JPH05133947A - 液体クロマトグラフイー用担体およびそれを用いた液体クロマトグラフイー法 - Google Patents

液体クロマトグラフイー用担体およびそれを用いた液体クロマトグラフイー法

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JPH05133947A
JPH05133947A JP3260297A JP26029791A JPH05133947A JP H05133947 A JPH05133947 A JP H05133947A JP 3260297 A JP3260297 A JP 3260297A JP 26029791 A JP26029791 A JP 26029791A JP H05133947 A JPH05133947 A JP H05133947A
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temperature
carrier
liquid chromatography
lcst
polymer compound
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JP3260297A
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Yuichi Mori
森  有一
Hiroshi Yoshioka
浩 吉岡
Rollin Collwell Bruce
ブルース・ロリン・コールエル
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WR Grace and Co
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    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N30/00Investigating or analysing materials by separation into components using adsorption, absorption or similar phenomena or using ion-exchange, e.g. chromatography or field flow fractionation
    • G01N30/02Column chromatography
    • G01N30/50Conditioning of the sorbent material or stationary liquid
    • G01N30/52Physical parameters
    • G01N30/54Temperature

Abstract

(57)【要約】 【目的】 有機溶媒を使用せずに溶質を溶出・分離する
ことが可能であり、かつ生体関連物質を変性させること
なく分離することができる簡便な液体クロマトグラフィ
ー法を提供すること。 【構成】 LCSTを有する水不溶化温度感応性高分子
化合物を含有する液体クロマトグラフィー用担体および
それを利用した液体クロマトグラフィー法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、LCSTを有する水不
溶化温度感応性高分子化合物を含有する液体クロマトグ
ラフィー用担体に関する。さらに詳しくは、温度を変化
させることによって親水的性質、疎水的性質を変化させ
ることが可能な液体クロマトグラフィー用担体に関す
る。また、該液体クロマトグラフィー用担体を用いた液
体クロマトグラフィー法に関する。
【0002】
【従来の技術】液体クロマトグラフィ−はカラム中に充
填された担体中を溶質の混合相が移動する際にそれぞれ
の溶質と担体との相互作用の差異によって溶質を分離し
て溶出する技術である。相の移動は圧力を印加すること
によって行われる。溶質と担体との相互作用は物理的相
互作用と化学的相互作用に分類される。物理的相互作用
とは担体の物理的形状が溶質の形や大きさを認識するこ
とを意味し、化学的相互作用は溶質と担体と移動相の三
つの成分の間に働く化学的親和力、即ち、静電力、水素
結合力、双極子間力、ファンデルワールス力、疎水結合
力などによって代表される。
【0003】一方、液体クロマトグラフィーの分離機構
を現象面から分類すると分子ふるい、分配、吸着の三つ
に大別される。分子ふるいが上記の物理的相互作用に対
応し、分配と吸着が化学的相互作用に対応する。本発明
