JPH0792592A - ハロゲン化銀写真乳剤の製造方法及び該乳剤を用いたハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀写真乳剤の製造方法及び該乳剤を用いたハロゲン化銀写真感光材料

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JPH0792592A
JPH0792592A JP23985693A JP23985693A JPH0792592A JP H0792592 A JPH0792592 A JP H0792592A JP 23985693 A JP23985693 A JP 23985693A JP 23985693 A JP23985693 A JP 23985693A JP H0792592 A JPH0792592 A JP H0792592A
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emulsion
silver
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halide photographic
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Tetsuya Suzuki
哲也 鈴木
Yoshihiro Haga
義広 羽賀
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 セーフライトに対するカブリ性が少なく、か
つ高感度なハロゲン化銀写真感光材料の提供。 【構成】 (1)アンモニア性硝酸銀溶液を用いて2枚以
上の互いに平行な双晶面を有する種乳剤を成長させるハ
ロゲン化銀写真乳剤の製造方法において、該ハロゲン化
銀乳剤の成長工程開始時から、供給銀量の少なくとも20
%を供給するまではpH9.00以上で成長させることを特
徴とするハロゲン化銀写真乳剤の製造方法。 (2)上記の(1)項に記載のハロゲン化銀写真乳剤を少なく
とも1層有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光
材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はセーフライト(暗室内で
用いる安全光)によるカブリの発生が少ない高感度ハロ
ゲン化銀写真感光材料のためのハロゲン化銀写真乳剤の
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に高感度のハロゲン化銀写真乳剤を
得るためには、ハロゲン化銀粒子の体積を大きく保つこ
とが重要とされている。従来から、短時間に大粒径のハ
ロゲン化銀粒子を得る方法として、ハロゲン化銀溶媒で
あるアンモニアを用いる方法が広く知られている。
【0003】しかしながら該方法はpHを下げるとその
効果がなく、pHを高くしないと十分な効果が得られな
い。そのため高pH領域に於いては粒子形成中に小さな
銀核が形成され、その一部が電子トラップとして作用
し、表面を化学増感した場合、表面の感光核と電子捕獲
競争をして表面感度を低下する原因となる。さらに該銀
核はカブリ核としても作用しカブリレベルを高くするな
どの問題を有する。
【0004】又、反応容器中の溶液にアンモニアを存在
させて硝酸銀水溶液とアルカリハライド水溶液を添加し
た場合は、アンモニア使用量が微量であっても大きなカ
ブリを生じてしまう。この原因は硝酸銀水溶液が反応溶
液に添加された瞬間、局所的に銀イオンが高濃度となっ
て酸化銀が生成し、これが還元されて金属銀となり、カ
ブリ核になるものと考えられる。
【0005】そのため、局所的な銀イオンの高濃度領域
を除く、ひとつの方法として例えば特開昭58-49938号で
はアンモニア性硝酸銀の使用を開示している。
【0006】しかしながら該方法は硝酸銀水溶液にアン
モニア水溶液を当量以上加え、銀-アンミン錯体とする
方法である。この方法によれば添加された瞬間には銀-
アンミン錯体が圧倒的に多く、遊離の銀イオン濃度は硝
酸銀水溶液が直接添加されるよりはるかに低く、従って
カブリの発生が抑えられることを開示している。
【0007】一方、近年において平板状双晶粒子が開発
され、該粒子が単位体積当たりの受光面積や分光増感色
素の吸着量が大きいなどの理由から高感度化が得られる
粒子として注目されている。
【0008】しかし、このような特長を有する平板状ハ
ロゲン化銀粒子を、アンモニア法によって調製する乳剤
の製造技術の開示例は非常に少ない。その理由はアンモ
ニウムイオンの作用により(100)面を主とした立方体型
のハロゲン化銀粒子になり易く、(111)面を主とした平
板状粒子は得られにくいためと考えられる。
