JP4422540B2 - 温度応答性表面及びその利用法 - Google Patents

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Description

本発明は温度という外的信号で特性が変化する表面、及びその利用法に関する。
高速表面(HPLC)は移動相液体と固定相の組合せが多種多様であり、試料に応じて種々選択できるので、近年、種々の物質の分離、精製に利用されてぃる。しかし、従来使用されているクロマトグラフィ−では固定相の表面構造は変化させずに、主に移動相中に含まれている溶質と固定相表面との相互作用を移動相の溶媒を変化させることによって行われている。例えば、多くの分野で使用されているHPLCにおいては、固定相としてシリカゲル等の基材を用いた順相系のカラムではヘキサン、アセトニトリル、クロロホルムなどの有機溶媒を移動相として使用しており、また水系で分離されるシリカゲル誘導体を基材として用いた逆相系のカラムではメタノ−ル、アセトニトリルなどの有機溶媒が使用されている。
また、陰イオン交換体あるいは陽イオン交換体を固定相とするイオン交換クロマトグラフィーでは外的イオン濃度あるいは種類を変化させて物質分離を行っている。近年遺伝子工学等の急速な進歩により、生理活性ペプチド、タンパク質、DNAなどが医薬品を含む様々な分野に広範囲にその利用が期待され、その分離・精製は極めて重要な課題となっている。特に、生理活性物質をその活性を損なうことなく分離・精製する技術の必要性が増大している。
しかし、従来の移動相に用いられている有機溶媒、酸、アルカリ、界面活性剤は生理活性物質の活性を損なうと同時に夾雑物となるために、そのシステムの改良が期待されている。また、このような物質の環境汚染の回避という面からもこれらの物質を用いない分離・精製システムが必要となっている。
このような背景のもと、これまでに種々の検討がなされてきた。その中で特に特公平06−104061号公報で示される技術はそれらの基盤技術にあたる。ここでは、水に対する上限若しくは下限臨界溶解温度が0〜80℃であるポリマーで基材表面を被覆した細胞培養支持体上にて、細胞を上限臨界溶解温度以下又は下限臨界溶解温度以上で培養し、その後、上限臨界溶解温度以上又は下限臨界溶解温度以下にすることにより培養細胞を剥離する技術が記載されている。温度応答性ポリマーが生医学分野の細胞培養材料として初めて利用された例であるが、実は、細胞とは基材表面に付着する際、細胞は自ら接着性蛋白質を分泌しそれを介して付着する。従って、ここでの基材表面から細胞が剥離するという現象は、細胞が分泌した接着性蛋白質も基材表面から剥離することも含まれる。事実、この技術で得られた細胞を再播種したり、生体組織に移植したりするとき、この基材から剥離した細胞は基材や組織と良好に付着する。これは、剥離した細胞が培養時に分泌した接着性蛋白質をそのまま保持していることを意味している。すなわち、ここでの技術が本発明の目的の一つである温度変化で吸着した蛋白質を脱離させるという温度応答性クロマトグラフィー技術のコンセプトそのものである。
このような中、特開平05−133947号公報ではクロマトグラフィー基材として通常使われるシリカゲルやポリマーゲルへ固定化する検討がなされた。しかしながら、実施例を見る限り、実際にその基材を使ったときの溶質の分離した結果(分離チャート)は示されておらず、この基材を用いてどのような物質を分離できるのか、また具体的な課題についても何ら示されておらず、詳細は不明であった。
一方、特開平07−318551号公報では、シリカゲル表面に温度応答性ポリマーを固定化し、その基材を用いての実際に各種ステロイド類、さらにはリンパ球の分離例が示されている。実際にシリカゲル基材表面に固定化された温度応答性ポリマーの特性で各種ステロイド類、さらにはリンパ球を分離させられていることが明確に示されている。しかしながら、ここで例示されている分離結果を見る限り、さらに分離時の理論段数を向上させることが必要であり、このような課題を解決できるような従来技術を大きく改善した革新的な技術が望まれていた。
