JP3471901B2 - 魚肉すり身および魚肉練り製品の製造方法 - Google Patents

魚肉すり身および魚肉練り製品の製造方法

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JP3471901B2 JP14774194A JP14774194A JP3471901B2 JP 3471901 B2 JP3471901 B2 JP 3471901B2 JP 14774194 A JP14774194 A JP 14774194A JP 14774194 A JP14774194 A JP 14774194A JP 3471901 B2 JP3471901 B2 JP 3471901B2
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雅章 佐藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は魚肉すり身および魚肉練
り製品の製造法に関し、より詳細には、魚肉に特定値以
上のトリプシンインヒビター活性を有する全脂大豆粉お
よび(または)大豆ホエー、粉末状大豆たん白、および
カルシウム塩を同時に添加することによる前記練り製品
およびみり身の弾力性、風味、色調等の改質改善ないし
向上に係わる。
【0002】
【従来の技術】水産練り製品の最大の品質特性はそのテ
クスチャーいわゆる「足」であり、この足は硬さ、強
さ、歯切れ、きめ等の要素からなる物理的な食感をい
い、足の良し悪しを評価する場合には、強さと歯切れが
最も重要視される。一方、魚肉蛋白質のゲル化は、アク
トミオシンの熱凝固温度に当たる約50℃を境にして、
それを下回る温度域で起こる構造形成と、それを上回る
温度域、とくに60℃付近で起こる構造の硬化(劣化)
の2段に分かれる。前者は一般に「座り」、また後者は
「戻り」と呼ばれている。この様に加熱処理は、魚肉練
り製品の製造工程の中で品質に影響を与える重要な意味
をもっている。
【0003】この足を増強する手段として、80℃前後
の最終加熱の前に、50℃以下の低い温度(一般的には
20〜40℃の温度帯)で加熱することにより強い弾力
を得る方法、すなわち「座り」を行うことが多い。座り
は、塩ずりした肉糊を20〜40℃の適当な温度下に1
0分〜20時間程度静置することにより、溶解した魚肉
蛋白分子を架橋重合させて強いゲルを作らせる反応であ
る。
【0004】魚肉練り製品で良好な足を作る要因は、前
述の座りと戻りの現象にかかっており、如何にして座り
を増強させ、戻りを抑制するかということに尽きる。
【0005】座りおよび戻り現象は、使用する原料の魚
種によって大きく影響され、また同魚種でも、鮮度、原
料の処理方法、水晒し方法により左右される。例えば、
同じスケトウタラでも、高鮮度で丁寧に水晒しを行った
洋上特級すり身は座りが強く、戻りが弱い良好な原料で
ある。一方、比較的低鮮度で、血液や内蔵の混入が観ら
れる陸上すり身では、座りが弱く戻りが強いという、望
ましくない特性を示す。なお、こうしたスケトウタラす
り身は、魚肉の水晒しを行っているため、魚肉がもつ旨
味が流出しており、風味の点で問題がある。一方、イト
ヨリ、キンメダイ、マイワシ、アジ等の魚肉は、ゲル形
成能では難点があるが、旨味が強いことから、風味改善
の点で魅力があり、多く使用されている。
【0006】すなわち、現在の魚肉練り製品の多くは、
スケトウタラ、イトヨリ、キンメダイ、マイワシ等の冷
凍すり身の他、沿岸で漁獲される魚種を使用して作ら
れ、その配合割合は、各々の製品の特徴に合わせて、経
済性、ゲル形成能、色調、風味等を考慮して決定してい
る。このように数種のすり身または魚肉を混合した場
合、その品質は通常、平均的な品質になるか、または戻
りが強い、いわゆる低品質のものになりやすい。
【0007】こうした状況から、従来の水産練り製品に
は、弾力増強剤を使用して、座りを増強したり戻りを抑
制し、出来るだけ良い足が得られるように工夫をしてい
る。例えば特開昭64−34267号公報では、魚肉を
カルシウム塩の溶液で処理した後、血漿蛋白、卵白およ
び牛乳の一つ以上を添加している。特公昭59−283
86号公報では、魚肉に牛または豚の血漿粉末を添加す
ることにより弾力増強の効果を挙げている。また特開平
3−219854号公報では、魚肉にトランスグルタミ
ナーゼ、血清、血漿または卵白を添加して品質を向上し
ている。特開昭56−32976号公報では、魚肉に大
