JPH08103653A - 刺激応答型分離材料及びその製造方法 - Google Patents

刺激応答型分離材料及びその製造方法

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JPH08103653A
JPH08103653A JP6238677A JP23867794A JPH08103653A JP H08103653 A JPH08103653 A JP H08103653A JP 6238677 A JP6238677 A JP 6238677A JP 23867794 A JP23867794 A JP 23867794A JP H08103653 A JPH08103653 A JP H08103653A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】標的物質に対する高い特異性を有し細胞を簡便
に回収できる分離材料及び分離システムを提供すること
を目的とする。 【構成】標的物質に対して親和性を有する領域と刺激応
答性高分子鎖よりなる領域とを表面に有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、標的物質に対して特異
的親和性を有する物質と刺激応答性高分子とを利用した
新規な分離材料及び分離方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、細胞工学や遺伝子工学等の発展に
伴い、細胞や遺伝子を利用した細胞治療や遺伝子治療の
研究が盛んとなっており、目的とした細胞や生体物質を
損傷させることなく分離する技術が重要となっている。
また、バイオテクノジーの発展により、生物工学的手法
によるペプチド、蛋白質、糖蛋白質質といった生理活性
分子の生産が行われるようになってきており、細胞やバ
イオプロダクツの簡便で損傷の少ない分離精製技術が望
まれている。
【0003】従来より化学工業分野で使用されている吸
着・分配・蒸留・析出といった分離・精製の単位操作で
は、熱や有機溶媒の添加などにより、被精製物質に対し
て大幅な環境変化を強いるため、前述の細胞やバイオプ
ロダクツの分離には適していないことが多い。
【0004】細胞やバイオプロダクツの分離方法とし
て、体積(分子量)や密度による方法(沈降速度法、密
度勾配遠心法、ゲル濾過法など)、電場中での移動度の
差による方法(電気泳動など)、等電点による方法(焦
点電気泳動など)、2液相間への分配による方法(2層
分配法、分配クロマトクラフィー)、固相への吸着性の
差による方法(吸着クロマトグラフィー、アフィニティ
ークロマトグラフィー)などが知られている。
【0005】これらの分離方法の多くは、物理化学的性
状が大きく異なる細胞成分の分離には適用できるもの
の、物理化学的性状が良く似た成分や細胞、例えばリン
パ球亜集団の分離などには適用が困難であった。この中
で標的物質に対する選択性の高い方法は、アフィニティ
ークロマトグラフィーであり、近年広く利用されるよう
になってきている。細胞を対象とするアフィニティーク
ロマトグラフィートとしては、標的細胞の表層に存在す
る膜蛋白等に対するモノクローナル抗体を結合したビー
ズやシャーレを用いた分離方法が報告されており、本方
法による各種リンパ球の亜集団分離も報告されている。
(例えば、ジャーナル・オブ・イミュノロジカル・メソ
ッド、第54号、251ページ、1983年に記載され
ているブラウンらの研究報告) この抗体を用いた方法
は、特異性が極めて高いことで利点であるが、欠点とし
て、吸着した細胞の脱着が困難なこと、抗体が細胞表層
の抗原に結合するための時間(接触時間)を長くする必
要があること、その結果、非特異的な吸着が増加するこ
と、などがあった。
【0006】前述の欠点を改良した方法としては、アビ
ジン−ビオチンのような親和性の高い結合を利用して、
短時間で分離材料に吸着させる方法がWO91/161
16で提案されている。にすなわち、ビオチンで標識し
た抗体を予め時間をかけて標的細胞に結合させた後、ア
ビジンを結合した分離材料に吸着させることにより、短
時間で効率良く標的細胞を分離できることとなる。しか
しながら、この方法では、物理的振動を用いて抗体と標
的細胞の結合やアビジンとビオチンとの結合を解離する
ことにより標的細胞の回収が行われているため、ビーズ
同士の衝突等による細胞の損傷や機能低下が免れない。
【0007】細胞機能を損なわないように回収する方法
としては、特開平2−211865に記載された水に対
する上限または下限臨界溶解温度が0〜80℃にあるポ
リマーもしくはコポリマーで表面を被覆した細胞培養基
