JP3163816B2 - 練製品の製造方法 - Google Patents

練製品の製造方法

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JP3163816B2
JP3163816B2 JP01745993A JP1745993A JP3163816B2 JP 3163816 B2 JP3163816 B2 JP 3163816B2 JP 01745993 A JP01745993 A JP 01745993A JP 1745993 A JP1745993 A JP 1745993A JP 3163816 B2 JP3163816 B2 JP 3163816B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、魚肉及び畜肉を原料と
して加工される蒲鉾、竹輪、揚げ蒲、かに風味蒲鉾、か
にシューマイ、えびシューマイ、えび寄せフライ類等の
水産練製品及び、ソーセージ、ハンバーグ、肉ギョー
ザ、肉シューマイ等の畜肉練製品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】水産練製品及び畜肉練製品の製造におい
て、一般的には離水、離油を防止して品質を安定化する
為、叉は魚肉や畜肉の使用量削減による天然物資源の有
効活用化の為に副原料を添加している。ここに添加する
副原料としては、大豆蛋白、小麦蛋白、卵白、乳蛋白、
ゼラチン等の食品蛋白、ガム類、多糖類等の天然高分子
物質、及び乳化剤等が使われている。これらの副原料の
中でも、食品蛋白は品質の安定化の他に、これら練製品
の全般的な品質、例えば、食感等を向上させることが可
能な為に必須の添加剤として取り扱われている。
【0003】しかしながら、この食品蛋白にも、以下に
示すような種々の課題がある為、練製品への使用量も制
限されてきた。即ち、小麦蛋白は加熱によりゲル化する
が、保水能が低い。大豆蛋白は保水能、加熱ゲル化能を
発揮するが、味、風味が悪い。また、卵白は食品蛋白中
では比較的高い加熱ゲル化能を発揮するが、練製品の生
地製造工程における未加熱状態での保形性に乏しい。更
に、乳蛋白は高乳化能を有するが、加熱ゲル化能がなく
ミルク風味が強く、食品への使用量も制限されている。
一方、ゼラチンは耐熱性がなく、使用されたとしても製
品中1%程度となっている。
【0004】このように、食品蛋白を加工食品へ応用す
る際、それぞれの長所短所を認識した上で、複数の蛋白
を組合せ、工夫して対応せざるを得なかった。しかしな
がら、食品蛋白の添加量が高くなるほど、欠点がクロー
ズアップされ、どうしても練り製品への食品蛋白の添加
量を制限せざるを得なかった。従って、現状の食品蛋白
の添加量は練製品当り1〜3%程度であり、5%を越え
る場合は殆どみられない。従って、現在練製品業界では
(1)離水等の防止による品質の安定化、及び(2)主
原料である魚肉摺身や畜肉の使用量を削減し、製品価格
の安定化を図ることは重大な課題となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は主原料
である魚肉摺身や畜肉の使用量を削減し、及び離水等が
生じない為に品質的にも安定し、更に食感等の官能面で
も優れた練製品の製造方法の提供である。
【0006】
【本発明が解決するための手段】本発明者等はコラーゲ
ンとトランスグルタミナ−ゼに着目して、鋭意検討を重
ねた結果、(1)食感、味、風味共に優れ、(2)熱に
対しても安定な品質を有し、かつ(3)主原料である魚
肉摺身や畜肉の使用量を削減できる結果低価格の練製品
