JP2918746B2 - ペプチド誘導体およびその用途 - Google Patents
ペプチド誘導体およびその用途Info
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Description
ア配列(Arg-Gly-Asp)を有するペプチド誘導
体、およびそれを有効成分とする癌転移抑制剤に関す
る。
接着に関与する蛋白質であり、血小板凝集や癌転移にも
関与していると考えられている。細胞−細胞外基質の相
互作用は一連の細胞表面のレセプターにより仲介され、
フィブロネクチンは分子量約25万の巨大分子であるに
もかかわらず、これらのレセプターはその中のArg-
Gly-Asp配列(コア配列)を特異的に認識するこ
とが明らかにされ、該コア配列がレセプターとの相互作
用に重要なものであることが報告されている(ネイチャ
ー(Nature)、第309巻、30頁、1984年)。このArg-Gly-A
sp配列はビトロネクチン等の他の接着性蛋白質にも存在
しており、これらの接着性蛋白質は上記コア配列を介し
て被接着細胞のレセプターと接合し、その情報を接着細
胞に伝達する。また、このArg-Gly-Asp配列はヘパリ
ン、コラーゲン、フィブリン等の生体高分子との結合能
も有し、細胞と間質結合組織との接着、細胞の分化、増
殖に関与しているとも考えられている。このように細胞
接着活性蛋白質は種々の生物活性を有するため、医薬、
医用材料への応用が検討されている。
鎖状および環状のオリゴペプチドを用いて血小板凝集を
阻害する方法(高分子学会予稿集(Polymer Preprints,
Japan)、第38巻、3149頁、1989年;特開平2-174797
号)、Arg-Gly-Asp配列を有するペプチドを細胞移動抑
制剤として用いる方法(特開平2-4716号)、Arg-Gly-As
pを固定化したPMMA膜を細胞接着膜として用いる方法(高
分子学会予稿集(PolymerPreprints, Japan)、第37巻、7
05頁、1988年)等が報告されている。また、ポリマーに
Arg-Gly-Aspを必須構成単位とするペプチドを共有結合
させ動物細胞培養基体、生体複合人工臓器用基体として
用いる方法(特開平1-309682号、特開平1-305960号)、
Arg-Gly-Asp-Ser配列を有するポリペプチドを体外血液
用血小板保護剤として用いる方法(特開昭64-6217号)
等も開示されている。
に関係する物質としても注目されてきている。癌転移の
一連の段階では、癌細胞は種々の宿主細胞や生体高分子
と接触する。このとき、フィブロネクチンのような細胞
接着分子が存在すると、該細胞は多細胞塊を形成し、癌
細胞の増殖や生存をより容易にする。ところがこの際、
フィブロネクチンの接着コアであるトリペプチドArg-Gl
y-Aspが共存すると、競争的に癌細胞上のレセプターと
接合することにより逆に癌転移阻害活性を示すことが報
告されている(サイエンス、第238巻、467ペー
ジ、1986年)。
着活性蛋白質あるいはそのペプチド断片は様々な生物活
性を有しており、その関連物質を医薬品として応用する
技術の開発が望まれていた。特に、上記接着性コア配列
の癌転移抑制作用は医薬品として応用価値が高いものと
考えられる。しかしコア配列のみでは抑制効果はそれほ
ど大きいものではないので、効果の増強をはかる目的
で、この配列を有するオリゴペプチド、環状オリゴペプ
チド、あるいはその繰り返し構造を有するポリペプチド
を用いた癌転移抑制方法も開示されている(Int. J. Bio
l. Macromol.、第11巻、23頁、1989年;同誌、第11巻、
226頁、1989年;Jpn. J. Cancer Res. 、第60巻、 722
頁、1989年;特開平2-174797号)。しかし、例えば環状
ペプチドの合成は鎖状のものよりも困難で収率が低く、
またポリペプチドでは構造の特定が困難である等の問題
点が存在し、より簡単なコア配列の修飾で癌転移抑制能
