JPH0775569A - 新規なトランスグルタミナーゼ - Google Patents

新規なトランスグルタミナーゼ

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JPH0775569A
JPH0775569A JP170394A JP170394A JPH0775569A JP H0775569 A JPH0775569 A JP H0775569A JP 170394 A JP170394 A JP 170394A JP 170394 A JP170394 A JP 170394A JP H0775569 A JPH0775569 A JP H0775569A
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btgase
protein
enzyme
btg
transglutaminase
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Atsushi Okiyama
敦 沖山
Masahiko Nonaka
雅彦 野中
Haruo Tanaka
晴生 田中
Ryosuke Uchio
良輔 内尾
Akira Matsuura
明 松浦
Hiroyasu Ando
裕康 安藤
Koichi Umeda
幸一 梅田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 供給量、コストの面、精製の容易さ等のいず
れの面からも問題はなく、しかも反応にCa2+を必要と
しない点等、実用性の高い新規なトランスグルタミナー
ゼの提供。 【構成】 ペプチド鎖内のグルタミン残基のγ−カルボ
キサミド基のアシル転移反応を触媒するトランスグルタ
ミナーゼであって、Ca2+に非依存性であり、至適pH
が5〜8付近にあり、pH5〜9付近で安定であり、ベ
ンジルオキシカルボニルグルタミニルグリシンなどに基
質特異性を有する新規なトランスグルタミナーゼ。 【効果】 カルシウム非存在下で又カルシウム存在下で
も酵素濃度及びタンパクの基質濃度が非常に低いところ
で品質の優れたタンパクゲル化物を製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なトランスグルタミ
ナーゼに関する。
【0002】トランスグルタミナーゼは、ペプチド鎖内
にあるグルタミン残基のγ−カルボキサミド基のアシル
転移反応を触媒する酵素である。このトランスグルタミ
ナーゼは、アシル受容体としてタンパク質中のリジン残
基のε−アミノ基が作用すると、分子内及び分子間にε
−(γ−Glu)−Lys架橋結合が形成される。また、水
がアシル受容体として機能するときは、グルタミン残基
が脱アミド化されグルタミン酸残基になる反応を進行さ
せる酵素である。
【0003】なお、本発明の新規トランスグルタミナー
ゼを利用してタンパクゲル化物を製造することができる
が、このようにして製造されるゲル化物は、従来のゲル
状食品、ゲル状化粧料をはじめとしてヨーグルト、ゼリ
ー、チーズ、ゲル状化粧料などと同様にして用いられ
る。更に、このようにして製造されるゲル化物は、未加
熱で製造でき、熱に安定なゲルであるため、マイクロカ
プセルの素材、固定化酵素等の担体などとしても広範囲
に用いることができるものである。
【0004】
【従来の技術】トランスグルタミナーゼはこれまで動物
由来のものが知られている。例えばモルモットの肝臓
[Connellan et al., ジャーナル・オブ・バイオロジカ
ル・ケミストリー(Journal of BiologicalChemistry) 2
46巻4号1093〜1098頁(1971)]及び哺乳動物の臓器、血
液に広く分布し[Folk et al.,アドバンセス・イン・エ
ンザイモロジー(Advances in Enzymology)38巻 109〜
191 頁(1973)、Folk etal.,アドバンセス・イン・プ
ロテイン・ケミストリー(Advances in Protein Chemis
try )31巻1〜133 頁(1977)]、その酵素の特徴も研
究されている。また、これらの動物由来のトランスグル
タミナーゼを用いるタンパク質のゲル化物の製造法につ
いては本発明者等が既に研究を行なっている(特開昭58
-149645 号)。
【0005】しかし、この動物由来のトランスグルタミ
ナーゼの産業への利用、特にタンパク質のゲル化物の製
造法には以下に述べるような欠点を有する。
【0006】動物由来のトランスグルタミナーゼは安価
にまた大量に入手するのが困難である。また、ゲル化さ
せるのには、この高価な酵素が基質タンパク質1gあた
り、1ユニット以上必要でかつ、基質タンパク濃度が
2.0重量%以上必要であるという制限があること、更に
は、この動物由来のトランスグルタミナーゼはカルシウ
ム(Ca2+)依存性である為に用途が制限される。
【0007】以上のような欠点を有する為に、動物由来
のトランスグルタミナーゼを用いるゲル化物の製造につ
いての実用化は困難であるのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来トランスグルタミ
