JPH073589B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JPH073589B2
JPH073589B2 JP8716786A JP8716786A JPH073589B2 JP H073589 B2 JPH073589 B2 JP H073589B2 JP 8716786 A JP8716786 A JP 8716786A JP 8716786 A JP8716786 A JP 8716786A JP H073589 B2 JPH073589 B2 JP H073589B2
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隆雄 滝口
秀幸 高橋
憲裕 菊地
正滋 楳原
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    • G03G5/00Recording members for original recording by exposure, e.g. to light, to heat, to electrons; Manufacture thereof; Selection of materials therefor
    • G03G5/02Charge-receiving layers
    • G03G5/04Photoconductive layers; Charge-generation layers or charge-transporting layers; Additives therefor; Binders therefor
    • G03G5/06Photoconductive layers; Charge-generation layers or charge-transporting layers; Additives therefor; Binders therefor characterised by the photoconductive material being organic
    • G03G5/0622Heterocyclic compounds
    • G03G5/0624Heterocyclic compounds containing one hetero ring
    • G03G5/0627Heterocyclic compounds containing one hetero ring being five-membered
    • G03G5/0629Heterocyclic compounds containing one hetero ring being five-membered containing one hetero atom

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、電子写真感光体に関し、詳しくは改善された
電子写真特性を与える低分子の有機光導電体を有する電
子写真感光体に関するものである。
〔従来の技術〕
従来、電子写真感光体で用いる光導電材料として、セレ
ン、硫化カドミウム、酸化亜鉛などの無機光導電性材料
が知られている。これらの光導電性材料は、数多くの利
点、例えば暗所で適当な電位に帯電できること、暗所で
電荷の逸散が少ないことあるいは光照射によって速やか
に電荷を逸散できるなどの利点をもっている反面、各種
の欠点を有している。例えば、セレン系感光体では、温
度、湿度、ごみ、圧力などの要因で容易に結晶化が進
み、特に雰囲気温度が40℃を越えると結晶化が著しくな
り、帯電性の低下や画像に白い斑点が発生するといった
欠点がある。硫化カドミウム系感光体は、多湿の環境下
で安定した感度が得られない点や酸化亜鉛系感光体では
ローズベンガルに代表される増感色素による増感効果を
必要としているが、この様な増感色素がコロナ帯電によ
る帯電劣化や露光光による光退色を生じるため長期に亘
って安定した画像を与えることができない欠点を有して
いる。
一方、ポリビニルカルバゾールをはじめとする各種の有
機光導電性ポリマーが提案されて来たが、これらのポリ
マーは、前述の無機系光導電材料に較べ成膜性、軽量性
などの点で優れているにもかかわらず今日までその実用
化が困難であったのは、未だ十分な成膜性が得られてお
らず、また感度、耐久性および環境変化による安定性の
点で無機系光導電材料に較べ劣っているためであった。
