JPH0782225A - アミノ酸誘導体及びその用途 - Google Patents

アミノ酸誘導体及びその用途

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JPH0782225A
JPH0782225A JP5228641A JP22864193A JPH0782225A JP H0782225 A JPH0782225 A JP H0782225A JP 5228641 A JP5228641 A JP 5228641A JP 22864193 A JP22864193 A JP 22864193A JP H0782225 A JPH0782225 A JP H0782225A
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compound
amino acid
group
formula
asp
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JP5228641A
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English (en)
Inventor
Naoyuki Nishikawa
尚之 西川
Hiroyuki Komazawa
宏幸 駒澤
Hisashi Okada
久 岡田
Tadashi Inaba
正 稲葉
Ikuo Saiki
育夫 済木
Ichiro Azuma
市郎 東
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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    • Y02P20/55Design of synthesis routes, e.g. reducing the use of auxiliary or protecting groups

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い癌転移抑制活性、細胞接着阻害活性およ
び細胞移動阻害活性を持つアミノ酸誘導体およびそれを
有効成分としてなる癌転移抑制剤、細胞接着阻害剤およ
び細胞移動阻害剤を提供する。 【構成】 下記、一般式(I)で示されるアミノ酸誘導
体、またはその薬理学的に許容される塩、ならびにそれ
を有効成分としてなる癌転移抑制剤、細胞接着阻害剤お
よび細胞移動阻害剤。一般式(I) 【化1】 式中、Xは炭素数1〜3の直鎖または分岐のアルキレン
基、炭素数4〜8の環状アルキレン基あるいはフェニレ
ン基を示し、V、Wは−COOHあるいは−CONH2
を示し、P1、P2はアミノ酸残基あるいはペプチド残基
を示し、R1、R2は水酸基または有機基を示し、R3
4は水素原子あるいはアルキル基を示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高い癌転移抑制効果、
細胞接着阻害活性、および細胞移動阻害活性を示すアミ
ノ酸誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】フィブロネクチンやビトロネクチンは細
胞と細胞外基質の接着に関与する細胞外マトリックス分
子と呼ばれるタンパク質である。最近、これらの相互作
用は一連の細胞表面のレセプターにより仲介されている
ことが明らかとなった。そして、フィブロネクチンの細
胞結合ドメイン中のArg-Gly-Asp配列が認識部位である
ことが明らかにされ(ネイチャー(Nature)、第309巻、3
0頁、1984年)、その細胞受容体の一つがインテグリン
ファミリーに属するVLA−5レセプターであることが
報告されている。さらに、Arg-Gly-Asp配列はビトロネ
クチン等の他の接着性蛋白質にも存在していることが知
られている。また、細胞外マトリックス分子は上記配列
を介して、被接着細胞のレセプターと接合し、その情報
を接着細胞に伝達するといわれている。さらに、ヘパリ
ン、コラーゲン、フィブリン等の生体高分子との結合能
も有し、細胞と間質結合組織との接着、細胞の分化、増
殖に関与しているとも考えられている。
【0003】一方、これらの細胞外マトリックス分子は
癌の転移過程において癌細胞の接着、遊離の制御にも関
与していると予想されている。そこで、認識部位である
Arg-Gly-Asp配列を持つペプチドを用いて癌細胞の転移
を阻害する試みが報告されている。例えばYamadaらは、
フィブロネクチンの接着シグナルであるペンタペプチド
(Gly-Arg-Gly-Asp-Ser)が転移性癌細胞であるB16
−F10メラノーマ細胞の肺への実験的転移を抑制する
ことを示した(サイエンス(Science)、第233巻、467
頁、1986年)。さらに、この配列を有するオリゴペプチ
