームが照射される際には、例えば一個の中性子により二個の中性子を放出する(n,2n)反応が起こり、またプロトンビームが照射される際には、例えば一個のプロトンにより二個の中性子を放出する(p、2n)反応が起こる。中性子ビーム又はプロトンビームは、ターゲットの基板側から照射されてもよいし、放射性物質製造用原料層側から照射されてもよく、また回転しているターゲットにビームが照射されることが好ましい。ビームが照射される方向に垂直な方向におけるターゲットの形状は、例えば円形状、楕円形状、方形状などが挙げられ、円形状が好ましい。なお、円形状とは、荷電変換膜の外周が円周形状であることを意味し、例えば円の中心付近が切り込まれている様な形状(ドーナツ状)なども含む意味である。
次に、本発明のターゲットの製造方法について、グラファイト膜(A)の製造方法、放射性物質製造用原料層(B)の積層方法の順に説明する。
グラファイト膜(A)は、所定の高分子原料フィルムを不活性ガス雰囲気下で熱処理する高分子焼成法で製造できる。
高分子原料
グラファイト膜(A)の原料として好ましく用いられる高分子原料は、芳香族高分子であり(特に耐熱性芳香族高分子)、該芳香族高分子としては、ポリアミド、ポリイミド、ポリキノキサリン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリオキサジアゾール、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾール、ポリキナゾリンジオン、ポリベンゾオキサジノン、ポリキナゾロン、ベンズイミダゾベンゾフェナントロリンラダーポリマー、およびこれらの誘導体から選択される少なくとも一種であることが好ましい。これらの高分子原料からなるフィルムは公知の製造方法で製造すればよい。特に好ましい高分子原料として芳香族ポリイミド、ポリパラフェニレンビニレン、ポリパラフェニレンオキサジアゾールを例示することができる。特に、芳香族ポリイミドが好ましく、中でも以下に記載する酸二無水物(特に芳香族酸二無水物)とジアミン(特に芳香族ジアミン)からポリアミド酸を経て作製される芳香族ポリイミドは前記グラファイト膜(A)の高分子原料として特に好ましい。
前記芳香族ポリイミドの合成に用いられ得る酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、およびそれらの類似物を含み、それらを単独または任意の割合の混合物で用いることができる。 特に非常に剛直な構造を有した高分子構造を持つほどポリイミドフィルムの配向性が高くなること、さらには入手性の観点から、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が特に好ましい。
前記芳香族ポリイミドの合成に用いられ得るジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼンおよびそれらの類似物を含み、それらを単独でまたは任意の割合の混合物で用いることができる。 さらにポリイミドフィルムの配向性を高くすること、入手性の観点から、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミンを原料に用いて合成されることが特に好ましい。
前記酸二無水物とジアミンからのポリアミド酸の調製には公知の方法を用いることができ、通常、酸二無水物の少なくとも1種とジアミンの少なくとも1種を有機溶媒中に溶解させ、得られたポリアミド酸有機溶媒溶液を、制御された温度条件下で、上記酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで攪拌することによって製造される。これらのポリアミド酸溶液は通常5質量%以上、且つ、35質量%以下、好ましくは10質量%以上、且つ、30質量%以下の濃度で得られる。この範囲の濃度である場合に適当な分子量と溶液粘度を得ることが出来る。前記原料溶液中の酸二無水物とジアミンは実質的に等モル量にすることが好ましく、ジアミンに対する酸二無水物のモル比(酸二無水物/ジアミン)は、例えば、1.5/1以下、且つ、1/1.5以上、好ましくは1.2/1以下、且つ、1/1.2以上、より好ましくは1.1/1以下、且つ、1/1.1以上である。
高分子原料フィルムの合成、成膜
