JP2540919B2 - 油揚げの製造方法 - Google Patents

油揚げの製造方法

Info

Publication number
JP2540919B2
JP2540919B2 JP63253478A JP25347888A JP2540919B2 JP 2540919 B2 JP2540919 B2 JP 2540919B2 JP 63253478 A JP63253478 A JP 63253478A JP 25347888 A JP25347888 A JP 25347888A JP 2540919 B2 JP2540919 B2 JP 2540919B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protein
fried
dough
btgase
btg
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP63253478A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH02100647A (ja
Inventor
孝彦 添田
雅彦 野中
伸昌 高木
秀雄 川尻
浩子 木幡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ajinomoto Co Inc filed Critical Ajinomoto Co Inc
Priority to JP63253478A priority Critical patent/JP2540919B2/ja
Publication of JPH02100647A publication Critical patent/JPH02100647A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2540919B2 publication Critical patent/JP2540919B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Beans For Foods Or Fodder (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、植物蛋白にトランスグルタミナーゼを作用
させる工程を含む方法により油揚げ生地を製造し、この
生地を油して油揚げを製造する方法に関する。
(従来技術、発明が解決しようとする問題点) 油揚げの製造法に関する特許出願は数多くみられる
が、なお問題点として、油時の膨化が少なくしかも均
一に行なわれないことに起因するサイズのばらつきが大
きいこと、油揚げの中心部に豆腐層の芯が形成され難
く、このため内材となるべき豆腐層としての品質が著し
く劣り、イナリ寿司用として中心から裂こうとしても両
外皮間が裂けにくく破けてしまいやすいこと、などがあ
げられる。
(問題点を解決するための手段、発明の効果) 本発明者は、上記問題を解決すべく鋭意研究の結果、
植物蛋白にトランスグルタミナーゼを作用させる工程を
含む方法により油揚げ生地を製造し、この生地を油し
て油揚げを製造すれば、得られる油揚げは、膨化の割合
が大きくしかもサイズのばらつきも小さく、また、中心
に豆腐の層を多く残すため両外皮間を容易に開くことが
でき、かつ機械的強度が大であって破けにくいのでイナ
リ寿司用として優れていることを見出し、この知見に基
づき本発明を完成した。
以下、本発明の方法を、その実施態様に分けて、逐次
説明する。
大豆を原料とし、これより豆乳液を製造し、これに凝
固剤を作用させて蛋白凝固物を製造し、この凝固物を油
揚げ生地に加工し、この生地を油して油揚げを製造す
る方法は当業者に周知であって、その製造工程の概要は
例えば、次のようにあらわすことができる(太田静行他
著「フライ食品の理論と実際」((株)幸書房昭和51
年)第260頁参照)。
(丸大豆)−水浸漬−磨砕−消泡剤及び水添加−加熱
−おから除去(豆乳液)−凝固剤添加−(蛋白凝固物)
−ゆとり−箱盛−押し−箱出し−切断−油(二段フラ
イ)−冷却−(製品) 本発明の第1の実施態様は、上記製造工程に準ずるも
のである。因みに、上記製造工程中、大豆から蛋白凝固
