JPH07318551A - クロマトグラフィ−方法及び該方法に使用するクロマトグラフィ−用充填剤 - Google Patents

クロマトグラフィ−方法及び該方法に使用するクロマトグラフィ−用充填剤

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JPH07318551A
JPH07318551A JP6108643A JP10864394A JPH07318551A JP H07318551 A JPH07318551 A JP H07318551A JP 6108643 A JP6108643 A JP 6108643A JP 10864394 A JP10864394 A JP 10864394A JP H07318551 A JPH07318551 A JP H07318551A
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Japan
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temperature
chromatography
filler
group
amino group
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Application number
JP6108643A
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English (en)
Inventor
Yoshikazu Matsushima
美一 松島
Hideko Kanazawa
秀子 金澤
Kazuo Yamamoto
一夫 山本
Shinji Takai
信治 高井
Yasuhisa Sakurai
靖久 桜井
Mitsuo Okano
光夫 岡野
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Japan Science and Technology Agency
Original Assignee
Research Development Corp of Japan
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Publication date
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    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N30/00Investigating or analysing materials by separation into components using adsorption, absorption or similar phenomena or using ion-exchange, e.g. chromatography or field flow fractionation
    • G01N30/02Column chromatography
    • G01N30/50Conditioning of the sorbent material or stationary liquid
    • G01N30/52Physical parameters
    • G01N30/54Temperature

Abstract

(57)【要約】 【目的】水系で生体要素(タンパク質、DNA、糖脂質
等)及び細胞を固体表面との相互作用を外的信号(例え
ば温度)によって制御し、分離あるいは精製することが
できるクロマトグラフィ−用充填剤を使用したクロマト
グラフィ−方法提供することを目的とする。 【構成】移動相を水系に固定したままで、固定相表面の
親水性/疎水性のバランスを外的信号によって変化させ
ることが可能である充填剤を用いて溶質の分離を行うこ
とを特徴とするクロマトグラフィ−方法であり、具体的
には、アミノ基、カルボキシル基、或いは水酸基等を表
面に持つ担体表面を、末端にアミノ基、カルボキシル
基、或いは水酸基等を有するポリアルキルアクリルアミ
ド或いはその共重合体で化学修飾したクロマトグラフィ
−用充填剤を用いたクロマトグラフィ−方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水系で、生体要素(タン
パク質、DNA、糖脂質等)及び細胞を固体表面と細胞
