JP5508703B2 - 食品用品質改良剤の製造方法および練り製品製造方法 - Google Patents

食品用品質改良剤の製造方法および練り製品製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、食品用品質改良剤の製造方法および練り製品製造方法に関する。
従来、保存性を高めるために、畜産練り製品や水産練り製品などのレトルト食品が広く利用されている。しかし、畜産練り製品に対して、レトルト処理や加熱処理を行うと、硬くなったり、ぱさついたりするという問題があった。また、水産練り製品に対して、レトルト処理や加熱処理を行うと、しなやかな弾力性が失われるという問題があった。これらの大きな要因として、油脂の分離が考えられる。
このような問題を解決するために、トランスグルタミナーゼおよびゼラチンを動物性食品素材の表面にコーティングした後、食品素材を加熱処理することにより、食感の低下や油脂の分離を抑制しようとする加工食品の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、カロチノイド等の天然色素の退色を防止するため、小麦粉またはグルテンを添加する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、辛味を調節する製剤として、ジグリセリドを有効成分とする辛味抑制剤が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2007−60920号公報 特開2004−215570号公報 特開平11−299448号公報
しかしながら、特許文献1に記載の加工食品の製造方法では、トランスグルタミナーゼおよびゼラチンを食品素材の表面にコーティングする方法のため、食品素材の内部まで食感の改善を図ることはできないという課題があった。また、コーティング処理を必要とするため、処理工程が増えるという課題があった。
それらの課題を解決するため、本発明者らは、ゼラチンによる動物性油脂の乳化とトランスグルタミナーゼによるゼラチンの架橋によって油脂の分離を抑制できることを見出し、ゼラチンとトランスグルタミナーゼと動物性油脂とを含む食品用品質改良剤を開発した。
ところが、その食品用品質改良剤は製造する際、固まりやすく、製造しにくいという課題があった。
また、従来、トランスグルタミナーゼおよびゼラチンを用いて、食品の退色を抑制する製剤はなかった。
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、耐熱性に優れ、処理工程を増やすことなく、油脂の分離を抑制して食品内部まで食感を改善することができる食品用品質改良剤に関し、その製造を容易にする食品用品質改良剤の製造方法およびその食品用品質改良剤を用いた練り製品製造方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係る食品用品質改良剤の製造方法は、ゼラチンとトランスグルタミナーゼと水とから成る全体量に対し、トランスグルタミナーゼ濃度が0.001乃至0.015質量%、ゼラチン濃度が3乃至7.5質量%となるよう、トランスグルタミナーゼ水溶液と前記ゼラチンの溶液と植物油脂と植物性タンパク質溶液とを混合後5分以内に所定容器内に充填することを、特徴とする。
また、本発明に係る食品用品質改良剤の製造方法は、ゼラチンとトランスグルタミナーゼと水とから成る全体量に対し、トランスグルタミナーゼ濃度が0.003乃至0.015質量%、ゼラチン濃度が1乃至7.5質量%となるよう、トランスグルタミナーゼ水溶液と前記ゼラチンの溶液と植物油脂と植物性タンパク質溶液とを混合後、5分以内に所定容器内に充填してもよい。
本発明に係る練り製品製造方法は、前述の食品用品質改良剤の製造方法により製造された食品用品質改良剤を練り製品原料に混合することを特徴とする。
本発明に関する食品用退色抑制剤は、トランスグルタミナーゼおよびゼラチンから成ることを特徴とする。
本発明に関する退色抑制食品の製造方法は、有色食品にゼラチンとトランスグルタミナーゼと水とを混合後、ゲル化させることを特徴とする。
本発明に関する辛味発現遅延剤は、トランスグルタミナーゼおよびゼラチンから成ることを特徴とする。
本発明に関する辛味発現遅延食品の製造方法は、辛味食品にゼラチンとトランスグルタミナーゼと水とを混合後、ゲル化させることを特徴とする。
本発明に関する食品用退色抑制剤および本発明に係る辛味発現遅延剤は、水溶液にして使用されることが好ましい。