を大幅に向上させる方法が望まれていた。
は、上記コア配列(Arg-Gly-Asp)の末端の修
飾が簡単なものでありながら、癌転移抑制能が大幅に向
上し、かつ抗癌スペクトルが広いペプチド誘導体を提供
することである。本発明の別の目的は、このペプチド誘
導体を有効成分とする癌転移抑制剤を提供することであ
る。
般式(I)で表されるペプチド誘導体、およびその薬理
学的に許容される塩、およびそれらを有効成分とする癌
転移抑制剤により達成された。 一般式(I) R1-Arg-Gly-Asp-Ser-R2 (式中、Arg、Gly、AspおよびSerはそれぞ
れアルギニン、グリシン、アスパラギン酸およびセリン
残基を表す。R1 はスクシニル基、グルタリル基または
アジポイル基を表す。R2 は−OR3 または−NR4 R
5 を表す。R3 、R4 、R5 はそれぞれ水素原子または
炭素数3以下のアルキル基を表す。)
えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩等
の無機酸との塩や、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリ
フルオロメタンスルホン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩等の有
機酸との塩が挙げられ、そのような塩への変換は慣用の
手段により行なうことができる。
酸はL-体でもD-体でもよいが、L-体の方が好ましい。た
だしアルギニン残基はD-体でもL-体と同等の効果が得ら
れる。
はアジポイル基であり、R2 は−OR3 または−NR4
R5 を表す。R3 、R4 、R5 はそれぞれ水素原子また
は炭素数3以下のアルキル基を表す。特に好ましい例と
しては、 -OH、 -OCH3、 -OC2H5 、 -NH2、
-NHCH3 が挙げられる。
明はこれらに限定されるものではない。なお、R2 が -
OHの場合は、該分野の表記法の慣例により記載を省略
する。アミノ酸は3文字表記法で表記し、特に指定のな
い場合はL-体を表す。またSuc- 、Glt- 、Adp
- はそれぞれスクシニル基、グルタリル基、アジポイル
基を表す。
sp−Ser
ly−Asp−Ser
Asp−Ser
sp−Ser−OCH3
sp−Ser−NH2
sp−Ser
sp−Ser−OCH3
Asp−Ser−OCH3
sp−Ser
ly−Asp−Ser
が、液相法、固相法、および自動合成装置による合成方
法が挙げられる。これらの合成方法の詳細については、
生化学実験講座”タンパク質の化学IV”p207−49
5(日本生化学会編、東京化学同人)、”続生化学実験
講座タンパク質の化学(下)”(日本生化学会編、東京
化学同人)、泉屋ら編”ペプチド合成の基礎と実験”
(丸善)に記載されている。また、市販されている合成
ペプチドを利用することも可能である。
細胞接着性蛋白質のコア配列Arg-Gly-Aspを有
し、該コア配列を介して細胞接着性蛋白質と同様の機序
で細胞に接着する。そのため、細胞接着性蛋白のアゴニ
ストまたはアンタゴニストとして種々の生理活性を示
し、免疫調整作用、創傷治癒作用、毛細血管中で起こる
癌細胞による血小板凝集抑制作用、神経疾患治癒作用な
どの広範な生物活性を示す。従って、本発明のペプチド
誘導体またはその塩は、その少なくとも一種を、場合に
より慣用の担体または医薬用助剤とともに、癌転移抑制
剤、創傷治癒剤、免疫調整剤、血小板凝集粘着抑制剤と
して患者に投与することが可能である。その投与量は、
一回当り0.2μg/kg〜400mg/kgの範囲
で、症状、年齢、体重等に基づいて決定される。
ペプチド系医薬に一般に使用されている投与方法、即ち
非経口投与方法、例えば静脈内投与、筋肉内投与、皮下
投与等によって投与するのが好ましい。そのような注射
用製剤を製造する場合、本発明のペプチド誘導体または
その塩を例えば、後記実施例で示すようにPBSまたは
