JP3811930B2 - 酵素製剤及び水産練り製品又は畜肉練り製品の製造法 - Google Patents

酵素製剤及び水産練り製品又は畜肉練り製品の製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、1)トランスグルタミナーゼ及び蛋白部分加水分解物を併含する水産練り製品及び畜肉練り製品の品質向上用酵素製剤、並びに2)トランスグルタミナーゼ及び蛋白部分加水分解物を併用する水産練り製品又は畜肉練り製品の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水産練り製品および畜肉練り製品の品質として一般的に求められるのは、いわゆるアシである。練り製品のアシは、強さ(弾力)、歯切れ、きめなどの要素からなる物理的な食感(テクスチャー)を言い、アシの良し悪しを評価する場合は、強さ(弾力)と歯切れが最も重視される、などといわれている(日本食品工業学会編「新版食品工業総合事典」(株)光琳平成5年発行参照)。弾力は硬さ(破断応力)と凹みで表現されることが多い。
【0003】
従来、硬さ(破断応力)を高める為に澱粉を水産練り製品又は畜肉練り製品の製造工程中で添加していた。しかし、斯る澱粉の添加は、硬さ(破断応力)は増すものの、凹みがあまり大きくならない。凹みがあまり大きくならないという事実はしなやかさに欠けるということにつながり、練り製品に(1)硬さ及び(2)しなやかさの両方を求める現在の嗜好に合致しない。
【0004】
(1)硬さ及び(2)しなやかさの両方を求める現在の嗜好に対応する為に、種々の水産練り製品用又は畜肉練り製品用製剤が市販されている。
【0005】
例えば、炭酸カルシウム、焼成カルシウムなどを主成分とする製剤や炭酸ナトリウム、燐酸三ナトリウム、重合燐酸塩などを主成分とする製剤等である。これらの製剤は、(1)硬さ及び(2)しなやかさをかなりの部分改善するが、消費者の嗜好を完全に満足する域には達していない。
【0006】
一方、トランスグルタミナーゼ(以下、TGと略する)はペプチド中のグルタミン残基のγ−カルボキシアミド基と各種1級アミンとの間のアシル移転反応及びグルタミン残基のγ−カルボキシアミド基とリジン残基のε−アミノ基をアシル受容体とする蛋白質分子間及び分子内のε-(γ−Glu)−Lys架橋の形成を触媒する酵素であるが、このTGが、近年、水産練り製品及び畜肉練り製品に良く利用されてきている(特公平6−55116号公報、特許第2705024号公報、特許第2630829号公報、特開平9−299065号公報、特開平2−186961号公報、特開平4−158765号公報、等参照)。また、TGを利用した水産練り製品用酵素製剤や畜肉練り製品用酵素製剤も市販されている(特開平6−113793号公報、特開平6−284867号公報、特開平8−80176号公報、等参照)。
【0007】
これらは非常に優れた酵素製剤である。とりわけ上記特開平6−284867号公報に記載されているTGとカゼインを組み合わせてなるTGの酵素製剤は品質向上剤として非常に高い評価を得ているが、それでもやはり一部の消費者から最終製品における(1)硬さ及び(2)しなやかさの更なる向上の要求がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前項記載の従来技術の背景下に、本発明の目的は、硬さのみならずしなやかさも改善された、すなわち、品質の向上した水産練り製品および畜肉練り製品またはそのような製品の提供を可能とする酵素製剤を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前項記載の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、味および風味に影響しない程度の、蛋白部分加水分解物とトランスグルタミナーゼを組み合わせる、すなわち、併用することによって練り製品の品質向上、すなわち、硬さおよびしなやかさの向上が可能になることを見出し、このような知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、トランスグルタミナーゼ、蛋白部分加水分解物、および所望によるまたは必要に応じての食品用賦形剤を有効成分として含有することを特徴とする水産練り製品および畜肉練り製品の品質向上用酵素製剤、およびトランスグルタミナーゼおよび蛋白部分加水分解物を併用することを特徴とする品質の向上した水産練り製品または畜肉練り製品の製造法に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を逐次詳細に説明する。
