JP6318566B2 - ゲル状食品 - Google Patents
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Description
食品をUDF区分3の舌でつぶせる状態にするには調理の手間がかかり、介護者の負担が大きいため、より簡便で食べやすい食品が求められている。
従来より高齢者および咀嚼・嚥下困難者の要望を満たすべく、種々のゲル状食品が開発、提供されている。
例えば特許文献2には豆乳及び/又はペースト状豆腐と増粘多糖類に肉、魚介類、野菜等のペースト状物を加え、カロリー及び蛋白質の不足分を分離大豆蛋白等で補い、常温保存可能で嚥下しやすい高栄養ゼリーを作製している。しかし、特許文献2の本文中([0020])や比較例1に記載されているとおり、豆乳やペースト状豆腐を用いず分離大豆蛋白のみを用いて作製した場合はべたつき、ざらついた食感となり嚥下しやすい高栄養ゼリー状食品は得られないとある。
(1) 不完全乳化状態である水中油型乳化スラリー中の大豆蛋白質を蛋白質架橋酵素により架橋処理することにより得られる油脂放出型のゲル状食品であって、該食品100g中に蛋白質を5g以上及び脂質を20g以上含有し、UDF区分3(かたさ5000〜20000N/m2)に適合する物性を示す油脂放出型のゲル状食品、
(2)大豆蛋白質素材が1種もしくは2種以上配合され、それぞれの大豆蛋白質素材の配合比率とTCA可溶化率との加重平均によるTCA計算値が4〜13である、(1)記載の油脂放出型のゲル状食品、
(3)ゲル状食品100g中、蛋白質が5〜14g、脂質が20〜60gである、(1)又は(2)記載の油脂放出型のゲル状食品。
(4)不完全乳化状態である水中油型乳化スラリー中の大豆蛋白質を蛋白質架橋酵素により架橋処理することを特徴とする、100g中に蛋白質を5g以上及び脂質を20g以上含有し、UDF区分3(かたさ5000〜20000N/m2)に適合する物性を示す加熱殺菌された油脂放出型のゲル状食品の製造方法、
(5)ゲル状食品が高齢者及び咀嚼・嚥下困難者用のものである、(1)乃至(3)の何れか1項に記載のゲル状食品、
である。
本発明のゲル状食品中の蛋白質量は、ゲル状食品100g中に、好ましくは5〜14g、より好ましくは5〜10g、最も好ましくは6.5〜9gである。14gを超えると油滴の形成がやや難しくなる場合がある。 また、本発明のゲル状食品中の脂質量は、ゲル状食品100g中に、好ましくは20〜60gである。ゲル状食品中の脂質が20g未満では油脂放出による嚥下しやすい食感は得られにくい。60gを超えるとゲル中の油滴を保ちにくいので好ましくない。
本発明のゲル状とは、舌でつぶせるかたさで喉通りの良い状態のものをいい、具体的には上記UDF区分3に適合する物性のものをいう。
「油脂放出型」とは、ゲル状食品を舌でつぶしたときに、ゲル状食品から油脂が放出され、口の中に油の滲み出しが感じられるものをいう。そのために、使用する油脂の融点がある程度低いことが必要で、具体的には融点が30℃以下であり、好ましくは20℃以下、より好ましくは10℃以下である。尚、融点は基準油脂分析試験法(1)1996年版(日本油化学会設定)2.2.4.2-1996に記載の上昇融点を用いる。
本発明のゲル状食品はUDF区分3に適合する物性を示し、さらに舌でつぶしたときに油脂の滲み出しが良好になる、「油脂放出型」の特徴を有するため、高齢者および咀嚼・嚥下困難者に適した嚥下しやすい食感のものとなる。
本発明の大豆蛋白質素材としては、全脂豆乳、脱脂濃縮豆乳、濃縮大豆蛋白、分離大豆蛋白、分画大豆蛋白などが挙げられる。大豆蛋白質素材中の蛋白質量が高いほうが、より容易に高蛋白のゲル状食品を作製できるので、分離大豆蛋白が好ましい。