本発明において、ゼラチンとトランスグルタミナーゼと水とから成る全体量に対し濃度0.001質量%未満のトランスグルタミナーゼ水溶液とゼラチンの溶液とを混合した場合、固まらない。その全体量に対し濃度0.015質量%を超えるトランスグルタミナーゼ水溶液とゼラチンの溶液とを混合後5分を超えた場合、ゲル化して固まってしまい、充填が困難になる。
このため、本発明に係る食品用品質改良剤の製造方法では、その全体量に対し濃度0.001乃至0.015質量%のトランスグルタミナーゼ水溶液を用いることと、ゼラチンの溶液とを混合後5分以内に充填することが重要である。これにより、ゼラチンがトランスグルタミナーゼの作用により架橋反応を開始するまでに充填を行うことができ、食品用品質改良剤の製造を容易にすることができる。
製造の際のトランスグルタミナーゼ水溶液、ゼラチンの溶液等の温度は、25℃乃至70℃である。25℃より低いとゼラチンが固化しやすく、70℃より高いとトランスグルタミナーゼが失活するためである。充填温度は、30℃乃至70℃であることが特に好ましい。トランスグルタミナーゼ水溶液とゼラチンの溶液との混合の際の温度(充填温度)が40℃の場合には、混合後、充填までに5分を確保するため、濃度0.001乃至0.010質量%のトランスグルタミナーゼ水溶液を用いることが必要である。但し、充填温度25℃乃至40℃の場合、トランスグルタミナーゼの濃度が0.001乃至0.005質量%の範囲では、トランスグルタミナーゼ水溶液とゼラチンの溶液とを混合後、充填までの時間は15分以内でもよい。
ゼラチンの溶液の混合量は前記全体量に対し1乃至7.5質量%であることが好ましく、5質量%前後が特に好ましい。また、濃度0.001質量%のトランスグルタミナーゼ水溶液を用いた場合には、ゼラチンの溶液の混合量は前記全体量に対し3.0質量%以上であることが必要である。
本発明に係る食品用品質改良剤の製造方法は、水産練り製品向け耐熱性食品用品質改良剤の製造の場合、容器に水とゼラチンを入れ、攪拌して25℃乃至70℃、好ましくは65℃前後の温度でゼラチンを加熱溶解させ、これに、魚肉すり身、植物油、植物タンパク質、保存料、耐凍結性液糖などを添加し、引き続き、加熱しそれらを攪拌溶解させ、それにより乳化させ、殺菌した後、必要に応じて50℃以下になるまで冷却し、トランスグルタミナーゼ溶液を添加し、5分以内に所定容器に充填し、充填後、冷蔵して酵素反応させてから冷凍する方法から成ることが好ましい。乳化の際には、マスコロイダーを用いて粉砕することが好ましい。殺菌は、65℃の場合、30乃至60分加熱して行うことが好ましい。酵素反応時間は、一晩が好ましい。
本発明に係る食品用品質改良剤の製造方法は、調味付き耐熱性食品用品質改良剤の製造の場合、容器に水とゼラチンと増粘剤とを入れ、混合攪拌して調味液を添加し、85℃に達するまで加熱溶解および殺菌した後、50℃以下になるまで冷却し、トランスグルタミナーゼ溶液を添加し、5分以内に所定容器に充填し、充填後、冷蔵して酵素反応させてから冷凍する方法から成ることが好ましい。酵素反応時間は、一晩が好ましい。
本発明に係る食品用品質改良剤の製造方法は、畜肉練り製品向け耐熱性食品用品質改良剤の製造の場合、容器に水とゼラチンと豚脂とを入れ、攪拌して25℃乃至70℃、好ましくは65℃前後の温度でゼラチンを加熱溶解させ、これに、ポークオイル、植物タンパク質、保存料(日持ち向上剤)などを添加し、引き続き、加熱しそれらを攪拌溶解させ、それにより乳化させ、殺菌した後、必要に応じて50℃以下になるまで冷却し、トランスグルタミナーゼ溶液を添加し、5分以内に所定容器に充填し、充填後、冷蔵して酵素反応させてから冷凍する方法から成ることが好ましい。乳化の際には、マスコロイダーを用いて粉砕することが好ましい。殺菌は、65℃の場合、30乃至60分加熱して行うことが好ましい。酵素反応時間は、一晩が好ましい。
本発明において、トランスグルタミナーゼ水溶液およびゼラチンの溶液とともに、調味液を混合した場合、調味液を固形化し、用途を広げることができる。
本発明において、トランスグルタミナーゼ水溶液およびゼラチンの溶液とともに、植物油脂と植物性タンパク質溶液とを混合した場合、特に水産練り製品の食感改善に適した食品用品質改良剤を製造することができる。この場合、食品用品質改良剤の全体量に対し植物油脂を10質量%前後、植物性タンパク質を5質量%前後含むことが好ましい。さらに、魚肉を5質量%含むことが好ましい。植物性タンパク質は、蛋白量で4.25質量%以上の場合、油脂に牛脂や豚脂の代わりに植物油脂を使用したときにも、油脂分離、食感・オイル感、歩留まりの改善効果を得ることができる。
本発明に係る練り製品製造方法では、耐熱性に優れた食品用品質改良剤により、処理工程を増やすことなく、食品内部まで食感を改善することができる。