生理食塩水に溶解して、注射用製剤としてもよく、ある
いは0.1N程度の酢酸水等に溶解した後、凍結乾燥製
剤としてもよい。このような製剤には、グリシンやアル
ブミン等の慣用の安定剤を添加してもよい。さらに、本
発明のペプチド誘導体またはその塩は、例えばリポソー
ム中に包容したマイクロカプセル剤あるいはミクロスフ
ェア状、ハイドロゲル状とすれば、経口投与することも
可能であり、座剤、舌下錠、点鼻スプレー剤等の形にす
れば、消化菅以外の粘膜から吸収させることも可能であ
る。
の試験例により本発明をさらに説明するが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。なお、以下の実施例に
おいては上記で使用したものの他、下記の略号を使用す
る。
g(0.1mol)、を含むDMF溶液(150ml)
に室温で臭化ベンジル8.55g(50mmol)を滴
下し、24時間室温で撹拌した。反応溶液に4%NaHCO3
水溶液と酢酸エチルを加え抽出、分液した。酢酸エチル
層を水で、次いで食塩水で洗浄し、その後硫酸ナトリウ
ム上で乾燥した。酢酸エチルを減圧留去することにより
油状の(1a)17.0g(4.4mmol)を得た。収率8
8%。
lに溶解して、トリフルオロ酢酸(TFA)30mlを
加えて室温で3時間撹拌した。塩化メチレンおよびTF
Aをロータリーエバポレーターで留去した後、残留物に
酢酸エチルと4%炭酸ナトリウム水溶液を加えて抽出分
液した。酢酸エチル層を水で、次いで食塩水で洗浄した
後、硫酸マグネシウム上で乾燥した。酢酸エチルを減圧
留去した後、残留物を塩化メチレン(60ml)とDM
F(40ml)の混合溶媒に溶解し、t-Boc-Asp(OBzl)
15g(46mmol)とヒドロキシベンゾトリアゾー
ル・1水和物(HOBt・H2O)6.7g(44mmo
l)を加えて氷冷撹拌した。この反応溶液にDCC1
0.3gを加え、氷冷で2時間、室温で終夜撹拌した。
析出した尿素誘導体を濾別し、濾液を減圧濃縮した。残
留物に酢酸エチルと4%炭酸ナトリウム水溶液を加えて
抽出、分液した。酢酸エチル層を水で、次いで食塩水で
洗浄し、新たに析出した尿素誘導体を濾別し、濾液を減
圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で精製するこ
とにより、白色固体の(1b)15.8g(26.7mmo
l)を得た。収率61%。
mlに溶解し、TFA30mlを加えて室温で30分撹
拌した。塩化メチレンおよびTFAをロータリーエバポ
レーターで留去し、残留物にn-ヘキサンとエーテルの混
合溶媒(5:1)を加えて析出した白色固体の(1c)を濾
取した。15.0g(24.8mmol)。収率95%。
1mmol)、HOBt・H2O2.3g(2.5mmo
l)、ジイソプロピルエチルエーテル2.9ml(16.
6mmol)を含む塩化メチレン(60ml)とDMF
(30ml)の反応溶液を氷冷撹拌した。
冷で2時間、室温で終夜撹拌した。析出した尿素誘導体
を濾別し、濾液を減圧濃縮した。残留物に酢酸エチルを
加え、10%クエン酸水溶液、4%炭酸ナトリウム水溶
液、水、食塩水の順序で洗浄した。新たに析出した尿素
誘導体を濾別し、濾液を減圧濃縮した。残留物とシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/酢酸エ
チル=3/1)で精製することにより白色固体の(1d)
8.64g(13.3mmol)を得た。収率90%。
に溶解して、トリフルオロ酢酸(TFA)20mlを加
えて室温で1時間撹拌した。塩化メチレンおよびTFA
をロータリーエバポレーターで留去した後、残留物に酢
酸エチルと4%炭酸ナトリウム水溶液を加えて抽出分液
した。酢酸エチル層を水で、次いで食塩水で洗浄した
後、硫酸マグネシウム上で乾燥した。酢酸エチルを減圧
留去した後、残留物を塩化メチレン(40ml)とDM
F(20ml)の混合溶媒に溶解し、t-Boc-Arg(Z)22.
