JP2009160495A - 分離剤及び分離剤の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】二次廃棄物を生成させず、繰り返しの使用によっても分離性能が低下しない分離剤及びその分離剤の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】無機多孔質担体をカップリング剤で表面処理する工程と、表面処理された無機多孔質担体の細孔表面に、N−アルキル(メタ)アクリルアミド誘導体モノマーと多座配位子のモノマーとを含浸させる工程と、各モノマーを上記カップリング剤による表面処理で導入された反応基と共有結合させ、細孔表面に固定する工程と、細孔表面に固定された各モノマーを重合させて共重合体ゲルを生成する工程とを有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、温度スイング操作だけで目的物質を分離回収することができる感温性ゲル塗布分離剤及びその分離剤の製造方法に関する。
近年、地球規模での環境保全への関心が高まり、特に産業界において、生産に伴って発生する有害物質を含んだ廃棄物の処理問題に対する対策が急務になっている。当該有害物質としては、内分泌かく乱物質やCdなどの重金属、有機塩素化合物などの難分解性物質などが挙げられる。例えば、これらの有害物質からなる環境汚染物質を排水から効果的に分離除去する方法が望まれており、様々な研究がなされている。
また、使用済核燃料に含まれる3価マイナーアクチノイド(3価MA)は、長半減期核で放射能毒性が高いことから、3価MAを使用済核燃料から分離することによって、その処分における環境負荷を著しく軽減させることが期待されている。さらに、この3価MAを、高速炉や加速器によってエネルギー源として利用しつつ短半減期へ核種変換することが計画されている。しかし、そのためには、核反応を阻害する希土類元素の分離が必須となっており、放射性廃棄物として厳重な管理のもとで処理・処分する技術が望まれている。
従来より、上述のような重金属や使用済核燃料に含まれる3価MAなどを分離する方法としては、溶媒抽出法などによる分離技術が研究開発されてきた。しかし、溶媒抽出法では、装置が非常に大規模となるばかりでなく、有機溶媒を大量に使用することとなる結果、当該有機溶媒が二次廃棄物となり、環境への負荷が大きくなってしまっていた。
このような問題に対処する目的で、抽出剤を高分子担体中に含浸させた固体吸着剤を用いた分離プロセスの研究開発が進められており、以下のようなものがある。
例えば、nBu−BTP(ビス(ジブチルトリアジン)ピリジン)を利用した固体吸着剤による分離技術が研究されている。この技術は、nBu−BTP抽出剤を含浸したポリマーコーティング多孔質シリカによる抽出クロマトグラフィーによるものであり、窒素ドナー配位子の一つであるBTPを利用し、高度な3価MA選択能によって、首尾よく3価MAを分離させるものである。従って、この分離技術よれば、高度に3価MAを分離させることが可能となる(例えば、非特許文献1)。
しかし、この分離技術の原理は基本的に溶媒抽出法と同様であるので大量の溶離液を必要とし、またBTPは化学的に不安定で分解するため、固体吸着剤を頻繁に交換する必要がある。これらは二次廃棄物として処理する必要性が生じ、二次廃棄物の問題を解決していない。
化学的に安定な固体吸着剤を用いた分離技術として研究されているのが以下のCMPO(オクチル(フェニル)−N,N−ジイソブチルカルバモイルメチルホスフィンオキシド)を用いた分離技術である。このCMPOは、従来より溶媒抽出法において利用されており、特に3価MAに対する吸着容量が大きいことが知られ、目的金属と安定した錯体を形成することによって、金属を分離することが可能となっている。そして、このCMPOを用いた分離技術は、CMPOを化学的に固定したキレート樹脂によるものであるので、化学的に安定であり、二次廃棄物の発生量は前述のBTPを利用した固体吸着剤よりも少なくすることが可能となる。(例えば、非特許文献2)。
しかし、この分離技術では、CMPOのような機能性部位が硬い樹脂の上に固定化されているために、溶媒抽出法で形成されるような目的金属との安定な錯体が形成されず、期待される金属分離効果が得られないという欠点があり、より柔軟性のある高分子構造に機能的部位を固定しなければ期待される分離効果が得られない。
