JPH08119620A - 微細シリカの精製法 - Google Patents

微細シリカの精製法

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JPH08119620A JP28899894A JP28899894A JPH08119620A JP H08119620 A JPH08119620 A JP H08119620A JP 28899894 A JP28899894 A JP 28899894A JP 28899894 A JP28899894 A JP 28899894A JP H08119620 A JPH08119620 A JP H08119620A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 微細シリカと、空気と、水蒸気とを空気1に
対し水蒸気を0.5以上の容量比となるように流動層形
成用管の下部から上部に向けて連続的に導入し、この管
内にガス線速が1〜10cm/秒で温度が250〜60
0℃の流動層を形成し、この流動層内で上記微細シリカ
に存在するハロゲン化物を水蒸気により脱離すると共
に、このハロゲン化物が脱離された微細シリカを上記管
の上部から取り出すことを特徴とする微細シリカの精製
法。 【効果】 本発明によれば、簡便な装置を用い、低エネ
ルギーコストでハロゲン化物が確実に脱離した精製微細
シリカを容易に得ることができる。また、本発明による
脱酸方法によれば、脱酸と同時に上部排出口に到達しな
い粗粒子と、排出管より流出する微細粒子が分離される
という利点も有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒュームドシリカ等の
微細シリカに存在するハロゲン化物を脱離して精製する
微細シリカの精製法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、ヒュームドシリカはシリコーンエラストマー等の充
填剤などとして広く使用されている。このヒュームドシ
リカは、珪素含有ハロゲン化合物を火炎加水分解するこ
とによって製造されているが、ヒュームドシリカは高い
表面活性を有すると共に、比表面積が大きいことから、
火炎加水分解時に副生するハロゲン化水素を多量に吸着
しており、また、反応が不完全な場合には、化学的に結
合したハロゲンが存在することになる。このようなハロ
ゲン化物が多量に存在するヒュームドシリカは、そのま
ま充填剤等として使用することは好ましくないので、通
常ハロゲン化物を脱離する脱酸処理を施してから使用に
供することが行われている。
【0003】従来、このようなヒュームドシリカの脱酸
方法としては、鋼製無端ベルト上にヒュームドシリカを
沈降させたり、移送装置を備えた回転管を用いたりし
て、ヒュームドシリカを200〜500℃で湿潤空気と
接触させて脱酸する方法が採用されている(特公昭47
−46274号公報)。
【0004】しかしながら、この方法は比較的低温で脱
酸することができるが、装置が機械的可動部分を有して
いるため、高温でしかも酸性腐食雰囲気での使用上故障
し易いという問題がある。
【0005】一方、ヒュームドシリカと湿潤空気を向流
接触させて脱酸する方法も知られている(特公昭48−
13832号公報)。しかし、この方法は機械的可動部
分が高温・酸性腐食雰囲気中に設けられることがなく、
装置的にも簡便なものであるが、この方法では脱酸と同
時に粗粒分離ができず、効率的でない上、処理温度もや
や高いという問題がある。この場合、上記特公昭48−
13832号公報には並流渦動層を用いた例が比較例と
して挙げられているが、この並流渦動層の温度は600
〜800℃とされており、非常な高温を必要とするもの
であり、装置の材質や熱源も限られ、実用的でない。
【0006】本発明は上記事情を改善するためになされ
たもので、装置的に簡便な流動層方式を用い、順流の流
動層内で比較的低温において脱酸することができ、しか
も同時に粗粒分離を行うことも可能な微細シリカの精製
法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者は、上
記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、水蒸気の
割合を多くして順流の流動層を形成することにより、比
較的低温で脱酸し得ること、より詳細には、水蒸気単独
又は空気と水蒸気とを前者1に対して後者0.5以上の
容量比で使用すると共に、ガス線速を1〜10cm/秒
として微細シリカと順流の流動層を形成した場合、流動
層の温度を250〜600℃としても良好な脱酸処理が
