JP2611408B2 - ペ−スト状食品用汎用素材及びペ−スト状食品の製造法 - Google Patents

ペ−スト状食品用汎用素材及びペ−スト状食品の製造法

Info

Publication number
JP2611408B2
JP2611408B2 JP63334078A JP33407888A JP2611408B2 JP 2611408 B2 JP2611408 B2 JP 2611408B2 JP 63334078 A JP63334078 A JP 63334078A JP 33407888 A JP33407888 A JP 33407888A JP 2611408 B2 JP2611408 B2 JP 2611408B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
food
flavor
paste
protein
extract
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP63334078A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH02177863A (ja
Inventor
浩子 木幡
孝彦 添田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ajinomoto Co Inc filed Critical Ajinomoto Co Inc
Priority to JP63334078A priority Critical patent/JP2611408B2/ja
Publication of JPH02177863A publication Critical patent/JPH02177863A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2611408B2 publication Critical patent/JP2611408B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Dairy Products (AREA)
  • Seeds, Soups, And Other Foods (AREA)
  • Meat, Egg Or Seafood Products (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、植物性蛋白質、食用油脂、水及びトランス
グルタミナーゼ(以下、TGaseと略記する。)から気泡
を含有しない乳化物を製造し、次いで該酵素を加熱失活
させることを特徴とするペースト状食品用汎用素材の製
造法、このような素材とペースト状食品のフレーバ又は
エキスを混合することを特徴とするペースト状食品の製
造法、及び植物性蛋白質、食用油脂、水、TGase及びペ
ースト状食品のフレーバ又はエキスから気泡を含有しな
い乳化物を製造し、得られた乳化物を加熱して該酵素を
失活させることを特徴とするペースト状食品の製造法に
関する。
(従来技術とその問題点) ウニ、あん肝、フォアグラ、クリームチーズ等の高価
なペースト状食品のそれ様食品を安価な原料から製造す
る方法が種々試みられている。例えば、ウニ様食品の製
造法に関する特開昭55−153563、アンコウの肝様肝加工
品の製造方法に関する特公昭62−2787等参照。しかしな
がら従来法により製造される製品の品質は未だ充分には
満足できるものではない。
本発明の方法によれば、品質の極めて優れたペースト
状食品を製造することができる。
(発明の効果と課題を解決するための手段) ウニ、あん肝、フォアグラ、クリームチーズ等の高価
なペースト状食品のそれ様食品の製造用原料素材に要求
される特性は、主として、ゲル形成性及びとろんとした
なめらかな食感である。本発明者は、鋭意研究の結果、
このような素材の製造に成功し、安価な原料を使用して
高価なペースト状食品に類似したペースト状食品の製造
に成功した。本発明のペースト状食品用汎用素材は、ゲ
ル形成性従ってまた保型性に優れており、更にこのよう
な素材を主原料として使用して製造された本発明のペー
スト状食品は、油っぽく、なめらかで、口どけのよい食
感を有し、前記のウニ、あん肝、フォアグラ、クリーム
チーズ等のペースト状食品の食感を呈するのである。
以下、本発明の製造法を詳述する。
先ず、ペースト状食品用汎用素材の製造法について説
明する。
植物性蛋白質としては、全脂大豆粉、脱脂大豆蛋白、
乾燥豆乳粉末、抽出大豆蛋白、濃縮大豆蛋白、分離大豆
蛋白などの大豆系、小麦粉、小麦グルテンなどの小麦