本発明により製造された食品用品質改良剤は、加工食品に混合させて使用される。用いられる加工食品としては、畜産練り製品や水産練り製品が挙げられ、特にレトルト食品に効果的である。
本発明では、トランスグルタミナーゼ水溶液およびゼラチンの溶液とともに、動物性油脂を混合してもよい。この場合、ゼラチンによる動物性油脂の乳化とトランスグルタミナーゼによるゼラチンの架橋によって、油脂の分離を抑制することができる。それにより、畜産練り製品では柔らかく、かつジューシーな食感を得ることができ、水産練り製品ではしなやかな弾力的な食感を得ることができる。
本発明により製造された食品用品質改良剤は、耐熱性に優れており、このため、レトルト処理や加熱処理による食感の低下を抑制することができる。食品全体に混ぜて使用することにより、食品の表面だけでなく、食品全体の食感の低下を抑制することができる。
本発明では、乳由来タンパク質または植物性タンパク質を混合してもよい。この場合、耐熱性をさらに向上させることができる。乳由来タンパク質としては、カゼイン、カゼインナトリウム、その他の乳タンパク質が挙げられる。植物性タンパク質としては特に大豆タンパク質が適している。本発明では、その他のタンパク質、例えば、卵白を混合してもよい。
動物性油脂を用いる場合、牛脂または豚脂、特に豚脂を用いることが好ましい。この場合、特に油脂分離の抑制効果が高く、耐熱性に優れている。また、柔らかく、かつジューシーな食感を得ることができる。本発明では、食品中に含まれる菌を抑制するため、乳酸ナトリウムを混合してもよい。油脂分離の抑制効果をさらに高めるため、食物繊維やキサンタンガムを混合してもよい。本発明に係る食品用品質改良剤の製造方法では、トランスグルタミナーゼ水溶液とゼラチンの溶液との混合の際または混合前後に、調味料、香料、その他の食品素材を混合してもよい。
本発明により製造された練り製品は、油脂の分離を抑制することができ、それにより、しなやかな弾力的な食感を得ることができる。また、耐熱性に優れ、レトルト処理や加熱処理による食感の低下を抑制することができる。製造される練り製品としては、水産練り製品の場合、かまぼこ、魚肉ソーセージ、レトルトおでん用の練り物などが挙げられ、特にレトルト食品が適している。製造される畜産練り製品としては、ハンバーグ、おでん用粗挽きソーセージ、肉まん等のウォーマー商品の具、ぎょうざの具、ミートボール、レトルトおでん用の練り物などが挙げられ、特にレトルト食品が適している。
本発明に関する食品用退色抑制剤および本発明に関する辛味発現遅延剤は、水溶液にして使用したとき、水溶液の全体量に対し、ゼラチンは1乃至7.5質量%、特に5質量%前後含まれることが好ましく、トランスグルタミナーゼは0.001乃至0.015質量%含まれることが好ましい。この場合、水溶液に有色食品または辛味食品が溶けた状態または分散した状態で含まれることが好ましい。
本発明に関する退色抑制食品の製造方法および本発明に関する辛味発現遅延食品の製造方法は、有色食品または辛味食品を水溶液にしたとき、水溶液の全体量に対し、ゼラチンは1乃至7.5質量%、特に5質量%前後含まれることが好ましく、トランスグルタミナーゼは0.001乃至0.015質量%含まれることが好ましい。
有色食品は、天然色素をそのまま含む野菜や肉であっても、天然色素または合成色素を添加されて含む食品であってもよいが、特に天然色素に効果が顕著である。有色食品の色素の例としては、クロロフィル、カロチノイド色素、アントシアン色素等が挙げられる。有色食品の例としては、ホウレンソウ、ニンジン、カボチャなどの有色野菜のピューレが挙げられる。
辛味食品は、トウガラシやカレールーなどの香辛料であっても、キムチ、辛子明太子などの食品であってもよい。辛味食品の辛味成分としては、カプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシンなどのトウガラシの辛味成分のほか、ダイコンの辛味成分(4-メチルチオ-3-ブテニルイソチオシアネ-ト)、マスタードの辛味成分(アリルイソチオシアネ一卜)、コショウの辛味成分(ピペリン)、ショウガの辛味成分(ジンゲロール、ショウガオール)、サンショウの辛味成分(サンショオール)などであってもよいが、トウガラシの辛味成分、特に、カプサイシンに効果が顕著である。
本発明に関する食品用退色抑制剤および本発明に関する退色抑制食品の製造方法によれば、有色食品の退色を抑制し、色をそのまま保つことができる。
発明に関する辛味発現遅延剤および本発明に関する辛味発現遅延食品の製造方法によれば、辛味の発現時点を遅くし、食後しばらくしてから発現させることができる。