物を得るまでの工程が大豆を原料とする豆腐の製造法に
準ずることは、これまた当業者に周知のことである。
本発明のこの実施態様が上記製造工程と本質的に異な
るところは、トランスグルタミナーゼ(以下、TGaseと
略記することがある。)を、従来の凝固剤に代えて又は
従来の凝固剤と共に、豆乳液に作用させて蛋白凝固物を
得ることである。そこで、これを中心にして詳しく説明
する。
本発明で使用するトランスグルタミナーゼは、特に起
源を問わず、例えばモルモットの肝臓から分離したもの
(以下、MTGaseと略記することがある)、微生物が産生
するもの(以下、BTGaseと略記することがある)を挙げ
ることができる。前者のMTGaseは、例えば、特開昭58−
14964号に記載の方法で調製することができる。後者のB
TGaseは、新規酵素であって、本発明者の一部が発明者
として関与した発明(特願昭62−165067)に係わるもの
で、その酵素特性、製造法等については別項に記載す
る。
凝固処理条件は、次の通りである。
i) 豆乳液蛋白質濃度:3〜10%、好ましくは4〜7
%、 ii) TGase濃度:0.1〜10u/g蛋白、好ましくは1〜5u/g
蛋白、 iii) TGaseと併用する場合の凝固剤:一般に豆腐調製
に用いられるもの全て、例えば硫酸カルシウムの各種水
和物、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、天然ニガ
リ、グルコノデルタラクトン(GDL)等の凝固剤を従来
量で例えば濃度0.1〜5%となるように添加使用、 iv) 凝固温度:TGaseの作用温度を考慮して80℃以下、
好ましくは40〜70℃、 v) 凝固反応の時間:1分〜3時間、好ましくは5〜6
分。
凝固剤は、使用しなくてもよいが、TGaseと併用する
方が生地成型のしやすさの点から好ましい。
TGaseの使用量は、上記のように0.1〜10u/g豆乳蛋白
の範囲内である。0.1u以下では得られる油揚げはTGase
を使用しない場合と差がなく、10u以上では膨化が抑制
され、得られる油揚げはかたく、クッキー様となり不適
である。
TGaseがMTGaseのように特定物質依存性の場合は、そ
の物質をTGaseと共存させることはもちろんである。
なお、凝固処理時に本発明の効果を阻害しない範囲で
従来豆腐の調製に使用されている乳化剤等の各種添加物
を加えてもよいことは勿論である。
蛋白凝固物を油揚げ生地に加工するのは、従来法でよ
い。
油は二段フライによる。第一段目は、生地を膨化さ
せるためのもので、約95〜110℃で約4〜8分保持する
ことにより、第二段目は、膨化状態を固定するためのも
ので、第1段目より高温ですなわち約170〜200℃で約5
〜8分保持することにより行なう。
第2の実施態様は、第1の実施態様における大豆を直
接原料とする豆乳液の代りに全脂豆乳粉末、又は分離大
豆蛋白、濃縮大豆蛋白、脱脂大豆蛋白、抽出大豆蛋白等
の大豆蛋白を原料として調製される豆乳液を使用するも
ので、これ以外は全て第1の実施態様の製造工程と同じ
でよい。
全脂豆乳粉末から調製される豆乳液は、豆乳粉末に加
水し(7〜15倍量、好ましくは9〜11倍量)、加熱・撹
拌し(2〜10分かけて100℃近辺とし、そのまま2〜10
分保つ)、放冷することによって得ることができる。ま
た、大豆タンパクから調製される豆乳液は、タンパク含
量例えば45%以上の大豆タンパクに水、例えば植物油等
の油脂、必要に応じてデンプン、及び各種乳化剤を加え
て乳化、加熱することによって得ることができる。
第3の実施態様は、トランスグルタミナーゼを加え
た、植物蛋白と水との混練物を成型加工して油揚げ生地
とし、この生地を上記の二段フライにより油するもの
である。この混練物に食用油をも加えるのが油時の膨
化のしやすさの点から好ましい。
植物蛋白は、その蛋白含量が45重量%以上であるもの
が操作性及び膨化の点から好ましい。本発明で使用でき
る植物蛋白としては分離大豆蛋白、濃縮大豆蛋白、抽出
大豆蛋白、脱脂大豆蛋白等の大豆系、バイタルグルテン
等の小麦系などを例示することができる。
水の使用量は、植物蛋白1重量部に対し、1.5〜4.0重
量部、好ましくは2.5〜3.5重量部である。水の使用量が
すくな過ぎると生地成型時の操作がかたすぎて困難とな
