JP3254796B2 - 冷凍豆腐の製造法 - Google Patents

冷凍豆腐の製造法

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JP3254796B2
JP3254796B2 JP05860693A JP5860693A JP3254796B2 JP 3254796 B2 JP3254796 B2 JP 3254796B2 JP 05860693 A JP05860693 A JP 05860693A JP 5860693 A JP5860693 A JP 5860693A JP 3254796 B2 JP3254796 B2 JP 3254796B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、冷凍豆腐の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】豆腐は日本古来からの伝統食品として広
く食されてきた蛋白食品であるが、水分含有量が90%
と非常に高いなどの理由からその保存性は極めて悪い。
そこで、豆腐の保存性を向上するために種々の対策がと
られ、例えば包装方法の改善や糖類添加等があげられ
る。通常、これらは最終的には高温加熱処理を行うこと
によって保存性を高めたものといえるが、高い包材費や
設備費のため経済性の点で問題があった。
【0003】一方、食品の保存性を向上させるために、
凍結および凍結乾燥などの手段が用いられるが、豆腐に
この方法を適用した場合には凍り豆腐のごとき性状に変
化することは周知の事実である。すなわち、豆腐を凍結
すれば、豆腐の主成分である大豆蛋白が凍結変性を受け
て層状に組織化をきたし、解凍しても凍結前の豆腐本来
のなめらかな食感を与えない。凍り豆腐の生産において
は、この現象がいわば逆手にとられて利用されているも
ので、豆腐を凍結後に乾燥したもの(凍り豆腐)を水戻
ししても凍結前の状態に復元しないことはよく知られて
いるところである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、高水
分食品である豆腐に凍結処理を施した後、解凍しても豆
腐本来のなめらかさで弾力のある食感の維持可能な冷凍
豆腐の、経済性に優れた製造方法を開発することであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】豆腐は、基本的には、豆
乳を凝固剤で固めて製するものであるが、周知のごと
く、豆乳の濃度など製造法の若干の違いによって、木綿
豆腐、絹ごし豆腐、ソフト豆腐の種類があるほか、最近
は、製造の機械化と流通システムの変化から袋入り豆
腐、充填豆腐などがある。
【0006】さて、本発明者は、前記課題を達成すべ
く、解凍しても優れた食感を与える冷凍豆腐を得ること
を目的として種々検討をおこなった結果、澱粉、炭酸
塩、乳化剤およびトランスグルタミナーゼを本発明者の
見出した特定の態様で使用して製造した豆腐は、冷凍処
理しても、凍結変性を免れ得ることを見出し、すなわ
ち、このようにして製造した豆腐は冷凍処理を施して
も、蛋白は層状化せず、解凍してもしなやかで歯切れの
よい食感を有する豆腐となることを見出し、このような
知見に基いて本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、澱粉および炭酸塩な
らびに所望による乳化剤を添加混合した豆乳にトランス
グルタミナーゼの存在下に凝固剤を添加作用させること
を特徴とする豆腐の製造法、およびこのような方法によ
って製造された豆腐を冷凍することを特徴とする冷凍豆
腐の製造法に関する。
【0008】以下、本発明を逐次詳細に説明する。
【0009】先ず、本発明の豆腐の製造法について述べ
る。
【0010】本発明の豆腐の製造法には、後に詳述する
本発明の特徴たるところを除いては、特別の制限はな
く、前記の各種の豆腐の製法に準じて豆乳を凝固剤で固
めて本発明の豆腐を製造することができる。
【0011】以下、本発明の特徴たるところを順次説明
する。
【0012】本発明の方法で使用されるべき澱粉として
