JPH0679165B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JPH0679165B2
JPH0679165B2 JP61049553A JP4955386A JPH0679165B2 JP H0679165 B2 JPH0679165 B2 JP H0679165B2 JP 61049553 A JP61049553 A JP 61049553A JP 4955386 A JP4955386 A JP 4955386A JP H0679165 B2 JPH0679165 B2 JP H0679165B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、電子写真感光体に関し、詳しくは改善された
電子写真特性を与える低分子の有機光導電体を含有する
電子写真感光体に関する。
[従来の技術] 従来、電子写真感光体で用いる光導電性材料として、セ
レン、硫化カドミウム、酸化亜鉛などの無機光導電性材
料が知られている。これらの材料は数多くの利点、例え
ば暗所で適当な電位に帯電できること、暗所で電荷の逸
散が少ないことあるいは光照射によって速やかに電荷を
逸散できるなどの利点をもっている反面、各種の欠点を
有している。例えば、セレン系感光体では温度、湿度、
ごみ、圧力などの要因で容易に結晶化が進み、特に雰囲
気温度が40℃を越えると結晶化が著しくなり、帯電性の
低下や画像に白い斑点が発生するといった欠点がある。
硫化カドミウム系感光体は多湿の環境下で安定した感度
が得られない点や酸化亜鉛系感光体ではローズベンガル
に代表される増感色素による増感効果を必要としている
が、このような増感色素がコロナ帯電による帯電劣化や
露光光による光退色を生じるため長期に亘って安定した
画像を与えることができない欠点を有している。
一方ポリビニルカルバゾールをはじめとする各種の有機
光導電性ポリマーが提案されてきたが、これらのポリマ
ーは前述の無機系光導電性材料に比べ成膜性、軽量性な
どの点で優れているにもかかわらず、今日までその実用
化が困難であったのは未だ充分な成膜性が得られず、ま
た感度、耐久性および環境変化による安定性の点で無機
系光導電性材料に比べ劣っているためであった。
また米国特許第4150987号明細書に開示のヒドラゾン化
合物、米国特許第3837851号明細書に記載のトリアリー
ルピラゾリン化合物、特開昭51−94828号公報、特開昭5
1−94829号公報などに記載の9−スチリルアントラセン
化合物などの低分子の有機光導電体が提案されている。
このような低分子の有機光導電体は、使用するバインダ
ーを適当に選択することによって、有機光導電性ポリマ
ーの分野で問題となっていた成膜性の欠点を解消できる
ようになったが、感度の点で充分なものとはいえない。
このようなことから、近年感光層を電荷発生層と電荷輸
送層に機能分離させた積層構造体が提案された。この積
層構造を感光層とした電子写真感光体は、可視光に対す
る感度、電荷保持力、表面強度などの点で改善できるよ
うになった。
かかる電子写真感光体としては、例えば米国特許第3837
851号明細書、同第3871882号明細書などに開示されてい
る。
しかし、従来の低分子の有機光導電体を電荷輸送層に用
いた電子写真感光体では、感度、特性が必ずしも充分で
なく特に長期間に亘たり繰り返し帯電および露光を行な
った際には明部電位と暗部電位の変動が大きく改善すべ
き点がある。
[発明が解決しようとする問題点] 本発明は前述の欠点または不利を解消した電子写真感光
体を提供すること、新規な有機光導電体を提供するこ
と、さらに電荷発生層と電荷輸送層に機能分離した積層
型感光層における新規な電荷輸送物質を提供することで
ある。
[問題点を解決するための手段、作用] 本発明は、下記の一般式で示されるフルオレン系化合物
を含有する層を有することを特徴とする電子写真感光体
から構成される。
一般式 式中R1、R2、R3、R4、R5およびR6は置換基を有してもよ
いアルキル基、アラルキル基、アリール基または複素環
基を示し、またR1とR2、R3とR4は、それぞれ窒素原子と
共に複素環を形成する残基を示し、さらにR5およびR
6は、一方が水素原子であってもよい。
さらに詳しくは、上記一般式中、R1、R2、R3、R4、R5
よびR6はメチル、エチル、プロピル、ブチル、などのア
ルキル基、ベンジル、フェネチル、ナフチルメチルなど
のアラルキル基、フェニル、ナフチルなどのアリール
基、ピリジル、キノリル、チエニル、フリル、カルバゾ
