JPWO2014030605A1 - 栄養組成物 - Google Patents

栄養組成物 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2014030605A1
JPWO2014030605A1 JP2014531615A JP2014531615A JPWO2014030605A1 JP WO2014030605 A1 JPWO2014030605 A1 JP WO2014030605A1 JP 2014531615 A JP2014531615 A JP 2014531615A JP 2014531615 A JP2014531615 A JP 2014531615A JP WO2014030605 A1 JPWO2014030605 A1 JP WO2014030605A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protein
mass
composition
soybean
nutritional composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014531615A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6277957B2 (ja
Inventor
傑 長岡
傑 長岡
壮一郎 畑
壮一郎 畑
亜衣子 森島
亜衣子 森島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ajinomoto Co Inc filed Critical Ajinomoto Co Inc
Publication of JPWO2014030605A1 publication Critical patent/JPWO2014030605A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6277957B2 publication Critical patent/JP6277957B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23LFOODS, FOODSTUFFS, OR NON-ALCOHOLIC BEVERAGES, NOT COVERED BY SUBCLASSES A21D OR A23B-A23J; THEIR PREPARATION OR TREATMENT, e.g. COOKING, MODIFICATION OF NUTRITIVE QUALITIES, PHYSICAL TREATMENT; PRESERVATION OF FOODS OR FOODSTUFFS, IN GENERAL
    • A23L33/00Modifying nutritive qualities of foods; Dietetic products; Preparation or treatment thereof
    • A23L33/10Modifying nutritive qualities of foods; Dietetic products; Preparation or treatment thereof using additives
    • A23L33/17Amino acids, peptides or proteins
    • A23L33/185Vegetable proteins
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23LFOODS, FOODSTUFFS, OR NON-ALCOHOLIC BEVERAGES, NOT COVERED BY SUBCLASSES A21D OR A23B-A23J; THEIR PREPARATION OR TREATMENT, e.g. COOKING, MODIFICATION OF NUTRITIVE QUALITIES, PHYSICAL TREATMENT; PRESERVATION OF FOODS OR FOODSTUFFS, IN GENERAL
    • A23L33/00Modifying nutritive qualities of foods; Dietetic products; Preparation or treatment thereof
    • A23L33/30Dietetic or nutritional methods, e.g. for losing weight
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23LFOODS, FOODSTUFFS, OR NON-ALCOHOLIC BEVERAGES, NOT COVERED BY SUBCLASSES A21D OR A23B-A23J; THEIR PREPARATION OR TREATMENT, e.g. COOKING, MODIFICATION OF NUTRITIVE QUALITIES, PHYSICAL TREATMENT; PRESERVATION OF FOODS OR FOODSTUFFS, IN GENERAL
    • A23L33/00Modifying nutritive qualities of foods; Dietetic products; Preparation or treatment thereof
    • A23L33/40Complete food formulations for specific consumer groups or specific purposes, e.g. infant formula
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/02Nutrients, e.g. vitamins, minerals

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nutrition Science (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mycology (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Diabetes (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Obesity (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Pediatric Medicine (AREA)
  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

本発明は、たんぱく質を含有する液状又は半固形状の組成物の粘度を高めるための新規手段を提供すること、並びに各種の投与方法、特に経管栄養法に適した粘度及び流動性を有する栄養組成物を提供することを目的とする。本発明は、たんぱく質、炭水化物、脂質、ミネラル類及び大豆レシチンを少なくとも含み、該大豆レシチン1質量部に対して該たんぱく質を1〜300質量部の比率で含み、且つpH4以下であることを特徴とする、液状又は半固形状の栄養組成物を提供する。