大豆蛋白水溶液の20℃における粘度は他の素材との併用の有無にかかわらず、5,500mPa・s以下が好ましく、100〜3,000 mPa・sがより好ましく、100〜2,000mPa・sが最も好ましい。粘度がかかる範囲であると、油脂を蛋白質の均質溶液中に、後述する不完全乳化状態で分散させやすい。
大豆蛋白質の供給源として、1種もしくは2種以上の大豆蛋白質素材を適宜組合せて配合することができる。その際、用いる大豆蛋白質素材のTCA可溶化率が高いと離油・離水が激しく、ゲル状の形態を保つことはできない場合がある。また、TCA可溶化率が低いとUDF区分3に適合するかたさより硬いものになる場合がある。
大豆蛋白質素材のTCA可溶化率は配合比率と各大豆蛋白質素材のTCA可溶化率の加重平均によるTCA計算値が4〜13であることが好ましい。大豆蛋白質素材が1種の場合は、加重平均によるTCA計算値が4〜13であることが好ましい。大豆蛋白質素材が2種の場合は、それぞれのTCA可溶化率が同じであっても異なっていてもよいが、配合比率と各大豆蛋白質素材の加重平均によるTCA計算値が4〜13であることが好ましい。3種以上の場合は、それぞれのTCA可溶化率が全て同じであっても、同じものが複数あっても、全てが異なっていてもよいが、配合比率と各大豆蛋白質素材の加重平均によるTCA計算値が4〜13であることが好ましい。
加重平均とは値を単純に相加平均するのではなく、値の重みを加味して平均することである。本発明の場合、例えば、3種類の大豆蛋白質素材のTCA可溶化率の値がそれぞれA、B、Cがあり、それぞれの配合比率がx、y、z、それぞれの蛋白質含量がα%、β%、γ%であるときの加重平均によるTCA可溶化率の計算値の算出式は、
加重平均によるTCA可溶化率の計算値=(x×α%×A+y×β%×B+z×γ%×C)÷(x×α%+y×β%+z×γ%)
となる。
脂質としては、食用に適した脂質であればいずれのものでもよい。例えば、コーン油、菜種油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、米糠油、オリーブ油、ゴマ油、ピーナツ油、パーム油、パーム核油、カカオバター等の植物油脂、魚油、ラード等の動物油脂、MCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)等、またはこれらの硬化油、分別油およびエステル交換油等の化学的、酵素的処理をして得られる油などを単体もしくは組合せて使用することができる。
ただし、融点の高い油は当該発明の食品が提供される温度にもよるが、油脂が固化してゲルのかたさに影響を与え、また、ゲル状食品を舌でつぶしたときに油脂が放出され、口の中に油の滲み出しが感じられるようにするため、配合する油脂の融点はある程度低くする必要がある。具体的には融点は30℃以下であり、20℃以下が好ましく、10℃以下がより好ましい。
厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2010年版)によると、70 歳以上の高齢者についてもn?3系脂肪酸の目標量を算定してある。このようにn-3系脂肪酸を多く含む油脂、また、消化・吸収がよくエネルギーになりやすいMCTなどを用いることが高齢者や咀嚼・嚥下困難者の栄養状態改善に合致し、好ましい。
本発明のゲル状食品は、蛋白質架橋酵素による分子間架橋を有するゲルである。蛋白質架橋酵素としては、トランスグルタミナーゼや蛋白質ジスルフィドイソメラーゼ等が挙げられ、容易な反応による作業性、ゲルを調製するためのコスト、並びに完成したゲルの油脂の滲み出しや嚥下性等の食感の適性から、トランスグルタミナーゼであることが好ましい。
トランスグルタミナーゼの種類および使用方法としては、大豆蛋白質濃度が5〜14重量%である水中油型乳化スラリー100重量部に対し、アクティバTG-S製剤(味の素(株)製トランスグルタミナーゼの比活性100Units/gの製剤)の10%溶液を0.1〜10重量部、工程にもよるが好ましくは0.3〜3.0重量部添加する。