リル、オキサゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、イ
ンドリルなどの複素環基を示し、R1とR2、R3とR4は、窒
素原子と共にピペリジン、モルホリン、カルバゾールな
どの複素環を形成する残基を示し、さらに上記R1、R2
R3、R4、R5およびR6は同一または異なってもよく、さら
にR5およびR6は一方が水素原子であってもよく、また上
記R1、R2、R3、R4、R5およびR6の有してもよい置換基と
してはメチル、エチル、プロピルなどのアルキル基、メ
トキシ、エトキシなどのアルコキシ基、フッ素、塩素、
臭素などのハロゲン原子、フェニル、ナフチルなどの芳
香環基、ピリジル、キノリル、チエニル、フリルなどの
複素環基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アシル基な
どがある。
なお、フルオレン系化合物の使用については特開昭56−
22437号公報に記載があるが、本発明者らは、前記一般
式に示すのようにフルオレン系化合物の9位に置換基を
導入することなどにより、耐久安定性が向上し、さらに
N置換としてベンジル基以外の置換基をも導入すること
などにより特性も向上することを見い出した。
以下に一般式で示される化合物についてその代表例を列
記する。
なお、構造式中の略語は次の通りとした。
Me:CH3、Et:C2H5、n−Bu:n−C4H9 前記フルオレン系化合物の合成例1 化合物例(25)の合成 2,7−ジアミノフルオレン10.0g(51.0mmol)をテトラヒ
ドロフラン150ccに溶解し、0℃で油性水素化ナトリウ
ム(60%)12.24g(306.0mmol)を加え、 室温に戻し30分間撹拌する。その後、臭化エチル47.74g
(306.0mmol)を徐々に滴化し、室温で1時間撹拌後、
8時間加熱環流を行なう。反応液を放冷後250ccの水に
空け、イソプロピルエーテル120ccで抽出する。有機層
を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で溶媒を徐去
し、シリカゲルカラムで精製し、化合物(25)を13.10g
得た。収率70.6%であった。
元素分析値 実測値% 理論値% C 82.40 82.42 H 9.92 9.89 N 7.68 7.69 合成例2(化合物例(46)の合成) フルオレン10.0g(60.24mmol)を上記例と同様アルカリ
存在下、臭化エチルより9,9−ジエチルフルオレンを合
成し、既知の方法でニトロ化し、9,9−ジエチル−2,7−
ジニトロフルオレンを合成した。この化合物を既知方法
の水硫化ソーダで部分還元し、ヨードベンゼンとウール
マン反応で9,9−ジエチル−7−ニトロ−2−ジフェニ
ルアミノフルオレンを得た。
この化合物を既知の方法で還元し、合成例1と同様アル
カリ存在下、臭化ベンジルより化合物例(46)の化合物
を6.41gを得た。
収率は18.2%であった。
元素分析値 実測値% 理論値% C 88.34 88.36 H 6.88 6.85 N 4.78 4.79 上記合成例化合物以外の化合物についても、一般的に上
記例と同様な方法や既知の方法で合成できる。
本発明の好ましい具体例では、感光層を電荷発生層と電
荷輸送層に機能分離した電子写真感光体の電荷輸送物質
として、前記一般式で示す化合物を用いる。
本発明における電荷輸送層は、前記一般式で示されるフ
ルオレン系化合物と結着剤とを適当な溶剤に溶解させた
溶液を塗布、乾燥することにより形成するのが好まし
い。ここに用いる結着剤としては、例えばポリアリレー
ト、ポリスルホン、ポリアミド、アクリル樹脂、アクリ
ロニトリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢
酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエ
ステル、アルキド樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタ
ンあるいはこれら樹脂の繰り返し単位のうち2っ以上を
含む共重合体、例えばスチレン−ブタジエンコポリマ
ー、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、スチレン
−マレイン酸コポリマーなどを挙げることができる。ま
たこのような絶縁性ポリマーの他に、ポリビニルカルバ
ゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレンな
どの有機光導電性ポリマーも使用できる。