Description

本発明は、たんぱく質、炭水化物、脂質、ミネラル類及び大豆レシチンを少なくとも含む液状又は半固形状の新規栄養組成物、当該栄養組成物の製造方法、及び液状又は半固形状の栄養組成物の増粘方法等に関する。
生命維持活動を行なうために必要な栄養素は、糖質、たんぱく質、脂質、無機塩類(ミネラル類)、ビタミン類、食物繊維があり6大栄養素と呼ばれている。これらの栄養素は、日常の食事から摂取するのが通常であるが、加齢に伴い胃が縮小した高齢者、脳血管障害、神経筋障害等により嚥下・咀嚼能力が低下した患者、意識障害等により経口摂取が困難である患者、通常の食事を摂取できない術後の患者等は、濃厚流動食や栄養剤等の各栄養素を総合的に含んだ栄養組成物を利用する必要がある。
経管栄養法は、経口摂取が困難な場合に体外から消化管内に通したチューブを用いて栄養組成物を投与する処置である。近年、経管栄養法の一態様として胃瘻・腸瘻経管栄養法が普及しつつある。この胃瘻・腸瘻経管栄養法は、食道や胃、空腸(多くは胃)に手術的、内視鏡的に外瘻(瘻孔)を造設して留置したチューブを介して、栄養組成物を持続的または間歇的に投与する方法であり、胃や腸に直接栄養組成物を供給することができる。従って、健康な人と同様に消化管を通じて水分・栄養を摂取させることができ、患者の生活の質(以下、QOLという)を向上させることができると言われている。
経管栄養法においては、栄養組成物の粘度が低いと胃食道逆流、瘻孔からの漏れ、下痢等を起こしやすいことが知られている。特に胃食道逆流は、逆流性食道炎、誤嚥性肺炎等につながるおそれがあり、投与速度を遅くする等の対策がとられていたが、現在ではゲル化剤や増粘剤の添加等により栄養組成物の粘度を高めて半固形化することでこれらの症状を予防できることが明らかとなっている。一方、栄養組成物を胃又は腸にチューブ等を介して導入する際に、栄養組成物の流動性が低いと容器やチューブからの押し出しに大きな力を要することとなり、簡便に投与できなくなる。従って、胃食道逆流等を予防し得る粘度と、投与に大きな力を必要としない程度の流動性の両方を有する栄養組成物が臨床上有用である。
栄養組成物の粘度を高める方法としては、ゲル化剤や増粘剤を栄養素とは別に添加する方法の他に、栄養素として含有されるたんぱく質自体の変性又はゲル化を利用する方法が用いられている。この方法では、たんぱく質及びミネラル類の配合量を高めると粘度が上昇し過ぎるという問題があったが、組成物中に2価陽イオンで不溶化させたたんぱく質の水不溶性の粒子を形成させ、組成物中に含まれる粒子の体積基準メジアン径(d50)を特定の範囲にすることで、経口摂取やチューブからの投与上好ましいレオロジー特性を得る手段が既に開発されている(特許文献1)。
国際公開第2007/026474号パンフレット 国際公開第2007/136083号パンフレット
従来より、濃厚流動食等の液体食品への粘度付与方法として増粘剤を利用することが知られている。流動食の増粘方法としては、特許文献2にあるようにキサンタンガム等の増粘剤を配合することが知られているが、チューブ流動性が低下するという問題がある。
特許文献1にあるような一般的な濃厚流動食は上記のようなたんぱく質の変性又はゲル化を利用する方法を適用して、製品の粘度を高めることが可能であった。
本発明は、たんぱく質等を含有する液状又は半固形状の栄養組成物の粘度を高めるための新規手段を提供し、各種の投与方法、特に経管栄養法に適した粘度及び流動性を有する栄養組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討し、たんぱく質(好ましくは、大豆たんぱく質又は乳たんぱく質のいずれかを含み、より好ましくは大豆たんぱく質を含む)を含む栄養組成物中に大豆レシチンを添加し混合することにより、pH4以下の酸性域でも増粘剤やゲル化剤を添加することなく栄養組成物の粘度を高めることが可能であることを見出した。得られた栄養組成物は、経管栄養法に適した良好な流動性も保持していた。本発明者らは、これらの知見に基づいて更に研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
[1]たんぱく質、炭水化物、脂質、ミネラル類及び大豆レシチンを少なくとも含み、該たんぱく質が大豆たんぱく質を含み、該大豆レシチン1質量部に対して該大豆たんぱく質を1〜300質量部の比率で含み、且つpH4以下であることを特徴とする、液状又は半固形状の栄養組成物。
[2]粘度が1,000〜10,000mPa・sであり、且つ流動性が100〜200Nである、[1]に記載の栄養組成物。
[3]大豆たんぱく質の含有量が1〜25質量%である、[1]又は[2]に記載の栄養組成物。
[4]該大豆レシチンの含有量が0.05質量%以上である、[1]〜[3]のいずれかに記載の栄養組成物。
[5]栄養組成物中のたんぱく質の10質量%以上が大豆たんぱく質である、[1]〜[4]のいずれかに記載の栄養組成物。
[6]熱量が1.5〜3.0kcal/g、たんぱく質の含有量が7〜25質量%、炭水化物の含有量が18〜38質量%、且つ脂質の含有量が3〜8質量%である、[1]〜[5]のいずれかに記載の栄養組成物。
[7]経管栄養用である、[1]〜[6]のいずれかに記載の栄養組成物。
[8]胃瘻・腸瘻経管栄養用である、[7]に記載の栄養組成物。
[9]誤嚥性肺炎及び/又は逆流性食道炎の予防用である、[1]〜[8]のいずれかに記載の栄養組成物。
[10]低栄養状態の改善用である[1]〜[9]のいずれかに記載の栄養組成物。
[11]大豆レシチン1質量部に対して大豆たんぱく質が1〜300質量部の比率で、大豆たんぱく質及び大豆レシチンを添加し混合する工程を含む、液状又は半固形状の栄養組成物の製造方法。
[12]該工程がpH4以下で行われる、[11]に記載の製造方法。
[13]液状又は半固形状の栄養組成物が、[1]〜[10]のいずれかに記載の栄養組成物である、[11]又は[12]に記載の製造方法。
[14]大豆レシチン1質量部に対して大豆たんぱく質が1〜300質量部の比率で、大豆たんぱく質及び大豆レシチンを添加し混合する工程を含む、液状又は半固形状の栄養組成物の増粘方法。
[15]該工程がpH4以下で行われる、[14]に記載の増粘方法。
[16]たんぱく質、炭水化物、脂質、ミネラル類及び大豆レシチンを少なくとも含み、該大豆レシチン1質量部に対して該たんぱく質を1〜300質量部の比率で含み、粘度が900〜10,000mPa・sであり、且つpH4以下であることを特徴とする、液状又は半固形状の栄養組成物。
[17]大豆レシチン1質量部に対してたんぱく質が1〜300質量部の比率で、pH4以下でたんぱく質及び大豆レシチンを添加し混合する工程を含む、液状又は半固形状の栄養組成物の製造方法。
[18]大豆レシチン1質量部に対してたんぱく質が1〜300質量部の比率で、pH4以下でたんぱく質及び大豆レシチンを添加し混合する工程を含む、液状又は半固形状の栄養組成物の増粘方法。