そこで、本件発明者らは、4つのピリジル基を持つ包接型6座配位子であるTPPEN(N,N,N',N'−テトラキス(4−プロペニル−2−メチルピリジル)エチレンジアミン)を感温性ゲルであるポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(NIPAポリマー)に結合させたゲルポリマーを用いて、温度スイング操作だけによる分離技術の研究開発を行い、効率的に使用済核燃料に含まれるAm(アメリシウム)をEu(ユウロピウム)から選択抽出することに成功している(例えば、非特許文献3)。すなわち、TPPEN−NIPAゲルポリマーの、低温(約5℃)では膨潤し、高温(約40℃)では収縮する体積相転移を利用し、温度スイング操作による分離技術を見出した。AmとEuの当該温度スイング操作分離試験では、低温(約5℃)においてAm/Euの分離係数が18を示すことを証明した。この分離技術によれば、温度スイング操作だけで目的物質を分離回収することができるので、分離プロセスにおいて新たな廃棄物を作り出すことなく、環境への負荷の少ない無廃棄物型の分離を実現することが可能となり、また柔軟性のある高分子構造であるゲルに機能性部位を固定しているので、目的物質と安定な錯体を形成させることが可能となっており、固体吸着剤としての実用化が期待されている。
Y.Z.Wei,H.Hoshi,M.Kumagai,T.Asakura and Y.Morita: Separetion of Am(III) and Cm(III) from trivalent lanthanides by 2,6-bistriazinylpyridine extraction chromatography for radioactive waste management, Journal of Alloy and Compound.,Vol 374,Issue 1-2,447-450 (2004) Journal of Nuclear Science and Technology.,Vol 35,163-165 (1998) K.Takeshita, T. Matsumura and Y. Nakano, Thermal-swing extraction separation of Am (III) and Eu (III) with Poly-NIPA gel crosslinked with TPEN derivative, Journal of Nuclear Science and Technology, Vol. 44(12), 1481 (2007)
しかしながら、ゲルはやわらかい高分子構造であるため、クロマト分離剤としてカラム充填に直接使用することができない。よって、実用化するためにゲルをクロマト分離剤として用いるには、硬い骨格でゲルを取り囲むことが必要となる。従来の固体吸着剤の製造方法では、抽出剤をポリマーコーティングした多孔質シリカに物理的に含浸させていただけなので、抽出剤が廃液や溶離液に溶解してしまっていた。その結果、繰り返し使用することによってその性能が徐々に低下することとなり、十分な分離性能を発揮することができなくなると共に、分離性能の変化によってプロセス操作が難しくなり、さらに製品溶液に有機物が混入するという問題もあった。
本発明は、このような事情に鑑みて提案されたものであり、二次廃棄物を発生させず、繰り返しの使用によっても分離性能が低下しない分離剤及びその分離剤の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る分離剤は、N−アルキル(メタ)アクリルアミド誘導体モノマーと多座配位子化合物のモノマーとの共重合体ゲルが、カップリング剤で表面処理された無機多孔質担体に固定されている分離剤であって、上記無機多孔質担体の細孔表面に導入された上記カップリング剤が有する反応基と上記各モノマーとが共有結合され、当該細孔表面に上記共重合体ゲルが固定されてなることを特徴としている。
また、本発明に係る分離剤の製造方法は、無機多孔質担体をカップリング剤で表面処理する工程と、表面処理された上記無機多孔質担体の細孔表面に、N−アルキル(メタ)アクリルアミド誘導体モノマーと多座配位子化合物のモノマーとを含浸させる工程と、上記各モノマーを、上記カップリング剤による表面処理で導入された反応基と共有結合させ、上記細孔表面に固定する工程と、上記細孔表面に固定された上記各モノマーを重合させて共重合体ゲルを生成する工程とを有することを特徴としている。
さらに、本発明に係る分離剤の製造方法は、上記無機多孔質担体の細孔表面に各モノマーを含浸させる工程において、更に、当該無機多孔質担体を遠心し、当該細孔表面の余剰モノマーを除去することを特徴としている。
本発明に係る分離剤及び分離剤の製造方法によれば、カップリング剤による表面処理を施した無機多孔質担体の細孔表面に、N−アルキル(メタ)アクリルアミド誘導体モノマーと配位子化合物のモノマーとの共重合体ゲルが、表面処理によって導入された反応基と共有結合して固定されているので、当該担体からゲルが溶離・溶解することを防ぎ、ゲルの分離機能を低下させることのない分離剤を製造することができる。
また、N−アルキル(メタ)アクリルアミド誘導体モノマーを用いていることから、温度スイング操作だけで目的とする元素を分離回収することができ、分離回収のために他の有機化学物質を加える必要がなくなり、二次廃棄物を新たに作ることなく分離することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、反応基とは、多孔質担体やモノマーと結合するカップリング剤の化合物が有する構造部位を意味し、官能基とは、カップリング剤の化合物と結合するモノマーの化合物が有する構造部位を意味するものとする。