本発明によれば、耐熱性に優れ、処理工程を増やすことなく、油脂の分離を抑制して食品内部まで食感を改善することができる食品用品質改良剤に関し、その製造を容易にする食品用品質改良剤の製造方法およびその食品用品質改良剤を用いた練り製品製造方法を提供することができる。
[トランスグルタミナーゼ濃度と架橋反応時間の検討]
本発明に係る食品用品質改良剤の製造方法において、トランスグルタミナーゼ水溶液の濃度と、ゼラチンの溶液との混合後の時間を決定するため、以下の試験を行った。
表1に示す配合で、ゼラチンと、トランスグルタミナーゼと、水とを準備した。トランスグルタミナーゼは、表2および表3に示す各濃度(質量%)のものを準備した。それらを40℃および25℃の各温度で混合して、ゲル化により固化するまでの時間を測定した。結果を表2および表3に示す。

表2の結果によれば、充填温度40℃の場合、トランスグルタミナーゼの濃度が0.001乃至0.010質量%では、ゲル化により固化するまで5分確保することができる。トランスグルタミナーゼの濃度が0.001乃至0.005質量%では、ゲル化により固化するまで15分確保することができる。
表3の結果によれば、充填温度25℃の場合、トランスグルタミナーゼの濃度が0.001乃至0.015質量%で、ゲル化により固化するまで5分確保することができる。トランスグルタミナーゼの濃度が0.001乃至0.005質量%では、ゲル化により固化するまで15分確保することができる。
次に、耐熱性を付与させたゲルを作るのに必要なゼラチン濃度、トランスグルタミナーゼ濃度を調べるため、以下の試験を行った。
[ゼラチン濃度の検討]
まず、ゼラチン濃度を検証する試験を行った。
表4に示す濃度になるよう、ゼラチンとトランスグルタミナーゼとを準備した。配合量は、ゼラチン液を全体の90質量%、トランスグルタミナーゼ液を全体の10質量%とした。
計量して容器に水を入れ、攪拌してゼラチンを添加し、85℃に達するまで加熱しゼラチンを溶解させた。これを50℃になるまで冷却し、トランスグルタミナーゼ溶液を添加、混合後、所定容器に充填した。充填後、放冷し、8℃の冷蔵庫内で一晩酵素反応させてから冷凍した。
冷凍させたものについて120℃、30分のレトルト加熱直後の状態で固形物として残っているかどうかで耐熱性の評価を行った。その結果を表4に示す。表中、各%は質量%である。
表4の結果によれば、耐熱性を付与するには、トランスグルタミナーゼの濃度が0.003質量%以上では、ゼラチン濃度は1.00質量%以上の必要がある。
[充填温度の検討]
次に、耐熱性を有するゲルを作るのに不可欠な充填温度を検証した。
まず、表5に示す配合でゼラチン溶液とトランスグルタミナーゼ溶液とを準備した。トランスグルタミナーゼ溶液の調製には、トランスグルタミナーゼを1質量%含む市販品「アクティバTG−S」(味の素株式会社製;以下、「TG−S」と表す)を使用した。
計量して容器に水を入れ、攪拌してゼラチンを添加し、90℃に達するまで加熱しゼラチンを溶解させた。これを表6に示す温度になるまで冷却し、トランスグルタミナーゼ溶液を添加、混合後、5分以内に所定容器に充填した。充填後、放冷し、8℃の冷蔵庫内で一晩酵素反応させてから冷凍した。
冷凍させたものについて120℃、30分のレトルト加熱直後の状態で固形物として残っているかどうかで耐熱性の評価を行った。充填が問題なく起きているかどうかは、途中でゲル化が起きた場合を不可とし、途中でゲル化することなく均一なゲルができた場合を可と評価した。それらの結果を表6に示す。表中、各%は質量%である。

表6の結果によれば、耐熱性を付与するには、25℃以上の充填温度にする必要がある。
[植物油脂の使用]
本発明に係る食品用品質改良剤は、牛脂、豚脂を混合して使用することにより、油脂分離の抑制、食感改善・オイル感の付与、歩留向上の効果がある。しかしながら、牛脂、豚脂の代わりに、植物油脂を使用した場合でも、添加するタンパク質の種類、量を選択することにより、牛脂または豚脂を使用した場合と同等の品質改良効果が得られることがわかった。それを確認するため、以下の試験を行った。
[タンパク質量の検討(1)]
タンパク質量を変えて水産練り製品用品質改良剤の試料を作成し、油脂の分離や食感・オイル感、歩留などに基づいて、タンパク質量の検討を行った。
タンパク質として植物タンパク質を用い、その量を変えて試験を行った。植物タンパク質には、大豆タンパク質を使用した。植物油脂には、大豆白絞油を使用した。
試験区の内容を表7に示す。表中の数字は、質量%である。
試料は、以下の方法で製造した。
