JPH07126572A - 可剥離性水系被覆組成物 - Google Patents

可剥離性水系被覆組成物

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JPH07126572A
JPH07126572A JP5270499A JP27049993A JPH07126572A JP H07126572 A JPH07126572 A JP H07126572A JP 5270499 A JP5270499 A JP 5270499A JP 27049993 A JP27049993 A JP 27049993A JP H07126572 A JPH07126572 A JP H07126572A
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water
monomer
coating composition
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acid
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Nobuo Nakagawa
信夫 中川
Hiroshi Serizawa
洋 芹澤
Kazuhiro Michimae
一博 道前
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐熱性、耐酸性雨性、耐候性、耐溶剤性及び
剥離性に優れる塗膜を形成することができ、保存時等に
おける安定性に優れた可剥離性水系被覆組成物を提供す
ること。 【構成】 下記(a)及び(b)を必須成分としてなる
ことを特徴とする可剥離性水系被覆組成物。 (a)反応性官能基を有するモノマー0.05〜30重
量%とアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エス
テル90〜50重量%とを必須のモノマー成分として含
有するモノマー混合物を、分散剤として水溶性高分子を
上記モノマー混合物100重量部に対して0.5〜20
重量部用いて、重合して得られる水分散樹脂、(b)上
記反応性官能基を有するモノマー1モルに対して、0.
1〜5モルの架橋剤

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、可剥離性水系被覆組成
物に関し、詳しくは、耐水性、強度、耐酸性雨性、耐侯
性及び剥離性に優れた塗膜を形成することができ、更に
保存時等にお6る安定性に優れた可剥離性水系被覆組成
物に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、自動車等の車両、航空機、機械部品、金属製家庭用
品、その他鉄及び非鉄金属製品、木工品、ガラス製品、
プラスチックス製品、ゴム製品等に塗装を行ったもの、
または塗装を必要としないそのままのもの等の物品は、
需要者の手にわたるまでの間に、輸送されたり、屋内ま
たは屋外に一時保管されることが多く行われている。そ
して、このように上記物品が需要者の手にわたるまでの
期間(普通一般的には2〜12ヵ月またはそれ以上)に
おいては、砂塵、鉄粉、塩類、酸類、煤煙、昆虫の体液
や死骸、鳥虫等のフン、太陽光線、風雨及びその他の影
響によって上記物品の表面にキズ、シミ、変色、汚染等
が発生するという、いわゆる表面劣化の問題があった。
【0003】上記表面劣化が生じた場合に該表面劣化を
除去するためには、労力と費用を要し、しかも商品価値
が低下することもある。また、以前から、工業地帯及び
その周辺では、工場から放出される煤煙が屋外で保管さ
れている物品に付着してしまうために、上記表面劣化の
問題が顕著であった。
【0004】更に、近年、屋外等で上記物品を保管した
際において、工業化によって人工的に放出された硫黄酸
化物、窒素酸化物、塩酸などの汚染物質を含有する酸性
雨が物品の塗装物表面に降りかかり、該酸性雨が濃縮さ
れて更に酸性度が高くなり、上記表面劣化を更に助長す
るという問題が新たに生じている。また、最近にわかに
進みつつあるオゾン層破壊による紫外線量増大によっ
て、更に物品への悪影響が大きく問題となることが予期
される。
【0005】そこで、上記塗装面上等に、皮膜を形成し
た後剥離することが可能な樹脂エマルジョン等からなる
可剥離性被覆剤により剥離可能な被膜を形成して、上述
の影響から上記塗装面等を保護する技術が種々提案され
ている。
【0006】しかしながら、従来提案されていた樹脂エ
マルジョン等のみでは屋外に保管した場合における皮膜
の耐熱性、耐酸性雨性及び耐候性が充分でないという問
題があった。
【0007】そこで、樹脂エマルジョンに顔料を添加し
て、皮膜の耐侯性を向上させた可剥離性被覆剤が提案さ
れている(特開昭56−3255号公報)が、この場合
には、上記可剥離性被覆剤の保存時における安定性が悪
化するという問題があり、更に、上記可剥離性被覆剤に
おいて、酸モノマーを樹脂の共重合成分として添加する
ことにより安定性を向上させたものも提案されている
(特開平3−275775号公報、特開平3−1403