豆たん白、卵白および油脂を乳化して添加している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前述のような従来の提
案のうち、カルシウム塩、トランスグルタミナーゼ等
は、座り能力の高いスケトウタラ洋上特級すり身に使用
するとその座りは増強されるが、座り能力の弱い陸上2
級すり身ではその効果はほとんど認められない。また血
漿、卵白、牛乳等は戻り防止効果はあるが、その他の品
質特性、例えば保水力、乳化力、座り促進効果は弱い。
一方、大豆たん白は保水力はあるが、座り増強、戻り防
止効果は弱い。このように、現在、練り製品を製造する
にあたり、かかる種々の問題に対処するには不充分な点
が多く、満足出来る製品は得られていない。
【0009】本発明は、魚肉あるいは水産練り製品がか
かえる前記課題すなわち、「戻り」を防止し、弾力性を
増強せしめ、かつ保水性、色調および風味の点でも優
れ、経済的にも満足出来る魚肉練り製品を製造する方法
を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために、魚肉練り製品に対する各種食品素
材、食品添加物等の効果について検討した。すなわち、
魚肉練り製品において期待される効果として、座りの増
強効果、戻りの抑制効果および最終加熱ゲルの増強効果
による弾力の増強、保水性の向上、色調および風味の改
善、経済性等を前記添加物の効果と対比させ総合的に鋭
意研究した。その結果、魚肉に無水物換算で30TIU
/mg以上のトリプシンインヒビター活性を有する全脂
大豆粉および(または)大豆ホエー、粉末状大豆たん
白、およびカルシウム塩を同時に添加することにより、
相乗効果が発揮され、個々の添加効果からは予測できな
い顕著な足形成能が付与され、本発明の目的を達成でき
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち本発明の特徴は、魚肉に無水物換
算で30TIU/mg以上のトリプシンインヒビター活
性を有する全脂大豆粉および(または)大豆ホエーと、
粉末状大豆たん白と、カルシウム塩とを同時添加し、該
魚肉に対する添加率として全脂大豆粉および(または)
大豆ホエーが0.03〜0.3重量%、粉末状大豆たん
白が1〜20重量%、およびカルシウム塩が0.03〜
0.15重量%であり、かつ全脂大豆粉および(また
は)大豆ホエーと粉末状大豆たん白との重量比率が1:
100〜30:100であることを特徴とする魚肉すり
身および魚肉練り製品の製造法にある。
【0012】本発明が対象としている「魚肉練り製品」
とは、かまぼこ、ちくわ、さつま揚げ、魚肉ソーセージ
等の、魚肉を主成分とする通常の水産練り製品を指す。
かかる魚肉練り製品の製法においては、原料として魚肉
の他、澱粉、グルテン、食塩、糖類、糖アルコール、調
味料、香辛料、着色料等の公知のものが使用でき、また
原料魚から採肉、水晒し、脱水、砕肉等の工程によりす
り身となし、さらにこれを擂潰、調味、成形、加熱、冷
却等の工程を経て練り製品となす常法を採用することが
できる。
【0013】本発明において特徴的な添加物は、全脂大
豆粉、大豆ホエー、粉末状大豆たん白、およびカルシウ
ム塩である。全脂大豆粉は、その加熱状態によって、生
全脂大豆粉から加熱全脂大豆粉まで種々のものがあり、
これらを利用することが出来るが、30TIU/mg
(無水物換算)以上のトリプシンインヒビター活性を有
することが必須条件である。
【0014】ここで、「TIU」は、トリプシンインヒ
ビター活性の大きさを表わす単位として最も一般的に使
用されているもので、Kakade et al.,C
ereal Chemistry 51.3.376〜
(1974)に記載されている方法に準じて測定を行
い、410nmにおける吸光度0.01を1ユニットと
して定義される。
【0015】「トリプシンインヒビター活性」とは、ト
リプシンの酵素反応によりベンゾイル−DL−アルギニ
ンニトロアニリド塩酸(BAPA)から黄色を呈するパ
ラニトロアニリンが生成される際の阻害程度を意味する
もので、下記の方法で測定される。 (a)200mlの三角フラスコのサンプル約1.00
gをとり、0.005N NaOH溶液50mlを加
え、均一に溶かす。 (b)37℃で2間振盪する。 (c)振盪後、pHを9.4〜9.8に調整する。 (d)サンプル液を、予想されるTIUに応じた濃度に
希釈する。 (e)試験管にサンプル希釈液をそれぞれ0.6,0.