前記高分子原料フィルムは、前記高分子原料又はその合成原料から公知の種々の手法によって製造できる。例えば、前記ポリイミドの製造方法としては、前駆体であるポリアミド酸を加熱でイミド転化する熱キュア法、ポリアミド酸に無水酢酸等の酸無水物に代表される脱水剤や、ピコリン、キノリン、イソキノリン、ピリジン等の第3級アミン類をイミド化促進剤として用い、イミド転化するケミカルキュア法があり、そのいずれを用いてもよい。得られるフィルムの線膨張係数が小さく、弾性率が高く、複屈折率が大きくなりやすく、フィルムの焼成中に張力をかけたとしても破損することなく、また、品質の良いグラファイトを得ることができるという点からケミカルキュア法が好ましい。またケミカルキュア法は、グラファイトの熱伝導度の向上の面でも優れている。
前記ポリイミドフィルムは、上記ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の有機溶剤溶液をエンドレスベルト、ステンレスドラムなどの支持体上に流延し、乾燥・イミド化させることにより製造される。具体的にケミカルキュアによるフィルムの製造方法は以下の通りである。まず上記ポリアミド酸溶液に化学量論以上の脱水剤と触媒量のイミド化促進剤を加え支持板やPET等の有機フィルム、ドラム又はエンドレスベルト等の支持体上に流延又は塗布して膜状とし、有機溶媒を蒸発させることにより自己支持性を有する膜を得る。次いで、これを更に加熱して乾燥させつつイミド化させポリイミドフィルムを得る。加熱の際の温度は、120℃から550℃の範囲の温度が好ましい。さらに、ポリイミドの製造工程中に、収縮を防止するためにフィルムを固定したり、延伸したりする工程を含むことが好ましい。グラファイト化反応をスムーズに進行させるためにはグラファイト前駆体中の炭素分子が再配列する必要があるが、前記したフィルムを固定したり延伸したりする工程を行えば、分子構造およびその高次構造が制御されたポリイミドフィルムを得ることができ、炭素分子の再配列が最小で済むために低温でもグラファイトへの転化が進み易いと推測される。
本発明のターゲットにおけるグラファイト膜(A)の好ましい態様では、グラファイト膜(A)の厚みが0.1μm以上、且つ、50μm以下であり、前記範囲のグラファイト膜(A)を得るためには、芳香族ポリイミドの場合、高分子原料フィルムの厚さが0.2μm以上、且つ、100μm以下の範囲であることが好ましい。これは、最終的に得られるグラファイトの厚さは、一般に高分子原料フィルムの厚みによっているためであり、一次熱処理及び二次熱処理の過程(後述する)で得られるグラファイトの厚さが、原料高分子の厚さの約1/2になるためである。
炭素化(一次熱処理)・二次熱処理
次に、ポリイミドに代表される高分子原料フィルムの炭素化(一次熱処理)・二次熱処理の手法について述べる。本発明では出発物質である高分子原料フィルムを不活性ガス中、あるいは真空中で一次熱処理し、炭素化を行う。不活性ガスは、窒素、アルゴンあるいはアルゴンと窒素の混合ガスが好ましく用いられる。一次熱処理は500℃以上で行うことが好ましく、より好ましくは600℃以上、更に好ましくは700℃以上、特に1000℃以上で行うことが好ましい。一次熱処理は、例えば0.5〜3時間程度行えばよい。一次熱処理までの昇温速度は特に限定されないが、例えば5℃/分以上、かつ15℃/分以下とできる。一次熱処理の段階では出発高分子フィルムの配向性が失われない様に、フィルムの破壊が起きない程度の膜面に垂直方向の圧力を加えるか、又はフィルム面と平行な方向に引張り張力を加えてもよい。
上記の方法で炭素化されたフィルムを高温炉内にセットし、二次熱処理を行なう。二次熱処理では、炭化したフィルムを一度取り出した後、二次熱処理用の炉に移し変えてから二次熱処理を行ってもよいし、炭化から二次熱処理を連続的に行ってもよい。二次熱処理では、グラファイト化させることが好ましい。炭素化フィルムのセットはCIP(Cold Isostatic Pressing)材やグラッシーカーボン基板に挟んで行うことが好ましい。二次熱処理は2400℃以上で行うことが好ましく、より好ましくは2900℃以上であり、最も好ましくは3000℃以上である。このようにすることによって、得られるグラファイトの膜面方向の熱伝導率を向上できる。この処理温度は二次熱処理過程における最高処理温度としてもよく、得られたグラファイトをアニーリングの形で再熱処理してもよい。この様な高温を作り出すには、通常グラファイトヒーターに直接電流を流し、そのジュ−ル熱を利用して加熱を行なう。二次熱処理は不活性ガス中で行なうが、不活性ガスとしてはアルゴンが最も適当であり、アルゴンに少量のヘリウムを加えてもよい。処理温度は高ければ高いほど良質のグラファイトに転化出来るが、例えば、3700℃以下、特に3600℃以下、或いは3500℃以下であっても、熱伝導率に優れたグラファイトができる。