【0009】なお、該平板状粒子にコア/シェル構造を
持たせようとした場合には、粒子厚みが増加したり、高
沃度部形成領域において好ましからぬ小粒子が生成した
りして、コア/シェル型平板状ハロゲン化銀粒子を得る
ことも困難であるのが現状であった。
【0010】さらに本発明者の検討によれば、アンモニ
ア法で調製した平板状粒子は潜像分散が生じ易く撮影後
に潜像が退行し易いこと、及び暗室内での安全光(セー
フライト)によりカブリ易いことが見い出され、実用上
からも問題を有していた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、従来の平板状ハロゲン化銀粒子の特長を有し、かつ
セーフライトに対する安全性の優れた高感度ハロゲン化
銀写真感光材料に関し、詳しくは、そのような性能を有
したハロゲン化銀写真感光材料のためのハロゲン化銀写
真乳剤の製造方法及びハロゲン化銀写真感光材料を提供
することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の問題点は下記の本
発明によって解決された。即ち、 (1)アンモニア性硝酸銀溶液を用いて2枚以上の互いに
平行な双晶面を有する種乳剤を成長させるハロゲン化銀
写真乳剤の製造方法において、該ハロゲン化銀乳剤の成
長工程開始時から、供給銀量の少なくとも20%を供給す
るまではpH9.00以上で成長させることを特徴とするハ
ロゲン化銀写真乳剤の製造方法。
【0013】(2)上記の(1)項記載のハロゲン化銀写真乳
剤を少なくとも1層有することを特徴とするハロゲン化
銀写真感光材料によって解決された。
【0014】以下、本発明を詳述する。
【0015】本発明に係るアンモニア性硝酸銀水溶液
は、硝酸銀に当量以上のアンモニアを添加し銀-アンミ
ン錯体を形成させたものであり、アンモニアの塩基解離
によりpHは11以上となる。
【0016】本発明ではハロゲン化銀粒子の成長工程の
開始時から供給銀量の少なくとも20%を供給するまでは
pHを9.00以上で成長させるものであり、好ましくは9.2
0以上、より好ましくは9.50以上で成長させることであ
る。本発明で言うハロゲン化銀粒子の成長工程とは、例
えばハロゲン化銀種結晶上にハロゲン化銀を析出させる
方法にて成長させる工程を指す。
【0017】ハロゲン化銀種粒子を成長させる工程で
は、ハロゲン化銀の沈澱中或いはオストワルド熟成中の
pAg、pH、温度、ハロゲン化銀溶剤の濃度及びハロゲ
ン化銀組成、銀塩及びハロゲン化物溶液の添加速度をコ
ントロールして成長させてもよい。
【0018】本発明ではこのような種粒子成長工程時の
開始時から供給銀量の少なくとも20%を供給するまでは
pHを9.00以上にするものであり、具体的には上述の種
粒子を成長させるために、アンモニア性硝酸銀溶液とハ
ライド水溶液を種粒子に添加することによりハロゲン化
銀を沈澱させる工程の初期のpH値を指す。従ってアン
モニア性硝酸銀溶液の総量の少なくとも20%以上が供給
され終わるまでの工程のpHが9.00以上であることが好
ましい。特に好ましく30%以上、が供給され終わるまで
の工程より好ましくは40%以上が供給され終わるまでの
工程のpHが9.00以上であることが好ましい。
【0019】本発明における双晶とは、一つの粒子内に
一つ以上の双晶面を有するハロゲン化銀結晶を意味する
が、双晶の形態の分類はクラインとモイザーによる報文
「Phtographische Korrespondenz 99巻,99頁、同100巻,
57頁に詳しく述べられている。本発明に係る種乳剤は2
枚以上の互いに平行な双晶面を有する。
【0020】本発明のハロゲン化銀乳剤は、主として2
枚以上の互いに平行な双晶面を有するものであることが
好ましく、より好ましくは偶数枚、特に好ましくは2枚
の双晶面を有するものである。
【0021】本発明において、2枚以上の互いに平行な
双晶面を有するとは、2枚以上の平行な双晶面を有する
双晶粒子数が大粒径粒子から数えたとき個数にして50%
以上、好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上で
ある。
【0022】本発明に係る双晶は{111}面から成るも
の、{100}面から成るもの、或は両者より成るもので
あることが好ましい。
【0023】平板状ハロゲン化銀双晶粒子の平均粒径は
0.3〜3.0μmが好ましく、特に好ましくは0.5〜1.5μmで
ある。
【0024】本発明に係る平板状ハロゲン化銀双晶粒子
は、粒子直径/厚さ(アスペクト比と呼ぶ)の平均値
(平均アスペクト比と呼ぶ)が1.2以上であり、好まし
くは1.5〜20.0で、特に好ましくは2.0〜10.0である。
【0025】本発明に係る平板状ハロゲン化銀双晶粒子
の平均厚さは1.0μm以下が好ましく、特に好ましくは0.