また、米国特許第4150987号公報などに開示のヒドラゾ
ン化合物、米国特許第3837851号公報などに記載のトリ
アリールピラゾリン化合物、特開昭51−94828号公報、
特開昭51−94829号公報などに記載の9−スチリルアン
トラセン化合物などの低分子の有機光導電体が提案され
ている。この様な低分子の有機光導電体は、使用するバ
インダーを適当に選択することによって、有機光導電性
ポリマーの分野で問題となっていた成膜性の欠点を解消
できる様になったが、感度の点で十分なものとは言えな
い。
このようなことから、近年感光層を電荷発生層と電荷輸
送層に機能分離させた積層構造体が提案された。この積
層構造を感光層とした電子写真感光体は、可視光に対す
る感度、電荷保持力、表面強度などの点で改善できる様
になった。この様な電子写真感光体は、例えば米国特許
第3837851号、同第3871882号公報などに開示されてい
る。
しかし、従来の低分子の有機光導電体を電荷輸送層に用
いた電子写真感光体では、感度、特性が必らずしも十分
でなく、特に繰り返し帯電および露光を行なった際には
明部電位と暗部電位の変動が大きく改善すべき点があ
る。
〔発明が解決しようとする問題点) 本発明の目的は前述の欠点又は不利を解消した電子写真
感光体を提供することにある。
本発明の別の目的は、新規な有機光導電体を提供するこ
とにある。
本発明の他の目的は、電荷発生層と電荷輸送層に機能分
離した積層型感光層における新規な電荷輸送物質を提供
することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
すなわち、本発明は下記一般式(1)で示される化合物
を含有せる層を有することを特徴とする電子写真感光体
である。
一般式: ここで、Xは酸素原子、硫黄原子又は を示す。Arはフェニレン、ナフタレン、フルオレニレン
等のアリーレン基、ピリジン、キノリン、フラン、チオ
フェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダ
ゾール、トリアリール、オキサジアゾール、チアジアゾ
ール、インドール、カルバゾール、ベンゾオキサゾー
ル、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾト
リアゾール等から水素2原子を引抜いて形成される2価
の複素環基、又はフルオレノン、アントロン、アントラ
キノン、ベンゾアントロン、クマリン、ベンゾフェノ
ン、アゾベンゼン等から水素2原子を引抜いて形成され
る芳香環を有する2価の有機基を示すこれらアリーレン
基、2価の複素環基、芳香環を有する2価の有機基は上
記R1,R2,R3,R4,R5に用いられたのと同様な置換基を
有していてもかまわない。
またR1,R2,R3,R4,R5はメチル、エチル、プロピル、
ブチル等のアルキル基、ベンジル、フェネチル、ナフチ
ルメチル等のアラルキル基、フェニル、ナフチル、フル
オレニル等のアリール基又は、ピリジル、キノリル、フ
リル、チエニル、ピリル、オキサゾリル、チアゾリル、
イミダゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チア
ジアゾリル、インドリル、カルバゾリル、ベンゾオキサ
ゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベン
ゾトリアゾリル等の複素環基を示す。これらアルキル
基、アラルキル基、アリール基、複素環基は置換基とし
て、メチル、エチル、プロピル、ブチル等のアルキル
基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等のア
ルコキシ基、ベンジル、フェネチル等のアラルキル基、
フェニル、ナフチル、フルオレニル等のアリール基、フ
ッ素、塩素、臭素、沃素等のハロゲン原子、ジエチルア
ミノ、ジブチルアミノ、ジフェニルアミノ等の置換アミ
ノ基で置換されていても構わない。
またR1,R2またはR3,R4は窒素原子と共に5〜6員環を
形成する残基を示す。
以下に一般式(1)で示す化合物についての代表例を挙
げる。
化合物例 次に前記化合物の合成例を示す。
合成例(例示No.(1)の化合物の合成) 2−アミノ−5−4′−アニリノ−チオフェン9.13g
(0.048モル)を無水テトラヒドロフラン200ml中に溶解
し、氷冷しつつ攪拌下に油性水素化ナトリウム(含量60