前記一次熱処理温度から二次熱処理温度までの昇温速度は、例えば1℃/分以上、かつ25℃/分以下とすることができる。当該二次熱処理温度での保持時間は、例えば、10分以上、好ましくは30分以上であり、1時間以上であってもよい。保持時間の上限は特に限定されないが、通常、10時間以下、特に5時間以下としてもよい。二次熱処理時には、フィルムの厚み方向に圧力を加えてもよいし、フィルム面と平行な方向に引張り張力を加えてもよい。加圧法としては、機械的なプレスや、錘を用いたプレスなどの方法を単独で又は組みあわせて採用できる。温度3000℃以上で熱処理する場合、高温炉内の雰囲気は前記不活性ガスによって加圧されているのが好ましい。熱処理温度が高いと膜表面から炭素の昇華が始まり、膜表面の穴、割れの拡大と薄膜化などの劣化現象が生じるが、加圧することによってこの様な劣化現象を防止でき、優れた膜(特にグラファイト膜)を得ることができる。不活性ガスによる高温炉の雰囲気圧力(ゲージ圧)は、例えば、0.05MPa以上、好ましくは0.10MPa以上、さらに好ましくは0.14MPa以上である。この雰囲気圧力の上限は特に限定されないが、例えば、2MPa以下、特に1.8MPa以下であってもよい。熱処理後は、例えば30℃/分以上、かつ50℃/分以下の速度で降温すればよい。このような方法によれば、良好なグラファイト結晶構造を形成できると考えられ、その結果、熱伝導性に優れたグラファイト膜を得ることができる。
放射性物質製造用原料を、グラファイト膜(A)に積層させる方法は特に限定されず、スパッタ法、蒸着法、電子線蒸着法、電着法(電気泳動電着法)など、通常の薄膜形成手段を採用でき、前記方法を単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。貴重な放射性物質製造用原料を無駄なく使用することができ、かつ残った原料等の回収作業も非常に簡便であるという点で、電着法が好ましい。上記非特許文献2では、電着法で作製されたターゲットがビーム照射後に変形することが記載されるが、本発明によれば、ターゲット基板として熱伝導率の高いグラファイト膜(A)を用いているため、ターゲットを電着法で作製した場合でも、熱によるターゲットの変形を防ぐことができる。電着法(電気泳動電着法)は、溶媒中に溶解している金属原料から直流電界により基板上に金属などを堆積させる方法であり、金属原料としては金属(例えばモリブデン100)のオキソアニオンのアンモニウム塩、ナトリウム塩、エチレンジアミン塩、アニリン塩、カリウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩などを用いることができ、溶媒としては水系、アルコール系、ケトン系などの溶媒を用いることができる。前記溶媒には、電解液として酢酸アンモニウム、硫酸、シュウ酸、クロム酸、ホウ酸、燐酸ナトリウムなどが含まれていることも好ましい。陰極としてのグラファイト膜(A)、陽極としてのプラチナ電極を、前記金属原料が溶解した溶媒に浸漬し、両電極間に通電することで、陰極のグラファイト膜上に、放射性物質製造用原料となる金属を積層できる。電流密度は例えば0.1〜1A/cm2(好ましくは0.2〜0.5A/cm2)であり、10〜180分間(好ましくは20〜120分間)処理することが好ましい。
グラファイト膜(A)には、金属層(C)を形成してから放射性物質製造用原料層(B)を形成することも好ましい。金属層(C)の形成方法は特に限定されず、蒸着法、スパッタ法、EB(Electron Beam)蒸着法、イオンプレーティング法、めっき法など通常用いられる薄膜作製方法を用いることができる。
本願は、2017年6月9日に出願された日本国特許出願第2017−114328号に基づく優先権の利益を主張するものである。2017年6月9日に出願された日本国特許出願第2017−114328号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前記、後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
下記製造例で得られるグラファイト膜の膜厚、熱伝導率、密度、引張り強度、ラマン強度比は、上述の方法で測定した。なお、グラファイト膜の上にモリブデン層を形成した後の試料も同様の手順で測定し、モリブデン層形成後の厚みからグラファイト膜の厚みを差し引くことでモリブデン層の厚みを算出した。
製造例1〜13 放射性物質製造用原料層の支持基板(グラファイト膜(A))の作製
