JPH07859B2 - 不良糸除去装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 本発明は、無ひ織機において、不完全な状態でよこ入れ
されたよこ糸を織口から除去するための装置に関する。

従来技術 この種の無ひ織機において、よこ入れが不完全に行われ
たとき、織機は、その不完全なよこ入れ状態を検知し、
よこ止め装置によって、自動的に停止する。この織機の
停止状態で、不完全なよこ糸の抜き取り、すなわち除去
作業が必要となる。

例えば特開昭59-21757号の公報は、その第７図で、よこ
糸を噴射空気流によって、ウエフトローラ（回転体）の
位置まで送り、そのウエフトローラの回転によって、よ
こ糸を巻き取りながら開口中より抜き取ることを開示し
ている。しかし、この従来技術では、噴射空気流によっ
てよこ糸がウエフトローラの位置まで確実に送り込まれ
ず、よこ糸の送りが不確実であること、不完全なよこ糸
の巻き取り後によこ糸の自動排出が困難となること、さ
らに巻き取り時に、よこ糸がよこ入れノズルの側からも
引き出されるため、不良のよこ糸のみの除去が不可能で
あること、などの欠点がある。

発明の目的 ここに、本発明の目的は、不良のよこ糸と、次によこ入
れされるべきよこ入れ用ノズル側のよこ糸と相互に連動
しない状態で、不良のよこ糸を抜き取れるようにし、ま
た不良のよこ糸を従来のように手繰り寄せないで、ある
定位値で確実に抜き取れるようにすることである。

発明の概要 そこで、本発明は、不良のよこ糸、すなわち織口側のよ
こ糸をよこ入れ用ノズル側のよこ糸から分離、すなわち
切断した後、その不良のよこ糸を織り端位置で巻取りな
がら抜き取ることにより、不良のよこ糸の除去作業を狭
い空間で、しかも定位値で確実に行えるようにしてい
る。

実施例の構成 以下、本発明の実施例の構成を図面に基づいて具体的に
説明する。

本発明の不良糸除去装置１は、主要部として、一対の巻
取体２、３、これらを接離させる駆動手段例えば電磁式
のプランジャ４、および一対の巻取体２、３を回転させ
るための回転駆動手段例えばモータ５を備えている。

上記一対の巻取体２、３は、支持アーム６によって、対
向状態で直接、または間接的に支持されている。なお、
この支持アーム６は、よこ入れ用ノズル７の上方でそれ
に平行な軸８によって回動自在に支持されている。

そして、上記電磁式のプランジャ４は、ブラケット９に
より支持アーム６に取付けられており、その可動軸10の
先端部分でその回転軸12およびベアリング11により、巻
取体２を回動自在に支持している。上記プランジャ４の
可動軸10は、回り止め状態になっており、常時後退して
いるが、プランジャ４の作動時に前進し、一方の巻取体
２を他方の巻取体３に圧接させる。

また、他方の巻取体３は、可動軸10および回転軸12と同
一軸線上の回転軸13の部分でベアリング14により、支持
アーム６の軸受部に対し回転自在に支持されている。そ
して上記モータ５は、この回転軸13と同じ軸線上で支持
アーム６に取付けられており、その出力軸15の部分で回
転軸13に連結されている。なお、この巻取体２、３はと
もに円錐台状であるが、いずれか例えば巻取体３は、上
底面、つまり一方の巻取体２と対向する部分でゴムなど
のパッド16を備えている。

さらに、上記支持アーム６は、一対の巻取体２、３の間
に向けて、支持具17により排出用のノズル18を固定的に
支持し、またよこ入れ用ノズル７の部分に設けられたカ
ッタ19と対応するカッタ20を支持している。

そして、上記巻取体２、３は、第２図に示すように、よ
こ入れ用ノズル７とたて糸21の織り端との間に設けられ
る。もちろんよこ糸22は、たて糸21の開口部分によこ入
れ用ノズル７によってよこ入れされ、おさ23によってお
さ打ちされて織布24となる。