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決することを意図してなされたものである。すなわち、本発明は、従来技術と全く異なった発想からの新規な温度応答性表面を提供することを目的とする。また、本発明は、その利用法を提供することも目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために、種々の角度から検討を加えて、研究開発を行った。その結果、驚くべくことに、シロキサン骨格のデンドリティックポリマーをクロマト基材表面に薄層状に固定化すると、ある温度を境に急激に基材表面のクロマト分離能が異なる現象を示すことを見出した。本発明者らは、研究開始当初、デンドリティックポリマーの持つ立体規則性、並びに分子鎖外側の高密度に存在する官能基に着目し、このものをクロマトグラフィー基材表面に固定化すれば、基材表面に高密度に官能基を設けることができ、それに上述した温度応答性ポリマーを結合させれば、従来技術の温度応答性クロマトグラフィー基材より高性能なものが得られるものと推測していた。
さらに、本発明者らは、上述した現象はクロマトグラフィー基材表面上だけのものでなく、どのような基材表面上でも同様な機能が発現することを見出した。本発明で示される技術は、従来技術からは全く予想し得なかったもので、従来技術にはなかった新規な温度応答性表面の構築技術として大いに期待される。本発明はかかる知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、シロキサン骨格のデンドリティックポリマー、或いはそれに別のポリマーがグラフト化されたポリマーが基材表面に薄層状に固定化されていることを特徴とする温度応答性表面を提供する。
また、本発明は、その温度応答性表面の利用法を提供する。
本発明に示される技術は従来技術にはなかった新規な素材による温度応答性表面である。このような目的で、従来使われてきた素材は主に含水ゲルであり、その力学的な弱さ、耐久性の低さ等の点で以前から指摘されていた。しかしながら、本発明のシロキサン骨格のデンドリティックポリマーとはいわゆる含水ゲルではなく、これらの課題を解決できるものと推測される。このものを分離基材として利用すれば、医薬品、生体関連物質(タンパク質、DNA、糖脂質等)及び細胞などの有用物を温度だけで分離できるようになる。
本発明者らは、種々検討した結果、シロキサン骨格のデンドリティックポリマーを基材表面に薄層固定化すると、例えば温度などの外的条件を変化させることによってその基材表面の特性を変えられることを見出し、本発明を完成したもので、本発明の目的は、外的条件を変化させることによって基材表面の特性を可逆的に変化させ、これによって、例えば単一の水系移動相によって分離、精製可能なクロマトグラフィ−方法を提供するものである。
以下に本発明を具体的に示す。本発明はシロキサン骨格のデンドリティックポリマー、或いはそれに別のポリマーがグラフト化されたポリマーが基材表面に薄層状に固定化されている表面である。そして、このデンドリティックポリマーだけが薄層状に固定化されていても基材表面に特性に温度応答性が発現する。その理由は、現時点では明確になっていないが、おそらくデンドリティックポリマー自身の持つ機能が、基材表面に薄層状に固定化され、デンドリティックポリマー分子鎖が束縛され大きく変化したためと考えられる。本発明では、クロマトグラフィー基材の親疎水性、デンドリティックポリマー分子鎖中の疎水性基の基材表面への露出程度、分子鎖の揺らぎ、分子鎖の分子認識能、排除限界、ガラス転移点等のいずれか一つ、もしくは二つ以上の因子が重なり合った結果と考えられるが、この理由は本発明の技術を何ら制約するものではない。
本発明で示すデンドリティックポリマーとはシロキサン骨格であれば特に制約されるものではないが、例えば再公表特許WO2004/074177号公報で示されているものが挙げられ、具体的にはビス(ジメチルビニルシロキサン)メチルシラン、トリス(ジメチルビニルシロキサン)シラン、ビス(ジメチルアリルシロキサン)メチルシラン、トリス(ジメチルアリルシロキサン)シランを単独、もしくは2種以上を混合して重合したものでも良い。
