JPH0740005Y2 - 間仕切における壁パネルの安全装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、床上に立設した左右支柱間に壁パネルを着脱
自在に係止して成る間仕切において、前記壁パネルが地
震等に際して支柱から外れ落ちることを防止するための
安全装置に関するものである。

〔従来の技術・考案が解決しようとする課題〕

左右に立設した支柱の表面間に壁パネルを装置して成る
間仕切において、左右隣接した壁パネルの側面間に、支
柱の表面箇所において隙間を形成し、該隙間箇所におい
て支柱の表面板の係止溝孔を上下適宜間隔で多数穿設
し、該係止溝孔に棚板支持用ブラケット等を係脱自在に
装着できるようにすることが行われている一方、壁パネ
ルを支柱に取付けるに当っては、支柱の表面板又は側面
板に穿設した係止孔に係止金具を係止し、この係止金具
に対して、壁パネルの側縁裏面に形成した係合部を落と
し込み係止するように構成している。

ところが、このように壁パネルを、支柱に係止した係止
金具等に対して着脱自在に係止したに過ぎない構成で
は、地震が起こった場合、振動によって壁パネルが外れ
落ちたり、壁パネルの跳ね上がり現象による衝撃力のた
めに係止金具が変形してしまったりする虞があり、安全
性の点に問題があった。

この問題を解決するための先行技術として、特開昭63−
247453号公報では、支柱の左右両側に係止爪金具を介し
て着脱自在に連結する壁パネルの上端に、上向きに拡開
するテーパ面をなす凹溝を形成し、この隣接する壁パネ
ルにおける凹溝及び支柱の上端に跨がって装架した連結
金具と、中空状支柱の上端近傍に保持されたナットとを
上下方向のボルトを介して締着し、支柱に対して壁パネ
ルが上下にガタつきするのを防止する構成が開示されて
いる。

しかしながら、この構成によれば、ボルトを支柱の上端
側から螺合しなければならず、支柱及び壁パネルの上端
が室の天井等に近くて上下隙間が少ない個所では装着作
業が至極困難となるという問題があった。

また、支柱に係止した係止金具を介して壁パネルを係止
したに過ぎない場合、係止金具と支柱の係止孔、及び、
係止金具と壁パネルの係合部との間に若干の遊びがある
ことにより、壁パネルは支柱の表面に沿って水平方向に
若干ずれ動き可能となるため、壁パネルを左右に多数配
設した場合、各壁パネル間における各隙間の間隔が互い
に広狭異なってしまうことがあり、このため、隙間の間
隔が不揃になることによって外観が悪化するとか、或い
は、棚板支持ブラケットを挿入する場合その挿入がきつ
くなったり、緩過ぎてガタついたりする不具合があっ
た。

本考案は、これらの問題を解消することを目的とするも
のである。

〔課題を解決するための手段〕

このため本考案では、室内に左右適宜隔てて立設した支
柱の表面に沿って、複数枚の壁パネルを、前記支柱の表
面箇所において左右隣接した壁パネルの側面間に縦長の
隙間が空くようにして配設し、前記各壁パネルの裏面に
設けた係止部を、前記支柱に設けた係合手段に対して落
とし込み係止して成る間仕切において、前記壁パネルを
上向き動不能に阻止するための固定具を、前記壁パネル
の上面に接当する接当部と、前記左右壁パネル間の隙間
の上部に嵌まる足部とで一体的に形成し、前記各接当部
には前記各壁面パネルの上面側の側端に形成した空所に
嵌まり係止するための下向きの突起を設ける一方、前記
足部を支柱にねじ止めする構成にした。

〔考案の作用・効果〕

このように構成すると、支柱にねじ止めした固定具の接
当部にて壁パネルの上向き動が阻止され、しかも、前記
各接当部に設けた下向きの突起が、前記各壁面パネルの
上面側の側端に形成した空所に嵌まり係止するのである
から、万一地震が起こっても、振動によって壁パネルが
外れ落ちたり、壁パネルの跳ね上がり現象によって係止
金具が変形したりすることを確実に防止できることにな
る。

