JP3536503B2 - トランスグルタミナーゼを用いる水産練り製品の製造法 - Google Patents
トランスグルタミナーゼを用いる水産練り製品の製造法Info
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し、この原料魚肉にトランスグルタミナーゼと蛋白部分
加水分解物を添加し、低温条件下で作用させることを特
徴とする水産練り製品の製造法に関する。
な製造法には、原料魚肉の解砕、荒摺り、塩摺り、本摺
り、充填、坐り、本蒸しの工程がとられる。ここで坐り
工程は、その処理温度で低温坐りと高温坐りに大別され
る。高温坐りにより調製した蒲鉾等の水産練り製品はそ
の性質上、擂り身に対して加水量を増やすことができな
い為に製造コストが高いという問題を有するが、その食
感は弾力があり、しなやかなもの(あしのある蒲鉾)が
得られるという利点がある。一方、低温坐りで調製した
蒲鉾等の水産練り製品は、高温坐りにより調製した製品
に比べ、製造コストは安いが、その食感は弾力かつ、し
なやかさに劣るという欠点がある。また、低温坐りに於
いて、摺り身に対して加水量を増やした場合、通常カル
シウム製剤などを添加するが、それによって最終製品は
更にしなやかさを欠いたもろい製品となってしまうとい
う問題がある。
従来の低温坐りで製造した弾力、しなやかさの低い水産
練り製品に対して、高温坐りで製造したような弾力、し
なやかさを付与することを目的とする。この目的が達成
されるならば、現在の低温坐りで調製された場合には得
られない、硬力がありかつしなやかな製品を安価で提供
できる。
解決する為に鋭意検討を重ねた結果、蒲鉾等の水産練り
製品の製造工程において魚肉摺り身にトランスグルタミ
ナーゼと蛋白部分加水分解物を作用させるた後に低温で
坐らせることによって、弾力としなやかさを向上させる
ことが可能になることを見いだし、本発明を完成するに
至った。即ち、本発明は魚肉摺り身にトランスグルタミ
ナーゼ及び蛋白部分加水分解物を添加して、0〜30℃
の低温条件下で坐りを行った後、加熱することを特徴と
する水産練り製品の製造法である。本発明による蒲鉾等
の水産練り製品の改質効果は極めて顕著であって、同等
のグレードの摺り身を使用した高温坐り製品に匹敵する
ものである。
ためトランスグルタミナーゼ及び蛋白部分加水分解物を
塩摺り工程後に添加して低温坐りを行う以外は、通常の
蒲鉾、ちくわ、揚げ釜等の製造法に従って製造すれば良
い。トランスグルタミナーゼの添加使用量は、原料魚肉
擂り身1g当たり0.05〜30ユニット、好ましくは
0.1〜10ユニットである。0.05ユニット以下では
該酵素を添加した効果が発揮できず、又30ユニット以
上では魚肉蛋白が凝集化現象を示し、離水しやすくな
り、最終製品である蒲鉾等の水産練り製品に弾力、しな
やかさを奪うことになり好ましく無い。
件、即ち低温坐りの条件は、通常の低温坐りの範囲であ
る0〜30℃、好ましくは5〜25℃の範囲で行えば良
い。又、作用時間は温度によって異なるが、通常1時間
〜48時間、好ましくは10〜24時間である。尚、酵
素反応が過度に進行するのを防ぐために、坐り工程後所
定の温度で加熱する等により、酵素を失活させる。
ウム非依存性のものとカルシウム依存性のものとがあ
る。前者の例としては、ストレプトベルチシリウム属な
どに属する微生物由来のもの(例えば、特開平1−27
471号参照)を挙げることができる。後者の例として
は、モルモット肝臓由来のもの(特公平1−50382
号参照)、魚由来のもの(例えば、関信夫、日本水産学
会誌第5巻、第1号125ー132頁、1990年参
照)、血液中の存在するもの(Factor XIIIとも言われ
ることがある)等をあげることができる。この他、遺伝
子組換えにより製造されるもの(例えば、特開平1−3
00889号、特開平5ー199883号、特開平6ー
225775号参照)等をあげることができる。本発明
において、これらいずれのトランスグルタミナーゼでも
用いることができ、起源および製法に制限されるとこと
はない。但し、機能性及び経済性の点から、カルシウム
非依存性のものが好ましい。例えば、上述の微生物由来
のトランスグルタミナーゼ(前掲特開平1−27471
号参照)はいずれの条件を満足するものであり、現時点
では最適といえる。
その原料は問わず、ゼラチン、コラーゲン、大豆蛋白、
乳蛋白、小麦蛋白、米蛋白等を用いることができる。し
かし、通常は小麦、乳たん白、大豆蛋白を原料とすれば
よい。小麦蛋白部分加水分解物は、小麦グルテンを酵
素、酸、アルカリ等により限定加水分解されたものを用
いれば良い。また、特に制限はないが、通常は脱アミド