本発明によれば、液状又は半固形状の栄養組成物の良好な流動性を保ちつつ、酸性条件下で増粘剤やゲル化剤を添加することなく粘度を高めることが可能となる。そのため、生命維持に必要な栄養素を過不足なく含有し、各種の投与方法、特に経管栄養法で簡便に投与できる栄養組成物を提供することができる。
図1は、パウチに充填した栄養組成物の流動性測定の模式図を示す。
1.栄養組成物
本発明は、たんぱく質、炭水化物、脂質、ミネラル類及び大豆レシチンを少なくとも含み、該大豆レシチン1質量部に対して該たんぱく質を1〜300質量部、好ましくは3〜300質量部、より好ましくは5〜200質量部の比率で含み、且つpH4以下であることを特徴とする、液状又は半固形状の栄養組成物(以下、本発明の組成物ともいう)を提供する。
本発明における栄養組成物とは、消化態栄養素や成分栄養素を配合した栄養組成物であり、通常、経口摂取が困難である患者、大きな手術をした患者、消化能力が低下している高齢者等の栄養保持に使用されるものである。濃厚流動食、半固形流動食等の流動食は、かかる栄養組成物の一例である。
本発明の組成物は、液状又は半固形状である。液状又は半固形状の組成物には、飲料、濃厚流動食等のような比較的粘度の低いもの、半固形流動食(例えば、ゲル状のもの、とろみをつけたもの、ミキサー食等)等のような比較的粘度の高いものも含まれる。また各種の方法、特に経管栄養法による投与が可能である限り、不溶性の凝集物や沈殿物が含まれていてもよい。
本発明の組成物に用いられるたんぱく質の種類は特に限定されないが、例えば、大豆たんぱく質、脱脂乳、脱脂粉乳、全乳たんぱく質、乳たんぱく濃縮物、カゼイン及びその塩やホエー等の乳たんぱく質、小麦たんぱく質、とうもろこしたんぱく質、魚肉たんぱく質、卵たんぱく質、またそれらの加水分解物等が挙げられる。これらが粉末、顆粒、フレーク又はペレット状に加工されたものを本発明の組成物の原材料として利用してもよい。
本発明の組成物中のたんぱく質の含有量は、7〜25質量%、好ましくは7〜20質量%、より好ましくは7〜15質量%である。7〜25質量%であれば、70歳以上の高齢者の必要量である40〜50g/日のたんぱく質を当該栄養組成物のみから容易に得ることが可能となる。
本発明の組成物に用いられるたんぱく質は、好ましくは大豆たんぱく質及び/又は乳たんぱく質であり、より好ましくは大豆たんぱく質である。大豆たんぱく質又は乳たんぱく質を含めることにより、大豆レシチンと混合した際に各種の投与方法に好適な粘度及び流動性が得られやすくなる。
大豆たんぱく質は、丸大豆から得られるたんぱく質及びその加水分解物(大豆ペプチド)を意味し、全脂大豆、脱脂大豆、濃縮大豆たんぱく質、脱脂豆乳、調製豆乳、分離大豆たんぱく質、また分離大豆たんぱく質の加水分解物等の形態で本発明の組成物に含められる。
本発明の組成物中のたんぱく質が大豆たんぱく質を含む場合、大豆たんぱく質の含有量は、1〜25質量%、好ましくは2〜20質量%、より好ましくは3〜15質量%である。含有量が1質量%よりも低いと十分な粘度が得られない傾向があり、25質量%を超えると製造において溶解不良となる懸念がある。
また本発明の組成物中のたんぱく質が大豆たんぱく質を含む場合、該たんぱく質中の大豆たんぱく質の割合は、10質量%以上、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。また上記たんぱく質の含有量の範囲内であれば、100質量%の割合でも良い。
炭水化物は、ブドウ糖や果糖等の単糖類、ショ糖や麦芽糖等の二糖類、オリゴ糖、デキストリン、デンプン、糖アルコール、増粘多糖類、水溶性食物繊維及び不溶性食物繊維等から少なくとも1種類が選ばれ使用される。本発明の組成物中の炭水化物の含有量は、18〜38質量%であることが好ましい。
脂質は、キャノーラ油、大豆油、コーン油、エゴマ油、サフラワー油、パーム油その他植物性油脂、魚油、バター、豚油その他動物性油脂、脂肪酸を構造中に有する乳化剤や中鎖脂肪酸トリグリセリド等機能性を有する油脂から、少なくとも1種類が選ばれ使用される。本発明において、脂質には、後述の大豆レシチンは含まれないものとする。本発明の組成物中の脂質含有量は、3〜8質量%であることが好ましい。
ミネラル類としては、栄養成分として一般的なミネラル類、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、塩素、鉄、亜鉛、銅、マンガン等が挙げられる。これらの中から少なくとも1種類が選ばれ使用される。本発明の組成物の原料として、例えば、これらのミネラル類の無機塩及び有機塩から選ばれる少なくとも1種類を用いることができる。本発明の組成物中のミネラル類の含有量は、日本人の食事摂取基準等に基づき適宜設定することができるが、一日の必要量を本発明の組成物のみから摂取できるように設定することが好ましい。
本明細書中、大豆レシチンとは、大豆を原料として製造されるレシチンを意味し、定法により製造されたものを使用することができ、その形態は特に限定されない。後述の実施例に示すように、大豆レシチンを酵素分解することにより製造される、リゾリン脂質を含有する酵素分解大豆レシチン(例えば、SLP−ペーストリゾ(辻製油(株)製)、サンレシチンA−1(太陽化学(株)製)、レシマールEL(理研ビタミン(株)製)、ベイシスLP−20E(日清オイリオグループ(株)製)等)を用いると所定の粘度及び流動性が得られないため、本発明の組成物中の大豆レシチンは、酵素分解されていない大豆レシチンであることが好ましい。またSLP−ペースト(大豆レシチン約60%含有)(辻製油(株)製)、レシオンP(大豆レシチン約90%以上含有)(理研ビタミン(株)製)、レシオンLP−1(大豆レシチン約70%含有)(理研ビタミン(株)製)、ベイシスLP−20(大豆レシチン約20〜30%含有)(日清オイリオグループ(株)製)、サンレシチンL−61(大豆レシチン約98%含有)(太陽化学(株)製)等の市販品を用いることもできる。
本発明の組成物中の大豆レシチン(大豆由来のホスファチジルコリンに代表されるリン脂質の総称)の含有量は、該大豆レシチン1質量部に対して該たんぱく質(好ましくは大豆たんぱく質又は乳たんぱく質、より好ましくは大豆たんぱく質)を1〜300質量部(好ましくは3〜300質量部、より好ましくは5〜200質量部)の比率で含むように設定すればよい。かかる比率でたんぱく質(好ましくは大豆たんぱく質又は乳たんぱく質、より好ましくは大豆たんぱく質)及び大豆レシチンを組成物中に含有させることにより、組成物の流動性を過度に低下させることなく、粘度を増加させることができる。
本発明の組成物中の大豆レシチンの含有量は、上記比率が達成されれば特に限定されないが、通常、0.05質量%以上である。好ましくは、0.05〜5質量%である。