系、トーモロコシ蛋白などのトーモロコシ系、米蛋白な
どの米系、又はこれらの混合物系を例示することができ
る。植物性蛋白質は、乳化能、風味(例えば、大豆
臭)、食感などの観点から蛋白濃度の高い例えばNSI
(水溶性窒素指数)80程度以上のものが好ましく、NSI6
0程度以下ではざらつき感の原因となりまたやけ臭など
風味悪化の原因ともなる。これらの観点から、植物性蛋
白質としては分離大豆蛋白が極めて好ましい。
食用油脂としては、目的のペースト状食品用汎用素材
に要求される特性にもよるが、その融点が0〜40℃のも
のが好ましく、最も好ましくは20〜35℃のものである
が、この範囲外の融点のものも使用できないことはな
い。融点が低くて例えば0℃程度以下のものでは、口ど
け性の良いものは得られず、0℃程度以上のものでは口
どけ性が良くなるが、融点が高くて例えば40℃程度以上
になるとざらつき感の原因となる。好ましい食用油脂の
例には、融点20〜35℃の水添大豆脂(後記実施例参
照)、パーム油等がある。
本発明で使用するTGaseは起源は特に問わず、例えば
モルモットの肝臓から分離したもの(以下、MTGaseと略
記する。)、微生物が産生するもの(以下、BTGaseと略
記する。)を挙げることができる。前者のMTGaseは、例
えば、特開昭58−14964号に記載の方法で調製すること
ができる。後者のBTGaseは、新規酵素であって、特願昭
62−165067に係わるものであるが、その酵素特性、製造
法等については別項に記載する。
TGaseの使用量は蛋白質1g当り0.1〜100u、好ましくは
0.2〜20uである。0.1u程度以下ではTGaseを使用しない
場合との差が認められず、100u程度以上では酵素反応が
過度に進んで蛋白の凝集が起り、食感が悪くなる。
植物性蛋白質、食用油脂、水の使用割合は、1:3〜5:5
〜9(重量部)である。
この範囲内に含まれる割合、例えば、大豆蛋白1:大豆
油4:水7の割合では、通常の加熱処理条件ではゲル形成
しないことに留意すべきである。蛋白質の割合を多く
し、水の割合を少なくして通常の加熱処理条件でゲル形
成する使用割合では得られる乳化物は、口どけが悪く、
良い食感が得られず、また、このような使用割合の場合
は、たとえTGaseを使用してもやはり口どけが悪く、食
感の改善が認められない。蛋白質の割合が少な過ぎると
TGaseを使用しても乳化物とならない。水の割合が少な
過ぎると、乳化物が生じない。これらを総合的に勘案し
て、本発明の植物性蛋白質、食用油脂及び水の使用割合
が定まったものである。
植物性蛋白質、食用油脂、水及びTGaseを所定の割合
で使用して乳化物を製造するには、例えばこれら4者を
同時に混練して乳化物を製造してもよいが、前3者を混
練して乳化物を製造し、この乳化物にTGaseを加えても
よい。ただし、前者の方法が操作性の観点から後者に勝
る。
乳化物製造の際、得られる乳化物に気泡が混入しない
ような条件が採用することが本発明方法の最重要な特徴
の1つである。気泡の混入したムース状乳化物は、本発
明のペースト状食品用素材に要求される特性を有しな
い。ここに、気泡を含有しない乳化物とは、気泡含有率
が5%(0.05ml/g乳化物)、好ましくは3%(0.03ml/g
乳化物)以下の乳化物を謂う。また、気泡含有率の測定
は、乳化物の原材料組成物を互いに親和させ30トールの
減圧下に30分間放置した後の単位重量当りの体積をまず
測定し、次いで乳化後の乳化物の単位重量当りの体積を
測定し、乳化前の体積に対する乳化後の体積増加分を気
泡含有率とした。因みに、植物性蛋白質、食用油脂、水
及びTGaseからなる乳化系は前記特願昭62−165067明細
書に記載されているが、この乳化系は、気泡を含有する
ので、本発明で達成される特性を有しない。
乳化物製造のための混練を常圧で行なうと乳化物に気
泡が混入してムース状となり、なめらかな食感が得られ
ない。乳化物に気泡を混入させないようにすることは、
約60トール程度以下の減圧下で行なうことにより達成で
きる。より好ましくは、減圧操作を2回以上に分けて行
なう、つまり最初の減圧操作を行なった後一旦常圧に戻
し、再び減圧操作を行なうといったようにすると、気泡
の減少に有効である。このための具体的機器の例として
は、真空高速カッター、真空ステファンカッター、真空
機を挙げることができる。
本発明の乳化物はTGaseの酵素作用を利用して植物性
蛋白質、食用油脂及び水の混合物から製造するので、こ
の製造条件はTGaseが作用する条件を選ぶことはもちろ
んである。従って、温度は5〜55℃、好ましくは15〜55
℃、pHは5〜9、好ましくは6〜7.5である。このよう
な条件を採用すると、通常0〜24時間で目的の乳化物が