9,1.2,1.5,1.8mlとり、脱イオン水で2
mlにして希釈シリーズを作る。また脱イオン水のみの
サンプルブランクを作る。 (f)上記の各試験管に所定濃度のトリプシン溶液2m
lを加え、よく攪拌し、反応を止める。 (g)試薬ブランクとして、脱イオン水2ml、トリプ
シン溶液2ml、30%酢酸溶液1ml、BAPA溶液
5mlの順に加えたものを用意する。 (i)小ひだ折りろ紙(5B)を用いてろ過し、試薬ブ
ランクを対照として、410nmの波長における吸光度
を10mmのガラスカプセルを用いて測定する。 (j)得られた測定結果を用い、下記の計算式によりT
IUの値を求める。
【0016】 A:サンプルブランクの吸光度の平均値 B:希釈サンプルの吸光度 無水物換算で30TIU/mg以上のトリプシンインヒ
ビター活性を有する全脂大豆粉は、常法により製造する
ことができる。すなわち、生全脂大豆粉の場合には、丸
大豆を脱皮、粉砕し、乾燥する工程からなる、極力加熱
処理を避けた方法により得ることができる。また加熱全
脂大豆粉の場合には、上記工程に、さらに粉砕後に生蒸
気を混合する等の加熱処理を加えることにより得ること
ができる。しかし、いずれの場合にも、原料の品質、保
存状態等により原料中のトリプシンインヒビター活性が
異なることから、前述の範囲のトリプシンインヒビター
活性が得られるように、工程の操作条件を選択する。
【0017】また大豆ホエーとしては、アルコール洗浄
型濃縮大豆たん白の大豆ホエーおよび酸沈澱ホエーの溶
液状態のもの、あるいは乾燥物を例示出来るが、全脂大
豆粉と同様に、30TIU/mg(無水物換算)以上の
トリプシンインヒビター活性を有することが必須であ
る。トリプシンインヒビター活性の低い全脂大豆粉およ
び(または)大豆ホエーを使用した場合には、魚肉に対
して戻り防止効果が充分に発揮されなくなる。
【0018】粉末状大豆たん白としては、粉末状の分離
大豆たん白、あるいはアルコール洗浄法や酸沈澱法によ
り得られる濃縮大豆たん白がとりわけ好ましい。また、
一軸型または二軸型エクストルーダー等の押出し成形機
を用いて加熱、加圧処理して得られる組織状ないし繊維
状大豆たん白を細粒化あるいは粉末化したものもこれに
含めることが出来る。
【0019】カルシウム塩は、食品添加物として定めら
れたものであれば、どのようなものも利用することが出
来、燐酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシ
ウム、乳酸カルシウム等が例示できる。しかしその溶解
性、経済性を考慮して、とりわけ乳酸カルシウムが好ま
しい。
【0020】本発明で使用する全脂大豆粉、大豆ホエ
ー、粉末状大豆たん白、およびカルシウム塩の添加量
は、原料の魚種、その品質、粉末状大豆たん白の種類に
より変動するため、一概に特定できないが、通常、魚肉
に対して、全脂大豆粉および(または)大豆ホエーは
0.03〜0.3%(重量%、以下同じ)、好ましくは
0.09〜0.21%であり、粉末状大豆たん白は1〜
20%、好ましくは2〜10%、カルシウム塩は0.0
3〜0.15%、好ましくは0.06〜0.12%であ
る。
【0021】全脂大豆粉および(または)大豆ホエーが
0.03%未満であると、製品の戻り防止効果が期待で
きにくくなり、0.3%を超えて添加すると風味、色
調、保水性が劣る傾向にある。また粉末状大豆たん白が
1%未満であると、製品の保水性が期待できにくくな
り、20%を超えて添加すると風味、色調が劣る傾向に
ある。またカルシウム塩が0.03%未満であると戻り
防止効果が期待できにくくなり、0.15%を超えて添
加すると、風味の面で劣る傾向にある。なお、全脂大豆
粉および(または)大豆ホエーと粉末状大豆たん白との
重量比は1:100〜30:100が好ましく、さらに
は3:100〜25:100が最も好ましい。
【0022】本発明では、魚肉すり身および魚肉練り製
品の製造にあたり、全脂大豆粉および(または)大豆ホ
エーと、粉末状大豆たん白と、カルシウム塩とを、同一
段階で添加することがきわめて重要である。これらの各
成分を、魚肉すり身および魚肉練り製品の製造過程の異
なる段階で魚肉に添加すると、本発明の効果が弱くなる