り、多過すぎると生地がだれて困難となる。
食用油を使用する場合は、その使用量は、植物蛋白1
重量部に対して0.1〜1.0重量部、好ましくは0.2〜0.5重
量部である。使用量がすくな過ぎるとフライ物はバサバ
サとなり、多過ぎるとフニャフニャとなる。食用油とし
ては、パーム油、ラード等の固形脂又は大豆油、ナタネ
油、コーン油、ひまわり油、オリーブ油更にはサラダ油
等の液体油脂を用いることができる。
トランスグルタミナーゼの使用量は、植物蛋白1g当り
0.1〜10u、好ましくは1〜5uであるとは、実施態様1に
関して前述したところと同様である。
上記原料すなわち植物蛋白、水、所望による食用油、
及びTGaseの混練は、通常の畜魚肉加工食品製造工程に
用いられるものでよく、サイレントカッター、ニーダー
などの混練機を用いることができる。例えば、サイレン
トカッターを用いる時には1500rpm程度では10〜30分、3
000rpm程度では7〜15分混練すれば充分である。この混
練時に、正油、グルタミン酸ソーダなどの調味料または
香辛料などを、品質に影響を及ぼさない範囲内で添加す
ることも可能である。
混練して得られた蛋白乳化物の油揚げ生地への成型加
工は、次のように行なう。まず、蛋白乳化物を適当な厚
さ例えば、約5mm、適当なサイズ、形状に成型する。つ
いで、この成型物を常温乃至60℃程度で30分乃至3時間
程度坐わらせる。こうすることによって、膨化が容易と
なる。
このようにして成型加工して得られる油揚げ生地を油
する。油は、前述の実施態様に関して説明したと同
じ二段フライにより行なう。
因みにTGaseを使用しないこと以外は同様の原料を用
いて類似の方法で油揚げを製造する方法が特公昭58−42
751号明細書に開示されているが、この方法によって得
られる油揚げの品質は未だ十分とは云い難い。
(新規トランスグルタミナーゼBTGase) (1)トランスグルタミナーゼとその由来 トランスグルタミナーゼ(TGase)は、ペプチド鎖内
にあるグルタミン残基のγ−カルボキシアミド基のアシ
ル転移反応を触媒する酵素である。このTGaseは、アシ
ル受容体としてタンパク質中のリジン残基のε−アミノ
基が作用すると、分子内及び分子間にε−(γ−Glu)
−Lys架橋結合が形成される。また水がアシル受容体と
して機能するときは、グルタミン残基が脱アミド化され
グルタミン酸残基になる反応を進行させる酵素である。
TGaseのこのような性質により、TGaseを用いてタンパ
ク含有溶液又はスラリーをゲル化させることができる。
TGaseは、これまでモルモット肝由来のもの(MTGas
e)などの動物由来のものが知られているが、動物由来
のものは、安価にまた大量に入手するのが困難であり、
タンパク質をゲル化するときは酵素濃度および基質濃度
を共に高くする必要があり、またCa2+依存性であるので
用途が制限される。
本発明で使用できる新規トランスグルタミナーゼ(BT
Gase)は、微生物、例えば、ストレプトベルチシリウム
属の菌により産生されるものであるが、微生物由来のTG
aseについての報告は現時点ではない。
本発明で使用できる微生物由来のBTGaseは安価に供給
され、かつ精製も容易であるので実用性が大である。ま
た、BTGaseを用いることにより、カルシウム非存在下又
カルシウム存在下のいずれでも酵素(BTGase)濃度及び
基質濃度が非常に低いところけで品質の優れたゲル化物
を製造できるという利点がある。
(2)BTGaseの製造 BTGaseを産生する微生物は、例えば、ストレプトベル
チシリウム・グリセオカルネウム(Streptoverticilliu
m griseocarneum)IFO 12776、ストレプトベルチシリウ
ム・シナモネウム・サブ・エスピー・シナモネウム(St
reptoverticillium cinnamoneum sub sp.cinnamoneum)
IFO 12852、ストレプトベルチシリウム・モバラエンス
(Streptoverticillium mobaraense)IFO 13819等があ
げられる。
これら微生物を培養し、トランスグルタミナーゼを取
得するための培養法及び精製法等は次の通りである。
培養形態としては、液体培養、固体培養いずれも可能