また、固定部の足部は左右壁パネルの側面間の隙間に嵌
挿されており、当該足部が壁パネルの壁面から露出する
ことはない一方、固定具の接当部は壁パネルの上方に位
置していて、人目に触れることはないから、固定具を設
けたことによって外観が悪化することもなく、しかも、
固定具は接当部と足部とから成る単純な形状で、これを
支柱にねじ止めするだけの簡単な構成であるから、間仕
切の構造が複雑化することもない。

従って、本考案によれば、壁パネルを支柱に対して着脱
自在に構成した場合であっても、外観の悪化や構造の複
雑化をもたらすことなく、地震に対する安全性を格段に
向上することができる効果を有する。

しかも、固定具の足部の巾寸法を左右壁パネル間の隙間
寸法に設定しておくことにより、各隙間の巾寸法を一定
に揃えることができるから、壁パネルを多数配設した場
合においても、各壁パネル間の隙間の間隔寸法が不揃い
になることに起因して外観が悪化したり、棚板支持用等
のブラケットの挿入きつくなったりガタ付いたりする不
具合を、構造を複雑化させることなく確実に防止できる
効果も有する。

更に、本考案の固定金具を装着するには、間仕切におけ
る隣接する壁パネルの上端に、接当部と下向きの突起と
の高さ寸法に相当する上下隙間が有りされえすれば、至
極簡単に固定金具を嵌め入れることができ、且つ支柱の
表面に固定具における足部をねじ止めするに過ぎないも
のであるから、支柱や壁パネルを設計変更する必要はな
いと共に、既に設置された間仕切についても簡単に適用
することができるのである。

〔実施例〕

次に、本考案の実施例を図面に基づいて説明すると、図
において符号１は、天井面Ａに固着した天レール２と床
面Ｂに固着した地レール３との間に左右適宜隔てて立設
した支柱を、符号４は、左右隣接した支柱１の前面間及
び背面間に配設した壁パネルをそれぞれ示す。

前記支柱１は、断面略角形の中空に形成されており、そ
の下部を、地レール３に嵌挿した下インサート部材５に
て高さ調節自在に支持する一方、上部には断面角形の上
インサート部材６を嵌挿し、該上インサート部材６を、
前記天レール３の底面に突っ張らせた状態で、支柱１を
上インサート部材６にねじ（図示せず）止めすることに
より、支柱１を、天井面Ａと床面Ｂとの間に固定してい
る。

また、支柱１における前後表面板1aの左右中間部に、棚
板支持用ブラケット７に対する係止溝孔８を上下適宜間
隔で多数穿設すると共に、前後表面板1aの上部と下部と
の左右側縁寄り部位には、それぞれ縦長の係止孔９を穿
設して、該係止孔９に、係止手段の一例としての略Ｈ字
状の係止金具10を落とし込み係止している。

他方は、壁パネル４は、基板4aに金属板製表面板4bを張
設して成り、前記表面板4bの左右側縁を折り返して平板
状係止部11を形成し、該平板状係止部11に穿設した係合
孔12を前記係止金具10に落とし込み係止するようにして
いる。このとき、左右隣接した壁パネル４の側面間に、
前記ブラケット７の板厚寸法よ略同じ間隔寸法（ｅ）の
隙間13を形成し、該隙間13箇所において前記係止溝孔８
が開口するように構成する。

なお、前記上インサート部材６には、合成樹脂製等の緩
衝用突起14を固着し、該緩衝用突起14を介して天レール
３内面及び支柱１内面に接するようにしており、また、
該上インサート部材６の側板には、電源コード15等を挿
通するための通孔16が穿設されている。更に、上インサ
ート部材６における下端の前後両面には、前記係止金具
10に対する逃がし溝6aが切欠き形成されている。

符号17は、前記壁パネル４の上向き動を阻止するための
固定具で、該固定具17は、左右壁パネル４の上端面に接
当する水平腕状の接当部17aと、前記左右壁パネル４の
側面間の隙間13の上部にきっちり嵌まる垂直状足部17b
とを一体的に連設してＴ字状に形成されており、前記足
部17bの下端を支柱１の前後表面板1aにねじ18にて固定
している。

