JPH0716851Y2 - 吊上式の立体駐輪装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、吊上駐車部材が自転車を掛止して吊上げて収
納することが出来る、吊上式の立体駐輪装置に関するも
のである。

従来の技術 自転車の駐車設備としては、従来より２階建ての建築構
造物を利用して、駐車スペースを確保しようとするもの
が公知である。

このような立体駐車場の上部駐車スペースへは、スロー
プを利用して人力で自転車を押し上げるように成ってお
り、これは所謂自走式の立体駐車場であるため、一階の
天井を高くし、かつ自転車を押して上がれる程度の幅
で、傾斜の緩やかなスロープを少なくとも１つ以上は設
ける必要があり、このためこのような立体駐車場を設備
するにはかなり広い設置空間を必要とし、設備費が高く
つく、と云うような欠点がある。

従って、このような欠点を除去するため、当出願人の出
願に係る実公昭62-31564号公報及び実開昭02-36566号公
報に記載されているように、下部駐車スペースを有し、
支柱または該支柱で横設された支柱梁部材に一端部が取
り付けられた上部駐車収納部材と、当該部材に対して回
動及び摺動自在に枢支された可動軌条部材から成る上部
駐車テーブルとによって構成され、前記上部駐車収納部
材より可動軌条部材を引き出して傾斜保持させ、自転車
の前後輪を可動軌条部材上に載置しつつ可動軌条部材の
端部持ってこれを水平状態にし、上部駐車収納部材内に
挿入することによって上部駐車テーブル上に自転車を駐
車させる駐車装置が実用化されている。

また、当出願人の出願に係る実公昭60-19241号公報、実
公昭62-4136号公報、同4137号公報に記載されているよ
うに、下部駐車スペースを有し、支柱または該支柱で横
設された支柱梁部材に一端部が取り付けられた上部駐車
収納部材と、当該部材に対して摺動自在に転支された可
動ベースと、当該可動ベースに対して回動自在に枢支さ
れた可動軌条部材から成る上部駐車テーブルとによって
構成され、前記上部駐車収納部材より可動軌条部材を引
き出して傾斜保持させ、自転車の前輪を可動ベース上に
載置し、可動軌条部材の前端部を持ってこれを水平状態
にし、上部駐車収納部材内に挿入することにより、上部
駐車テーブル上に自転車を駐車させる駐車装置が実用化
されている。

考案が解決しようとする課題 しかし、これらの立体駐車装置では、上段の部分へは自
力で自転車を押し上げざるを得ず、その結果、地上より
２段目までしか駐車スペースを構築することが出来なか
ったのである。

駐車場不足が深刻な問題と成っている現状では、更に上
の駐車スペースを確保する必要に迫られているのではあ
るが、上述のような理由から３段目以上を駐車スペース
とすることは不可能なことなのである。

また、上段の部分への自転車の出し入れに際して、下段
の駐車設備やそこにある自転車などが邪魔に成ることも
あった。

更に、通路面に溝や段差などがあって、自転車を駐車さ
せるのに不向きな場所もあったが、こうした場所でも自
転車が駐車出来ることが望ましい。

また、従来例の立体駐車装置では、自転車を立体駐車装
置の長手方向に出し入れせねば成らず、立体駐車装置の
前方にかなり広いスペースを必要としていたため、この
スペースが取れない場所では立体駐車装置を設置するこ
とが基本的に不可能であり、例えばデパート等の商業ビ
ルの壁面に沿ってている通路が狭い場合には、壁面に立
体駐車装置を設けることさえ出来なかったのである。

これとは逆に、前記立体駐車装置を設置してなお十分な
通路などが確保出来ると云うような場合、通路の一部を
活用して多段式立体駐車装置を設置すれば更に効率が良
く成るのであるが、このようなこともまた不可能であっ
た。

本考案は、上記諸々の問題点を解決して、駐輪装置を狭
い通路の壁際などにも設置することが出来、通路面に溝
や段差などがあって、自転車を駐車させるのに不向きな
場所でも設置することが可能で、更に従来例の２段式駐
車装置が設置可能な場所では、３段以上の高層駐車スペ
ースを構築することさえ出来、多大の設備投資をするこ
となく、空きスペースを効率良く活用することが出来る
ような、吊上式の立体駐輪装置の提供を課題とするもの
である。