得られる。なお、目的の乳化物が生成したか否かは官能
検査により判定できる。
このような乳化条件により所望の特性が生ずる。
このようして得られた乳化物は加熱してTGaseを失活
させ、ついで適宜冷却又は放冷して製品とする。加熱温
度は80〜95℃程度でよいが、加熱はボイル、蒸しその他
適当な方法によることができる。更に、必要に応じて加
熱殺菌を行なうが、これは場合により酵素失活のための
加熱と兼ねさせることができる。
上述した本発明のペースト状食品用汎用素材の製造法
は、所望により、例えば次のような変更を加えることが
可能であり、このように変更した方法ももちろん本発明
の範囲内に含まれる。変更の第1は、上記汎用素材を原
料としてペースト状食品を製造したときに製造されるペ
ースト状食品の品質を向上させる糖類、乳化剤、調味
料、着色料、フレーバ等の添加物を該汎用素材に付与さ
れる特性を損なわず、また汎用の目的に反しない限度で
汎用素材に添加混合する。これは、通常、乳化物の酵素
失活加熱前に行われ、特に植物性蛋白質、食用油脂、水
及びTGaseを混練するときに行なうのが有利である。
第2は、添加物を添加混合した又はしない乳化物をイン
キュベーションに付することである。インキュベーショ
ンは、TGaseの使用量が充分なときは必要ないが、特に
少量のときは有効であって、酵素反応促進の効果があ
る。このインキュベーションは、通常、5〜60℃で24時
間程度以内でよい。これも、又、通常乳化物の酵素失活
加熱前に行なわれる。
このようにして製造されるペースト状食品用汎用素材
は、下記のようなウニ様食品、あん肝様食品、フォアグ
ラ様食品、クリームチーズ様食品の製造原材料として汎
用される。
次に、本発明のペースト状食品の製造法について説明
する。
本発明のペースト状食品としては、ウニ様食品、あん
肝様食品、フォアグラ様食品、クリームチーズ様食品を
例示することができる。
これらの食品を製造する第1の方法は極めて簡単で、
上に詳述した方法で製造したペースト状食品用汎用素材
である乳化物に目的とするペースト状食品のフレーバ又
はエキスを所望量添加混合することによって行なうこと
ができる。このようなフレーバ又はエキスとしては、現
在、各種食品のフレーバ又はエキスが市販されており、
ペースト状食品についても、例えばウニフレーバ、ウニ
エキス、フォアグラ油、チーズフレーバ等が市販されて
いるので、これらを利用するとよい。
これらのフレーバ又はエキスと共に目的のベースト状
食品の品質を向上させる添加物を所望により使用するこ
とも、もちろん可能である。このようにして得られた混
合物は、必要に応じて、型枠に充填するなどする成型
(例えば、ウニの形に)、インキュベーション、加熱殺
菌及び/又は冷却、放冷して最終製品とする。
本発明のペースト状食品を製造する第2の方法は、1
重量部の植物性蛋白質、3〜5重量部の食用油脂、5〜
9重量部の水、蛋白質1g当り0.1〜100uのトランスグル
タミナーゼ及びペースト状食品のフレーバ又はエキスか
ら気泡を含有しない乳化物を製造し、得られた乳化物を
加熱して酵素を失活させて該フレーバ又はエキスに対応
するペースト状食品を製造するものであるが、この製造
法は前述の本発明のペースト状食品用汎用素材の製造法
及び本発明のペースト状食品を製造する第1の方法を基
に、これらを引用しつつ説明すれば容易に理解できる。
すなわち、該ペースト状食品用汎用素材の製造法にお
けると同様にして植物性蛋白質、食用油脂及び水にTGas
eを作用させると同時にペースト状食品のフレーバ又は
エキスを添加混合して乳化物を製造し、この乳化物を本
発明のペースト状食品を製造する第1の方法について説
明したように、必要に応じて成型及び/又はインキュベ
ーションに付し、最後に上記本発明のペースト状食品用
汎用素材の製造法における酵素失活処理に付し、次いで
適宜冷却、放冷すれば最終製品となる。所望により適宜
添加物を使用してもよいことは、第1の方法におけると
同じである。冷却、放冷前に必要に応じて加熱殺菌を行
なうが、これは場合により酵素失活と兼ねさせることの
できることは、前述の通りである。
(新規トランスグルタミナーゼBTGase) (1)トランスグルタミナーゼとその由来 トランスグルタミナーゼ(TGase)は、ペプチド鎖内
にあるグルタミン残基のγ−カルボキシアミド基のアシ
ル転移反応を触媒する酵素である。このTGaseは、アシ
ル受容体としてタンパク質中のリジン残基のε−アミノ
基が作用すると、分子内及び分子間にε−(γ−Glu)
−Lys架橋結合が形成される。また水がアシル受容体と
して機能するときは、グルタミン残基が脱アミド化され
グルタミン酸残基になる反応を進行させる酵素である。