5μm以下であり、更に好ましくは、0.3μm以下である。
【0026】かかる平板状ハロゲン化銀双晶粒子の利点
は、分光増感効率の向上、画像の粒状性及び鮮鋭性の改
良などが得られるとして例えば、英国特許2,112,157
号、米国特許4,439,520号、同4,433,048号、同4,414,31
0号、同4,434,226号などに開示されており、乳剤はこれ
ら明細書記載の方法により調製することができる。
【0027】本発明において、平板状ハロゲン化銀双晶
粒子の直径は、ハロゲン化銀粒子の電子顕微鏡写真の観
察から粒子の投影面積に等しい面積を有する円の直径と
して定義される。
【0028】本発明において、平板状ハロゲン化銀双晶
粒子の厚さは、平板状ハロゲン化銀粒子を構成する二つ
の平行な主平面の距離のうち最小のものと定義される。
【0029】平板状ハロゲン化銀双晶粒子の厚さは、ハ
ロゲン化銀粒子の影の付いた電子顕微鏡写真又はハロゲ
ン化銀乳剤を支持体に塗布し乾燥したサンプル断層の電
子顕微鏡写真から求めることができる。
【0030】平均アスペクト比を求めるためには、最低
100サンプルの測定を行う。
【0031】本発明のハロゲン化銀乳剤において、平板
状ハロゲン化銀双晶粒子が全ハロゲン化銀粒子に占める
割合は50%以上であり、好ましくは60%以上、特に好ま
しくは70%以上である。
【0032】本発明に係る平板状ハロゲン化銀双晶乳剤
は単分散であることが好ましく、ここで単分散であるこ
とは、粒径の変動係数(粒径の標準偏差/平均粒径×10
0)が25%以下であり、好ましくは20%以下、特に好ま
しくは15%以下であることを言う。
【0033】本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、塩化
銀、臭化銀、沃化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀
等ハロゲン組成は任意であるが、高感度という点から沃
臭化銀が好ましく、平均沃化銀含有率は、0.1〜4.0モル
%であって特に好ましくは0.5〜3.0モル%である。さら
に迅速処理性という点から塩沃臭化銀を用いることもで
きる。
【0034】塩沃臭化銀を用いた場合の塩化銀は、粒子
中いずれの部位に含有されてもよいが、特に最表面また
はその近傍に塩化銀を偏在させることが好ましい。
【0035】又、本発明に係る平板状ハロゲン化銀乳剤
は、ハロゲン組成が粒子内で均一であってもよく、さら
に沃化銀が局在したものであってもよいが、中心付近に
局在したものが好ましく用いられる。平板状ハロゲン化
銀乳剤の製造方法は、特開昭58-113926号、同58-113927
号、同58-113934号、同62-1855号、ヨーロッパ特許219,
849号、同219,850号等を参考にすることもできる。又、
単分散性の平板状ハロゲン化銀乳剤の製造方法として、
特開昭61-6643号を参考にすることができる。
【0036】高アスペクト比を持つ平板状の沃臭化銀乳
剤の製造方法としては、pBrが2以下に保たれたゼラチ
ン水溶液に硝酸銀水溶液を添加するか又は硝酸銀水溶液
とハロゲン化物水溶液を同時に添加して双晶種粒子を発
生させ、次にダブルジェット法により成長させることに
よって得ることができる。平板状ハロゲン化銀粒子の大
きさは、粒子形成時の温度、銀塩及びハロゲン化物水溶
液の添加速度などによってコントロールできる。
【0037】本発明に係るハロゲン化銀乳剤の平均沃化
銀含有率及び平均塩化銀含有率は、添加するハロゲン化
物水溶液の組成すなわち臭化物と沃化物及び塩化物の比
を変えることによりコントロールすることができる。
又、本発明のハロゲン化銀乳剤の製造時に、必要に応じ
てアンモニア以外のチオエーテル、チオ尿素等のハロゲ
ン化銀溶剤を用いることができる。
【0038】乳剤は可溶性塩類を除去する(脱塩処理工
程)のためにヌードル水洗法、フロキュレーション沈降
法などの水洗方法がなされてよい。好ましい水洗法とし
ては、例えば特公昭35-16086号記載のスルホ基を含む芳
香族炭化水素系アルデヒド樹脂を用いる方法、又は特開
昭63-158644号記載の凝集高分子剤例示G3、G8など
を用いる方法が特に好ましい脱塩法として挙げられる。
【0039】本発明のハロゲン化銀乳剤には、粒子形成
中にハロゲン化銀微粒子乳剤を添加することが好まし