であるが、工業的には深部通気攪拌培養を行うのが有利
である。又、使用する培養源としては、一般に微生物培
養に用いられる炭素源、窒素源、無機塩及びその他の微
量栄養源の他、ストレプトベルチシリウム属に属する微
生物の利用出来る栄養源であれば全て使用出来る。培地
の炭素源としては、ブドウ糖、ショ糖、ラスターゲン、
グリセリン、デキストリン、澱粉等の他、脂肪酸、油
脂、有機酸などが単独で又は組合せて用いられる。窒素
源としては、無機窒素源、有機窒素源のいずれも使用可
能であり、無機窒素源としては硝酸アンモニウム、硫酸
アンモニウム、尿素、硝酸ソーダ、塩化アンモニウム等
が挙げられる。又、有機窒素源としては大豆、米、トウ
モロコシ、小麦などの粉、糠、脱脂粕をはじめコーンス
テイープリカー、ペプトン、肉エキス、カゼイン、アミ
ノ酸、酵母エキス等が挙げられる。無機塩及び微量栄養
素としては、リン酸、マグネシウム、カリウム、鉄、カ
ルシウム、亜鉛等の塩類の他ビタミン、非イオン界面活
性剤、消泡剤等の菌の生育やBTGaseの産生を促進するも
のであれば必要に応じて使用出来る。
培養は好気的条件で、培養温度は菌が発育しBTGaseが
産生する範囲であれば良く、好ましくは25〜35℃であ
る。培養時間は、条件により異なるが、BTGaseが最も産
生される時間まで培養すれば良く、通常2〜4日程度で
ある。
BTGaseは液体培養では培養液中に溶解されており、培
養終了後培養液より固形分を除いた培養ろ液より採取さ
れる。
培養ろ液よりBTGaseを精製するには、通常酵素精製に
用いられるあらゆる方法が使用出来る。
例えば、エタノール、アセトン、イソプロピルアルコ
ール等の有機溶媒による処理、硫安、食塩等により塩
析、透析、限外ろ過法、イオン交換クロマトグラフィ
ー、吸着クロマトグラフィー、ゲルろ過、吸着剤、等電
点分画等の方法が使用出来る。又、これらの方法を適当
に組合せる事によりBTGaseの精製度が上る場合は適宜組
合せて行う事が出来る。これらの方法によって得られる
酵素は、安定化剤として各種の塩類、糖類、蛋白質、脂
質、界面活性剤等を加え或いは加えることなく、限外ろ
過濃縮、逆浸透濃縮、減圧乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥の
方法により液状又は固形のBTGaseを得ることが出来る。
BTGaseの活性測定はベンジルオキシカルボニル−L−
グルタミニルグリシンとヒドロキシルアミンを基質とし
てCa2+非存在下で反応を行い、生成したヒドロキサム酸
をトリクロロ酢酸存在下で鉄錯体を形成させ525nmの吸
収を測定し、ヒドロキサム酸の量を検量線より求め活性
を算出する。
BTGase活性は、特に記載しないかぎり以下に記載する
方法により測定した。
〈活性測定法〉 試薬A 0.2Mトリス塩酸緩衝液(pH6.0) 0.1Mヒドロキシルアミン 0.01M還元型グルタチオン 0.03Mベンジルオキシカルボニル− L−グルタミニルグリシン 試薬B 3N−塩酸 12%−トリクロロ酢酸 5%FeCl3・6H2O(0.1N−HClに溶解) 上記溶液の1:1:1の混合液を試薬Bとする。
酵素液の0.05mlに試薬A0.5mlを加えて混合し37℃で10
分間反応後、試薬Bを加えて反応停止とFe錯体の形成を
行った後525nmの吸光度を測定する。対照としてあらか
じめ熱失活させた酵素液を用いて同様に反応させたもの
の吸光度を測定し、酵素液との吸光度差を求める。別に
酵素液のかわりにL−グルタミン酸γ−モノヒドロキサ
ム酸を用いて検量線を作成し、前記吸光度差より生成さ
れたヒドロキサム酸の量を求め、1分間に1μモルのヒ
ドロキサム酸を生成する酵素活性を1単位とした。
(3)BTGaseの酵素特性 上のようにして得られる精製BTGase、即ちストレプト
ベチシリウム・モバランスIFO 13819のトランスグルタ
ミナーゼ(BTG−1と命名)、ストレプトベルチシリウ
ム・グリセオカルネウムIFO 12776のトランスグルタミ
ナーゼ(BTG−2と命名)、ストレプトベルチシリウム
・シナモネウム・サブ・エスピー・シナモネウムIFO 12
852のトランスグルタミナーゼ(BTG−3と命名)につい
ての酵素化学的性質は次の通り。