TGaseのこのような性質により、TGaseを用いてタンパ
ク含有溶液又はスラリーをゲル化させることができる。
TGaseは、これまでモルモット肝由来のもの(MTGas
e)などの動物由来のものが知られているが、動物由来
のものは、安価にまた大量に入手するのが困難であり、
タンパク質をゲル化するときは酵素濃度および基質濃度
を共に高くする必要があり、またCa2+依存性であるので
用途が制限される。
本発明で使用できる新規トランスグルタミナーゼ(BT
Gase)は、微生物、例えば、ストレプトベルチシリウム
属の菌により産生されるものであるが、微生物由来のTG
aseについての報告は現時点ではない。
本発明で使用できる微生物由来のBTGaseは安価に供給
され、かつ精製も容易であるので実用性が大である。ま
た、BTGaseを用いることにより、カルシウム非存在下又
はカルシウム存在下のいずれでも酵素(BTGase)濃度及
び基質濃度が非常に低いところで品質の優れたゲル化物
を製造できるという利点がある。
(2)BTGaseの製造 BTGaseを産生する微生物は、例えば、ストレプトベル
チシリウム・グリセオカルネウム(Streptoverticilliu
m griseocarneum)IFO 12776、ストレプトベルチシリウ
ム・シナモネウム・サブ・エスピー・シナモネウム(St
reptoverticillium cinnamoneum sub sp.cinnamoneum)
IFO 12852、ストレプトベルチシリウム・モバラエンス
(Streptoverticillium mobaraense)IFO 13819等があ
げられる。
これら微生物を培養し、トランスグルタミナーゼを取
得するための培養法及び精製法等は次の通りである。
培養形態としては、液体培養、固体培養いずれも可能
であるが、工業的には深部通気撹拌培養を行うのが有利
である。又、使用する培養源としては、一般に微生物培
養に用いられる炭素源、窒素源、無機塩及びその他の微
量栄養源の他、ストレプトベルチシリウム属に属する微
生物の利用出来る栄養源であれば全て使用出来る。培地
の炭素源としては、ブドウ糖、ショ糖、ラスターゲン、
グリセリン、デキストリン、澱粉等の他、脂肪酸、油
脂、有機酸などが単独で又は組合せて用いられる。窒素
源としては、無機窒素源、有機窒素源のいずれも使用可
能であり、無機窒素源としては硝酸アンモニウム、硫酸
アンモニウム、尿素、硝酸ソーダ、塩化アンモニウム等
が挙げられる。又、有機窒素源としては大豆、米、トウ
モロコシ、小麦などの粉、糠、脱脂粕をはじめコーンス
テイープリカー、ペプトン、肉エキス、カゼイン、アミ
ノ酸、酵母エキス等が挙げられる。無機塩及び微量栄養
素としては、リン酸、マグネシウム、カリウム、鉄、カ
ルシウム、亜鉛等の塩類の他ビタミン、非イオン界面活
性剤、消泡剤等の菌の生育やBTGaseの産生を促進するも
のであれば必要に応じて使用出来る。
培養は好気的条件で、培養温度は菌が発育しBTGaseが
産生する範囲であれば良く、好ましくは25〜35℃であ
る。培養時間は、条件により異なるが、BTGaseが最も産
生される時間まで培養すれば良く、通常2〜4日程度で
ある。
BTGaseは液体培養では培養液中に溶解されており、培
養終了後培養液より固形分を除いた培養ろ液より採取さ
れる。
培養ろ液よりBTGaseを精製するのに、通常酵素精製に
用いられるあらゆる方法が使用出来る。
例えば、エタノール、アセトン、イソプロピルアルコ
ール等の有機溶媒による処理、硫安、食塩等により塩
析、透析、限外ろ過法、イオン交換クロマトグラフィ
ー、吸着クロマトグラフィー、ゲルろ過、吸着剤、等電
点分画等の方法が使用出来る。又、これらの方法を適当
に組合せる事によりBTGaseの精製度が上る場合は適宜組
合せて行う事が出来る。これらの方法によって得られる
酵素は、安定化剤として各種の塩類、糖類、蛋白質、脂
質、界面活性剤等を加え或いは加えることなく、限外ろ
過濃縮、逆浸透濃縮、減圧乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥の
方法により液状又は固形のBTGaseを得ることが出来る。
BTGaseの活性測定はベンジルオキシカルボニル−L−
グルタミニルグリシンとヒドロキシルアミンを基質とし
てCa2+非存在下で反応を行い、生成したヒドロキサム酸
をトリクロロ酢酸存在下で鉄錯体を形成させ525nmの吸
収を測定し、ヒドロキサム酸の量を検量線より求め活性
を算出する。
BTGase活性は、特に記載しないかぎり以下に記載する
方法により測定した。