計量して容器に水を入れ、攪拌してゼラチン、植物タンパク質および植物油脂を添加し、90℃に達するまで加熱しそれらを溶解させた。これを50℃になるまで冷却し、トランスグルタミナーゼ溶液を添加、混合後、5分以内に所定容器に充填した。充填後、放冷し、8℃の冷蔵庫内で一晩酵素反応させてから冷凍した。
冷凍させたものについて120℃、30分のレトルト加熱直後の状態で評価を行った。その結果を表8に示す。


表8に示すように、植物油脂を使用した場合でも、大豆タンパク質の量を増加させることにより、油脂分離、食感・オイル感、歩留まりについて良好な結果を得ることができる。
[タンパク質量の検討(2)]
タンパク質量を変えて水産練り製品用品質改良剤の試料を作成し、油脂の分離や食感・オイル感、歩留などに基づいて、タンパク質量の検討を行った。
タンパク質として植物タンパク質を用い、その量を変えて試験を行った。植物タンパク質には、大豆タンパク質を使用した。植物油脂には、大豆白絞油を使用した。
試験区の内容を表9に示す。表中の数字は、質量%である。
試料は、以下の方法で製造した。
計量して容器に水を入れ、攪拌してゼラチン、すり身および植物油脂を添加し、90℃に達するまで加熱しそれらを溶解させた。これを50℃になるまで冷却し、トランスグルタミナーゼ溶液を添加、混合後、5分以内に所定容器に充填した。充填後、放冷し、8℃の冷蔵庫内で一晩酵素反応させてから冷凍した。
冷凍させたものについて120℃、30分のレトルト加熱直後の状態で評価を行った。その結果を表10に示す。
表10の結果から、そのままの配合量を置き換えただけでは油脂分離、食感・オイル感、歩留まりに優位差はなく、タンパク質のタンパク量によって優位差があると考えられる。
大豆タンパク質の蛋白量は85%、すり身の蛋白量は17.5%であり、配合量から計算すると蛋白量で4.25質量%以上配合された場合に、牛脂、豚脂の代わりに植物油脂を使用したときでも油脂分離、食感・オイル感、歩留まりの改善効果に優れることが検証された。
以下の野菜色素の退色抑制試験および辛味発現遅延試験は、本発明に係る試験例ではない。
[野菜色素の退色抑制試験1]
トランスグルタミナーゼおよびゼラチンによるクロロフィルの退色抑止効果を検討した。
[試験方法]
野菜色素(ホーレン草ピューレ)を用いた以下の(1)〜(4)の試験区で、それぞれ加温溶解し中心温度85℃まで加熱後、冷却してゲルを作成した。対照区は、同様に中心温度85℃まで加熱後、冷却したが、ゾル状であった。(4)のゼラチン・トランスグルタミナーゼ添加区は、ピューレとゼラチンと水とを撹拌混合し、85℃まで加熱した後冷却して、液温が50℃になった時点でトランスグルタミナーゼを添加・混合して耐熱性のゼラチンゲルを作成し、試験に供した。なお、各%は、質量%を意味する。
得られたゲルを温度5℃下 3,000ルクスの照射下で放置し、放置中のピューレの退色の色差を色彩色差計を用いて測定した。その結果を表11に示す。
[試験区]
対照区:ホーレン草ピューレ20%+水 80%
(1):ホーレン草ピューレ20%+ゼラチン2% +水78%
(2):ホーレン草ピューレ20%+寒天2% +水 78%
(3):ホーレン草ピューレ20%+κカラギナン2% +水 78%
(4):ホーレン草ピューレ20%+ゼラチン2% + トランスグルタミナーゼ0.01%+水77.99%
[結果]
0 〜 0.5:きわめてわずかに異なる
0.5〜 1.5:わずかに異なる
1.5〜 3.0:感知し得るほどに異なる
3.0〜 6.0:著しく異なる
6.0〜12.0:きわめて著しく異なる
12.0以上 :別の色系統になる

表11に示すとおり、ホーレン草ピューレにゼラチンとトランスグルタミナーゼと水とを混合し、ゲル化させることにより、顕著に退色を抑制できることがわかる。
[野菜色素の退色抑制試験2]
上記の試験1で、ホーレン草ピューレに含まれているクロロフィルは、ゲル作成時の加熱により退色が進行する。そこで、各試験区中に退色防止剤を配合し、トランスグルタミナーゼおよびゼラチンとの相乗効果を確認した。退色防止剤には、以下の配合の市販品(商品番号「G-KS#1」、青葉化成(株)製)を用いた。
酢酸ナトリウム 37.00%
炭酸水素ナトリウム 28.00
塩化カリウム 20.00
L-アスコルビン酸ナトリウム10.00
ポリリン酸ナトリウム 2.50
メタリン酸ナトリウム 2.50
[試験方法]
以下の試験区について、上記の試験1の試験方法と同様にゲル等を作成し、温度5℃下 3,000ルクスの照射下で放置し、放置中のピューレの退色の色差を色彩色差計を用いて測定した。
[試験区]
対照区:ホーレン草ピューレ20%+退色防止剤1.0%+水79%
(1):ホーレン草ピューレ20%+退色防止剤1.0%+ゼラチン2%+水77%