本発明では、そのデンドリティックポリマーに別のポリマーがグラフト化されていても良い。その際、グラフト化されるポリマーは特に限定されるものではないが、本発明で薄層固定されたデンドリティックポリマーに温度応答性が発現していることから、グラフト化されるポリマーも同じように温度応答性ポリマーである方が好ましい。また、デンドリティックポリマーが構造上、疎水性基が密にキャッピングされたものであることから、それとは逆の親水性ポリマーがグラフト化されているものが好ましい。グラフトポリマーは温度応答性ポリマーと親水性ポリマーのいずれか一つ、もしくは双方を含んでいても良い。
本発明に用いる温度応答性ポリマーは下限臨界溶解温度(LCST)を有するポリマー、上限臨界溶解温度(UCST)を有するポリマーが挙げられるが、それらのホモポリマー、コポリマー、或いは混合物のいずれであってもよい。このような高分子としては、例えば、特公平06−104061号公報に記載されているポリマーが挙げられる。具体的には、例えば、以下のモノマーの単独重合または共重合によって得られる。使用し得るモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド化合物、N−(若しくはN,N−ジ)アルキル置換(メタ)アクリルアミド誘導体、またはビニルエーテル誘導体、ポリビニルアルコール部分酢化物が挙げられ、コポリマーの場合は、これらの中で任意の2種以上を使用することができる。更には、上記モノマー以外のモノマー類との共重合、ポリマー同士のグラフトまたは共重合、あるいはポリマー、コポリマーの混合物を用いてもよい。また、ポリマー本来の性質を損なわない範囲で架橋することも可能である。その際、分離される物質が生体物質であることから、分離が5℃〜50℃の範囲で行われるため、温度応答性ポリマーとしては、ポリ−N−n−プロピルアクリルアミド(単独重合体の下限臨界溶解温度21℃)、ポリ−N−n−プロピルメタクリルアミド(同27℃)、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド(同32℃)、ポリ−N−イソプロピルメタクリルアミド(同43℃)、ポリ−N−シクロプロピルアクリルアミド(同45℃)、ポリ−N−エトキシエチルアクリルアミド(同約35℃)、ポリ−N−エトキシエチルメタクリルアミド(同約45℃)、ポリ−N−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド(同約28℃)、ポリ−N−テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド(同約35℃)、ポリ−N,N−エチルメチルアクリルアミド(同56℃)、ポリ−N,N−ジエチルアクリルアミド(同32℃)などが挙げられる。
本発明に用いられる親水性ポリマーとしては、ホモポリマー、コポリマーのいずれであっても良い。例えば、ポリアクリルアミド、ポリ−N、N−ジエチルアクリルアミド、ポリ−N、N−ジメチルアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸及びその塩、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース、カルボキシメチルセルロースなどの含水ポリマーなどが挙げられるが、特に制約されるものではない。
本発明で示すデンドリティックポリマーは末端がメチル基などの疎水性基でキャッピングされているもの、もしくはそのデンドリティックポリマーにデンドリティックポリマーとは別のポリマーがグラフト化されたものである。基材表面に薄層固定化した際に温度応答性を発現するにはポリマーの炭素原子濃度が0.5〜45%であることが必要で、好ましくは1〜30%であり、さらに好ましくは3〜25%である。0.5%未満、もしくは45%より高い濃度の場合では5℃〜50℃の範囲内で基材表面の特性が変わらなくなり、本発明のポリマーとして好ましくない。