膜との相互作用を外的信号(例えば温度)によって制御
することが可能であるクロマトグラフィ−用充填剤を利
用して分離或いは精製することができるクロマトグラフ
ィ−方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高速液体クロマトグラフィ−(HPL
C)は移動相液体と固定相の組合せが多種多様であり、
試料に応じて種々選択できるので近年種々の物質の分
離、精製に利用されている。しかして、従来使用されて
いるクロマトグラフィ−では固定相の表面構造は変化さ
せずに、移動相中に含まれている溶質と固定相表面との
相互作用を移動相の溶媒を変化させることによって行わ
れている。例えば、多くの分野で使用されているHPL
Cにおいては、固定相としてシリカゲル等の担体を用い
た順相系のカラムではヘキサン、アセトニトリル、クロ
ロホルムなどの有機溶媒を移動相として使用しており、
また水系で分離されるシリカゲル誘導体を担体として用
いた逆相系のカラムではメタノ−ル、アセトニトリルな
どの有機溶媒が使用されている。
【0003】また、陰イオン交換体あるいは陽イオン交
換体を固定相とするイオン交換クロマトグラフィ−では
外的イオン濃度あるいは種類を変化させて物質分離を行
っている。近年遺伝子工学等の急速な進歩により、生理
活性ペプチド、タンパク質、DNAなどが医薬品を含む
様々な分野に広範囲にその利用が期待され、その分離・
精製は極めて重要な課題となっている。特に、生理活性
物質をその活性を損なうことなく分離・精製する技術の
必要性が増大している。
【0004】しかし、従来の移動相に用いられている有
機溶媒、酸、アルカリ、界面活性剤は生理活性物質の活
性を損なうと同時に夾雑物となるために、そのシステム
の改良が期待されている。また、このような物質の環境
汚染の回避という面からもこれらの物質を用いない分離
・精製システムが必要となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、上記の要望を満足すべく種々検討した結果、固定相
の表面構造を、例えば温度などの外的条件を変化させる
ことによって、移動相を変化させることなく溶質と固定
相表面との相互作用を変化させることにより分離・精製
する技術を開発し、本発明を完成したもので、本発明の
目的は、外的条件を変化させることによって固定相の表
面特性を可逆的に変化させ、これによって単一の水系移
動相によって分離、精製可能なクロマトグラフィ−方法
及び該クロマトグラフィ−に使用する固定相としての充
填剤を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、移動相
を水系に固定したままで、固定相表面の親水性/疎水性
のバランスを外的信号によって変化させることが可能で
ある充填剤を用いて溶質の分離を行うことを特徴とする
クロマトグラフィ−方法であり、具体的には、アミノ
基、カルボキシル基、或いは水酸基等を表面に持つ担体
表面を、末端にアミノ基、カルボキシル基、或いは水酸
基等を有するポリアルキルアクリルアミド或いはその共
重合体で化学修飾したクロマトグラフィ−用充填剤を用
いたクロマトグラフィ−方法である。即ち、本発明を用
いることにより、外部温度を臨界温度以上にすることに
よってタンパク質や細胞などの生体要素を疎水性表面に
吸着させ、温度を低下させることにより、これを分離又
は剥離することが可能となる。従って、この際、有機溶
媒、酸、アルカリ、界面活性剤等の薬剤を全く用いない
ので、これらが夾雑物質となることを防ぎ、また、タン
パク質や細胞などの機能を維持したままでの分析と同じ
に分離にも利用することができる。
【0007】従来のクロマトグラフィ−法では1種類の
移動相で種々の化合物が混じっている試料特に極性の大
きく異なる複数の試料を分離・分析する場合、分離が困
難であり、分離に要する時間が大変長くなってしまう。
そのため、このような試料を扱う際には有機溶媒の量や
種類を時間と共に連続的に変化させる溶媒グラディエン
ト法或いは段階的に変化させるステップグラディエント
法により分離を行っているが、本発明による温度グラデ
ィエント法或いはステップグラディエント法では有機溶
媒を使用する代わりに単一の移動相でカラム温度を連続
的或いは段階的に変化させることにより同様の分離を達
成することが可能であり、この方法を採用することによ
って、上述の夾雑物の混入を防止し、タンパク質や細胞
などの機能を維持したままで分離できると共に所望の成
分を温度をコントロ−ルすることによって短時間で分離