の液体クロマトグラフィー用担体は後者の分配と吸着と
いう化学的相互作用を利用したものである。液体クロマ
トグラフィーにおける溶質の保持は溶質と担体間および
溶質と移動相間の親和力の強さのバランスによってコン
トロールされる。一般的に移動相よりも担体の方が極性
の強い場合を順相クロマトグラフィーと呼び、担体より
も移動相の方が極性が強い場合を逆相クロマトグラフィ
ーと呼ぶ。
【0004】原則として、溶質が移動相よりも担体に親
和力が強い系を選択することがよい分離を得るために重
要であり、極性の強い溶質の場合には順相クロマトグラ
フィーが、非極性の場合には逆相クロマトグラフィーに
よる分離がそれぞれ適している。即ち、従来の液体クロ
マトグラフィー法では移動相として極性の強い水と弱い
有機溶剤あるいはその混合物が、また担体としては極性
の強い親水性あるいは電荷を有するもの、極性の弱い疎
水性のものがそれぞれ適宜、選択して使用されていてそ
の組み合わせ方が分離効率を大きく左右することがわか
っている。従来、使用されている担体としてはシリカゲ
ル系充填剤とポリマーゲル系充填剤の2種類に大別され
る。シリカゲル系充填剤は主として水系の極性溶媒を用
いたタンパク質などの生体関連化合物の逆相クロマトグ
ラフィー用に用いられてきた。特にシリカゲル表面に直
鎖のアルキル基(C18、C8、C1)、フェニル基、シア
ノ基などの疎水性基が導入されたものが今日、最も一般
的に逆相クロマトグラフィー用担体として使用されてい
る。一方、ポリマーゲル系充填剤としてはポリスチレン
系ゲル、ポリメタクリル酸系ゲル、ポリ酢酸ビニル系ゲ
ル、ポリビニルアルコール系ゲル、デンプン系ゲルなど
があり、上記の順序で疎水性が低下する。いずれのポリ
マーゲルにも架橋構造が導入されている。さらに強い極
性を付与した順相クロマトグラフィー用にはゲルの表面
にポリエチレングリコールが導入されたもの、水酸基が
導入されたものがそれぞれ開発されている。一方、逆相
クロマトグラフィー用としてゲル表面に疎水性の強い直
鎖アルキル基、フェニル基などが導入されたものが開発
されている。
【0005】一方、移動相としてはn−ヘキサン、シク
ロヘキサン、ベンゼン、四塩化炭素などの非極性溶媒が
主として順相クロマトグラフィー用として、水、メタノ
ール、アセトニトリルなどの極性溶媒が主として逆相ク
ロマトグラフィー用としてそれぞれ使用されている。近
年では特に逆相クロマトグラフィーの場合に担体に疎水
的結合によって吸着し溶離の困難な系に溶離を促進する
ための移動相中の水に対する有機溶媒含有量を連続的に
増加させて溶離するというグラジェント溶出法が有効で
あることがわかり、汎く行われるようになってきた。特
にタンパク質のように生体関連物質には水溶液中で担体
と疎水結合を形成し溶離の困難なものが多く上述のグラ
ジェント溶出法は非常に有効であることがわかってき
た。しかしながらタンパク質のような高次構造を有しか
つその構造が活性と密接に関連している化合物の場合は
有機溶剤の添加は致命的な活性の失活を誘発するという
重大な問題点があることがわかってきた。特に今日、生
体関連化合物の分離において最も効果的な手段である逆
相クロマトグラフィーにおいてこの問題は致命的であ
り、従来、開発されてきた移動相あるいは充填剤などに
関する液体クロマトグラフィー用技術ではこの問題の解
決は困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上述し
たように従来の液体クロマトグラフィーにおける問題点
を解決することにある。即ち特に、逆相クロマトグラフ
ィーにおいて、溶質の担体からの溶離を促進するために
添加する有機溶媒がタンパク質などの生体関連化合物の
変性を誘発するという問題点を解決し、温度を変えて疎
水性度あるいは親水性度を変化させることで分離および
溶離を可能にする液体クロマトグラフィー用担体および
それを用いた液体クロマトグラフィー法を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的は新規な液体
クロマトグラフィー用担体およびそれを用いた新しい液
体クロマトグラフィー法を提供することによって達成さ
れた。
【0008】本発明はLCSTを有する水不溶化温度感
応性高分子化合物を含有することを特徴とする液体クロ
マトグラフィー用担体およびそれを用いた液体クロマト
グラフィー法からなる。ここでLCST(Lower Critic
al Solution Temperature)とは温度感応性高分子化合
物の水和と脱水和の転移温度をいう。