a) 至適pH: 基質としてベンジルオキシカルボニル−L−グルタミ
ニルグリシンとヒドロキシルアミンを使用した場合、37
℃、10分反応で、BTG−1の至適pHは6〜7にあり、BTG
−2の至適pHは6〜7付近にあり、BTG−3の至適pHは
6〜7付近にある。
b) 至適温度: 基質としてベンジルオキシカルボニル−L−グルタミ
ニルグリシンとヒドロキシルアアミンを使用した場合、
pH6、10分反応で、BTG−1の至適温度は55℃付近であ
り、BTG−2の至適温度は45℃付近であり、BTG−3の至
適温度は45℃付近にある。
c) pH安定性: 37℃、10分間処理で、BTG−1はpH5〜9で安定であ
り、BTG−2はpH5〜9で安定であり、BTG−3はpH6〜9
で安定である。
d) 温度安定性: pH7で10分間処理では、BTG−1は40℃では88%活性が
残存し、50℃では74%活性が残存し、BTG−2は40℃で
は86%活性が残存し、50℃では56%活性が残存し、BTG
−3は40℃で80%活性が残存し、50℃では53%活性が残
存する。
e) 基質特異性: 各BTGaseを用い、各種合成基質とヒドロキシルアミン
との反応を調べた。いずれのBTGaseも合成基質がベンジ
ルオキシカルボニルアスパラギニルグリシン、ベンジル
オキシカルボニルグルタミン、グリシルグルタミニルグ
リシンの場合反応しない。しかし合成基質がベンジルオ
キシカルボニルグルタミニルグリシンの場合の反応性は
最も高い。この時の各種合成基質濃度は5mMとした。結
果は表−1に示される。
なお、表−1中のCBZはベンジルオキシカルボニル基
の略であり、Glnはグルタミル基の略であり、Glyはグリ
シル基の略であり、Aspはアスパラギニル基の略であ
る。
f) 金属イオンの影響: 活性測定系に1mMを濃度になるように各種金属イオン
を加えて影響を調べた(結果は表−2に示される)。い
ずれのBTGaseもCu2+、Zn2+により活性が阻害される。
g) 阻害剤の影響: 各阻害剤を1mMになるように加え、25℃、30分放置
後、活性を測定した(結果は表−3に示される)。いず
れのBTGaseもパラクロロマーキュリー安息香酸(PCMBと
略する)、N−エチルマレイミド(NEMと略する)、モ
ノヨード酢酸により活性が阻害される。
表−3中PMSFはフェニルメチルスルホニルフルオライ
ドの略である。
h) 等電点: アンホライン等電点電気泳動により求めたところ、BT
G−1の等電点pIは9付近であり、BTG−2の等電点pIは
9.7付近であり、BTG−3の等電点pIは9.8付近である。
i) 分子量: SDSディスク電気泳動法より求めたところ、BTG−1の
分子量は約38,000であり、BTG−2の分子量は約41,000
であり、BTG−3の分子量は約41,000である。
j) MTGaseとの比較: 次にBTGaseとモルモット肝由来のトランスグルタミナ
ーゼ(MTGase)との性質を比較する。尚、MTGaseは、特
開昭58−149645号に記載された方法で調製した。
表−4には各酵素化学的性質の比較を、表−5にはCa
2+の活性に及ぼす影響を示す。表−4および表−5より
明らかのように従来主として研究されているMTGaseと放
線菌由来のBTGaseとには酵素化学的性質において種々の
差が見られ、特に温度安定性、分子量、等電点、基質特
異性に差が見られる。また、Ca2+の存在下及び非存在下
においてもBTGaseは作用する点等でもMTGaseとは明らか
な差がみられる。従って、BTGaseの各酵素はMTGaseとは
その性質を異にするものと考えられる。
(4)BTGaseの製造例 a) BTG−1の製造 ストレプトベルチシリウム・モバラエンスIFO 13819
を培地組成ポリペプトン0.2%、グリコース0.5%、リン
酸二カリウム0.2%、硫酸マグネシウム0.1%からなる培
地(pH7)200mlに接種し、30℃、48時間培養し、得られ
た種培養液をポリペプトン2.0%、ラスターゲン2.0%、
リン酸二カリウム0.2%、硫酸マグネシウム0.1%、酵母
エキス0.2%、消泡剤としてアデカノール(商品名、旭
電化社製品)0.05%からなる培地20(pH7)に加え30
℃で3日間培養後ろ過し、培養液18.5得た。このもの
の活性は、0.35u/mlである。