が可能なのである。
【0008】本発明において使用するクロマトグラフィ
−用充填剤は、その表面に温度応答性高分子を導入し、
これによって充填剤表面の親水性/疎水性のバランス
が、例えば温度変化によって変化することが可能な充填
剤である。即ち、担体表面を温度応答性高分子である、
例えば末端にアミノ基、カルボキシル基、或いは水酸基
等を有するポリアルキルアクリルアミド或いはその共重
合体で化学修飾した充填剤である。この化学修飾した充
填剤としては、例えば、表面にアミノ基、カルボキシル
基、或いは水酸基等の官能基を有するシリカ担体に前記
のポリアルキルアクリルアミド或いはその共重合体を化
学修飾したものである。そして、アミノ基、カルボキシ
ル基、或いは水酸基等の官能基を有するシリカ担体とし
ては、具体的にアミノプロピルシリカゲル、アミノセフ
ァデックス、アミノガラス、イオン交換樹脂等を挙げる
ことができる。本発明において、ポリアルキルアクリル
アミドとしては、ポリ−(N−イソプロピルアクリルア
ミド)、ポリジエチルアクリルアミド又はポリアクリロ
イルピロリジンの何れか一種が好ましい。従って、本願
発明において使用する好ましいポリアルキルアクリルア
ミド及びその共重合体の構造式を示すと次の通りであ
る。
【0009】
【化1】
【0010】
【化2】
【0011】ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)
は32℃に下限臨界温度を有するので、該分子で化学修
飾した担体はこの臨界温度で親水/疎水に表面物性が変
化するため、これをクロマトグラフィ−の充填剤の表面
にグラフトもしくはコ−ティングして使用した場合、試
料に対する保持力が温度によって変化するため溶離液の
組成を変化させずに保持挙動を温度によってコントロ−
ルすることが可能となる。下限臨界温度を32℃以上に
するためには、イソプロピルアクリルアミドよりも親水
性のモノマ−であるアクリルアミド、メタアクリル酸、
アクリル酸、ジメチルアクリルアミド、ビニルピロリド
ンなどをイソプロピルアクリルアミドと共重合させるこ
とによって調整することが可能である。また、下限臨界
温度を32℃以下にしたいときは、疎水性モノマ−であ
るスチレン、アルキルメタクリレ−ト、アルキルアクリ
レ−トなどとの共重合によって調整することができる。
【0012】また、ポリジエチルアクリルアミドの下限
臨界温度は、約30℃〜32℃であり、この温度を境と
して親水/疎水に表面物性が変化し、前述のポリ−(N
−イソプロピルアクリルアミド)の場合と同様に、試料
に対する保持力が温度によって調整することができる。
本発明で利用される新規なクロマトグラフィ−用担体
は、化学修飾或いは高分子のコ−ティングによって作成
される。化学修飾手段としては表面グラフト法とラジカ
ル重合の2つの方法を用いることができる。またコ−テ
ィング方法としては、適用温度範囲内で不溶とした後、
不溶なものコ−ティングする。これらを図示すると、図
1の通りである。本発明のクロマトグラフィ−担体の製
造方法の具体的手段の一例として次の化学式を参照して
述べる。
【0013】
【化3】
【0014】N−イソプロピルアクリルアミドモノマ−
(1)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)
(AIBNと略記)、3−メルカプトプロピオン酸(M
PAと略記)をN,N−ジメチルホルムアミド溶媒に溶
かし、液体窒素を用いて凍結脱気をした後、70±1℃
においてテロメリゼ−ションによって重合した。これを
濃縮し、ジエチルエ−テルによって沈澱させ片末端にカ
ルボキシル基を持ったポリ(N−イソプロピルアクリル
アミド)(2)を得る。粗生成物は溶解再沈法で精製す
る。これをシリカゲルをいれたデシケ−タ−中に入れ、
常温減圧下にて乾燥する。これを乾燥酢酸エチルに溶解
し、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCCと略
記)、N−ヒドロキシこはく酸イミドを加え室温で反応
させポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)のカルボ
キシル基を活性エステル化した後、濃縮してジエチルエ
−テル中に滴下して沈澱させる。次に常温減圧乾燥し、
活性エステル化ポリ(N−イソプロピルアクリルアミ
ド)(3)を得る。これを純水に溶かしアミノ基含有担
体を加え反応してアミド結合を形成することによりポリ