ナーゼの供給は動物に由来しているため実用性を考慮し
た場合、供給量、供給費用、保存費用、精製の困難さ等
の種々の面から不利でありこのままでは産業上の利用へ
の可能性はほとんど考えられなかった。
【0009】従って、本発明の課題は供給量、コストの
面、精製の容易さ等のいずれの面からも問題はなく、し
かも反応にCa2+を必要としない点等、実用性の高い新
規なトランスグルタミナーゼの提供である。
【0010】
【問題点を解決するための手段】これまで動物由来の酵
素が検討されてきたが実用性に欠けるため、本発明者等
は給源を微生物に求め広く検索を行った結果、ストレプ
トベルチシリウム属の菌についてCa2+非存在下でもペ
プチド鎖内のグルタミン残基のγ−カルボキサミド基の
アシル転移反応を触媒する従来にない新規トランスグル
タミナーゼ産性能があることが分かった。また、この酵
素を用いることにより、タンパク質濃度1.0 重量%以上
のタンパク含有溶液又はスラリーをゲル化させてタンパ
クゲル化物を製造できることを見い出し、本発明を完成
するに至った。
【0011】すなわち、本発明は、Ca2+非依存性の、
ペプチド鎖内のグルタミン残基のγ−カルボキサミド基
のアシル転移反応を触媒する新規なトランスグルタミナ
ーゼに関する。この新規なトランスグルタミナーゼの作
用により、タンパク質濃度1重量%以上のタンパク含有
溶液又はスラリーをゲル化させることができる。
【0012】ストレプトベルチシリウム属の菌を具体的
に示すと、ストレプトベルチシリウム・グリセオカルネ
ウム(Streptoverticillium griseocarneum )IFO 1
2776,ストレプトベルチシリムム・シナモネウム・サブ
・エスピー・シナモネウム(Streptoverticillium cinn
amoneum sub sp. cinnamoneum )IFO 12852,ストレ
プトベルチシリウム・モバラエンス(Streptoverticill
ium mobaraense)IFO 13819等があげられる。
【0013】これら微生物を培養し、トランスグルタミ
ナーゼ(尚、以後BTGase と記す)を取得するための
培養法及び精製法等について述べる。
【0014】本発明を実施するにあたり、その培養形態
としては液体培養、固体培養いずれも可能であるが、工
業的には深部通気撹拌培養を行うのが有利である。
【0015】又、使用する栄養培地の培養源としては一
般に微生物培養に用いられる炭素源、窒素源、無機塩及
びその他の微量栄養源の他、ストレプトベルチシリウム
属に属する微生物の利用出来る栄養源であれば全て使用
出来る。培地の炭素源としてはブドウ糖、ショ糖、可溶
性デンプン「ラスターゲン」(商品名)、グリセリン、
デキストリン、澱粉等の他、脂肪酸、油脂、有機酸など
が単独で又は組合せて用いられる。窒素源としては無機
窒素源、有機窒素源のいずれも使用可能であり、無機栄
養源としては硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、尿
素、硝酸ソーダ、塩化アンモニウム等が挙げられる。
又、有機窒素源としては大豆、米、トウモロコシ、小麦
などの粉、糠、脱脂粕をはじめコーンスティープリカ
ー、ペプトン、肉エキス、カゼイン、アミノ酸、酵母エ
キス等が挙げられる。無機塩及び微量栄養素としてはリ
ン酸、マグネシウム、カリウム、鉄、カルシウム、亜鉛
等の塩類の他ビタミン、非イオン界面活性剤、消泡剤等
の菌の生育やBTGase の生産を促進するものであれば
必要に応じて使用出来る。
【0016】培養は好気的条件で、培養温度は菌が発育
しBTGase が産生する範囲であれば良く、好ましくは
25〜35℃である。培養時間は条件により異なるがBTG
aseが最も産生される時間まで培養すれば良く、通常2
〜4日程度である。
【0017】BTGase は液体培養では培養液中に溶解
されており、培養終了後培養液より固形分を除いた培養
ろ液より採取される。培養ろ液よりBTGase を精製す
るには通常酵素精製に用いられるあらゆる方法が使用出
来る。
【0018】例えば、エタノール、アセトン、イソプロ
ピルアルコール等の有機溶媒による処理、硫安、食塩等
による塩析、透析、限外ろ過法、イオン交換クロマトグ
ラフィー、吸着クロマトグラフィー、ゲルろ過、吸着
剤、等電点分画等の方法が使用出来る。又、これらの方
法を適当に組合せる事によりBTGase の精製度が上る
場合は適宜組合せて行う事が出来る。
【0019】こうしてこれらの方法によって得られた酵
素液に安定化剤として各種の塩類、糖類、蛋白質、脂
質、界面活性剤等を加え或いは加えることなく、限外ろ
過濃縮、逆浸透濃縮、減圧乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥の
方法を施すことにより液状又は固形の精製BTGase を
得ることが出来る。
【0020】BTGase の活性測定はベンジルオキシカ
ルボニル−L−グルタミニルグリシンとヒドロキシルア
ミンを基質としてCa2+非存在下で反応を行い、生成し
たヒドロキサム酸をトリクロロ酢酸存在下で鉄錯体を形
成させ 525nmの吸収を測定し、ヒドロキサム酸の量を検