を得ることができることを見いだし本発明を完成するに
いたらしめた。即ち、本発明は(1)コラーゲンにトラ
ンスグルタミナーゼを作用させて得られる反応物を魚肉
摺身及び/又は畜肉に添加、混合することを特徴とする
練製品の製造方法、及び(2)コラーゲン並びに魚肉摺
身及び/又は畜肉からなる混合物にトランスグルタミナ
ーゼを添加、混合して作用させることを特徴とする練製
品の製造方法である。以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】本発明の対象となるコラーゲンは豚や牛か
ら一般的に抽出分離して調製されるものであって、抽出
分離後の含水物そのもの、及びこのものを乾燥した乾燥
粉末を指す。もちろん、コラーゲン以外の不純物も含む
が、本発明に於いては何の問題もなく使用できる。豚皮
コラーゲンや牛皮コラーゲンが通常、原料として用いら
れる。また、乾燥コラーゲンにおいては、コラーゲン組
成物の固形分1部に対して、約3〜15部の水を加え、
混合して水和物とした後に用いる。
【0008】本発明に於いて用いられる魚肉とは、その
魚種として硬骨魚類、軟骨魚類、等の魚類のみならず、
甲殻類、軟体動物、貝類、魚卵類が用いられる。例え
ば、スケトウタラ、さんま、あじ、いわし、かつお、さ
け、ハモ、鯛、したびらめ、かれい、ホキ、シログチ、
イトヨリ、パシフィックホワイティング等の硬骨魚類、
さめ、えい等の軟骨魚類、エビ、カニ、ロブスター等の
甲殻類、いか、たこ等の軟体動物、ほたて、あわび等の
貝類等であり、特に魚種に限定されるものではない。ま
た、部位も限定されない。更に、2種以上を組み合わせ
て用いても良い。尚、本発明に於いては通常はこれらを
原料とした摺身が用いられる。
【0009】本発明に於いて用いられる畜肉とは、牛
肉、豚肉、鶏肉、馬肉、羊肉、山羊肉、家禽肉等であ
り、特に種類及び部位は限定されない。また、これらを
2種以上組合せ用いても良い。更に、これらの肉をその
ままでもよいが、、挽肉としてから使用してもよい。
尚、念の為に申し述べると、上述した魚肉摺身と畜肉と
の混合物をトランスグルタミナーゼ処理に供しても何ら
かまわない。
【0010】本発明に於いてトランスグルタミナーゼは
(1)コラーゲンに単独、又は(2)コラーゲン並びに
魚肉摺身及び/又は畜肉の混合物に添加して作用させれ
ばよい。作用させるトランスグルタミナーゼの量は
(1)コラーゲン単独に作用させる場合又は(2)コラ
ーゲン並びに魚肉摺身及び/又は畜肉の混合物に作用さ
せる場合のいずれに於いても、通常コラーゲン1g当り
0.1−50ユニット、好ましくは1−30ユニットで
ある。0.1ユニット以下では該酵素を添加した効果が
発揮できず、50ユニット以上では蛋白が凝集化現象を
示し、離水しやすくなり最終製品である練製品の結着性
や食感を損ない好ましくない。
【0011】さて、トランスグルタミナーゼの反応条件
は、0℃以上であればよいが、余り高温になると酵素が
失活するため、一般的には0〜60℃で反応させればよ
い。但し、製造時に速やかに処理したいときは20〜4
0℃で処理するとよい。反応時間は、反応温度によって
異なるが、通常5分〜15時間である。
【0012】つぎに、製造方法について詳細に述べる。
(1)コラーゲンにトランスグルタミナーゼを作用させ
て酵素反応を行ってから、該反応物を魚肉摺身及び/又
は畜肉と混合するか、又は(2)コラーゲン並び魚肉摺
身及び/又は畜肉からなる混合物にトランスグルタミナ
ーゼを添加、混合して酵素反応を行うかである。コラー
ゲンの改質の点では、前者が好ましいが、これら2つの
方法の選択は、製造する際の操作性のよい方を選択すれ