〈活性測定法〉 試薬A 0.2Mトリス塩酸緩衝液(pH6.0) 0.1Mヒドロキシルアミン 0.01M還元型グルタチオン 0.03Mベンジルオキシカルボニル−L−グルタ
ミニルグリシン 試薬B 3N−塩酸 12%−トリクロロ酢酸 5%FeCl3・6H2O(0.1N−HClに溶解) 上記溶液の1:1:1の混合液を試薬Bとする。
酵素液の0.05mlに試薬A0.5mlを加えて混合し37℃で10
分間反応後、試薬Bを加えて反応停止とFe錯体の形成を
行った後525nmの吸光度を測定する。対照としてあらか
じめ熱失活させた酵素液を用いて同様に反応させたもの
の吸光度を測定し、酵素液との吸光度差を求める。別に
酵素液のかわりにL−グルタミン酸γ−モノヒドロキサ
ム酸を用いて検量線を作成し、前記吸光度差より生成さ
れたヒドロキサム酸の量を求め、1分間に1μモルのヒ
ドロキサム酸を生成する酵素活性を1単位とした。
(3)BTGaseの酵素特性 上のようにして得られる精製BTGase、即ちストレプト
ベチシリウム・モバランスIFO 13819のトランスグルタ
ミナーゼ(BTG−1と命名)、ストレプトベルチシリウ
ム・グリセオカルネウムIFO 12776トランスグルタミナ
ーゼ(BTG−2と命名)、ストレプトベルチシリウム・
シナモネウム・サブ・エスピー・シナモネウムIFO 1285
2のトランスグルタミナーゼ(BTG−3と命名)について
の酵素化学的性質は次の通り。
a)至適pH: 基質としてベンジルオキシカルボニル−L−グルタミ
ニルグリシンとヒドロキシルアミンを使用した場合、37
℃、10分反応で、BTG−1の至適pHは6〜7にあり、BTG
−2の至適pHは6〜7付近にあり、BTG−3の至適pHは
6〜7付近にある。
b)至適温度: 基質としてベンジルオキシカルボニル−L−グルタミ
ニルグリシンとヒドロキシルアミンを使用した場合、pH
6、10分反応で、BTG−1の至適温度は55℃付近であり、
BTG−2の至適温度は45℃付近であり、BTG−3の至適温
度は45℃付近にある。
c)pH安定性: 37℃、10分間処理で、BTG−1はpH5〜9で安定であ
り、BTG−2はpH5〜9で安定であり、BTG−3はpH6〜9
で安定である。
d)温度安定性: pH7で10分間処理では、BTG−1は40℃では88%活性が
残存し、50℃では74%活性が残存し、BTG−2は40℃で
は86%活性が残存し、50℃は56%が残存し、BTG−3は4
0℃で80%活性が残存し、50℃では53%活性が残存す
る。
e)基質特異性: 各BTGaseを用い、各種合成基質とヒドロキシルアミン
との反応を調べた。いずれのBTGaseも合成基質がベンジ
ルオキシカルボニルアスパラギニルグリシン、ベンジル
オキシカルボニルグルタミン、グリシルグルタミニルグ
リシンの場合反応しない。しかし合成基質がベンジルオ
キシカルボニルグルタミニルグリシンの場合の反応性は
最も高い。この時の各種合成基質濃度は5mMとした。結
果は表−1に示される。
なお、表1中のCBZはベンジルオキシカルボニル基の
略であり、Gluはグルタミニル基の略であり、Glyはグリ
シル基の略であり、Aspはアスパラギニル基の略であ
る。
f)金属イオンの影響: 活性測定系に1mM濃度になるように各種金属イオンを
加えて影響を調べた(結果は表−2に示される。)いず
れのBTGaseもCu2+、Zu2+により活性が阻害される。
g)阻害剤の影響: 各阻害剤を1mMになるように加え、25℃、30分放置
後、活性を測定した(結果は表−3に示される)。いず
れのBTGaseもパラクロロマーキュリー安息香酸(PCMBと
略する)、N−エチルマレイミド(NEMと略する)、モ
ノヨード酢酸により活性が阻害される。
表−3中PMSFはフェニルメチルスルホニルフルオライ
ドの略である。
h)等電点: アンホライン等電点電気泳動により求めたところ、BT
G−1の等電点pIは9付近であり、BTG−2の等電点pIは
9.7付近であり、BTG−3の等電点pIは9.8付近である。
i)分子量: SDSディスク電気泳動法より求めたところ、BTG−1の
分子量は約38,000であり、BTG−2の分子量は約41,000
であり、BTG−3の分子量は約41,000である。
j)MTGaseとの比較: 次にBTGaseとモルモット肝由来のトランスグルタミナ
ーゼ(MTGase)との性質を比較する。尚、MTGaseは、特
開昭58−149645号に記載された方法で調製した。
表−4には各酵素化学的性質の比較を、表−5にはCa
2+に及ぼす影響を示す。表−4および表−5より明らか
のように従来主として研究されているMTGaseと放線菌由
来のBTGaseとには酵素化学的性質において種々の差が見
られ、特に温度安定性、分子量、等電点、基質特異性に