培養液を塩酸でpH6.5に調整し、予め0.05Mリン酸緩衝
液(pH6.5)で平衡化しておいたCG−50(商品名、オル
ガノ社製品)のカラムに通した。この操作でトランスグ
ルタミナーゼは吸着された。さらに同緩衝液で不純蛋白
質を洗い流した後、さらに0.05〜0.5Mの同緩衝液の濃度
勾配をつくり、通液して溶出液を分画回収し、比活性の
高い分画を集めた。電導度を10ms以下になるように希釈
後ブルーセファロースのカラムに通した。この操作でト
ランスグルタミナーゼは吸着された。更に0.05Mリン酸
緩衝液(pH7)で不純蛋白質を洗い流した後、0〜1Mの
食塩濃度勾配をつくり通液して溶出液を回収し非活性の
高い画分を集めた。UF6000膜を使い濃縮し、0.5Mの食塩
を含む0.05Mリン酸緩衝液(pH7)で緩衝液を用いて平衡
化させた。
得られた濃縮液を同緩衝液で予め平衡化しておいたセ
ファデックスG−75(ファルマシアファインケミカル社
製)を含むカラムに通し、同緩衝液を流して溶出液を分
画した。この結果活性画分は単一のピークとして溶出さ
れた。このものの非活性は、培養ろ液に対し625倍であ
り、回収率は47%であった。
b) BTG−2の製造 BTG−1の場合と同様にして、ストレプトベルチシリ
ウム・グリセオカルネウムIFO 12776を30℃で3日間培
養後ろ過し、培養液19を得た。このものの活性は0.28
u/mlであった。
BTG−1の場合と同様な方法で酵素を精製して、SDSデ
ィスク電気泳動で単一の酵素をえた。
c) BTG−3の製造 BTG−1の場合と同様にして、ストレプトベルチシリ
ウム・シナモネウム・サブ・エスピー・シナモネウムIF
O 12852を30℃で3日培養後ろ過し、培養液18.5を得
た。このものの酵素活性は0.5u/mlであった。
BTG−1の場合と同様な方法で酵素を精製して、SDSデ
ィスク電気泳動で単一の酵素を得た。
以下、本発明の実施例により更に説明する。
実施例1 丸大豆2kgを原料とし、常法により豆乳液約20kgを得
た(蛋白質濃度は約4%)。この豆乳液を100℃に加熱
した後、少量の冷水を加え約70℃に冷却した。
ついで、硫酸カルシウムを45g及びBTG−1(比活性が
2u/mgのもの)を1u/g蛋白を加え、攪拌して(70℃、30
分)、豆乳蛋白を凝固させた。
ついで凝固物の温度を50℃に下げ、凝固物を型箱に移
し、上澄(ゆ)の大部分を適当なおもしをかけて除去し
た。このようにして得られた豆腐の水分は86%であっ
た。次に、豆腐をタテ40mm、ヨコ40mm、圧さ約5mmに切
断し、さらに布の間にはさんで軽く押して、さらに水を
とり、最終的に水分約75%の油揚げ生地とした。
このようにして精製した油揚げ生地50片をそれぞれま
ず100℃の大豆油の中に投入し、生地が浮き上がってか
ら5分間くらい揚げて膨化させ、ついで、180℃の油に
移して約8分間処理して膨化状態を固定するとともに表
面の水分を蒸散させた。このようにして50片の油揚げを
製造した。
比較のために、BTGaseを使用しないこと以外は全く同
様にして油揚げを製造した(対照)。
本発明の方法によって得られた油揚げは、一般に、対
照の油揚げに較べて、生地に対する膨化割合が有意に大
きくしかもサイズのばらつきが小さく、豆腐様の芯が残
り、はりがあって食感良好で、高品質のものであった。
又、硫酸カルシウムを使用せず、BTGaseのみで凝固さ
せた場合に得らる油揚げについても上述のものと比較し
た。
これらの結果は表−6に示した。
実施例2 分離大豆蛋白(味の素(株)製「アジプロン−SY」、
蛋白含量87%)を100g、大豆油を50g、水を350g及びBTG
−1(比活性が2u/mgのもの)を90uをサイレントカッタ
ーで1500rpmで10分間混練して蛋白乳化物を得た。
この蛋白乳化物をタテ40mm、ヨコ40mm、厚さ5mmに成
型し、10℃で1時間坐らせて油揚げ生地とした。
この生地20片をそれぞれ大豆油を用いて二段フライに
より油した。第1段目は105℃で5分、第2段目は190
℃で6分であった。
比較のために、BTGaseを使用しないこと以外は全く同
様にして油揚げを製造した(対照)。
本発明の方法によって得られた油揚げは、対照の油揚
げに較べて、生地の膨化の割合が著しく大きく(タテ、