ばよく、いづれの方法を用いても優れた品質を有する練
製品を製造できる。
【0013】最初に、コラーゲンにトランスグルタミナ
ーゼを作用させて得られる反応物を魚肉摺身及び/又は
畜肉と混合する方法について述べる。トランスグルタミ
ナーゼをコラーゲンに対してコラーゲン1g当り0.1
−50ユニット、好ましくは1−30ユニット添加し、
酵素反応を施した後、この反応物を魚肉摺身及び/又は
畜肉に添加し、サイレントカッター、ステファンカッタ
ー等で約1分−5分間混合する。この場合、コラーゲン
と魚肉摺身及び/又は畜肉の混合比は特に限定されな
い。しかし、通常、原料となる摺身及び/又は畜肉の5
%以上を代替可能である。次に、食塩と水を添加してか
ら、サイレントカッター、ステファンカッター、らい潰
機等で約1〜10分間混合する。これに調味料、澱粉、
蛋白等を添加して、さらに約1〜10分間混合する。混
合後、目的の製品に応じて成型する。成型後、(1)一
定の時間放置後、又は(2)そのまま直ちに加熱処理す
る。そして、加熱後冷却する。尚、場合によっては加熱
後又は加熱なしで冷凍処理やレトルト処理に付してもよ
い。
【0014】つぎに、コラーゲン並びに魚肉摺身及び/
又は畜肉の混合物にトランスグルタミナーゼを添加、混
合して作用させる方法について述べる。トランスグルタ
ミナ−ゼの添加量はこの場合もコラーゲン1g当り0.
1−50ユニット、好ましくは1−30ユニット添加す
ればよい。次に、サイレントカッター、ステッファンカ
ッター、らい潰機等で約1〜10分間混合する。これに
調味料、澱粉、蛋白等を添加して、さらに約1〜10分
間混合する。混合後、目的に応じて成型する。成型後、
加熱処理する。そして、加熱後冷却する。場合によって
は加熱後又は加熱なしで冷凍処理やレトルト処理に付し
ても良い。
【0015】以下、製造工程中の各処理について簡単に
説明する。まず、成型方法は、例えば、蒲鉾であれば板
上に、竹輪であれば筒状に、揚げ蒲であれば楕円状に、
ソーセージであればケーシングチューブに、ハンバーグ
であれば小判型等の通常の成型方法をとればよい。
【0016】また、酵素反応は、前述のようにコラーゲ
ン単独に対して、もしくはコラーゲン組成物、魚肉摺
身、畜肉挽肉の混合物の成型状態で行われるが、コラー
ゲン組成物単独処理の場合においても、成型後、酵素反
応を行なわせる時間を十分取るのも一つの方法である。
【0017】更に、加熱手段は、対象となる食品に応じ
て、例えば、蒲鉾、ハンバーグ等は蒸し機、竹輪は焼き
機、揚げ蒲はフライヤー、ソーセージはスモークチャン
バー等、適切な加熱装置により加熱される。これらの加
熱条件は、一般に採用される温度、時間であればよく、
特に、特殊な条件である必要はない。以上のプロセスと
製造条件を経て、練製品は製造される。
【0018】さて、トランスグルタミナーゼとしてはカ
ルシウム非依存性のものとカルシウム依存性のものがあ
る。前者の例としては微生物由来のもの(例えば、特開
平1−27471参照)をあげることができる。後者の
例としてはモルモット肝臓由来のもの(特公平1−50
382参照)、魚由来のもの(例えば、関信夫ら「昭和
63年度日本水産学会秋期大会講演要旨集」167頁及
び「平成2年度日本水産学会春季大会講演要旨集」21
9頁参照)をあげることができる。この他、遺伝子組み
替えにより製造されるもの(特開平1ー300889参
照)等、いずれのトランスグルタミナーゼでも用いるこ
とができ、起源及び製法に限定されることはない。但
し、機能性及び経済性の点から、好ましくはカルシウム
非依存性のものがよい。例えば、上述の微生物由来のト