化率が5〜70%の範囲のもの、平均分子量が500〜
11万程度の範囲のものを小麦蛋白部分加水分解物とし
て用いればよい。尚、脱アミド化率とはタンパク質を酵
素、酸、アルカリの触媒作用によって加水分解して生成
するα−アミノ酸の生成度合いを表す指標である。
を酵素、酸、アルカリ等により限定加水分解されたもの
を用いればよい。また、特に制限は無いが、通常は平均
分子量が300〜1万程度の範囲のものを用いればよ
い。また、大豆蛋白部分加水分解物は、酵素、酸、アル
カリ等により限定加水分解されたものを用いればよい。
また、特に制限は無いが、通常は平均分子量が300〜
1万程度の範囲のものを用いればよい。
り身100gあたり通常0.005〜10g、好ましく
は0.05〜1.0gの範囲である。添加量が前記範囲
より少ない場合には蒲鉾等の最終製品にしなやかさの付
与ができない。前記範囲を越える場合には、蒲鉾等の最
終製品が柔らかくなるなどの不都合が生じ、いずれも本
発明の目的を充分に達成することはできない。
製品の製造方法について例示し、説明する。スケトウタ
ラ等の冷凍摺り身(SA級)を解凍する。次に、例えば
フードカッターに入れ、軽く1分程度荒摺りをする。そ
の後、摺り身に対して食塩を3%及び氷水を約40〜1
00%加え、さらに1〜2分間混合する。次いでトラン
スグルタミナーゼと蛋白加水分解物、必要に応じて澱
粉、調味料等を加え約5〜10分間混合する。これらの
混合処理は、最終製品の食感維持のためには常に15℃
以下、好ましくは10℃以下で行うのが好ましい。
えば、板付き蒲鉾であれば半円状に、竹輪であれば中空
の棒状に楕円状に成形し、そしてケーシング蒲鉾であれ
ばケーシングに充填する、等である。得られた生成物を
低温坐りに供する。この間にトランスグルタミナーゼを
作用させる訳である。低温坐りの条件は上述したよう
に、通常0〜30℃、好ましくは5〜25℃の範囲で行
えば良い。又、坐りを行わせる時間は温度によって異な
るが、通常1時間〜48時間、好ましくは10〜24時
間である。尚、一般には15℃ならば1晩、5℃ならば
24時間、の条件で坐り処理を行っている。
活させる為に加熱する。加熱処理条件は水産練り製品の
種類により異なるが、例えば、板付き蒲鉾であれば約8
0℃で40分、竹輪であれば85℃以上で30分程度、
揚げ蒲であればフライヤー中180℃で10分程度、等
である。上記加熱処理条件は一つ目安であり、適宜定め
ればよい。いずれにしてもトランスグルタミナーゼが失
活すれば足りるのである。
の活性単位は、次のようなハイドロキサメート法により
測定され、かつ定義される。即ち、ベンジルオキシカル
ボニル−L−グルタミルグリシンとヒドロキシルアミン
を基質として反応を行い、生成したヒドロキサム酸をト
リクロロ酢酸存在下で鉄錯体を形成させた後、525n
mの吸光度を測定し、ヒドロキサム酸の量を検量線より
求め、活性を算出する。(前掲特開平1−27471公
報参照)。
内にあるグルタミン残基のγ−カルボキシアミド基のア
シル転移反応を触媒する酵素である。このトランスグル
タミナーゼは、アシル受容体としてタンパク質中のリジ
ン残基のε−アミノ基が反応すると、タンパク質分子内
及び分子間においてε−(γ−Glu)−Lys架橋結
合(以下、G−L結合と略す)が形成される。また、水
がアシル受容体として機能するときは、グルタミン残基
が脱アミド化されてグルタミン酸残基になる反応を進行
させる酵素である。
解物を用いることにより、低温坐りにおいても従来にな
い弾力、しなやかさに優れた蒲鉾等の水産練り製品を得
ることが可能になる。本発明により得られて水産練り製
品は、低加水の高温坐り練り製品と同等の食感を有し、
かつ風味、味とも優れた製品である。
明する。本発明の技術的範囲は、もちろん実施例によっ
て限定されるものではない。なお、実施例中の部は特に
拘らない限り重量部の略記である。
摺り身を500部解砕後、解凍した。これに食塩3部、
澱粉5部、みりん1部、調味料等2部、トランスグルタ
ミナーゼ(味の素(株)製の商品名「アクティバT
G」)0.5部(これは魚肉擂り身1g当たり0.1ユニ
ット添加したことになる)、蛋白部分加水分解物(小麦
蛋白加水分解物:商品名「グルパール30」、平均分子
量66000、片山化学工業社製)を0.3部を添加
し、混合後15℃で16時間低温坐りを行った。その
後、85℃で30分間加熱してケーシング蒲鉾を調製し
た。尚、この加熱によりトランスグルタミナーゼは失活
した。
25℃としてからレオメータを用いて蒲鉾ゲルの破断強
度(g/cm2)及び凹み(mm)を測定した。破断強
度の数値が高い程弾力があり、凹みの数値が高い程しな