ドあるいはその繰り返し構造を有するポリペプチドを用
いて、より効率的に癌転移を抑制する方法が開示されて
いる(インターナショナル ジャーナル オブ バイオ
ロジカルマクロモレキュルズ(Int. J. Biol. Macromo
l.) 、第11巻、23頁、1989年、同誌、第11巻、226 頁、
1989年、ジャパン ジャーナル オブ キャンサー リ
サーチ(Jpn. J. Cancer Res.) 第60巻、722 頁、1989
年、特開平2-174798号)。
【0004】しかしながら、Arg-Gly-Asp配列を持つこ
れらのオリゴペプチドの活性は十分ではなく解決すべき
課題として残されていた。
【0005】さらに、エチレンジアミン四酢酸の共存下
においてフィブロネクチン等の細胞接着作用が阻害され
ることが知られていた。しかしながら、エチレンジアミ
ン四酢酸あるいはそのナトリウム塩であるエデト酸二ナ
トリウムの急速な静脈内投与は低カルシウム性テタニ
ー、痙攣等を起こす危険があった。また、これらの薬剤
を長期投与することは潜在毒性が問題で困難と考えられ
ていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高い
癌転移抑制活性、細胞接着阻害活性、および細胞移動阻
害活性を持つアミノ酸誘導体およびそれを有効成分とし
てなる癌転移抑制剤、細胞接着阻害剤、および細胞移動
阻害剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題に対して、本発
明者らはアミノ酸誘導体の探索を行なった結果、従来の
Arg-Gly-Asp-Ser(RGDS)と比較して、非常に高い
癌転移抑制効果を持つ新規アミノ酸誘導体を見出し本発
明を完成するに至った。
【0008】即ち本発明は、1)下記一般式(I)で示
されるアミノ酸誘導体、またはその薬理学的に許容され
る塩および、2)一般式(I)で示されるアミノ酸誘導
体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として
含有する癌転移抑制剤を提供する。一般式(I)
【化2】 式中、Xは炭素数1から3の直鎖または分岐のアルキレ
ン基、炭素数4〜8の環状アルキレン基あるいはフェニ
レン基を示し、置換基、不飽和基を有していてもよい。
Xは存在してもしなくてもよい。好ましいXとしては、
−CH2−、−(CH22−、−CH=CH−、−C
(CH32−、−C64−が挙げられる。特に好ましい
Xは、−CH2−、−(CH22−、−CH=CH−で
ある。Xが存在しないことも好ましい。V、Wは−CO
OHあるいは−CONH2を示す。V、Wは互いに同じ
でも異なっていてもよい。好ましいV、Wは−COOH
である。P1、P2はアミノ酸残基あるいはペプチド残基
を示す。P1、P2は互いに同じでも異なっていてもよ
く、存在してもしなくてもよい。アミノ酸残基であるP
1、P2の好ましい例としてはアスパラギン酸残基、グル
タミン酸残基が挙げられる。また、P1、P2がペプチド
残基である場合、その配列中にアスパラギン酸残基、グ
ルタミン酸残基を含むことが好ましい。R1、R2は水酸
基あるいは有機基を示す。R1、R2は互いに同じでも異
なっていてもよく、好ましくは水酸基を示す。R1、R2
が有機基の場合はメチルアミノ基、t−ブチルアミノ
基、ベンジルアミノ基、およびヘテロ環が好ましい。ま
た、R1が有機基である場合、P1が存在し、そのP1
アスパラギン酸残基あるいはグルタミン酸残基であるこ
とが好ましい。同様に、R2が有機基である場合、P2
存在し、そのP2がアスパラギン酸残基あるいはグルタ
ミン酸残基であることが好ましい。R3、R4は水素原子
あるいはアルキル基を示す。R3、R4は互いに同じでも
異なっていてもよく、好ましくは水素原子を示す。式中
に存在する不斉炭素原子の立体配置に関しては、各々
R、S、RSのいずれでもよい。また、好ましい塩とし
ては、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩、乳酸塩などが挙げられ
る。
【0009】さらに、一般式(I)で示されるアミノ酸
誘導体またはその薬理学的に許容される塩を連結基を介
して共有結合により高分子担体あるいは一定分子量であ
る有機分子に複数個連結してなる化合物及びそれを有効
成分として含有する癌転移抑制剤も本発明の範囲に包含
される。このような化合物において一般式(I)で示さ
れるアミノ酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩
の担体となる有機分子としては、フタル酸、トリメシン
酸、テトラヒドロフランテトラカルボン酸、ポリメタク
リル酸、カルボキシメチルキチン、硫酸化カルボキシル
メチルキチン、ポリリジン、キトサン等が挙げられる。
連結基としてはエチレンジアミン、リジン等が挙げられ