ランスグルタミナーゼ(特開平1−27471)等はい
づれの条件を満足するのもであり、現時点では最適とい
える。
【0019】尚、本発明でいうトランスグルタミナーゼ
の活性単位は、次のようにして測定され、かつ定義され
る。即ち、ベンジルオキシカルボニル−L−グルタミニ
ルグリシンとヒドロキシルアミンを基質として反応を行
い、生成したヒドロキサム酸をトリクロル酢酸存在下で
鉄錯体を形成させた後、525nmの吸光度を測定し、
ヒドロキサム酸の量を検量線より求め、活性を算出する
(特開平1−27471公報参照)。
【0020】トランスグルタミナーゼは、ペプチド鎖内
にあるグルタミン残基のγ−カルボキシアミド基のアシ
ル転移反応を触媒する酵素である。このトランスグルタ
ミナーゼは、アシル受容体としてタンパク質中のリジン
残基のε−アミノ基が作用すると、タンパク質分子の分
子内において及び分子間においてε−(γ−Glu)−
Lys架橋結合が形成される。また、水がアシル受容体
として機能するときは、グルタミン残基が脱アミド化さ
れてグルタミン酸残基になる反応を進行させる酵素であ
る。
【0021】本発明は、トランスグルタミナーゼとコラ
ーゲンの使用によって、魚肉摺身や畜肉の一部を置換可
能とし、食感の優れた練製品が得られ、かつ、この練製
品をさらに冷凍したり、レトルトしたりしても、食感が
殆ど維持される特徴をもつ。これは、トランスグルタミ
ナーゼが耐熱性がないコラーゲンに耐熱性を付与するの
がポイントであると考えられる。詳細に考察するとトラ
ンスグルタミナーゼによるコラーゲン蛋白分子内、分子
間の架橋重合叉は、他の蛋白質との架橋構造による緻密
な網目構造の形成によるものであると考えられる。更
に、本発明により得られる練製品は食感に優れ、かつ風
味、味とも優れた製品であった。
【0022】
【実施例】以下、実施例によって更に詳しく説明する。
もちろん、これによって規定されるものではない。
【0023】実施例1 豚皮コラーゲン粉末(湘南ゼラチン(株)製「コラーゲ
ンパウダー」)70gと水430gをよく混合してか
ら、放線菌ストレプトベルチシリウムに属する微生物
(Streptoverticillium mobaraense IFO 13819)起源
のトランスグルタミナーゼ(比活性1ユニット/mg)
0.4gを少量の水に溶解して、静かに攪はんしながら
添加した。このコラーゲン水和物は約20℃で30分間
酵素反応を行った。ついで、このコラーゲン水和物50
0gと魚肉SA級摺り身500g(蛋白含量約17%)
をサイレントカッターにて2分間混合し、食塩30gと
氷水100gを添加後、さらに5分間混合した。これ
に、みりん20g、砂糖50g、核酸系調味料(味の素
(株)製「I−7」)10g、小麦澱粉(味の素(株)
製「銀玲」)50g及び氷水300gを加え、さらに3
分間混合し、練り肉を得た。これを折り幅47mmの塩
化ビニディデン製ケーシングチューブに充填後、85℃
の恒温水槽中で30分間ボイルした。ボイル後、氷水中
で冷却してから、冷蔵庫に一晩放置することによって、
ケーシング蒲鉾(試料A)を得た。対照として、トラン
スグルタミナーゼで処理しないコラーゲンを用いる以外
は、全く試料Aと同様にして調製されたケーシング蒲鉾
(試料B)、及びコラーゲン水和物500gを魚肉摺身
に置換、即ち、肉部すべてが魚肉摺身(1000g)と
し、かつトランスグルタミナーゼを用いない以外は、全
く試料Aと同様にして試料Cを調製した。
【0024】これら3種類の試料を厚み約5mmに切断
し沸騰水中に1分間浸漬したものを官能検査した結果、
試料Bはふにゃふにゃの歯ごたえを示し蒲鉾とは言えな