材が報告されている。この方法は、温度により疎水性−
親水性と相転移する温度応答性高分子を利用したもので
あり、温度応答性高分子が疎水性で収縮した状態の時に
細胞を吸着させた後、温度を変化させ、親水性となって
膨潤するときに吸着した細胞を脱着させる方法である。
この方法の欠点は、細胞に対する特異性が低いため、種
々の細胞が存在する液体から特定の細胞を回収すること
ができないことである。特に、マクロファージ、白血
球、リンパ球などの多くは、曲率の小さい表面に吸着す
ることがしられており、フィルターや不織布形状に加工
したこの分離材料を用いて、特定のリンパ球などを選択
的に回収することは不可能であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、標
的物質に対する高い特異性を有し細胞を簡便に回収でき
る分離材料及び分離システムを提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記発明の目的は以下の
刺激応答型分離材料及びその製造方法によって達成され
る。 (1)標的物質に対して親和性を有する領域と刺激応答
性高分子鎖よりなる領域とを表面に有する刺激応答型分
離材料。 (2)標的物質に対して親和性を有する分子鎖と刺激応
答性領域よりなる分子鎖とを有するブロック共重合体も
しくはグラフト共重合体を主成分として構成された表面
を有する(1)の刺激応答型分離材料。 (3)刺激応答性領域よりなる分子鎖と反応性官能基を
有する分子鎖とを有するブロック共重合体もしくはグラ
フト共重合体を主成分とする表面を形成させた後、標的
物質に対して親和性を有する物質を該共重合体の反応性
官能基に固定化することを特徴とする刺激応答性分離材
料の製造方法。 (4)刺激応答性領域よりなる分子鎖と反応性官能基を
有する分子鎖とを有するブロック共重合体もしくはグラ
フト共重合体に、標的物質に対して親和性を有する物質
を該共重合体の反応性官能基に結合させた後、基材表面
上に保持させることを特徴とする刺激応答性分離材料の
製造方法。 (5)刺激応答性領域よりなる分子鎖と反応性官能基を
有する分子鎖とを有するブロック共重合体もしくはグラ
フト共重合体と、標的物質に対して親和性を有する物質
とを含む溶液を基材表面上に塗布した後、お互いを反応
させることを特徴とする刺激応答性分離材料の製造方
法。 (6)標的物質に対して親和性を有する領域と刺激応答
性高分子鎖よりなる領域とを表面に有する刺激応答型分
離材料を用いて、標的物質を該分離材料に結合させた
後、刺激応答性高分子鎖の高次構造を変化させることに
より、標的物質を該分離材料より脱離させることを特徴
とする物質の分離精製方法。
【0010】本発明においては、標的物質は特に限定さ
れず、蛋白質、糖蛋白質、核酸、細胞、人工細胞、合成
高分子化合物などを例示できる。本発明の分離材料は、
標的物質に対して親和性を有する領域と刺激応答性高分
子鎖よりなる領域とを表面に有する材料であり、表面が
相分離していることが特徴である。従って、標的物質に
対して親和性を有する分子(リガンド)が、相分離構造
に従ってミクロ的に不均一に存在することが特徴となる
が、その際、標的物質の大きさが該標的物質に対して親
和性を有する領域の大きさより小さいことが好ましい。
相分離構造を形成させる方法としては、ブロックもしく
はグラフト共重合体を用いる方法が好ましい。高分子間
で相溶性を示すものもあるが、多くの高分子は相分離を
起こすことが知られている。特に、ブロックもしくはグ
ラフト共重合体は、海島状、縞状、ラメラ状に規則的な
ミクロ相分離構造を発現することが知られているおり、
このような構造が本発明の分離材料としては好ましい。
表面における標的物質の親和性領域の比率は、外部環境
により異なるため明確に規定できないが、標的物質を吸
着する時に、10〜90%、好ましくは、20〜80%
である。
【0011】標的物質としては、サイズが大きい「細
胞」を好適に例示できる。また、細胞を標的とした場
合、該細胞に対して親和性を有する分子(リガンド)
が、相分離構造に従ってミクロ的に不均一に存在してい
るため、細胞が分離材料表面に吸着されるときにしばし
ば観察されるキャッピング現象が回避されソフトに吸着
することとなる。そのため、細胞の損傷が少なくなり、
吸着した細胞の機能を発現させる場合や分離精製(回
収)する場合に、優れた性能を発現することとなる。標
的とする細胞は限定されず、例えば、上皮系細胞、肝実
質細胞、膵ラ島細胞、マクロファージ、単核球、NK細
胞(CD56+)、血液幹細胞などの未分化細胞(CD
34+)、Bリンパ球、Tリンパ球、及びそのサブセッ