(N−イソプロピルアクリルアミド)を担体にグラフ
ト、コ−ティングしたもの(4)を得る。本発明におけ
る担体を使用して分離・精製できるものとしては生理活
性を有するタンパク質や細胞などで、具体的に牛血清ア
ルブミン、IgG、フィブリノ−ゲン、フィブロネクチ
ン、トランスフェリン、血液凝固因子等を挙げることが
できる。
【0015】
【実施例】次に実施例をもって、具体的に本発明を説明
する。 実施例1 (a)片末端にカルボキシル基を有するポリ(N−イソ
プロピルアクリルアミド)の合成法 N−イソプロピルアクリルアミド20.0g、3−メル
カプトプロピオン酸0.19g、2,2’−アゾビス
(イソブチロニトリル)0.21gをそれぞれ重合管に
いれ、乾燥N,N−ジメチルホルムアミド50mlを加
えて溶解した。次に液体窒素下で凍結した後真空オイル
ポンプで重合管中の酸素を脱気し、減圧状態のまま重合
管をメタノ−ルに浸しN,N−ジメチルホルムアミド中
の溶存酸素を取り除いた。この凍結脱気の操作を3回繰
り返し行った。脱気が完全にできたら70±1℃のイン
キュベ−タ−で17時間反応させた。次に、室温まで下
がったら減圧濃縮を行う乾燥ジエチルエ−テル中に滴下
させ片末端にカルボキシル基を持ったポリ(N−イソプ
ロピルアクリルアミド)を沈澱させた。この沈澱物をP
TFE(ポリテトラフルオロエチレン)フィルタ−(ポ
アサイズ3.0μm)で濾取し、シリカゲルを入れたデ
シケ−タ−中で減圧乾燥をし、粗生成物18.0gが得
られた。これを乾燥N,N’−ジメチルホルムアミド3
0mlに溶かした後、乾燥ジエチルエ−テル中に滴下
し、その沈澱物をテフロンフィルタ−で濾取した。これ
をデシケ−タ−中で減圧乾燥をおこない精製ポリ(N−
イソプロピルアクリルアミド)を得た。N−イソプロピ
ルアクリルアミド8.0g、N,N−ジメチルアクリル
アミド2.0g、3−メルカプトプロピオン酸0.18
g、N,N’−アゾビスイソブチロニトリル0.1gを
精製したN,N−ジメチルアクリルアミド50mlに溶
解し、上記と同様に脱気封管後70±1℃で12時間重
合した。上記と同様の再沈精製を行い、片末端にカルボ
キシル基を有するN−イソプロピルアクリルアミド共重
合体を得た。得られた共重合体は水溶液中で43℃付近
で相転移を示した。合成の仕込み等に、N−イソプロピ
ルアクリルアミドモノマ−に対するN,N−ジメチルア
クリルアミドモノマ−の量を変化させることによって任
意の温度で相転移を示す共重合体が得られる。得られた
各ポリマ−はテトラヒドフランを溶媒としたゲル濾過ク
ロマトグラフィ−及び酸−塩基測定によりポリ(N−イ
ソプロピルアクリルアミド)が分子量10,000、N
−イソプロピルアクリルアミド−N,N−ジメチルアク
リルアミド共重合体が分子量8,000であり、各分子
末端に約1個のカルボキシル基を有することを確認し
た。
【0016】(b)片末端にカルボキシル基を有するポ
リ(N−イソプロピルアクリルアミド)の活性エステル
化 精製ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)を11.
35gを乾燥酢酸エチル100ml中に溶かし、ジシク
ロヘキシルカルボジイミド1.23g及びN−ヒドロキ
シこはく酸イミド0.69gを加えてよく攪拌しながら
0℃で2時間、室温(20〜25℃)で12時間反応さ
せた。次に、副反応物であるN,N’−ジシクロヘキシ
ル尿素をPTFEフィルタ−で濾取し、その濾液を減圧
濃縮した後乾燥ジエチルエ−テル中に滴下し沈澱したも
のをテフロンフィルタ−で濾取して、常温減圧で溶媒を
留去したものについて、活性エステル化ポリ(N−イソ
プロピルアクリルアミド)を得た。片末端カルボン酸N
−イソプロピルアクリルアミド−N,N−ジメチルアク
リルアミド共重合体も同様にして、活性エステル化し
た。
【0017】(c)活性エステル化ポリ(N−イソプロ
ピルアクリルアミド)とアミノ基担体との結合 活性エステル化ポリ(N−イソプロピルアクリルアミ
ド)2.0gを純水50mlに溶かし、アミノプロピル
シリカゲル6.0gを加え、12時間室温で激しく振と
うして反応させた後冷水500mlで洗浄し、再び活性
エステル化ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)
2.0gを純水50mlに溶かした溶液中に加え、12
時間室温で激しく振とうした。この操作を3回繰り返
し、冷水500mlで洗浄した後、メタノ−ル100m
lで洗浄し、乾燥した。活性エステル化ポリ(N−イソ