課題を解決するための手段 そこで本考案は、支柱または支柱で横設された支柱梁部
材に吊上駐車部材を横設し、該吊上駐車部材に任意の回
動手段または摺動手段を設けて、吊上部材またはその一
部部材を通路側に回転移動自在または伸縮移動自在と為
し、かつ吊上駐車部材またはその一部部材の所要部に滑
車を取り付け、該滑車を介して線材を垂下させ、自動車
のハンドルポストおよびサドルポストに掛止し得るフッ
クを両端に配置したパンタグラフの下側のアームに前記
線材の先端部分を取り付け、線材の他方の端を前記支柱
または支柱梁部材または吊上駐車部材に設けたウインチ
機構に接続して成る、吊上式の立体駐輪装置と為したも
のである。

作用 前記横設された吊上駐車部材に任意の回動手段を設けた
場合では、吊上部材またはその一部部材が通路側に回転
移動自在であり、回転させることによって吊上部材また
はその一部部材に取り付けられた滑車部分を通路上に移
動させることが出来る。

また、横設された吊上駐車部材に任意の摺動手段を設け
た場合では、吊上部材またはその一部部材が通路側に伸
縮移動自在であり、伸長させることにより吊上部材また
はその一部部材に取り付けられた滑車部分を通路上に移
動させることが出来る。

一方、前記滑車を通して線材を垂下させているが、該線
材は吊上部材に設置したウインチ機構に接続されている
ため、線材を巻き上げたり、繰り出したりすることが自
在に行い得るものである。

また、自転車のハンドルポストおよびサドルポストに掛
止し得るフックを両端に配置したパンタグラフの下側の
アームには、前記線材の先端部分が取り付けられている
が、このパンタグラフを以て通路にある自転車に引っ掛
けるのである。即ち、パンタグラフはこれを潰すと、そ
の両端のフックが広がるため、この両端のフックを自転
車のハンドルポストおよびサドルポストに掛止するので
ある。

次いで、前記ウインチ機構を作動させ線材を巻き上げれ
ば、上方に引かれた線材がパンタグラフの下側のアーム
を上方に引き上げ、パンタグラフが更に潰れて、その両
端のフックが一層広がり、前記ハンドルポストおよびサ
ドルポストを強く押すことに成る。

而も、自転車が地面から離れると、パンタグラフには自
転車の全重量が掛かってくるため、下アーム82が上方向
に一層強く引かれ、パンタグラフが更にハンドルポスト
およびサドルポストを強く固定して、自転車が外れて落
下するような危険が無くなるのである。

そして、自転車が吊り上げられ、吊上部材近傍まで来た
らウインチ機構を停止させる。

この後、吊上部材またはその一部部材を所定の位置まで
回動または摺動させて、自転車の収納が完了するのであ
る。

このようであるから、本考案は空きスペースの壁際など
に沿って設置することが可能と成る訳であり、また前記
掛止具を一旦通路側に出すことが出来るため、本考案の
下部に別の駐車スペースを設けても、自転車の出し入れ
に際して邪魔に成るような不都合は生じない。

実施例 次に、本考案の実施例を図面に基づいて説明するが、本
考案は特にこの実施例にのみ限定されるものではない。

第１実施例 第１図は、本考案の第１実施例を表す側面図であり、第
２図は、パンタグラフ８部分の平面図であり、第３図
は、パンタグラフ８部分の側面図であり、第４図は、パ
ンタグラフ８の両端部のフック84に、自転車のハンドル
ポストＡおよびサドルポストＢを掛止したときの動作状
態説明図であり、第５図は、本実施例の設置例を図示し
たレイアウト図である。

本実施例は、自転車の出し入れに際して下２段の駐車ス
ペース1,3やそこにある自転車などが邪魔に成らないよ
うに、吊上式駐車スペース６の吊上部材の一部である２
段式の摺動部材7,70を、そのスラスト方向である通路側
に移動させることが可能な、３段式の高層駐車スペース
を構築した立体駐車装置としている。

即ち、支柱４で横設された最上段の支柱梁部材に回動部
材60を横設し、該回動部材に摺動部材70を、次いで摺動
部材７をアンテナ式に設けて、摺動部材７を通路側に伸
縮移動自在と為し、摺動部材７の先端に滑車91,91を上
下に重ねるように取り付け、該滑車91,91の隙間を通し
てワイヤー90を垂下させ、該ワイヤー90の中間部に、モ
ーターを内蔵したスイベル80を取り付け、ワイヤー90の
先端部には自転車への掛止具としてのパンタグラフ８を
取り付け、該パンタグラフ８は２本の上アーム81及び２
本の下アーム82とをダイヤモンド形に組み合わせてその
両端にフック84を固定し、左右の上アーム81には通孔83
を開口し、該通孔83に下アーム82に取り付けたワイヤー
90を通し、該ワイヤー90の他方の端を前記摺動部材7,70
の中に通して、回動部材60に設置したウインチ９に接続
して成る。回動部材60は支柱４に対して回動自在に設け
られている。