差が見られる。また、Ca2+の存在下及び非存在下におい
てもBTGaseは作用する点等でもMTGaseとは明らかな差が
みられる。従って、BTGaseの各酵素はMTGaseとはその性
質を異にするものと考えられる。
(4)BTGaseの製造例 a)BTG−1の製造 ストレプトベルチシリウム・モバラエンスIFO 13819
を培地組成ポリペプトン0.2%、グリコース0.5%、リン
酸二カリウム0.2%、硫酸マグネシウム0.1%からなる培
地(pH7)200mlに接種し、30℃、48時間培養し、得られ
た種培養液をポリペプトン2.0%、ラスターゲン2.0%、
リン酸二カリウム0.2%、硫酸マグネシウム0.1%、酵母
エキス0.2%、消泡剤としてアデカノール(商品名、旭
電化社製品)0.05%からなる培地20l(pH7)に加え30℃
で3日間培養後ろ過し、培養液18.5l得た。このものの
活性は、0.35u/mlである。
培養液を塩酸でpH6.5に調整し、予め0.05Mリン酸緩衝
液(pH6.5)で平衡化しておいたCG−50(商品名、オル
ガノ社製品)のカラムに通した。この操作でトランスグ
ルタミナーゼは吸着された。さらに同緩衝液で不純蛋白
質を洗い流した後、さらに0.05〜0.5Mの同緩衝液の濃度
勾配をつくり、通液して溶出液を分画回収し、比活性の
高い分画を集めた。電導度を10ms以下になるように希釈
後ブルーセファロースのカラムに通した。この操作でト
ランスグルタミナーゼは吸着された。更に0.05Mリン酸
緩衝液(pH7)で不純蛋白質を洗い流した後、0〜1Mの
食塩濃度勾配をつくり通液して溶出液を回収し比活性の
高い画分を集めた。UF6000膜を使い濃縮し、0.5Mの食塩
を含む0.05Mリン酸緩衝液(pH7)で緩衝液を用いて平衡
化させた。
得られた濃縮液を同緩衝液で予め平衡化しておいたセ
ファデックスG−75(ファルマシアファインケミカル社
製)を含むカラムに通し、同緩衝液を流して溶出液を分
画した。この結果活性画分は単一のピークとして溶出さ
れた。このものの比活性は、培養ろ液に対し625倍であ
り、回収率は47%であった。
b)BTG−2の製造 BTG−1の場合と同様にして、ストレプトベルチシリ
ウム・グリセオカルネウムIFO 12776を30℃で3日間培
養後ろ過し、培養液19lを得た。このものの活性は0.28u
/mlであった。
BTG−1の場合と同様な方法で酵素を精製して、SDSデ
ィスク電気泳動で単一の酵素をえた。
c)BTG−3の製造 BTG−1の場合と同様にして、ストレプトベルチシリ
ウム・シナモネウム・サブ・エスピー・シナモネウムIF
O 12852を30℃で3日培養後ろ過し、培養液18.5lを得
た。このものの酵素活性は0.5u/mlであった。
BTG−1の場合と同様な方法で酵素を精製して、SDSデ
ィスク電気泳動で単一の酵素を得た。
以下、本発明を実施例により更に説明する。
実施例1(ウニ様食品) 分離大豆蛋白70g、薄力小麦粉30g、水添大豆脂(融点
約25℃)を60℃に加温融解させたもの400g、及び水700g
にTGase(BTG−1、比活性2u/mg)を66u(蛋白質1g当り
1uに相当する。)加え、真空高速カッターで約20℃で5
分間乳化した。得られた乳化物のpHは約6.7であった。
また、気泡含有率は約1.5%であった。
該乳化物に市販のウニフレーバ2.4g、ウニエキス12
g、パブリカオレオレジン(着色用)1.2gを加え、更に
同条件で乳化することにより添加混合した。得られた混
合物を生ウニ様の形状をもつ型枠(たて2cm、よこ5cm、
深さ0.5cm)に流し込み、ふたをして密閉後、55℃で1
時間インキュベートした。
次に、ボイルした(90℃、30分間)。この加熱処理条
件ではTGaseが失活すると同時に殺菌も行なわれた。
放冷し、型枠からとり出して目的製品であるウニ様食
品を得た。
このウニ様食品は、外観、風味が生ウニ様であるばか
りでなく、生ウニ独特のとろんとなめらかな食感をもつ
ものであった。また、にぎりずしのたねとして用いて美
味なるものであった。
実施例2(フォアグラ様食品) 濃縮大豆蛋白質100g、水添大豆脂(融点約30℃)を60
℃に加熱融解させたもの300g及び水500gにTGase(BTG−
2)、比活性2u/mg)を200u(蛋白質1g当り2u)、食塩1
8g、MSG2.8g、ガチョウの油(フォアグラ油)5g、カラ
メル5g、アーモンドフレーバ1gを加え、真空高速カッタ
ーで約20℃で1分間乳化した。得られた乳化物のpHは約
6.5であった。また気泡含有率は約4.5%であった。
この乳化物を折り巾45mmのケーシングチューブに充填
した。次いで、恒温浴槽を使用して55℃で1時間インキ
ュベートした。