本発明の組成物のpHは4以下、好ましくは2〜4、より好ましくは3〜4、更に好ましくは3.5〜4である。pHの調整は、使用する原材料の種類や製造方法に応じて自体公知の方法により適宜行なうことができる。必要な栄養素を含む栄養組成物を調製する場合、pHは中性域となることが多いため、通常酸味料を添加することによりpHを4以下に調整することができる。一般に、酸性域のpHでは増粘剤やゲル化剤を添加しなければ組成物の粘度及び流動性を適切な範囲に調節することは困難であるが、本発明の組成物は、たんぱく質(好ましくは大豆たんぱく質又は乳たんぱく質、より好ましくは大豆たんぱく質)及び大豆レシチンを含有することにより、増粘剤やゲル化剤を添加しなくても酸性域のpHで良好な粘度及び流動性となる。pHが4を超えると、粘度が過度に増加すると共に流動性が低下する傾向があり、経管栄養法等の各種投与方法に適した組成物を得ることができない。
pH4以下の栄養組成物において、上記のようにたんぱく質(好ましくは大豆たんぱく質又は乳たんぱく質、より好ましくは大豆たんぱく質)及び大豆レシチンを含有させることにより、粘度が900〜10,000mPa・s(好ましくは1,000〜10,000mPa・s、より好ましくは1,000〜7,000mPa・s、更により好ましくは1,000〜5,000mPa・s)である組成物、好ましくは更に流動性が100〜200N(好ましくは100〜180N、より好ましくは100〜160N)である組成物を得ることができる。栄養組成物の粘度が上記範囲内にあれば、胃食道逆流等の栄養組成物の粘度が低いことに起因する問題を予防することができる。また栄養組成物の流動性が上記範囲内にあれば、容器やチューブからの押し出しに大きな力を要することなく簡便に投与できる適度な流動性となる。一般に、栄養組成物の粘度は、ゲル化剤又は増粘剤を添加することにより900〜10,000mPa・sに調節することも可能であるが、この場合流動性も低下する傾向があり、小さな力で容器から押し出せる栄養組成物が得られない場合がある。これに対し、本発明の組成物においては、たんぱく質(好ましくは大豆たんぱく質又は乳たんぱく質、より好ましくは大豆たんぱく質)及び大豆レシチンを含有させることにより上記粘度及び流動性が達成されている。ゲル化剤又は増粘剤を添加する必要はなく、また複雑な製造装置や工程を必要とすることもないため、容易に調製することができる。
本発明において、粘度は、B型粘度計(VISCOMETER RB−80L、東機産業(株)製)にてロータNo.:M3、12rpm、25℃の条件下で測定される値で表される。
また本発明において流動性は、容器やチューブからの押し出しやすさの指標であり、本願実施例に記載されるように、試料160gをスパウト付パウチ(パウチ部の寸法:タテ84mm×奥行17.5mm×ヨコ147mm、パウチ部の材質:アルミナ蒸着PET12μm//Ony25μm//LLDPE70μm)に充填し、アダプタを介してボストン・サイエンティフィック社製ボーラスフィーディングチューブ ストレートアダプター 24Fr ボタン用(チューブ長:30cm)を接続した後、パウチを奥行(容器厚み)が垂直方向になるように固定台の上に置き、テクスチャアナライザー(TA−XT plus、英弘精機(株)製)を用いて、直径7.5cmの円形プランジャーにより上方より0.3cm/secの定速にて押した際に、容器厚みが測定開始時の20%になった時点の力(N)として表される。
本発明の組成物中には、前記原材料の他、栄養素として必須であるビタミン等を配合してもよく、また、カテキン、カルニチン、補酵素Q、GABA、α-リポ酸等に代表される機能性食品素材を含有してもよい。また、風味を良好にするため、食品由来の原材料や抽出物、食品添加物として調味料、着色料、甘味料、香料、pH調整剤を使用してもよい。また遊離のグルタミン酸を栄養組成物中に0.05〜2質量%含有させてもよく、これにより胃内容物の排出が促進され消化管に好影響を与えることが知られている。
本発明の組成物は、たんぱく質(好ましくは大豆たんぱく質又は乳たんぱく質、より好ましくは大豆たんぱく質)及び大豆レシチンを含有することにより、ゲル化剤及び増粘剤を含有しなくても好適な粘度及び流動性となるが、ゲル化剤又は増粘剤を含有してもよい。ゲル化剤又は増粘剤としては、例えば、寒天、カラギーナン、ファーセルラン、アルギン酸塩、ゼラチン、ペクチン、マンナン、ジェランガム、カシアガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、タラガム、グァーガム、キサンタンガム、長鎖デキストリン等を挙げることができる。但し、本発明の組成物の粘度が過度に上昇し、流動性が過度に低下することを防ぐため、ゲル化剤及び増粘剤の含有量は低い程好ましい。ゲル化剤及び増粘剤の種類によっても変わり得るが、例えば、ゲル化剤及び増粘剤の総含有量が1質量%以下であることが好ましい。
本発明の組成物は、熱量が1.5kcal/g以上であり、好ましくは1.5〜3.0kcal/gである。熱量が1.5kcal/g以上であれば、摂取できる食事の量が少ない高齢者等でも、本発明の組成物のみから一日に必要な熱量を簡便に摂取することができる。
本発明の組成物は、大豆レシチン1質量部に対してたんぱく質(好ましくは大豆たんぱく質又は乳たんぱく質、より好ましくは大豆たんぱく質)を1〜300質量部(好ましくは3〜300質量部、より好ましくは5〜200質量部)の比率で、たんぱく質及び大豆レシチンを添加し混合する工程を含む方法により製造することができる。かかる工程は、たんぱく質(好ましくは大豆たんぱく質又は乳たんぱく質、より好ましくは大豆たんぱく質)及び大豆レシチンを、加温した水(通常50〜98℃、例えば75℃)に添加し混合することにより実施することができる。混合条件は適宜設定することができる。好ましくは、当該工程はpH4以下で実施される。
本発明の組成物の製造における他の工程は、公知の栄養組成物の製造方法と同様に適宜行うことができる。本発明の組成物のたんぱく質及び大豆レシチン以外の各原材料は、たんぱく質及び大豆レシチンを添加し混合する際に加温した水に添加してもよいし、たんぱく質及び大豆レシチンとは別途混合したのち、たんぱく質及び大豆レシチンの混合物と合せてもよい。これらの原材料を添加する順序は特に限定されない。
本発明の組成物の製造方法は、好ましくは、更に原材料の混合物を均質化する工程を含む。たんぱく質(好ましくは大豆たんぱく質又は乳たんぱく質、より好ましくは大豆たんぱく質)、大豆レシチン、及び好ましくは油脂を含む混合物を均一に分散させることで栄養組成物に粘度が付与される。当該工程は公知の方法により実施すればよく、例えば、回転羽を有する攪拌機、高速回転するディスクやローターと固定ディスクを有するコロイドミル、超音波式乳化機、一種の高圧ポンプである均質機(ホモジナイザー)、マイルダーミキサー(例えば、MDN303V−A(大平洋機工(株)製))等を用いて実施することができる。
また本発明の組成物は、長期保存のために殺菌されていてもよい。殺菌は、例えば、原材料の混合物を予め加熱滅菌した後に無菌的に容器に充填する方法(例えばUHT殺菌法とアセプティック充填法を併用する方法)、容器に充填した後に容器と一緒に加熱滅菌する方法(レトルト殺菌法、ボイル殺菌法)等の公知の方法により実施することができる。ボイル(高温常圧)殺菌の場合、例えば、pHが4以下で、5〜30分程度の加熱処理により実施することができる。