(2):ホーレン草ピューレ20%+退色防止剤1.0%+寒天2%+水77%
(3):ホーレン草ピューレ20%+退色防止剤1.0%+κカラギナン2%+水77%
(4):ホーレン草ピューレ20%+退色防止剤1.0%+ゼラチン2%+トランスグルタミナーゼ0.01%+水76.99%
(5):ホーレン草ピューレ20%+退色防止剤1.0%+ゼラチン2%+トランスグルタミナーゼ0.02%+水76.98%
[結果]
表12に示すとおり、市販の退色防止剤と組み合わせて使用した場合、ホーレン草ピューレにゼラチンとトランスグルタミナーゼと水とを混合し、ゲル化させたものでは、さらに顕著に退色を抑制できることがわかる。
[野菜色素の退色抑制試験3]
トランスグルタミナーゼおよびゼラチンによるカロチノイド色素の退色抑止効果を検討した。
[試験方法]
野菜色素(ニンジンピューレ)を用いた以下の試験区について、上記の試験1の試験方法と同様にゲル等を作成し、温度5℃下 3,000ルクスの照射下で放置し、放置中のピューレの退色の色差を色彩色差計を用いて測定した。
[試験区]
対照区:ニンジンピューレ20%+水80%
(1):ニンジンピューレ20%+ゼラチン2%+水78%
(2):ニンジンピューレ20%+寒天2%+水78%
(3):ニンジンピューレ20%+κカラギナン2%+水78%
(4):ニンジンピューレ20%+ゼラチン2%+トランスグルタミナーゼ0.01%+水77.99%
[結果]
表13に示すとおり、ホーレン草ピューレにゼラチンとトランスグルタミナーゼと水とを混合し、ゲル化させることにより、顕著に退色を抑制できることがわかる。
[野菜色素の退色抑制試験4]
トランスグルタミナーゼおよびゼラチンによるアントシアン色素の退色抑止効果を検討した。
[試験方法]
野菜色素(赤キャベツ色素)を用いた以下の試験区について、上記の試験1の試験方法と同様にゲル等を作成し、温度5℃下 3,000ルクスの照射下で放置し、放置中の赤キャベツ色素の退色の色差を色彩色差計を用いて測定した。
[試験区]
対照区:赤キャベツ色素0.5%+水99.5%
(1):赤キャベツ色素0.5%+ゼラチン2%+水97.5%
(2):赤キャベツ色素0.5%+寒天2%+水97.5%
(3):赤キャベツ色素0.5%+κカラギナン2%+水97.5%
(4):赤キャベツ色素0.5%+ゼラチン2%+トランスグルタミナーゼ0.01%+水97.49%
[結果]

表14に示すとおり、赤キャベツ色素にゼラチンとトランスグルタミナーゼと水とを混合し、ゲル化させることにより、顕著に退色を抑制できることがわかる。
[辛味発現遅延試験]
トランスグルタミナーゼおよびゼラチンによる辛味食品の辛味発現遅延効果を検討した。
[試験方法]
ゲル中にレッドペッパー(辛味成分カプサイシン)を含有させ、その辛味を感じる速度と辛味の質の変化を調べた。
以下の(1)〜(4)の試験区を用い、それぞれの成分を加熱しながら撹拌分散し、中心温度85℃に達した後加熱を止め、冷却してゲルを得た。対照区は、同様に中心温度85℃まで加熱後、冷却したが、ゾル状であった。(4)のゼラチン・トランスグルタミナーゼ添加区は、レッドペッパーとゼラチン、水を撹拌混合し85℃まで加熱した後冷却して、液温が50℃になった時点でトランスグルタミナーゼを添加・混合して耐熱性のゼラチンゲルを作成し試験に供した。なお、各%は、質量%を意味する。
それぞれの試験区で得られたゲルについて官能検査を実施し、辛味の発現速度、質を評価した。
官能検査は、10名のパネラーで、検査するときの検体の温度を10℃にしたものと50℃にしたもので行った。辛味を感じる速度は、口に入れた瞬間に辛味を感じるを5点とし、以下遅くなるに従い点数を1点刻みで低くし、口中に長時間おいても辛味発現しないものを0点として、その平均を数値化した。その結果を表15に示す。
[試験区]
対照区:レッドペッパー1%+水99%
(1):レッドペッパー1%+ゼラチン2%+水97%
(2):レッドペッパー1%+寒天2%+水97%
(3):レッドペッパー1%+κカラギナン2%+水97%
(4):レッドペッパー1%+ゼラチン2%+トランスグルタミナーゼ0.01%+水96.99%
[結果]
表15に示すとおり、レッドペッパーにゼラチンとトランスグルタミナーゼと水とを混合し、ゲル化させることにより、顕著に辛味の発現を遅延可能であることがわかる。また、(4)では、上品な甘みを僅かに含み、辛味の幅が増したように感じられた。

以下に、本発明の実施の形態の食品用品質改良剤の製造方法の実施例を示す。
[水産練り製品向け耐熱性食品用品質改良剤]
表16および表17に示す配合により、水産練り製品向け食品用品質改良剤をそれぞれ以下の方法で製造した。