る。担体への連結法としては、例えば、連結基としてエ
チレンジアミン、リジン等を介して一般式(I)で示さ
れるアミノ酸誘導体と担体のカルボキシル基をアミド結
合で連結する方法が挙げられる。また、ポリリジン、キ
トサンなどのアミノ基と直接、あるいは連結基としてβ
アラニン等を介してアミド結合で連結してもよい。ただ
し、本発明の高分子担体、一定分子量を持つ有機分子、
および連結基はこれらに限られるものではない。
【0010】本発明の化合物は後記に示すように高い癌
転移抑制効果、細胞移動阻害効果を示し、またこのよう
な効果を示す作用機序からみて、細胞接着阻害効果をも
示すことは明らかである。以下、本発明の化合物の合成
等についてさらに説明するが、本発明はこれらに限定さ
れるものではない。なお、以下の説明および実施例にお
いてアミノ酸、保護基、活性基などについてIUPAC-IUB
commission on Biological Nomenclatureに基づく略号
および当該分野における慣用略号で表示する場合があ
る。
【0011】本発明の化合物は、例えば二当量の側鎖お
よびカルボキシル基が適当な基で保護されたアスパラギ
ン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、ある
いはこれらの相当する誘導体と一当量の相当するジカル
ボン酸と縮合し、次に、脱保護および精製を経て脱塩お
よび塩形成を行ない合成することができる。
【0012】本方法における、相当する保護アミノ酸、
あるいは保護アミノ酸誘導体と相当するジカルボン酸と
の縮合には、DCC法、DCC−additive法、
CDI法、DPPA法等を使用することができる。また
本発明の化合物は、ジカルボン酸またはジカルボン酸無
水物と一方の保護アミノ酸誘導体あるいはペプチド保護
体を反応して半アミド体とした後に、他方の保護アミノ
酸誘導体あるいはペプチド保護体を縮合させて合成する
こともできる。ジカルボン酸を用いる場合、一方の保護
アミノ酸誘導体あるいはペプチド保護体に対して2当量
から10当量のジカルボン酸を用いるのが好ましい。さ
らに、相当するジカルボン酸ジハライドと相当するアミ
ノ酸誘導体を反応させて合成してもよい。
【0013】脱保護に関しては、用いた保護基に大きく
依存する。ベンジル系保護基を用いた場合、Pd、Pt
系触媒を用いた接触加水素分解が特によい結果を与え
た。また、トリフルオロメタンスルホン酸−チオアニソ
ール系、1M−トリフルオロメタンスルホン酸、チオア
ニソール、m−クレゾールのトリフルオロ酢酸溶液を用
いることも好ましい。しかし、用いた保護基によりさら
に多様な手段が可能である。得られた本発明の化合物の
精製法として、再結晶法、ゲルろ過法、カラムクロマト
グラフィー、薄層クロマトグラフィー、液体クロマトグ
ラフィー等、一般的なペプチドの精製法が採用される。
脱塩、塩形成に関しては、イオン交換樹脂を用いる方法
が特に容易である。また、HPLCあるいは中圧液体ク
ロマトグラフィーにより脱塩、塩形成とともに精製を行
うことができる。また、存在する各々の不斉炭素の立体
配置を制御する場合はそれぞれ相当する立体配置を有す
る保護アミノ酸および保護アミノ酸誘導体を用いればよ
い。
【0014】以下に本発明の化合物の特に好ましい具体
例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。 化合物1 Asprev-CO-CO-Asp 化合物2 Asprev-CO-CH2-CO-Asp 化合物3 Asprev-CO-CH2-CH2-CO-Asp 化合物4 Asprev-CO-CH=CH-CO-Asp 化合物5 Asprev-CO-C6H4-CO-Asp 化合物6 Asnrev-CO-CH2-CO-Asn 化合物7 CH3NH-Asprev-CO-CH2-CO-Asp 化合物8 Asprev-Asprev-CO-CH2-CO-Asp-Asp 化合物9 Glurev-Asprev-CO-CH2-CO-Asp-Glu 化合物10 Pherev-Asprev-Asprev-CO-CH2-CO-Asp-Asp-
Phe 化合物11
【化3】 化合物12 CH3-NH-Asprev-Asprev-CO-CH2-CO-Asp-Asp-
NH-CH3 化合物13 C(CH3)3-NH-Asprev-Asprev-CO-CH2-CO-Asp-
Asp-NH-C(CH3)3 式中、"rev"はアミノ酸残基が逆配列で連結しているこ
とを示す。-CO-CH=CH-CO- はマレイン酸残基、-CO-C6H4
-CO-はフタル酸残基を示す。
【0015】以下に本発明の化合物の実施例を示すが、
本発明はこれらに限定されるものではない。
【0016】
【実施例】
実施例1 「化合物1の合成例」 アスパラギン酸ジベンジルエステルパラトルエンスルホ
ン酸塩 50g(0.10mol)をジクロロメタン 150mlに溶解