86g(5.27mmol)とヒドロキシベンゾトリア
ゾール・1水和物(HOBt・H2O)830mg(5.
3mmol)を加えて氷冷撹拌した。この反応溶液にD
CC1.24gを加え、氷冷で2時間、室温で終夜撹拌
した。析出した尿素誘導体を濾別し、濾液を減圧濃縮し
た。残留物に酢酸エチルと4%炭酸ナトリウム水溶液を
加えて抽出、分液した。酢酸エチル層を水で、次いで食
塩水で洗浄し、新たに析出した尿素誘導体を濾別した後
に硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを減圧濃縮
し、残留物を酢酸エチルとn-ヘキサンの混合溶媒で再結
晶して、白色固体の(1e)5.0g(4.66mmol)を
得た。収率88%。
溶解して、トリフルオロ酢酸(TFA)7mlを加えて
室温で1時間撹拌した。塩化メチレンおよびTFAをロ
ータリーエバポレーターで留去した後、残留物に酢酸エ
チルと4%炭酸ナトリウム水溶液を加えて抽出分液し
た。酢酸エチル層を水で、次いで食塩水で洗浄した後、
硫酸マグネシウム上で乾燥した。酢酸エチルを減圧留去
して、(1e)の脱t-Boc体を得た。
し、無水コハク酸120mgを加えて、室温で2時間撹
拌した。溶媒を減圧濃縮し、残留物をアセトニトリルで
再結晶して(1f)1.00g(0.93mmol)を得た。
(収率93%)
溶解し、10%パラジウム炭素を80mg加えて加水素
分解を以下のように行った。まず反応温度を55℃に設
定し、1時間かけて35℃まで、さらに1時間かけて2
5℃まで温度を下げたところ沈澱析出を認めた。水7m
lを加えたところ析出物は再溶解したので、さらに室温
で5時間加水素分解を続行した。
物にエーテルを加え析出物を濾取した。この粗ペプチド
を純水に溶解し、活性炭を加え室温で15分撹拌した。
活性炭を濾別し、水を減圧留去した後に凍結乾燥して3
30mgの化合物1を白色無定形物として得た。プロト
ンNMRにおいて2.05ppmに酢酸のメチル基のピ
ークが認められ、その積分強度より、化合物1は1酢酸
塩の形であることがわかった。収率83%。
(M+Na)+
の代わりにグルタル酸無水物を用いて同様の反応を行
い、化合物6の全保護体を得た。これを化合物1の合成
と同様の加水素分解による脱保護、およびそれに続く精
製を行って化合物6を得た。
(M+Na)+
チルアミノピリジン360mg、メタノール1.4ml
を含む塩化メチレン溶液(60ml)を氷冷撹拌し、D
CC6.2gを加えた。室温で終夜撹拌したのち塩化メ
チレンを減圧留去し、残留物に酢酸エチルを加えた。尿
素誘導体を濾別し、酢酸エチル濾液を、クエン酸水溶
液、炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水の順序で洗浄
し、硫酸マグネシウム上で乾燥した。酢酸エチルを減圧
留去し、無色油状のt-Boc-Ser(Bzl)-CH3の粗製物9.3
gを得た。
と同様の経路で化合物4の全保護体(4f)を得た。各ステ
ップでの収率を以下に記す。なお、(4b)〜(4f)はそれぞ
れ(1b)〜(1f)のセリン残基のベンジルエステルがメチル
エステルに変更された化合物に相当する。 (4b) 79% (4c) 86% (4d) 88% (4e) 70% (4f) 84%
酸15mlに溶解し、10%パラジウム炭素を80mg
加えて加水素分解を40℃で1時間、次いで室温で終夜
行った。反応終了後再び40℃に加温して析出物を溶解
させ、触媒を濾別し溶媒を減圧留去した後、残留物にエ
ーテルを加え析出物を濾取した。この粗ペプチドを純水
び溶解し、活性炭を加え室温で15分撹拌した。活性炭
を濾別し、水を減圧留去した後に凍結乾燥して、330
mgの化合物4を白色無定形物として得た。プロトンN