ト(CD4+、CD8+、CD19+、CD71+、IL2
+など)、各種の腫瘍細胞や機能細胞等より、目的に
応じて選定される。
【0012】刺激応答性高分子とは、熱、PH、電位、
光などにより高次構造が変化して、水溶液中で膨潤した
り収縮する高分子であればよい。例えば、水に対する上
限臨界温度または下限臨界温度を有し、温度変化に応答
して、膨潤−収縮する高分子を好適に例示できる。その
ような高分子としては、N−イソプロピルアクリルアミ
ドやN、N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピ
ルメタアクリルアミドなどのアクリルアミドやメタアク
リルアミドの誘導体類をはじめ、ビニルメチルエーテル
などのビニル−エーテル類などのポリマーやコポリマー
を例示できる。また、光により構造変化させる場合は、
例えば、アゾベンゼン基を有する吸水性高分子のように
光異性化をおこす高分子、トリフェニルメタンロイコハ
イドロオキシドのビニル誘導体とアクリルアミド系単量
体との共重合体のように光イオン解離する感応基を有す
る温度応答性高分子、スピロベンゾピランを含むN−イ
ソプロピルアクリルアミドゲルのように疎水性相互作用
が光変化する温度応答性高分子などを用いることができ
る。
【0013】電気化学的に構造変化を生じさせるには、
ビニルフェロセンとイソプロピルアクリルアミド共重合
体のようにフェロセニル基を側鎖に有する温度応答性高
分子を例示することができる。フェロセニル基は、還元
状態では疎水性の官能基であるが、酸化されると親水性
が高まるため、一定の温度領域で電気化学的に膨潤〜収
縮を制御することができる。
【0014】電気や光により制御できる温度領域は、ア
ルキルアクリルアミドのような温度応答性高分子を形成
するモノマーに親水性モノマーや疎水性モノマーを少量
共重合させることにより、任意に制御することが可能で
ある。たとえば、疎水性モノマーを共重合させると相転
移温度は低くなり、親水性モノマーを共重合させると相
転移温度は高くなる。
【0015】イオンにより構造変化を誘導したり加速す
るためには、イオン解離する官能基を有するモノマーを
共重合したり、イオンを捕捉する分子を側鎖に導入させ
てやればよい。例えば、ナトリウムやカリウムを認識す
るクラウンエーテル(ベンゾ[18]クラウン−6)を側
鎖にポリソプロピルアクリルアミドは、ナトリウムイオ
ンやカリウムイオンにより相転移が引き起こされる。
【0016】標的物質に対して親和性を有する領域に
は、抗原−抗体、酵素−基質(阻害剤)、各種の生理活
性物質とそのレセプターとの反応などの生体の制御機構
で見られる特異的親和性により標的物質を吸着するリガ
ンドや、静電相互作用、疎水性相互作用、水素結合、フ
ァンデルワールス相互作用等によって標的物質に対して
親和性を示す合成化合物やそれらの相互作用を効果的に
発現できるよう人工的に設計された分子認識素子などが
存在する。
【0017】標的物質に対して親和性を有する領域は、
刺激応答性高分子鎖と必ずしも化学的に結合していなく
てもよく、ブレンド法や積層法を利用して相分離構造を
形成させてもよい。また、金属、セラミック、あるいは
有機物よりなる直径5μ以下、好ましくは2μ以下の微
粉体などを利用して不均一構造を形成させ、該微粉体上
に標的細胞に対して親和性を有する物質を結合させるこ
とも可能である。
【0018】リガンドの反応性官能基への固定化は、公
知の化学反応を用いた方法で達成できるが、両者の結合
の間に、スペーサーや2種以上の化合物よりなる結合が
存在していてもよい。結合様式としては、生理的条件で
容易に脱離しないことが望ましいが、必ずしも共有結合
である必要はなく、イオンコンプレックスや電荷移動錯
体などを利用した結合でもかまわない。また、生理的条
件で高い親和性を有するビオチン−アビジン、ビオチン
−ストレプトアビジン、リボフラビン−リボフラビン結
合蛋白、プロテインA−IgG、プロテインG−IgG
などの生化学的親和性を利用した結合であってもよい。
ビオチン−アビジンの組み合わせは、ビオチン標識抗体
などが市販されており容易に入手できるため、標的物質
に対する抗体をアビジンを介して反応性官能基に固定化
することができる。
【0019】反応性官能基とは、標的物質に対して親和
性を有するリガンドを結合できる官能基であれば良く、
カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、
スルホン酸基、エポキシ基、イソシアネート基、酸クロ
リド基、ヒドロキシ基、チオール基、ジスルフィド基な
どの官能基を例示できる。また、カルボニルジイミダゾ
ール、トシル、トレシルなどで活性化されていてもかま