やかと言える。尚、トランスグルタミナーゼ及び蛋白部
分加水分解物を添加しない以外は、全く同じ方法で調製
したものをコントロールとした。また、本製品及びコン
トロールを訓練された10名の専門パネルによる官能検
査に供し、弾力、しなやかさ、風味の好ましさ、食感の
好ましさを評価した。官能評価はそれぞれの項目を10
点満点で評価し、10人のパネルの平均点を表示した。
0点はそれぞれ、「弾力がない」、「しなやかでな
い」、「風味が好ましくない」及び「食感が好ましくな
い」を示す。又、10点は「弾力がある」、「しなやか
である」、「風味が好ましい」及び「食感が好ましい」
を示す。5点は「ふつう」を意味する。破断強度、凹み
及び官能評価の測定結果は表1に示した。尚、表1中
「風味」とは「風味の好ましさ」、「食感」とは「食感
の好ましさ」の事である。
摺り身を500部解砕後、解凍した。これに食塩3部、
澱粉5部、みりん1部、調味料等2部、トランスグルタ
ミナーゼ(味の素(株)製の商品名「アクティバT
G」)0.5部(これは魚肉擂り身1g当たり1.0ユニ
ット添加したことになる)、蛋白部分加水分解物(乳蛋
白部分加水分解物:商品名「C3500」、平均分子量
570、森永乳業社製)0.3部を添加し、15℃で1
6時間坐りを行った。その後、85℃で30分間加熱し
てケーシング蒲鉾を調製した。尚、この加熱によりトラ
ンスグルタミナーゼは失活した。
25℃としてからレオメータを用いて蒲鉾ゲルの破断強
度(g/cm2)及び凹み(mm)を測定した。破断強
度の数値が高い程弾力性があり、凹みの数値が高い程し
なやかと言える。尚、トランスグルタミナーゼを添加し
ない以外は、全く同じ方法で調製したものをコントロー
ルとした。また、実施例1と同じように、本製品及びコ
ントロールを訓練された10名の専門パネルによる官能
検査に供し、弾力性、しなやかさ、風味の好ましさ、食
感の好ましさを評価した。破断強度、凹み、官能評価の
結果を表2に示した。
摺り身を500部解砕後、解凍した。これに食塩3部、
澱粉5部、みりん1部、調味料等2部、トランスグルタ
ミナーゼ(魚肉擂り身1g当たり0.2ユニット添加し
たことになる)、蛋白部分加水分解物(大豆白蛋白部分
加水分解物:商品名「ハイニュートR」、平均分子量7
00、不二製油社製)0.3部を添加し、15℃で16
時間坐りを行った。その後、85℃で30分間加熱して
ケーシング蒲鉾を調製した。この加熱によりトランスグ
ルタミナーゼは失活した。蛋白部分加水分解物を添加し
ない以外は、全く同じ方法で調製したものをコントロー
ルとした。また、実施例1と同じように、本製品及びコ
ントロールを訓練された10名の専門パネルによる官能
検査に供し、弾力性、しなやかさ、風味の好ましさ、食
感の好ましさを評価した。破断強度、凹み、官能評価の
結果を表3に示した。
分解物を用いることによって、従来の低温坐りにより得
られる蒲鉾等の水産練り製品に比べて、弾力、しなやか
さとも向上させることが可能となった。さらに、加水率
を向上させても弾力、しなやかさの効果は低減せず経済
性の面からも、従来の低温坐りによる蒲鉾等の水産練り
製品に高温坐り的な食感を付与することが可能となっ
た。
Claims (3)
- 【請求項1】 魚肉摺り身にトランスグルタミナーゼ及
び蛋白部分加水分解物を添加して、0〜30℃の低温条
件下で坐りを行った後、加熱することを特徴とする水産
練り製品の製造法。 - 【請求項2】 蛋白部分加水分解物が小麦グルテン、乳
蛋白、大豆蛋白由来のものであることを特徴とする請求
項1記載の水産練り製品の製造法。 - 【請求項3】 水産練り製品が蒲鉾であることを特徴と
する請求項1記載の製造法。
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---|---|---|---|
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JPH09206031A JPH09206031A (ja) | 1997-08-12 |
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Family Applications (1)
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-
1996
- 1996-02-08 JP JP02259796A patent/JP3536503B2/ja not_active Expired - Fee Related
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