この結着剤と前記フルオレン系化合物との配合割合は、
結着剤100重量部当り、前記フルオレン系化合物を10〜5
00重量部とすることが好ましい。
電荷輸送層は、下述の電荷発生層と電気的に接続されて
おり、電界の存在下で電荷発生層から注入された電荷キ
ヤリアを受け取るとともの、これらの電荷キヤリアを表
面まで輸送できる機能を有している。この際、この電荷
輸送層は、電荷発生層の上に積層されていてもよく、ま
た電荷発生層の下に積層されていてもよい。しかし電荷
輸送層は電荷発生層の上に積層されていることが望まし
い。この電荷輸送層は、電荷キヤリアを輸送できる限界
があるので、必要以上に膜厚を厚くすることができな
い。一般的には5〜30μであるが、好ましい範囲は8〜
20μである。
このような電荷輸送層を形成する際に用いる溶剤は、使
用する結着剤の種類によって異なり、または電荷発生層
や下述の下引層を溶解しないものから選択することが好
ましい。
具体的な溶剤としては、メタノール、エタノール、イソ
プロパノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエ
チルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、N,N−
ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドな
どのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシ
ド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリ
コールモノメチルレーテルなどのエーテル類、酢酸メチ
ル、酢酸エチルなどのエステル類、クロロホルム、塩化
メチレン、ジクロルエチレン、四塩化炭素、トリクロル
エチレンなどの脂肪属ハロゲン化炭化水素類、あるいは
ベンゼン、トルエン、キシレン、リグロイン、モノクロ
ルベンゼン、ジクロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類
などを用いることができる。
塗工は浸漬コーテイング法、スプレーコーテイング法、
スピンナーコーテイング法、ビードコーテイング法、マ
イヤーバーコーテイング法、ブレードコーテイング法、
ローラーコーテイング法、カーテンコーテイング法など
のコーテイング法を用いて行なうことができる。
乾燥は、室温における指触乾燥後、加熱乾燥する方法が
好ましい。加熱乾燥は30〜200で5分〜2時間の範囲の
時間で静止または送風下で行なうことができる。
本発明における電荷輸送層には、種々の添加剤を含有さ
せることができる。かかる添加剤としては、ジフェニ
ル、塩化ジフェニル、o−ターフェニル、p−ターフェ
ニル、ジブチルフタレート、ジメチルグリコールフタレ
ート、ジオクチルフタレート、トリフェニル燐酸、メチ
ルナフタリン、ベンゾフェノン、塩素化パラフィン、ジ
ラウリルチオプロピオネート、3,5−ジニトロサリチル
酸、各種フルオロカーボン類などを挙げることができ
る。
本発明における電荷発生層は、セレン、セレン−テル
ル、ピリリウム系染料、チアピリリウム系染料、アズレ
ニウム系染料、フタロシアニン系顔料、アントアントロ
ン顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔
料、トリスアゾ顔料、ジスアゾ顔料、モノアゾ顔料、イ
ンジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、チアシアニン、非
対称キノシアニン、キノシアニンあるいは特開昭54−14
3645号公報に記載のアモルファスシリコンなどの電荷発
生物質から選らばれた別個の蒸着層あるいは樹脂分散層
を用いることができる。
本発明の電子写真感光体に用いる電荷発生物質は、例え
ば下記に示す無機化合物あるいは有機化合物を挙げるこ
とができる。
電荷発生物質 (1)アモルファスシリコン (2)セレン−テルル (3)セレン−ヒ素 (4)硫化カドミウム (58)スクエアリック酸メチン染料 (59)インジゴ染料 (60)チオインジゴ染料 (61)β−型銅フタロシアニン 電荷発生層は、前記の電荷発生物質を適当な結着剤に分
散させ、これを基体の上に塗工することによって形成で
き、また真空蒸着装置により蒸着膜を形成することによ
っても得ることができる。
電荷発生層を塗工によって形成する際に用い得る結着剤
としては、広範な絶縁性樹脂から選択でき、またポリ−
N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセンやポ
リビニルピレンなどの有機光導電性ポリマーから選択で
きる。
好ましくは、ポリビニルブチラール、ポリアリレート
(ビスフェノールAとフタル酸の縮重合体など)、ポリ
カーボネート、ポリエステル、フェノキシ樹脂、ポリ酢
酸ビニル、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド、ポリア
ミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、ポリウ
レタン、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニル
ピロリドンなどの絶縁性樹脂を挙げることができる。
電荷発生層中に含有する樹脂は、80重量%以下、好まし
くは40重量%以下が適している。
塗工の際に用いる溶剤としては、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトン、
メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン
類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセト
アミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのス
ルホキシド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチ
レングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類、
酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、クロロホル
ム、塩化メチレン、ジクロルエチレン、四塩化炭素、ト
リクロルエチレンなどの脂肪属ハロゲン化炭化水素類、
ベンゼン、トルエン、キシレン、リグロイン、モノクロ
ルベンゼン、ジクロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類
などが挙げられる。
塗工は浸漬コーテイング法、スプレーコーテイング法、
スピンナーコーテイング法、ビードコーテイング法、マ
イヤーバーコーテイング法、ブレードコーテイング法、
ローラーコーテイング法、カーテンコーテイング法など
のコーテイング法を用いて行なうことができる。
電荷発生層は、充分な吸光度を得るためにできるかぎり
多くの前記電荷発生物質を含有し、かつ発生した電荷キ
ヤリアの飛程を短くするために、薄膜層、例えば、5μ
以下、好ましくは0.01〜1μの膜厚を有する薄膜層が望
ましい。
このことは入射光量の大部分が電荷発生層で吸収され
て、多くの電荷キヤリアを生成すること、さらに発生し
た電荷キヤリアを再結合や捕獲(トラップ)により失活
することなく電荷輸送層に注入する必要があることに起
因している。
このような電荷発生層と電荷輸送層の積層構造からなる
感光層は、導電層を有する基体の上に設けられる。
導電層を有する基体としては、基体自体が導電性を有す
るものでは例えばアルミニウム、アルミニウム合金、
銅、亜鉛、ステンレス、バナジウムモリブデン、クロ
ム、チタン、ニッケル、インジウム、金、白金などが挙
げられ、その他ではアルミニウム、アルミニウム合金、
酸化インジウム、酸化錫、酸化インジウム−酸化錫合金
などを真空蒸着法によって被膜形成した層を有するプラ
スチック(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹
脂、ポリフッ化エチレンなど)、導電性粒子(例えばア
ルミニウム粉末、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、カー
ボンブラック、銀粒子など)を適当なバインダーととも
にプラスチックまたは前記導電性基体の上に被覆した基
体、導電性粒子をプラスチックや紙に含侵した基体や導
電性ポリマーを有するプラスチックなどが挙げられる。
導電層と感光層の中間に、バリヤー機能と接着機能をも
つ下引層を設けることもできる。
下引層は、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセ
ルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミ
ド(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、共重合ナ
イロン、アルコキシメチル化ナイロンなど)、ポリウレ