本発明の組成物を収容する容器としては特に限定されないが、患者が摂取しやすい形態であることが好ましい。例えば、プラスチックバッグ、プラスチックボトル、ペットボトル等の樹脂製容器、カートン缶、紙パック等の紙製容器、アルミパウチ、金属缶等が挙げられる。
本発明の組成物は、経口栄養、経管栄養等の各種の投与方法に用いることができるが、流動性が高く、容器やチューブからの押し出しに大きな力を要さないため、特に経管栄養用(好ましくは胃瘻・腸瘻経管栄養用)として適している。経管栄養の場合、通常鼻腔チューブ、胃瘻又は腸瘻より、胃、十二指腸又は空腸に投与される。症状に応じ、可能な場合には経口摂取させてもよい。
また本発明の組成物は、適切な粘度及び流動性に調整されているため、胃食道逆流を起こしにくく、加齢に伴い胃が縮小した高齢者、脳血管障害、神経筋障害等により嚥下・咀嚼能力が低下した患者、意識障害等により経口摂取が困難である患者、通常の食事を摂取できない術後の患者等の逆流性食道炎及び/又は誤嚥性肺炎の予防用に適している。また本発明の組成物は、必要な栄養源がバランスよく配合されているため、低栄養状態の改善に適している。
2.栄養組成物の製造方法
本発明はまた、大豆レシチン1質量部に対してたんぱく質(好ましくは大豆たんぱく質又は乳たんぱく質、より好ましくは大豆たんぱく質)が1〜300質量部(好ましくは3〜300質量部、より好ましくは5〜200質量部)の比率で、たんぱく質及び大豆レシチンを添加し混合する工程を含む、液状又は半固形状の栄養組成物の製造方法(以下、本発明の製造方法という)を提供する。本発明は、たんぱく質(好ましくは大豆たんぱく質又は乳たんぱく質、より好ましくは大豆たんぱく質)及び大豆レシチンを添加し混合することにより、pH4以下の酸性域でも増粘剤やゲル化剤を添加することなく栄養組成物の粘度を高めることが可能であることを見出したことに基づく。従って、当該工程は好ましくはpH4以下で行われる。本発明の製造方法によれば、各種の投与方法、特に経管栄養法に適した粘度及び流動性を有する栄養組成物を容易に製造することが可能となる。本発明の製造方法は、上記本発明の組成物の製造方法に準じて実施することができる。本発明により、任意の原材料から液状又は半固形状の栄養組成物が製造され得るが、好ましい態様においては本発明の組成物が製造される。
3.栄養組成物の増粘方法
本発明は更に、大豆レシチン1質量部に対してたんぱく質(好ましくは大豆たんぱく質又は乳たんぱく質、より好ましくは大豆たんぱく質)が1〜300質量部(好ましくは3〜300質量部、より好ましくは5〜200質量部)の比率で、たんぱく質及び大豆レシチンを添加し混合する工程を含む、液状又は半固形状の栄養組成物の増粘方法(以下、本発明の増粘方法という)を提供する。
本発明の増粘方法におけるたんぱく質(好ましくは大豆たんぱく質又は乳たんぱく質、より好ましくは大豆たんぱく質)及び大豆レシチンを添加し混合する工程は、上記本発明の組成物の製造方法におけるたんぱく質(好ましくは大豆たんぱく質又は乳たんぱく質、より好ましくは大豆たんぱく質)及び大豆レシチンを添加し混合する工程と同様に実施することができる。たんぱく質(好ましくは大豆たんぱく質又は乳たんぱく質、より好ましくは大豆たんぱく質)及び大豆レシチンは、通常、栄養組成物の製造工程のいずれかの段階において添加されるが、添加の順序は特に限定されない。たんぱく質の添加量は特に限定されないが、栄養組成物中の含有量が、7〜25質量%、好ましくは7〜20質量%、より好ましくは7〜15質量%となるように添加すれば、各種の投与方法に好適な粘度(例えば、900〜10,000mPa・s)を栄養組成物に与えることができる。またたんぱく質が大豆たんぱく質である場合、大豆たんぱく質の添加量は特に限定されないが、栄養組成物中の含有量が、1〜25質量%、好ましくは2〜20質量%、より好ましくは3〜15質量%となるように添加すれば、各種の投与方法に好適な粘度(例えば、1,000〜10,000mPa・s)を栄養組成物に与えることができる。また大豆レシチンの含量は、栄養組成物中で大豆レシチン1質量部に対してたんぱく質(好ましくは大豆たんぱく質又は乳たんぱく質、より好ましくは大豆たんぱく質)が1〜300質量部(好ましくは3〜300質量部、より好ましくは5〜200質量部)の比率となるように添加すればよい。栄養組成物中の大豆レシチンの含有量は、上記比率が達成されれば特に限定されないが、通常、0.05質量%以上である。好ましくは、0.05〜5質量%である。
本発明の増粘方法は、好ましくは、更にたんぱく質(好ましくは大豆たんぱく質又は乳たんぱく質、より好ましくは大豆たんぱく質)、大豆レシチン、及び栄養組成物の原材料の混合物を均質化する工程を含む。たんぱく質(好ましくは大豆たんぱく質又は乳たんぱく質、より好ましくは大豆たんぱく質)、大豆レシチン、及び好ましくは油脂を含む混合物を均一に分散させることで栄養組成物に粘度が付与される。当該工程は、上記本発明の組成物の製造方法における均質化工程と同様に実施することができる。
本発明は、たんぱく質(好ましくは大豆たんぱく質又は乳たんぱく質、より好ましくは大豆たんぱく質)及び大豆レシチンを添加し混合することにより、pH4以下の酸性域でも増粘剤やゲル化剤を添加することなく栄養組成物の粘度を高めることが可能であることを見出したことに基づく。従って、本発明の増粘方法におけるたんぱく質(好ましくは大豆たんぱく質又は乳たんぱく質、より好ましくは大豆たんぱく質)及び大豆レシチンを添加し混合する工程は、好ましくはpH4以下で行なわれる。
本発明の増粘方法により、増粘剤やゲル化剤を添加することなく液状又は半固形状の任意の栄養組成物の粘度を高めることができ、所望の粘度の栄養組成物を得ることができる。
以下に実施例を示して、本発明をより詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
1.栄養組成物の調製
(実施例1)
実施例1の栄養組成物を以下の方法により調製した。尚、実施例及び比較例の各組成物の原料の配合量は、表1に示す通りである。
まず2Lステンレスビーカーに水290gを入れ、75℃に加温した。撹拌を開始し、食用油脂、大豆レシチン、酸味料の一部、ナトリウム塩、カリウム塩、デキストリンの一部及び分離大豆たんぱく質を添加して混合し、組成物Aを得た。
別の3Lステンレスビーカーに水450gを入れ、75℃に加温した。撹拌を開始し、残りの酸味料、カルシウム塩、マグネシウム塩、水溶性食物繊維及びデキストリンの一部を添加し、更に残りのデキストリン及び乳たんぱく質を添加した。溶解確認後、グルタミン酸ナトリウム、オリゴ糖、前記組成物A、香料製剤及びビタミンミックスを添加した。
3Lステンレスビーカー中の混合物に水を添加して2,450gに調整し、pH約3.8の混合物を得た。
次いで、得られた混合物を、マイルダーミキサー(MDN303V−A(大平洋機工(株)製))に接続したタンクに移し、15,000rpmで25分間循環させた。回収した混合物を120gずつ透明パウチに充填した後、加熱殺菌し、その後冷水で常温まで冷却した。
(比較例1)