ヨコ各2.9倍に膨化したのに対し、対照の油揚げはタ
テ、ヨコ各2.6倍膨化したに過ぎない。)、また、BTGas
eを使用したものはサイズのばらつきが±3.5%と小さ
く、豆腐様の芯が残り、より油揚げらしい外観を有し、
また官能検査の結果食感も良好であるとの評価を得た。
実施例3 大豆油を使用しないこと以外は実施例2と同様にして
油揚げを製造した。
この油揚げは、大豆油を使用した実施例2の油揚げと
比較して、膨化は小さかったが、表面は強度が強いもの
であった。
また、大豆油もBTGaseも使用せずに製造した油揚げと
比較して、膨化し、なめらかでのどごしが優れていた。
実施例4 豆乳粉末(日本タンパク工業社製「ハイプロトン」、
蛋白含量46%)を200g、水を300g及びBTG−1(比活性
が2u/mgのもの)を92uをとり、蛋白乳化物を形成した後
に実施例2と同様にして油揚げ生地を作成し、油して
油揚げを製造した。
比較のために、BTGaseを使用しないこと以外は全く同
様にして油揚げを製造した。
本発明の方法によるときは、油の際の生地の膨化が
大きく(2.1倍)しかも均一であったのに対し、対照方
法によるときは膨化は殆んどみられなかった。又、本発
明方法による油揚げは豆腐様の芯を有し、外観、食感と
も油揚げらしかったのに対し、対照油揚げは豆腐様の芯
は残っておらず、外観はクッキー様で、食感はかたくも
ろいものであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川尻 秀雄 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1番1号 味の素株式会社中央研究所内 (72)発明者 木幡 浩子 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1番1号 味の素株式会社中央研究所内

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】豆乳液に80℃以下にて豆乳蛋白1g当りトラ
    ンスグルタミナーゼ0.1〜10uを単独に又は豆乳蛋白1g当
    りトランスグルタミナーゼ0.1〜10uと凝固剤とを併用し
    て作用させて蛋白凝固物を製造し、得られた凝固物を油
    揚げ生地に加工し、この生地を油することを特徴とす
    る油揚げの製造法。
  2. 【請求項2】蛋白含量が45重量%以上である植物蛋白に
    植物蛋白1g当りトランスグルタミナーゼ0.1〜10u及び植
    物蛋白1重量部に対し水1.5〜4.0重量部並びに所望によ
    り食用油0.1〜1.0重量部を添加混練して蛋白乳化物を製
    造し、得られた乳化物を油揚げ生地に成型加工し、この
    生地を油することを特徴とする油揚げの製造法。
JP63253478A 1988-10-07 1988-10-07 油揚げの製造方法 Expired - Lifetime JP2540919B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63253478A JP2540919B2 (ja) 1988-10-07 1988-10-07 油揚げの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63253478A JP2540919B2 (ja) 1988-10-07 1988-10-07 油揚げの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH02100647A JPH02100647A (ja) 1990-04-12
JP2540919B2 true JP2540919B2 (ja) 1996-10-09

Family

ID=17251944

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP63253478A Expired - Lifetime JP2540919B2 (ja) 1988-10-07 1988-10-07 油揚げの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2540919B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000139391A (ja) * 1998-11-06 2000-05-23 Nakano Vinegar Co Ltd 全粒豆腐及びその製造方法