か、あるいは全く得られなくなる。
【0023】前記各成分を同一段階で添加するために
は、各成分を予め混合しておき、所望の段階で添加する
ことが望ましいが、魚肉すり身の製造工程において、処
理状態が大幅に変化しなければ、各成分を任意の順序で
順次に添加してもよい。実際には、前記の必須成分に、
さらに必要に応じて糖類、リン酸塩、調味料等の公知の
成分を前もって混合して粉末状とし、あるいはこれを水
に溶解、分散もしくは乳化させた液体状態となし、魚肉
に添加することが望ましい。
【0024】本発明において、前記の添加物を添加する
時期は、特に限定されない。すなわち、魚肉すり身の製
造工程において、採肉後、水晒し時もしくはその後、脱
水後、採肉時もしくはその後の粉砕前、粉砕時もしくは
粉砕後の適当な段階で添加し、所望であればこれを冷凍
して、魚肉すり身とすることができる。あるいは砕肉の
擂潰工程または調味の段階で添加して、以降を常法で処
理して魚肉練り製品を仕上げることができ、本発明の効
果を充分に発揮できる。
【0025】また魚肉練り製品の製造では、前述のよう
にして添加物が添加された魚肉すり身をそのまま使用す
れば、勿論本発明の目的を達成することができるが、魚
肉すり身にあらかじめ前記添加物が添加されていない場
合には、練り製品の成形工程より前の段階であれば、擂
潰処理時に添加することができる。この場合にも、各添
加物は、処理の同一段階で添加することが必要である。
【0026】このようにして得られる魚肉すり身および
魚肉練り製品の品質は、前記製造法に準拠してかまぼこ
等の練り製品を試作し、その弾力性を機械的に測定し、
また食感、色調、風味等を官能的に評価でき、これによ
り本発明の効果を確認することができる。
【0027】以下の実施例、比較例で本発明をさらに詳
細に説明する。
【0028】
【実施例】
(実施例1)第1表に示す配合原料を用いて常法によ
り、ケーシングかまぼこを作った。すなわち、スケトウ
タラ冷凍すり身(−30℃にて数カ月間貯蔵された市販
の無塩冷凍すり身、陸上2級および特級)を解凍し、サ
イレントカッターを用いてこれを粗ずり、次いで食塩を
添加して塩ずり、さらに全脂大豆粉(日清製油(株)
製、商品名:ソーヤフラワーNSA、52.0TIU/
mg(無水物換算))、粉末状大豆たん白(日清製油
(株)製、濃縮大豆たん白、商品名:ソルピー60
0)、乳酸カルシウム(5水和物)、リン酸水素2ナト
リウム(無水物)を予め添加水に混合したもの、のばし
水に馬鈴薯澱粉を分散させた液状物を各々添加して、1
0分間本ずり処理を行い、塩化ビニリデン製フィルムの
ケーシングに充填し結さつし、加熱処理を行った。な
お、加熱処理は、座り効果、戻り効果を調べるため、下
記の方法で二段加熱をした。
【0029】(加熱方法)座り効果では、1段目:30
℃、90分間ついで2段目:90℃、40分間加熱処理
した。また、戻り加熱では、1段目:60℃、30分間
次いで2段目:90℃、40分間加熱処理した。
【0030】
【表1】 試作したケーシングかまぼこの品質を評価するため、ジ
ェリー強度を測定し、また弾力(歯切れ)を官能的に評
価した。ジェリー強度は、レオメーター(不動工業
(株)製、NRM−2002J型、直径5mm球状プラ
ンジャー)を用い、破断荷重(g)、および凹み(c
m)を測定し、その積(g・cm)をジェリー強度とし
た。また、官能検査は10名のパネラーで行い、10点
法で評価した平均値で判断した。その結果を第2表に示
した。
【0031】
【表2】 第2表から明らかなように、本発明の方法による全脂大
豆粉、粉末状大豆たん白およびカルシウム塩の併用区
(試験区1)は、ケーシングかまぼこの座りおよび戻り
のいずれにおいても優れた結果を示し、無添加区(試験
区8)は勿論のこと全脂大豆粉のみの添加区(試験区
4)、粉末状大豆たん白のみの添加区(試験区7)、カ
ルシウム塩のみの添加区(試験区6)等、その他添加区
に比較しても優れており、全脂大豆粉、粉末状大豆たん
白およびカルシウム塩の併用添加による相乗効果を確認
した。
【0032】(実施例2)第3表に示す配合原料で、実
施例1と同様の方法でケーシングかまぼこを作り、ジェ
リー強度の測定、官能評価を行った。なお、大豆ホエー