大豆レシチンを添加しないこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の組成物を調製した。
(比較例2)
大豆レシチンの代わりに酵素分解大豆レシチン(辻精油(株)製)を使用して、実施例1と同様にして、比較例2の組成物を調製した。
(比較例3)
大豆レシチンの代わりに酵素分解大豆レシチン(太陽化学(株)製)を使用して、実施例1と同様にして、比較例3の組成物を調製した。
(比較例4)
大豆レシチンの代わりに卵黄レシチンを使用して、実施例1と同様にして、比較例4の組成物を調製した。
(比較例5)
大豆レシチンを添加せずに、デキストリン(DE=約20)の代わりに長鎖デキストリン(DE=8)を使用して、実施例1と同様にして、比較例5の組成物を調製した。
(比較例6)
大豆レシチンの代わりにキサンタンガムを使用して、実施例1と同様にして、比較例6の組成物を調製した。
(実施例2)
分離大豆たんぱく質の添加量を組成物中の総たんぱく質添加量の25%にまで減らしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の組成物を調製した。
(実施例3)
分離大豆たんぱく質の添加量を組成物中の総たんぱく質添加量の100%にまで増やしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の組成物を調製した。
(実施例4)
大豆レシチンの添加量を5分の1に減らしたこと以外は実施例3と同様にして、実施例4の組成物を調製した。
(比較例7)
大豆レシチンの添加量を10分の1に減らしたこと以外は実施例3と同様にして、比較例7の組成物を調製した。
(比較例8)
酸味料を添加しないこと以外は実施例1と同様にして、比較例8の組成物を調製した。
(実施例5)
分離大豆たんぱく質160gのうち60gを大豆ペプチドに替えて、実施例1と同様にして、実施例5の組成物を調製した。
(実施例6)
分離大豆たんぱく質を全量乳たんぱく質に置き換えたこと以外は実施例1と同様にして、実施例6の組成物を調製した。
2.粘度の測定
上記1で調製した栄養組成物の粘度を、B型粘度計(VISCOMETER RB−80L、東機産業(株)製)にてロータNo.:M3、12rpm、25℃の条件下で測定した。
3.流動性の測定
上記1で調製した栄養組成物の流動性を、以下の方法により測定した。
栄養組成物160gをスパウト付パウチ(パウチ部の寸法:タテ84mm×奥行17.5mm×ヨコ147mm、パウチ部の材質:アルミナ蒸着PET12μm//Ony25μm//LLDPE70μm)に充填し、アダプタを介してボストン・サイエンティフィック社製ボーラスフィーディングチューブ ストレートアダプター 24Fr ボタン用(チューブ長:30cm)を接続した。図1に示すように、パウチを奥行(容器厚み)が垂直方向になるように固定台の上に置き、テクスチャアナライザー(TA-XT plus、英弘精機(株)製)を用いて、直径7.5cmの円形プランジャーにより上方より0.3cm/secの定速にて押した。容器厚みが測定開始時の20%になった時点の力(N)を流動性の値とした。値が低いほど流動性が高いと評価した。
4.結果
(1)大豆レシチン添加による効果の検討
表2に示すように、大豆レシチンを添加した実施例1の組成物は、900mPa・s以上の粘度を有しており、大豆レシチンを添加しない比較例1の組成物よりも高い粘度を示した。また実施例1の組成物の流動性は200N以下であり、十分に小さな力で容器から押し出すことができる良好な流動性を有していることが示された。大豆レシチンの代わりに、酵素分解大豆レシチン(比較例2及び3)又は卵黄レシチン(比較例4)を添加しても、実施例1の組成物のような粘度は得られなかった。また大豆レシチンを添加せず、増粘剤又はゲル化剤として長鎖デキストリン(比較例5)又はキサンタンガム(比較例6)を添加した組成物は、実施例1の組成物と同様に900mPa・s以上の粘度を示したものの、容器から押し出すために要した力は200Nを超え、流動性が低いことが示された。
(2)大豆たんぱく質及び大豆レシチンの配合比の検討
表3に示すように、大豆レシチンの濃度を0.44質量%とした場合、大豆たんぱく質の濃度を3.3質量%(実施例2)、6.5質量%(実施例1)及び13.5質量%(実施例3)としたいずれの組成物も、900mPa・s以上の粘度を有しており、また流動性は200N以下であり、各種投与方法に適したレオロジー特性を有する組成物となった。
また大豆たんぱく質の濃度を13.5質量%とした場合、大豆レシチンの濃度を実施例3の組成物の5分の1に減らした組成物(実施例4)は、900mPa・s以上の粘度を有しており、また流動性も200N以下であり、各種投与方法に適したレオロジー特性を有する組成物となった。一方、大豆レシチンの濃度を実施例3の組成物の10分の1にまで減らすと、粘度は900mPa・s未満となり、十分な粘度を有する組成物を得ることができなかった(比較例7)。
(3)pHに関する検討
表4に示すように、酸味料を添加しないこと以外は実施例1と同様にして調製した比較例8の組成物(pH6.4)は、実施例1の組成物(pH3.8)と比較して非常に高い粘度(>10,000mPa・s)及び低い流動性(>200N)を示した。このような組成物は、経管栄養法により投与することは困難である。従って、大豆たんぱく質及び大豆レシチンを添加して適度な粘度及び流動性を有する栄養組成物を調製するためにはpHを酸性域(好ましくは4以下)に調整する必要があることが示された。
(4)大豆ペプチド添加による効果の検討
表5に示すように、分離大豆たんぱく質の一部を大豆ペプチドに置き換えた以外は実施例1と同様にして調製した実施例5の組成物は、実施例1の組成物と同様の増粘を示し、また流動性も200N以下であった。従って、大豆たんぱく質として大豆ペプチドを添加しても、各種投与方法に適したレオロジー特性を有する組成物を得られることが示された。
(5)乳たんぱく質のみの添加による効果の検討
表6に示すように、分離大豆たんぱく質を全量乳たんぱく質に置き換えたこと以外は実施例1と同様に調製した実施例6の組成物は、実施例1の組成物と同様の粘度を示し、また流動性も200N以下であった。従って、たんぱく質として乳たんぱく質を添加しても、各種投与方法に適したレオロジー特性を有する組成物を得られることが示された。
以上の結果から、栄養組成物にたんぱく質(好ましくは大豆たんぱく質又は乳たんぱく質、より好ましくは大豆たんぱく質)及び大豆レシチンを添加し混合することにより、良好な流動性を保ちながら粘度を高められることが示された。
本発明は、医療用食品産業の分野で利用が可能である。本発明の組成物は、胃食道逆流等を予防し得る粘度と、容器やチューブからの押し出しに大きな力を要しない良好な流動性を有しているため、看護者、介護者、患者等の身体的又は精神的負担が軽減され、医療経済に貢献することができる。
本出願は、日本で出願された特願2012-181537(出願日:2012年8月20日)を基礎としており、その内容は本明細書に全て包含されるものである。