JP2002001146A (ja) * 2000-06-22 2002-01-08 Fumiyoshi Tomita 粉砕機
KR100378978B1 (ko) * 2000-07-21 2003-04-08 이숙미 트랜스글루타미나제를 이용한 콩단백질 필름 및 그 제조방법
JP4723348B2 (ja) * 2005-10-28 2011-07-13 日立建機株式会社 樹枝粉砕機
JP2007222030A (ja) * 2006-02-21 2007-09-06 Takai Seisakusho:Kk 大豆製品の表皮品質を向上させる方法およびこの方法によって処理された大豆製品
JP4412558B2 (ja) 2006-07-25 2010-02-10 晃立工業株式会社 粉砕機
JP4835675B2 (ja) * 2008-10-25 2011-12-14 有限会社吉工 粉砕装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH02100647A (ja) 1990-04-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2536086B2 (ja) 長期常温保存可能な豆腐の製造法
US5156956A (en) Transgultaminase
JP2849773B2 (ja) ストレプトミセス属由来のトランスグルタミナーゼの製造法
US4409248A (en) Heat-gelling and foam-stabilizing enzymatically modified vegetable isolates
JP2540919B2 (ja) 油揚げの製造方法
JP2572716B2 (ja) 新規なトランスグルタミナーゼ
JP2611408B2 (ja) ペ−スト状食品用汎用素材及びペ−スト状食品の製造法
JP2749073B2 (ja) 食品素材及びその製造方法
JP2594340B2 (ja) チーズフードの製造法
JP2556109B2 (ja) 肉粒用素材
JP2650366B2 (ja) 固形脂及びその製造法
JP2782849B2 (ja) 植物性タンパク粉末およびそれを用いる豆腐の製造法
JPH08224063A (ja) タンパクゲル化組成物
JP2590373B2 (ja) 新規なすり身とその製造方法
JP4401555B2 (ja) 新規なキモトリプシン様プロテア−ゼ及びその製造法並びに新規なキモトリプシン様プロテアーゼを作用させるタンパク質分解物含有物の製造法。
JP2611368B2 (ja) 蛋白組織化物の製造法
JP2533365B2 (ja) 魚肉すり身の製造法
JP2580732B2 (ja) 変性タンパク質を基材とするカプセル
Lu et al. Purification and Some Properties of Glutaminase fromActinomucor taiwanensis, Starter of Sufu
JPH09262064A (ja) 大豆加工食品
DE68917582T2 (de) Transglutaminase.
JP3536503B2 (ja) トランスグルタミナーゼを用いる水産練り製品の製造法
JPH0523744B2 (ja)
JP2791098B2 (ja) 新規凝乳酵素及びその製造法
JPH02100654A (ja) 新規なオキアミすり身とその製造法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080725

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090725

Year of fee payment: 13

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090725

Year of fee payment: 13