行われ、流動層でのシリカ凝集がみかけ上小さくなり、
シリカ表面からの脱酸用ガス(水蒸気)へのハロゲン化
物の拡散が促進され、効率のよい処理が行われることを
知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0008】従って、本発明は、微細シリカと、空気
と、水蒸気とを空気1に対し水蒸気を0.5以上の容量
比となるように流動層形成用管の下部から上部に向けて
連続的に導入し、この管内にガス線速が1〜10cm/
秒で温度が250〜600℃の流動層を形成し、この流
動層内で上記微細シリカに存在するハロゲン化物を水蒸
気により脱離すると共に、このハロゲン化物が脱離され
た微細シリカを上記管の上部から取り出すことを特徴と
する微細シリカの精製法、及び、微細シリカと、水蒸気
とを流動層形成用管の下部から上部に向けて連続的に導
入し、この管内にガス線速が1〜10cm/秒で温度が
250〜600℃の流動層を形成し、この流動層内で上
記微細シリカに存在するハロゲン化物を水蒸気により脱
離すると共に、このハロゲン化物が脱離された微細シリ
カを上記管の上部から取り出すことを特徴とする微細シ
リカの精製法を提供する。
【0009】以下、本発明につき更に詳述すると、本発
明の微細シリカの精製法は、例えば図1に示した流動層
形成用管1を使用し、その下部からヒュームドシリカ等
の微細シリカAと、空気B及び水蒸気C又は水蒸気Cと
を上方に向うように導入し、上記管1内に順流の流動層
2を形成し、管1の上部から処理(脱酸)された微細シ
リカA’を取り出すようにしたものである。
【0010】この場合、流動層2を形成するためのガス
は、水蒸気のみでもよいが、通常は空気と水蒸気が用い
られる。
【0011】微細シリカを上記管1の下部に導入する方
法としては、気流輸送などの公知の方法が採用し得る
が、通常空気Bに搬送して導入する方法が採用される。
微細シリカの導入量は適宜選定されるが、流動層2中に
0.0002〜0.02g−シリカ/cc、特に0.0
01〜0.01g−シリカ/cc存在するように導入す
ることが、効率のよい処理を達成する点から推奨され
る。
【0012】一方、流動層2を形成し、微細シリカを処
理するためのガスとして、図1に示したように、空気と
水蒸気とを管1の下部から導入する。この場合、本発明
においては、水蒸気の割合を多くするもので、水蒸気の
量は、上記微細シリカを搬送、導入するために空気を用
いた場合は、この空気をも含めた全空気1容量に対し、
全水蒸気量を0.5容量以上、好ましくは0.8容量以
上、更に好ましくは1容量以上、最も好ましくは1容量
を越えた値とする。即ち、空気:水蒸気=1:0.5以
上の容量比のガスで流動層2を形成するものである。水
蒸気量が上記割合より少ないと、脱酸処理が良好に行わ
れず、また流動層の温度を高温にする必要が生じる。
【0013】流動層2は、水蒸気又は空気と水蒸気とか
らなる流動層形成用ガスの線速(後者の場合、空気と水
蒸気とを合せた線速)が1〜10cm/秒、好ましくは
3〜5cm/秒となるように形成される。線速が上記範
囲より小さいと十分な流動状態が得られず、上記範囲よ
り速いと微細シリカの飛散が生じ、好ましくない。
【0014】また、流動層2は、その温度を250〜6
00℃、好ましくは250〜500℃の範囲に維持す
る。250℃より低温であると、脱酸速度が非常に遅
く、処理に長時間必要となって、実用に耐えない。
【0015】600℃より高温であると、流動層形成用
管1の材質や熱源、更にエネルギーコスト上の支障が生
じる。
【0016】即ち、例えば流動層形成用管の材質として
アルミニウムを用いる場合、アルミニウムの融点は66
0℃であるため、600℃、特に局部的なスーパーヒー
トを考慮すれば500℃で運転し得ることが求められ
る。また、350℃以下で脱酸できれば炭化水素系の熱
媒体を使用し得、これは無機塩類を熱媒体に用いたり電
気加熱を行うよりも、操作上の面倒もなく、設備費も低
減するものであるが、本発明においては、350℃以下
の運転が可能であるため、これらの点の効果も大きく、
またエネルギーコストを低減できるものである。
【0017】なお、上記流動層温度を維持するため、上
記管1の少なくとも流動層2形成部分は上記温度に加
熱、保持することが推奨され、またこの管1内に導入す
る空気及び水蒸気も予熱しておくことが推奨される。こ
こで、図1において、3は予熱器を示す。
【0018】本発明においては、上記のようにして形成
された流動層2内で微細シリカの脱酸処理が行われ、微
細シリカに吸着されているハロゲン化水素等のハロゲン
化物が水蒸気で捕捉される。この場合、処理時間は0.