し、トリエチルアミン 31g(0.31mol)を加え撹拌し
た。氷冷下にてオキサリルクロライド 6.5g(0.051mo
l)のジクロロメタン溶液30mlを滴下した。一時間反応
させた後、反応液を水で洗い、有機層を硫酸マグネシウ
ムで乾燥した。減圧下にて溶媒を留去し、残留物をシリ
カゲルクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)
にて精製し保護体11gを得た。保護体をメタノール、酢
酸、水(40:10:5)300mlに溶解し、パラジウム
カーボン 2gを加え室温にて6時間加水素分解を行なっ
た。反応液をセライトろ過し、溶媒を減圧留去した。得
られた結晶を冷水にて洗浄し、化合物1 2.0gを得た。 FAB Mass : 321(M+H+1 H-NMR(D2O,δ) : 2.58-2.80 (4H,m), 4.00-4.50 (2H,
m) CHN Anal : Calcd.: H, 3.78; C, 37.51; N, 8.75 Found : H, 3.72; C, 37.51; N, 8.75
【0017】実施例2「化合物2の合成例」 アスパラギン酸ジベンジルエステルパラトルエンスルホ
ン酸塩 48.6g(0.10mol )、マロン酸 5.15g(0.05mo
l)をジクロロメタン 200mlに溶解し、トリエチルアミ
ン 10.1g(0.11mol)を滴下した。反応液を−5度に冷
却し、ジシクロヘキシルカルボジイミド 21.7gのジク
ロロメタン溶液 50mlを加えて一時間撹拌した後、室温
で三時間撹拌した。反応液に酢酸エチルを加え、5%ク
エン酸水溶液で洗った後、有機層を硫酸マグネシウムで
乾燥した。減圧下にて溶媒を留去し、残留物を酢酸エチ
ルで再結晶して保護体 20gを得た。保護体をメタノー
ル、酢酸、水(40:10:5)500mlに溶解し、パラ
ジウムカーボン 2gを加え室温にて6時間加水素分解を
行なった。反応液をセライトろ過し、溶媒を減圧留去
し、化合物2 7.0gを得た。 FAB Mass : 335(M+H+1 H-NMR(D2O,δ) : 2.98(4H,d), 3.40(2H,S),4.81 (2
H,t) CHN Anal : Calcd.: H, 4.58; C, 37.50; N, 7.95 Found : H, 4.41; C, 37.71; N, 7.96
【0018】実施例3 「化合物3の合成」 コハク酸を用いて実施例2と同様に合成した。 FAB Mass : 349(M+H+1 H-NMR(D2O,δ) : 2.58(4H,s), 2.96(4H,d), 4.81 (2H,
t)
【0019】実施例4 「化合物4の合成」 マレイン酸を用いて実施例2と同様に合成した。 FAB Mass : 347(M+H+1 H-NMR(D2O,δ) : 2.96(4H,d), 4.81 (2H,t), 6.38(2H,
d)
【0020】実施例5 「化合物5の合成」 フタル酸を用いて実施例2と同様に合成した。 FAB Mass : 397(M+H+1 H-NMR(D2O,δ) : 2.96(2H,d),4.81 (2H,t),7.65(4H,s) 実施例6 「化合物6の合成」 Asn-OBzl塩酸塩を用いて実施例2と同様に合成した。 FAB Mass : 333(M+H+) 実施例7 「化合物7の合成」 アスパラギン酸ジベンジルエステルパラトルエンスルホ
ン酸塩4.9g(0.01mol) 、マロン酸5.15g(0.05mol) を
ジクロロメタンに溶解し、ジシクロヘキシルカルボジイ
ミド2.17g(0.11mol) を加え室温で攪拌した。不溶物を
ろ別して反応液を10%クエン酸水溶液、飽和炭酸水素
ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥
した。減圧下にて溶媒を留去した後、再びジクロロメタ
ンに溶解し、ジシクロヘキシルカルボジイミド2.17g
(0.11mol) 、アスパラギン酸β−ベンジルエステルメチ
ルアミド2.7 g(0.01mol) を加え室温で攪拌した。不溶
物をろ別して反応液を10%クエン酸水溶液、飽和炭酸
水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで
乾燥した。減圧下にて溶媒を留去して残留物をシリカゲ
ルクロマトグラフィーにより精製し(溶離液、酢酸エチ
ル)、保護体4.3 gを得た。得られた保護体をメタノー
ル、酢酸、水(40:10:5)50mlに溶解し、パラジ
ウムカーボン0.5 gを加えて室温にて6時間加水素分解
を行なった。反応液をせライトろ過し、溶媒を減圧留去
して化合物7を1.2 gを得た。 FAB Mass: 348(M+H+) 実施例8 「化合物8の合成」 Asp(OBzl)-Asp(OBzl)-OBzl塩酸塩を用いて実施例2と同
様に合成した。 FAB Mass : 565(M+H+) 実施例9 「化合物9の合成」 Asp(OBzl)-Glu(OBzl)-OBzlを用いて実施例2と同様に合