【0009】本発明の液体クロマトグラフィー用担体は
LCSTを有する水不溶化温度感応性高分子化合物を含
有するものであり、液体クロマトグラフィーに有効に使
用しうるものであれば、その構造、形状は特に制限され
ない。
【0010】LCSTを有する温度感応性高分子化合物
は水の共存下でLCST以上の温度では疎水的性質を示
し、LCST以下に温度を下げると親水的性質に変化す
る。その疎水性と親水性の間の変化は可逆的である。
【0011】温度感応性高分子化合物の状態変化は、水
和と脱水和によるものとされている。これについては、
Haskins, M., et al., J. Macromol, Sci.-Chem.,A2
(8),1441, 1968 に、該高分子化合物のひとつであるポ
リ−N−イソプロピルアクリルアミド(以下"PNIP
AAm")を例に挙げて説明がなされている。PNIP
AAmは水に対する溶解度温度係数が負の高分子化合物
である。そして、低温においては、PNIPAAm分子
と水分子との水素結合に依存する水和物(オキソニウム
ヒドロキシド)が生成している。しかし、これはLCS
T以上に温度を上げることによって分解し、脱水和する
ため、結果としてPNIPAAm分子同士が凝集して沈
殿するとされている。
【0012】上記変化は該温度感応性高分子化合物に架
橋構造を導入したもの、また該温度感応性高分子化合物
をグラフト重合したものについても観察される。
【0013】液体クロマトグラフィー用充填剤として該
温度感応性高分子化合物を含有する担体を用いると充填
剤の疎水的性質あるいは親水的性質、即ち極性を温度に
よって可逆的に変えて溶質の分離を実施することが可能
である。LCST以下では該充填剤は極性を有しLCS
T以上に温度が上昇すると該充填剤の極性が低下し逆相
クロマトグラフィーに変化する。
【0014】本発明の担体のこのような性質を利用する
ことによって、新しい液体クロマトグラフィー法が開発
されたということができる。
【0015】本発明の液体クロマトグラフィー法は、L
CSTを有する水不溶化温度感応性高分子化合物を含有
する担体に試料をチャージした後、LCSTの上下で経
時的に温度を変化させることを特徴とする。温度変化
は、LCST以上の温度からLCST以下の温度への変
化であっても、LCST以下の温度からLCST以上の
温度への変化であってもよい。また、いったんLCST
を経る温度変化をさせた後、再度LCSTを経る温度変
化をさせてもよい。
【0016】例えば、まずLCST以上の温度で逆相ク
ロマトグラフィーを行うことによって溶質を疎水的結合
によって担体上に保持し、次に温度をLCST以下に下
げることによってこの溶質を溶離することができる。本
発明の方法によれば、溶離に際し有機溶媒を印加する必
要がない。このため、従来から問題になっていた変性等
が生じないため、本発明の方法はタンパク質などの生体
関連化合物の分離にとくに有用である。また、充填剤の
温度をLCST以上の温度から経時的にLCST以下の
温度に低下させることによって、水と有機溶媒の混合組
成比を連続的に変えて溶出する従来のグラジェント溶出
法と同様の効果を発揮させることも可能である。この場
合、担体の疎水性を広い温度範囲にわたって連続的に変
化させることが好ましく、これはLCSTの異なる複数
の水不溶化高分子化合物を組み合わせて用いることによ
り達成される。
【0017】本発明の方法は、カラムの温度を変化させ
るだけでよいため操作が簡便であり、有機溶媒を使用し
ないですむため生体関連物質の変性のおそれがなく、し
かも、展開液として用いる混合溶媒の混合比を連続的に
変化させるという従来法の煩わしい操作を必要としない
点で極めて有用である。
【0018】また、本発明の別の実施態様として、該担
体を充填したカラムの試料入口端と試料出口端に温度勾
配を作り分離を実施することも可能である。即ち、入口
端をLCST以下の温度に、出口端をLCST以上の温
度に設定すると充填剤の性質は入口側では極性が強く、
出口側に行くにしたがって非極性になり、極性の勾配を
作ることが可能である。また、上記と全く逆の勾配を作
ることも可能である。上記したような極性に勾配を有し
たカラムを用いることによって従来、分離が困難であっ
た系でも分離が可能になると考えられる。このため、本
発明のクロマトグラフィー法の応用範囲は極めて広く、
本発明の実用性、有効性は極めて高いものである。
【0019】本発明の担体として使用するに先立って水
不溶化される温度感応性高分子化合物としては、ポリN
置換アクリルアミド誘導体、ポリN置換メタアクリルア