澱粉を併用することで、食感をより好ましいものに変えることができる。澱粉類としては、例えば馬鈴薯、トウモロコシ、ワキシートウモロコシ、タピオカ、エンドウ、緑豆、小麦、コメ澱粉等の生澱粉、あるいはこれらの加工澱粉を用いることができる。また、澱粉を多く含有する小麦粉、米粉、トウモロコシ粉等も澱粉類の一つとして用いることができる。なかでも米澱粉は食感が柔らかく、凍結解凍後のスポンジ感を低減させる効果があり好ましい。
本発明中のゲル状食品中に含まれる澱粉は1〜8重量%であることが好ましい。澱粉の量が多すぎるとゲルの食感が硬くなったり、澱粉の種類によってはぼそぼそした食感になり好ましくない。
本発明の食品に含有する原料としては、上記以外の原料を本発明の効果を妨げない範囲で、必要により含むことができる。すなわち、色素、味剤、香料等が挙げられる。
大豆蛋白質素材はその他の原料とともに水との均質液を調製することが好ましい。
上記の大豆蛋白質素材、澱粉及び水、他の原料の混合は、均質液になるよう油脂の配合に先んじて行うことが好ましい。使用する水の温度は1〜35℃、好ましくは5〜30℃、最も好ましくは15〜25℃であることが好ましい。加熱殺菌済みの既に熱変性した大豆蛋白質素材を用いる場合は、40〜60℃で静置するといわゆるスワリ(非流動性)が発生する場合があり、油脂の混合等の操作に不都合が生じる場合がある。
混合手段としてはホモゲナイザー、ホモミキサー、真空ステファン、ディスパーミル等の混合機を用いることができる。混合溶液を調製する際、混合機によっては蛋白スラリーが含泡することがある。静置脱泡や減圧脱泡を行わずに調製を行うと、加熱後の冷却工程で空気がしぼみ、包装形態によっては最終製品が皺の多い外観となり見た目に不良になる。このことから大豆蛋白質素材、澱粉、水、他の原料の混合は減圧等の脱泡が可能な真空ステファン等の混合機を用いることが好ましい。
不完全乳化状態とは、例えば水、大豆蛋白質素材及び油脂を混合した原料混合液の段階で、架橋酵素を添加せずに2時間静置した場合に空気と接している面が離油している状態をいう。また、完全乳化状態とは、例えば水、大豆蛋白質素材及び油脂を混合した原料混合液の段階で、架橋酵素を添加せずに2時間静置した場合に空気と接している面が全く離油していない状態をいう。 油脂を不完全乳化状態に分散させるには、好ましくは大豆蛋白質素材及び水、他の原料の均質液を流動させて油脂を混合させ、水中油型乳化スラリーを得る。混合の際、プロペラ攪拌機による弱撹拌が好ましい方法として例示できる。弱撹拌とは概ね、羽先端の線速度が30〜3,000cm/秒であって、1〜300秒間の撹拌を指す。邪魔板を外すなどして微細乳化が生じ難いようにすればホモミキサー等による弱撹拌であってもよい。
蛋白質架橋酵素の反応は、反応至適温度と失活温度を考慮し、15〜65℃で行うことが好ましく、45〜55℃で行うことが更に好ましい。上述したように加熱殺菌済みの大豆蛋白質素材を用いる場合、40℃以上ではスワリが生じ充填の妨げになるおそれがある。その場合は油脂添加後にトランスグルタミナーゼ溶液を添加し緩やかに均一にし、容器に充填した後酵素反応を行えばよい。
本発明ではゲル状食品を、殺菌あるいは酵素失活の目的で加熱処理することができる。加熱条件として、80〜150℃、数秒〜90分間の加熱などが例示できる。また、レトルト殺菌なども行うこともできる。
ゲル状食品の保存については、使用の目的や殺菌条件にもより、冷凍、チルド、常温の保存条件を選択できる。レトルト殺菌済の常温保存あるいは、加熱殺菌済の冷凍保存品が好ましい。