MRにおいて2.07ppmに酢酸のメチル基のピーク
が認められ、その積分強度より、化合物4は1酢酸塩の
形であることがわかった。収率77%。
代わりにt-Boc-D-Arg(Z)2を用いて同様の操作を行い、
化合物3を1酢酸塩の形で得た。 FAB Mass 534(M+H)+、 556
(M+Na)+
同様の経路で化合物5を合成した。 FAB Mass 533(M+H)+
r)は下記に示す経路に従って合成した。尚、化合物(1
e)は合成例1と同様にして合成した。
mol)を塩化メチレン20mlに溶解して、トリフル
オロ酢酸(TFA)20mlを加えて室温で1時間攪拌
した。塩化メチレンおよびTFAをロータリーエバポレ
ーターで留去した後、残留物に酢酸エチルと4%炭酸ナ
トリウム水溶液を加えて抽出分液した。酢酸エチル層を
水で、次いで食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウム上
で乾燥した。酢酸エチルを減圧留去した後、残留物を塩
化メチレン(30ml)とDMF(30ml)の混合溶
媒に溶解し、t-Boc-Asp(OBzl)1.3g(4mmol)と
ヒドロキシベンゾトリアゾール・1水和物(HOBt・
H2O)610mg(4mmol)を加えて氷冷攪拌し
た。この反応溶液にDCC0.85gを加え、氷冷で2
時間、室温で終夜攪拌した。析出した尿素誘導体を濾別
し、濾液を減圧濃縮した。残留物に酢酸エチルと4%炭
酸ナトリウム水溶液を加えて抽出、分液した。酢酸エチ
ル層を水で、次いで食塩水で洗浄し、新たに析出した尿
素誘導体を濾別した後に硫酸マグネシウムで乾燥した。
酢酸エチルを減圧濃縮し、残留物を酢酸エチルとn-ヘキ
サンの混合溶媒で再結晶して、白色固体の(10f) 3.4
g(2.66mmol)を得た。収率71%。
mlに溶解して、トリフルオロ酢酸(TFA)15ml
を加えて室温で1時間攪拌した。塩化メチレンおよびT
FAをロータリーエバポレーターで留去した後、残留物
に酢酸エチルと4%炭酸ナトリウム水溶液を加えて抽出
分液した。酢酸エチル層を水で、次いで食塩水で洗浄し
た後、硫酸マグネシウム上で乾燥した。酢酸エチルを減
圧留去し、残留物を酢酸エチルで再結晶して、(10g)
2.7g(2.29mmol)を得た。収率89%。
に溶解し、10%パラジウム炭素を100mg加えて加
水素分解を室温で10時間行った。触媒を濾別し溶媒を
減圧留去した後、残留物にエーテルを加え析出物を濾取
した。この粗ペプチドを純水び溶解し、活性炭を加え室
温で15分攪拌した。活性炭を濾別し、水を減圧留去し
た後に凍結乾燥して、280mgの化合物1を白色無定
形物として得た。プロトンNMRにおいて2.05pp
mに酢酸のメチル基のピークが認められ、その積分強度
より、化合物1は1/2酢酸塩の形であることが判っ
た。収率63%。 FAB Mass 549(M+H)+
ol)を塩化メチレン15mlに溶解し、室温で攪拌し
ながらコハク酸無水物120mgを加えたところ、ただ
ちに沈澱の析出を認めた。室温で30分攪拌を続けた後
塩化メチレンを減圧留去し、残留物をアセトニトリルで
再結晶して化合物2の保護体910mg(0.712m
mol)を得た。この保護体850mg(0.697m
mol)を化合物1の合成と同様の加水素分解による脱
保護およびそれに続く精製を行って化合物19を150
mg得た。収率33%。 FAB Mass 649(M+H)+、 671
(M+Na)+
ギン酸もしくはグルタミン酸残基またはカルボキシル基
で置換されたアシル基を持たないRGD化合物の癌転移
阻止作用について比較した。化合物1、3、4、5、
6、9、19および比較用としてArg−Gly−As