ミド誘導体およびこれらの共重合体、ポリビニルメチル
エーテル、ポリエチレンオキサイド、エーテル化メチル
セルロース、ポリビニルアルコール部分酢化物などが挙
げられる。特に好ましいのは、ポリN置換アクリルアミ
ド誘導体またはポリN置換メタアクリルアミド誘導体ま
たはこれらの共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ポ
リビニルアルコール部分酢化物である。
【0020】好ましい高分子化合物を以下にLCSTが
低い順に列挙する。
【0021】ポリーN−アクリロイルピペリジン;ポリ
ーN−n−プロピルメタアクリルアミド;ポリーN−イ
ソプロピルアクリルアミド;ポリーN,N−ジエチルア
クリルアミド;ポリーN−イソプロピルメタアクリルア
ミド;ポリーN−シクロプロピルアクリルアミド;ポリ
ーN−アクリロイルピロリジン;ポリーN,N−エチル
メチルアクリルアミド;ポリーN−シクロプロピルメタ
アクリルアミド;ポリーN−エチルアクリルアミド;上
記の高分子は単独でも、他の単量体と共重合してもよ
い。共重合する単量体としては、親水性単量体、疎水性
単量体のいずれも用いることができる。一般的には親水
性単量体と共重合するとLCSTは上昇し、疎水性単量
体と共重合するとLCSTは下降する。従って、これら
を選択することによっても所望のLCSTを有する高分
子化合物を得ることができる。
【0022】親水性単量体としては、N−ビニルピロリ
ドン、ビニルピリジン、アクリルアミド、メタアクリル
アミド、N−メチルアクリルアミド、ヒドロキシエチル
メタアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒ
ドロキシメチルメタアクリレート、ヒドロキシメチルア
クリレート、酸性基を有するアクリル酸、メタアクリル
酸およびそれらの塩、ビニルスルホン酸、スチルスルホ
ン酸など、並びに塩基性基を有するN,N−ジメチルア
ミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエ
チルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル
アクリルアミドおよびそれらの塩などが挙げられるがこ
れらに限定されるものではない。
【0023】一方、疎水性単量体としては、エチルアク
リレート、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレ
ート、n−ブチルメタクリレート、グリシジルメタクリ
レート等のアクリレートまたはメタクリレート誘導体、
N−n−ブチルアクリルアミドまたはメタアクリルアミ
ドなどのN置換アルキルアクリルアミドまたはメタアク
リルアミド誘導体、塩化ビニル、アクリロニトリル、ス
チレン、酢酸ビニルなどが挙げられるが、これらに限定
されるものではない。
【0024】上記温度感応性高分子化合物を水不溶化す
る方法の一つとして、該温度感応性高分子化合物に架橋
構造を導入する方法がある。
【0025】例えば、上記温度感応性高分子化合物自身
から液体クロマトグラフィー用担体を作製する場合、好
ましい方法として懸濁重合法あるいは分散重合法を行
う。分散媒の種類、粘度、撹拌速度、分散安定剤の種
類、添加溶媒などによって担体の粒子径および細孔径な
どを調節することが可能である。粒子径としては1〜1
00μm、好ましくは2〜10μm;細孔径としては50
〜5000Å、好ましくは100〜500Åである。
【0026】得られた高分子化合物に光、電子線、γ線
照射を行うことにより分子間に架橋を形成することがで
きる。
【0027】温度感応性高分子化合物を水不溶化する別
の方法として、該高分子化合物の形成に用いられる単量
体とこれと共重合しうる多官能性単量体、例えば、N,
N−メチレンビスアクリルアミド、ヒドロキシエチルジ
メタクリレート、ジビニルベンゼン等を常法により共重
合させ架橋構造を有する共重合体を作製することができ
る。
【0028】温度感応性高分子化合物を水不溶化する更
に別の方法として、該高分子化合物の水溶液を支持体に
塗布し、次いで塗布膜に光、電子線、γ線照射を行うこ
とにより分子間に架橋を形成することができる。
【0029】温度感応性高分子化合物を水不溶化する別
の方法として、前記温度感応性高分子化合物の形成に用
いられる少なくとも一種の単量体を支持体にグラフト重
合することができる。この場合、通常用いられる方法の
うち、支持体の材質、形状等を考慮した最適の方法が選
択される。例えば、低温プラズマ重合法は支持体の表面
のみにグラフト重合が可能であり、支持体のバルクの性