い。
【0040】ハロゲン化銀微粒子を添加する際の本発明
に係る乳剤の温度は、30〜80℃の範囲が好ましく、さら
には40〜65℃の範囲が特に好ましい。
【0041】ハロゲン化銀微粒子としては、塩化銀、臭
化銀、沃化銀、塩臭化銀、沃塩化銀、沃臭化銀、塩沃臭
化銀などを挙げられるが、なかでも臭化銀、沃化銀が好
ましい。これらのハロゲン化銀微粒子の粒径は0.12μm
以下が好ましく0.09μm以下がさらに好ましく、0.06μm
以下が特に好ましい。
【0042】本発明に沃化銀微粒子を用いた場合、沃化
銀に関しては一般に立方晶系のγ型-AgIと六方晶系の
β型AgIとが知られているが、いずれの結晶構造であ
ってもよく、又、これらの混合物であってもよい。
【0043】本発明に臭化銀、塩化銀又はこれら岩塩構
造を主とする固溶体例えばAgBr9010のような微粒子
を用いた場合、これらの微粒子は実質的に双晶面を有し
ない無双晶、いわゆる正常晶か又は双晶面を一枚有する
一重双晶であることが好ましい。
【0044】本発明で用いられるハロゲン化銀微粒子
は、単分散性が良好であることが好ましく、ダブルジェ
ット法により温度、pH、pAgを抑制しながら調整する
ことが好ましい。
【0045】ハロゲン化銀微粒子の添加量としては、本
発明に係るハロゲン化銀粒子の平均粒径をd(μm)と
したとき、本発明の乳剤1モル当たり1/100dモル以
下が好ましく、更には本発明の乳剤1モル当たり1/20
000d〜1/300dモルの範囲が好ましく、最も好ましく
は、本発明の乳剤1モル当たり1/5000d〜1/500d
モルである。
【0046】ハロゲン化銀微粒子の添加時期は、粒子形
成工程中であればいづれでもよいが、好ましくは種乳剤
の成長工程での添加である。
【0047】特にpH9.00以上の粒子形成工程領域で添
加することが好ましい。
【0048】ハロゲン化銀微粒子の添加は、意図する粒
子内部の組成を作るために時間間隔をとって数回に分け
て行ってもよい。
【0049】ハロゲン化銀微粒子を添加する際の本発明
に係る乳剤の温度は、30〜85℃の範囲が好ましく、更に
は40〜60℃の範囲が特に好ましい。
【0050】また、本発明は添加するハロゲン化銀微粒
子が添加後、一部もしくは全部が消失する条件で実施さ
れることが好ましい。
【0051】本発明のハロゲン化銀乳剤は、化学増感
(化学熟成)される。化学熟成の温度は任意に決められる
が好ましくは20〜80℃でよく、好ましくは30〜70℃の範
囲でよく、より好ましくは35〜65℃である。化学増感法
としてはカルコゲン増感法、金増感法などの貴金属増感
法などがあるが、硫黄増感と金増感法を併用するのが特
に好ましい。
【0052】硫黄増感には増感剤として例えばチオ硫酸
塩、アリルチオカルバミドチオ尿素、アリルイソチアシ
アネート、シスチン、p-トルエンチオスルホン酸塩、ロ
ーダニンなどが挙げられる。その他米国特許1,574,944
号、同3,656,955号、ドイツ特許1,422,869号、特公昭56
-24937号、特開昭55-45016号などに記載されている硫黄
増感剤も用いることができる。硫黄増感剤の添加量は乳
剤の感度を効果的に増大させるに十分な量でよい。この
量はpH、温度、ハロゲン化銀粒子の大きさなど種々の
条件下で広範囲に変化できるが、目安としては本発明に
係るハロゲン化銀乳剤の、銀1モル当たり5×10-8〜5
×10-5モルが好ましい。
【0053】金増感には、金増感剤として例えば塩化金
酸塩、金チオ尿素錯塩、カリウムクロロオーレート、オ
ーリックトリクロライド、カリウムオーリックチオシア
ネート、カリウムヨードオーレート、テトラシアノオー
リックアミド、アンモニウムオーロチオシアネート、ピ
リジルトリクロロゴールドなどが挙げられる。これら金
増感剤の添加量は種々の条件下で広範囲に変化できるが
目安としては、本発明のハロゲン化銀乳剤の銀1モル当
たり5×10-7〜5×10-3モルが好ましく、2×10-6〜4
×10-4モルが更に好ましい。
【0054】本発明のハロゲン化銀粒子には、周期律表
第VIII族金属を含有させることができる。
【0055】周期律表第VIII族金属をハロゲン化銀粒子
中に含有させるには、通常、その金属化合物として親粒
子形成時に存在させればよく、ラッシュ添加、連続添加
又は数回に分割して添加してもよい。