量線より求め活性を算出する。
【0021】BTGase 活性は特に記載しないかぎり下
記第1表に示す試薬を用い、以下に記載する方法により
測定した。
【0022】
【表1】
【0023】酵素液の 0.05ml に試薬A 0.5mlを加えて
混合し37℃で10分間反応後、試薬B0.5mlを加えて反応
停止とFe錯体の形成を行った後 525nmの吸光度を測定
する。対照としてあらかじめ熱失活させた酵素液を用い
て同様に反応させたものの吸光度を測定し、酵素液との
吸光度差を求める。別に酵素液のかわりにL−グルタミ
ン酸γ−モノヒドロキサム酸を用いて検量線を作成し、
前記吸光度差より生成されたヒドロキサム酸の量を求
め、1分間に1μモルのヒドロキサム酸を生成する酵素
活性を1単位とした。
【0024】このようにして得られる精製BTGase の
酵素化学的性質を以下に述べる。尚、ストレプトベルチ
シリウム属内の菌株の種類によりBTGase の酵素化学
的性質について若干の相違点がみられるので、それぞれ
の菌株の生産するBTGase、即ちストレプトベルチシ
リウム・モバラエンス(Streptoverticillium mobaraen
se)IFO13819 のトランスグルタミナーゼ(BTG−
1と命名)、ストレプトベルチシリウム・グリセオカル
ネウム(Streptoverticillium griseocarneum)IFO 12
776のトランスグルタミナーゼ(BTG−2と命名)、
ストレプトベルチシリウム・シナモネウム・サブ・エス
ピー・シナモネウム(Streptoverticillium cinnamoneu
m sub sp. cinnamoneum )IFO 12852のトランスグル
タミナーゼ(BTG−3と命名)についての酵素化学的
性質を記載するとともに、それを包含したものをBTG
ase の酵素化学的性質とする。
【0025】a) 至適pH:5〜8付近 基質としてベンジルオキシカルボニル−L−グルタミニ
ルグリシンとヒドロキシルアミンを使用し、37℃、10分
反応で作用至適pH範囲を求めた。尚、BTG−1の至適
pHは5〜8付近にあり、BTG−2の至適pHは5.5〜
7.5付近にあり、BTG−3の至適pHは5.5〜7.
5付近にある(図1、図5、及び図9参照)。
【0026】b) 至適温度:45〜55℃付近 基質としてベンジルオキシカルボニル−L−グルタミニ
ルグリシンとヒドロキシルアミンを使用し、pH6、10分
反応での作用至適温度範囲を求めた。尚、BTG−1の
至適温度は55℃付近であり、BTG−2の至適温度は45
℃付近であり、BTG−3の至適温度は45℃付近にある
(図2、図6、及び図10参照)。
【0027】c) pH安定性:pH5〜9付近 37℃、10分間処理でのpH安定性を求めた。尚、BTG−
1はpH5〜9付近で安定であり、BTG−2はpH5〜9
付近で安定であり、BTG−3はpH6〜9付近で安定で
ある(図3、図7及び図11参照)。
【0028】d) 温度安定性 pH7で10分間処理での温度安定範囲を求めた。40℃では
80%以上、50℃では50〜80%の活性がそれぞれ残存し
た。尚、BTG−1は40℃では88%活性が残存し、50℃
では74%活性が残存し、BTG−2は40℃では86%活性
が残存し、50℃では56%活性が残存し、BTG−3は40
℃で80%活性が残存し、50℃では53%活性が残存する
(図4、図8、及び図12参照)。
【0029】e) 基質特異性 BTGase の各種合成基質とヒドロキシルアミンとの反
応を調べた。
【0030】合成基質がベンジルオキシカルボニルアス
パラギニルグリシン、ベンジルオキシカルボニルグルタ
ミン、グリシルグルタミニルグリシンの場合反応しな
い。
【0031】しかし、合成基質がベンジルオキシカルボ
ニルグルタミニルグリシンの場合の反応性は最も高い。
この時の各種合成基質濃度は5mMとした。
【0032】結果は第2表に示される。なお、同表中の
CBZはベンジルオキシカルボニル基の略であり、Gln
はグルタミル基の略であり、Glyはグリシル基の略であ
り、Asnはアスパラギニル基の略である。
【0033】
【表2】
【0034】f) 金属イオンの影響 活性測定系に1mM濃度になるように各種金属イオンを加
えて影響を調べた。
【0035】結果は第3表に示される。BTGase はC
2+,Zn2+により活性が阻害される。
【0036】
【表3】
【0037】g) 阻害剤の影響 各阻害剤を1mMになるように加え、25℃、30分放置後、
活性を測定した。
【0038】結果は第4表に示される。BTGase はパ
ラクロロマーキュリー安息香酸(PCMBと略する)、
N−エチルマレイミド(NEMと略する)、モノヨード
酢酸により活性が阻害される。
【0039】
【表4】
【0040】同表中PMSFはフェニルメチルスルホニ
ルフルオライドの略である。
【0041】h) 等電点: 8.9〜9.9 付近 アンホライン等電点電気泳動により求めた。尚、BTG
−1の等電点(pI)は9付近であり、BTG−2の等電
点(pI)は 9.7付近であり、そしてBTG−3の等電点
(pI)は 9.8付近である。
【0042】i) 分子量:約38,000〜約41,000 SDSディスク電気泳動法より求めた。尚、BTG−1