73号公報)が、この場合には形成される皮膜の剥離性
が低下するという問題があった。
【0008】一方、近年作業環境の美化が進んでいる
が、産業機械、塗装ブース及びその周辺等は汚染が激し
いために、なかなか改善が進まないのが現状である。そ
こで、上記機械類及びその周辺に、上記可剥離性被覆剤
により剥離可能な皮膜を形成して、上述の問題を解決し
ようとする技術が提案されている。
【0009】しかしながら、従来提案されていた樹脂エ
マルジョン等のみでは、機械油や塗料中の溶剤によって
可剥離性皮膜がおかされてしまい、剥離不能となる場合
が多く生じていた。また、機械等は作動中に熱を発散す
るため、その熱によって劣化し剥離不能となる場合も多
く生じた。
【0010】また、最近では、台所用換気扇等の汚染防
止としてフィルタータイプのものが定着しているが、該
フィルタータイプは使用後大きなごみとなるため問題と
なりつつある。
【0011】そこで、上記換気扇及びその周辺に、上記
可剥離性被覆剤により剥離可能な被膜を形成して、上述
の問題を解決しようとする技術が提案されているが、従
来提案されていた可剥離性被覆剤の如く樹脂エマルジョ
ン等のみからなるものでは、煙中の油やコンロ等から発
生する熱によって、可剥離性被膜が侵されてしまい剥離
不能となる場合が多く生じた。
【0012】即ち、従来提案されている可剥離製被覆剤
では、耐熱性、耐酸性雨性、耐溶剤性、耐侯性及び剥離
性に優れた塗膜を形成することができず、充分な塗面の
保護効果が得られておらず、また、保存時の安定におい
ても満足のいくものではなかった。
【0013】従って、本発明の目的は、耐熱性、耐酸性
雨性、耐候性、耐溶剤性及び剥離性に優れる塗膜を形成
することができ、保存時等における安定性に優れた可剥
離性水系被覆組成物を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、種々検討
した結果、皮膜形成時及び皮膜形成後に架橋形態をとり
得る水分散樹脂含有組成物が、上記目的を達成し得るこ
とを知見した。
【0015】本発明は、上記知見に基づきなされたもの
であり、下記(a)及び(b)を必須成分としてなるこ
とを特徴とする可剥離性水系被覆組成物を提供するもの
である。 (a)反応性官能基を有するモノマー0.05〜30重
量%とアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エス
テル90〜50重量%とを必須のモノマー成分として含
有するモノマー混合物を、分散剤として水溶性高分子を
上記モノマー混合物100重量部に対して0.5〜20
重量部用いて、重合して得られる水分散樹脂 (b)上記反応性官能基を有するモノマー1モルに対し
て、0.1〜5モルの架橋剤
【0016】以下、本発明の可剥離性水系被覆組成物に
ついて更に詳細に説明する。本発明の可剥離性水系被覆
組成物は、特定の水分散樹脂及び特定の配合量の架橋剤
を含有してなることを特徴とする。
【0017】本発明において必須成分として用いる上記
特定の水分散樹脂は、特定の配合量の反応性官能基を有
するモノマーと、特定の配合量のアクリル酸エステル及
び/又はメタクリル酸エステルとを必須のモノマー成分
として含有するモノマー混合物を、分散剤として水溶性
高分子を特定の使用量用いて、重合して得られる水分散
樹脂である。
【0018】そして、該水分散樹脂の粘度、固形分、p
H及び平均粒子径等は、特に限定されるものではない
が、固形分(JIS−K6823)濃度が好ましくは1
0〜70重量%、より好ましくは20〜70重量%、特
に好ましくは30〜65重量%、粘度(BH型回転粘度
計20rpm、25℃)が好ましくは10〜10000
cps、より好ましくは500〜8000cps、特に
好ましくは500〜5000cps、pHが好ましくは
2〜10、より好ましくは3〜9、特に好ましくは4〜
9、平均粒子径が好ましくは0.01〜0.6μ、より
好ましくは0.02〜0.5μ、特に好ましくは0.0
5〜0.5μのものが用いられ、特に、固形分濃度及び
粘度が上記の好ましい範囲にあるものを用いることによ
って高品質の本発明の可剥離性水系被覆組成物を得るこ
とができる。
【0019】また、上記水分散樹脂を形成する、前記モ
ノマー混合物から得られる樹脂(以下、単に「樹脂」と
いう)は、ガラス転位温度(以下、Tgと略す)が一般
に229〜303K、より好ましくは233〜283K
であるのが好ましく、Tgが上記範囲の樹脂で形成され
た水分散樹脂を用いることにより、冬期、夏期を通じ
て、優れた剥離性及びタックを呈する本発明の可剥離性
水系被覆組成物を得ることができる。尚、前記Tgは、
下記〔1〕に示す計算式による。 1/Tg=W1 /Tg1 +W2 /Tg2 +・・・+Wn /Tgn ・・・〔1〕 式中、Tg、Tgnは、絶対温度で表示し、Wnは樹脂
中の各単量体成分の重量分率を示す。尚、上記水分散樹
脂の固形分中の上記樹脂分濃度は、通常99〜90%で
あり、好ましくは97〜92%である。
【0020】本発明において、上記モノマー混合物にお
ける必須のモノマー成分として用いられる上記反応性官
能基を有するモノマーとしては、アセトアセチル基を有