わない。これらの官能基を利用して、直接あるいは縮合
剤や架橋剤を用いて、標的物質に対するリガンドを結合
することが可能である。反応性官能基がエポキシ基のよ
うに、直接アミノ基やカルボキシル基と反応するタイプ
であると反応操作が簡略化できるため好ましい。ヒドロ
キシ基のように反応性の低い官能基の場合、両末端に反
応性の高い官能基を有する架橋剤、例えばポリイソシア
ネート類、ポリエポキシ化合物、ジアルデヒド化合物な
どを利用してリガンドを固定化することも可能である。
【0020】反応性官能基を有する分子鎖を形成させる
方法は、公知の方法でかまわない。例えば、官能基を有
する単量体を重合したり、他の単量体と共重合すること
により反応性官能基を有する分子鎖を形成させる方法
や、すでに形成された分子鎖を化学修飾することにより
反応性の高い官能基を導入する方法などを例示できる。
分離材料の形態は、特に限定されず、プレート状、シャ
ーレ状、繊維状、不織布状、多孔質膜、多孔質フィルタ
ー、ビーズなどを例示でき、それぞれの形態にあったカ
ラムなりモジュールに収納されて使用されてもかまわな
い。また、その基材となる材質についても水に対して非
溶解性であれば特に限定されず、ポリオレフィン、ハロ
ゲン化ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリアミド、ポ
リエステル、綿、ポリスチレン、及びそれらの変性物や
共重合体など、既存の材料を例示することができる。
【0021】分離材料に吸着した標的物質の回収は、温
度、光、電気等の刺激により刺激応答性高分子の高次構
造を急速に変化せしめることにより行う。例えば、刺激
応答性領域が収縮した条件下でリガンドが表面に存在す
る分離材料の場合、この状態で標的物質を吸着させた
後、外部刺激により刺激応答性領域を膨潤させることい
より、その急激な環境変化を利用して標的物質が材料表
面より脱着することとなる。脱着させた場合の回収率
は、固定化したリガンドの種類や状態、刺激応答領域と
吸着領域の構造や組成比により異なり、使用条件に応じ
た条件設定が必要となるが、50%以上、好ましくは8
0%以上である。
【0022】標的物質と刺激応答性高分子の間に弱い結
合が存在する場合、その結合を解離することによって標
的物質を脱離させてもかまわない。回収率の向上などを
目的として、必要に応じて物理的な方法や化学的な方法
を併用してもかまわない。
【0023】
【実施例】
(実施例1)標的物質としてCD4+細胞を設定し、標
的物質に対して特異的親和性を有する物質としてCD4
に対する抗体、刺激応答性高分子としてポリ(N−ジエ
チルアクリルアミド)を用いて分離用吸着材料を作製
し、CD4+細胞の分離を検討した。
【0024】主鎖にアゾ基を有するポリグリシジルメタ
クリレートを重合開始剤として、N,N−ジエチルアク
リルアミドをジメチルスルホキシド中で80℃、16時
間重合し、石油エーテル中で再沈殿させた後、ポリマー
を減圧乾燥させることにより、刺激応答性ドメインとし
てポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド)、反応性ド
メインとしてポリ(グリシジルメタクリレート)を有す
るブロックコポリマー(モル組成比3:1)を得た。
【0025】このブロック共重合体の3%ジオキサン溶
液を、厚さ100μのポリウレタンシートにコーティン
グした。続いて、0.01wt%のポリエチレンイミン
(平均分子量1200)を含むCD4抗体の5mg/m
l溶液をコーティングした後、38℃で16時間反応さ
せることにより、刺激応答型分離材料を得た。
【0026】この材料に、人新鮮血バフィーコートより
1%アルブミン添加PBSで洗浄して調整した白血球液
(1×106/ml)を37℃で接触させることによ
り、CD4+細胞を吸着させた。位相差顕微鏡を用い
て、吸着細胞の脱着を観察したところ、1%アルブミン
を添加したPBSで25℃でリンスすることにより脱着
できることを確認した。
【0027】(実施例2)1.0%のポリメタクリル酸
を溶解させたDMSO溶液と、実施例1で作製したブロ
ックコポリマーの4%DMSO溶液を1:1で混合した
後、ポリメタクリル酸を表面グラフト重合したポリエチ
レンシ−トにコ−ティングした後、60℃40時間反応
させた。続いて、5mg/mlの1−エチル−3−(ジ
メチルアミノプロピル)カルボジイミド(シグマ社製)
溶液を20ml(pH5.5)シャーレに注入し、5分
間室温で浸漬させた。続いて、CD4抗体の5mg/m
l溶液と接触させて室温で1時間時々撹拌しながら反応
させた後、グリシンを最終濃度で0.2モルとなるよう