被覆されるポリマーの分子量は特に限定されるものではないが、1000〜100000の範囲内が良く、好ましくは1500〜80000、さらに好ましくは2000〜65000のものが良い。分子量が1000以下であると、分子量が低すぎるため、金属酸化物に被覆させても十分な被覆量を得ることができず好ましくない。また、分子量が100000以上であると、今度はポリマーの分子量が高すぎるため、分子そのものがかさ高くなり被覆量もかえって減少してしまうこととなり好ましくない。
また、本発明で示すシロキサン骨格のデンドリティックポリマー、或いはそれに別のポリマーがグラフト化されたポリマーが基材表面に薄層状に固定化されていることを特徴とする。基材上へのポリマーの被覆量が多すぎると基材表面の温度応答性は発現しなくなり、従ってポリマーの被覆量は0.05〜8.0mg/mの範囲が良く、好ましくは0.1〜5.0mg/mの範囲、さらに好ましくは0.5〜3.0mg/mの範囲が良い。0.05mg/m以下であると温度応答性が認められなくなり、また8.0mg/mより高い値であっても温度応答性が認められなくなる。固定化量の測定は常法に従えば良く、例えば元素分析、ESCAを量などが挙げられるがいずれの方法を用いても良い。
本発明では上述したポリマーを基材表面に固定化したものである。その固定化方法としては、特に制約されるものではないが、例えば50〜80℃のポリマー溶液中に浸漬することで固定化することができる。その際、反応液温度は特に限定されるものではなく、反応液の状態は静置させても攪拌しても良いが、基材表面に均一に固定化することを考えると後者の方が好ましい。
そのような基材の材質としては、特に限定されるものではないが、例えばシリカゲル、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ニッケルの単独、もしくは2種以上を組み合わせたものが挙げられ、目的に応じて使い分ければ良い。
本発明で使用される基材の形状は何ら制約されるものではないが、例えば粒状、糸状、板状、チューブ状、フィルム状の単独、もしくは2種以上を組み合わせたものでも良い。
本発明で示すところの技術とは、シロキサン骨格のデンドリティックポリマー、或いはそれに別のポリマーがグラフト化されたポリマーは基材表面に強固な結合が形成される。その結合により、本発明の示す温度応答性を発現することとなる。その結合様式は共有結合であっても、或いは水素結合、疎水結合などによる吸着されたものであっても、さらにはそれらが組み合わさったものでも良く、特に限定されるものではない。いずれにせよ、前述したように本発明の技術は含水ゲルを利用する技術でないため基材表面の力学的特性、並びに耐久性の良いものとなる。
本発明では、こうして得られた基材を例えば温調装置に装着すれば、温度応答性システムとして利用される。その際、基材への温度の負荷方法は特に制約されないが、例えば基材を充填したカラムの全部、もしくは一部を所定の温度にしたアルミブロック、水浴、空気層、ジャケットなどに装着すること等が挙げられる。
また、本発明で得られた基材を例えば温度応答性液体クロマトグラフィー担体とし、それをカラムに充填し通常の液体クロマトグラフィー装置に取り付ければ、液体クロマトグラフィーシステムとして利用される。その際、本発明の分離はカラム内に充填された担体の温度に影響される。その際、担体への温度の負荷方法は特に制約されないが、例えば担体を充填したカラムの全部、もしくは一部を所定の温度にしたアルミブロック、水浴、空気層、ジャケットなどに装着すること等が挙げられる。
その分離方法は特に限定されるものではないが、例えば、担体が充填されたカラムを一定の温度下で溶質の分離を行う方法、あらかじめ担体表面の特性が変わる温度を確認しておき、その温度を挟むようにして温度変化させながら溶質を分離する方法、得られた温度応答性液体クロマトグラフィー担体に溶質を一度吸着させ、その後、温度を変えて担体表面の特性を変化させることで吸着した溶質を遊離させる方法、2種類以上の温度応答性液体クロマトグラフィー担体を同一カラム内に充填し担体表面の特性が変わる温度を挟むようにして温度変化させながら溶質を分離する方法、温度応答性液体クロマトグラフィー担体を用い、担体表面の特性が変わる温度を挟むようにしてカラム入口端温度とカラム出口端温度を設定し、カラム内の温度を入口端から出口端まで温度勾配をつけることで溶質を分離する方法等が挙げられる。