するモノマー、分子中に少なくとも1個のアルド基又は
ケト基及び1個の重合可能な二重結合を有するカルボニ
ル基含有モノマー、カルボキシル基を有するモノマー、
アミド基を有するモノマー、エポキシ基を有するモノマ
ー、水酸基を有するモノマー、アミノ基を有するモノマ
ー、加熱解離・転移によりイソシアネート基を発生する
モノマー等が挙げられる。
【0021】上記アセトアセチル基を有するモノマーと
しては、例えば、アセト酢酸ビニル、アセト酢酸アリル
等のアセト酢酸アルケニルエステル類:2−アセトアセ
トキシエチルアクリレート、2−アセトアセトキシエチ
ルメタクリレート、2−アセトアセトキシプロピルアク
リレート、2−アセトアセトキシプロピルメタクリレー
ト、2−シアノアセトアセトキシエチルメタクリレート
等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸アセト
酢酸ジエステル:2−アセトアセトキシエチルクロトネ
ート、2−アセトアセトキシプロピルクロトネート等の
アルキレングリコールのクロトン酸アセト酢酸ジエステ
ル;N−(アセトアセトキシメチル)アクリルアミド、
N−(アセトアセトキシメチル)メタクリルアミド、N
−(アセトアセトキシエチル)アクリルアミド、N−
(アセトアセトキシエチル)メタクリルアミド等のN−
アルキロール(メタ)アクリルアミドのアセト酢酸エス
テル等を挙げることができる。
【0022】上記分子中に少なくとも1個のアルド基又
はケト基及び1個の重合可能な二重結合を有するモノマ
ーとしては、アクロレイン、ジアセトンアクリルアミ
ド、ホルミルスチロール、ビニルメチルケトン、ビニル
エチルケトン、ビニルイソブチルケトン、(メタ)アク
リルオキシアルキルプロパナール、ジアセトンアクリレ
ート、アセトニルアクリレート、ジアセトンアクリレー
ト、ジアセトンメタクリレート、2−ヒドロキシプロピ
ルアクリレート−アセチルアセテート、ブタンジオール
−1,4−アクリレート−アセチルアセテート等を挙げ
ることができる。
【0023】上記カルボキシル基を有するモノマーとし
ては、例えば、、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン
酸、シトラコン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸
等の炭素数3〜5のα、β−不飽和モノ−またはジ−カ
ルボン酸等が挙げられる。
【0024】上記アミド基を有するモノマーとしては、
例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチ
ロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミ
ド等の(メタ)アクリル酸のアミド類またはその誘導体
等が挙げられる。
【0025】上記エポキシ基を有するモノマーとして
は、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタ
クリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エス
テル等が挙げられる。
【0026】上記水酸基を有するモノマーとしては、例
えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロ
キシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等
の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等が
挙げられる。
【0027】上記アミノ基を有するモノマーとしては、
ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノ
エチルメタクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリ
ル酸エステルが挙げられる。
【0028】上記加熱解離・転移によりイソシアネート
基を発生するモノマーとしては、例えば、N,N−ジメ
チルヒドロキシプロピルアミン−N−メタクリルイミ
ド、N,N−ジメチルヒドロキシプロピルアミン−N−
アクリルイミド等が挙げられる。
【0029】本発明においては、上述した反応性官能基
を有するモノマーの中でも、上記アセトアセチル基を有
するモノマーと上記分子中に少なくとも1個のアルド基
又はケト基及び1個の重合可能な二重結合を有するモノ
マーが好ましく用いられ、特にアセト酢酸アリル、2−
アセトアセトキシエチルアクリレート、2−アセトアセ
トキシエチルメタクリレート、2−アセトアセトキシプ
ロピルアクリレート、2−アセトアセトキシプロピルメ
タクリレート、ジアセトンアクリルアミド、アクロレイ
ン及びビニルメチルケトンが好ましく用いられる。
【0030】上記反応性官能基を有するモノマーの使用
に際しては、上述した化合物を単独で、又は適宜混合し
て用いることができる。
【0031】上記反応性官能基を有するモノマーの上記
の特定の配合量は、モノマー混合物全体に対して、0.