本発明の一実施形態に係る分離剤は、N−アルキル(メタ)アクリルアミド誘導体モノマーと、重金属や3価MA、また内分泌かく乱物質や有機塩素系化合物等の特定のイオンを認識する多座配位子との共重合体である感温性ゲルが、無機多孔質担体の細孔表面に固定されて構成されている。
N−アルキル(メタ)アクリルアミド誘導体モノマーは、重合しポリマー状態になると、低温において親水性を増し水分を吸収して膨潤し、高温において疎水性を増して収縮するという体積相転移の性質を有するモノマーである。このN−アルキル(メタ)アクリルアミド誘導体としては、例えば、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−シクロプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル−N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル−N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル−N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロポキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリルアミド、N−1−メチル−2−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−1−メトキシメチルプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(2,2−ジメトキシエチル)−N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−8−(メタ)アクリロイル1,4−ジオキサ−8−アザースピロ(4,5)デカン、N,N−ジメトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルフォリンなどを用いることができる。これらの中では、N−アルキル(アルキル基の炭素数1〜10)(メタ)アクリルアミドが好ましく、特に、室温付近で体積相転移が起こるという点において、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド(NIPA)が更に好ましい。このN−アルキル(メタ)アクリルアミド誘導体モノマーは、カップリング剤によって表面処理された多孔質担体と、カップリング剤の反応基を介して共有結合し、固定される。
多座配位子は、本実施形態に係る感温性ゲルを塗布した固体吸着剤において、分離抽出する目的物質を認識する部位となり、例えば重金属や3価MA、また内分泌かく乱物質や有機塩素系化合物等の特定のイオンや分子と配位結合して錯体を形成する。この多座配位子としては、例えば、3価MAやCd等の遷移金属と錯体を形成するTPEN誘導体や、その他の金属イオン等と錯体を形成するエチレンジアミン誘導体やアミノポリカルボン酸等、種々の多座配位子であって、カップリング剤の有機物質の反応基と共有結合し得る官能基を有するものを用いることができる。好ましくは、カップリング剤としてシランカップリング剤のシラン化合物末端の反応基(例えば、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基、アクリル基、ハロアルキル基、イソシアネート基、グリシジル基、キシル基等)と共有結合し得る官能基を有するもの、更に好ましくは、シラン化合物末端のビニル基と共有結合し得る官能基を有する多座配位子を用いるとよい。この多座配位子は、カップリング剤によって表面処理された多孔質担体と、当該カップリング剤の反応基を介して結合し、固定される。
本実施形態に係る分離剤を構成する感温性ゲルは、これらのN−アルキル(メタ)アクリルアミド誘導体モノマーと多座配位子のモノマーとが共重合し、架橋することによって生成される。モノマーの重合方法は、公知の技術を用いて重合させることができる。この感温性ゲルは、水及び有機化合物を効果的に吸液することができ、温度スイング操作に応じて体積相転移する性質を有する。そして、N−アルキル(メタ)アクリルアミド誘導体モノマーと、目的物質と錯体を形成する多座配位子のモノマーとの共重合体であるこの感温性ゲルは、上述した体積相転移の性質を利用して、目的物質を吸脱着する。すなわち、低温にすることにより親水性が高まったゲルは水分を吸収して膨潤し、膨潤したゲル体の多座配位子に目的物質が吸着結合して錯体を形成する。一方、目的物質が吸着したゲルを高温にすることによりゲルの疎水性が増すと、多座配位子の構造が変化して目的物質と錯体を形成することができなくなり、結合していた目的物質がゲルから脱着する。このように本発明に係る分離剤の感温性ゲルは、新たな有機溶液を使用することなく、温度スイング操作だけで目的物質を吸脱着することによって分離抽出することができるので、新たな二次廃棄物を発生させることがない。また、機能性部位である多座配位子が、やわらかい高分子構造であるゲルとなって構成されているので、配位子の自由度が失われることなく目的金属と錯体を形成することができる。