の分子量は約38,000であり、BTG−2の分子量は約4
1,000であり、BTG−3の分子量は約41,000である。
【0043】次に、BTGase とモルモット肝由来のト
ランスグルタミナーゼ(以後MTGase と記す)との性
質を比較する。尚、MTGase は特開昭58−149645号に
記載された方法で調製した。
【0044】第5表には各酵素化学的性質の比較を、第
6表にはCa2+の活性に及ぼす影響を示す。第5表及び
第6表より明らかのように、従来主として研究されてい
るMTGase とBTGase とでは酵素化学的性質におい
て種々の差が見られる。特に、Ca2+の存在下及び非存
在下のいずれにおいても本発明のBTGase は作用する
点等で明らかな差が見られる。従って、本発明のBTG
ase はMTGase とはその性質を明らかに異にするもの
であり、新規なトランスグルタミナーゼである。
【0045】
【表5】
【0046】
【表6】
【0047】次にBTGase を用いるタンパクゲル化物
の製法について述べる。
【0048】まず、基質となるタンパク質は、リジン残
基及びグルタミン残基を有し、上述の酵素の触媒をうけ
るものであれば、その起源、性状に制約されるものでは
なく、植物性タンパク質、動物性タンパク質、微生物タ
ンパク質、藻類タンパク質などいかなるものでも使用で
きる。植物性タンパク質としては特にその種類は限定し
ないが、例えば油糧種子の脱脂物及びそれらより分離し
たタンパク質などを挙げることができる。また、動物性
タンパク質としては、特にその種類は限定しないが、た
とえば乳タンパク、ゼラチン、コラーゲン、血清アルブ
ミン等を例示することができる。
【0049】また、本発明に用いる蛋白質としては前記
以外にもプロテアーゼなどで部分的に切断したタンパク
質、合成ペプチドおよび各種の化学修飾したタンパク質
でも、グルタミン残基、リジン残基を有する条件が満た
されれば、この酵素の基質とすることができる。
【0050】これらのタンパク質の1重量%以上、好ま
しくは3重量%以上の液体又はスラリーであれば、BT
Gase の添加により高粘性物、あるいはゲル状物が形成
され、1重量%以下であれば、溶液状又は沈殿状の架橋
高分子化物が得られる。BTGase はタンパク1gに対
して0.01〜2000ユニット添加、好ましくは 0.1〜200ユ
ニット添加、反応溶液のpHは4〜10、好ましくは5〜8
に調整し、5〜80℃、好ましくは40〜60℃で10秒〜24時
間、好ましくは10分〜2時間インキュベートすると架橋
高分子化物ないしはゲル状物を得ることができる。この
ように、本発明のBTGase は低い酵素濃度でゲル化で
きる(基質タンパク質1gあたり0.01ユニット以上あれ
ばよい)、及び低い基質濃度で使用できる(基質タンパ
ク質濃度1重量%以上であればよい)等の特徴を有する
新規な酵素である。
【0051】このBTGase 処理により十分なゲル化物
が得られるが、更に必要により反応終了後のゲル化物を
60〜200 ℃で1分間〜24時間加熱処理することにより更
に強固なゲル化物が得られる。このタンパク含有溶液は
単にタンパクと水との混合物に限らず、タンパク、水お
よび油脂を混合した水中油型又は油中水型エマルジョン
であってもよく、各種塩類、澱粉、少糖類、多糖類、香
料、保湿剤、着色料などもBTGase による架橋高分子
化及びゲル化を阻害しない範囲で適宜選択して添加する
ことができる。
【0052】またタンパク質の種類と量を調整すること
によって架橋高分子化物の架橋度を変えることができ、
これにより、生成するゲルの物性及び含水量を目的と用
途に応じて変えることができる。
【0053】
【実施例】以下に本発明の実施例について述べる。
【0054】実施例1 ストレプトベルチシリウム・モバラエンス(Streptover
ticillium mobaraense)IFO13819 を培地組成ポリペ
プトン 0.2%、グルコース 0.5%、リン酸二カリウム
0.2%、硫酸マグネシウム 0.1%からなる水性培地(pH
7) 200mlに接種し30℃、48時間培養し、得られた種培
養液をポリペプトン 2.0%、「ラスターゲン」 2.0%、
リン酸二カリウム 0.2%、硫酸マグネシウム 0.1%、酵
母エキス 0.2%、消泡剤としてポリオキシアルキレング
リコールの「アデカノール」(商品名、旭電化社製品)
0.05%からなる培地20L(pH7)に加え30℃で3日間培
養後ろ過し、培養液18.5L得た。このものの活性は0.35
ユニット/mlであった。
【0055】培養液を塩酸でpH6.5 に調製し、予め0.05
Mリン酸緩衝液(pH6.5)で平衡化しておいたメタアクリ
ル酸系ポーラス型陽イオン交換樹脂の「アンバーライト
CG−50」(商品名、ローム・アンド・ハース社製
品)のカラムに通した。この操作でトランスグルタミナ
ーゼは吸着された。さらに同緩衝液で不純蛋白質を洗い
流した後、さらに0.05〜0.5 Mの同緩衝液の濃度勾配を
つくり、通液して溶出液を分画回収し、比活性の高い分
画を集めた。
【0056】電導度を10ms以下になるように希釈後「ブ
ルーセファロースCL−6B」(商品名、ファルマシア