グラファイト膜で構成された支持基板を、以下の手順に従って高分子焼成法により作製した。まず、酸二無水物としてのピロメリット酸二無水物(PMDA)、ジアミンとしての4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)をモル比で1/1.1(PDMA/ODA)の割合で含む混合物を原料として合成したポリアミド酸の18質量%のDMF(N,N−dimethylformamide)溶液100gに無水酢酸20gとイソキノリン10gからなる硬化剤を混合、攪拌し、遠心分離による脱泡の後、アルミ箔上に流延塗布した。攪拌から脱泡までは0℃に冷却しながら行った。このアルミ箔とポリアミド酸溶液の積層体を120℃で150秒間、300℃、400℃、500℃で各30秒間加熱した後、アルミ箔を除去し厚みの異なるポリイミドフィルムを作製した。ポリイミドフィルムの厚みは、キャストする速度などによって0.4〜75μmの範囲に調整した。
得られたポリイミドフィルムを、窒素ガス雰囲気下、10℃/分の速度で1000℃まで昇温し、1000℃以上で1時間、炭化(一次熱処理)した後、アルゴンガス中にてゲージ圧を0.1MPaとし、2400℃から3000℃(二次熱処理における最高温度)で焼成することにより芳香族ポリイミドをグラファイト化し、厚さ40〜0.14μmのグラファイト膜を得た。一次熱処理から二次熱処理までの昇温速度は20℃/分であり、二次熱処理後は40℃/分の速度で室温まで降温した。得られたグラファイト膜の物性を表1に示す。得られたグラファイト膜の25℃におけるa−b面に平行な方向の熱伝導率はいずれも500W/mK以上であった。また密度はいずれも1.8g/cm3以上であった。
製造例14 放射性物質製造用原料層の支持基板(グラファイト膜(A))の作製
最高温度を2200℃にした以外は製造例1〜13と同様にし、厚み2.9μmのグラファイト膜を作製した。作製したグラファイト膜の各種物性を表1に示す。
電着法によるターゲットの作製
実施例1〜12
ターゲットを支持する基板として、製造例1〜12で得られた厚さ0.14〜40μmのグラファイト膜を20mm×40mmの寸法に切り出し、切り出したグラファイト膜を電着実験専用のPTFEフレームに電着を実施する片面のみが露出するようにセットした。酢酸アンモニウム(20g、260mmol)とモリブデン酸アンモニウム(250mg、1.0mmol)を25mlの水に溶解させ溶液を得た。前記溶液を電着実験専用のガラス容器に入れた後、陽極としてのプラチナ電極(25×70mm)と、陰極としてのグラファイト膜(ワークスペース、10×30mm)を、両者の距離を4cmとして前記溶液内に平行に取り付けた。これらの電極をポテンショスタット(北斗電工(株)製、HA−3001A)に取り付け、電流密度0.2〜0.3A/cm2で20〜120分間反応させた。その後、陰極側(すなわちグラファイト膜)を取り除き、イオン交換水で洗浄した後、真空中100℃で乾燥させ、グラファイト膜上に厚さ3.2〜21μmのモリブデン層が作製されたターゲットを作製した。作製したモリブデン層の厚みを表1に示す。
実施例13
製造例13で得られた厚さ2.2μmのグラファイト膜を、小型真空蒸着装置(アルバック機工(株)製、VTR−350/ERH)に取り付けた。その後、真空蒸着法により、グラファイト膜上に、厚み50nmの金層(金属層(C)に相当)を形成した。金属層(C)を積層したグラファイト膜の金属層(C)側に、実施例1〜12と同様にしてモリブデン層を形成した。モリブデン層の厚みは表1に示す通りである。
比較例1
グラファイト膜の代わりに厚さ14μmの炭素膜(アリゾナカーボン社製、PCG、蒸着膜)を実施例1〜12と同様の大きさに切断し、切り出した炭素膜を電着実験専用のフレームにセットした。そして、実施例1〜12と同様に電着法によって炭素膜上にモリブデン層を形成しようとしたが、炭素膜を陰極としてセットする際に炭素膜が破損し、電着法によるモリブデン層の作製が出来なかった。比較例1で用いた炭素膜の物性は表1に示す通りである。
比較例2
実施例1〜12のグラファイト膜に代えて、厚さ130μmのグラファイト膜(Alfa Aesar製、Graphite foil、密度1.1g/cm3)を用いて、実施例1〜12と同様にして、電着実験専用のフレームにセットした。そして、実施例1〜12と同様にして電着法による100Mo膜を形成しようとしたが、製膜中にグラファイト膜の剥離が発生し、100Moとグラファイトが積層したターゲットを得ることは出来なかった。
比較例3
製造例14で作製したグラファイト膜を使用した以外は実施例1〜12と同様にして、グラファイト膜上にモリブデン層を作製した。作製したモリブデン層の厚みを表1に示す。
通電加熱法による耐熱性試験