Claims (18)

  1. たんぱく質、炭水化物、脂質、ミネラル類及び大豆レシチンを少なくとも含み、該たんぱく質が大豆たんぱく質を含み、該大豆レシチン1質量部に対して該大豆たんぱく質を1〜300質量部の比率で含み、且つpH4以下であることを特徴とする、液状又は半固形状の栄養組成物。
  2. 粘度が1,000〜10,000mPa・sであり、且つ流動性が100〜200Nである、請求項1に記載の栄養組成物。
  3. 大豆たんぱく質の含有量が1〜25質量%である、請求項1又は2に記載の栄養組成物。
  4. 該大豆レシチンの含有量が0.05質量%以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の栄養組成物。
  5. 栄養組成物中のたんぱく質の10質量%以上が大豆たんぱく質である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の栄養組成物。
  6. 熱量が1.5〜3.0kcal/g、たんぱく質の含有量が7〜25質量%、炭水化物の含有量が18〜38質量%、且つ脂質の含有量が3〜8質量%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の栄養組成物。
  7. 経管栄養用である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の栄養組成物。
  8. 胃瘻・腸瘻経管栄養用である、請求項7に記載の栄養組成物。
  9. 誤嚥性肺炎及び/又は逆流性食道炎の予防用である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の栄養組成物。
  10. 低栄養状態の改善用である請求項1〜9のいずれか一項に記載の栄養組成物。
  11. 大豆レシチン1質量部に対して大豆たんぱく質が1〜300質量部の比率で、大豆たんぱく質及び大豆レシチンを添加し混合する工程を含む、液状又は半固形状の栄養組成物の製造方法。
  12. 該工程がpH4以下で行われる、請求項11に記載の製造方法。
  13. 液状又は半固形状の栄養組成物が、請求項1〜10のいずれか一項に記載の栄養組成物である、請求項11又は12に記載の製造方法。
  14. 大豆レシチン1質量部に対して大豆たんぱく質が1〜300質量部の比率で、大豆たんぱく質及び大豆レシチンを添加し混合する工程を含む、液状又は半固形状の栄養組成物の増粘方法。
  15. 該工程がpH4以下で行われる、請求項14に記載の増粘方法。
  16. たんぱく質、炭水化物、脂質、ミネラル類及び大豆レシチンを少なくとも含み、該大豆レシチン1質量部に対して該たんぱく質を1〜300質量部の比率で含み、粘度が900〜10,000mPa・sであり、且つpH4以下であることを特徴とする、液状又は半固形状の栄養組成物。
  17. 大豆レシチン1質量部に対してたんぱく質が1〜300質量部の比率で、pH4以下でたんぱく質及び大豆レシチンを添加し混合する工程を含む、液状又は半固形状の栄養組成物の製造方法。
  18. 大豆レシチン1質量部に対してたんぱく質が1〜300質量部の比率で、pH4以下でたんぱく質及び大豆レシチンを添加し混合する工程を含む、液状又は半固形状の栄養組成物の増粘方法。
JP2014531615A 2012-08-20 2013-08-19 栄養組成物 Active JP6277957B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012181537 2012-08-20
JP2012181537 2012-08-20
PCT/JP2013/072069 WO2014030605A1 (ja) 2012-08-20 2013-08-19 栄養組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2014030605A1 true JPWO2014030605A1 (ja) 2016-07-28
JP6277957B2 JP6277957B2 (ja) 2018-02-14