本実施形態に係る分離剤は、このような感温性ゲルが無機多孔質担体の細孔表面に固定されてなっている。ゲルはやわらかい高分子構造であり、クロマト分離剤としてカラム充填に直接使用することができないので、ゲルをクロマト分離剤として用いるために、硬い骨格でゲルを取り囲むことが必要であるためである。なお、無機多孔質担体に固定された感温性ゲルは、無機多孔質担体にN−アルキル(メタ)アクリルアミド誘導体モノマーと多座配位子のモノマーとを含浸させた後に重合して、多孔質担体の細孔表面に形成される。
感温性ゲルが固定される無機多孔質担体は、シリカ、珪藻土、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、酸化チタン、マグネシア等があり、これらの中で多孔質シリカを用いることが好ましい。この分離剤に用いられる無機多孔質担体、例えば多孔質シリカは、その平均細孔径がマクロ孔とメソ孔の境界とされる約50nmからマクロ孔である約1000nmの広範に渡るものを用いることができる。好ましくは、無機多孔質担体に固定した感温性ゲルの周囲には膨潤によるゲルの体積変化が可能な空間を有するように多孔質担体の細孔構造を設計するとよい。
また、この無機多孔質担体は、各モノマーをその細孔表面に固定し固体吸着剤とするために、カップリング剤により表面処理されることが好適である。カップリング剤としては、無機多孔質担体と化学結合する反応基、及び共重合体である感温性ゲルを構成するN−アルキル(メタ)アクリルアミド誘導体モノマーと多座配位子のモノマーの各モノマーと化学結合する反応基を有するものを用いる。このようなカップリング剤は、無機材料と有機材料とを組み合わせる複合材料の性質向上のために従来から使用されているシラン系、チタネート系、クロム系などのカップリング剤から、分離剤を構成している材料及びこの感温性ゲルの種類に応じて選択することができる。
好ましいカップリング剤は、シランカップリング剤であり、無機多孔質担体の材質に応じて、それらと化学結合する、例えばハロゲン基、アルコキシル基等の反応基(これらは加水分解されてシラノール基となり無機物質表面と反応する)、及び所望とする感温性ゲルを構成するN−アルキル(メタ)アクリルアミド誘導体モノマーと多座配位子のモノマーの各モノマーと化学結合する、例えばビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基、アクリル基、ハロアルキル基、イソシアネート基、グリシジル基、キシル基等の官能基を有するものを用いる。例えば、多孔質シリカから構成された無機多孔質担体に、N−アルキル(メタ)アクリルアミド誘導体モノマー/配位子共重合体ゲルの薄膜を結合させる場合には、アルキル鎖の末端にビニル基等を有するシランカップリング剤(例えば、アリルトリクロロシラン、7−オクテニルトリクロロシラン等)を用いて表面処理することが好ましい。このシランカップリング剤を用いることにより、末端のビニル基等が共重合体を構成する上記各モノマーと共有結合するようになり、より強固に共重合体ゲルを多孔質シリカに固定することができ、多孔質シリカ等の多孔質担体に単に共重合体ゲルを構成するモノマーを含浸させただけの場合に起こり得るような、共重合体ゲルが溶離・溶解して分離性能が低下することを防止できる。
以下では、より具体的に、N−アルキル(メタ)アクリルアミド誘導体モノマーとして、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド(以下、NIPAとする。)を用い、多座配位子として、N,N,N',N'−テトラキス(4−プロペニル−2−メチルピリジル)エチレンジアミン(以下、TPPENとする。)を用い、両モノマーの共重合体である感温性TPPEN−NIPAゲルを、無機多孔質担体である多孔質シリカに固定した分離剤を一例として、その製造方法を含めて説明する。なお、当該TPPENは、高毒性・長半減期核種である3価マイナーアクチノイド元素(3価MA)と選択的に錯体を形成するN,N,N',N'−テトラキス(2−メチルピリジル)エチレンジアミン誘導体(TPEN誘導体)の一種である。
TPPENは、下記式(1)で表される4つのピリジル基を持つ包接型6座配位子である。このTPPENは4つのピリジル基末端に官能基を有し、この官能基はその末端に二重結合を有している。そして、この二重結合において、NIPAと共重合、あるいは表面処理された多孔質シリカに導入されたビニル基と反応し、感温性TPPEN−NIPAゲルを形成するとともに、強固に多孔質シリカに固定されるようになっている。
Figure 2009160495
