JPH0741963Y2 - タイミングベルトのカバー装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、自動車等のエンジンにおいて、クランクシャ
フトの回転をカムシャフトに伝えるタイミングベルト機
構を保護するタイミングベルトのカバー装置に関するも
のである。

〔従来の技術〕

自動車等のエンジンにおいて、タイミングベルト機構を
保護するために樹脂製のタイミングベルトカバーが設け
られている。第６図に示すように、タイミングベルトカ
バー１はアウターカバー２とインナーカバー３とから成
り、その外周フランジ部に設けられたボルト５（第７
図）によって、図示しないガスケットを介してエンジン
本体４に取付けられる。そして、タイミングベルト機構
の防水、防塵及び遮音を行なうようにしている。図中、
６はカムタイミングプーリー、７はクランクタイミング
プーリー、８はタイミングベルト、９はクランクプーリ
ーである。第６図の側面図を第７図に示す。（エンジン
本体は省略してある。） 樹脂製のタイミングベルトカバー１はエンジン本体の振
動によって共振して騒音発生の原因となりやすい。そこ
で、タイミングベルトカバー１の振動を抑制するために
従来は、タイミングベルトカバー１の肉厚を厚くした
り、補強リブを設けたりしてタイミングベルトカバー１
自体の剛性を高めるようにしている。他に、図に示すよ
うに、スタッド10を設けてアウターカバー２の中央部を
ブッシュ11（第８図）を介してナット12で支持したもの
がある。第８図に第６図の要部を拡大して示す。図中13
はプレーンワッシャーである。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記従来のタイミングベルトカバーにおいて肉厚を厚く
したものは材料が多く必要となるので重量が増加するし
コストも高くなる。リブを設けたものは、形状が複雑に
なるので生産する手間がかかる。そして、リブを設けた
分、外形が大きくなるのでスペースをとるという問題が
ある。また、スタッドを設けたものは、部品点数が多く
なるので生産性が悪く、コストも高いという問題があ
る。

そして、実開昭60-19857号公報にはタイミングベルトカ
バーに関する先行技術が開示されているが、本件とは範
疇が異なるので適用できない。

本考案は以上の点に鑑みて成されたものであり、振動を
抑制するタイミングベルトのカバー装置を提供すること
を目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は上記の課題を解決するために、テンションロー
ラ14とテンションローラ位置決めボルト15を具備したタ
イミングベルト機構において、該タイミングベルト機構
を覆うタイミングベルトカバー１のテンションローラ位
置決めボルト15の頭部に臨んだ位置にサービスホール16
を設け、サービスホール16に嵌合すると同時にテンショ
ンローラ位置決めボルト15の頭部に嵌め込む弾性体から
なるサービスホールプラグ17を設けたことを特徴とす
る。

〔作用〕

このように構成したので、タイミングベルトカバー１
は、サービスホールプラグ17によってテンションローラ
位置決めボルト15の頭部に固着される。すなわち、タイ
ミングベルトカバー１は、その中央部を弾性材料からな
るサービスホールプラグ17を介してエンジン本体４に固
定されたテンションローラ位置決めボルト15によって支
持されることになる。

（実施例） 以下、本考案の一実施例について詳細に説明する。本実
施例に係るタイミングベルト機構の構成を第１図に示
す。図において、タイミングベルトカバー１は、アウタ
ーカバー２とインナーカバー３とから成り、その外周フ
ランジ部に設けられた図示しないボルト等によりガスケ
ットを介してエンジン本体４に取付けられている。６は
カムタイミングプーリー、７はクランクタイミングプー
リー、８はタイミングベルト９はクランクプーリーであ
る。14はテンションローラであり、カムタイミングプー
リー６とクランクタイミングプーリー７との間に設けら
れ、タイミングベルト８を外側から押さえてタイミング
ベルト８に規定の張力を与えるようにしてある。（第３
図） 次にテンションローラ14の取付けについて説明する。第
２図に示すようにテンションローラ14は内側の支持部18
とタイミングベルトを支持する外側の回転部19とから成
り、支持部18は、その中心をはずれた位置にピン20が挿
入され、エンジン本体４にテンションローラプレート21
を介して、ピン20を軸に揺動可能に支持されている。テ
ンションローラプレート21は、その凸部22を支持部18に
係合しており、テンションローラ14と一体にピン20を軸
に揺動可能となっている。そして支持部18及びテンショ
ンローラプレート21には、それぞれに連通する弧状の長
孔28,23（第５図）が設けられており、テンションロー
ラ位置決めボルト15が挿通され、エンジン本体４に取り
付けられている。長孔28,23はテンションローラ14及び
テンションローラプレート21の揺動方向に合わせてある
ので、テンションローラ位置決めボルト15を緩めればテ
ンションローラ14及びテンションローラプレート21は一
体にテンションローラ位置決めボルト15に沿って揺動可
能であり、タイミングベルト８の張力を調節できるよう
になっている。第４図に示すように、テンションローラ
プレート21の端部にばね24が取り付けられており、その
弾性力によってテンションローラ14がタイミングベルト
８に押し付けられるようになっている。25はねじであ
る。また、図中矢印はタイミングベルト８の回転方向を
示す。