タン、ゼラチン、酸化アルミニウムなどによって形成で
きる。
下引層の膜厚としては0.1〜5μ、好ましくは0.5〜3μ
の範囲が適当である。
導電層、電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した感光体
を用いる場合において、本発明の置換アミノ化合物は、
正孔輸送性であるので、電荷輸送層表面を負に帯電する
必要があり、帯電後露光すると露光部では電荷発生層に
おいて生成した正孔が電荷輸送層に注入され、その後表
面に達して負電荷を中和し、表面電位の減衰が生じ未露
光部との間に静電コントラストが生じる。現像時には正
荷電性トナーを用いる必要がある。
本発明の別の具体例では、ジスアゾ顔料あるいは米国特
許第3554745号明細書、同第3567438号明細書、同第3586
500明細書などに開示のピリリウム染料、チアピリリウ
ム染料、セルナピリリウム染料、ベンゾピリリウム染
料、ベンゾチアピリリウム染料、ナフトピリリウム染料
などの光導電性を有する顔料や染料を増感剤としても用
いることができる。
また別の具体例では、米国特許第3684502明細書に開示
のピリリウム染料とアルキリデンジアリーレン部分を有
する電気絶縁重合体との共晶錯体を増感剤として用いる
こともできる。
この共晶錯体は、例えば4−[4−ビス−(2−クロロ
エチル)アミノフェニル]−2,6−ジフェニルチアピリ
リウムパークロレートとポリ(4,4′−イソプロピリデ
ンジフェニレンカーボネート)をハロゲン化炭化水素系
溶剤(例えばジクロルメタン、クロロホルム、四塩化炭
素、1,1−ジクロルエタン、1,2−ジクロルエタン、1,1,
2−トリクロルエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼ
ン、1,2−ジクロルベンゼン)に溶解した後、これを非
極性溶剤(例えばヘキサン、オクタン、デカン、2,2,4
−トリメチルベンゼン、リグロインを加えることによっ
て粒子状共晶錯体として得られる。
この具体例における電子写真感光体には、スチレン−ブ
タジエンコポリマー、シリコーン樹脂、ビニル樹脂、塩
化ビニリデン−アクリロニトリルコポリマー、スチレン
−アクリロニトリルコポリマー、ビニルアセテート−塩
化ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、ポリメチ
ルメタクリレート、ポリ−N−ブチルメタクリレート、
ポリエステル類、セルロースエステル類などを結着剤と
して含有することができる。
本発明の電子写真感光体は、電子写真複写機に利用する
のみならず、レーザープリンター、CRTプリンター、電
子写真式製版システムなどの電子写真応用分野にも広く
用途を有する。
[実施例] 実施例1 β型銅フタロシアニン(商品名Lionol Blue NCB Tone
r、東洋インキ製造(株)製)を水、エタノールおよび
ベンゼン中で順次環流後、濾過して精製した顔料7g、商
品名ポリエステルアドヒーシブ49000(固形分20%、デ
ュポン社製)14g、トルエン35g、ジオキサン35gを混合
し、ボールミルで6時間分散して塗工液を調製した。こ
の塗工液をアルミニウムシート上に乾燥膜厚が0.5μと
なるようにマイヤーバーで塗布して電荷発生層を形成し
た。
次に電荷輸送物質として前記フルオレン系化合物例(2
5)の物質を7gとポリカーボネート(商品名パンライト
K−1300、帝人(株)製)7gとをテトラヒドロフラン35
gとクロロベンゼン35gを混合溶剤中に撹拌溶解させて得
た溶液を先の電荷発生層の上に、マイヤーバーで乾燥膜
厚が11μとなるように塗工して、二層構造からなる感光
層を有する電子写真感光体を作成した。この電子写真感
光体を川口電機(株)製静電複写紙試験装置Model−SP
−428を用いてスタチック方式で−5KVでコロナ帯電し、
暗所で1秒間保持した後、照度5luxで露光し帯電特性を
測定した。
帯電特性としては、表面電位(V0)と1秒間暗減衰させ
た時の電位(V1)を1/2に減衰するに必要な露光量(E1/
2)を測定した。
さらに、上記作成した電子写真感光体を繰り返し使用し
た時の明部電位と暗部電位の変動を測定するために、本
実施例で作成した感光体をキヤノン(株)製、PPC複写
機(商品名NP−150Z)の感光ドラム用シリンダーに貼り
付けて、同機で50,000枚複写し、初期と50,000枚複写後
の明部電位(VL)および暗部電位(VD)の変動を測定し
た。
また前記化合物例(25)の化合物の代りに下記構造の の化合物を用いて、全く同様の操作により、比較試料1
を作成し、同様の測定をした。その結果を次に示す。