【0012】
本発明に関して、水産練り製品および畜肉練り製品としては、例えば、蒲鉾、揚げ蒲鉾、カニ足蒲鉾、竹輪、魚肉ハム・ソーセージ、ソーセージ、ハムなどを挙げることができる。
【0013】
先に説明した触媒作用を有するトランスグルタミナーゼには、周知のように、カルシウム非依存性のものとカルシウム依存性のものとがある。前者の例としては、微生物由来のもの(例えば、特開昭64−27471号公報参照)を挙げることができる。後者の例としては、モルモット肝臓由来のもの(特公平1−50382号公報参照)、魚由来のもの(例えば、関信夫ら「日本水産学会誌」56巻1号125頁(1990))などを挙げることができる。この他、遺伝子組み換えにより製造されるもの(特開平1−300889号公報、同5−199883号公報、同6−225775号公報等参照)を挙げることができる。本発明には、いずれのトランスグルタミナーゼでも用いることができ、起源及び製法に制限されるところはない。ただし、機能性及び経済性の点から、好ましくはカルシウム非依存性のものがよい。例えば、上述の微生物由来のトランスグルタミナーゼ(前掲特開昭64−27471)は、いずれの条件も満足するものであり、現時点では最適といえる。
【0014】
蛋白部分加水分解物としては食品添加物として使用可能である限り特別の制限はなく、例えば、小麦蛋白、大豆蛋白、乳蛋白、乳ホエー蛋白、卵蛋白、カゼイン、ゼラチンなどの部分加水分解物であれば良い。なお、加水分解度に関しては、特に制限はないが、製剤として添加量の見地から、通常、平均分子量が約300〜11万程度のものがよい。勿論、この範囲は一応の目安であり、この範囲に限定されるものではない。
【0015】
上に説明したようなトランスグルタミナーゼと蛋白部分加水分解物を同時に含有する(併含する)本発明の水産練り製品及び畜肉練り製品の品質向上用酵素製剤を作成するにはなんら特別の困難はなく、必須の有効成分としてトランスグルタミナーゼと蛋白部分加水分解物を含有せしめることを除いては従来公知の、この分野における製剤方法に適宜準ずることができる。
【0016】
本発明の酵素製剤に含有せしめるトランスグルタミナーゼと蛋白部分加水分解物の配合割合は、求める食感の方向性の見地から定められ、対象となる練り製品のトランスグルタミナーゼの反応条件にもよるが、例えばトランスグルタミナーゼ1ユニット当たり、通常、蛋白部分加水分解物0.01〜5.0g、好ましくは0.05〜2.5g、とすることができる。勿論、この範囲は一応の目安であり、これに限定されるものではない。
【0017】
本発明の酵素製剤には、製剤上の理由からあるいは使い勝手の観点から、例えば、澱粉、デキストリン、乳糖などの食品用賦形剤を配合することも、もちろん可能である。さらには、本発明の酵素製剤には、通常の水産練り製品および畜肉練り製品に添加される卵白、大豆蛋白、小麦蛋白、血漿蛋白、増粘多糖類、植物繊維、カルシウム製剤などの副原料を適宜含有させても構わない。また、酵素の安定化剤(塩化カルシム、アスコルビン酸など)を含ませたり、酵素製剤の粉体特性(溶解性、分散性、粉立ち防止など)を改良する副原料を含有させても差し支えない。
【0018】
本発明の方法により、トランスグルタミナーゼ及び蛋白部分加水分解物を併用して水産練り製品または畜肉練り製品を製造するのにもなんら特別の困難はない。これらの練り製品の製造過程に含まれる魚肉または畜肉の練り肉の作成工程において、従来の原材料に加えてトランスグルタミナーゼ及び蛋白部分加水分解物をも添加して練り肉を作成することを除いては、原材料の種類、配合比率を含めて全て従来の製造法に準ずることができるからである。
【0019】