質を損なうことが少ない。また、オゾン酸化法、セリウ
ムイオン法等の通常のグラフト重合法も用いることがで
きる。
【0030】温度感応性高分子化合物を水不溶化する他
の方法として、前記温度感応性高分子化合物を支持体に
グラフトすることもできる。
【0031】本発明において使用できる支持体として
は、今日液体クロマトグラフィー用充填剤として使用さ
れているシリカゲル、ポリマーゲルおよびポリスチレ
ン、ポリメチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリ
ビニルアルコール等のポリマーを挙げることができる
が、これらに限定されるものではない。シリカゲル、ポ
リマーゲル等の多孔質支持体を使用する場合、あらかじ
め所望の孔径、粒径を有するものを用意することが好ま
しい。また、これらの多孔質支持体に温度感応性高分子
化合物をグラフトする場合、支持体の細孔をふさがない
よう該温度感応性高分子化合物の分子量は、数平均分子
量が500以上5000以下であることが好ましい。こ
のような分子量の制御された高分子化合物を支持体に導
入するには、連鎖移動反応によって高分子末端に反応活
性な官能基を導入した分子量の制御された高分子(オリ
ゴマー)を合成し、これとあらかじめ高分子末端の官能
基と反応しうる官能基を表面に導入した支持体とを反応
結合させればよい。
【0032】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明の範囲は特許請求の範囲の項の記
載により定まるものであり、以下の実施例により制限を
受けるものではない。
【0033】実施例1 スチレンとジビニルベンゼンの共重合体であるポリスチ
レンゲル(PolymerLaboratories社製, "PLRP-S300", 平
均粒子径10μm,平均細孔径300Å)約10gを内
部電極型のプラズマ照射装置(サムコインターナショナ
ル(株))のチェンバー内に挿入しチェンバー内を約
0.8Torrまで排気した後アルゴンガスを流量、約20m
l/分で導入し出力50Watt、周波数13.56MHzで5
0秒間、ゲルを撹拌下にプラズマ照射を行った後にN−
イソプロピルアクリルアミド(以下"NIPAAm")モ
ノマーの10W/V%水溶液をチェンバー内に導入し該
ゲルを該溶液中に浸漬し常温で18時間グラフト重合を
行った。モノマー水溶液をチェンバー内に導入する前に
アルゴンによって充分バブリングすることによって水溶
液中に溶存している空気を完全に除去した。グラフト重
合を行ったゲルは蒸留水で充分洗浄し残存モノマーを完
全に除去した。
【0034】該グラフト重合ゲルを内径4.6mm、長さ1
5cmのミニカラム中に充填し、試料としてオボアルブミ
ン5μgの水溶液を流速1ml/分で注入し37℃で溶離
を行った。検出は280nmの吸光度測定によって行った
が上記の条件ではオボアルブミンの溶離は認められなか
った。
【0035】一方、カラム温度を37℃から常温にまで
約30分間かかって連続的に低下させながら上記と同様
の条件で溶離を行ったところ、オボアルブミンの溶離が
吸光度測定により認められた。
【0036】本実験事実は担体に強固に保持されたオボ
アルブミンがカラムの温度を低下させるだけで容易に溶
離することを示している。しかも、従来法と異なりオボ
アルブミンを何ら変性させることなく分離することがで
きることも示している。
【0037】実施例2 11.3g(0.1モル)のNIPAAm、3.08g
(0.04モル)の2−メルカプトエチルアミン、0.8
1g(0.005モル)のアゾビスイソブチロニトリル
を400mlのベンゼンに溶解し、窒素下 60℃で8時
間反応させた。反応液を濾過後、残渣をテトラヒドロフ
ランに再溶解し、エーテルに再沈殿させた。沈殿を分離
し冷水に溶解後食塩を加えて40℃に加温して析出沈殿
を回収、乾燥した。乾燥沈殿をクロロホルムに溶解し濾
過後、溶媒を除去して一級アミノ基を末端に有するNI
PAAmのオリゴマ−を得た。一級アミノ基の定量から
数平均分子量は約2,000であった。
【0038】表面に一級アミノ基を有するシリカゲル
(富士デヴィソン化学(株)、"CHROMATOREXNH"、 平均
粒子径10μm、平均細孔径300Å)約10gに蒸留
水50mlと25w/v%グルタルアルデヒド溶液2mlを加
え、室温で1時間撹拌した。ゲルを蒸留水で十分洗浄
し、過剰のグルタルアルデヒドを除去した後、上記NI
PAAmのオリゴマー4.8gと蒸留水50mlを加え、
室温で終夜撹拌した。さらにイソプロピルアミンを0.