このTPPENは、アメリシウム(Am)等の3価MAやCdやHg等の遷移金属と選択的に錯体を形成する性質を有することから、当該TPPENを構成要素とした分離剤によって、例えば、化学的挙動が非常に似ているために相互分離が困難であった3価MA元素とユウロピウム(Eu)等の希土類元素とを含有した混合溶液から、3価MAを選択的に分離回収することや、有害廃棄物に含まれる重金属を選択的に分離回収することができる。さらに、その分離回収にあたり、N−アルキル(メタ)アクリルアミド誘導体モノマーであるNIPAモノマーからなる感温性ゲルを用いているので、温度スイング操作だけで分離回収することができ、溶離液等の新たな有機溶液を用いる必要がなく、二次廃棄物が発生しない。
ここで、TPPENの合成方法について説明する。TPPENの合成方法は、下記式(2)で表されるクロロメチルピリジン誘導体と、エチレンジアミンとをアルカリ条件下で反応させることにより合成することができる。
Figure 2009160495
また、この合成反応は、触媒量の相間移動触媒存在下で行うことが好ましい。これにより、高粘度のタール状固形物が形成されにくくなり、TPPENの収率を向上させることができる。相関移動触媒としては、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ミリスチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化オレイルトリメチルアンモニウム、臭化オレイルトリメチルアンモニウムなどのアルキルトリメチル型のアンモニウムを用いることができる。
反応後の生成物は、カラムクロマトグラフィーにより精製することにより、高純度のTPPENを得ることができる。カラムクロマトグラフィーに用いる充填剤としては、アルミナ等を用いることが好ましい。
次に、上述のようにして得られたTPPENと、NIPAの各モノマーを、多孔質シリカに塗布固定し、固体吸着剤を製造する方法について説明する。
上述したように、ゲルはやわらかい高分子構造であることから、クロマト分離剤としてカラム充填に直接使用することができない。従って、ゲルを実用的なクロマト分離剤として用いるために、多孔質シリカ等の硬い骨格でゲルを取り囲むことが必要となる。
(多孔質シリカの表面処理工程)
先ず、感温性ゲルを取り囲む骨格である多孔質シリカの細孔表面を、シランカップリング剤で処理する。このシランカップリング処理によって、細孔表面をシラン化すると共に、細孔表面の疎水性を向上させる。このシランカップリング処理は、周知の方法で行うことができる。そして、このシランカップリング処理によって、シラン化合物のアルコキシル基等の無機材料と化学結合する反応基が多孔質シリカと結合し、一方、シラン化合物末端の有機化合物と化学結合する反応基(ビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基、アクリル基、ハロアルキル基、イソシアネート基、グリシジル基、キシル基等)がNIPAモノマー及びTPPENモノマーと結合するようになり、これらのモノマーが重合した共重合体の感温性ゲルが多孔質シリカに固定されるようになる。なお、シランカップリング剤は特に限定されるものではないが、各モノマーと化学結合するシラン化合物末端の反応基が反応性の低いものであるシランカップリング剤を用いて多孔質シリカを表面処理することが好ましく、例えば反応性の低い反応基であるビニル基を有するシランカップリング剤等を用いることが好ましい。
(多孔質シリカへのモノマー含浸工程)
次に、シランカップリング剤による表面処理を施した多孔質シリカをカラムに充填し、モノマー溶液をカラムに注入して含浸する。多孔質シリカの充填においては、カラムの下部に金網等による仕切りを設けて、この金網よりも上部に多孔質シリカが充填されようにし、金網よりも下部に多孔質シリカ粒子層を通過したモノマー溶液が溜まるようにしてもよい。また、多孔質シリカ粒子を充填したカラムを減圧して粒子の細孔内の空気を排除してからモノマー溶液をカラム内に注入することが好ましい。このように減圧して細孔内の空気を排除してから注入することによって、注入したモノマー溶液が多孔質シリカ粒子の細孔内部に十分に浸透せずに粒子と粒子の隙間を流れたり、あるいは全粒子または一部の粒子がモノマー溶液に埋没した状態になって各粒子の細孔内部にモノマー溶液が十分に浸透しなくなることを防ぐことができる。なお、減圧された空間にモノマー溶液を注入した際にモノマーを溶かしている溶媒の気化が起こり、温度が低下してモノマーが固相として析出してしまう現象を防ぐため、カラム内における粒子以外の空間の体積は可能な限り小さくすることが好ましく、場合によってはカラムの温度調整を行うとよい。また、モノマー溶液の注入後はカラム内に速やかに窒素等の不活性ガスを導入し、カラム内の気圧を大気圧と同等もしくはそれ以上に保ち、溶媒の気化を防止すると共にその後の不活性ガス雰囲気下での粒子の取扱いに備える。
(遠心機による表面細孔内過剰モノマー溶液除去工程)