もちろん、トランスグルタミナーゼ及び蛋白部分加水分解物として、上に説明した本発明の酵素製剤(食品用賦形剤を配合したものも、もちろん含まれる)を用いることもできる。
【0020】
トランスグルタミナーゼの使用量は求める食感の方向性の見地から定められ、トランスグルタミナーゼの反応条件にもよるが、例えば、練り製品の原材料に含まれる蛋白(蛋白部分加水分解物を除く)1g当たり、トランスグルタミナーゼを、通常、0.01〜10ユニット、好ましくは0.1〜5ユニット添加することができる。勿論、これらの範囲は一応の目安であり、これに限定されるものではない。
【0021】
また、蛋白部分加水分解物の添加量は、蛋白1g当たり、0.002〜0.2g、好ましくは0.02〜0.15g、の範囲とすることができる。勿論、これらの範囲は一応の目安であり、これに限定されるものではない。
【0022】
例えば、水産練り製品の製造の場合、例えば、原材料として冷凍すり身(スケソウタラ、イトヨリ、ホキ、グチなど)を主原料とし、副原料として、適宜、卵白、澱粉、調味料等が使用される。本発明の製造法では、原材料に、これらの主副原料に加えて、トランスグルタミナーゼおよび蛋白部分加水分解物、更に必要により食品用賦形剤を使用することを特徴とする。
【0023】
先に言及したように、トランスグルタミナーゼは、その触媒作用により蛋白質分子間及び分子内のε−(γ−Glu)−Lys架橋の形成を触媒する。
【0024】
本発明の方法により製造される水産練り製品および畜肉練り製品が硬さおよびしなやかさにおいて品質の向上をみるのは、この架橋形成によるものと思われる。この場合、トランスグルタミナーゼは、魚肉または畜肉の練り肉に元来含まれている蛋白質の分子間のみならず、これらの蛋白質の分子と本発明によりトランスグルタミナーゼとともに添加使用された蛋白部分加水分解物に含まれるペプチド分子との間にも架橋を形成する。なお、蛋白質としてカゼインを使用する場合(前掲特開平6−284876号公報)に比較して、蛋白部分加水分解物を使用する場合(本発明)の方が、練り製品の品質改善効果が大きいのは架橋形成の適度なコントロールによる過剰な架橋形成の抑制によるものと考えられる。
【0025】
また、酵素作用の発現には、一般に、酵素と基質との混合物を酵素作用の発現に適する温度、時間などの条件下に保持する必要がある。しかしながら、本発明による練り製品の製造の場合は、特別にそのような条件を考えなくてもトランスグルタミナーゼの酵素作用が発現していることは、後掲実施例にみる通りである。
【0026】
【実施例】
以下、実施例によってさらに詳しく本発明を説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0027】
なお、実施例で使用したトランスグルタミナーゼは、特に記載がない限り、放線菌ストレプトベルチシリウム(Streptoverticillium mobaraense IFO 13819)起源のもので、比活性は1000ユニット/gであった。また、活性の測定は、前掲特開昭64−27471号公報記載の方法によった。
【0028】
なお、実施例で製造された水産練り製品および畜肉練り製品の物性評価は、レオメーターで次のように破断応力(硬さ)および凹み(しなやかさ)の測定をして行った。
【0029】
すなわち、破断応力および凹みの測定は、不動工業(株)製のレオメーターにより5mm球形プランジャーを用いて測定した。サンプルの形状は水産練り製品の場合は直径30mm、高さ30mmとし、そして畜肉製品では直径16mm、高さ20mmとした。試料が破断するのに要した応力を破断応力、そして破断するまでのプランジャーの移動した距離を凹みとして表した。測定した破断応力の値が高い程、弾力のあることを示す。また、測定した凹みの大きい程、しなやかであることを示す。
【0030】
また、官能評価は、熟練した10名の官能評価員による、試作練り製品の食感の好ましさについての評価(合議結果)である。
【0031】
実施例1(蒸し蒲鉾)
トランスグルタミナーゼ2gおよびカゼイン部分加水分解物「C2500」(森永乳業(株)製、平均分子量650)100gおよびタピオカ澱粉(日本食品化工(株)製)9,898gを混合して酵素製剤を得た。なお、この酵素製剤中のカゼイン部分加水分解物の量は、トランスグルタミナーゼ1ユニット当たり0.05gであった。