%)5.80g(0.145モル)をゆっくり添加する。発泡が止
んだところで室温にし30分間撹拌する。次にヨウ化エチ
ル11.6ml(0.145モル)をゆっくり滴下し、滴下終了後3
0分間室温で攪拌する。その後さらに8時間還流攪拌す
る。反応終了後、反応物を水1中にあけ、酢酸エチル
300mlで2回抽出し、酢酸エチル層は水洗後芒硝乾燥す
る。溶媒を減圧留去し、残渣を少量の酢酸エチルを加え
たシクロヘキサンから再結晶し、11.3grの結晶を得た。
収率77.8% 元素分析値 計算値 測定値 C 71.48 71.35 H 8.66 8.62 N 9.26 9.31 上記合成例以外の化合物についても、一般に、所要のジ
アミノ体を水素化ナトリウムと共に、ヨウ化アルキル、
ハロゲン化アラルキル、ハロゲン化アリール等を作用さ
せる同様な合成法で合成される。ただし、R1,R2,R3
R4が異なる場合には、例えば所要のジニトロ体から一方
を部分還元して、上記置換反応を行わしめ、更に改めて
残るニトロ基を還元して、置換反応を行う等の手順が必
要となる。
本発明の好ましい具体例では、感光層を電荷発生層と電
荷輸送層に機能分離した電子写真感光体の電荷輸送物質
に前記一般式(1)で示される化合物を用いることがで
きる。
本発明による電荷輸送層は、前記の一般式(1)で示さ
れる化合物と結着剤とを適当な溶剤に溶解せしめた溶液
を塗布し、乾燥せしめることにより形成させることが好
ましい。ここに用いる結着剤としては、例えばポリアリ
レート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアミド樹脂、アク
リル樹脂、アクリロニトリル樹脂、メタクリル樹脂、塩
化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、エポ
キシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリカー
ボネート、ポリウレタンあるいはこれらの樹脂の繰り返
し単位のうち2つ以上を含む共重合体樹脂例えばスチレ
ン−ブタジエンコポリマー、スチレン−アクリロニトリ
ルコポリマー、スチレン−マレイン酸コポリマーなどを
挙げることができる。また、この様な絶縁性ポリマーの
他に、ポリビニルカールバゾール、ポリビニルアントラ
センやポリビニルピレンなどの有機光導電性ポリマーも
使用できる。
この結着剤と上記化合物との配合割合は、結着剤100重
量部当り上記化合物を10〜500重量とすることが好まし
い。
電荷輸送層は、下述の電荷発生層と電気的に接続されて
おり、電界の存在下で電荷発生層から注入された電荷キ
ャリアを受け取るとともに、これらの電荷キャリアを表
面まで輸送できる機能を有している。この際、この電荷
輸送層は、電荷発生層の上に積層されていてもよく、ま
たその下に積層されていてもよい。しかし、電荷輸送層
は、電荷発生層の上に積層されていることが望ましい。
この電荷輸送層は、電荷キャリアを輸送できる限界があ
るので、必要以上に膜厚を厚くすることができない。一
般的には、5ミクロン〜30ミクロンであるが、好ましい
範囲は8ミクロン〜20ミクロンである。
この様な電荷輸送層を形成する際に用いる有機溶剤は、
使用する結着剤の種類によって異なり、又は電荷発生層
や下述の下引層を溶解しないものから選択することが好
ましい。具体的な有機溶剤としては、メタノール、エタ
ノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセト
ン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケト
ン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセ
トアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどの
スルホキシド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エ
チレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル
類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、クロロ
ホルム、塩化メチレン、ジクロルエチレン、四塩化炭
素、トリクロルエチレンなどの脂肪族ハロゲン化炭化水
