JPH0715458U - プリテンショナ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 シリンダーの長さを短くしたプリテンショナ
を得る。 【構成】 車両急減速時に至ると大量のガスが発生し、
ガス発生器３２からシリンダー２６内へガスが流入す
る。このガスの圧力によって、ピストン３６と共に動滑
車４０が瞬時に移動し、動滑車４０に巻き掛けられたワ
イヤ２４を引っ張る。このワイヤ２４の引っ張り量は、
従来のようにピストンに直接ワイヤが連結された場合と
比較すると２倍の量となる。従って、従来のシリンダー
の半分の長さで同じ量だけのワイヤを引っ張ることがで
き、シリンダー２６が短いプリテンショナを製造するこ
とができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ウエビング巻取装置に用いられ、車両急減速時にウエビングを乗員 に緊密に装着させるプリテンショナに関する。

【０００２】

【従来の技術】

シートベルト装置は、車両急減速時に、乗員をウエビングで緊密に拘束し、乗 員の安全を確保する必要がある。このため、車両急減速時にウエビングを強制的 に巻取り、ウエビングを乗員に密着させるプリテンショナが提案されている。

【０００３】 このプリテンショナは、車両の通常走行時には、巻取軸の回転の障害となるこ となく、自由にウエビングの巻取り、引出しが行なわれるように設計され、また 、車両急減速時には、ウエビングの巻取軸とプリテンショナとの間に設けられた クラッチ機構によって、プリテンショナの巻取回転力を巻取軸に伝達させ、乗員 を拘束する方向へウエビングを巻き取るようなっている。

【０００４】 ところで、このようなプリテンショナの巻取回転力は、シリンダ内にガスを圧 送しピストンを急激に移動させて、このピストンへ一端が連結されたワイヤを巻 付けた回転ドラムを瞬時に回転させ、この回転ドラムの回転力をクラッチ機構に よって、ウエビングの巻取軸に伝達することによって得られる。

【０００５】 しかしながら、従来のシリンダー及びピストンを備えたプリテンショナでは、 巻取軸の回転量に応じてシリンダーを長くする必要があり、このシリンダー部分 がウエビング巻取装置本体から出っ張り、車室内に一定の取付スペースを確保す る必要があった。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は係る事実を考慮し、シリンダーの長さを短くできるプリテンショナを 提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案に係るプリテンショナは、車両急減速時にウエビングの巻取軸を強制的 に回転させウエビングを乗員拘束方向へ緊張させるプリテンショナにおいて、前 記巻取軸の軸端部にクラッチ機構を介して連結された回転ドラムと、車両急減速 時に発生するガスが流入するシリンダーと、前記シリンダー内に配設され流入し たガスのガス圧を受ける底面を備えた箱型のピストンと、前記ピストンの側壁に 形成された長溝に軸支され箱型のピストンの内部へ位置する動滑車と、一端が前 記回転ドラムに巻付けられ他端が前記シリンダーの底部に固定され中間部が前記 動滑車に巻き掛けられたワイヤと、を有することを特徴としている。

【０００８】

【作用】

本考案に係るプリテンショナでは、車両急減速時に至ると大量のガスが発生し 、このガスがシリンダー内へ流入する。このガスの圧力によって、ピストンと共 に動滑車が瞬時に移動し、動滑車に巻き掛けられたワイヤを引っ張る。このワイ ヤの引っ張り量は、従来のようにピストンに直接ワイヤが連結された場合と比較 すると２倍の量となる。従って、従来のシリンダーの半分の長さで同じ量だけの ワイヤを引っ張ることができ、シリンダーが短いプリテンショナを製造すること ができる。

【０００９】 なお、ガスの圧力は、ピストンの底面で受圧され動滑車には作用しないので、 ピストンの側壁に形成された長溝に軸支された動滑車は、ガス圧に影響されるこ となくスムーズに回転することができる。

【００１０】 ワイヤが引っ張られると、ワイヤが巻付けられた回転ドラムが回転して、この 回転力がクラッチ機構を介して巻取軸に伝達され、ウエビングを乗員拘束方向へ 緊張させる。

【００１１】

【実施例】

図１には、本実施例に係るプリテンショナ１０が備えられたウエビング巻取装 置１２が示されている。このウエビング巻取装置１２は、矩形状のプレート１４ と、このプレート１４の両側から直角に屈曲され互いに平行とされた一対の脚板 １６とで構成されたフレームを備えている。

【００１２】 脚板１６は、巻取軸２０の両端を回転可能に軸支している。この巻取軸２０に は、乗員装着用のウエビング２２の先端が係止され、ウエビング２２が層状に巻 き取られている。