本発明で用いるTCA可溶化率(%)とは蛋白質の分解率の尺度であり、全蛋白に対する0.22Mトリクロロ酢酸(TCA)可溶性蛋白の割合をケルダール法により測定した。
試料を流水解凍し、試料を直径40mm高さ15mmの容器に充填し、(株)山電製のRHEONER RE-33005を用いて直径20mmのプランジャーで圧縮速度10mm/sec、クリアランス5mmで測定した。測定温度は20±2℃とした(ユニバーサルデザインフード(UDF)「かたさ」測定法に従った)。
得られた試料を流水解凍し、室温になったものを専門パネラー(5名)により、「油脂の放出」と「舌でのつぶれ」及び「食感」について評価した。
「油脂の放出」は口中で油脂の滲み出しがあるかについて、5〜4名のパネラーがあると答えたものに「○」、3〜2名があると答えたものに「△」、1名も答えなかったものに「×」として評価をつけた。「○」は「口中で油の滲み出しを感じる」、「△」は「口中で油の滲み出しをほとんど感じない」、「×」は「口中で油の滲み出しを全く感じない」と解釈する。評価で「○」のものを合格と判断した。
「舌でのつぶれ」は舌でつぶせるかたさであると、5〜4名のパネラーがあると答えたものに「○」、3〜2名があると答えたものに「△」、1名も答えなかったものに「×」として評価をつけた。「○」は「舌でつぶせる」、「△」は「舌でつぶしにくい」、「×」は「舌でつぶせない」と解釈する。評価で「○」のものを合格と判断した。
「食感」は喉通りが良いと、5〜4名のパネラーがあると答えたものに「○」、3〜2名が良いと答えたものに「△」、1名もよいと答えなかったものに「×」として評価をつけた。ゲル状の組織を保っていないものも「×」の評価をつけた。「○」は「喉通りが良い」、「△」は「喉通りがやや悪い」、「×」は「喉通りが悪い」もしくは「ゲル状の組織を保っていない」と解釈する。評価で「○」のものを合格と判断した。
得られたゲル状食品のカロリー計算は、Atwaterのエネルギー換算係数、すなわち蛋白質は4kcal/g、脂質は9kcal/g、炭水化物は4kcal/gを用いて計算した。
低変性脱脂大豆(不二製油(株)製)10kgに15倍の水を加え、1N NaOHでpHを7.5に調整し、室温でホモミキサーを用い1時間撹拌抽出を行った後、遠心分離機(1000×g、10分)によりおから成分を除去して脱脂豆乳を得た。これに1N HClを加えpH4.5に調整し、蛋白質成分を等電点沈殿させ、遠心分離して沈殿物を採取し、分離大豆蛋白カード(以下「カード」という。)を得た。このカードの固形分は約30重量%であった。固形分11重量%の濃度になるように水を加え、水酸化ナトリウムを用い溶液pH7.3に中和した。これを直接加熱殺菌機を用いて140℃、1分間加熱処理を行い、蛋白変性させた大豆蛋白溶液を得た。
この大豆蛋白溶液に「フレーバーザイム」(ノボザイムジャパン(株)製)を対乾物量当たり0.05〜0.5%の間で加え、55℃の反応温度で30分間蛋白加水分解を行った。酵素処理後の大豆蛋白溶液を直接加熱殺菌機を用いて加熱処理(140℃、15秒間)を行い噴霧乾燥し、TCA可溶化率の異なる分離大豆蛋白を得た。
酵素処理は、蛋白変性させた大豆蛋白溶液の酵素処理をしなかったものを分離大豆蛋白Aとし、酵素を対乾物量当たり0.05%、0.2%、0.5%、2.0%添加し得られたものをそれぞれ、分離大豆蛋白B、C、D、Eとした。
分離大豆蛋白A〜EのTCA可溶化率及び、ケルダール法により測定した蛋白含量を表1に示した。
下記の表1の配合にて、ゲル状食品を調製した。