素類あるいはベンゼン、トルエン、キシレン、リグロイ
ン、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼンなどの芳香
族類などを用いることができる。
塗工は、浸漬コーティング法、スプレーコーティング
法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング
法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティン
グ法、ローラーコーティング法、カーテンコーティング
法などのコーティング法を用いて行なうことができる。
乾燥は、室温における指触乾燥後、加熱乾燥する方法が
好ましい。加熱乾燥は、30℃〜200℃の温度で5分〜2
時間の範囲の時間で、静止または送風下で行なうことが
できる。
本発明の電荷輸送層には、種々の添加剤を含有させるこ
とができる。かかる添加剤としては、ジフェニル、塩化
ジフェニル、o−ターフェニル、p−ターフェニル、ジ
ブチルフタレート、ジメチルグリコールフタレート、ジ
オクチルフタレート、トリフェニル燐酸、メチルナフタ
リン、ベンゾフエノン、塩素化パラフィン、ジラウリル
チオプロピオネート、3,5−ジニトロサリチル酸、各種
フルオロカーボン類などを挙げることができる。
本発明で用いる電荷発生層は、セレン、セレンーテル
ル、ピリリウム、チオピリリウム、アズレニウム系染
料、フタロシアニン系顔料、アントアントロン顔料、ジ
ベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、トリスア
ゾ顔料、ジスアゾ顔料、アゾ顔料、インジゴ顔料、キナ
クリドン系顔料、チアミアニン、非対称キノシアニン、
キノシアニンあるいは特開昭54−143645号公報に記載の
アモルファスシリコンなどの電荷発生物質から選ばれた
別個の蒸着層あるいは樹脂分散層を用いることができ
る。
本発明の電子写真感光体に用いる電荷発生物質は、例え
ば下記に示す無機化合物あるいは有機化合物を挙げるこ
とができる。
電荷発生物質 (1)アモルファスシリコン (2)セレン−テルル (3)セレン−ヒ素 (4)硫化カドミウム (58)スクエアリック酸メチン染料 (59)インジコ染料(C.I.No.78000) (60)チオインジコ染料(C.I.No.78800) (61)β−型銅フタロシアニン 電荷発生層は、前述の電荷発生物質を適当な結着剤に分
散させ、これを基体の上に塗工することによって形成で
き、また真空蒸着装置により蒸着膜を形成することによ
って得ることができる。電荷発生層を塗工によって形成
する際に用いうる結着剤としては広範な絶縁性樹脂から
選択でき、またポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビ
ニルアントラセンやポリビニルピレンなどの有機光導電
性ポリマーから選択できる。好ましくは、ポリビニルブ
チラール、ポリアリレート(ビスフエノールAとフタル
酸の縮重合体など)、ポリカーボネート、ポリエステ
ル、フエノキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、
ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド、ポリビニルピリ
ジン、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹
脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロ
リドンなどの絶縁性樹脂を挙げることができる。電荷発
生層中に含有する樹脂は、80重量%以下、好ましくは40
重量%以下が適している。塗工の際に用いる有機溶剤と
しては、メタノール、エタノール、イソプロパノールな
どのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シ
クロヘキサノンなどのケトン類、N,N−ジメチルホルム
アミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、
ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、テトラヒ
ドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチ
ルエーテルなどのエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル
などのエステル類、クロロホルム、塩化メチレン、ジク
ロルエチレン、四塩化炭素、トリクロルエチレンなどの
脂肪族ハロゲン化炭化水素類あるいはベンゼン、トルエ
ン、キシレン、リグロイン、モノクロルベンゼン、ジク
ロルベンゼンなどの芳香族類などを用いることができ
る。
塗工は、浸漬コーティング法、スプレーコーティング
法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング
法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティン
グ法、ローラーコーティング法、カーテンコーティング
法などのコーティング法を用いて行なうことができる。
電荷発生層は、十分な吸光度を得るために、できる限り
多くの前記有機光導電体を含有し、且つ発生した電荷キ
ャリアの飛程を短かくするために、薄膜層、例えば5ミ
クロン以下、好ましくは0.01ミクロン〜1ミクロンの膜
厚をもつ薄膜層とすることが好ましい。このことは、入
射光量の大部分が電荷発生層で吸収されて、多くの電荷
キャリアを生成すること、さらに発生した電荷キャリア
を再結合や捕獲(トラップ)により失活することなく電
荷輸送層に注入する必要があることに起因している。
この様な電荷発生層と電荷輸送層の積層構造からなる感
光層は、導電層を有する基体の上に設けられる。導電層
を有する基体としては、基体自体が導電性をもつもの、
例えばアルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ス
テンレス、バナジウム、モリブデン、クロム、チタン、
ニッケル、インジウム、金や白金などを用いることがで
き、その他にアルミニウム、アルミニウム合金、酸化イ
ンジウム、酸化錫、酸化インジウム−酸化錫合金などを
真空蒸着法によって被膜形成された層を有するプラスチ
ック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩
化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹
脂、ポリフッ化エチレンなど)、導電性粒子(例えば、
アルミニウム粉末、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、カ
ーボンブラック、銀粒子など)を適当なバインダーとと
もにプラスチック又は前記導電性基体の上に被覆した基
体、導電性粒子をプラスチックや紙に含浸した基体や導
電性ポリマーを有するプラスチックなどを用いることが
できる。
導電層と感光層の中間に、バリヤー機能と接着機能をも
つ下引層を設けることもできる。下引層は、カゼイン、
ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−
アクリル酸コポリマー、ポリアミド(ナイロン6、ナイ
ロン66、ナイロン610、共重合ナイロン、アルコキシメ
チル化ナイロンなど)、ポリウレタン、ゼラチン、酸化
アルミニウムなどによって形成できる。
下引層の膜厚は、0.1ミクロン〜5ミクロン、好ましく
は0.5ミクロン〜3ミクロンが適当である。
導電層、電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した感光体
を使用する場合において、本発明の化合物は正孔輸送性
であるので、電荷輸送層表面を負に帯電する必要があ
り、帯電後露光すると露光部では電荷発生層において生
成した正孔が電荷輸送層に注入され、その後表面に達し
て負電荷を中和し、表面電位の減衰が生じ未露光部との
間に静電コントラストが生じる。現像時には電子輸送物
質を用いた場合とは逆に正電荷性トナーを用いる必要が
ある。
本発明の別の具体例では、前述のジスアゾ顔料あるい
は、米国特許第3554745号、同第3567438号、同第358650
0号公報などに開示のピリリウム染料、チアピリリウム
染料、セレナピリリウム染料、ベンゾピリリウム染料、
ベンゾチアピリリウム染料、ナフトピリリウム染料、ナ
フトチアピリリウム染料などの光導電性を有する顔料や
染料を増感剤としても用いることができる。
また、別の具体例では、米国特許第3684502号公報など
に開示のピリリウム染料とアルキリデンジアリーレン部