・ファインケミカル社製)のカラムに通した。この操作
でトランスグルタミナーゼは吸着された。更に0.05Mリ
ン酸緩衝液(pH7)で不純蛋白質を洗い流した後、0〜
1Mの食塩濃度勾配をつくり通液して溶出液を回収し比
活性の高い画分を集めた。
【0057】限外濾過膜の「AIL1010」(商品名、旭
化成工業(株)製)を使い濃縮し、0.5Mの食塩を含む
0.05Mリン酸緩衝液(pH7)を用いて平衡化させた。
【0058】得られた濃縮液を同緩衝液で予め平衡化し
ておいた「セファデックスG−75」(商品名、ファルマ
シア・ファインケミカル社製)を含むカラムに通し、同
緩衝液を流して溶出液を分画した。
【0059】この結果活性画分は単一のピークとして溶
出された。このものの比活性は培養ろ液に対し 625倍で
あり、回収率は47%であった。
【0060】実施例2 実施例1と同様にしてストレプトベルチシリウム・グリ
セオカルネウム(Streptoverticillium griseocarneum)
IFO 12776を30℃で3日間培養後ろ過し培養液19lを
得た。このものの活性は0.28u/mlであった 実施例1と同様な方法で酵素を生成してSDSディスク
電気泳動で単一の酵素を得た。
【0061】実施例3 実施例1と同様にしてストレプトベルチシリウム・シナ
モネウム・サブ・エスピー・シナモネウム(Streptover
ticillium cinnamoneum sub sp. cinnamoneum)IFO
12852を30℃で3日培養後ろ過し、培養液18.5Lを得
た。このものの酵素活性は 0.5u/mlであった。
【0062】実施例1と同様な方法で酵素を精製してS
DSディスク電気泳動で単一の酵素を得た。
【0063】実施例4 (1) 特開昭58-149645 号の実施例1に記載された方法に
より調製または購入した食品タンパク類、すなわち(1)
αS1−カゼイン、(2) Na−カゼイネート、(3) 大豆11
Sグロブリン、(4) 大豆7Sグロブリン、(5) 分離状大
豆タンパク「アジプロンS−2」(商品名、味の素
(株)製)、(6) 水抽出大豆タンパク、(7) 酸沈澱大豆
タンパク、(8) 大豆タンパク粒子、(9) 大豆タンパクミ
セル、(10)ゼラチンの各5および10重量%の水溶液また
は懸濁液5mlに、実施例1で調製したBTGase (凍結
乾燥品、比活性2.50u/mg protein)をタンパク1mg当
り0.02u加え、55℃、1時間振盪インキュベートした。
【0064】室温放置後、サンプルの入った試験管を倒
置し、流れ落ちるかどうかでゲル化を判定した。結果は
下記第7表に示した。
【0065】(2) BTGase の基質とするためウサギミ
オシンを次のように調製した。
【0066】Perry の方法(Perry, S.V. (1975), “Me
thods in Enzymology ”vol.2, pp.582-588, Academic
Press, New York )に従い、ウサギの骨格筋25gより3
倍量の0.45M KCl、5mM ATP−MgCl2 、50
mMリン酸緩衝液(pH 6.4)中で0℃、30分間ミオシンを
抽出し、以下希釈沈殿によって集め 0.5M KCl、20
mM Tris-maleate(pH7.5)溶液に透析し、105 ×gで60分
間遠心分離した上清を精製ミオシンとして使用した。
【0067】タンパク濃度は 1.5%であった。これに上
記(1) と同様の条件でBTGase を添加しゲル化能を調
べた。結果は下記第7表に示した。
【0068】(3) BTGase の基質とするためエビミオ
シンを次のように調製した。
【0069】新鮮(生)甘えび(体長約5cm)の皮をむ
きエビ屈曲筋肉をとり出し、ミンチ後、氷水洗浄し、更
に冷却下0.1mM DTT、0.1mM PMSF存在下でホモジ
ナイズし、遠心分離でアクトミオシンを抽出分離した。
更に105 ×gで60分間超遠心操作によりアクチンを除き
ミオシンに富んだ画分を得た。更に希釈沈殿/超遠心操
作を繰り返し、エビ精製ミオシンを得た。この精製ミオ
シンはCa−ATPase 活性がなくアクチンとの結合能
も消失していることから、変性ミオシンであることがわ
かった。
【0070】このタンパク濃度 3.6%の変性エビミオシ
ン溶液5ml(緩衝液、 0.5M KCl、5mM CaCl
2 、25mM Tris-HCl(pH 7.5)5mM DTT)に対し
3.6uのBTGase (実施例1と同様の方法で調製)を
添加し、35℃の水浴中に浸漬することによって反応を開
始し、最大35分間反応させた。
【0071】以上のゲル化能の実験結果をまとめると第
7表のようになった。
【0072】尚、比較例として、MTGase によるゲル
化能試験結果も示した。尚、MTGase の添加量は基質
たんぱく質1mg当り 0.1uとした。
【0073】
【表7】
【0074】実施例5 ゼラチン(新田ゼラチン製)に5.10重量%溶液となるよ
うに 0.1Mトリス−HClbuffer(pH7.6 )を加え、60
℃、3分で完全にゼラチンを溶解し、実施例4(1) にお
けると同じBTGase を0.02u/mgタンパク質加えよく
撹拌後37℃、1時間反応させた後、沸とう水浴中に10分