攪拌機(Stephan Machinery GmbH製UMC-5)を用い、水1460重量部に米澱粉(松谷化学工業(株)製WR-2)50重量部、分離大豆蛋白B(TCA可溶化率4)200重量部、グルタミン酸ナトリウム 1.5重量部、コハク酸2ナトリウム 0.5重量部(キリン協和フーズ(株))を加え、減圧撹拌(0.9bar以下)し、蛋白スラリーを得た。蛋白スラリー1500重量部を、プロペラ撹拌機で撹拌しつつ中鎖脂肪酸油(不二製油(株)製MCT-64)500重量部を注ぎ水中油型の乳化スラリーを得た。2000重量部の乳化スラリーに対し、2重量部の架橋剤(味の素(株)製アクティバTG-S)を18重量部の氷水で予め分散させた液を混ぜ合わせ、折幅65mmのケーシングチューブに充填し、架橋反応(55℃、30分間)、温水加熱(90℃、40分間)して4℃の低温室で60分間冷却した後、-20℃のストッカーで冷凍した。
流水解凍した試料をユニバーサルデザインフード(UDF)かたさ測定法、すなわち、直径40mm,高さ15mmの容器に充填し、直径20mmのプランジャーで圧縮速度10mm/sec、クリアランス5mmで測定、測定温度は20±2℃でかたさの測定を行った。かたさは、16638 N/m2でUDF区分3「舌でつぶせる」に該当した。得られたゲル状食品の100g当たりのカロリーは261kcal、蛋白質は7.4g、脂質は24.8gであった。
油脂の放出、舌でのつぶれ、食感、かたさについて評価した結果を表2に示した。
なお、工程中得られた水中油型乳化スラリーを架橋酵素を添加しない状態で2時間静置した結果、空気と接している面は離油しており、不完全乳化状態であることが確認された。
実施例1の大豆蛋白を分離大豆蛋白C(TCA可溶化率8)200重量部に変えた以外は実施例1と同様に調製した。得られた試料を流水解凍し、実施例1に記載の方法と同じ方法で測定したところ、かたさは14255N/m2でUDF区分3「舌でつぶせる」に該当した。得られたゲル状食品の100g当たりのカロリーは261kcal、蛋白質は7.4g、脂質は24.8gであった。
油脂の放出、舌でのつぶれ、食感、かたさについて評価した結果を表2に示した。
なお、工程中得られた水中油型乳化スラリーを架橋酵素を添加しない状態で2時間静置した結果、空気と接している面は離油しており、不完全乳化状態であることが確認された。
実施例1の大豆蛋白の配合比を分離大豆蛋白A(TCA可溶化率3) 140重量部、分離大豆蛋白E(TCA可溶化率23) 60重量部に変えた以外は実施例1と同様に調製した。得られた試料を流水解凍し、実施例1に記載の方法と同じ方法で測定したところ、かたさは16544N/m2でUDF区分3「舌でつぶせる」に該当した。得られたゲル状食品の100g当たりのカロリーは261kcal、蛋白質は7.4g、脂質は24.8gであった。
油脂の放出、舌でのつぶれ、食感、かたさについて評価した結果を表2に示した。
なお、工程中得られた水中油型乳化スラリーを架橋酵素を添加しない状態で2時間静置した結果、空気と接している面は離油しており、不完全乳化状態であることが確認された。
実施例1の大豆蛋白の配合比を分離大豆蛋白A(TCA可溶化率3)110重量部、分離大豆蛋白E(TCA可溶化率23)90重量部に変えた以外は実施例1と同様に調製した。得られた試料を流水解凍し、実施例1に記載の方法と同じ方法で測定したところ、かたさは7180N/m2でUDF区分3「舌でつぶせる」に該当した。得られたゲル状食品の100g当たりのカロリーは261kcal、蛋白質は7.4g、脂質は24.8gであった。
油脂の放出、舌でのつぶれ、食感、かたさについて評価した結果を表2に示した。
なお、工程中得られた水中油型乳化スラリーを架橋酵素を添加しない状態で2時間静置した結果、空気と接している面は離油しており、不完全乳化状態であることが確認された。
実施例1の大豆蛋白を分離大豆蛋白A200重量部に変えた以外は実施例1と同様に調製した。得られた試料を流水解凍し、実施例1に記載の方法と同じ方法で測定したところ、かたさは29447 N/m2でUDF区分3より上回った。得られたゲル状食品の100g当たりのカロリーは261kcal、蛋白質は7.4g、脂質は24.8gであった