に添加して1時間放置した後、リン酸バッファー(PB
S)でリンスすることによりCD4+細胞分離材料を作
製した。
【0028】この材料に、人新鮮血バフィーコートより
1%アルブミン添加PBSで洗浄して調整した白血球液
(1×106/ml)を37℃で接触させることによ
り、CD4+細胞を吸着させた。位相差顕微鏡を用い
て、吸着細胞の脱着を観察したところ、1%アルブミン
を添加したPBSで25℃でリンスすることにより脱着
できることを確認した。
【0029】(実施例3)主鎖にパーオキサイド基を有
するポリグリシジルメタクリレートとメチルアクリレー
トとの共重合体(1:1)を重合開始剤として、N−イ
ソプロピルアクリルアミドをジメチルスルホキシド中で
80℃、16時間重合して、刺激応答性ドメインとして
ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、反応性ドメ
インとしてポリ(グリシジルメタクリレート−メチルア
クリレート共重合体)を有するブロックコポリマー(モ
ル組成比4.8:1)を得た。
【0030】0.5wt%のCD4抗体を含む20%DM
SO溶液に上記ポリマー2wt%を含む60%DMSO溶
液を1:1で混合した後、ポリメタクリル酸を表面グラ
フト重合したポリエチレンシートにコーティングし、6
0℃40時間反応させた。この材料に、人新鮮血バフィ
ーコートより1%アルブミン添加PBSで洗浄して調整
した白血球液(1×106/ml)を37℃で接触させ
ることにより、CD4+細胞を吸着させた。位相差顕微
鏡を用いて、吸着細胞の脱着を観察したところ、1%ア
ルブミンを添加したPBSで25℃でリンスすることに
より脱着できることを確認した。
【0031】
【発明の効果】本発明の分離材料や分離方法は、刺激応
答領域と標的物質に対する親和性領域とが存在する。従
って、刺激応答領域における体積変化が大きくなり吸着
物質の脱着が起こりやすくなる。また、相分離構造を形
成させることにより、標的細胞が吸着した場合のキャピ
ング現象を抑制することができるため、機能損傷の少な
い高品質の細胞を回収できることとなる。その結果、従
来困難であった血球系細胞や機能細胞の分離精製が簡便
にできるようになり、本発明の分離材料や技術は、標的
細胞の分離、増殖、機能変換等を利用したバイオプロダ
クツの生産や細胞治療、遺伝子治療、診断等に効果を発
揮することとなる。また、本発明は、医療分野のみなら
ず各種の産業分野において新しい分離技術として効果を
発現することとなる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】標的物質に対して親和性を有する領域と刺
    激応答性高分子鎖よりなる領域とを表面に有する刺激応
    答型分離材料。
  2. 【請求項2】標的物質に対して親和性を有する分子鎖と
    刺激応答性領域よりなる分子鎖とを有するブロック共重
    合体もしくはグラフト共重合体を主成分として構成され
    た表面を有する請求項1の刺激応答型分離材料。
  3. 【請求項3】刺激応答性領域よりなる分子鎖と反応性官
    能基を有する分子鎖とを有するブロック共重合体もしく
    はグラフト共重合体を主成分とする表面を形成させた
    後、標的物質に対して親和性を有する物質を該共重合体
    の反応性官能基に固定化することを特徴とする刺激応答
    性分離材料の製造方法。
  4. 【請求項4】刺激応答性領域よりなる分子鎖と反応性官
    能基を有する分子鎖とを有するブロック共重合体もしく
    はグラフト共重合体に、標的物質に対して親和性を有す
    る物質を該共重合体の反応性官能基に結合させた後、基
    材表面上に保持させることを特徴とする刺激応答性分離
    材料の製造方法。
  5. 【請求項5】刺激応答性領域よりなる分子鎖と反応性官
    能基を有する分子鎖とを有するブロック共重合体もしく
    はグラフト共重合体と、標的物質に対して親和性を有す
    る物質とを含む溶液を基材表面上に塗布した後、お互い
    を反応させることを特徴とする刺激応答性分離材料の製
    造方法。
  6. 【請求項6】標的物質に対して親和性を有する領域と刺
    激応答性高分子鎖よりなる領域とを表面に有する刺激応
    答型分離材料を用いて、標的物質を該分離材料に結合さ
    せた後、刺激応答性高分子鎖の高次構造を変化させるこ
    とにより、標的物質を該分離材料より脱離させることを
    特徴とする物質の分離精製方法。
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