は、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、とうもろこし澱粉、ワキシ
ーとうもころし澱粉等のいわゆる澱粉の他に、これらの
各種の澱粉を加工したもの、例えば、α澱粉、酸化澱
粉、デキストリンのごとき澱粉分解物、および澱粉エス
テル、澱粉エーテル、架橋澱粉のごとき澱粉誘導体等を
挙げることができる。すなわち、本発明に関しては、澱
粉は広義に定義される。これら澱粉類は種類によらずほ
ぼ同等の凍結変性防止効果を与えるが、特に、酸化澱
粉、デキストリン、架橋澱粉が良質な冷凍豆腐を与える
ので好ましい。澱粉類の添加使用量は、豆乳中の蛋白1
重量部(以下、重量部を単に「部」と示す)に対し、
0.08〜1.5部の割合である。添加量が0.08部
以下の時は殆ど蛋白の凍結変化性防止効果がみられず、
1.5部以上では凍結変性防止効果は期待できるが、食
感、歯ごたえが豆腐本来のものとは異なり、もろくざら
つく食感となってしまう。
【0013】一方、炭酸塩としては、食用に供し得べき
ものでなければならないことはもちろんであって、炭酸
ナトリウム、重炭酸ナトリウム等の炭酸アリカル金属塩
が大豆蛋白の改質の見地から有利に用いられる。これら
炭酸塩の添加使用量は、種類によっても異なるが、一般
に少量でよい。すなわち、炭酸塩の添加量は、豆乳中の
蛋白1部に対し、0.0005〜0.01部の割合にて
効果は発現する。添加量が0.0005部以下では、殆
ど蛋白に対する凍結変性防止効果が発現せず、0.01
部以上では凍結変性防止効果は0.01部と同等に有す
るが、苦みが発現してきて好ましくない豆乳に澱粉およ
び炭酸塩に加えて乳化剤をも混合すると、凍結変性防止
効果はさらに向上する。乳化剤に特別の制限はないが、
蛋白の凍結変性防止効果や豆乳に添加混合するときの分
散溶解性等の操作性を考えた場合、親水性の強い乳化剤
が好ましい。一般には、蔗糖脂肪酸エステルやプロピレ
ン脂肪酸エステル等のHLB(Hydro plile-Lypoplile
Balance )の高いもの、すなわち水溶性の高いものを使
用するのがよい。この添加量は、豆乳中の蛋白1部当り
0.01〜0.2部の割合である。添加量が0.01部
以下では殆ど冷凍変性防止効果はなく、0.2部以上の
場合は豆乳の凝固性が低下し、得られた豆腐が弾力の少
ないものとなり不適である。
【0014】本発明の方法において、澱粉および炭酸塩
ならびに所望により乳化剤を混合させるべき豆乳は、常
法により、すなわち、大豆を水洗し、水浸漬して十分吸
水させてから水挽きして“ご”とし、これを短時間蒸煮
し、“おから”を分離して得られるものでよいことはも
ちろんのこと、豆乳粉末と水とを混合して得られた蛋白
溶液の形でもよく(この場合は、おからが副産物として
出ないというメリットがある)、さらには、豆乳が脱脂
大豆を原料として得られた大豆濃縮蛋白または/および
大豆分離蛋白、水ならびに食用油を混合乳化して得られ
た蛋白乳化物の形でもよい(この場合は、工程簡単化の
メリットがある)。これらの蛋白溶液及び蛋白乳化物に
おける蛋白濃度または固形分濃度は、もちろん、常法に
より調製される豆乳のそれと同じ濃度に調整するとよ
い。
【0015】澱粉および炭酸塩ならびに所望により乳化
剤を混合して調製した豆乳に添加作用させるべき凝固剤
にも特別の制限はない。すなわち、豆乳凝固剤として
は、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウ
ム等のカルシウム塩およびマグネシウム塩やグルコノデ
ルタラクトン(GDL)等の一般に豆腐製造時に使用さ
れている凝固剤を使用すればよく、特に限定されるもの
ではなく、得られる豆腐の食感に応じて適宜選択するこ
とができる。凝固剤の添加量について付言すると、例え
ば塩化マグネシウムやGDLの場合は、通常、豆乳中の
蛋白1g当り、0.01〜0.1部である。0.01部
以下では添加効果がなく、一方、0.1部以上では豆腐
が硬くなり過ぎるからである。
【0016】トランスグルタミナーゼには、カルシウム
非依存性のものとカルシウム依存性のものが知られてい