プロピルアクリルアミド)3.0gを6mlのN,N−
ジメチルホルミアミドに溶解し、これを表面に一級アミ
ノ基を導入したポリスチレン微粒子浮遊液1ml(直径
1.0±0.03μm、原液濃度:5×1011個/m
l)を24mlの純水で希釈した液に1mlづつ30分
間隔で加え、ゆっくりと転倒混和した。全量を加えた
後、4℃以下で16時間転倒混和した。反応終了後、遠
心分離による回収と冷純化による洗浄を2回繰り返した
後、ハンクス平衡塩溶液(pH7.4)を用いて希釈し
た(6×109、6×1010/ml)。
【0018】次に本発明の担体を用いてクロマトグラフ
ィ−を行った例を示す。 実施例2 (a)空カラムへの充填(湿式スラリ−充填法) ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)修飾シリカゲ
ル2.0gを純水10mlに懸濁し、予め空カラム
(4.6φ×150mm)につないであるパッカ−内に
注ぎ、直ちに蓋を締め圧力が350kg/cm2で2時
間、300kg/cm2で3時間純水を送液して充填し
た。 (b)本発明による充填剤を用いたクロマトグラフィ−
分離例 上記のポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)修飾シ
リカゲルを固定相としたカラムに医薬品のヒドロコルチ
ゾン(1)と酢酸ヒドロコルチゾン(2)の混合物を試
料として注入した場合の分離例を示す。ヒドロコルチゾ
ン(1)と酢酸ヒドロコルチゾン(2)とを混合した試
料を注入し、これを移動相として水を毎分1.0mlの
割合で流し、紫外可視吸光度検出器(測定波長254n
m)を用いて測定した。その結果を図2に示す。図2よ
り5℃、15℃、30℃、50℃と温度をあげることに
より、水のみの移動相で分離可能となったことが示され
る。図2はヒドロコルチゾン(1)と酢酸ヒドロコルチ
ゾン(2)の温変化に伴う保持時間の変化を示した。図
3−aは、ベ−スとなるアミノプロピルシリカゲル担体
を充填剤として用いた場合であり、図3−bは本発明を
用いた充填剤による分離の場合である。図3における温
度の影響を明らかにするために、図4において、1og
k’と1/Tの関係をプロットを示す。明らかにベ−ス
のシリカゲルや従来のクロマトグラフィ−における分離
とは、全く異なった保持挙動を示している。
【0019】(c)本発明による充填剤を用いたクロマ
トグラフィ分離例2 上記のポリ−(N−イソプロピルアクリルアミド)修飾
シリカゲルを固定相としたカラムにベンゼン(基準物
質)および5種のステロイド医薬品との混合物を試料と
して注入した場合の分離例を示す。カラムにベンゼン
(1)、ヒドロコルチゾン(2)、プレドニゾロン
(3)、デキサメサゾン(4)、酢酸ヒドロコルチゾン
(5)、テストステロン(6)の6種を混合した試料を
注入し、これを水を移動相として毎分1.0mlの割合
で流し、紫外可視吸光度検出器(波長254nm)を用
いて測定した。その結果を図5に示す。図5において5
0℃では、15分以上であったテストステロンの溶出時
間をカラム温度を5℃に変化させることにより、6分以
内に短縮することができた。このように外部温度をコン
トロ−ルすることにより自由に試料の溶出時間を変化さ
せることが可能である。また、従来のクロマトグラフィ
−では有機溶媒との混合液を移動相に用いなければ分離
できなかった試料を5℃〜50℃の適当な温度に変化さ
せることにより水のみの移動相によって完全な分離を達
成することができた。
【0020】(d)温度応答性高分子修飾表面とリンパ
球との温度制御クロマトグラフィ− 温度応答性N−イソプロピルアクリルアミド−N,N−
ジメチルアクリルアミド共重合体(IPAAm−DM
A,組成20%モル)をグラフトした微粒子をハンクス
平衡塩溶液に浮遊させ、ガラスカラム(8φ×300m
m)に高さ100mm程度湿式充填した。ラット腸間膜
リンパ節由来のリンパ球浮遊液(3×108cell/
ml)とポリマ−グラフト微粒子浮遊液1ml(6×1
10個/ml)をハンクス平衡塩溶液にて湿潤させたカ
ラム上部に積層した。このカラムを恒温槽中で40℃に
安定させた後、以下の実験を行った。溶離液として40
℃に保温したハンクス平衡塩溶液を用いた場合は、カラ
ム下部からの溶出液中には、リンパ球の溶出は見られな
かった。続いてカラムを恒温槽中で10℃に安定させた
後、10℃のハンクス平衡塩溶液を溶離液として用いた
時、リンパ球は100%溶出した。この溶出液中の生存
率を0.2%ニグロシン溶液を用いて観察した結果、カ