分を有する電気絶縁重合体との共晶錯体を増感剤として
用いることもできる。この共晶錯体は、例えば4−〔4
−ビス−(2−クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6
−ジフェニルチアピリリウムパークロレートとポリ(4,
4′−イソプロピリデンジフェニレンカーボネート)を
ハロゲン化炭化水素系溶剤(例えば、ジクロルメタン、
クロロホルム、四塩化炭素、1,1−ジクロルエタン、1,2
−ジクロルエタン、1,1,2−トリクロルエタン、クロル
ベンゼン、ブロモベンゼン、1,2−ジクロルベンゼン)
に溶解した後、これに非極性溶剤(例えば、ヘキサン、
オクタン、デカン、2,2,4−トリメチルベンゼン、リグ
ロインを加えることによって粒子状共晶錯体として得ら
れる。この具体例における電子写真感光体には、スチレ
ン−ブタジエンコポリマー、シリコン樹脂、ビニル樹
脂、塩化ビニリデン−アクリロニトリルコポリマー、ス
チレン−アクリロニトリルコポリマー、ビニルアセテー
ト−塩化ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、ポ
リメチルメタクリレート、ポリ−N−ブチルメタクリレ
ート、ポリエステル類、セルロースエステル類などを結
着剤として含有することができる。
本発明の電子写真感光体は、電子写真複写機に利用する
のみならず、レーザープリンター、CRTプリンター、電
子写真式製版システムなどの電子写真応用分野にも広く
用いることができる。
本発明によれば、高感度の電子写真感光体を与えること
ができ、また繰り返し帯電および露光を行なった時の明
部電位と暗部電位の変動が小さい利点を有している。
以下、本発明を実施例に従って説明する。
実施例1 東洋インキ製造(株)製のβ型銅フタロシアニン(商品
名Lionol Blue NCB Toner)を水、エタノールおよびベ
ンゼン中で順次環流後、過して精製した顔料7g;デュ
ポン社製「商品名:ポリエステルアドヒーシブ49,000
(固形分20%)」14g;トルエン35g;ジオキサン35gを混
合し、ボールミルで6時間分散することによって塗工液
を調整した。この塗工液をアルミニウムシート上に乾燥
膜厚が0.5ミクロンとなる様にマイヤーバーで塗布して
電荷発生層を作成した。
次に、電荷輸送化合物として前記例示化合物(1)を7g
とポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製の商品名
「パンライトK−1300」)7gとをテトラヒドロフラン35
gとクロロベンゼン35gの混合溶媒中に攪拌溶解させて得
た溶液を先の電荷発生層の上に、マイヤーバーで乾燥膜
厚が16ミクロンとなる様に塗工して、2層構造からなる
感光層をもつ電子写真感光体を作成した。
この様にして作成した電子写真感光体を静電複写紙試験
装置(川口電機(株)製Model SP−428)を用いてスタ
チック方式で−5kVでコロナ帯電し、暗所で1秒間保持
した後、照度2.5luxで露光し帯電特性を調べた。
帯電特性としては、表面電位(V0)と1秒間暗減衰させ
た時の電位(V1)を1/2に減衰するに必要な露光量(E1/
2)を測定した。
さらに、繰り返し使用した時の明部電位と暗部電位の変
動を測定するために、本実施例で作成した感光体をキャ
ノン(株)製PPC複写機NP−150Zの感光ドラム用シリン
ダーに貼り付けて、同機で50000枚複写を行ない、初期
と50000枚複写後の明部電位(VL)及び暗部電位(VD
の変動を測定した。
また前記例示化合物の代りに下記構造式 の化合物を用いて全く同様の操作により、比較試料−1
を作成、同様に測定した。この結果を次に示す。
この結果からも本発明になる化合物は、高感度でかつ耐
久電位変動が少ない感光体を形成することが判る。
実施例2〜16 この各実施例においては、前記実施例1で用いた電荷輸
送化合物として例示化合物(1)の代りに例示化合物
(3),(4),(5),(11),(13),(15),
(19),(25),(29),(31),(38),(45),
(46),(48),(54)を用い、かつ電荷発生物質とし
て例示(44)の顔料を用いたほかは、実施例1と同様の
方法によって電子写真感光体を作成した。
各感光体の電子写真特性を実施例1と同様の方法によっ
て測定した。その結果を次に示す。
実施例17 アルミニウムシリンダー上にカゼインのアンモニア水溶