る。前者の例としては、微生物由来のもの(例えば、特
開平1−27471参照)をあげることができる。後者
の例としては、モルモット肝臓由来のもの(特公平1−
50382参照)および魚由来のもの(例えば、関信夫
ら「昭和63年度日本水産学会秋期大会講演要旨集」1
67頁および「平成2年度日本水産学会春季大会講演要
旨集」219頁参照)をあげることができる。この他、
遺伝子組み替えにより製造されるもの(例えば、特開平
1−300889参照)等、いずれのトランスグルタミ
ナーゼでも用いることができ、起源および製法により制
限されるところはない。ただし、機能性及び経済性の点
からはカルシウム非依存性のものが好ましく、例えば、
前出特開平1−27471に開示の微生物由来のトラン
スグルタミナーゼはこれらのいずれの条件をも満足する
ものであり、現時点では最適といえる。なお、本発明で
いうトランスグルタミナーゼの活性単位は、その測定法
および活性算出法を含めて、前出特開平1−27471
公報におけると全く同じである。
【0017】豆乳にトランスグルタミナーゼの存在下に
凝固剤を添加作用させることには特別の困難はなく、豆
乳に凝固剤を例えば少量の水に溶解したトランスグルタ
ミナーゼとともに添加することで行なうことができる。
【0018】トランスグルタミナーゼの添加量は豆乳中
の蛋白1g当り0.5〜20ユニット、好ましくは1〜
10ユニットである。添加量が0.5ユニット以下では
蛋白の凍結変性に対して効果がはっきりせず、20ユニ
ット以上では得られる豆腐が硬すぎ、むしろ離水をおこ
しやすい傾向になるので好ましくない。
【0019】これらの諸原材料を使用して豆腐を製造す
る方法自体は、常法によることができることは先に述べ
た通りである。従って、本発明の方法は、例えば次のよ
うにして行なうことができる。すなわち、豆乳に対し澱
粉および炭酸塩ならびに所望により乳化剤を所定量加え
て混合均一化した後、凝固剤を作用せしめうるように沸
騰するまで一旦加熱する。沸騰後は直ちに加熱を止めて
放冷し、品温を40〜60℃まで下げる。この時点で、
カルシウム塩、マグネシウム塩、グルコノデルタラクト
ン等の凝固剤、およびトランスグルタミナーゼを少量の
水に溶解したものをこの豆乳に添加混合し、20〜60
分間放置する。こうすることによって、トランスグルタ
ミナーゼにその効果を充分に奏させる。ついで、このよ
うにして処理した豆乳を通常65〜85℃で5〜20分
程度加熱する。これによってトランスグルタミナーゼは
失活する。加熱後放冷することにより、豆乳は凝固して
豆腐が得られる。
【0020】本発明者は、本発明の豆腐の製造法におい
ては、前記の諸原材料に加えて、キサンタンガム、カラ
ギーナン、グアガム、ローカストビーンガム、アラビア
ガム等のガム類;グリセリン、ソルビトール、プロピレ
ングリコール等の湿潤剤;アスコルビン酸、エリソルビ
ン酸、亜硫酸、システイン、ホモシステイン、アルギン
酸およびこれらの塩;卵白およびカゼインナトリウム等
の蛋白;等を併用添加することにより冷凍豆腐の解凍後
の豆腐の食感を一層向上せしめうることを見出した。例
えば、ガム質の場合、その種類により効果は若干異なる
が、豆乳中の蛋白1部に対し、0.01〜0.1部にて
効果が発現する。このような物質を併用する場合も、も
ちろん、本発明の範囲内に含まれる。
【0021】さて、このようにして製造された豆腐は、
冷凍耐性を有し、そのまま冷凍加工業者への流通に置く
こともできるが、これを冷凍処理し、冷凍豆腐として流
通に置くこともできる。
【0022】そこで、次に、本発明の豆腐の製造法によ
って製造された豆腐を冷凍豆腐に加工する方法について
説明する。
【0023】この加工方法にも特別の制限はなく、常法
によることができる。すなわち、本発明の方法によって
製造された豆腐を、例えば、冷凍庫、エアーブラスト、
液体窒素等により凍結する。凍結温度としては、−80
〜−10℃、好ましくは経済性の見地から−60〜−3
0℃であり、凍結変性を抑え、ひいては高品質の冷凍豆
腐を得るためには急速瞬間凍結が好ましい。
【0024】このようにして製造された冷凍豆腐は、解