かったのに対し、試料Aは試料Cと同等の歯ごたえをも
ち、品質としては魚肉摺り身が半分しか含まれないにも
かかわらず食感、風味とも良好であった。
【0025】実施例2 豚皮コラーゲン粉末(湘南ゼラチン(株)製「コラーゲ
ンパウダー」)100gと水400gをよく混合してか
ら、実施例1記載のトランスグルタミナーゼ1gを少量
の水に溶解して、静かに攪はんしながら添加した。この
コラーゲン水和物は約10℃で60分間酵素反応を行っ
た。ついで、コラーゲン水和物500gを豚もも肉25
0g、豚頭肉250gと一緒にしてからサイレントカッ
ターにて1分間混合し、食塩30gを添加後さらに3分
間混合した。これにグルタミン酸ナトリウム3.1g、
ビーフエキス3.5g、砂糖20g、ペッパー2.9
g、セイジ1g、オールスパイス1g及び氷水150g
を加えてから、さらに2分間混合することによって、練
り肉を得た。このものを可食性人工コラーゲンケーシン
グチューブに充填後、スモークチャンバーを用いて、5
5℃で15分間の乾燥、60℃で5分間のくん煙、最後
に80℃で30分の蒸煮処理を行うことによってウイン
ナソーセージ(試料A)を得た。対照として、トランス
グルタミナーゼで処理しないコラーゲンを用いる以外
は、全く試料Aと同様にして調製されたウインナソーセ
ージ(試料B)、及びコラーゲン水和物を豚肉に置換、
即ち、肉部すべてが豚肉1000gとし、かつ、トラン
スグルタミナーゼを用いない以外は、全く試料Aと同様
にして試料Cを調製した。
【0026】これら3種類の試料をホットプレート上で
同一条件で加熱したものを官能検査した結果、試料Bは
軟らかすぎて腰がなく、ケーシングのみが硬く感じられ
た食感を示したのに対し、試料Aは試料Cと同等の歯ご
たえをもち、硬さと弾力において良好であった。更に、
試料Aは風味、味とも良好なものであった。
【0027】実施例3 冷凍コラーゲン(湘南ゼラチン(株)製「リキミー
ト」)の解凍物300g(蛋白含量は約14%)に、実
施例1記載のトランスグルタミナーゼ0.1gを添加し
た。この豚皮コラーゲンは約10℃で60分間酵素反応
を行った。ついで、この豚皮コラーゲン300gと魚肉
FA級摺身700gをサイレントカッターにて3分間混
合し、食塩30gと氷水100gを添加後、さらに5分
間混合した。これに、みりん20g、砂糖50g、核酸
系調味料(味の素(株)製「I−7」)10g、小麦澱
粉(味の素(株)製「銀玲」)50g及び氷水300g
を加え、さらに3分間混合し、練り肉を得た。これを折
り幅47mmの塩化ビニディデン製ケーシングチューブ
に充填後、85℃の恒温水槽中で30分間ボイルした。
ボイル後、氷水中で冷却してから、冷蔵庫に一晩放置す
ることによって、ケーシング蒲鉾(試料A)を得た。対
照として、トランスグルタミナーゼで処理しないコラー
ゲンを用いる以外は、全く試料Aと同様にして調製され
たケーシング蒲鉾(試料B)、及び豚皮コラーゲン30
0gを魚肉摺り身に置換、即ち、肉部すべてを魚肉摺身
(1000g)とし、かつトランスグルタミナーゼを用
いない事以外は、全く試料Aと同様にして試料Cを調製
した。
【0028】これら3種類の試料を厚み約5mmに切断
し沸騰水中に1分間浸漬したものを官能検査した結果、
試料Bは軟らかく歯ごたえのない蒲鉾であったのに対
し、試料Aは試料Cと同等の弾力と歯切れ良さを有し、
魚肉摺り身が半分しか含まれないにもかかわらず食感は
良好であった。
【0029】実施例4 コラーゲン粉末(湘南ゼラチン(株)製「コラーゲンパ
ウダー」)100gと水400gをよく混合してから、
実施例1記載のトランスグルタミナーゼ0.4gを少量