5ml加えて、残存アルデヒド基を不活化した後、ゲルを
蒸留水で十分洗浄し、NIPAAmのオリゴマーをグラ
フトしたシリカゲルを得た。
【0039】該シリカゲルを実施例1で使用したものと
同一のカラムに充填し、実施例1と同様の実験を行い、
同様の結果を得た。
【0040】実施例3 10.7g(0.095モル)のNIPAAm、0.71
g(0.005モル)のn−ブチルメタクリレート(以
下"BMA")、3.08g(0.04モル)の2−メルカ
プトエチルアミン、0.81g(0.005モル)のアゾ
ビスイソブチロニトリルを400mlのベンゼンに溶解
し、窒素下60℃で8時間反応させた。反応液を濾過
後、残渣をテトラヒドロフランに再溶解し、エーテルに
再沈殿させた。沈殿を分離し冷水に溶解後食塩を加えて
40℃に加温して析出沈殿を回収、乾燥した。乾燥沈殿
をクロロホルムに溶解し濾過後、溶媒を除去して一級ア
ミノ基を末端に有するNIPAAmとBMAとの共重合
体のオリゴマーを得た。一級アミノ基の定量から数平均
分子量は約3,000であった。
【0041】実施例2に使用したものと同一の表面に一
級アミノ基を有するシリカゲル約10gに蒸留水50ml
と25w/v%グルタルアルデヒド溶液2mlを加え、室温
で1時間撹拌した。ゲルを蒸留水で十分洗浄し、過剰の
グルタルアルデヒドを除去した後、上記NIPAAmと
BMAとの共重合体のオリゴマー3.6g、実施例2で
得られたNIPAAmのオリゴマー2.4gおよび蒸留
水50mlを加え、室温で終夜撹拌した。さらにイソプロ
ピルアミンを0.5ml加えて、残存アルデヒド基を不活
化した後、ゲルを蒸留水で十分洗浄し、LCSTの異な
る温度感応性高分子、NIPAAmのオリゴマー(LC
ST約30℃)とNIPAAmとBMAとの共重合体オ
リゴマー(LCST約25℃)とをグラフトしたシリカ
ゲルを得た。
【0042】該シリカゲルを実施例1で使用したものと
同一のカラムに充填し、実施例1と同様にしてオボアル
ブミンとリゾチームの分離を行った。カラム温度を37
℃から15℃まで約30分間かけて連続的に低下させ、
蛋白の溶離を行ったところ、30℃以上ではいずれの蛋
白の溶離も認められなかったが、30℃から25℃の間
でオボアルブミン、25℃から20℃の間でリゾチーム
の溶離がそれぞれ認められた。
【0043】
【発明の効果】従来の液体クロマトグラフィーにおける
担体に保持された溶質を担体から溶出、分離するために
使用される有機溶媒は、タンパク質などを中心とした生
体関連物質を変性させてしまうという問題をかかえてい
た。この事実は、特に生体関連物質の分離の有効な手段
である逆相クロマトグラフィーの重大な欠陥であった。
温度によって極性が変化する本発明の担体を用いた液体
クロマトグラフィーによれば、有機溶媒を使用すること
なく溶質を溶出、分離することが可能でありかつ生体関
連物質を変性させることなく分離することが可能であ
る。また、従来のグラジェント溶出法のように複雑な有
機溶媒混合システムなどを必要としない点にも優れた利
点がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ブルース・ロリン・コールエル アメリカ合衆国メイン州03908,サウス・ バーウイツク,プレザント・ストリート 36

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】LCSTを有する水不溶化温度感応性高分
    子化合物を含有する液体クロマトグラフィー用担体。
  2. 【請求項2】前記温度感応性高分子化合物が、架橋構造
    を有することを特徴とする請求項1の液体クロマトグラ
    フィー用担体。
  3. 【請求項3】前記温度感応性高分子化合物が、ポリN置
    換アクリルアミド誘導体、ポリN置換メタアクリルアミ
    ド誘導体、これらの共重合体、ポリビニルメチルエーテ
    ルまたはポリビニルアルコール部分酢化物からなる群よ
    り選ばれることを特徴とする請求項2の液体クロマトグ
    ラフィー用担体。
  4. 【請求項4】前記温度感応性高分子化合物が、支持体に
    担持されていることを特徴とする請求項1のクロマトグ
    ラフィー用担体。
  5. 【請求項5】前記温度感応性高分子化合物が、支持体に
    グラフトされていることを特徴とする請求項4の液体ク
    ロマトグラフィー用担体。
  6. 【請求項6】前記支持体が、シリカゲルおよびポリマー
    ゲルからなる群より選ばれることを特徴とする請求項4
    の液体クロマトグラフィー用担体。
  7. 【請求項7】前記温度感応性高分子化合物の数平均分子
    量が500乃至5000であることを特徴とする請求項
    6の液体クロマトグラフィー用担体。
  8. 【請求項8】前記温度感応性高分子化合物が、互いに異
    なるLCSTを有する2種以上の水不溶化温度感応性高
    分子化合物の組み合わせよりなることを特徴とする請求
    項1の液体クロマトグラフィー用担体。
  9. 【請求項9】請求項1の液体クロマトグラフィー用担体
    に試料をチャージした後、LCSTの上下で経時的に温
    度を変化させることを特徴とする液体クロマトグラフィ
    ー法。
  10. 【請求項10】LCST以下の温度からLCST以上の
    温度にわたる温度勾配をカラム入口端とカラム出口端間
    に有することを特徴とする請求項7の液体クロマトグラ
    フィー法。
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