凍しても豆腐本来のなめらかで弾力のある食感を維持し
ている。
【0025】さらに、本発明に係わる冷凍豆腐は真空下
に乾燥して得られた乾燥品をお湯で戻したとき、本発明
の方法によらない市販豆腐を凍結乾燥した場合よりも、
豆腐のなめらかさとソフトな弾力を呈する。これも、本
発明のメリットの1つである。
【0026】後記実施例から理解されるように、澱粉お
よび炭酸塩ならびにトランスグルタミナーゼを併用し、
また所望により乳化剤をも併用したときに初めて本発明
の効果が奏されるのである。
【0027】なお、本発明の方法が経済性に優れている
ことは、豆乳粉末を用いることによっておからが副産物
として出なく、かつ、工程の簡略化が可能なの点にも見
られる。
【0028】
【作用】トランスグルタミナーゼは、ペプチド鎖内にあ
るグルタミン残基のγ−カルボキシアミド基のアシル転
移反応を触媒する酵素である。このトランスグルタミナ
ーゼは、アシル受容体としてタンパク質中のリジン残基
のε−アミノ基が作用すると、タンパク質分子の分子内
において及び分子間においてε−(γ−Glu)−Ly
s架橋結合が形成される。また、水がアシル受容体とし
て機能するときは、グルタミン残基が脱アミド化されて
グルタミン酸残基になる反応を進行させる酵素である。
【0029】本発明は、例えば、豆乳に澱粉類、乳化
剤、炭酸塩を加え、一旦沸騰後放冷し約50℃に達した
ところで、トランスグルタミナーゼ及び凝固剤を加え、
好ましくは酵素失活した後、冷却して豆腐を得る。この
豆腐を適当なサイズに成形してから凍結することによっ
て得られた冷凍豆腐はは、解凍してから食したところ、
なめらかでソフトな歯ごたえをもち、よって冷凍耐性を
有するものであった。これは、トランスグルタミナーゼ
によって、蛋白間での架橋が形成され、大豆ゲルを構成
する蛋白網目構造がより強固で緻密になったためである
と考えられる。
【0030】
【実施例】以下、本発明を実施例によって更に詳しく説
明する。もちろん、これらの実施例によって本発明の範
囲が限定されるものではない。
【0031】実施例1 丸大豆を原料として得られた通常の豆乳(固形分濃度1
1〜12%)2000gにアルファワキシコーンスター
チ「日食アルファ」(日本食品加工(株)製)20g、
乳化剤「蔗糖脂肪酸エステルS−1670」(菱糖
(株)製)4gおよび重曹0.3gを加えて均一に混合
した後、速やかに沸騰するまで加熱した。沸騰後、直ち
に加熱を止め、豆乳温度が約55℃まで降温した時点
で、グルコンデルタラクトン6g、および放線菌ストレ
プトベルチシリウムに属する微生物(Streptoverticill
ium mobaraense IFO 13819)起源のトランスグルタミナ
ーゼ(比活性1000ユニット/g)0.4gをそれぞ
れ少量の水に溶解し、静かに撹拌しながら豆乳に加え
た。これを50〜55℃で30分間保持後、75℃で1
0分間加熱した。加熱後、型箱の型枠中に豆乳を約30
0g注入し、放冷して豆腐を得た。この豆腐を型枠より
取り出し、2〜3cmのサイコロ状にナイフで切断し
た。
【0032】この成形豆腐を−40℃で一晩かけて凍結
し、冷凍豆腐を得た(本発明の豆腐)。比較のために、
アルファワキシコーンスターチ、乳化剤、重曹およびト
ランスグルタミナーゼのいずれをも添加しない以外は上
記と全く同様にして冷凍豆腐を得た(対照区豆腐)。
【0033】得られた2種類の冷凍豆腐を常温の水に浸
漬することにより解凍し、官能評価に付した。この結
果、対照区豆腐はスポンジ様の歯ごたえであったのに比
べ、本発明の豆腐は対照区豆腐よりなめらかでちゃんと
ソフトな弾力を維持し、凍結前の食感と近似し、良好で
あった。
【0034】実施例2 豆腐粉末「ハイプロトン」(日本タンパク(株)製、蛋
白含量約50%)200g、アルファワキシコーンスタ
ーチ「日食アルファ」10g、乳化剤「蔗糖脂肪酸エス
テルS−1670」5g、重曹0.3g、卵白「粉末卵
白」(太陽化学(株)製)5g、カゼインナトリウム1
0gおよび還元澱粉加水分解物「エスイ−100」(日
研化学(株)製)140gを水2000gに溶解して豆
乳溶液を得た。ついで、速やかに沸騰するまで加熱し