の水に溶解して、静かに攪はんしながら添加した。この
コラーゲン水和物は約40℃で10分間酵素反応を行っ
た。ついで、コラーゲン水和物500gと魚肉陸上摺身
250g、FA級摺身250gをサイレントカッターに
て2分間混合し、食塩30gと氷水100gを添加後、
さらに5分間混合した。これに、みりん20g、砂糖5
0g、核酸系調味料(味の素(株)製「I−7」)10
g、小麦澱粉(味の素(株)製「銀玲」)50g及び氷
水200gを加え、さらに3分間混合し、練り肉を得
た。これを小判型型枠で成型したものを、フライヤーに
より140℃及び170℃の温度帯で油ちょうし、揚げ
蒲(試料A)を得た。対照として、トランスグルタミナ
ーゼで処理しないコラーゲンを用いる以外は、全く試料
Aと同様にして調製された揚げ蒲(試料B)を調製し
た。
【0030】これら2種類の試料をそのまま沸騰水中に
1分間浸漬したものを官能検査した結果、試料Bははん
ぺん様のふにゃふにゃの歯ごたえを示したのに対し、試
料Aは弾力と歯ごたえがあり食感は良好であった。
【0031】実施例5 豚皮コラーゲン粉末(湘南ゼラチン(株)製「コラーゲ
ンパウダー」)50gと水450gをよく混合してか
ら、実施例1記載のトランスグルタミナーゼ0.25g
を少量の水に溶解して、静かに攪はんしながら添加し
た。このコラーゲン水和物は約30℃で20分間酵素反
応を行った。ついで、コラーゲン水和物500gと魚肉
SA級摺身500gをサイレントカッターにて2分間混
合し、食塩17gと氷水100gを添加後、さらに5分
間混合した。これに、たまねぎ1000g、土しょうが
50g、醤油90g、砂糖15g、胡椒1g、胡麻油4
0g、片栗粉40g、及び氷水300gを加え、さらに
3分間混合し、練り肉を得た。この生地をしゅうまいの
皮に充填し、小海老1尾を上部に乗せ成型した。この成
型物を、蒸し機によって、強火で12〜13分間蒸した
後、冷蔵庫中で冷却することによって、海老しゅうまい
(試料A)を得た。対照として、トランスグルタミナー
ゼで処理しないコラーゲンを用いる以外は、全く試料A
と同様にして調製された海老しゅうまい(試料B)を調
製した。
【0032】これら2種類の試料を、そのまま電子レン
ジにて加熱したものを官能検査した結果、試料Bは歯ご
たえが全くなく、べちゃべちゃしたのに対して、試料A
はソフトな歯ごたえの中に、弾力と肉粒感のある食感を
もち良好であった。
【0033】実施例6 豚皮コラーゲン粉末(太陽化学(株)製「サンプロGF
−G」)100gに水900g、実施例1記載のトラン
スグルタミナーゼ0.5gを加え、さらに魚肉陸上摺身
1000g、食塩20gを加え、サイレントカッターで
5分間混合した。これを30℃で60分間酵素反応した
後、解砕し、直径5mm程度のミンチ物を得た。このミ
ンチ物400gに豚脂200g、生えび400g、玉葱
400g、馬鈴薯澱粉100g、醤油3g、砂糖20g
を加え、サイレントカッターで3分間混合し、練り肉を
得た。これを焼売の皮に充填して成型後、蒸し器で9分
間蒸した後、−40℃のフリーザー内で凍結し、冷凍え
び焼売(試料A)を得た。対照として、トランスグルタ
ミナーゼを加えない以外は全く試料Aと同様にして調製
された冷凍えび焼売(試料B)を得た。
【0034】これら2種類の試料を、蒸し器で10分間
蒸して加熱したものを官能検査した結果、試料Bは歯ご
たえが全くなく、べちゃべちゃしたのに対して、試料A
はソフトな歯ごたえの中に弾力と粒感のある食感をもち
良好であった。
【0035】実施例7 豚皮コラーゲン粉末(太陽化学(株)製「サンプロGF
