JPH0733304Y2 - 平行融着部付多対丸形ケ−ブル - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、コンピュータ等の電子機器間連絡用ケーブ
ル、一般産業用制御計装ケーブル、ビル内配線用ケーブ
ルとして使用され、可撓性、機械的強度に優れ、さらに
端末処理作業性に優れた平行融着部付多心丸形ケーブル
に係るものである。

［従来の技術と問題点］ 従来電子機器用電線としては、複数本の絶縁線心を集合
または撚合わせた多心ケーブル、あるいは複数本の絶縁
線心を平行配置したフラットケーブルが使用されてい
た。多心ケーブルは、線心を単に集合または撚合わせた
構造であるため、端末処理作業時の線心配列は、識別ま
たは導通チェックにより行う必要があり、多大の工数を
要する欠点があった。また、平行融着部がないため一括
圧接による接続は不可能な状態にあった。フラットケー
ブルは、シースを施してないため機械的に弱点があり、
インターフェース用（機器間連絡用）ケーブルとして使
用できず、また、フラットタイプのため曲げに対して方
向性があり、自由自在の曲げに追従できない欠点があっ
た。

上記のような従来の多心ケーブルおよびフラットケーブ
ルの欠点を改良するために、隣り合う線心同士を長さ方
向で一定間隔毎に容易に分離可能な程度に接着した部分
と接着してない分の繰り返しにより構成されるフラット
ケーブルを丸形に束ね、この上に押え巻および保護シー
スを設けたケーブルが提案されている（実開昭54-71190
号）。

しかしながら、長さ方向に比較的短い間隔でもって隣接
する線心を接着したフラットケーブルを使用しており、
しかも単に横方向に丸めて丸形としたケーブル構造であ
るため、ケーブルを曲げたときにおける各線心の動きが
束縛され、十分な可撓性が得られないという問題があ
る。また、隣り合う線心は部分的に接着されているだけ
であるため、線心間の間隔を一定に保持することが難し
く、一括圧接による接続は困難であるという問題があ
る。

本考案の目的は、前記した従来技術の問題点を解決し、
優れた可撓性を有し、しかも一括圧接接続が容易な改良
された丸形ケーブルを提供することにある。

［問題点を解決するための手段］ 本考案の平行融着部付多対丸形ケーブルは、隣接する線
心間を長さ方向に所定長連続的に接着または融着した平
行融着部と線心を接着または融着させない対撚部をケー
ブル長さ方向に交互に有し、上記平行融着部よりも上記
対撚部が長く形成され、かつ上記対撚部における隣接対
間の対撚方向が逆方向となるように構成されたフラット
ケーブルを捻りを加えて丸形形状に成形し、その外周に
順次押え巻およびシースを設けてしたことを特徴とする
ものである。

本考案の丸形ケーブルは、平行融着部よりも長い対撚部
を有するフラットケーブルを捻りを加えて丸形形状に成
形したものであるため、ケーブルを曲げたときに線心が
比較的自由に動くことができるため、優れた可撓性を有
することになる。また、線心間を長さ方向に所定長連続
的に接着または融着した平行融着部を有したフラットケ
ーブルを使用するため、一括圧接接続が容易である。

［実施例］ 次に、本考案の丸形ケーブルの一実施例を添付図面を参
照して説明する。

２はフラットケーブルであり、長さ方向の所定間隔毎に
平行融着部４と対撚部３が交互に設けられている。

このフラットケーブル２は、捻りを加えながら絞りを加
えて丸形に成形され、その上に図示しないが押え糸また
は押えテープを施して丸形形状に保持されている。さら
に、必要によりシールドが施され、最外周にシース３が
施される。

フラットケーブル２の平行融着部４は、絶縁線心を複数
本並列配置し、長さ方向に所定長連続的に接着剤で線心
間を接着させることにより形成される。接着に代えて、
熱風により熱融着したもの、線心の片面あるいは両面か
らテープを貼り付けるためのものであってもよい。な
お、フラットケーブル２は、少なくともその長さ方向の
端末部となる二箇所に平行融着部４を有する必要があ
る。

フラットケーブル２の対撚部３は、図面上部より、右
（Ｓ）撚、左（Ｚ）撚、右（Ｓ）撚、左（Ｚ）撚……と
いうように、隣接対間の対撚方向が各々逆方向となって
いる。このように、隣接対間の対撚方向が逆方向となっ
ていることにより、対間の漏話が軽減される。対撚部３
は、線心を接着または融着させないバラ線状態にあり、
しかも対撚部３を平行融着部よりも長くなるようにした
ことにより、ケーブルの可撓性を大きく向上できる。

シース１を形成する材料としては、塩化ビニルあるいは
ポリエチレンが使用される。

［考案の効果］ 以上説明してきた通り、本考案による効果は次の通りで
ある。

（１） 平行融着部と対撚部を交互に有するフラットケ
ーブルを捻り成形して丸形形状とするため、可撓性に優
れた丸形ケーブルを得られる。

（２） 平行融着部を有するフラットケーブルを使用す
るため、一括圧接を容易に行うことができる。

（３） フラットケーブルの対撚部は、隣接対間の対撚
方向が逆であるため、漏話が軽減される。

【図面の簡単な説明】

添付図面は本考案ケーブルの一実施例の説明図（一部段
剥ぎ図）である。 1:シース、2:フラットケーブル 3:対撚部、4:平行融着部

フロントページの続き (72)考案者 芳賀 重夫 茨城県日立市日高町５丁目１番１号 日立 電線株式会社日高工場内 (72)考案者 山口 強 茨城県日立市日高町５丁目１番１号 日立 電線株式会社日高工場内 (72)考案者 清水 保富 茨城県日立市日高町５丁目１番１号 日立 電線株式会社日高工場内 (56)参考文献 特開 昭57−136710（ＪＰ，Ａ) 特開 昭59−60909（ＪＰ，Ａ) 実開 昭54−71190（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】隣接する線心間を長さ方向に所定長連続的
   に接着または融着した平行融着部と線心を接着または融
   着させない対撚部をケーブル長さ方向に交互に有し、上
   記平行融着部よりも上記対撚部が長く形成され、かつ上
   記対撚部における隣接対間の対撚方向が逆方向となるよ
   うに構成されたフラットケーブルを捻りを加えて丸形形
   状に成形し、その外周に順次押え巻およびシースを設け
   て構成したことを特徴とする平行融着部付多対丸形ケー
   ブル。