【0056】又、水溶性銀塩及び/又は水溶性ハライド
溶液にあらかじめ添加しておき、これらの水溶液を用い
てハロゲン化銀粒子を沈澱せしめる方法も好ましい。
【0057】周期律表第VIII族金属の化合物とは、鉄、
イリジウム、白金、パラジウム、ニッケル、ロジウム、
オスシウム、ルテニウム、コバルトから誘導される金属
化合物を指す。もちろんこれら金属化合物としてだけで
なく、その金属イオン及び金属原子として本発明に係る
ハロゲン化銀粒子に含有されてもよい。
【0058】本発明のハロゲン化銀乳剤の粒子内部に
は、還元増感処理を施すこともできる。
【0059】還元増感は、還元性化合物を添加する方
法、銀熟成と呼ばれるpAg=1〜7の銀イオン過剰状態
を経過させる方法、高pH熟成と呼ばれるpH=8〜11の
高pH状態を経過させる方法などによってハロゲン化銀
乳剤に施される。またこれら2つ以上の方法を併用する
こともできる。
【0060】還元性化合物を添加する方法は、還元増感
の程度を微妙に調節できる点で好ましい。
【0061】還元性化合物としては、無機または有機化
合物のいずれでも良く、二酸化チオ尿素、第一錫塩、ア
ミン及びポリアミン類、ヒドラジン誘導体、ホルムアミ
ジンスルフィン酸、シラン化合物、ボラン化合物、アス
コルビン酸及びその誘導体、亜硫酸塩などが挙げられ、
特に好ましくは二酸化チオ尿素、塩化第一錫、ジメチル
アミンボランが挙げられる。これら還元性化合物の添加
量は、その化合物の還元性及びハロゲン化銀の種類、溶
解条件等の乳剤製造条件によって異なるが、ハロゲン化
銀1モル当たり1×10-8〜1×10-2モルの範囲が適当で
ある。これらの還元性化合物は、水あるいはアルコール
類などの有機溶媒に溶解させ、ハロゲン化銀粒子の成長
中に添加することが好ましい。
【0062】本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、物理熟
成又は化学熟成前後の工程で、各種の写真用添加剤を用
いることができる。このような工程で使用される化合物
としては例えば、前述の(RD)No.17643、(RD)No.18716及
び(RD)No.308119(1989年12月)に記載されている各種の
化合物を用いることができる。これら3つの(RD)リサー
チ・ディスクロージャーに記載されている化合物種類と
記載箇所を下記に掲載した。
【0063】 添加剤 RD-17643 RD-18716 RD-308119 頁 分類 頁 頁 分類 化学増感剤 23 III 648 右上 996 III 増感色素 23 IV 648〜649 996〜8 IVA 減感色素 23 IV 998 IVB 染料 25〜26 VIII 649〜650 1003 VIII 現像促進剤 29 XXI 648右上 カブリ抑制剤・安定剤 24 IV 649右上 1006〜7 VI 増白剤 24 V 998 V 硬膜剤 26 X 651左 1004〜5 X 界面活性剤 26〜27 XI 650右 1005〜6 XI 可塑剤 27 XII 650右 1006 XII スベリ剤 27 XII マット剤 28 XVI 650右
1008〜9 XVI バインダー 26 XXII 1003〜4 IX 支持体 28 XVII 1009 XVII 本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用いられる支持体
としては、例えば上記の(RD)17643の28頁及び(RD)30811
9の109頁に記載されているものが挙げられ、適当な支持
体としてはポリエチレンテレフタレートフィルムなど
で、これら支持体表面は塗布層の接着性をよくするため
に下引き層を設けたりコロナ放電や紫外線照射などが施
されてもよい。
【0064】
【実施例】以下、本発明を実施例にて説明するが本発明
はこれらに限定されるものではない。
【0065】実施例1 <双晶種乳剤Em−0の調製> A オセインゼラチン 24.2g HO(CH2CH2O)m-(CH{CH3}CH2O)17-(CH2CH2O)nH (m+n≒5.7) (10%メタノール溶液) 6.78ml 蒸留水 9657ml KBr 10.8g 10%硝酸 114ml B 2.5N 硝酸銀水溶液 2825ml C KBr 824g KI 23.5g 蒸留水 2825ml D 1.75N KBr水溶液 下記銀電位制御量 35℃で特公昭58-58288号、同58-58289号明細書に示され