p−Ser(RGDS)、Gly−Arg−Gly−A
sp−Ser(GRGDS)、Ac−Arg−Gly−
Asp−Ser(Ac- RGDS)及びArg−Gly
−Asp−Ser−OCH3 (RGDS- OCH3 )各
々1000μgと、非常に転移性の強い癌細胞としてB16
-BL6 メラノーマ細胞5×104 個をそれぞれPBS 0.2 ml
中で混合後、1群5匹のC57BL/6 の雄マウスのそれぞれ
に静脈注射した。投与14日後にマウスの肺メラノーマ
細胞コロニー数を数えて対照のPBS 投与群と比較した。
その結果を表1に示す。
−Gly−Asp−Ser(RGDS)各々3000μ
gとL5178Y ML25 T-lymphoma4×104 個をそれぞれPBS
0.2 ml中で混合後、1群5匹の(BALB/C×DBA2)F1・CDF1
の雌マウスに静脈注射した。投与14日後にマウスの肝
および脾臓の重量をはかり、対照のPBS投与群、および
未処理の群と比較した。その結果を表2に記す。
れた癌の実験的肺転移に対する ぺプチドの効果 ─────────────────────────────────── 投与化合物 投与量 肺への転移数 (μg) 平均±SD(範囲) ─────────────────────────────────── PBS(対照群) − 91±33(53−135) 化合物1 1000 19±10(4−32)** 3 1000 38±17(18−66)* 4 1000 33±12(18−47)* 5 1000 25±14(6−46)** 6 1000 36±19(13−70)* 9 1000 31±16(10−54)* 19 1000 30±10(20−45)** RGDS 1000 114±35(53−135) GRGDS 1000 108±17(85−121)* Ac−RGDS 1000 95±23(57−121) RGDS−OCH3 1000 127±43(68−165)* ─────────────────────────────────── * t検定で対照群と比較して p<0.01 **t検定で対照群と比較して p<0.001
端をスクシニル基、グルタリル基またはアジポイル基で
修飾することにより、癌転移抑制能が向上することが判
った。
Claims (2)
- 【請求項1】 下記一般式(I)で表されるペプチド誘
導体、またはその生理学的に許容される塩。 一般式(I) R1-Arg-Gly-Asp-Ser-R2 (式中、Arg、Gly、AspおよびSerはそれぞ
れアルギニン、グリシン、アスパラギン酸およびセリン
残基を表す。R1 はスクシニル基、グルタリル基または
アジポイル基を表す。R2 は−OR3 または−NR4 R
5 を表す。R3 、R4 、R5 はそれぞれ水素原子または
炭素数3以下のアルキル基を表す。) - 【請求項2】 請求項1に記載の化合物を有効成分とす
る癌転移抑制剤。
Priority Applications (1)
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JP4189446A JP2918746B2 (ja) | 1991-12-18 | 1992-07-16 | ペプチド誘導体およびその用途 |
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JP33521391 | 1991-12-18 | ||
JP4189446A JP2918746B2 (ja) | 1991-12-18 | 1992-07-16 | ペプチド誘導体およびその用途 |
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