【0032】
FA級冷凍すり身をフレーク状に解砕したすり身6,000gに食塩180gおよび氷水3,600gを加え、サイレントカッターで良く攪拌した。次に、馬鈴薯澱粉「エスサン銀嶺」(味の素(株)製)300g、砂糖300g、みりん120g、うま味調味料「味の素」(味の素(株)製)60gおよび上記配合による酵素製剤18gを添加後、サイレントカッターにて最終品温が8〜12℃になるように攪拌した。なお、トランスグルタミナーゼの添加量は、原料すり身中の蛋白1g当たり0.6ユニットであった。また、カゼイン部分加水分解物の添加量は、原料すり身中の蛋白1g当たり0.03gであった。このようにして得た練り肉をケーシングチューブに充填し、40℃で40分間加温して坐らせた後、85℃で30分間加熱してケーシング蒲鉾を得た(試料1)。
【0033】
対照として、上記酵素製剤を添加せずに蒲鉾を試作した(試料2)。また、上記酵素製剤の代わりに重合燐酸塩を12g添加して蒲鉾を試作した(試料3)。
【0034】
これら3種の試作蒲鉾をレオメーターで物性を測定した結果および官能評価の結果を下記第1表に示す。
【0035】
【表1】
Figure 0003811930
【0036】
上表の結果からすると、試料1は試料2および試料3と比べても硬さおよびしなやかな食感であることがわかる。
【0037】
実施例2(ソーセージ)
トランスグルタミナーゼ4g、カゼイン部分加水分解物「CCP」(太陽化学(株)製、平均分子量3,000)50g、デキストリン636gおよび乳糖310gを混合して酵素製剤を得た。なお、酵素製剤中のカゼイン部分加水分解物の量は、トランスグルタミナーゼ1ユニット当たり0.0125gであった。
【0038】
豚腕赤肉450g、豚背脂230g、氷水254g、食塩19.5g、砂糖14.5g、亜硝酸Na0.2g、大豆蛋白15g、カゼインNa10g、アスコルビン酸Na0.8g、うま味調味料「味の素」(味の素(株)製)2g、香辛料5g、及び上記混合した酵素製剤3gを配合し、サイレントカッターで約10分カッティングして最終温度が約10℃になるように仕上げた練り肉を得た。なお、トランスグルタミナーゼは、原料豚肉中の蛋白1g当たり2.4ユニットであった。また、カゼイン部分加水分解物は、原料豚肉中の蛋白1g当たり0.03gであった。この練り肉を、径21mmの人工コラーゲンケーシングに充填後60℃で30分乾燥、60℃で10分スモーク、そして78℃で40分蒸気加熱してソーセージを得た(試料1)。
【0039】
対照として、上記酵素製剤を添加しない他は全て同条件でソーセージ試作した(試料2)。また、上記酵素製剤の代わりに重合リン酸塩3gを添加したソーセージを試作した(試料3)。
【0040】
これら3種のソーセージをレオメーターで物性を測定した結果および加熱歩留まりを下表第2表に示す。ここに、加熱歩留まりは、加熱前後の重量比のことを言い、値が高い程好ましい。
【0041】
【表2】
Figure 0003811930
【0042】
上表に示すように、試料1は試料2よりも大幅に弾力(硬さ及びしなやかさ)が増している。食感的にもまとまり、歯ごたえが大きくなっていた。同様に、試料3に比べても硬さ及びしなやかさが向上していることが分かる。このように、本発明の酵素製剤は重合リン酸塩の機能をも上回っていることが分かる。
【0043】
実施例3(揚げ蒲)
トランスグルタミナーゼ2gおよび小麦蛋白部分加水分解物「グルパール30」(片山化学(株)製、平均分子量66,000)200gおよびタピオカ澱粉(日本食品化工(株)製)9,798gを混合して酵素製剤を得た。なお、この酵素製剤中の小麦蛋白部分加水分解物の量は、トランスグルタミナーゼ1ユニット当たり0.1gであった。
【0044】