さらに、カラムに充填された多孔質シリカにモノマー溶液を注入して含浸させた後に、遠心分離機を利用して、多孔質シリカ細孔表面から余剰のモノマー溶液を除去することが好ましい。このように、遠心機を使ってモノマーを含浸させた多孔質シリカを遠心して余剰モノマーを除去することによって、温度スイング操作によって膨潤/収縮する感温性ゲルの体積変化が可能な空間を確保することができ、より効率的に目的とする3価MAを吸脱着して分離抽出することができる。また、遠心機を用いて遠心させることによって、モノマー溶液を細孔表面に薄膜状に展開させることが可能となり、このことによっても感温性ゲルの体積変化が可能な空間を確保することができると同時に、細孔表面からゲルを離れ難くすることができ、ゲルの溶離に伴う分離能の低下を防ぐことが可能となる。
(細孔表面への固定及び共重合体ゲル生成工程)
そして、上述の工程で得られたモノマー含浸多孔質シリカにおいて、NIPA及びTPPENの各モノマーとシラン化合物末端の官能基を共有結合させた後、周知のラジカル重合条件(例えば、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)等の重合開始剤を含有させ、60℃で18時間)に保って、多孔質シリカの細孔表面に共重合体のゲルを固定化する。ここで、各モノマーと細孔表面のシラン化合物末端の反応基との化学結合反応においては、その反応性が低い反応基と結合させることが好ましい。反応性の高い反応基を用いると、後のゲル生成の重合反応で、過度の架橋が形成されて硬化し、温度スイング操作によって、膨潤/収縮の体積変化が起こりにくくなるからである。従って、例えばシラン化合物の末端にある反応性の低いビニル基を有するシランカップリング剤を用いて多孔質シリカ細孔表面を処理し、各モノマーと共有結合させるようにすることが好ましい。
なお、本実施形態においては、具体的にTPPENを用いた例について説明したが、当然これに限られるものではない。例えば、下記一般式(3)で表されるTPEN誘導体であって、R〜Rの官能基の末端が、シランカップリング剤の有機物質と反応する反応基、例えばビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基、アクリル基、ハロアルキル基、イソシアネート基、グリシジル基、キシル基等、好ましくはビニル基と共有結合し得る官能基を有するTPEN誘導体を多座配位子として用いることもできる。このTPEN誘導体を含有した分離剤は、3価MAの他に、CdやHg等の環境毒性の高い金属や、Pt、Pd、Au、Ag等の貴金属とも錯体を形成し、これらの金属を分離回収するために用いることができる。
Figure 2009160495
また、その他の金属イオンと錯体を形成するものであって、カップリング剤の有機物質と反応する反応基と共有結合し得る構造を有する多座配位子、例えばエチレンジアミン誘導体やアミノポリカルボン酸等を用いることもできる。これらの多座配位子の中でも、特に、1分子で金属イオン等の目的物質と錯体を形成し得るものであることが好ましい。本実施形態に係る分離剤は、温度スイング操作によって分離抽出することを可能にするため、低温時における膨潤状態においても解離することなく目的物質と結合し、錯体形成が可能な分子であることが必要だからである。
以上、このように本実施形態に係る分離剤及び分離剤の製造方法によれば、感温性ゲルを用いて温度スイング操作のみによって分離回収することができるので、新たな有機溶液を使用する必要がなく、二次廃棄物の発生を抑えることができ、環境への負荷を軽減することができる。
また、感温性ゲルを構成するモノマーを多孔質担体にただ単に含浸させるだけでなく、多孔質担体をカップリング剤で処理し、カップリング剤の化合物とモノマーを共有結合させることによって、多孔質担体の細孔表面にモノマーの共重合体ゲルを固定しているので、ゲルが溶離・溶解してしまうことを防止することができ、溶離等に伴う分離性能の低下を抑えることができる。
さらに、モノマーを多孔質担体に含浸後、遠心することによって、余剰のモノマー溶液を除去し、また、遠心することによって多孔質体に含浸させたモノマーを薄膜状に塗布されるように展開することによって、膨潤するゲルの体積変化に必要な空間を確保することができ、温度スイング操作によって効率的に目的物質を分離回収することができる。さらに、感温性ゲルを多孔質担体の細孔表面に固定することに伴う、自由度の低下を抑えることができる。
以下、さらに具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
(多座配位子の合成例)
まず、多座配位子であるTPPEN(N,N,N',N'−テトラキス(4−プロペニル−2−メチルピリジル)エチレンジアミン)を合成した。