上記から本発明電子写真感光体は、感度、電位安定性が
共に比較試料より著しく優れていることが確認された。
実施例2〜16 この実施例では、実施例1で用いた電荷輸送物質に代
え、フルオレン系化合物例(2)、(5)、(7)、
(12)、(17)、(19)、(22)、(23)、(35)、
(40)、(43)、(53)、(58)、(66)および(82)
の化合物を用い、かつ電荷発生物質として例示(44)の
顔料を用いた他は、実施例1と同様の方法によって電子
写真感光体を作成した。
各感光体の電子写真特性を実施例1と同様の方法によっ
て測定した。結果を次に示す。
実施例17 アルミニウムシリンダー上にカゼインのアンモニア水溶
液(カゼイン11.2g、28%アンモニア水1g、水222ml)を
浸漬コーテイング法で塗工し、乾燥して塗工量1.0g/m2
の下引層を形成した。
次に、電荷発生物質として例示(78)の顔料1重量部、
ブチラール樹脂(商品名エスレックBM−2、積水化学
(株)製)1重量部とイソプロピルアルコール30重量部
をボールミルで4時間分散した。この分散液を先の下引
層の上に浸漬コーテイング法で塗工し、乾燥して電荷発
生層を形成した。この膜厚は0.3μであった。
次に、フルオレン系化合物例(22)の物質1重量部、ポ
リスルホン(P−1700、UCC社製)1重量部、クロロベ
ンゼン6重量部を混合し、撹拌機で撹拌、溶解した。こ
の液を先の電荷発生層の上に浸漬コーテイング法で塗工
し、乾燥して、電荷輸送層を形成した。膜厚は12μであ
った。
こうして作成した感光体に−5KVのコロナ放電を行なっ
た。
このときの表面電位(初期電位V0)を測定した。さら
に、この感光体を5秒間暗所で放置した後の表面電位を
測定した。
感度は、暗減衰した後の電位Vkを1/2に減衰するに必要
な露光量(E1/2μJ/cm2)を測定することによって評価
した。この際、光源としてガリウム/アルミニウム/ヒ
素の三元系半導体レーザー(出力5mW、発振波長780nm)
を用いた。結果を示す。
V0:−690V 電位保持率(Vk/V0×100):96% E1/2:2.8μJ/cm2 次に同上の半導体レーザーを備えた反点現像方式の電子
写真方式プリンターであるレーザービームプリンター
(キヤノン(株)製、LBP−LX)の感光体を本発明感光
体に置き換えて使用し、実際の画像形成テストを以下に
示した条件によって実施した。
一次帯電後の表面電位:−700V、像露光後の表面電位:
−150V(露光量1.2μJ/cm2)、転写電位:+700V、現像
剤極性:負極性、プロセススピード:50mm/sec、現像条
件(現像バイアス):−450V、像露光スキヤン方式:イ
メージスキヤン、一次帯電前露光:50lux,secの赤色全面
露光。
画像形成はレーザービームを文字信号および画像信号に
従ってラインスキヤンして行なったが、文字、画像とも
に良好なプリントが得られた。
実施例18 4−(4−ジメチルアミノフェニル)−2,6−ジフェニ
ルチアピリリウムパークロレート3gと前記フルオレノン
系化合物例(53)の物質5gをポリエステル(前出と同
じ)のトルエン−ジオキサン(50:50)溶液100mlに混合
し、ボールミルで6時間分散した。この分散液を乾燥後
の膜厚が15μとなるようにマイヤーバーでアルミニウム
シート上に塗布した。
このようにして作成した感光体の電子写真特性を実施例
1と同様の方法で測定した。その結果を示す。
V0:−691V、V1:−682V E1/2:2.14lux,sec 初期 VD:−690V、VL:−131V 5万枚耐久後 VD:−681V、VL:−159V 実施例19 アルミ板上にカゼインのアンモニア水溶液(カゼイン1
1.2g、28%アンモニア水1g,水222ml)をマイヤーバーで
塗布乾燥し、膜厚が1μの接着層を形成した。
次に、電荷発生物質例(16)のジスアゾ顔料5gとブチラ
ール樹脂(ブチラール化度63%)2gをエタノール95mlに
溶かした液と共に分散した後、接着層上に塗工し、乾燥
後の膜厚が0.4μとなる電荷発生層を形成した。
次に、前記フルオレン系化合物例(55)の物質5gとポリ
−4,4′ジオキシジフェニル−2,2−プロパンカーボネー
ト(粘度平均分子量3万)5gをギクロルメタン150mlに
溶かした液を電荷発生層上に塗布乾燥し、膜厚が11μの
電荷輸送層を形成することによって電子写真感光体を作
成した。
この感光体の電子写真特性を実施例1と同様の方法によ
り測定した。結果を示す。