本発明で得られた温度応答性液体クロマトグラフィー担体を利用したクロマトグラフィーは、以上に示してきたように移動層を固定したまま温度だけで溶質の分離を行えるものである。その際、移動相が100%水系が好ましいが、本発明の場合、担体表面に固定化されているデンドリティックポリマーの特性によるため移動相の組成には特に制約されるはなく、例えば移動相に溶媒含まれていても、pHを変えても、塩を含んでいても良い。その際、溶媒濃度を変え、溶媒グラジエント法を併用して本発明の担体を利用しても構わない。また、移動相が100%有機溶媒でも構わない。
以上に示してきたように本発明で得られた温度応答性表面は含水ゲルを用いないものであるため力学的特性、耐久性に優れるものである。従って、本発明は例えば温度制御可能なクロマトグラフィー担体、物質透過膜、流路、各種デバイス素子、遮光剤、塩濃度センサー、印刷表面、医療基材、凝集剤、分散剤等へ広範囲に展開できる。
以下に、本発明を実施例に基づいて更に詳しく説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
(参考例1)
ジメチルビニルシラノールの合成
還流管をつけた1Lの三口フラスコを窒素置換した後、氷浴中でエチルエーテル700mlを入れ、アニリン8.38g(0.09mol)、水1.48g(0.087mol)を加え攪拌した。50mlのエチルエーテルにあらかじめ溶解しておいたビニルジメチルクロロシラン10g(0.082mol)をゆっくりと滴下し、室温で15分攪拌した。反応は化6に示すとおりである。生成する塩を濾過により除去後、無水硫酸マグネシウムで脱水を行い、溶媒を減圧留去し、目的物を得た。収率は70%であった。
(参考例2)
ビス(ジメチルビニルシロキシ)メチルシランの合成
還流管をつけた1Lの三口フラスコを窒素置換した後、氷浴中でエチルエーテル500ml、トリエチルアミン8.21g(0.081mol)を入れ、7.54g(0.074mol)のジメチルビニルシラノールを加え攪拌した。これへ、50mlのエチルエーテルに溶解したジメチルシラン4.24g(0.037mol)をゆっくりと滴下し、室温で20分間攪拌した。反応は化7に示すとおりである。生成する塩を濾過により除去後、エバポレーターで低沸点溶媒等を除去した。蒸留により、無色透明のビス(ジメチルビニルシロキシ)メチルシランを得た。収率は69%であった。沸点(bp)は65〜68℃(0.5torr)であった。
(参考例3)
デンドリティックポリマーポリマーの合成
還流管をつけた100mlの三口フラスコを窒素置換した後、このフラスコ中でビス(ジメチルビニルシロキシ)メチルシラン2.49g(0.01mol)を50mlのTHFに溶解した。Karstedt触媒(platinum(0)−1,3−divinyl−1,1,3,3−tetramethyldisiloxane complex 0.1M in xylene)を数滴加え、IRスペクトルで完全にSi−H基が消失するまで加熱還流し、室温まで冷却した。エバポレーターで低沸点溶媒等を除去後、アセトニトリルに生成物を滴下して無色粘性液状のポリマーを得た。収率は93%であった。ポリスチレンを標準とし、THFを展開溶媒とするGPC分量測定の結果、重量平均分子量は6000であった。
(デンドリティックポリマーのガラス板への固定化反応)
参考例3のデンドリティックポリマー5gとスライドグラス1枚をアセトン・ヘキサン混合液(1:1)200mlに加え、24時間加熱還流した。これによりスライドグラス表面にデンドリティックポリマーを共有結合させた。室温まで冷却した。得られたスライドグラスをアセトン100mlで十分に洗浄し、室温で一晩減圧乾燥した。得られたデンドリティックポリマーが固定化されたスライドガラス上に0.5mm厚の流路を設けたスペーサー、並びに別のスライドガラスを挟み、デンドリティックポリマーが固定化されたスライドガラス平面上で溶質の分離を行う装置を組み上げ、以下の評価を行った。