計量してジャケット付きタンクに水とゼラチンを入れ、攪拌してゼラチンを60℃弱で加熱溶解させた。これに、完全溶解したスケソウすり身、大豆白絞油、大豆タンパク質、保存料および耐凍結性液糖を添加し、60℃弱で加熱しそれらを攪拌溶解させた。これをマスコロイダー(電動石臼)で粉砕した。次に、65℃で30分間殺菌した後、50℃になるまで冷却した。これにトランスグルタミナーゼ溶液を添加し、粉末溶解ポンプで混合しながら5分以内に所定容器に充填した。充填後、放冷し、8℃の冷蔵庫内で一晩酵素反応させてから冷凍した。こうして、水産練り製品向け食品用品質改良剤を製造した。
この製造方法により、充填段階で架橋・ゲル化がみられず、充填に支障なく製造することができた。
[調味付き耐熱性食品用品質改良剤]
表18に示す配合により、調味付き耐熱性食品用品質改良剤を以下の方法で製造した。
計量してタンクに水を入れ、その水に増粘剤とゼラチン粉体とを混合して入れ、さらにブイヨンベースと保存料とを添加し、攪拌してゼラチンを85℃に達するまで加熱溶解および殺菌した。これを50℃になるまで冷却した後、トランスグルタミナーゼ溶液を添加、混合し、スクリューポンプで5分以内に所定容器に充填した。充填後、放冷し、8℃の冷蔵庫内で一晩酵素反応させてから冷凍した。こうして、ブイヨンベースにより調味された調味付き耐熱性食品用品質改良剤を製造した。この製造方法により、充填段階で架橋・ゲル化がみられず、充填に支障なく製造することができた。製造された耐熱性食品用品質改良剤は、ホットベンダー等による加熱条件下でも溶解せずに固まっており、肉まんやハンバーグ等に使用するのに適している。
[畜肉製品向け耐熱性食品用品質改良剤]
表19に示す配合により、畜肉製品向け耐熱性食品用品質改良剤を以下の方法で製造した。
計量してタンクに水と豚脂とゼラチンを入れ、攪拌してゼラチンを65℃で加熱溶解させた。これに、大豆タンパク質とポークオイルと保存料とを添加し、マスコロイダー(電動石臼)で粉砕した。マスコロイダーにより、豚脂を均一に分散可能となる。次に、65℃で60分間殺菌した後、50℃以下になるまで冷却した。これにトランスグルタミナーゼ溶液を添加し、粉末溶解ポンプで混合しながら5分以内に所定容器に充填した。充填後、放冷し、8℃の冷蔵庫内で一晩酵素反応させてから冷凍した。こうして、畜肉製品向け耐熱性食品用品質改良剤を製造した。
この製造方法により、充填段階で架橋・ゲル化がみられず、充填に支障なく製造することができた。
本発明の実施例1の水産練り製品向け耐熱性食品用品質改良剤を使用して、レトルトタイプのかまぼこ(以下、「本かまぼこ」という)を製造した。比較例として、一般的なレトルトタイプのかまぼこ(以下、「比較かまぼこ」という)を製造した。本かまぼこおよび比較かまぼこの各原料の配合割合を、表20に示す。表20に示すように、本かまぼこは、比較かまぼこの魚のすり身(表20中の「スケソウFA」)の一部を実施例1の表16の配合の水産練り製品向け耐熱性食品用品質改良剤(本品質改良剤)に置き換えたものである。
その結果、比較かまぼこは、歯切れが悪いのに対し、本かまぼこは、歯切れが良く、しなやかな食感であることが確認された。また、本かまぼこは、比較かまぼこに比べて、脂分の浮き出しが少なく、製品の歩留まりが高いことも確認された。このように、実施例1の水産練り製品向け耐熱性食品用品質改良剤を使用することにより、レトルト処理や加熱処理による食感の低下や、脂分の溶出を抑制することができ、耐熱性にも優れることが確認された。また、使用しない場合に比べて、製品の歩留まりが高いことも確認された。
本発明の実施例3の畜肉製品向け耐熱性食品用品質改良剤を使用して、レトルト食品のハンバーグ(以下、「本ハンバーグ」という)を製造した。比較例として、一般的なレトルト食品のハンバーグ(以下、「比較ハンバーグ」という)を製造した。本ハンバーグおよび比較ハンバーグの各原料の配合割合を、表21に示す。表21に示すように、本ハンバーグは、比較ハンバーグの豚脂の代わりに、本発明の実施例3の畜肉製品向け耐熱性食品用品質改良剤(本品質改良剤)を配合したものである。
その結果、比較ハンバーグは、ボソボソした食感であるのに対し、本ハンバーグは、粗挽き感があり食感が良いことが確認された。また、本ハンバーグは、比較ハンバーグに比べて、脂分の浮き出しが少ないことも確認された。このように、本発明の実施例3の畜肉製品向け耐熱性食品用品質改良剤を使用することにより、レトルト処理や加熱処理による食感の低下や、脂分の溶出を抑制することができ、耐熱性に優れることが確認された。また、使用しない場合に比べて、製品の歩留まりが高いことも確認された。