05〜30重量%、好ましくは1〜10重量%である。
上記反応性官能基を有するモノマーの配合量が0.05
重量%未満の場合には、充分な架橋構造が得られないた
め耐熱性、耐酸性雨性が不充分となり、30重量%を超
える場合には、架橋密度が高くなり過ぎるために被膜が
脆くなり剥離時の作業性が悪くなる。
【0032】また、本発明において上記モノマー混合物
における必須のモノマー成分として用いられる上記アク
リル酸エステルとしては、アクリル酸シクロヘキシル、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−
ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸tert−
ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラ
ウリル等が挙げられ、また、上記メタクリル酸エステル
としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、
メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メ
タクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸シクロヘキ
シル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸
ステアリル等が挙げられる。
【0033】上記アクリル酸エステル及び/又はメタク
リル酸エステルの上記の特定の配合量は、モノマー混合
物全体に対して90〜50重量%、好ましくは80〜6
0重量%である。上記配合量が、50重量%未満の場合
には、塗膜が硬くなりすぎて破れやすくなり、加工性が
悪化し、更には、塗膜形成性が悪くなり、乾燥するだけ
では均一な塗膜が得にくくなり、90重量%を超える場
合には、密着力が強すぎ、剥離性が悪化すると共に、塗
膜強度が充分でなくなる。
【0034】また、上記モノマー混合物には、上記必須
のモノマー成分以外に、更にモノマー成分としてアクリ
ロニトリルを好ましく用いることができる。この際、該
アクリロニトリルの配合量は、モノマー混合物全体に対
して、好ましくは10〜50重量%、更に好ましくは2
0〜40重量%である。更に、上記モノマー混合物に
は、所望によりスチレンや、ジビニルベンゼン等の他の
モノマーを配合してもよい。この際、上記他のモノマー
の配合量としては、10重量%未満とするのが好まし
い。
【0035】また、上記水分散樹脂において分散剤とし
て用いる上記水溶性高分子としては、ポリビニルアルコ
ール、及び高分子多糖類等が挙げられる。該高分子多糖
類としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、メ
チルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。上記
高分子多糖類の分子量は、10000以上であることが
好ましい。上記ポリビニルアルコールとしては、部分ケ
ン化されたものが好ましく、ケン化度85〜99%、重
合度300〜3000のものがより好ましい。また、該
ポリビニルアルコールは、(株)クラレ製、「PVA−
205」,「PVA−217」等を市販品を用いること
もできる。
【0036】また、上記水溶性高分子としては、アニオ
ン化ポリビニルアルコール、特にケン化度80〜99%
のアニオン化ポリビニルアルコールが好ましく、具体的
には、例えばアルコール溶媒の存在下でオレフィンスホ
ン酸アルカリ塩と酢酸ビニルとをオレフィンスルホン酸
アルカリ塩の含有量が0.5〜7モル%になる如く共重
合せしめた共重合体をケン化して得られる変性ポリビニ
ルアルコール等が挙げられ、市販品としては「ゴーセラ
ンL−3266」〔ケン化度86〜89%、重合度25
0〜300、日本合成化学工業(株)製〕等を挙げるこ
とができる。
【0037】上記水溶性高分子の上記の特定の使用量
は、上記モノマー混合物100重量部に対して、0.5
〜20重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。上
記水溶性高分子の使用量が0.5〜20重量部である場
合には、生成する水分散樹脂の安定性、及び形成される
皮膜の皮膜強度と耐水性とに優れるが、0.5重量部未
満の場合には、生成する水分散樹脂の安定性が悪く、反
応中にゲル化したり、本発明の剥離性被覆組成物の貯蔵
中に不都合な相分離を生じやすく、20重量部を超える
場合には、形成される皮膜の耐水性が低下する。
【0038】上記水分散樹脂は、乳化重合法により調製
するのが好ましく、該乳化重合法は、公知の方法に準じ
て、水性媒体中、触媒の存在下において、界面活性剤及
び上記水溶性高分子の共存条件下で行う。
【0039】上記乳化重合法に用いられる界面活性剤と
しては、アニオン系界面活性剤として、例えば、オレフ
ィン酸ソーダ、半硬化牛脂ソーダ、オレイン酸カリ等の
脂肪酸酸塩、ラウリル硫酸エステルソーダ、高級アルコ
ール硫酸エステルソーダ、ラウリルアルコール硫酸エス
テルトリエタノールアミン塩、ラウリルアルコール硫酸
エステルアンモニウム塩等の高級アルコール硫酸エステ
ル塩、ドデシルベンゼンスルフォン酸ソーダ等のアルキ
ルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフ
ォン酸ソーダ等のアルキルナフタレンスルフォン酸塩、
ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物、ジオクチル
スルフォ琥珀酸ソーダ等のジアルキルスルフォ琥珀塩、
アルキルリン酸塩、及び上記アニオン系界面活性剤に酸
化エチレンを付加したもの等が挙げられ、これらは、単
独で使用しても又2種以上を併用して使用しても良い。
【0040】また、上記アニオン系界面活性剤に、ノニ
オン系の界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンオレ
イルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等
のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエ
チレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオ
クチルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノラウレー
ト、ポリオキシエチレンモノステアレート等のポリオキ
シエチレンアルキルエステル、ソルビタンモノラウレー
ト、ソルビタンモノステアレート等のソルビタンエステ
ル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等の
ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリ
オキシエチレンポリプロピレンブロックポリマー、ポリ
エチレングリコール等を併用することもできる。更に、
両性界面活性剤、例えば、ジメチルアルキルベタイン、
ラウリルベタイン、ステアリルベタイン等のベタイン型
両性界面活性剤、少量のカチオン界面活性剤等を併用す
ることもできる。
【0041】更に、上記乳化重合法に際して利用する触
媒としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリ
ウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、過酸化水素、タ
ーシャリーブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイ
ドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド等が挙
げられ、好ましくは過硫酸塩、過酸化水素を例示するこ
とができる。
【0042】また、上記乳化重合法に際しては、所望に
より、還元剤を併用することができる。その例として
は、アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、ブドウ糖等の
還元性有機化合物、チオ硫酸ソーダ、亜硫酸ソーダ、重
亜硫酸ソーダ、メタ重亜硫酸ソーダ等を例示できる。
【0043】上記乳化重合法における反応温度は適宜に
選択できるが、例えば約40〜約90℃の如き温度を例
示できる。反応に際して、所定の界面活性剤の全量を反
応系に添加することもできるが、一部を予め反応系に添
加して反応を開始し、残部を反応中に連続的に添加若し
くは間隔をおいて分割添加することもでき、後者の方が
好ましい。又、各々の単量体についても、そのまま一括
添加、分割添加、或いは連続添加することができるが、
反応制御の上から連続添加することが好ましい。
【0044】また、上記乳化重合に際しては、前述の界
面活性剤、触媒以外に、乳化重合中にpH調節剤、重合
度調節剤、消泡剤等を適宜添加できる。
【0045】本発明において、必須成分として用いる架
橋剤としては、ヒドラジン誘導体、アミン類、水溶性多
価金属塩、アジリジン化合物、ポリイソシアネート化合
物、水溶性エポキシ樹脂、水分散型ブロック化イソシア
ネート、水溶性メラミン樹脂等が挙げられる。
【0046】上記ヒドラジン誘導体としては、炭素数2
〜10の水溶性のジカルボン酸ジヒドラジド、例えば、
イソフタル酸ジヒドラジド、蓚酸ジヒドラジド、マロン
酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジ
ヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒ
ドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラ
ジド、イタコン酸ジヒドラジド等;又は炭素数2〜4の
水溶性ジヒドラジン、例えば、エチレン−1,2−ジヒ
ドラジン、プロピレン−1,3−ジヒドラジン、ブチレ
ン−1,4−ジヒドラジン等を挙げることができる。
【0047】上記アミン類としては、2つ以上のアミノ
基を有するアミン類、例えば、炭素数2〜10の脂肪族
ポリアミン類及び炭素数6〜16の芳香族ポリアミン類
等を挙げることができる。上記脂肪族ポリアミン類とし
ては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミ
ン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチンジアミン、
ヘキサメチレンジアミン、1,7−ジアミノヘプタン、
1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、
1,10−ジアミノデカン、トリアミノプロパン等が挙
げられ、上記芳香族ポリアミン類としては、例えば、o
−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−
フェニレンジアミン、トリアミノベンゼン、トリアミノ
フェノール等が挙げられる。
【0048】上記水溶性多価金属塩としては、例えば、
酢酸亜鉛、蟻酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛等の亜鉛塩;
酢酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウ
ム等のアルミニウム塩;酢酸カルシウム、蟻酸カルシウ
ム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、亜硝酸カルシウ
ム等のカルシウム塩;酢酸バリウム、塩化バリウム、亜
硝酸バリウム等のバリウム塩;酢酸マグネシウム、蟻酸
マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、
硝酸マグネシウム、亜硝酸マグネシウム等のマグネシウ
ム塩;酢酸鉛、蟻酸鉛等の鉛塩;酢酸ニッケル、塩化ニ
ッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル等のニッケル塩;