実施例1〜13、比較例3で得られたグラファイト(又は炭素膜)とモリブデンの積層体を図2に記載した耐熱性試験装置にセットした。図2に示す耐熱性試験装置では、ステンレス製の真空容器24の内部に2つの黒鉛電極22が収容され、黒鉛電極22の間にサンプル(前記積層体)21がセットされる。真空ポンプ25によって真空容器24内を1Pa程度にした後、直流電源23により直流電流を印加し、サンプル中央部26を放射温度計27(チノー株式会社製、IR−CAI)でモニターしながら800℃まで加熱した。加熱したサンプルを800℃で1時間保持し、電流を遮断して室温まで冷却した。冷却後サンプルを取り出し、サンプルの破損などがないかを確認した。結果を表1に示す。
Figure 2018225761
グラファイト層のa−b面に平行な方向のグラファイト膜の25℃での熱伝導率が500W/mK以上である実施例1〜13では、耐熱性試験後のサンプルの変形などは確認されず、また電着法によるモリブデン層の積層も可能であった。従って、実施例1〜13の積層体は、プロトンビーム又は中性子ビーム用のターゲットとして用いても、ビーム照射による熱で変形することがないと考えられる。また、プロトンビーム又は中性子ビーム用のターゲットを電着法によって簡便に作製することが可能である。
一方、比較例3は、耐熱性試験後にサンプルの中央部が変形していた。これは、グラファイト膜の熱伝導性が低いために、サンプル中央部に熱が蓄積してターゲットが部分的に変形したと推測できる。また、比較例1、2は電着を適用することができず、耐熱性試験を実施することができなかったが、比較例1、2の炭素膜又はグラファイト膜の熱伝導率を考慮すれば、比較例3と同様に耐熱性は低いと考えられる。
本発明におけるグラファイト膜(A)と放射性物質製造用原料層(B)の積層体は、耐熱性に優れているため、プロトンビーム又は中性子ビームの照射による熱を速やかに拡散することができ、プロトンビーム又は中性子ビーム用ターゲットとして有用である。
11 グラファイト膜(A)、12 放射性物質製造用原料層(B)、13 金属層(C)、21 サンプル、22 黒鉛電極、23 直流電源、24 真空容器、25 真空ポンプ、26 サンプル中央部、27 放射温度計

Claims (12)

  1. 25℃におけるグラファイト層のa−b面に平行な方向の熱伝導率が500W/mK以上であるグラファイト膜(A)と、放射性物質製造用原料層(B)との積層体であることを特徴とするプロトンビーム又は中性子ビーム照射用ターゲット。
  2. 前記グラファイト膜(A)の密度が1.8g/cm3以上、且つ、2.26g/cm3以下である請求項1に記載のターゲット。
  3. 前記グラファイト膜(A)の引張り強度が5MPa以上である請求項1又は2に記載のターゲット。
  4. 前記グラファイト膜(A)をレーザーラマン分光法で測定して得られる、1575〜1600cm-1に現れるラマンバンドの強度RGと1330〜1360cm-1に現れるラマンバンドの強度RCとの比RG/RCが、4以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載のターゲット。
  5. 前記グラファイト膜(A)の厚みが0.1μm以上、且つ、50μm以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のターゲット。
  6. 前記放射性物質製造用原料が、金属及び/又は金属酸化物である請求項1〜5のいずれか1項に記載のターゲット。
  7. 前記放射性物質製造用原料が、金属モリブデン100及び/又は金属モリブデン100の酸化物である請求項1〜6のいずれか1項に記載のターゲット。
  8. 前記放射性物質製造用原料が、更に金属モリブデン同位体及び/又はモリブデン同位体の酸化物を含む請求項7に記載のターゲット。
  9. 前記グラファイト膜(A)と前記放射性物質製造用原料層(B)が、金属層(C)を介して積層されている請求項1〜8のいずれか1項に記載のターゲット。
  10. 前記金属層(C)がアルミニウム、チタン、ニッケル、鉄、銅、タンタル、タングステン、金、銀、白金、及びルテニウムよりなる群から選択される少なくとも1種である請求項9に記載のターゲット。
  11. 前記金属層(C)の厚みが、1μm以下である請求項9又は10に記載のターゲット。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のターゲットに、プロトンビーム又は中性子ビームを照射することを特徴とする放射性物質の発生方法。
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