次にボイルした(90℃、30分間)。この加熱処理条件
ではTGaseが失活すると同時に殺菌も行なわれた。
放冷して目的製品であるフォアグラ様食品が得られ
た。
この製品をケーシングチューブからとりだし、厚さ10
mm程度に輪切りしたものは、外観、風味がフォアグラ様
であるばかりでなく、フォアグラ特有の、とろんとなめ
らかで、油分が口内にすばやく分散する食感をもつ美味
なものであった。
実施例3(ペースト状食品用汎用素材) 分離大豆蛋白700g、薄力小麦粉300g、水添大豆脂(融
点約25℃)を60℃にて加温融解させたもの4kg、及び水7
kgにTGase(BTG−1,比活性2u/mg)を660u(蛋白質1g当
り1uに相当する)加え、真空高速カッターで約20℃で3
分間乳化した。得られた乳化物のpHは約6.9であった。
また気泡含有率は3.0%であった。
これを折り巾10cmのケーシングチューブに充填した。
次いで恒温浴槽を使用して55℃で1時間インキュベート
した。
次にボイルした(90℃、30分間)。この加熱処理条件
では、TGaseが失活すると同時に殺菌も行われた。
放冷して目的製品であるペースト状食品汎用素材が得
られた。
本ペースト状食品汎用素材は、油っぽく、とろんとな
めらかな食感をもつものであり、添加混合するフレー
バ、エキス等を所望により変えることで、多種類のペー
スト状食品を製造できる汎用性を有するものであった。
実施例4(クリームチーズ様食品) 実施例3で得たペースト状食品用汎用素材10kgに、チ
ーズフレーバ60g及び食塩60gを添加混合して、真空高速
カッターで乳化してクリームチーズ様食品を得た。
本クリームチーズ様食品では、外観、風味がクリーム
チーズ様であるばかりでなく、クリームチーズ特有の、
油っぽく、とろんとしていて、なめらかな食感をもつ美
味なものであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A23L 1/325 A23L 1/325 H C

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1重量部の植物性蛋白質、3〜5重量部の
    食用油脂、5〜9重量部の水及び蛋白質1g当り0.1〜100
    uのトランスグルタミナーゼから気泡を含有しない乳化
    物を製造し、次いで該酵素を加熱失活させることを特徴
    とするペースト状食品用汎用素材の製造法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の方法で製造されたペース
    ト状食品用汎用素材である乳化物にペースト状食品のフ
    レーバ又はエキスを添加混合することを特徴とする該フ
    レーバ又はエキスに対応するペースト状食品の製造法。
  3. 【請求項3】1重量部の植物性蛋白質、3〜5重量部の
    食用油脂、5〜9重量部の水、蛋白質1g当り0.1〜100u
    のトランスグルタミナーゼ及びペースト状食品のフレー
    バ又はエキスから気泡を含有しない乳化物を製造し、得
    られた乳化物を加熱して酵素を失活させることを特徴と
    する該フレーバ又はエキスに対応するペースト状食品の
    製造法。
  4. 【請求項4】該ペースト状食品フレーバ又はエキスがウ
    ニフレーバ又はウニエキスであることを特徴とする請求
    項2又は3に記載の製造法。
  5. 【請求項5】該ペースト状食品フレーバ又はエキスがフ
    ォアグラ油であることを特徴とする請求項2又は3に記
    載の製造法。
  6. 【請求項6】該植物性蛋白質が分離大豆蛋白であること
    を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の製造法。
JP63334078A 1988-12-28 1988-12-28 ペ−スト状食品用汎用素材及びペ−スト状食品の製造法 Expired - Lifetime JP2611408B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63334078A JP2611408B2 (ja) 1988-12-28 1988-12-28 ペ−スト状食品用汎用素材及びペ−スト状食品の製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63334078A JP2611408B2 (ja) 1988-12-28 1988-12-28 ペ−スト状食品用汎用素材及びペ−スト状食品の製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH02177863A JPH02177863A (ja) 1990-07-10