る混合撹拌機を用いて溶液Aに溶液B及び溶液Cの各々
464.3mlを同時混合法により2分を要して添加し、核形
成を行った。
【0066】溶液B及び溶液Cの添加を停止した後、60
分の時間を要して溶液Aの温度を60℃に上昇させ、3%
KOHでpHを5.0に合わせた後、再び溶液Bと溶液Cを同
時混合法により、各々55.4ml/minの流量で42分間添加
した。この35℃から60℃への昇温及び溶液B、Cによる
再同時混合の間の銀電位(飽和銀-塩化銀電極を比較電極
として銀イオン選択電極で測定)を溶液Dを用いてそれ
ぞれ+5mv及び+12mvになるよう制御した。
【0067】添加終了後3%KOHによってpHを6に
合わせ直ちに脱塩、水洗を行った。この種乳剤Em−0
は、ハロゲン化銀粒子の全投影面積の90%以上が最大隣
接辺比が1.0〜2.0の六角平板粒子よりなり、六角平板粒
子の平均厚さは0.05μm、平均直径(円直径換算)は0.55
μmであることが電子顕微鏡により判明した。さらに粒
子の切断面の電子顕微鏡写真から2枚の平行な双晶面を
有していることが判明した。
【0068】 <種乳剤の成長> 〔乳剤No.1の調製〕 A オセインゼラチン 40g HO(CH2CH2O)m-(CH{CH3}CH2O)17-(CH2CH2O)nH (m+n≒5.7) (10%メタノール溶液) 4.2ml 28%アンモニア水 370ml 56%酢酸 270ml 蒸留水 2900ml B 硝酸銀 3423g 28%アンモニア水 2790ml 蒸留水 3580ml C オセインゼラチン 24g 臭化カリウム 2430g 蒸留水 3900ml 40℃で激しく撹拌したA液(pH9.00に調整)に、種乳剤
Em−0を銀にして1.04モル相当入れ、さらに水を加え
て全反応溶液を4200mlとした。
【0069】種乳剤をよく分散させ溶液Bと溶液Cを、
106分間かけてコントロールダブルジェット法にて添加
した。この間添加開始時のpHは9.00であり、添加終了
時8.00となるように酢酸で調整した。pAgは8.00になる
よう3.5N KBr液で終始保持した。
【0070】添加終了後、ただちにpHを6.00に調整して
から、過剰の塩類を除去するために、デモールN(花王
アトラス社製)水溶液及び硫酸マグネシウム水溶液を用
いて沈殿脱塩を行ってから、追加ゼラチンを加えて、50
℃でpAg8.5、pH5.85で再分散した。得られた乳剤を電
子顕微鏡で観察したところ立方型の粒子であり、1辺は
0.96μmであった。この乳剤を乳剤No.1とした。
【0071】〔乳剤No.2の調製〕前記の種乳剤の成長
において、溶液AのpHを9.85となるように56%の酢酸
を270mlから90mlに変更し、種乳剤添加分散後、さらにp
Hを9.85に調整した。
【0072】溶液BとCの添加開始時のpHは9.85であ
り、添加終了時は8.00となるように酢酸で調整した以外
は前記乳剤No.1と同様にして乳剤No.2を得た。なおp
H9.00には、溶液Bの40%が添加終了時であった。得ら
れた乳剤を電子顕微鏡で観察したところ主平面が六角形
をした平均粒径0.98μm、粒径の変動係数17%、平均の
厚さ0.32μm、平均アスペクト比が3.3であった。
【0073】 〔乳剤No.3の調製〕 A オセインゼラチン 102g HO(CH2CH2O)m-(CH{CH3}CH2O)17-(CH2CH2O)nH (m+n≒5.7) (10%メタノール溶液) 12.0ml 28%アンモニア水 720ml 56%酢酸 680ml 蒸留水 7200ml B 硝酸銀 1470g 28%アンモニア水 1200ml 蒸留水 2790ml C オセインゼラチン 24g 臭化カリウム 1200g 蒸留水 4350ml 40℃で激しく撹拌したA液(pH9.00に調整)に、種乳剤
Em−0を銀にして0.42モル相当入れ、さらに水を加え
て全反応溶液を8750mlとした。
【0074】種乳剤をよく分散させ溶液Bと溶液Cを、
110分間かけてコントロールダブルジェット法にて添加
した。この間添加開始時のpHは9.00であり、添加終了
時8.00となるように酢酸で調整した。pAgは10.0になる
よう3.5N KBr液で終始保持した。