間加熱した直後の状態を観察した。
【0075】尚、BTGase を添加しない以外は全く同
一の処理をしたものを対照とした。結果は第8表に示し
た。
【0076】
【表8】
【0077】実施例6 BTGase の基質とするため、絹蛋白質水溶液を以下の
方法で調製した。脱脂ずみの絹糸2.33gを 9.3M臭化リ
チウム(LiBr)溶液 100mlに加え、40℃で一晩撹拌
すると絹糸は可溶化した。この溶液に対し吸引濾過、対
水透析を行い粗絹蛋白質水溶液(約2重量%)を得た。
【0078】予め試験管内に最終濃度が0.01u、0.02
u、0.04u/mgタンパク質となるように実施例4(1) に
おけると同じBTGase を入れておき、シェアリングに
よるゲル化をさけるため静かに絹蛋白質水溶液を加え
た。対照としてBTGase 未添加のものも用意した。
【0079】各々の試験管を室温で一晩放置後試験管内
の試料の状態を観察し第9表の結果を得た。
【0080】
【表9】
【0081】実施例7 市販牛乳(粗タンパク 2.9%)を約5倍(粗タンパク1
4.5%)に減圧濃縮して得た濃縮牛乳1Lに対して、実
施例4(1) に示したと同じBTGase を2u加えて撹拌
し、55℃、30分インキュベートした。生じたゲル状物を
80〜95℃、20分加温し残存酵素を失活させた後、冷却す
るとプリン状のゲル食品を得た。
【0082】要すれば、10%程度まで砂糖を添加しても
同様のゲル状物を得ることができた。
【0083】実施例8 市販牛乳(粗タンパク 2.9%、油脂 3.2%、水分89%)
を約5倍に減圧濃縮し、濃縮牛乳(約10L)とし、これ
に30%のグルコノデルタラクトン溶液 100mlを加え、速
やかに混合した後、pH6.0 以上であることを確認してか
ら、実施例4(1) に示したと同じBTGase を 100u加
えて、撹拌し、45℃、45分間インキュベーター中に静置
してゲル化させた。かかる後にゲルを壊わさないように
ゲルを80〜95℃迄加熱し、BTGase の失活とグルコノ
デルタラクトンのグルコン酸への分解を行ない、ゲルの
pHを4〜5に調整した。そして冷却後、カード状のゲル
を約8cm角にカッティングし、酸塩法で2%程度の塩濃
度にして Pen. caseicolum(ペニシリウム・カゼイコラ
ム)のスターターを接種し、15℃、3週間、RH85%で
熟成させ、チーズを得た。
【0084】尚、グルコノデルタラクトンを用いない場
合は、乳酸菌(Lactobacillus acidphillus,ラクトバチ
ルス・アシドフィラス)を添加し、BTGase でゲル化
後、40℃で2〜5時間発酵させても同じようなチーズが
得られた。
【0085】本法で得られるチーズは、高価な子牛のレ
ンネットを使用せずに製造することができ、またその物
性は、かなりしなやかな弾性をもつ品質の良いものであ
った。
【0086】実施例9 実施例8の濃縮乳(1L)を5℃前後に冷却して、 Str
eptococuss thermophillus(ストレプトコッカス・サー
モフィラス)からなるスターター(5%程度)をすばや
く添加混合し、更に実施例4(1) におけると同様のBT
Gase を1u(約0.01u/gタンパク質に相当)加えて
撹拌し、35℃、1時間インキューベーターの中で静置ゲ
ル化させた。次にゲル温度を50℃とし、この温度に40分
間保持し、S.thermophillus によって酸を生成せしめか
つフレーバーを増加せしめた後、更に75〜85℃に加温せ
しめBTGase を失活させた。
【0087】冷却すると軽い酸味を持つ品質の優れたヨ
ーグルト様食品が得られた。
【0088】実施例10 市販豆乳(明治乳業(株)製「サングロー豆乳」、粗タ
ンパク 3.1%)を約 2.5倍に減圧濃縮し、更に20℃以下
に冷却して得られた濃縮豆乳(粗タンパク7.75%)1L
に対し、実施例4(1) に示したと同様のBTGase を4
u(0.05u/gタンパク質に相当)加えてプラスチック
容器に充填し、フタをしシールした後、55℃の湯浴中で
30分加温し、酵素反応させゲル化した。しかる後に高周
波誘電加熱装置(電子レンジ、2450メガヘルツ、波長12
cm)を用いて加熱した。
【0089】通常の絹ごし豆腐、木綿豆腐と比較すると
しなやかで、型くずれしない品質の良い豆腐様ゲルがで
きた。
【0090】実施例11 丸大豆 6.5kgを20kg位の水に浸漬し、常温で1晩充分吸
水膨潤させたものを、水を加えながら磨砕機ですりつぶ
し「ご」を得た。これに更に水を25kg加え、ごを薄め少
量の消泡剤を添加し煮釜に移し、スチームを吹き込んで
加熱した。加熱条件は5分かけて 100℃まで上げ、3〜
5分保つ方法がよい。煮込み後おから絞り機でおからを
除き濃厚豆乳(粗タンパク 7.0%、油分 8.1%、水分75
%)30kg得た。
【0091】これに実施例4(1) に示したと同じBTG
ase を 200u(0.1u/gタンパク質に相当)加えて直ち
にケーシングチューブ(塩化ビニリデンチューブ)に充
填し、37℃、30分湯浴中で加熱した。次に90℃以上の湯
浴中に移し、加熱(30〜60分)し、流水中で豆腐様ゲル
を得た。
【0092】実施例12 第10表のレシピーでカマボコを試作し、レオメーター