酢酸マンガン、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マン
ガン等のマンガン塩;塩化銅、硝酸銅、硫酸銅等の銅塩
等を挙げることができる。
【0049】上記アジリジン化合物としては、ポリイソ
シアネート化合物とエチレンイミンとの反応生成物等を
挙げることができる。
【0050】上記ポリイソシアネート化合物としては、
例えば、m−又はp−フェニレンジイソシアネート、
2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート、m−
又はp−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフ
ェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネ
ート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネート、上記芳香族ジイソシアネート化
合物の水素添加物、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂
肪族又は脂環族ジイソシアネート化合物;これらジイソ
シアネート化合物の2量体または3量体;これらジイソ
シアネート化合物と、エチレングリコール、トリメチロ
ールプロパン等の2価または3価のポリオールとのアダ
クト体等を挙げることができる。
【0051】上記水溶性エポキシ樹脂としては、例え
ば、グリセロールジグリシジルエーテル等を挙げること
ができる。
【0052】上記水溶性メラミン樹脂としては、例え
ば、メチロールメラミン;該メチロールメラミンの水酸
基の少なくとも1部をメチルアルコール、エチルアルコ
ール、n−ブチルアルコール等でエーテル化した化合物
等を挙げることができる。
【0053】また水分散型ブロック化イソシアネートと
しては、例えば、トリメチロールプロパントリトリレン
ジイソシアネートメチルエチルケトオキシムアダクト
等、上記のポリイソシアネート化合物に揮発性低分子活
性水素化合物を付加させた化合物等を挙げることができ
る。上記揮発性低分子活性水素化合物としては、例え
ば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−ブチル
アルコール、シクロヘキシルアルコール、ベンジルアル
コール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチ
レングリコールモノブチルエーテル、フェノール等の脂
肪族、脂環族または芳香族アルコール;ジメチルアミノ
エタノール、ジエチルアミノエタノール等のヒドロキシ
第3アミン;アセトキシム、メチルエチルケトオキシム
等のケトオキシム類;アセチルアセトン、アセト酢酸エ
ステル、マロン酸エステル等の活性メチレン化合物;ε
−カプロラクタム等のラクタム類等を挙げることができ
る。
【0054】本発明においては、上述した架橋剤の中で
も、ヒドラジン誘導体及びアミン類が好ましく、特に、
アジピン酸ジヒドラシド、イソフタル酸ジヒドラシド、
コハク酸ジヒドラシド、エチレンジアミン、トリメチレ
ンジアミンを好ましく用いることができる。
【0055】上記架橋剤の使用に際しては、上述した化
合物を単独で、又は適宜混合して用いることができる。
【0056】上記架橋剤の上記の特定の配合量は、前記
水分散樹脂中の上記反応性官能基を有するモノマー1モ
ルに対し、0.1〜5モルであり、好ましくは0.2〜
3モルである。上記架橋剤の配合量が、0.1モル未満
の場合には、充分な架橋構造が得られず、耐熱性、耐酸
性雨性が不充分となり、5モルを超える場合には、架橋
密度が高くなり過ぎるために被膜が脆くなり剥離時の作
業性が悪くなる。
【0057】本発明の可剥離性水系被覆組成物において
は、上記水分散性樹脂及び上記架橋剤に加えて、更に顔
料、紫外線吸収剤及び撥水剤を適宜混合するのが好まし
い。
【0058】上記顔料としては、例えば、酸化チタン、
カーボンブラック、弁柄、ハイザイエロー、ベンジジン
イエロー、フタロシアニンブルー、キナクリドンレッド
等の有機もしくは無機の着色顔料;炭酸カルシウム、シ
リカ、アルミナ、カオリン、クレー、タルク、珪藻土、
マイカ、水酸化アルミニウム、ガラス粉、硫酸バリウ
ム、炭酸マグネシウム等の体質顔料等を好ましく挙げる
ことができ、使用に際しては単独若しくは混合物として
用いることができる。
【0059】上記顔料の配合量は、上記モノマー混合物
100重量部に対して、好ましくは25〜400重量
部、更に好ましくは40〜150重量部である。上記顔
料を上記配合量にて用いることにより、紫外線の遮蔽性
を高め、屋外にで保管した後の剥離性を向上させ、また
塗膜強度を高めて塗膜の耐水性を向上させることができ
る。
【0060】上記紫外線吸収剤としては、例えば、フェ
ニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレー
ト、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジ
ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メト
キシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メ
トキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ
−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−
4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノントリヒドレー
ト、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベ
ンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾ
フェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベン
ゾフェノン、ナトリウム2,2’−ジヒドロキシ−4,
4’−ジメトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒ
ドロキシ−4−オキシベンジルベンゾフェノン、2,
2’−4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2
−ヒドロキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン、5−
クロロ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキ
シ−4−メトキシ−4’−クロロベンゾフェノン、2,
2’−ジヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、
2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベン
ゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オク
トキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒ
ドロキシ−3’5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−
クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−
3’5’−ジ−t−アミルフェニル)−2−ヒドロキシ
ベンゾトリアゾール、ニッケル−ビス−オクチルフェニ
ルサルファイド、〔2,2’−チオ−ビス−(4−t−
オクチルフェノラート)〕−n−ブチルアミンニッケ
ル、ニッケルジブチルジチオカーバメート等が好ましく
挙げられ、使用の際には、単独若しくは混合物として用
いることができる。
【0061】上記紫外線吸収剤の配合量は、上記モノマ
ー混合物100重量部に対して、好ましくは0.01〜
10重量部、更に好ましくは0.1〜5重量部である。
上記紫外線吸収剤を上記配合量にて用いることにより、
紫外線遮蔽効果を高め、屋外で保管した後の剥離性を向
上させることができる。
【0062】上記撥水剤としては、ワックス、シリコン
系化合物、フッ素系化合物等が好ましく挙げられる。
【0063】上記ワックスとしては、キャンデリラワッ
クス、カルナバワックス、ライスワックス、木ろう、ホ
ホバ油等の植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろ
う等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライ
ト、セレシン等の鉱物系ワックス;パラフィンワック
ス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等
の石油系ワックス;フィッシャー・トロプシュワック
ス、酸化ポリエチレンワックス、ポリエチレンワック
ス、アクリル−エチレン共重合体ワックス等の合成炭化
水素系ワックス;モンタンワックス誘導体、パラフィン
ワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体
等の変性ワックス;硬化ひまし油、硬化ひまし油誘導体
等の水素化ワックス;12−ヒドロキシステアリン酸;
ステアリン酸アミド;無水フタル酸イミド;ビスアマイ
ド、アマイド;グリセリンエステル;ソルビタンエステ
ル;高級アルコール;高級脂肪酸等が好ましく挙げられ
る。また、上記ワックスとしては、融点が好ましくは約
15〜250℃、より好ましくは約20〜180℃の範
囲であるものが望ましい。
【0064】上記シリコン系化合物としては、ジメチル
ポリシロキサン系、メチルフェニルポリシロキサン系、
環状ジメチルポリシロキサン系、クロロポリシロキサン
系、変性(アミノ、エポキシ、ポリエーテル、アルコー
ル、フッ素、メルカプト、カルボキシ、アルキル)高級
脂肪酸等のものが好ましく挙げられ、具体的には、下記
する如き市販品等が挙げられる。
【0065】「SH203」、「BY16−828」、
「SF8411」、「SF8418」、「BY16−8
38」、「SF8422」、「BY16−848」、
「SH3771」、「SH3746」、「SF841
9」、「FS1265」等のシリコンオイル;「R90
0」、「R901」、「R902」、「F100」、
「F101」、「F200」、「F201」、「F20
2」、「F203」、「F400」、「F300」、
「F301」、「F250」、「E500」、「E50
1」、「E600」、「E601」、「E602」、
「E603」、「E850」等のシリコン粉末;「SH
3746」、「SH3749」、「SH3771」等の
水性樹脂;「SH204」、「SH490」、「SH7
024」、「SH7028」、「SH7036」、「S
H7060」等のシリコンエマルション;〔以上全て、
商品名、トーレ・シリコーン(株)製〕 「トスパール105」、「トスパール108」、「トス
パール120」等のシリコンビーズ;〔以上全て、商品
名、東芝シリコン(株)製〕
【0066】上記フッ素系化合物としては、分子中にフ
ルオロアルキル基を含有する分子量約1000〜200
00のものが好ましく、具体的には、パーフロロアルキ
ルカルボン酸塩、パーフロロアルキルリン酸エステル、
パーフロロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフ
ロロアルキルベタノン、パーフロロアルキルEO付加物
等が挙げられる。また、上記フッ素化合物としては、
「サーフロンS−111」、「サーフロンS−11
2」、「サーフロンS−113」、「サーフロンS−1
21」、「サーフロンS−131」、「サーフロンS−
132」、「サーフロンS−142」、「サーフロンS
−145」、「サーフロン131S」、「サーフロン1
45S」〔以上全て、商品名、旭硝子(株)製〕等や、