反応管に炭酸カリウム水溶液と2−クロロメチル−4−プロペニルピリジンを加え、そこに窒素雰囲気下で1,2−エチレンジアミンを加えた。更に、触媒量の塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムを加えて室温で72時間攪拌した。反応は薄層クロマトグラフィー(アルミナ、展開溶媒:酢酸エチル)分析で追跡し、原料のクロロメチルピリジン誘導体がほとんど消費したことが確認されるまで継続した。反応混合物をジクロロメタンで抽出した後、有機相を蒸留水で洗浄してから無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた。そして溶媒を濃縮後、得られた粗生成物をアルミナによるカラムクロマトグラフィーで精製した(展開溶媒;酢酸エチル:メタノール=100:0〜10:1)。下記式(4)で表されるTPPENを53%の収率で得た。
Figure 2009160495
核磁気共鳴装置により、生成物のH−NMRスペクトルを測定したところ、8.27、7.05、6.66ppmにピリジン環由来の水素原子が観測された。また、6.02〜5.94および5.37、5.29ppmにオレフィンに帰属されるシグナルが観測され、4.50ppm付近にエーテル酸素に結合したメチレン水素に由来するピークが観測された。さらに、3.80ppmにピリジン環に隣接するメチレンに由来するピークが観測され、2.86ppmにエチレンジアミンに対応する水素原子に由来するピークが観測された。このことから,目的とするTPPENが合成されたことが分かった。
このように、クロロメチルピリジン誘導体と1,2−エチレンジアミンを触媒量の塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム存在下で反応させることにより、高粘度のタール状固形物が形成されにくくなり、高純度の目的生成物を効率的に得ることができる。また、カラムクロマトグラフィーによる精製後、リサイクル分取HPLCによる再精製を行うことにより、高純度の目的生成物を得ることができる。
(実施例1)
実施例1は、マイクロピペット用チップを使ってシリカ粒子Q600(平均細孔径587nm、比表面積5m/g、細孔容積0.59ml/g(富士シリシア化学株式会社製))に、合成されたTPPENモノマー、NIPAモノマー、AIBN(重合開始剤)、DMF(極性溶媒)の混合物を流し込み、当該モノマーを重合させて、TPPEN−NIPAゲル塗布多孔質シリカのサンプル1を生成した。そして、このサンプル1をトレーサー濃度のAm(III)とEu(III)を含む水溶液に入れてMA/Ln分離試験を行い、MA分離能の温度特性を評価した。抽出データは、TPPEN−NIPAゲルを多孔質シリカの細孔内に充填したサンプルについて、高温(45℃)と低温(2.0℃)に温度スイングさせ、温度変化による抽出率変化を観察した。
分離抽出試験は、具体的には、先ず遠沈管にサンプル1粒子1個を投入し水相を加え、バッチとし(バッチ構成;ゲル導入シリカゲル粒子1個:水相5.0〜6.0ml)、ゆっくり撹拌しながら、2.0℃にて一昼夜静置して、ゲルの膨潤が十分平衡に達するようにした。その後、バッチにpHの予備調整を行った。pH予備調整は、あらかじめ所定pHに調整した水相を加えて数時間以上ゆっくり撹拌した後、水相のpHを測定し、この操作を数回繰り返すことによって、pH変化がほぼ見られなくなったことを確認して、平衡pHが所定の値となったと判断した。一方、抽出実験用の水相として、AmとEuのトレーサーを含む所定pH(pH4.35〜5.35)の水溶液を用意し、1mlを分取して原液のγ線測定用サンプルとした。
各バッチのpH予備調整を行った後、バッチの水相を抜き取り、トレーサーを含む抽出実験用水相を加えた。そして、先ず、低温2.0℃にて、恒温槽内に設置した振とう機にて8時間振とうした後、pHを測定するとともに、水相を1ml採取してγ線測定用サンプルとした。続けて、温度を45℃として一晩静置したあと、8時間振とうし、再度pHを測定して水相を1ml採取した。採取した測定用サンプルは、半導体検出器にてγ線を測定し、この測定値による計数率をAm、Euの濃度として採用し、原液からの変化によって抽出率及び分配比を求めた。
(実施例2)
実施例2は、マイクロピペット用チップを使ってシリカ粒子Q600(富士シリシア化学株式会社製)に、合成されたTPPENモノマーとNIPAモノマーとからなるモノマー溶液を浸漬し、遠心分離機を用いて遠心して余剰のモノマー溶液を除去した後に、重合開始剤であるAIBNを加えて、当該モノマーを重合させて、TPPEN−NIPAゲル塗布多孔質シリカのサンプル2を生成した。そして、このサンプル2を用いて、実施例1と同様の条件及び手順で、トレーサー濃度のAm(III)とEu(III)を含む水溶液に入れてMA/Eu分離試験を行い、MA分離能の温度特性を評価した。
(分離試験結果)
表1は、サンプル1とサンプル2における温度スイングによるAmとEuの分離試験結果を示す表である。
Figure 2009160495
表1の3価MA抽出試験結果からもわかるように、サンプル1及び2のどちらにおいても、これらの粒子は優れたAm/Eu分離係数と温度スイング効果を示し、低温でAmが選択吸着され、高温で回収することが可能であることが明らかとなった。多孔質シリカに固定化したクロマト分離剤でも有意な分離性能が得られることが証明された。