(不動工業(株)製)による物性測定と官能評価(n=
10)を実施した。なお、BTGase は実施例4(1) にお
けると同様のものを使用したが、その添加量はすり身乾
物1gに対して20uであり、酵素反応はBTGase 無添
加のコントロールのすわり工程と同様に34℃、2時間と
し、反応終了後85℃、30分間加熱して製品とした。
【0093】
【表10】
【0094】物性測定および官能評価の結果を第11表
及び第12表に示す。
【0095】
【表11】
【0096】
【表12】
【0097】以上のようにBTGase を添加して試作し
たカマボコは筋原線維蛋白質の間にε−(γ−Glu)L
ys架橋が生成するためコントロールに比べて破断強度が
増し、好ましい食感となることがわかった。
【0098】実施例13 第13表のレシピーでソーセージを試作し、レオナー
((株)山電製)による物性測定と官能評価(n=10)
を実施した。なお、BTGase は実施例4(1) における
と同様のものを使用したが、その添加量は豚肉乾物1g
に対して1uであり、酵素反応は55℃、2時間とし、反
応終了後、80℃、30分間加熱して製品とした。尚、BT
Gase を添加しないものをコントロールとした。
【0099】
【表13】
【0100】物性測定および官能評価の結果を第14表
及び第15表に示す。
【0101】
【表14】
【0102】
【表15】
【0103】以上のようにBTGase を添加して試作し
たソーセージは、BTGase のゲル形成能によりコント
ロールに比べて粘弾性に富んだ歯ごたえの好ましい食感
となることがわかった。
【0104】実施例14 下記第16表のレシピーでホイッピング・クリームを試
作し、絞り出し特性を評価した。なお、BTGase は実
施例4(1) におけると同様のものを使用したが、その添
加量はカゼイン・ナトリウム乾物1gに対して1uであ
り、ホイップ操作は万能混合撹拌機((株)三栄製作所
製)を用い、7〜9℃で実施した。尚、BTGase 無添
加のものをコントロールとした。
【0105】
【表16】
【0106】それぞれのホイッピング・クリームを用い
てガラス板上に花柄を描いて状態を観察したところ、B
TGase を添加したホイッピング・クリームでは画線の
鋭い造花が可能となった。
【0107】実施例15 下記第17表のレシピーでアイスクリームを試作し室温
に置いた時の形態変化を観察し、メルトダウン耐性を評
価した。
【0108】なお、BTGase は実施例4(1) における
と同様のものを使用したが、その添加量は脱脂粉乳乾物
1gに対して25uであり、酵素反応はアイスクリームミ
ックスの殺菌工程(68℃、30分間)で実施した。殺菌
後、5℃で一晩エージングさせたアイスクリームミック
スをアイスクフリーザー(三菱重工(株)製)を用い、
品温−2〜4℃でオーバーラン90%までフリージングを
行い、コーンに充填後、−40℃で硬化させ製品とした。
【0109】尚、BTGase を添加しない以外は全く同
様の操作を行って試作したアイスクリームをコントロー
ルとした。
【0110】
【表17】
【0111】コントロールは室温静置後15分で形崩れし
てしまったが、BTGase を添加したアイスクリームは
30分以上も形崩れを起こさず、しかもコントロールと同
様、滑らかな口ざわりをしていた。
【0112】実施例16 試験管内に所要量の牛皮由来アテロコラーゲン粉末(高
研(株)製)をとり、0.1M Tris-HClバッファー(p
H 7.5)2mlを加え、55℃の水浴中に15分間保持した後
撹拌することにより3〜10%アテロコラーゲン溶液を調
製した。高濃度溶液が冷却によるゲル化をおこさないう
ちに実施例4(1) におけると同様のBTGase を0.05u
/mgタンパク質となるよう添加し、55℃で60分間インキ
ュベートした。全体のコントロールとしてBTGase を
添加しない10%アテロコラーゲン溶液についても同様に
インキュベートした。インキュベート終了直後、室温で
60分放置後、更にその後 100℃の水浴中に15分保持後に
試験管内の様子を観察した。
【0113】その結果を下記第18表に示した。
【0114】
【表18】
【0115】実施例17 生オキアミ凍結肉(大洋漁業(株)製)1kgをフローズ
ンカッターにより細砕し、これに食塩30g、ソルビトー
ル(味の素(株)製) 100g、新ねり味(味の素(株)
製)50g、みりん40g、黒レイショ澱粉50gを加えさら
に2000uのBTGase (実施例4(1) におけると同様の
もの)を 300mlの冷水に可溶化後加えて、ステファン社
製カッターにて約6分混練した。混練直後の温度は5〜
6℃に制御した。
【0116】このオキアミ肉ペーストを塩化ビニリデン
製のケーシングチューブ(クレハ化学(株)製)に充填
し、50℃にて、1時間インキュベート後、沸とう湯浴中
で25時間加熱した。加熱後流水中で冷却した後、物性測
定をした。即ちサンプルを厚さ3cmに切断し、直径7mm
の球形プランジャーを使用して、不動工業社製レオメー
ターにて測定を行ない、破断強度を求めた。尚、コント
ロールは、BTGaseを予め、高温加熱変性して失活せ
しめたものを用い、同様の方法で調製した。