発明の作用 次に、本発明の作用を不良糸除去装置１の動作とともに
説明する。

既に述べたように、よこ入れ用ノズル７は、よこ糸22を
引出し、たて糸21の開口中によこ入れする。このよこ入
れ後に、おさ23は、よこ入れ状態のよこ糸22をおさ打ち
し、織布24として織り上げて行く。このとき、よこ糸22
は、図示しないカッターによって、よこ入れ側の織り端
部分で切断される。このような正常な製織中に支持アー
ム６は、第１図で実線で示すように、一対の巻取体２、
３を開放状態のまま後退位置まで移動させ、待機させて
いる。

ところで、よこ入れ不良が発生すると、織機は、そのよ
こ入れ不良の状態を検知し、次のよこ入れを中止した
後、自動的に停止する。その後、織機の主軸は、不良糸
22aを容易に引き出せるように、その織口を開口状態と
なる位相まで逆転し停止する。この状態でよこ入れ不良
のよこ糸22aは、よこ入れ用ノズル７と織布24との間
で、切断されないままの状態で抜き取り作業に備えるこ
とになる。

よこ入れ不良が発生した時点で、支持アーム６は、第１
図で時計方向に回動し、一対の巻取体２、３をよこ入れ
用ノズル７の先端位置、つまりよこ入れ方向の延長線上
まで移動させる。この移動によって、よこ入れ不良の不
良糸22aは、開放状態の一対の巻取体２、３の間に位置
している。この軸８の回転運動は、ロータリアクチユエ
ータやエアーシリンダとクランク機構を組み合わせるこ
とによって実現できる。

この状態で、プランジャ４に起動指令が発せられると、
プランジャ４は、励磁され、その可動軸10を前進させる
ことによって、一方の巻取体２を他方の巻取体３の前面
に押し当てることにより、一対の巻取体２、３の対向
面、つまり巻取体２の円形平たん面とパッド16の平たん
面との間で不良糸22aを把持する。一対の巻取体２、３
が不良糸22aを把持した後、支持アーム６が少しだけ移
動、不良糸22aを、カッタ19、20によって、次によこ入
れされるべき、よこ入れ用ノズル７の側のよこ糸22から
切断分離する。

その後、モータ５は、起動信号を受けて、巻取体３に回
転運動を与える。このときの巻取体３の回転は、接触状
態の巻取体２にも与えられるため、これらの一対の巻取
体２、３は、回転することによって、第３図に示すよう
に、両者で形成される外周の溝部分で、不良糸22aを巻
き付けて行く。この結果、不良糸22aは、織口から引き
抜かれる。

不良糸22aが一対の巻取体２、３の外周に、完全に巻き
取られた時点で、プランジャ４は、可動軸10を後退させ
ることによって、一方の巻取体２を他方の巻取体３から
引き離す。その後、排出用のノズル18は、空気または水
を噴射し、パッド16の上に残っている。巻き付け状態の
不良糸22aを、所定の位置に排出する。この不良糸22aの
排出後、支持アーム６は、再び反時計方向に回動し、一
対の巻取体２、３をもとの後退位置まで移動させ、次の
動作に備える。

このようにして、よこ糸の抜き取り作業が自動的に行わ
れるため、織機は、直ちに起動し得る状態に設定され
る。

発明の変形例 上記実施例は、支持アーム６に往復揺動運動を与えるこ
とにより、一対の巻取体２、３を後退位置から所定の作
業位置まで移動させているが、この一対の巻取体２、３
の移動運動は、支持アーム６を直線方向に移動させるこ
とによっても行える。また、一対の巻取体２、３は、開
放状態のままで、あらかじめ、よこ入れ用ノズル７のよ
こ入れ方向の延長線上で、よこ入れに支障のない位置に
設けてもよい。また上記実施例は、一方の巻取体２に進
退運動を与えているが、この進退運動は、他方の巻取体
３の側に与えられてもよい。また、図示の実施例は、一
方の巻取体２の付勢手段として、電磁式のプランジャ４
を用いているが、このプランジャ４は、空気式のもので
あってもよい。