Family

ID=50149914

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014531615A Active JP6277957B2 (ja) 2012-08-20 2013-08-19 栄養組成物

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6277957B2 (ja)
WO (1) WO2014030605A1 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104187624B (zh) * 2014-08-07 2016-06-08 逯明福 综合营养粉及其制备方法
JP7116043B2 (ja) * 2017-03-30 2022-08-09 テルモ株式会社 高カロリー栄養組成物および包装体
WO2018179954A1 (ja) * 2017-03-30 2018-10-04 テルモ株式会社 高カロリー栄養組成物および包装体
WO2018179953A1 (ja) * 2017-03-30 2018-10-04 テルモ株式会社 高カロリー栄養組成物および包装体
JPWO2018179955A1 (ja) * 2017-03-30 2020-02-06 テルモ株式会社 包装体
WO2019017006A1 (ja) * 2017-07-21 2019-01-24 テルモ株式会社 高カロリー栄養組成物および包装体
WO2019017005A1 (ja) * 2017-07-21 2019-01-24 テルモ株式会社 高カロリー栄養組成物および包装体
JP7412836B1 (ja) 2023-03-09 2024-01-15 株式会社上野忠 安定乳化組成物

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999034690A1 (fr) * 1998-01-08 1999-07-15 Otsuka Foods Co., Ltd. Aliments gelifies et procede de fabrication
US20020012719A1 (en) * 2000-04-04 2002-01-31 Nadland Karl Johan Method for manufacturing a cultured dairy product containing exogenously added protein

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04349859A (ja) * 1991-02-09 1992-12-04 Katayama Chem Works Co Ltd 乳化油性食品の品質改良剤
TWI317636B (en) * 2002-11-22 2009-12-01 Meiji Dairies Corp Nutritional compositions for liver disease patients or for patients underhigh levels of invasive stress
CN105166891A (zh) * 2009-12-18 2015-12-23 株式会社钟化 液状食品组合物
JPWO2012086593A1 (ja) * 2010-12-22 2014-05-22 株式会社明治 粘性を有する栄養組成物

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999034690A1 (fr) * 1998-01-08 1999-07-15 Otsuka Foods Co., Ltd. Aliments gelifies et procede de fabrication
US20020012719A1 (en) * 2000-04-04 2002-01-31 Nadland Karl Johan Method for manufacturing a cultured dairy product containing exogenously added protein

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
三浦靖ら: "大豆タンパク質の加熱ゲル化に及ぼす大豆レシチン共存の影響", 日本食品工業学会誌, vol. 34, no. 10, JPN6013049666, 1984, pages 636 - 641, ISSN: 0003618982 *

Also Published As

Publication number Publication date
JP6277957B2 (ja) 2018-02-14
WO2014030605A1 (ja) 2014-02-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6277957B2 (ja) 栄養組成物
JP5590638B2 (ja) 乳化食品組成物
RU2390272C2 (ru) Питательная композиция
JP5274889B2 (ja) 経管投与用ゲル状酸性濃厚流動食又は栄養剤
JP5632112B2 (ja) 半固形化栄養剤
JP4972308B2 (ja) ゲル化栄養剤およびその製造方法
JP2007126379A (ja) 酸性液状経腸栄養剤の製造方法
KR20120104382A (ko) 액상 식품 조성물
WO2013085059A1 (ja) 栄養組成物の製造方法
JP5026347B2 (ja) 酸性濃厚流動食用ゲル化剤及びゲル状酸性濃厚流動食の製造方法
JP2010083774A (ja) 酸性タイプ液状経腸栄養剤
JP5421769B2 (ja) ナトリウムを高濃度で含む液状栄養組成物およびその製造方法
JP5402921B2 (ja) 大豆蛋白質含有濃厚流動食
WO2013132670A1 (ja) 半固形化栄養剤
CN111938144A (zh) 一种半流体顺滑质构无渣全营养食品及其制备方法
JP6439681B2 (ja) 半固形状高栄養食品
JP2014003959A (ja) 耐酸性液状栄養組成物
JP6019577B2 (ja) 液状乳化組成物の製造方法
JP2022154097A (ja) 半固形栄養組成物
JP2012144531A (ja) 経腸栄養組成物
JP2014108053A (ja) 粘稠乳化状栄養食品およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160606

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170418

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170614

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20170815

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171109

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20171115

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171219

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180101

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6277957

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250