【0117】その結果を下記第19表に示した。
【0118】
【表19】
【0119】すなわち、BTGase を加えたオキシアミ
肉のかまぼこ試作品はBTGase を予め失活したコント
ロール区よりも格段に高い破断強度を示すことが認めら
れた。
【0120】実施例18 第20表のレシピーでうどんを作り、官能評価(n=1
5)と物性測定を実施した。
【0121】
【表20】
【0122】BTGase は実施例4(1) におけると同様
のものを使用したが、その添加量はタンパク質1g当た
り1uとし、室温で2時間酵素反応を行なった後、製麺
した。
【0123】官能評価および物性測定は12分間ゆでたう
どんで行なった。物性測定に用いた麺の長さは7cm、レ
オメーター(不動工業社製)を用いて引張り試験を行な
い破断強度と破断するまでの伸びを測定した。結果を第
21表及び第22表に示した。
【0124】
【表21】
【0125】
【表22】
【0126】官能評価、物性測定の結果はよく一致して
おり、BTGase を添加することにより、グルテン分子
の間に架橋構造が生成し、シコシコした讃岐うどんに近
い食感の麺が出来ることが明らかになった。
【0127】実施例19 第23表のレシピーでスパゲティを作り、官能評価(n
=15)と物性測定を実施した。
【0128】
【表23】
【0129】BTGase は実施例4(1) におけると同様
のものを使用したが、その添加量は蛋白質1g当たり1
uとし、室温で2時間酵素反応を行なった後、パスタマ
シン(ラッキーコーヒーメーカー社製)で製麺した。
【0130】官能評価および物性測定は5分30秒ゆでた
麺で行なった。物性測定に用いた麺の長さは7cm、レオ
メーター(不動工業製)を用いて引張り試験を行ない、
破断強度と破断するまでの伸びを測定した。結果を第2
4表及び第25表に示した。
【0131】
【表24】
【0132】
【表25】
【0133】BTGase をスパゲティに作用させても第
24表のように食感に大きな変化は生じなかったが、製
造工程でミキシングした粉がサラサラしており、スクリ
ューへのフィーディングがスムーズでシリンダー内の発
熱が少ないなど作業性が大幅に改善された。
【0134】
【発明の効果】本発明の微生物由来のBTGase は安価
に供給され、かつ精製も容易であるので実用性が大であ
る。
【0135】また、BTGase を用いることにより、カ
ルシウム非存在下で又カルシウム存在下でも酵素(BT
Gase )濃度及び基質濃度が非常に低いところで品質の
優れたゲル化物を製造できるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明のBTG−1の至適pH曲線を示す。
【図2】本願発明のBTG−1の至適温度曲線を示す。
【図3】本願発明のBTG−1のpH安定曲線を示す。
【図4】本願発明のBTG−1の温度安定曲線を示す。
【図5】本願発明のBTG−2の至適pH曲線を示す。
【図6】本願発明のBTG−2の至適温度曲線を示す。
【図7】本願発明のBTG−2のpH安定曲線を示す。
【図8】本願発明のBTG−2の温度安定曲線を示す。
【図9】本願発明のBTG−3の至適pH曲線を示す。
【図10】本願発明のBTG−3の至適温度曲線を示
す。
【図11】本願発明のBTG−3のpH安定曲線を示
す。
【図12】本願発明のBTG−3の温度安定曲線を示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野中 雅彦 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社中央研究所内 (72)発明者 田中 晴生 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社中央研究所内 (72)発明者 内尾 良輔 東京都中央区京橋1−5−8 味の素株式 会社内 (72)発明者 松浦 明 愛知県春日井市松本町539−2 (72)発明者 安藤 裕康 愛知県江南市古知野町千丸221 (72)発明者 梅田 幸一 岐阜県羽島郡笠松町北及字北山1984−25

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペプチド鎖内のグルタミン残基のγ−カ
    ルボキサミド基のアシル転移反応を触媒するトランスグ
    ルタミナーゼであって、Ca2+に非依存性であり、至適
    pHが5〜8付近にあり、pH5〜9付近で安定であ
    り、ベンジルオキシカルボニルグルタミニルグリシン、
    ベンジルオキシカルボニルグルタミニルグリシンエチル
    エステル、ベンジルオキシカルボニルグルタミニルグル
    タミニルグリシン、ベンジルオキシカルボニルグリシル
    グルタミニルグリシルグリシン、ベンジルオキシカルボ
    ニルグリシルグリシルグルタミニルグリシンのいずれか
    に作用する性質を有することを特徴とする新規なトラン
    スグルタミナーゼ。
  2. 【請求項2】 微生物より得られることを特徴とする請
    求項1記載の新規なトランスグルタミナーゼ。
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