一方、下部駐車スペース１は、垂直に立設した別の支柱
２に２枚の傾倒防止用の前輪支持枠10を固定し、自転車
を収納した場合に後輪が接する程度の長さの軌条部材11
を設け、当該軌条部材11に複数個のコロ12を取り付けて
成り、更に、本実施例の中段である上部駐車スペース３
に関しては、断面が略コ字状の上部駐車収納部材34の内
側両側面部上方に添設したチャンネル材30を有し、前記
支柱２にその一端部が取り付けられており、この上部駐
車収納部材34に対して、前輪支持枠32を摺動自在に転支
すべく、可動ベース31の前後方の側面部に設けた滑車3
3,33を前記チャンネル材30に嵌入するのであるが、一
方、可動軌条部材５は断面が略コ字状を呈し、前端に取
手51が設けられ、後端部に滑車50が取り付けられて、前
記チャンネル材30内の可動ベース31の前後の滑車33,33
の中間に滑車50を以て嵌入され、上部駐車収納部材34に
摺動自在に枢支されている。

さて、前記ウインチ９は、可動軌条部材５の取手51の近
傍に内設されているコントローラ92にあるスイッチの操
作によって作動する。最上段の吊上式駐車スペース６で
は、回動部材60より摺動部材70,7がアンテナ式に順次伸
長して、上部駐車スペース３の前端よりも通路方向に出
た位置で停止し、次いでワイヤー90が繰り出されて前記
パンタグラフ８が通路面付近まで降下する。

ここで、第４図で図示するように、２箇所のフック84,8
4を自転車のハンドルポストＡ、サドルポストＢに引っ
掛けると、フック84,84はハンドルとサドルに阻まれて
上方に抜けることが出来ない。

そこで、コントローラ92を操作してワイヤー90を巻き上
げると、ワイヤー90に下アーム82が引っ張られて、フッ
ク84,84が両側に伸長して、自転車のハンドルポストＡ
並びにサドルポストＢをしっかりと固定しながら、自転
車を吊り上げるのである。

自転車が地面から離れると、当該パンタグラフ８には自
転車の全重量が掛かってくる。そして、パンタグラフ８
に力が加われば加わる程、下アーム82が上方に強く引か
れ、フック84,84が両側に伸長して、ハンドルポスト
Ａ、およびサドルポストＢを一層強く固定して、自転車
が外れて落下するような危険が無く成るのである。

ワイヤー90の巻き上げが、所定の位置で停止した後、ス
イベル80が回転して自転車を90度回転させ、自転車の姿
勢を吊上式駐車スペース６に沿った方向に転向させ、更
に摺動部材7,70が順次縮小して（第５図参照）、駐車が
完了することに成る。

本実施例てば、回動部材60の後端部から摺動部材７の前
端部までの寸法を、その最小縮小状態で1900［mm］、最
大伸長状態で2500［mm］に設定してある。

尚、上部駐車スペース３に自転車を駐車させるには、可
動軌条部材５を引き出して傾斜保持させ、自転車を可動
軌条部材５上へ押し上げ、可動軌条部材５の前端部の取
手51を持ってこれを水平状態にし、上部駐車スペース３
内に挿入するように操作するのである。

第２実施例 第６図は、本実施例の側面図である。

本実施例の場合も、壁面等を有効利用しようとするもの
であり、壁面にコントローラ92が埋設され、吊上式駐車
スペース６、上部駐車スペース３、下部駐車スペース１
の夫々が、独立して通路側に回動自在に構成されてい
る。

支柱は、符号２で示すものと符号４で示すものとの２本
が、壁面に沿って併設されており、上部駐車スペース３
は、支柱２に対して回転軸20を以て回動自在であり、吊
上式駐車スペース６は、支柱４に対して回動自在であ
り、また下部駐車スペース１は、支柱２の手前にある基
台に回動軸14を以て回動自在と成っており、このため軌
条部材11の前端部に車輪13が取り付けられている。