この場合、前記上インサート部材６の側板には、前記ね
じ18を逃がすための上下長手の透孔19を穿設している。
そして、固定具17における左右両接当部17a,17aには下
向きの突起17c,17cを設ける一方、前記表面板4bの左右
側縁を折り返してなる平板状係止部11の上端にて実施例
のように壁パネル４の上面の側端部に空所を形成し、こ
の各空所に対して第１図及び第７図に一点鎖線で示すよ
うに、前記各下向きの突起17c,17cを係止させるのであ
る。このようにすると、脱落防止機能をより向上するこ
とができる。この場合、接当部17aに対して下向きの突
起17cを下向き鉤状に折り曲げても良い。

このように、壁パネル４は固定具17によって上向き動不
能に保持されているから、係止金具10を介して係止した
に過ぎない場合であっても、地震に際して壁パネル４が
支柱１から外れ落ちたり、跳ね上がる現象による衝撃力
によって係止金具10が変形したりすることはなく、地震
時における安全性を向上することができるのである。

そして、固定具17の足部17bは左右壁パネル４間の隙間1
3内に嵌まっており、壁パネル４の壁面から突出するこ
とはないと共に、接当部17aは壁パネル４の上方に位置
していて人目には触れないから、固定具17を設けたこと
によって外観が悪化することはないのであり、しかも、
単純な形状の固定具17を支柱１にねじ18止めするだけの
簡単な構造であるから、製造コストや取付けコストが嵩
むこともなく、更に、既設の間仕切に対しても簡単に適
用できるのである。

しかも、固定具17における足部17bの巾寸法を、左右壁
パネル４間における隙間13の所定の間隔寸法（ｅ）と同
じ寸法に設定しておくことにより、壁パネル４を多数配
設した場合において、各隙間13の巾寸法を一定に揃える
ことができるから、各壁パネル４間の各隙間13の間隔寸
法が不揃いになことによって外観が悪化したり、棚板支
持用等のブラケット７の挿入が困難になったり、逆にガ
タ付いたりする不具合を、構造を複雑化させることなく
確実に防止することができるのである。

また、間仕切の側端部では支柱の表面の一側縁にしか壁
パネルは取付いていないが、この場合は、固定具を逆Ｌ
字状に形成して、その接当部にて壁パネルを押さえる一
方、足部を、壁パネルと、支柱の外側面に嵌着したエン
ドカバーとの間の隙間箇所において支柱にねじ止めする
ように構成すれば良いのである。

なお、壁パネルを支柱に係止する手段は実施例に限ら
ず、例えば、支柱の側面に係止した係止金具に対して壁
パネルの係合部を落とし込み係止するとか、或いは、壁
パネルの裏面から突出した鉤状係止部を支柱の表面板に
穿設した係止孔に直接落とし込み係止するなどしても良
いのである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は要部分解斜視
図、第２図は間仕切の正面図、第３図は壁パネルを取外
した状態での支柱上部の拡大正面図、第４図は第３図の
IV−IV視断面図、第５図は第３図のＶ−Ｖ視断面図、第
６図は第３図のVI−VI視断面図、第７図は第５図のVII
−VII視断面図である。 １……支柱、４……壁パネル、６……上インサート部
材、９……係止孔、10……係止金具、11……板状係止
部、13……隙間、17……固定具、17a……接当部、17b…
…足部、18……ねじ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】室内に左右適宜隔てて立設した支柱の表面
   に沿って、複数枚の壁パネルを、前記支柱の表面箇所に
   おいて左右隣接した壁パネルの側面間に縦長の隙間が空
   くようにして配設し、前記各壁パネルの裏面に設けた係
   合部を、前記支柱に設けた係止手段に対して落とし込み
   係止して成る間仕切において、前記壁パネルを上向き動
   不能に阻止するための固定具を、前記壁パネルの上面に
   接当する接当部と、前記左右壁パネル間の隙間の上部に
   嵌まる足部とで一体的に形成し、前記各接当部には前記
   各壁面パネルの上面側の側端に形成した空所に嵌まり係
   止するための下向きの突起を設ける一方、前記足部を支
   柱にねじ止めしたことを特徴とする間仕切における壁パ
   ネルの安全装置。