液(カゼイン11.2g、28%アンモニア水1g、水22.2ml)
を浸漬コーティング法で塗工し、乾燥して塗工量1.0g/m
2の下引層を形成した。
次に、例示No.(81)の電荷発生物質1重量部、ブチラ
ール樹脂(エスレックBM−2:積水化学(株)製)1重量
部とイソプロピルアルコール30重量部をボールミル分散
機で4時間分散した。この分散液を先に形成した下引層
の上に浸漬コーティング法で塗工し、乾燥して電荷発生
層を形成した。この時の膜厚は0.3ミクロンであった。
次に、前記例示の本発明になる化合物No.(6)1重量
部、ポリスルホン樹脂(P1700:ユニオンカーバイド社
製)、1重量部とモノクロルベンゼン6重量部を混合
し、撹拌機で撹拌溶解した。この液を電荷発生層の上に
浸漬コーティング法で塗工し、乾燥して電荷輸送層を形
成した。この時の膜厚は、12ミクロンであった。
こうして調製した感光体に−5kVのコロナ放電を行なっ
た。この時の表面電位を測定した(初期電位V0)。さら
に、この感光体を5秒間暗所で放置した後の表面電位を
測定した(減衰)。感度は、暗減衰した後の電位VKを1/
2に減衰するに必要な露光量(E1/2マイクロジュール/c
m2)測定することによって評価した。この際、光源とし
てガリウム/アルミニウム/ヒ素の三元素半導体レーザ
ー(出力:5mW、発振波長780nm)を用いた。これらの結
果は、次のとおりであった。
V0:−700ボルト E1/2:1.0マイクロジュール/cm2 次に同上の半導体レーザーを備えた反転現像方式の電子
写真方式プリンターであるレーザービームプリンター
(キャノン製LBP−CX)に上記感光体をLBP−CXの感光体
に置き換えてセットし、実際の画像形成テストを用い
た。条件は以下の通りである。
一次帯電後の表面電位;−700V、像露光後の表面電位;
−150V(露光量μJ/cm2)、転写電位;+700V、現像剤
極性;負極性、プロセススピード;50mm/sec、現像条件
(現像バイアス);−450V、像露光スキャン方式;イメ
ージスキャン、一次帯電前露光;50lux・secの赤色全面
露光、画像形成はレーザービームを文字信号及び画像信
号に従ってラインスキャンして行ったが、文字、画像共
に良好なプリントが得られた。
実施例18 4−(4−ジメチルアミノフェニル)−2,6−ジフェニ
ルチアピリリウムパークロレート3gと前記例示の化合物
(No.(50))を5gをポリエステル(ポリエステルアド
ヒーシブ49000:デュポン社製)のトルエン(50)−ジオ
キサン(50)溶液100mlに混合し、ボールミルで6時間
分散した。この分散液を乾燥後の膜厚が15ミクロンとな
る様にマイヤーバーでアルミニウムシート上に塗布し
た。
この様にして作成した感光体の電子写真特性を実施例1
と同様の方法で測定した。この結果を次に示す。
V0:−615ボルト V1:−605ボルト E1/2:1.2lux・sec 初期 VD:−690ボルト VL:−50ボルト 50000枚耐久後 VD:−650ボルト VL:−100ボルト 実施例19 アルミ板上にカゼインのアンモニア水溶液(カゼイン1
1.2g、28%アンモニア水1g、水222ml)をマイヤーバー
で塗布乾燥し、膜厚が1ミクロンの接着層を形成した。
次に下記構造を有するジスアゾ顔料5gと、 ブチラール樹脂(ブチラール化度63モル%)2gをエタノ
ール95mlに溶かした液と共に分散した後、接着層上に塗
工し乾燥後の膜厚が0.4ミクロンとなる電荷発生層を形
成した。
次に、前記例示の化合物(No.(20))を5gとポリ−4,
4′−ジオキシジフェニル−2,2−プロパンカーボネート
(粘度平均分子量30000)5gをジクロルメタン150mlに溶
かした液を電荷発生層上に塗布、乾燥し、膜厚が19ミク
ロンの電荷輸送層を形成することによって電子写真感光
体を作成した。
この様にして作成した電子写真感光体の電子写真特性を
実施例1と同様の方法で測定した。この結果を次に示
す。
V0:−635ボルト V1:−620ボルト E1/2:2.2lux・sec 初期 VD:−690ボルト VL:−85ボルト 50000枚耐久後 VD:−650ボルト VL:−130ボルト 実施例20 表面が清浄にされた0.2mm厚のモリブデン板(基板)を
グロー放電蒸着槽内の所定位置に固定した。次に槽内を
排気し、約5×10-6torrの真空度にした。その後ヒータ
ーの入力電圧を上昇させモリブデン基板温度を150℃に