油脂の放出、舌でのつぶれ、食感、かたさについて評価した結果を表2に示した。
なお、工程中得られた水中油型乳化スラリーを架橋酵素を添加しない状態で2時間静置した結果、空気と接している面は離油しており、不完全乳化状態であることが確認された。
実施例1の大豆蛋白の配合比を分離大豆蛋白D(TCA可溶化率14)200重量部に変えた以外は実施例1と同様に調製した。得られた試料を流水解凍し、実施例1に記載の方法と同じ方法で測定したところ、かたさは2913N/m2であった。得られたゲル状食品の100g当たりのカロリーは261kcal、蛋白質は7.4g、脂質は24.8gであった。しかし離油・離水が激しく、ゲル状の形態は保てなかった。このかたさはUDF区分4に該当するが、ユニバーサルデザインフードの性状についての特記事項に「ゲルについては著しい離水がないこと」とされており、この基準から比較例2で得られた試料はUDF区分に該当しなかった。
油脂の放出、舌でのつぶれ、食感、かたさについて評価した結果を表2に示した。
なお、工程中得られた水中油型乳化スラリーを架橋酵素を添加しない状態で2時間静置した結果、空気と接している面は離油しており、不完全乳化状態であることが確認された。
実施例1で、大豆蛋白として分離大豆蛋白B(TCA可溶化率4)を用い、蛋白スラリー1500重量部及び中鎖脂肪酸油(不二製油(株)製MCT-64)500重量部をホモジナイザーで12000rpm、3分間の条件で撹拌し水中油型乳化スラリーを得たこと以外は実施例1と同様にしてゲル状食品を調製した。かたさを実施例1に記載の方法と同じ方法で測定した。油脂の放出、舌でのつぶれ、食感、かたさについて評価した結果を表2に示した。工程中得られた水中油型乳化スラリーを架橋酵素を添加しない状態で2時間静置した結果、空気と接している面は全く離油しておらず、完全乳化状態であることが確認された。
油脂の放出
○:口中で油の滲み出しを感じる
△:口中で油の滲み出しをほとんど感じない
×:口中で油の滲み出しを全く感じない
舌でのつぶれ
○:舌でつぶせる
△:舌でつぶしにくい
×:舌でつぶせない
食感
○:喉通りが良い
△:喉通りがやや悪い
×:喉通りが悪いもしくはゲル状の組織を保っていない
※:口中に入れる前から離油が激しく不良
Claims (4)
- 不完全乳化状態である水中油型乳化スラリー中の大豆蛋白質を蛋白質架橋酵素により架橋処理することにより得られる油脂放出型のゲル状食品であって、該食品中に大豆蛋白質素材が1種もしくは2種以上配合され、それぞれの大豆蛋白質素材の配合比率とTCA可溶化率との加重平均によるTCA可溶化率の計算値が4〜13であり、該食品100g中に蛋白質を5g以上及び脂質を20g以上含有し、UDF区分3(かたさ5000〜20000N/m2)に適合する物性を示す油脂放出型のゲル状食品。
- ゲル状食品100g中、蛋白質が5〜14g、脂質が20〜60gである、請求項1記載の油脂放出型のゲル状食品。
- 不完全乳化状態である水中油型乳化スラリー中の大豆蛋白質を蛋白質架橋酵素により架橋処理することを特徴とする、100g中に蛋白質を5g以上及び脂質を20g以上含有し、UDF区分3(かたさ5000〜20000N/m2)に適合する物性を示す油脂放出型のゲル状食品の製造方法であって、該ゲル状食品中に大豆蛋白質素材が1種もしくは2種以上配合され、それぞれの大豆蛋白質素材の配合比率とTCA可溶化率との加重平均によるTCA可溶化率の計算値が4〜13である、油脂放出型のゲル状食品の製造方法。
- ゲル状食品が高齢者及び咀嚼・嚥下困難者用のものである、請求項1または2に記載のゲル状食品。
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