成した。 FAB Mass : 593(M+H+) 実施例10 「化合物10の合成」 Asp(OBzl)-Asp(OBzl)-Phe を用いて実施例2と同様に合
成した。 FAB Mass : 859(M+H+)
【0021】実施例11 「B16−BL6メラノーマ
細胞実験的肺転移試験」 本発明の化合物類の癌転移抑制作用について検討した。
被験物質と非常に転移性の強い癌細胞であるB16-BL6メ
ラノーマ細胞を各々PBS中で混合後、その0.2 mlを1群
5匹のC57BL/6の雌マウスに静脈注射した。注射された
混合物0.2 ml中にはB16-BL6細胞が5x104個含まれて
いた。投与14日後にマウスの肺コロニー数を数えて対
照のPBS投与群と比較した。結果を以下の表に示す。
尚、比較試料として癌転移抑制効果が知られているフィ
ブロネクチン部分ペプチドArg-Gly-Asp-Ser(RGD
S)、またはGly-Arg-Gly-Asp-Ser(GRGDS)ペプ
チド、およびキレート作用を持つEDTA、EDTAジ
アミドを用いた。
【表1】 表1 ───────────────────────────── 被験試料 投与量 転移肺コロニー数 (μg/マウス) 平均±SD(範囲) ───────────────────────────── PBS −−−− 101±28(61-133) GRGDS 500 93±45(44-154)*** 化合物1 500 16± 9(7-32)*** 化合物2 500 20± 7(9-29)*** EDTA 500 死亡 EDTA diamide 500 死亡 ───────────────────────────── t検定:*** P<0.001、** P<0.01、* P<0.02
【表2】 表2 ───────────────────────────── 被験試料 投与量 転移肺コロニー数 (μg/マウス) 平均±SD(範囲) ───────────────────────────── PBS −−−− 81±23(53-117) RGDS 1000 89±23(55-122) 化合物2 500 30±17(18-62)*** ───────────────────────────── t検定:***P<0.001、** P<0.01、* P<0.02
【表3】 表3 ───────────────────────────── 被験試料 投与量 転移肺コロニー数 (μg/マウス) 平均±SD(範囲) ───────────────────────────── PBS −−−− 139±58(62-219) RGDS 1000 116±43(58-163) 化合物3 500 25±10(12-43)*** 化合物4 500 20± 6(10-28)*** 化合物5 500 81±40(43-136) ───────────────────────────── t検定:***P<0.001、** P<0.01、* P<0.02
【0022】実施例12 「L5178Y−ML25
T−リンパ腫細胞実験的肺転移試験」 被験物質とL5178Y-ML25 T−リンパ腫細胞を各々PBS中
で混合後、その0.2ml を1群5匹のCDF1マウスに静脈
注射した。注射された混合物0.2ml中にはL5178Y-ML2
5 T−リンパ腫細胞が4x104個含まれていた。投与
14日後にマウスの肝臓および脾臓の重量を対照のPBS
投与群と比較した。結果を表4に示す。尚、比較試料と
して癌転移抑制効果が知られているフィブロネクチン部
分ペプチドArg-Gly-Asp-Ser(RGDS)ペプチドを用
いた。
【表4】 表4 ───────────────────────────────── 被験試料 投与量 肝臓重量 脾臓重量 (μg/マウス) 平均±SD 平均±SD ───────────────────────────────── PBS −−−− 4.30±0.93 0.25±0.03 化合物2 1000 2.52±1.03*** 0.19±0.05*** RGDS 1000 4.43±0.21 0.26±0.01 癌細胞未投与 −−−− 1.05±0.01 0.11±0.01 ───────────────────────────────── t検定:*** P<0.001、** P<0.01
【0023】実施例13 「B16−BL6メラノーマ
細胞実験的侵潤試験」 トランスウェルセルカルチャーチャンバーの上層表面に
5μgの再構成基底膜マトリジェルをコートし、下層表
面に5μgのフィブロネクチンをコートした。2x105
/100μl/チャンバーのB16−BL6メラノーマ
細胞をチャンバー上層に加え、被験物質存在下あるいは
非存在下にて3時間培養した。フィルター下部表面に移
動した細胞数を顕微鏡下で計測し、細胞侵潤の指標とし
た。結果を表5に示す。