【００１３】 巻取軸２０の軸端には、図示しないクラッチ機構を介して脚板１６の外側に位 置する回転ドラム１８が同軸的に連結されている。この回転ドラム１８には、ワ イヤ２４が巻付けられ、ワイヤ２４の端部は回転ドラム１８の鍔部１８Ａに固定 されている。この回転ドラム１８が回転を始めると、図示しないクラッチ機構が 作動して、巻取軸２０が回転ドラム１８と一体となって回転するようになってい る。

【００１４】 また、ウエビング巻取装置１２と並んでシリンダー２６が取付けられている。 このシリンダー２６は、一方が開口され他方に底部２８を有する矩形状の筒体で 、底部２８に穿設された円孔３０には、ガス発生器３２と連通する案内通路３４ が連結されている。このガス発生器３２には、図示しないガス発生剤（エンハン サ等）及び雷管が収納されており、加速度センサが車両急減速状態を検知したと き、雷管を爆発させ、その火花でガス発生剤を反応させ大量のガスを発生させる ようになっている。

【００１５】 また、シリンダー２６の中には、上方に開口部３５が設けられ底面３６Ａを備 えた箱型のピストン３６が配設されている。この開口部３５から側壁３６Ｂに沿 って長溝３８が形成されている。この長溝３８には、動滑車４０の両側から突出 した軸部４２が回転可能に軸支されている。この動滑車４０には、回転ドラム１ ８に巻付けられたワイヤ２４の中間部が巻き掛けられている。このワイヤ２４は 、シャフト４４で軸支された定滑車４６で移動方向を変換され、シリンダー２６ の底部２８に穿設された貫通孔４８を通って動滑車４０に巻き掛けられ、次いで 、底部２８に穿設された貫通孔５８を通ってストッパ６０（図２参照）でシリン ダー２６に固定されている。

【００１６】 次に、本実施例に係るプリテンショナ１０の作用を説明する。 図２に示すように、車両の通常走行状態では、ピストン３６はシリンダー２６ の底部２８に位置している。このとき、クラッチ機構によって、巻取軸２０は回 転ドラム１８と連結されておらず、巻取軸２０は自由に回転しウエビング２２の 巻取り、引出しが行なえる。

【００１７】 ここで、車両急減速時に至るとガス発生器３２の加速度センサが反応し、雷管 が爆発し、その花火がガス発生剤を反応させ大量のガスを発生させる。このガス は案内通路３４を通ってシリンダー２６へ流入し、ピストン３６と共に動滑車４ ０を瞬時に押し上げる。このとき、ガスはピストン３６の底面３６Ａで受けられ 、動滑車４０には直接当たらないので、動滑車４０はガス圧に影響されることな く、スムーズに回転できる。これによって、ワイヤ２４がシリンダー２６に引き 込まれ回転ドラム１８が矢印Ａ方向に回転する。回転ドラム１８が回転すると、 クラッチ機構が働き、回転ドラム１８の回転力が巻取軸２０へ伝達され、巻取軸 ２０は回転ドラム１８と一体となって回転する。これによって、ウエビング２２ を強制的に乗員拘束方向へ緊張させることができる。

【００１８】 このように、動滑車４０を用いることで、ピストン３６に直接ワイヤ２４が連 結された場合と比較するとワイヤ２４の引き込み量が２倍となり、短いシリンダ ーでも、従来の長いシリンダーと同じ量だけ、巻取軸２０を回転させることがで きる。

【００１９】

【考案の効果】 本考案は上記構成としたので、シリンダーの長さが短くでき、取付スペースを 小さくすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るプリテンショナを示す分解斜視図
である。

【図２】車両の通常走行状態におけるプリテンショナの
断面図である。

【図３】車両急減速時におけるプリテンショナの断面図
である。

【符号の説明】

１８ 回転ドラム ２４ ワイヤ ２６ シリンダー ３６ ピストン ４０ 動滑車

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 寺岡 史法 愛知県丹羽郡大口町大字豊田字野田１番地 株式会社東海理化電機製作所内 (72)考案者 松井 研二 愛知県丹羽郡大口町大字豊田字野田１番地 株式会社東海理化電機製作所内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両急減速時にウエビングの巻取軸を強
   制的に回転させウエビングを乗員拘束方向へ緊張させる
   プリテンショナにおいて、 前記巻取軸の軸端部にクラッチ機構を介して連結された
   回転ドラムと、車両急減速時に発生するガスが流入する
   シリンダーと、前記シリンダー内に配設され流入したガ
   スのガス圧を受ける底面を備えた箱型のピストンと、前
   記ピストンの側壁に形成された長溝に軸支され箱型のピ
   ストンの内部へ位置する動滑車と、一端が前記回転ドラ
   ムに巻付けられ他端が前記シリンダーの底部に固定され
   中間部が前記動滑車に巻き掛けられたワイヤと、を有す
   ることを特徴とするプリテンショナ。