−G」)80gに水920g、実施例1記載のトランス
グルタミナーゼ0.5g、食塩10gを加え、サイレン
トカッターで5分間混合した。これを30℃で60分間
酵素反応した後、解砕し、直径5mm程度のミンチ物を
得た。このミンチ物200gに魚肉陸上摺身200g、
豚脂200g、生えび400g、玉葱400g、馬鈴薯
澱粉100g、醤油3g、食塩2g、砂糖20gを加
え、サイレントカッターで3分間混合し、練り肉を得
た。これを焼売の皮に充填して成型後、蒸し器で9分間
蒸した後、−40℃のフリーザー内で凍結し、冷凍えび
焼売(試料A)を得た。対照として、トランスグルタミ
ナーゼを加えない以外は全く試料Aと同様にして調製さ
れた冷凍えび焼売(試料B)を得た。
【0036】これら2種類の試料を、蒸し器で10分間
蒸して加熱したものを官能検査した結果、試料Bは歯ご
たえが全くなく、歯にべとついたのに対して、試料Aは
歯ごたえ、弾力と粒感のある食感をもち良好であった。
【0037】実施例8 豚皮コラーゲン粉末(太陽化学(株)製「サンプロGF
−G」)15gに水135g、実施例1記載のトランス
グルタミナーゼ0.15g、魚肉陸上摺身150g、食
塩6g、砂糖3gを加え、サイレントカッターで10分
間混合した。これを生えび1000g、玉葱100gを
加え、更に2分間混合した後、型枠を用いて成型し、3
0℃で60分間酵素反応し、蒸し器で5分間蒸して、中
具とした。この中具に、バッター液、パン粉の順に衣付
けし、−40℃のフリーザーで冷凍して、冷凍えび入り
フライ(試料A)を得た。対照として、トランスグルタ
ミナーゼを加えない以外は全く試料Aと同様にして調製
された冷凍えび入りフライ(試料B)を得た。
【0038】これら2種類の試料を、175℃に加熱し
たナタネ油で4分間フライしたものを官能検査した結
果、試料Bの中具はまとまりがなく、軟弱な食感であっ
たのに対して、試料Aはプリプリとした適度な硬さと弾
力のある食感をもち良好であった。
【0039】
【効果】本発明は、トランスグルタミナーゼとコラーゲ
ンの使用によって、原料である高価な魚肉摺身や畜肉の
一部をコラーゲンで置換可能とするとともに、弾力と歯
切れのよい品質を有する練製品が得られる。
フロントページの続き (72)発明者 岩田 直樹 群馬県邑楽郡大泉町大字吉田1222番地 味の素冷凍食品株式会社 冷凍食品開発 研究所内 審査官 吉田 一朗 (56)参考文献 特開 昭63−222672(JP,A) 特開 平4−158765(JP,A) 特開 平3−232478(JP,A) 特開 平2−79960(JP,A) 特開 昭60−137266(JP,A) 特開 平3−133363(JP,A) 特開 平6−209716(JP,A) 特開 平2−255060(JP,A) 特開 昭64−10949(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/325 101 A23L 1/317 A23L 1/48 JICSTファイル(JOIS)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コラーゲンにトランスグルタミナーゼを
    作用させて得られる反応物を魚肉摺身及び/又は畜肉に
    添加、混合することを特徴とする練製品の製造方法。
  2. 【請求項2】 コラーゲン並びに魚肉摺身及び/又は畜
    肉からなる混合物にトランスグルタミナーゼを添加、混
    合して作用させることを特徴とする練製品の製造方法。
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