前記上部駐車スペース３の可動軌条部材５は、支柱２に
支持されたチャンネル材30の中に摺動自在に設けられて
おり、符号53は自転車の後輪を両側から押さえ付けて固
定するためのアームであり、符号52はアーム53先端の合
成樹脂製のストッパーであり、また符号32は前輪支持枠
である。

尚、本実施例は、第７図で図示されるように、壁面に沿
って設置されることに成るのである。

第３実施例 第８図は、第３実施例の模式図である。

本実施例は、壁面に添設された梁材41に対して、スライ
ド部材61が前後のスライダー62,62で取り付けられて成
り、第１実施例のように摺動部材７が回転と摺動とを行
うものではなく、また第２実施例のように回動部材60が
回転するものではなく、スライド部材61が通路方向に平
行にスライド動作を行う例である。

本実施例の用途及び作用効果は、第２実施例に倣うもの
である。

この他、本考案は上述実施例に限定されない。例えば、
通路面に溝や段差などがあって、自転車を駐車させるの
に不向きな場所に設置することも出来る。また支柱を太
くすれば更に高層の駐輪場を実現することが出来、ウイ
ンチ機構が手動で動作するように構成しても良く、線材
にワイヤーだけでなくチェーンなども利用可能であり、
線材の本数は特に限定されず、滑車にはギヤも利用出来
るし、パンタグラフには安全装置としてのロック機構や
盗難防止用のロック装置を設けることなども好ましい。

考案の効果 以上本考案は、支柱または支柱で横設された支柱梁部材
に吊上駐車部材を横設し、該吊上駐車部材に任意の回動
手段または摺動手段を設けて、吊上部材またはその一部
部材を通路側に回転移動自在または伸縮移動自在と為
し、かつ吊上駐車部材またはその一部部材の所要部に滑
車を取り付け、該滑車を介して線材を垂下させ、自転車
のハンドルポストおよびサドルポストに掛止し得るフッ
トを両端に配置したパンタグラフの下側のアームに前記
線材の先端部分を取り付け、線材の他方の端を前記支柱
または支柱梁部材または吊上駐車部材に設けたウインチ
機構に接続して成る、吊上式の立体駐輪装置としてい
る。

この結果、本駐輪装置を狭い通路の壁際などに設置する
ことが出来、通路面に溝や段差などがあって、自転車を
駐車させるのに不向きな場所でも設置することが可能
で、更に従来の２段式駐車装置を設置可能な場所では、
３段以上の高層駐車スペースを構築することさえ可能で
あり、多大の設備投資をすることなく、空きスペースを
効率良く活用することが出来るような、吊上式の立体駐
輪装置を提供することが出来、現在重大な社会問題のひ
とつと成っている自転車放置公害解消の一助と成ること
は明白である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、第１実施例の側面図である。 第２図は、同実施例のパンタグラフ８部分の平面図であ
る。 第３図は、同実施例のパンタグラフ８部分の側面図であ
る。 第４図は、同実施例の動作状態説明図である。 第５図は、同実施例のレイアウト図である。 第６図は、第２実施例の側面図である。 第７図は、同実施例のレイアウト図である。 第８図は、第３実施例の模式図である。 １……下部駐車スペース ２……支柱 ３……上部駐車スペース ４……支柱 40……回動軸 41……梁材 ６……吊上式駐車スペース 60……回動部材 61……スライド部材 62……スライダー ７……摺動部材 70……摺動部材 ８……パンタグラフ 80……スイベル 81……上アーム 82……下アーム 83……通孔 84……フック 85……固着部 ９……ウインチ 90……ワイヤー 91……滑車 92……コントローラ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】支柱または支柱で横設された支柱梁部材に
   吊上駐車部材を横設し、該吊上駐車部材に任意の回動手
   段または摺動手段を設けて、吊上部材またはその一部部
   材を通路側に回転移動自在または伸縮移動自在と為し、
   かつ吊上駐車部材またはその一部部材の所要部に滑車を
   取り付け、該滑車を介して線材を垂下させ、自転車のハ
   ンドルポストおよびサドルポストに掛止し得るフックを
   両端に配置したパンタグラフの下側のアームに前記線材
   の先端部分を取り付け、線材の他方の端を前記支柱また
   は支柱梁部材または吊上駐車部材に設けたウインチ機構
   に接続して成る、吊上式の立体駐輪装置。