た。沸騰後加熱を止め、豆乳温度が約50℃まで降温し
た時点でグルコンデルタラクトン6g、および実施例1
におけると同じ起源のトランスグルタミナーゼ(比活性
1000ユニット/g)0.8gをそれぞれ少量の水に
溶解し、静かに撹拌しながら豆乳に加えた。これを45
〜50℃で30分間保持後、80℃で5分間加熱した。
加熱後、型箱の型枠中に豆乳を約300g注入し、放冷
して豆腐を得た。この豆腐を型枠より取り出し、2〜3
cmのサイコロ状にナイフで切断した。
【0035】この成形豆腐を−40℃で一晩かけて凍結
し、冷凍豆腐を得た(本発明の豆腐)。比較のために、
アルファーワキシコーンスターチ、乳化剤、重曹、卵
白、カゼインナトリウム、還元澱粉加水分解物およびト
ランスグルタミナーゼのいずれをも添加しない以外は上
記全く同様にして冷凍豆腐を得た(対照区豆腐)。
【0036】得られた2種類の冷凍豆腐を実施例1にお
けると同様にして解凍し、官能評価に付した。この結
果、対照区豆腐はスポンジ様で紙を噛むような歯ごたえ
であったのに比べ、本発明の豆腐は対照区豆腐よりなめ
らかでちゃんとソフトな弾力を有していた。
【0037】実施例3 丸大豆を原料として得られた通常の豆乳(固形分濃度1
1〜12%)2000gにアルファワキシコーンスター
チ「日食アルファ」20g、乳化剤「蔗糖脂肪酸エステ
ルS−1670」4gおよび重曹0.3gを加えて均一
に混合した後、速やかに沸騰するまで加熱した。沸騰
後、直ちに加熱を止め、豆乳温度が約55℃まで降温し
た時点で、グルコンデルタラクトン3g、硫酸カルシウ
ム5gおよび実施例1におけると同じ起源のトランスグ
ルタミナーゼ(比活性1000ユニット/g)0.6g
をそれぞれ少量の水に溶解し、静かに撹拌しながら豆乳
に加えた。これを50〜55℃で30分間保持後、75
℃で10分間加熱した。加熱後、型箱の型枠中に豆乳を
約300g注入し、放冷して豆腐を得た。この豆腐を型
枠より取り出し、2〜3cmのサイコロ状にナイフで切
断した。
【0038】この成形豆腐を−40℃で一晩かけて凍結
し、冷凍豆腐を得た(本発明の豆腐)。比較のために、
アルファーワキシコーンスターチ、乳化剤、重曹および
トランスグルタミナーゼのいずれをも添加しない以外は
上記と全く同様にして冷凍豆腐を得た(対照区豆腐)。
【0039】得られた2種類の冷凍豆腐を実施例1にお
けると同様にして解凍し、官能評価に付した。この結
果、対照区豆腐に比べ、本発明の豆腐は冷凍前のなめら
かで、ソフトな弾力を冷凍後も維持し、良好であった。
【0040】実施例4 丸大豆を原料として得られた通常の豆乳(固形分濃度1
1〜12%)2000gにアルファワキシコーンスター
チ「日食アルファ」20gおよび重曹0.3gを加えて
均一に混合した後、速やかに沸騰するまで加熱した。沸
騰後、直ちに加熱を止め、豆乳温度が約55℃まで降温
した時点で、塩化マグネシウム10g、および放線菌ス
トレプトベルチシリウムに属する微生物(Streptoverti
cilliummobaraense IFO 13819)起源のトランスグルタ
ミナーゼ(比活性1000ユニット/g)0.4gをそ
れぞれ少量の水に溶解し、静かに撹拌しながら豆乳に加
えた。これを50〜55℃で30分間保持後、75℃で
10分間加熱した。加熱後、型箱の型枠中に豆乳を約3
00g注入し、放冷して豆腐を得た。この豆腐を型枠よ
り取り出し、2〜3cmのサイコロ状にナイフで切断し
た。
【0041】この成形豆腐を−40℃で一晩かけて凍結
し、冷凍豆腐を得た(本発明の豆腐)。比較のために、
アルファワキシコーンスターチ、重曹およびトランスグ
ルタミナーゼのいずれをも添加しない以外は上記と全く
同様にして冷凍豆腐を得た(対照区豆腐)。
【0042】得られた2種類の冷凍豆腐を常温の水に浸
漬することにより解凍し、官能評価に付した。この結
果、対照区豆腐は凍豆腐様でスポンジ様の歯ごたえであ
ったのに比べ、本発明の豆腐は対照区豆腐よりなめらか
でちゃんとソフトな弾力を維持し、凍結前の食感と近似
し、良好であった。
【0043】実施例5 丸大豆を原料として得られた通常の豆乳(固形分濃度1
1〜12%)8000gを用意し、これを4等分し、各