V0:−689V、V1:−680V E1/2:2.09lux,sec 初期 VD:−688V、VL:−130V 5万枚耐久後 VD:−678V、VL:−156V 実施例20 表面が清浄にされた0.2mm厚のモリブデン板(基板)を
グロー放電蒸着槽内の所定位置に固定した。次に槽内を
排気し約5×10-6torrの真空度とした。その後ヒーター
の入力電圧を上昇させモリブデン基板温度を150℃に安
定させた。その後水素ガスとシランガス(水素ガスに対
し15容量%)を槽内へ導入し、ガス流量と蒸着槽メイン
バルブを調整して0.5torrに安定させた。次に誘導コイ
ルに5MHzの高周波電力を投入し槽内のコイル内部にグロ
ー放電を発生させ30Wの入力電力とした。上記条件で基
板上にアモルファスシリコン膜を成長させ、膜厚が2μ
となるまで同条件を保った後、グロー放電を中止した。
その後加熱ヒーター、高周波電源をオフ状態とし、基板
温度が100℃になるのを待ち水素ガス、シランガスの流
出バルブを閉じ、一旦槽内を10-5torr以下にした後大気
圧に戻し基板を取り出した。
次に、このアモルファスシリコン層の上に前記フルオレ
ノン系化合物を使用することの他は実施例1と同様にし
て電荷輸送層を形成した。
こうして作成した感光体を帯電露光実験装置に設置し、
−6KVでコロナ帯電し直ちに光像を照射した。光像はタ
ングステンランプ光源を用い透過型のテストチャートを
通じて照射された。その後直ちに、正荷電性の現像剤
(トナーとキヤリヤーを含む)を感光体表面にカスケー
ドすることによって、感光体表面に良好なトナー画像を
得た。
実施例21 4−(4−ジメチルアミノフェニル)−2,6−ジフェニ
ルチアピリリウムパークロレート3gとポリ(4,4′−イ
ソプロピリデンジフェニレンカーボネート)3gとをジク
ロルメタン200mlに充分に溶解した後、トルエン100mlを
加え共晶錯体を沈殿させた。この沈殿物を濾別した後、
ジクロルメタンを加えて再溶解し、次いでこの溶液にn
−ヘキサン100mlを加えて共晶錯体の沈殿物を得た。
この共晶錯体5gをポリビニルブチラール2gを含有するメ
タノール溶液95mlに加え6時間ボールミルで分散した。
この分散液をカゼイン層を有するアルミ板上に乾燥後に
膜厚が0.4μとなるようにマイヤーバーで塗布し、電荷
発生層を形成した。
次に、フルオレン系化合物例(25)の物質を用い、その
他は実施例1と同様にして上記電荷発生層の上に電荷輸
送層を形成した。こうして作成した感光体について電子
写真特性を実施例1と同様な方法によって測定した。そ
の結果を示す。
V0:−688V、V1:−670V E1/2:1.98lux,sec 初期 VD:−685V、VL:−121V 5万枚耐久後 VD:−677V、VL:−151V 実施例22 実施例21で用いた共晶錯体と同様のもの5gと前記フルオ
レン系化合物例(43)の物質5gとポリエステル(前出と
同じ)のテトラヒドロフラン液150mlに加えて充分に混
合撹拌した。
この液をアルミニウムシート上にマイヤーバーにより乾
燥後の膜厚が15μとなるように塗布した。
この感光体の電子写真特性を実施例1と同様の方法で測
定した。結果を示す。
V0:−691V、V1:−680V E1/2:2.34lux,sec 初期 VD:−680V、VL:−135V 5万枚耐久後 VD:−678V、VL:−159V [発明の効果] 本発明の電子写真感光体は、特定の化合物を電荷輸送物
質として使用したことにより、高感度、耐久時の光およ
び電位安定性が向上し、しかも電子写真利用分野の広範
囲に適用できるという顕著な効果を奏するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 楳原 正滋 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 松本 正和 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭56−22437(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の一般式で示されるフルオレン系化合
    物を含有する層を有することを特徴とする電子写真感光
    体。 一般式 式中R1、R2、R3、R4、R5およびR6は置換基を有してもよ
    いアルキル基、アラルキル基、アリール基または複素環
    基を示し、またR1とR2、R3とR4は、それぞれ窒素原子と
    共に複素環を形成する残基を示し、さらにR5およびR
    6は、一方が水素原子であってもよい。
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