第２図において、テンションローラ位置決めボルト15に
臨んでアウターカバー２にサービスホール16が穿設され
ており、サービスホール16に、弾性材料で作った一端を
塞いだ円筒状のサービスホールプラグ17が嵌め込まれて
いる。そして、サービスホールプラグ17の開口端はテン
ションローラーボルトの頭部に嵌め込んである。また、
サービスホールプラグ17の外周には凸部26,27が設けら
れており、サービスホール16の縁に係合するようになっ
ている。

第５図は以上説明した実施例の要部の組立図である。

以上のように構成した本実施例の作用について次に説明
する。

タイミングベルト８に初期張力を与える場合は、まず、
テンションローラ位置決めボルト15を緩めておき、クラ
ンクタイミングプーリー７をタイミングベルト８の回転
方向へ回転させ、タイミングベルト８に張力を与える。
このとき、張力のかからないテンションローラ14側のタ
イミングベルト８には、たるみが発生するが、ばね24の
弾性力によりテンションローラ14がタイミングベルト８
を内側に押し付けてタイミングベルト８に規定の初期張
力を与える。この状態で、サービスホール16から工具を
挿入してテンションローラ位置決めボルト15を締め付け
れば、テンションローラ14は固定されて、タイミングベ
ルト８に規定の初期張力を与えることになる。

また、サービスホールプラグ17は、サービスホール16を
塞いで、防塵、遮音、防水を行なうとともにアウターカ
バー２の中央部（サービスホール部）を、テンションロ
ーラ位置決めボルト15の頭部に固着する。すなわち、ア
ウターカバー２の中央部は、弾性体（サービスホールプ
ラグ17）を介してテンションローラ位置決めボルト15の
頭部で支持されることになる。

（考案の効果） 本考案に係るタイミングベルトカバーは以上詳述したよ
うな構成としたので、サービスホールから調節用工具を
挿入することができる。また、タイミングベルトカバー
の中央部は、弾性体を介してエンジン本体に支持され
る。その結果、タイミングベルトの張力を簡単に調節で
きるようになった。また、タイミングベルトカバーの振
動も抑制されるという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示した一部縦断面図、第２
図は第１図の要部を拡大して示した一部縦断面図、第３
図は第１図の側面図、第４図は第３図の要部を拡大して
示した図、第５図は第１図の装置の要部の組立図を拡大
して示した斜視図、第６図は従来のタイミングベルト機
構を示した一部縦断面図、第７図は第６図の側面図、第
８図は第６図の要部を拡大して示した一部縦断面図であ
る。 １……タイミングベルトカバー ６……クランクタイミングプーリー ８……タイミングベルト 14……テンションローラ 15……テンションローラ位置決めボルト 16……サービスホール 17……サービスホールプラグ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】テンションローラと該テンションローラの
   位置決めボルトとを具備したタイミングベルト機構にお
   いて、該タイミングベルト機構を覆うタイミングベルト
   カバーの前記テンションローラの位置決めボルトの頭部
   に臨んだ位置に孔を設け、該孔に嵌合すると同時に、前
   記テンションローラの位置決めボルトの頭部に嵌め込む
   弾性材料からなるプラグを設けたことを特徴とするタイ
   ミングベルトのカバー装置。