【表5】 表5 ─────────────────────────── 被験試料 試験濃度 移動細胞数 (μg/ml) 平均±SD ─────────────────────────── PBS −−−− 45±2 RGDS 1000 45±4 化合物1 1000 9±3** 化合物2 1000 36±6 ─────────────────────────── t検定:***P<0.001、** P<0.01、* P<0.02
【0024】以上の結果から、本発明の化合物の非常に
高い癌転移抑制効果、細胞移動阻害効果は明らかであ
る。
【0025】本発明のアミノ酸誘導体およびその薬理的
に許容される塩は、その少なくとも一種を、場合により
慣用の担体または医薬用助剤とともに、癌転移抑制剤、
として患者に投与することが可能である。その投与量
は、一日あたり0.2μg/kg〜600mg/kg
(体重)の範囲で、患者の症状、年齢、体重等に基づい
て決定される。本発明の化合物またはその塩は、ペプチ
ド系医薬に一般に使用されている投与方法、即ち非経口
投与方法、例えば静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与等
によって投与するのが好ましい。そのような注射用製剤
を製造する場合、本発明の化合物またはその塩を例え
ば、PBSまたは生理食塩水に溶解して、注射用製剤と
してもよく、あるいは0.1N程度の酢酸水等に溶解し
た後、凍結乾燥製剤としてもよい。このような製剤に
は、グリシンやアルブミン等の慣用の安定剤を添加して
もよい。さらに、本発明の化合物またはその塩は、例え
ばリポソーム中に包容したマイクロカプセル剤あるいは
ミクロスフェア状、ハイドロゲル状とすれば経口投与す
ることも可能であり、座剤、舌下錠、点鼻スプレー剤等
の形にすれば消化管以外の粘膜からも吸収させることも
可能である。
【0026】
【発明の効果】本発明の化合物は従来の細胞接着性ペプ
チド(RGDS、GRGDS)と比較して、かつ、非常
に高い癌転移抑制活性を有している。したがって、癌細
胞の転移抑制作用に対して選択性を持ち、癌転移抑制剤
として特に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 233/56 7106−4H 233/83 7106−4H 237/22 7106−4H C07K 5/072 8318−4H 5/093 8318−4H (72)発明者 稲葉 正 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 (72)発明者 済木 育夫 北海道札幌市厚別区厚別北3条西5丁目12 −6 (72)発明者 東 市郎 北海道札幌市南区真駒内上町5丁目3−2

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記、一般式(I)で示されるアミノ酸
    誘導体、またはその薬理学的に許容される塩。一般式
    (I) 【化1】 式中、Xは炭素数1〜3の直鎖または分岐のアルキレン
    基、炭素数4〜8の環状アルキレン基あるいはフェニレ
    ン基を示し、置換基、不飽和基を有していてもよい。X
    は存在してもしなくてもよい。V、Wは−COOHある
    いは−CONH2を示す。V、Wは互いに同じでも異な
    っていてもよい。P1、P2はアミノ酸残基あるいはペプ
    チド残基を示す。P1、P2は互いに同じでも異なってい
    てもよく、存在してもしなくてもよい。R1、R2は水酸
    基または有機基を示す。R1、R2は互いに同じでも異な
    っていてもよい。R3、R4は水素原子あるいはアルキル
    基を示す。R3、R4は互いに同じでも異なっていてもよ
    い。式中に存在する不斉炭素原子の立体配置に関して
    は、各々R、S、RSのいずれでもよい。
  2. 【請求項2】 R1、R2が水酸基であり、R3、R4が水
    素原子である請求項1記載の化合物。
  3. 【請求項3】 一般式(I)で示されるアミノ酸誘導体
    またはその薬理学的に許容される塩を共有結合により高
    分子あるいは有機分子に複数個連結してなる化合物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の化合物
    を含有してなる癌転移抑制剤。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれかに記載の化合物
    を含有してなる細胞接着阻害剤。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3のいずれかに記載の化合物
    を含有してなる細胞移動阻害剤。
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