JP2611408B2 true JP2611408B2 (ja) 1997-05-21

Family

ID=18273270

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP63334078A Expired - Lifetime JP2611408B2 (ja) 1988-12-28 1988-12-28 ペ−スト状食品用汎用素材及びペ−スト状食品の製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2611408B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3733748B2 (ja) * 1998-06-24 2006-01-11 味の素株式会社 食感が改善されたチーズホエイ蛋白、その製造方法及びその利用
US20080241320A1 (en) * 2007-03-30 2008-10-02 Dsm Ip Assets B.V. Protective hydrocolloid for active ingredients
JP5885137B2 (ja) * 2011-09-02 2016-03-15 地方独立行政法人山口県産業技術センター チーズ様食品の製造方法
JP6194574B2 (ja) * 2012-10-31 2017-09-13 不二製油株式会社 未加熱動物組織様の食品
JP6318566B2 (ja) * 2013-11-15 2018-05-09 不二製油株式会社 ゲル状食品
EP4186377A1 (en) * 2020-07-22 2023-05-31 153 Korea Co., Ltd. Method for manufacturing foie gras using duck liver produced by breeding through non-forced feeding not by breeding in cages, and foie gras of same
WO2023033187A1 (ja) * 2021-09-06 2023-03-09 味の素株式会社 酵素を用いたチーズアナログの製造方法及び食感向上方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
日本農芸化学会誌,Vol.62,No.3(1988.Mar)P.434

Also Published As

Publication number Publication date
JPH02177863A (ja) 1990-07-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2536086B2 (ja) 長期常温保存可能な豆腐の製造法
US5156956A (en) Transgultaminase
JP2765497B2 (ja) 大豆蛋白素材の製造法
JP2611408B2 (ja) ペ−スト状食品用汎用素材及びペ−スト状食品の製造法
JP2629886B2 (ja) トランスグルタミナーゼを含有する調味料及び食品素材プレミックス
JP3265672B2 (ja) 冷凍耐性のある豆腐の製造方法
JP2572716B2 (ja) 新規なトランスグルタミナーゼ
JP2540919B2 (ja) 油揚げの製造方法
JP2650366B2 (ja) 固形脂及びその製造法
JP2556109B2 (ja) 肉粒用素材
JP2594340B2 (ja) チーズフードの製造法
JP2782849B2 (ja) 植物性タンパク粉末およびそれを用いる豆腐の製造法
JPH08224063A (ja) タンパクゲル化組成物
JP2808752B2 (ja) 長期常温保存可能なレトルト麻婆豆腐の製造法
JP2590373B2 (ja) 新規なすり身とその製造方法
JP2580732B2 (ja) 変性タンパク質を基材とするカプセル
JP2611368B2 (ja) 蛋白組織化物の製造法
JPH09262064A (ja) 大豆加工食品
JPH09154512A (ja) 新規な麺類の製造方法
JPH0559699B2 (ja)
JP3536503B2 (ja) トランスグルタミナーゼを用いる水産練り製品の製造法
JP2533365B2 (ja) 魚肉すり身の製造法
JPH0343080A (ja) ストレプトベルチシリウム属由来の新規トランスグルタミナーゼの製造法
DE68917582T2 (de) Transglutaminase.
JPH0648965B2 (ja) 調味液の製造方法