[退色抑制食品]
表22に示す配合により、退色抑制食品をそれぞれ以下の方法で製造した。なお、この実施例6は、本発明に係る実施例ではない。
ピューレとゼラチンと還元水あめと増粘多糖類と水とを撹拌混合し、85℃まで加熱した後冷却して、液温が50℃になった時点でトランスグルタミナーゼを添加・混合して耐熱性のゼラチンゲルから成る退色抑制食品を製造した。ホウレンソウゲルのみ、ピューレとともに市販の退色防止剤(商品番号「G-KS#1」、青葉化成(株)製)を加えた。
製造した各ゼラチンゲルについて、温度5℃下 3,000ルクスの蛍光照射下で放置し、放置中のピューレの退色の色差を色彩色差計を用いて測定した。
その結果、にんじんゲルとかぼちゃゲルに関しては、1ヶ月経過しても、退色の傾向はみられなかった。
ホウレンソウゲルでは、製造直後に比べて、1週間ないし1ヶ月経過後で、色がわずかに異なるか、感知し得る程度に異なる程度であった。
[辛味発現遅延食品]
レッドペッパー 4質量%とゼラチン 2質量%と水93.99質量%とを撹拌混合し、85℃まで加熱した後冷却して、液温が50℃になった時点でトランスグルタミナーゼ
0.01質量%を添加・混合して耐熱性レッドペッパーゲルを製造し、ダイス状にカットした。表23に示す配合の原料をまず耐熱性レッドペッパーゲルを除いて混合し、次に耐熱性レッドペッパーゲルを添加して混合し、一晩安生した後、80℃で30分間蒸煮した。こうして、辛味発現遅延ソーセージを製造した。また、比較のため、耐熱性レッドペッパーゲルの代わりに、同量(0.80質量%)のレッドペッパーを用いて同様にソーセージを製造した。なお、この実施例7は、本発明に係る実施例ではない。
耐熱性レッドペッパーゲルを用いた辛味発現遅延ソーセージでは、香辛料の溶出はみられなかったが、レッドペッパーを直接用いたソーセージでは、蒸煮後の脂の溶出とともにレッドペッパーの溶出がみられた。
製造したソーセージについて専門の官能検査員(男性4名、女性4名)により官能検査を行ったところ、辛味発現遅延ソーセージではレッドペッパーを直接用いたソーセージに比べて、官能検査員全員が辛味の遅味を感じた。

Claims (7)

  1. ゼラチンとトランスグルタミナーゼと水とから成る全体量に対し、トランスグルタミナーゼ濃度が0.001乃至0.015質量%、ゼラチン濃度が3乃至7.5質量%となるよう、トランスグルタミナーゼ水溶液と前記ゼラチンの溶液と植物油脂と植物性タンパク質溶液とを混合後5分以内に所定容器内に充填することを、特徴とする食品用品質改良剤の製造方法。
  2. ゼラチンとトランスグルタミナーゼと水とから成る全体量に対し、トランスグルタミナーゼ濃度が0.003乃至0.015質量%、ゼラチン濃度が1乃至7.5質量%となるよう、トランスグルタミナーゼ水溶液と前記ゼラチンの溶液と植物油脂と植物性タンパク質溶液とを混合後、5分以内に所定容器内に充填することを、特徴とする食品用品質改良剤の製造方法。
  3. 前記トランスグルタミナーゼ濃度が0.010質量%以下であり、前記所定容器内に充填するときの充填温度が25℃乃至40℃であることを、特徴とする請求項1または2記載の食品用品質改良剤の製造方法。
  4. ゼラチンとトランスグルタミナーゼと水とから成る全体量に対し、トランスグルタミナーゼ濃度が0.001乃至0.005質量%、ゼラチン濃度が3乃至7.5質量%となるよう、トランスグルタミナーゼ水溶液と前記ゼラチンの溶液と植物油脂と植物性タンパク質溶液とを混合後15分以内に所定容器内に充填することを、特徴とする食品用品質改良剤の製造方法。
  5. ゼラチンとトランスグルタミナーゼと水とから成る全体量に対し、トランスグルタミナーゼ濃度が0.003乃至0.005質量%、ゼラチン濃度が1乃至7.5質量%となるよう、トランスグルタミナーゼ水溶液と前記ゼラチンの溶液と植物油脂と植物性タンパク質溶液とを混合後、15分以内に所定容器内に充填することを、特徴とする食品用品質改良剤の製造方法。
  6. 前記全体量に対し、植物性タンパク質濃度が4.25乃至7質量%となるよう、前記植物性タンパク質溶液混合することを、特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の食品用品質改良剤の製造方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の食品用品質改良剤の製造方法により製造された食品用品質改良剤を練り製品原料に混合することを特徴とする練り製品製造方法。
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