陸上2級冷凍すり身をフレーク状に解砕したすり身6,000gに食塩180gおよび氷水4,000gを加え、サイレントカッターで良く攪拌した。次に、馬鈴薯澱粉「エスサン銀嶺」(味の素(株)製)600g、砂糖300g、みりん120g、うま味調味料「味の素」(味の素(株)製)60gおよび上記配合による酵素製剤36gを添加後、サイレントカッターにて最終品温が8〜12℃になるように攪拌した。このようにして得た練り肉を成型機で小判状に成型し、室温で30分放置した後、170℃の大豆油「大豆白絞油:味の素」(味の素(株)製)で5分間揚げて揚げ蒲を得た(試料1)。なお、トランスグルタミナーゼは原料すり身中の蛋白1g当たり1.2ユニットであった。また、小麦蛋白部分加水分解物は原料すり身中の蛋白1g当たり0.12gであった。
【0045】
対照として、上記酵素製剤を添加せずに揚げ蒲を試作した(試料2)。また、上記酵素製剤の代わりに重合燐酸塩を12g添加して揚げ蒲を試作した(試料3)。これら3種の試作揚げ蒲をレオメーターで物性を測定した結果および官能評価結果を下記第3表に示す。
【0046】
【表3】
Figure 0003811930
【0047】
上表に示すように、試料1は、試料2および3より弾力(硬さおよびしなやかさ)が増していた。また、試料1は、食感的にもまとまりがあり、歯ごたえもあり、極めて好ましいものであった。この結果からも、本発明の酵素製剤は優れたものであることが分かった。
【0048】
実施例4(リテーナー蒲鉾:低温坐り)
トランスグルタミナーゼ2gおよびカゼイン部分加水分解物「C2500」(森永乳業(株)製、平均分子量650)100gおよびワキシー澱粉「MD澱粉」(味の素(株)製)9,898gを混合して酵素製剤を得た。なお、この酵素製剤中のカゼイン部分加水分解物の量は、トランスグルタミナーゼ1ユニット当たり0.05gであった。
【0049】
FA級冷凍すり身をフレーク状に解砕したすり身6,000gに食塩180gおよび氷水4,800gを加え、サイレントカッターで良く攪拌した。次に、馬鈴薯澱粉「エスサン銀嶺」(味の素(株)製)480g、砂糖300g、みりん120g、うま味調味料「味の素」(味の素(株)製)60gおよび上記配合による酵素製剤9gを添加後、サイレントカッターにて最終品温が8〜12℃になるように攪拌した。このようにして得た練り肉をリテーナー成型機に充填し、12℃で15時間坐らせた後、85℃で30分加熱してリテーナー蒲鉾を得た(試料1)。なお、この時のトランスグルタミナーゼの添加量は、原料すり身中の蛋白1g当たり0.3ユニットであった。また、カゼイン部分加水分解物の添加量は、原料すり身中の蛋白1g当たり0.015gであった。
【0050】
対照として、上記酵素製剤を添加せずにリテーナー蒲鉾を試作した(試料2)。また、上記酵素製剤の代わりに重合燐酸塩を12g添加してリテーナー蒲鉾を試作した(試料3)。
【0051】
これら3種の試作蒲鉾をレオメーターで物性を測定した結果および官能評価結果を下記第4表に示す。
【0052】
【表4】
Figure 0003811930
【0053】
上表に示すように、試料1は、試料2および3より弾力(硬さおよびしなやかさ)が増していた。また、試料1は、官能評価の結果が示すように、食感的にも極めて優れたものであった。
【0054】
実施例5(竹輪)
トランスグルタミナーゼ3gおよび小麦蛋白部分加水分解物「グルパール19」(片山化学(株)製、平均分子量55,000)100gおよびタピオカ澱粉(日本食品化工(株)製)9,897gを混合して酵素製剤を得た。この酵素製剤中の小麦蛋白部分加水分解物の量は、トランスグルタミナーゼ1ユニット当たり0.33gであった。
【0055】
FA級冷凍すり身をフレーク状に解砕したすり身6,000gに食塩180gおよび氷水4,200gを加え、サイレントカッターで良く攪拌した。次に、馬鈴薯澱粉「エスサン銀嶺」(味の素(株)製)600g、砂糖300g、みりん120g、うま味調味料「味の素」(味の素(株)製)60gおよび上記配合による酵素製剤18gを添加後、サイレントカッターにて最終品温が8〜12℃になるように攪拌した。このようにして得た練り肉を竹輪成型機に充填し、雰囲気温度78℃で焼いて竹輪を得た(試料1)。なお、トランスグルタミナーゼの添加量は、原料すり身中の蛋白1g当たり0.9ユニットであった。また、小麦蛋白部分加水分解物の添加量は、原料すり身中の蛋白1g当たり0.03gであった。
【0056】
対照として、上記酵素製剤を添加せずに揚げ蒲を試作した(試料2)。また、上記酵素製剤の代わりに重合燐酸塩を12g添加して竹輪を試作した(試料3)。