また、サンプル1とサンプル2との比較において、サンプル2の製造において処理したように、モノマー溶液を多孔質シリカに含浸後、遠心して余剰のモノマーを除去する処理を行う方がより好ましいことが明らかとなった。

Claims (16)

  1. N−アルキル(メタ)アクリルアミド誘導体モノマーと多座配位子化合物のモノマーとの共重合体ゲルが、カップリング剤で表面処理された無機多孔質担体に固定されている分離剤であって、
    上記無機多孔質担体の細孔表面に導入された上記カップリング剤が有する反応基と上記各モノマーとが共有結合され、当該細孔表面に上記共重合体ゲルが固定されてなることを特徴とする分離剤。
  2. 上記N−アルキル(メタ)アクリルアミド誘導体は、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドであることを特徴とする請求項1記載の分離剤。
  3. 上記反応基は、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基、アクリル基、ハロアルキル基、イソシアネート基、グリシジル基及びキシル基のうちから選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1又は2記載の分離剤。
  4. 上記共重合体ゲルは、上記細孔表面に薄膜状に固定されてなることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の分離剤。
  5. 上記カップリング剤は、シランカップリング剤であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の分離剤。
  6. 上記無機多孔質担体は、多孔質シリカであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の分離剤。
  7. 上記多座配位子化合物は、金属イオンと錯体を形成することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記載の分離剤。
  8. 上記多座配位子化合物は、下記一般式(1)
    Figure 2009160495
    で表されるN,N,N',N'−テトラキス(4−プロペニル−2−メチルピリジル)エチレンジアミンであることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項記載の分離剤。
  9. 無機多孔質担体をカップリング剤で表面処理する工程と、
    表面処理された上記無機多孔質担体の細孔表面に、N−アルキル(メタ)アクリルアミド誘導体モノマーと多座配位子化合物のモノマーとを含浸させる工程と、
    上記各モノマーを、上記カップリング剤による表面処理で導入された反応基と共有結合させ、上記細孔表面に固定する工程と、
    上記細孔表面に固定された上記各モノマーを重合させて共重合体ゲルを生成する工程と
    を有することを特徴とする分離剤の製造方法。
  10. 上記無機多孔質担体の細孔表面に各モノマーを含浸させる工程では、更に、当該無機多孔質担体を遠心し、当該細孔表面の余剰モノマーを除去することを特徴とする請求項9記載の分離剤の製造方法。
  11. 上記N−アルキル(メタ)アクリルアミド誘導体は、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドであることを特徴とする請求項9又は10記載の分離剤の製造方法。
  12. 上記反応基は、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基、アクリル基、ハロアルキル基、イソシアネート基、グリシジル基及びキシル基のうちから選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項9乃至11の何れか1項記載の分離剤の製造方法。
  13. 上記カップリング剤は、シランカップリング剤であることを特徴とする請求項9乃至12の何れか1項記載の分離剤の製造方法。
  14. 上記無機多孔質担体は、多孔質シリカであることを特徴とする請求項9乃至13の何れか1項記載の分離剤の製造方法。
  15. 上記多座配位子化合物は、金属イオンと錯体を形成することを特徴とする請求項9乃至14の何れか1項記載の分離剤の製造方法。
  16. 上記多座配位子化合物は、下記一般式(1)
    Figure 2009160495
    で表されるN,N,N',N'−テトラキス(4−プロペニル−2−メチルピリジル)エチレンジアミンであることを特徴とする請求項9乃至15の何れか1項記載の分離剤の製造方法。
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