はアルコール洗浄型濃縮大豆たん白の大豆ホエー(液状
物、35TIU/mg(無水物換算))を使用した。そ
の結果を第4表に示した。
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】 第4表から明らかなように、本発明の方法による大豆ホ
エー、粉末状大豆たん白およびカルシウム塩の併用区
(試験区1)は、ケーシングかまぼこの座りおよび戻り
のいずれにおいても優れた結果を示し、無添加区(試験
区8)は勿論のこと大豆ホエーのみの添加区(試験区
4)、粉末状大豆たん白のみの添加区(試験区7)、カ
ルシウム塩のみの添加区(試験区6)等、その他添加区
に比較しても優れており、大豆ホエー、粉末状大豆たん
白およびカルシウム塩の併用添加による相乗効果を確認
した。
【0035】(実施例3)第5表に示す配合原料で、実
施例1と同様の方法でケーシングかまぼこを作り、ジェ
リー強度の測定、官能評価を行った。なお、全脂大豆
粉、大豆ホエー(アルコール洗浄型濃縮大豆たん白ホエ
ー、乾燥物)は、トリプシンインヒビター活性が異なる
ように調製したものを使用した。その結果を第6表に示
した。
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】 第6表に示した通り、トリプシンインヒビター活性が3
0TIU/mg(無水物換算)より高い全脂大豆粉ある
いは大豆ホエーを添加した場合には、戻りの防止効果が
認められ、優れた品質のものが得られた。対照的に、3
0TIU/mg(無水物換算)より低いものを使用した
場合には戻りの防止効果が薄れることがわかった。
【0038】(実施例4)第7表に示す配合原料で、以
下の方法によりさつま揚げを作った。スケトウタラ冷凍
すり身(陸上2級)およびマイワシ冷凍すり身を解凍
し、これに全脂大豆粉、粉末状大豆たん白およびカルシ
ウム塩を予め添加水に混合したものを加え、小型擂潰機
を用いて4℃で粗ずりを行った。その後、食塩を添加し
て塩ずりし、さらに硫酸カルシウム、グルタミン酸ソー
ダ、砂糖、およびぶどう糖の混合物、のばし水と馬鈴薯
澱粉との混合物を順次添加して本ずり処理を行った。そ
の後成形し、大豆油を使用して155℃で4分間、油ち
ょうした。得られたさつま揚げは、10名のパネラーで
これを官能的に品質評価した。品質評価は総合的な食
感、すなわち足、色調および風味について行い、5点法
で評価した平均値で判断した。その結果を第8表に示し
た。
【0039】
【表7】
【0040】
【表8】 第8表に示した評価結果から、本発明の方法による全脂
大豆粉、粉末状大豆たん白およびカルシウム塩の併用区
(試験区1)は、足と風味については大変優れた結果で
あった。また、色調も良好であった。特に、無添加区
(試験区8)は勿論のこと大豆ホエーのみの添加区(試
験区4)、粉末状大豆たん白のみの添加区(試験区
7)、カルシウム塩のみの添加区(試験区6)等、その
他添加区に比較しても優れており、全脂大豆粉、粉末状
大豆たん白およびカルシウム塩の併用添加による相乗効
果は明らかである。この実施例のように、マイワシのよ
うな戻りの強い魚肉を原料に使った場合の本発明の効果
は抜群であった。
【0041】(実施例5)スケトウタラを原料として、
常法により冷凍すり身(陸上2級)を製造するにあた
り、まず原料魚を調理、採肉、水晒し後、脱水処理して
脱水肉を製造した。次に、この脱水肉に第9表に示す添
加物を混合した後、凍結して冷凍保存した。
【0042】
【表9】 (実施例6)実施例5で得た各種のスケトウタラ冷凍す
り身100部(重量。以下同様)、食塩3部、馬鈴薯澱
粉5部、のばし水30部の配合にて、実施例1と同様の
方法でケーシングかまぼこを試作し、ジェリー強度の測
定、弾力(歯切れ)の官能評価を行った。その結果を第
10表に示した。
【0043】
【表10】 第10表の試験結果から、本発明の方法による全脂大豆
粉、粉末状大豆たん白およびカルシウム塩との併用添加
区(試験区1)は、いずれの試験区より優れた値を示し
ており、座りの増強および戻りの防止効果の点につい
て、いずれも全脂大豆粉、粉末状大豆たん白およびカル
シウム塩の併用添加効果が顕著に示された。