ラムから脱離後にリンパ球は100%生存していること
が確認された。
【0021】
【発明の効果】以上のように、温度応答性高分子を担体
表面に導入した充填剤を固定相として使用することで温
度変化による固定相の表面特性の制御が可能となり、水
中及び水系によって生理活性物質や生きた細胞の分離・
回収やその間に動く相互作用の温度制御が実現され、そ
の結果、単一の水系の移動相によってタンパク質や細胞
などの生体要素の機能を維持したままで分離・回収が可
能と成るので夾雑物の混入を防止することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の担体表面の説明図
【図2】ヒドロコルチゾン(1)と酢酸ヒドロコルチゾ
ン(2)の溶離に及ぼす温度影響を示す。
【図3】ヒドロコルチゾン(1)と酢酸ヒドロコルチゾ
ン(2)の温度変化に伴う保持時間の変化を示す。a図
は充填剤としてアミノプロピルシリカゲル、b図は本発
明の充填剤である。
【図4】移動相として水を用いた場合、カラム中のヒド
ロコルチゾン(1)と酢酸ヒドロコルチゾン(2)に対
するファント ホッフプロット図を示す。a図は充填剤
としてアミノプロピルシリカゲル、b図は本発明の充填
剤である。
【図5】ベンゼン(1)、ヒドロコルチゾン(2)、プ
レドニゾロン(3)、デキサメサゾン(4)、酢酸ヒド
ロコルチゾン(5)、テストステロン(6)の溶離に及
ぼす温度の影響を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 桜井 靖久 東京都杉並区永福3−17−6 (72)発明者 岡野 光夫 千葉県市川市国府台6−12−12

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 移動相を水系に固定したままで、固定相
    表面の親水性/疎水性のバランスを外的信号によって変
    化させることが可能である充填剤を用いて溶質の分離を
    行うことを特徴とするクロマトグラフィ−方法。
  2. 【請求項2】 外的信号が温度変化である請求項1記載
    のクロマトグラフィ−方法。
  3. 【請求項3】 溶質が生体要素もしくは細胞である請求
    項1記載のクロマトグラフィ−方法。
  4. 【請求項4】 充填剤が、担体表面を末端にアミノ基、
    カルボキシル基、或いは水酸基等を有するポリアルキル
    アクリルアミド或いはその共重合体で化学修飾したクロ
    マトグラフィ−用充填剤である請求項1記載のクロマト
    グラフィ−方法。
  5. 【請求項5】 アミノ基、カルボキシル基、或いは水酸
    基等を表面に持つ担体に、末端にアミノ基、カルボキシ
    ル基、或いは水酸基等を有するポリアルキルアクリルア
    ミド或いはその共重合体で化学修飾したクロマトグラフ
    ィ−用充填剤よりなる固定相に溶質を保持させた後、外
    部温度を段階的に変化させる温度グラディエント或いは
    温度によるステップグラディエント法により固定相表面
    の親水性/疎水性のバランスを変化させ、同一の移動相
    を通過させることによって溶質を分離することを特徴と
    するクロマトグラフィ方法。
  6. 【請求項6】 移動相が水系溶媒である請求項5記載の
    クロマトグラフィ−方法。
  7. 【請求項7】 担体表面に、温度応答性高分子を導入し
    たことを特徴とするクロマトグラフィ−用充填剤。
  8. 【請求項8】 温度応答性高分子が末端にアミノ基、カ
    ルボキシル基、或いは水酸基等を有するポリアルキルア
    クリルアミドである請求項7記載のクロマトグラフィ−
    用充填剤。
  9. 【請求項9】 ポリアルキルアクリルアミドが、ポリ−
    (N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリジエチルア
    クリルアミド又はポリアクリロイルピロイジンの何れか
    一種である請求項8記載のクロマトグラフィ−用充填
    剤。
  10. 【請求項10】 アミノ基、カルボキシル基、或いは水
    酸基等を有する担体表面にアミノ基、カルボキシル基、
    或いは水酸基等を有するポリアルキルアクリルアミド或
    いはその共重合体を化学修飾したことを特徴とするクロ
    マトグラフィ−用充填剤。
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