5〜120分、特に1〜20分であることが好ましい。
本発明では、かかる処理により、ハロゲン量が20pp
m以下の精製シリカを容易かつ確実に製造することがで
きる。
【0019】このようにして処理されて得られた脱酸・
精製シリカA’は、上記管1の上部より取り出され、ま
た水蒸気又は空気と水蒸気を主体とする排気ガスDは管
1の上端部より排出される。
【0020】この場合、シリカの飛散を防止し、粉体面
を安定化させるため、図示したように、管1の流動層2
形成部より上方を大径に形成して脱塵部4を形成するこ
とが好ましい。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、簡便な装置を用い、低
エネルギーコストでハロゲン化物が確実に脱離した精製
微細シリカを容易に得ることができる。
【0022】また、本発明による脱酸方法によれば、脱
酸と同時に上部排出口に到達しない粗粒子と、排出管よ
り流出する微細粒子が分離されるという利点も有する。
【0023】
【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるも
のではない。
【0024】〔実施例1〕内径8cmの流動層形成部を
有する図1に示す如き管を使用し、該流動層形成部を3
00℃に保持した。この管内の下部から、火炎加水分解
して得られたヒュームドシリカ(比表面積195m2
g,Cl含有量1162ppm)を140g/h、30
0℃に予熱した空気、0.15Nm3 h、300℃に
予熱した水蒸気0.15Nm3 hを連続的に導入し、
上記管内に線速度3.4cm/秒、温度300℃の流動
層を形成し、ヒュームドシリカの脱酸処理を行った。な
お、上記空気の一部はヒュームドシリカの管内への導入
に使用した。また、精製されたヒュームドシリカは、管
上部で排ガスと分離して抜き出された。
【0025】上記脱酸処理の時間は7分であり、この処
理によりヒュームドシリカのCl含有量は14ppmと
なり、十分脱酸されていることが認められる。
【0026】〔実施例2〕流動層を500℃に保持し、
ヒュームドシリカの導入量を280g/h、空気を0.
15Nm3 h、水蒸気を0.15Nm3 hとし、処理
時間を3分とした以外は実施例1と同様に操作した。そ
の結果、精製されたヒュームドシリカのCl含有量は6
ppmに低減した。
【0027】〔比較例〕流動層を300℃に保持し、ヒ
ュームドシリカの導入量を140g/h、空気を0.2
5Nm3 h、水蒸気を0.05Nm3 hとし、処理時
間を7分とした以外は実施例1と同様に操作した。その
結果、精製されたヒュームドシリカのCl含有量は68
ppmであり、脱酸が十分でないことが認められた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に用いる装置の該略図である。
【符号の説明】
1 流動層形成用管 2 流動層 3 予熱器 4 脱塵部 A 微細シリカ A’ 脱酸された微細シリカ B 空気 C 水蒸気 D 排ガス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 白砂 潔 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越化 学工業株式会社群馬事業所内 (72)発明者 上野 進 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越化 学工業株式会社群馬事業所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微細シリカと、空気と、水蒸気とを空気
    1に対し水蒸気を0.5以上の容量比となるように流動
    層形成用管の下部から上部に向けて連続的に導入し、こ
    の管内にガス線速が1〜10cm/秒で温度が250〜
    600℃の流動層を形成し、この流動層内で上記微細シ
    リカに存在するハロゲン化物を水蒸気により脱離すると
    共に、このハロゲン化物が脱離された微細シリカを上記
    管の上部から取り出すことを特徴とする微細シリカの精
    製法。
  2. 【請求項2】 微細シリカと、水蒸気とを流動層形成用
    管の下部から上部に向けて連続的に導入し、この管内に
    ガス線速が1〜10cm/秒で温度が250〜600℃
    の流動層を形成し、この流動層内で上記微細シリカに存
    在するハロゲン化物を水蒸気により脱離すると共に、こ
    のハロゲン化物が脱離された微細シリカを上記管の上部
    から取り出すことを特徴とする微細シリカの精製法。
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