2000gに対し、(A)アルファワキシコーンスター
チ「日食アルファ」20g、乳化剤「蔗糖脂肪酸エステ
ルS−1670」4gおよび重曹三g、(B)アルファ
ワキシコーンスターチ「日食アルファ」20g、(C)
重曹0.3g、及び(D)乳化剤「蔗糖脂肪酸エステル
S−1670」4gをそれぞれ加えて均一に混合した
後、速やかに沸騰するまで加熱した。沸騰後、直ちに加
熱を止め、豆乳温度が約55℃まで降温した時点で、い
ずれの試験区に対してもグルコンデルタラクトン3g、
硫酸カルシウム5gおよび実施例1におけると同じ起源
のトランスグルタミナーゼ(比活性1000ユニット/
g)0.6gをそれぞれ少量の水に溶解し、静かに撹拌
しながら豆乳に加えた。これを50〜55℃で30分間
保持後、75℃で10分間加熱した。加熱後、型箱の型
枠中に豆乳を約300g注入し、放冷して豆腐を得た。
この豆腐を型枠より取り出し、2〜3cmのサイコロ状
にナイフで切断した。
【0044】この成形豆腐を−40℃で一晩かけて凍結
し、(A)、(B)、(C)及び(D)の4種の冷凍豆
腐を得た。得られた4種類の冷凍豆腐を実施例1におけ
ると同様にして解凍し、官能評価に付した結果を下記第
1表に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】本発明により、トランスグルタミナーゼ
のタンパク質分子間もしくは分子内でのグルタミンとリ
ジン間のε−(γ−Glu)−Lys架橋高分子化能を
利用して、豆腐中の蛋白網目構造を緻密にして冷凍処理
による氷結晶形成による蛋白の冷凍変性を防止すること
によって、冷凍耐性を付与し、結果的にこれまで不可能
とされてきた豆腐の冷凍化を可能とすることができた。
この豆腐の冷凍化は、豆腐の長期保存を可能とし、食生
活の便利性に寄与できるものである。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−122775(JP,A) 特開 昭54−145247(JP,A) 特開 昭57−16670(JP,A) 特開 平3−168059(JP,A) 特開 昭64−27471(JP,A) 特開 平2−100653(JP,A) 特開 昭64−10949(JP,A) Masao MOTOKI,et a l.,Functional prop erties of heterolo gous polymer prepa red by transglutam inase,Agric.Biol.C hem.,Vol.51,No.1,pa ges 237−239 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/20 - 1/201 A23L 1/325 JICSTファイル(JOIS) WPI(DIALOG)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 澱粉および炭酸塩を添加混合した豆乳に
    トランスグルタミナーゼの存在下に凝固剤を添加作用さ
    せることを特徴とする豆腐の製造法。
  2. 【請求項2】 豆乳が乳化剤をも混合したものであるこ
    とを特徴とする請求項1記載の豆腐の製造法。
  3. 【請求項3】 豆乳が豆乳粉末と水とを混合して得られ
    た蛋白溶液である請求項1または2記載の豆腐の製造
    法。
  4. 【請求項4】 豆乳が脱脂大豆を原料として得られた大
    豆濃縮蛋白または/および大豆分離蛋白、水ならびに食
    用油を混合乳化して得られた蛋白乳化物である請求項1
    または2記載の豆腐の製造法。
  5. 【請求項5】 蛋白1g当り1〜10ユニットのトラン
    スグルタミナーゼを使用する請求項1〜4のいずれかに
    記載の製造法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の方法に
    よって製造された豆腐を冷凍することを特徴とする冷凍
    豆腐の製造法。
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