2種類のステロイドを精製水に溶解し、次の濃度を有するステロイド混合溶液10mlを調製した。調製後、混合液をPTFEフィルター(0.2μm)で濾過した。
試料A
1.ヒドロコルチゾン 0.03mg/ml
2.テストステロン 0.02mg/ml
デンドリティックポリマーを固定したプレート表面上で試料Aの2種のステロイドが分離することを確認した。プレートに試料A、移動相に66.7mMリン酸緩衝液、流速0.5ml/min.UV(紫外可視吸光度検出器)により254nmの波長で検出を行った。プレートを恒温槽に設置し、表面温度を変化させてステロイドの分離を行った。得られた結果を図1に示す。温度変化によってステロイドの保持時間を制御できることが確認できた。
本発明に記載される方法であれば、クロマトグラフィー基材の温度変化だけでペプチド、蛋白質も広範囲に分離させられるようになる。そのため分離操作が簡便となり、分離作業の効率性が良くなる。さらに、デンドリティックポリマー自身の持つ立体規則性を活用し、溶質の分子構造の違いによる分離も可能となる。この方法で得られる分離操作は、たとえば医薬品開発への利用が強く期待される。したがって、本発明は医学、生物学等の分野における極めて有用な発明である。
実施例1に示すステロイドの分離をした図である。

Claims (12)

  1. シロキサン骨格のデンドリティックポリマー、或いはそれに別のポリマーがグラフト化されたポリマーが基材表面に薄層状に固定化されていることを特徴とする温度応答性表面。
  2. デンドリティックポリマーが、ビス(ジメチルビニルシロキサン)メチルシラン、トリス(ジメルビニルシロキサン)シラン、ビス(ジメチルアリルシロキサン)メチルシラン、トリス(ジメチルアリルシロキサン)シランを単独、もしくは2種以上を混合して重合したものである、請求項1記載の温度応答性表面。
  3. 別のポリマーが温度応答性を有するポリマー、親水性ポリマーのいずれか一つ、もしくは双方からなる、請求項1、2いずれか1項記載の温度応答性表面。
  4. 温度応答性を有するポリマーが、ポリ−N−置換アクリルアミド誘導体、ポリ−N−置換メタアクリルアミド誘導体、これらの共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール部分酢化物のいずれか一つ、もしくは二つ以上からなる、請求項3記載の温度応答性表面。
  5. 温度応答性を有するポリマーがポリ−N−イソプロピルアクリルアミドである、請求項3、4いずれか1項記載の温度応答性表面。
  6. ポリマーの炭素原子濃度が0.5〜45%である、請求項1〜5いずれか1項記載の温度応答性表面。
  7. 基材上へのポリマーの被覆量が0.05〜8.0mg/m である、請求項1〜6いずれか1項記載の温度応答性表面。
  8. シロキサン骨格を有するデンドリティックポリマー、或いはそれに別のポリマーがグラフト化されたポリマーの溶液に、基材を浸すことを特徴とする温度応答性表面の製造方法。
  9. ポリマーが、ビス(ジメチルビニルシロキサン)メチルシラン、トリス(ジメルビニルシロキサン)シラン、ビス(ジメチルアリルシロキサン)メチルシラン、トリス(ジメチルアリルシロキサン)シランを単独、もしくは2種以上を混合して重合したものである、請求項8記載の温度応答性表面の製造方法。
  10. 別のポリマーが温度応答性を有するポリマー、親水性ポリマーのいずれか一つ、もしくは双方からなる、請求項8記載の温度応答性表面の製造方法。
  11. 基材上へのポリマーの被覆量が0.05〜8.0mg/m である、請求項8〜10いずれか1項記載の温度応答性表面の製造方法。
  12. 基材が、シリカ、ガラス、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ニッケルの単独、もしくは2種以上を組み合わせたものである、請求項8〜11いずれか1項記載の温度応答性表面の製造方法。
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