【0075】乳剤No.1と同様の方法で脱塩水洗し再分
散した。得られた乳剤を電子顕微鏡で観察したところ八
面体型の粒子であり、1辺の長さはは1.23μmであっ
た。
【0076】この乳剤を乳剤No.3とした。
【0077】〔乳剤No.4の調製〕前記乳剤No.3の溶液
AのpHが9.85となるように56%の酢酸を680mlから230m
lに変更し、種乳剤添加分散後、さらにpHを9.85に再調
整した。
【0078】溶液BとCの添加開始時のpHは9.85であ
り、添加終了時は8.00となるように酢酸で調整した以外
は前記乳剤No.3と同様にして乳剤No.4を得た。なお、
pH9.00には、溶液Bの46%添加が終了した時点であっ
た。得られた乳剤を電子顕微鏡で観察したところ主平面
が六角形をした平均粒径1.00μm、粒径の変動係数25
%、平均の厚さ0.31μm、平均アスペクト比が3.3で
あった。
【0079】実施例2 <沃化銀微粒子乳剤の調製>0.13モルの沃化カリウムを含
む5.2重量%のゼラチン溶液13250ml、3.5モルの硝酸銀
と沃化カリウムを含む水溶液を、それぞれ4000mlを一定
流量で35分かけて添加した。この間、温度は40℃に保持
した。得られた沃化銀微粒子の平均粒径は0.043μmでβ
-AgIとγ-AgIの混合物であった。
【0080】〔乳剤No.5の調製〕前記実施例1の乳剤N
o.1において、上記の沃化銀微粒子の1.77モル相当を採
り、40℃に保温しながら溶液Bと溶液Cの添加開始と同
時にトリプルジェット法で添加を開始し、B液及びC液
の50%添加までに沃化銀微粒子が添加終了するようにし
て他は全く同様な方法で乳剤No.5を調製した。沃化銀
微粒子添加終了時のpHは8.50であった。得られた乳剤
は立方体型の粒子であり、1辺の長さはは0.96μmの乳
剤No.1とほぼ同等の粒子であった。
【0081】〔乳剤No.6の調製〕前記実施例1の乳剤N
o.2において、上記の沃化銀微粒子の1.77モル相当を採
り、40℃に保温しながら溶液Bと溶液Cの添加開始と同
時にトリプルジェット法で添加を開始し、B液及びC液
の50%添加までに沃化銀微粒子が添加終了するようにし
て他は全く同様な方法で乳剤No.6を調製した。沃化銀
微粒子添加終了時のpHは9.00であった。得られた乳剤
は主平面が六角形をした平均粒径0.91μm、平均の厚さ
0.34μm、平均アスペクト比が2.7であった。
【0082】〔乳剤No.7の調製〕前記実施例1の乳剤N
o.3において、上記の沃化銀微粒子の1.77モル相当を採
り、40℃に保温しながら溶液Bと溶液Cの添加開始と同
時にトリプルジェット法で添加を開始し、B液及びC液
の50%添加までに沃化銀微粒子が添加終了するようにし
て他は全く同様な方法で乳剤No.7を調製した。沃化銀
微粒子添加終了時のpHは8.50であった。得られた乳剤
は八面体型の粒子であり、1辺の長さは1.24μmの乳剤N
o.5とほぼ同等の粒子であった。
【0083】〔乳剤No.8の調製〕前記実施例1の乳剤N
o.4において、上記の沃化銀微粒子の1.77モル相当を採
り、40℃に保温しながら溶液Bと溶液Cの添加開始と同
時にトリプルジェット法で添加を開始し、B液及びC液
の50%添加までに沃化銀微粒子が添加終了するようにし
て他は全く同様な方法で乳剤No.8を調製した。沃化銀
微粒子添加終了時のpHは9.00であった。得られた乳剤
は主平面が六角形をした平均粒径0.90μm、平均の厚さ
0.35μm、平均アスペクト比が2.6であった。
【0084】<乳剤の化学増感>得られた乳剤No.1〜N
o.8を53℃に撹拌保持しながら化学増感剤として銀1モ
ル当たり塩化金酸1.45mg、チオ硫酸ナトリウム13.8mg及
びチオシアン酸アンモニウム60mgを加えて最適な化学熟
成を行い、4-ヒドロキシ-6-メチル-1,3,3a,7-テトラザ
インデン及び1-フェニル-5-メルカプトテトラゾールの
適量を加えて安定化した。
【0085】化学熟成を施した乳剤No.1〜No.8を後記
した添加剤を加え乳剤層塗布液とした。また同時に後記
の保護層塗布液も調製した。尚、塗布量は片面当たり銀
量が2.0g/m2、ゼラチン付き量は1.95g/m2となるよ
うに2台のスライドホッパー型コーターを用い毎分80m
のスピードで支持体上に両面同時塗布を行い、2分20秒
で乾燥し、それぞれ塗布試料No.1〜No.8を得た。支持