安定させた。その後水素ガスとシランガス(水素ガスに
対し15容量%)を槽内へ導入しガス流量と蒸着槽メイン
バルブを調整して0.5torrに安定させた。次に誘導コイ
ルに5MHzの高周波電力を投入し槽内のコイル内部にグロ
ー放電を発生させ30Wの入力電力とした。上記条件で基
板上にアモルフアスシリコン膜を生長させ膜厚が2μと
なるまで同条件を保った後グロー放電を中止した。その
後加熱ヒーター、高周波電源をオフ状態とし、基板温度
が100℃になるのを待つてから水素ガス、シランガスの
流出バルブを閉じ、一旦槽内を10-5torr以下にした後大
気圧にもどし基板を取り出した。次いでこのアモルフア
スシリコン層の上に電荷輸送化合物として例示化合物を
用いる以外は実施例1と全く同様にして電荷輸送層を形
成した。
こうして得られた感光体を帯電露光実験装置に設置し
6kVでコロナ帯電し直ちに光像を照射した。光像はタン
グステンランプ光源を用い透過型のテストチャートを通
して照射された。その後直ちに荷電性の現像剤(トナ
ーとキャリャーを含む)を感光体表面にカスケードする
ことによって感光体表面に良好なトナー画像を得た。
実施例21 4−(4−ジメチルアミノフェニル)−2,6−ジフェニ
ルチアピリリウムパークロレート3gとポリ(4,4′−イ
ソプロピリデンジフェニレンカーボネート)3gをジクロ
ルメタン200mlに十分に溶解した後、トルエン100mlを加
え、共晶錯体を沈殿させた。この沈殿物を別した後、
ジクロルメタンを加えて再溶解し、次いでこの溶液にn
−ヘキサン100mlを加えて共晶錯体の沈殿物を得た。
この共晶錯体5gをポリビニルブチラール2gを含有するメ
タノール溶液95mlに加え、6時間ボールミルで分散し
た。この分散液をカゼイン層を有するアルミ板の上に乾
燥後の膜厚が0.4ミクロンとなる様にマイヤーバーで塗
布して電荷発生層を形成した。
次いで、この電荷発生層の上に例示化合物No.(7)を
用いる以外は実施例1と全く同様にして電荷輸送層の被
覆層を形成した。
こうして作成した感光体の電子写真特性を実施例1と同
様の方法によって測定した。この結果を次に示す。
V0:−610ボルト V1:−595ボルト E1/2:2.8lux・sec 初期 VD:−680ボルト VL:−105ボルト 5000回耐久後 VD:−650ボルト VL:−145ボルト 実施例22 実施例21で用いた共晶錯体と同様のもの5gと前記例示の
化合物(No.(23))5gをポリエステル(ポリエステル
アドヒージブ49000:デュポン社製)のテトラヒドロフラ
ン液150mlに加えて、十分に混合攪拌した。この液をア
ルミニウムシート上にマイヤーバーにより乾燥後の膜厚
が15μとなる様に塗布した。
この感光体の電子写真特性を実施例1と同様の方法で測
定した。この結果を次に示す。
V0:−600ボルト V1:−590ボルト E1/2:2.1lux・sec 初期 VD:−695ボルト VL:−75ボルト 50000枚耐久後 VD:−655ボルト VL:−110ボルト 〔発明の効果〕 以上から明らかな如く、本発明によれば電荷輸送物質と
して特定の低分子有機化合物を用いることにより繰り返
し帯電露光後の明部電位と暗部電位の変動が小さく、感
度の良い電子写真特性に優れた電子写真感光体を提供す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菊地 憲裕 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 楳原 正滋 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭54−83435(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(1)で示される化合物を含有
    せる層を有することを特徴とする電子写真感光体。 一般式: (式中、Xは硫黄原子、酸素原子または を示し、Arは置換基を有してもよいアリーレン基、2価
    の複素環基または芳香環を有する2価の有機基を示し、
    R1,R2,R3,R4,R5は置換基を有してもよいアルキル
    基、アラルキル基、アリール基または複素環基を示す。
    更にR1,R2またはR3,R4は窒素原子と共に5〜6員環を
    形成する残基を示す。)
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