発明の効果 本発明では、下記の効果が得られる。

まず、第１に、不良糸の抜き取り時に、カッタの切断作
用によって、不良糸につながるよこ糸がよこ入れ用ノズ
ル側のよこ糸から分離した状態で行われるから、一対の
巻取体による不良糸の巻取り過程で、次によこ入れされ
るべきよこ糸がよこ入れ用ノズル内から引き出されず、
次によこ入れされるべきよこ糸に悪い影響が現れない。

第２に、一対の巻取体が同一軸線上の回転軸の周りに回
転自在で、その軸線方向に接離可能な状態で設けられて
おり、不良糸の抜き取り時に、よこ糸が一対の巻取体の
対向面の間で挟持され、この状態で一対の巻取体の回転
運動によって、不良糸が巻取体の外周面に巻き付けなが
ら抜き取られ、その後、一対の巻取体の離間によって開
放されるから、よこ糸の把持、抜き取り、および排出が
確実となる。

第３として、一対の巻取体がよこ入れ用ノズルの先端位
置に予め設定されるか、または後退位置からよこ入れ用
ノズルの先端位置まで支持アームによって移動するた
め、よこ糸を一対の巻取体の間で引き寄せるための案内
手段例えば案内棒（ロッド）や圧縮空気噴射ノズルなど
が必要とされず、したがって構造が簡単であり、また狭
いスペースなどに対する組み込みが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の不良糸除去装置の一部破断正面図、第
２図は同装置の組み込み装置の位置関係を示す平面図、
第３図は巻き取り状態を示す一部破断側面図である。 １……不良糸除去装置、２、３……巻取体、４……プラ
ンジャ、５……モータ、６……支持アーム、７……よこ
入れ用ノズル、18……排出用のノズル、19、20……カッ
タ、21……たて糸、22……よこ糸、22a……不良糸、23
……おさ。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】よこ入れ用ノズルの先端位置で同一軸線上
   の各回転軸を中心として回転自在かつその回転軸の軸線
   方向に接離自在に支持された一対の巻取体と、 この巻取体を回転軸の軸線方向に変位させて一対の巻取
   体を向き合う対向面で接離させる駆動手段と、 一対の巻取体の圧接時にそれらの巻取体を回転させる回
   転駆動源と、 上記よこ入れ用ノズルと一対の巻取体との間でよこ糸を
   切断するカッタと、 を具備し、 よこ入れ不良発生時に、一対の巻取体の対向面間でよこ
   糸を挟み込み、よこ入れ用ノズルと一対の巻取体との間
   でよこ糸をカッタにより切断した後、一対の巻取体を回
   転駆動源によって回転させることにより、圧接状態の一
   対の回転体の外周面でよこ糸に連なる不良糸を巻き取る
   ことを特徴とする不良糸除去装置。
2. 【請求項２】上記一対の巻取体を後退位置からよこ入れ
   用ノズルの先端位置まで移動可能な支持アームにより移
   動自在に支持してなることを特徴とする特許請求の範囲
   第１項記載の不良糸除去装置。
3. 【請求項３】上記駆動手段をプランジャにより構成する
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の不良糸除
   去装置。
4. 【請求項４】一方の巻取体を駆動手段としてのプランジ
   ャに連結し、かつ他方の巻取体を回転駆動源としてのモ
   ータに連結し、これらのプランジャおよびモータをとも
   に支持アームに取り付け、この支持アームを軸によって
   固定部分に対し回動自在に支持してなることを特徴とす
   る特許請求の範囲第１項記載の不良糸除去装置。