体としてはグリシジルメタクリレート50wt%、メチルア
クリレート10wt%、ブチルメタクリレート40wt%の3種
モノマーからなる共重合体の濃度が10wt%になるように
希釈して得た共重合体水性分散液を下引き液とした175
μmのX線フィルム用の濃度0.15に青色着色したポリエ
チレンテレフタレートフィルムベースを用いた。
【0086】乳剤に用いた添加剤は次のとおりである。
添加量はハロゲン化銀1モル当たりの量で示す。
【0087】 1,1-ジメチロール-1-ブロム-1-ニトロメタン 70mg t-ブチル-カテコール 82mg ポリビニルピロリドン(分子量10,000) 1.0g スチレン-無水マレイン酸共重合体 2.5g ニトロフェニル-トリフェニルホスホニウムクロリド 50mg 1,3-ジヒドロキシベンゼン-4-スルホン酸アンモニウム 2.0g 2-メルカプトベンツイミダゾール-5-スルホン酸ナトリウム 1.5mg
【0088】
【化1】
【0089】 C4H9OCH2CH(OH)CH2N(CH2COOH)2 1g 1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール 15mg ジエチレングリコール 7g デキストラン(平均分子量6万) 600mg ポリアクリル酸ナトリウム(平均分子量3.6万) 2.5g 次に保護層用塗布液として下記を調製した。添加剤は塗
布液1l当たりの量で示す。
【0090】 石灰処理イナートゼラチン 68g 酸処理ゼラチン 2g ソジウム-i-アミル-n-デシルスルホサクシネート 0.3g ポリメチルメタクリレート(面積平均粒径3.5μmのマット剤) 1.1g 二酸化ケイ素粒子(面積平均粒径1.2μmのマット剤) 0.5g ルドックスAM(デュポン社製)(コロイドシリカ) 30g (CH2=CHSO2CH2)2O(硬膜剤) 250mg グリオキザール40%水溶液(硬膜剤) 2.0ml
【0091】
【化2】
【0092】センシトメトリー(写真性能の評価) センシトメトリーは試料を2枚の増感紙NR-160(コニカ
〔株〕製)で挟み、アルミウエッジを介して管電圧80kv
p、管電流100mA、0.05秒間のX線を照射した。次いでロ
ーラ搬送型自動現像機SRX503を用い、現像液及び定着液
SR-DF(いづれもコニカ〔株〕製)で現像定着した。
【0093】処理時間はdry to dryで90秒処理し感度を
求めた。なお処理中の温度は、現像が32℃、定着が33
℃、水洗20℃、乾燥は50℃で処理した。感度はカブリ+
0.5の濃度を与える露光量の逆数で表し、試料No.1の感
度を100とした相対感度で示した。
【0094】セーフライトカブリの評価 特願平3-323175号明細書図1に記載の透過率を有した赤
色フィルターを通して白熱電球光で試料の上方1.2mか
ら30分間照射した後、センシトメトリーと同様の処理方
法で現像処理し、カブリの増加を測定した。値が小さい
ほどセーフライトに対してカブリ発生が少なく優れるこ
とを表す。以上、得られた結果を下記に示す。
【0095】
【表1】
【0096】表から明らかなように、本発明によればセ
ーフライトカブリ性が著しく改善され、かつ高感度で低
カブリのハロゲン化銀写真乳剤が得られることが分か
る。
【0097】
【発明の効果】本発明によりセーフライト(暗室内で用
いる安全光)によるカブリの発生が少ない高感度ハロゲ
ン化銀写真感光材料のためのハロゲン化銀写真乳剤を得
ることが出来た。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アンモニア性硝酸銀溶液を用いて2枚以
    上の互いに平行な双晶面を有する種乳剤を成長させるハ
    ロゲン化銀写真乳剤の製造方法において、該ハロゲン化
    銀乳剤の成長工程開始時から、供給銀量の少なくとも20
    %を供給するまではpH9.00以上で成長させることを特
    徴とするハロゲン化銀写真乳剤の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のハロゲン化銀写真乳剤を
    少なくとも1層有することを特徴とするハロゲン化銀写
    真感光材料。
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