【0044】(実施例7および比較例1) 第11表に示す配合材料で、実施例1と同様の方法で、
試験区1〜8の8種のケーシングかまぼこを作り、ジュ
リー強度の測定、官能評価を行った。また比較のため
に、第12表および第13表に示すような本発明の範囲
外の成分を用いて、試験区9〜18の10種のケーシン
グかまぼこを作り、同様の測定、評価を行った。なお食
感の官能評価は、10点法で評価した平均値で判断し、
色調、風味の官能評価は、5点法で評価した平均値で判
断した。その結果を第14表〜第16表に示した。
【0045】
【表11】
【0046】
【表12】
【0047】
【表13】
【0048】
【表14】
【0049】
【表15】
【0050】
【表16】 14表〜第16表に示した評価結果から、試験区9お
よび試験区10(比較例)のように全脂大豆および(ま
たは)大豆ホエーと粉末状大豆たん白の重量比率が本発
の特定値より下回るものは戻りのジェリー強度が低
く、食感が悪いことがわかる。また試験区11〜試験区
14(比較例)の場合のように、添加物のうちいずれか
一種でもその添加率が本発明の特定値より下回る場合に
は、座りのジェリー強度および(または)戻りのジェリ
ー強度が明らかに低下し、品質の低下が認められる。さ
らに、試験区15〜試験区18(比較例)の場合のよう
に、添加物のうちいずれか一種でもその添加率が本発明
の特定値より上回る場合には、風味および色調において
品質の低下が認められる。
【0051】
【発明の効果】以上に説明したように本発明によれば、
魚肉に無水物換算で30TIU/mg以上のトリプシン
インヒビター活性を有する全脂大豆粉および(または)
大豆ホエーと、粉末状大豆たん白と、カルシウム塩とを
同時に添加し、前記魚肉に対する添加率として全脂大豆
粉および(または)大豆ホエーが0.03〜0.3重量
%、粉末状大豆たん白が1〜20重量%、およびカルシ
ウム塩が0.03〜0.15重量%であり、かつ全脂大
豆粉および(または)大豆ホエーと粉末状大豆たん白と
の重量比率が1:100〜30:100であることによ
り、簡便な操作で、添加物の相乗的作用により、座りの
増強および戻りの抑制が達成され、また最終加熱ゲルが
増強されるため、ゼリー強度および弾力が増強せしめら
れ、かつ保水性、色調および風味の点でも優れ、経済的
にも安価な魚肉すり身および魚肉練り製品を提供でき
る。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 魚肉に無水物換算で30TIU/mg以
    上のトリプシンインヒビター活性を有する全脂大豆粉お
    よび(または)大豆ホエーと、粉末状大豆たん白と、カ
    ルシウム塩とを同時に添加し、該魚肉に対する添加率と
    して全脂大豆粉および(または)大豆ホエーが0.03
    〜0.3重量%、粉末状大豆たん白が1〜20重量%、
    およびカルシウム塩が0.03〜0.15重量%であ
    り、かつ全脂大豆粉および(または)大豆ホエーと粉末
    状大豆たん白との重量比率が1:100〜30:100
    であることを特徴とする魚肉すり身の製造法。
  2. 【請求項2】 粉末状大豆たん白が濃縮大豆たん白また
    は分離大豆たん白である請求項1に記載の製造法。
  3. 【請求項3】 魚肉に無水物換算で30TIU/mg以
    上のトリプシンインヒビター活性を有する全脂大豆粉お
    よび(または)大豆ホエーと、粉末状大豆たん白と、カ
    ルシウム塩とを同時に添加し、該魚肉に対する添加率と
    して全脂大豆粉および(または)大豆ホエーが0.03
    〜0.3重量%、粉末状大豆たん白が1〜20重量%、
    およびカルシウム塩が0.03〜0.15重量%であ
    り、かつ全脂大豆粉および(または)大豆ホエーと粉末
    状大豆たん白との重量比率が1:100〜30:100
    であることを特徴とする魚肉練り製品の製造法。
  4. 【請求項4】 粉末状大豆たん白が濃縮大豆たん白また
    は分離大豆たん白である請求項に記載の製造法。
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