【0057】
これら3種の試作竹輪の切断面をレオメーターで物性を測定した結果および官能評価結果を下記第5表に示す。
【0058】
【表5】
Figure 0003811930
【0059】
上表に示すように、試料1は、試料2および3に比較して、破断応力および凹みとも高く、弾力(硬さおよびしなやかさ)を有していた。また、官能評価の結果も、試料1は硬くかつしなやかで、極めて優れた食感を有していた。
【0060】
実施例6(カニ足蒲鉾)
トランスグルタミナーゼ3gおよびカゼイン部分加水分解物「C2000」(森永乳業(株)製、平均分子量1,000)75gおよびタピオカ澱粉(日本食品化工(株)製)9,921gを混合して酵素製剤を得た。この酵素製剤中のカゼイン部分加水分解物の含有量は、トランスグルタミナーゼ1ユニット当たり0.025gであった。
【0061】
FA級冷凍すり身をフレーク状に解砕したすり身6000gに食塩180gおよび氷水4200gを加え、サイレントカッターで良く攪拌した。次に、馬鈴薯澱粉「エスサン銀嶺」(味の素(株)製)600g、卵白「粉末卵白」(太陽化学(株)製)90g、砂糖300g、みりん120g、うま味調味料「味の素」(味の素(株)製)60g、カニフレーバー「カニフレーバーCS」(小川香料(株)製)4.8gおよび上記配合による酵素製剤18gを添加後、サイレントカッターにて最終品温が8〜12℃になるように攪拌した。この時のトランスグルタミナーゼの添加量は、原料すり身中の蛋白1g当たり0.9ユニットであった。また、カゼイン部分加水分解物の添加量は、原料すり身中の蛋白1g当たり0.0225gであった。このようにして得た練り肉をクリアランス1.5mmのシート成型用ノズルに通して薄膜状に成型した。このシートの厚みは1.0〜1.5mmであった。これを常温で30分放置してから蒸し器で加熱した(85℃で30分)。冷却後、2mmの間隔をもつ線切りローラーにかけてそうめん状切断した後、そのものを約100本ほど束にしてから、長さ約80mmでナイフにより繊維束を切断することによってカニ風味蒲鉾を得た(試料1)。
【0062】
対照として、上記酵素製剤を添加せずにカニ風味蒲鉾を試作した(試料2)。また、上記酵素製剤の代わりに重合燐酸塩を12g添加してカニ風味蒲鉾を試作した(試料3)。
【0063】
これら3種の試作カニ足蒲鉾をレオメーターで物性を測定した結果および官能評価結果を下記第6表に示す。
【0064】
【表6】
Figure 0003811930
【0065】
上表に示すように、試料1は、試料2および3に比較して、破断応力および凹みの値とも高く、弾力を有するものであった。また、試料1は、官能評価の結果から分かるように、硬くかつしなやかな食感を有し、極めて優れたものであった。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、トランスグルタミナーゼおよび蛋白部分加水分解物を組み合わせることにより、低級魚肉すり身の品質向上または畜肉の品質向上が可能となり、延いては、たとえこのような低級品の原材料からでも硬くてしかもしなやかな食感の水産練り製品および畜肉練り製品を製造することが容易となる。また、従来のpHを変動させる副原料を使用していないために、保存性や味や風味に影響を与えずに食感を改良することができる。

Claims (1)

  1. トランスグルタミナーゼ及びトランスグルタミナーゼ1ユニット当り0.01〜5.0gの、平均分子量が300〜11万の蛋白部分加水分解物を有効成分として併含することを特徴とする、水産練り製品又は畜肉練り製品の硬さ及びしなやかさを向上する粉体の酵素製剤の製造方法。ただし、トランスグルタミナーゼと蛋白部分加水分解物とを含有する溶液を乾燥させてなる粉体の酵素製剤の製造方法を除く
JP00760698A 1998-01-19 1998-01-19 酵素製剤及び水産練り製品又は畜肉練り製品の製造法 Expired - Fee Related JP3811930B2 (ja)

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