「ポリフルオ400」、「ポリブレンド100XF」
〔以上全て、商品名、MPI(株)製〕等の市販品を用
いることもできる。
【0067】尚、上記撥水剤としては、上述の具体的に
例示したワックス、シリコン系化合物及びフッ素系化合
物のうち、任意のものを単独で若しくは混合物として用
いることができる。
【0068】上記撥水剤の配合量は、上記モノマー混合
物100重量部に対して、好ましくは0.01〜30重
量部である。特に、上記撥水剤として、上記ワックスを
用いる場合には、好ましくは0.5〜30重量部、より
好ましくは1〜20重量部であり、上記撥水剤として上
記シリコン系化合物を用いる場合及び上記フッ素系化合
物を用いる場合には、好ましくは0.01〜20重量
部、より好ましくは0.1〜20重量部である。上記撥
水剤を上記配合量にて用いることにより、撥水効果を高
め、耐水性及び耐酸性雨性を向上させることができる。
【0069】本発明の可剥離性水系被覆組成物において
は、更に本発明の所望の効果を損なわない範囲で、必要
に応じて皮膜形成助剤、可塑剤、消泡剤、pH調整剤、
防腐剤、防カビ剤、増粘剤、凍結防止剤等のその他の添
加剤を適宜加えることができる。
【0070】上記皮膜形成助剤としては、例えば、メチ
ルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、
メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカル
ビトール、ジブチルカルビトール、メチルセロソルブア
セテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソ
ルブアセテート、メチルカルビトールアセテート、エチ
ルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテ
ート、ベンジルアルコール、ベンジルアセテート、トル
エン、キシレン、石油系炭化水素、テキサノール等が挙
げられる。中でも特に、ブチルカルビトール、ブチルセ
ロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、
テキサノール等が好ましく、本発明の可剥離性水系被覆
組成物が皮膜を形成する場合、皮膜形成温度を下げる効
果があり、その使用量は一般に水分散樹脂100重量部
に対して約0.5〜15重量部、好ましくは約1〜8重
量部である。
【0071】上記消泡剤としては、例えば、シリカシリ
コーン系、シリコーン系、金属石鹸系、脂肪酸アミド
系、脂肪酸エステル系、ポリエーテル系、ポリグリコー
ル系、有機リン酸系、高級アルコール系、スルフォン化
脂肪酸系、油溶性ポリマー系等が挙げられる。中でも特
に、シリコーン系、シリカシリコーン系、金属石鹸系、
脂肪酸アミド系、或いはこれらの複合系等が好ましく、
本発明の可剥離性水系被覆組成物を輸送する時、小分け
する時、及び塗布する時等の消泡効果を奏し、その使用
量は、一般に水分散樹脂100重量部に対して0.00
1〜1重量部である。
【0072】本発明の可剥離性水系被覆組成物は、上記
水分散樹脂及び上記架橋剤を必須成分としていれば、そ
の形態等は特に限定されるものではないが、上記水分散
樹脂及び上記架橋剤の混合物からなる組成物(以下、
「1液タイプ」という)とするか、または、少なくとも
上記水分散樹脂を含むI剤と少なくとも上記架橋剤を含
むII剤とからなる組成物(以下、「2液タイプ」とい
う)とするのが好ましい。
【0073】上記1液タイプを調製するには、上記水分
散樹脂及び上記架橋剤を混合し、更に必要に応じて、上
記顔料、上記紫外線吸収剤、上記撥水剤及び上記その他
の添加剤を添加混合することにより容易に得ることがで
きる。この際、上記架橋剤が固体の場合には、そのまま
上記水分散樹脂に添加して混合してもよいが、予め水に
分散させた後添加混合するのが好ましく、また、上記架
橋剤が液体の場合には、そのまま上記水分散樹脂に添加
して混合してもよいが、予め水で希釈した後添加混合す
るのが好ましい。
【0074】上記2液タイプを調製するには、上記水分
散樹脂と上記架橋剤とに、これらの何れか一方又は両
方、好ましくは上記水分散樹脂に、必要に応じて、上記
顔料、上記紫外線吸収剤、上記撥水剤及び上記その他の
添加剤を添加混合して上記水分散樹脂を含むI剤と上記
架橋剤を含むII剤とを調製することにより容易に得るこ
とができる。この際、上記架橋剤は、そのままで用いて
もよいが、固体の場合には、水に分散させた水分散液、
また液体の場合には、水で希釈した水溶液として用いる
のが好ましい。
【0075】また、本発明の可剥離性水系被覆組成物
は、自動車等の車両、航空機、機械部品、金属製家庭用
品、その他鉄及び非鉄金属製品、木工品、ガラス製品、
プラスチックス製品、ゴム製品等に塗装を行ったもの、
または塗装を必要としないそのままのもの等に好ましく
用いることができる。
【0076】
【実施例】以下に、実施例及び比較例により、本発明の
可剥離性水系被覆組成物について更に具体的に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0077】〔製造例1〕攪拌機付き容量2リットルの
ガラスフラスコに、水413g及びポリビニルアルコー
ル〔(株)クラレ製、「PVA−205」〕18gを加
え溶解して、ポリビニルアルコールの水溶液を得た。一
方、水130gにポリオキシエチレンノニフェニルエー
テル(エチレンオキサイド付加モル数約30モル)20
g及びドデシルベンゼンスルフォン酸ソーダ3gを溶解
して得た界面活性剤水溶液に、アクリル酸ブチル360
g、アクリロニトリル204g及びアセトアセトキシエ
チルメタクリレート36gからなるモノマー混合物を加
え、攪拌混合して単量体組成物を得た。次いで、上記フ
ラスコ内を窒素置換した後、反応温度70℃に維持しな
がら、該フラスコ内の水溶液中に、上記単量体組成物7
53g、4%過硫酸アンモニウム水溶液50g及び4%
メタ重亜硫酸ナトリウム50gを5時間にわたって添加
して乳化重合を行った。その後、少量のアンモニアを添
加し、pH7.4、固形分約50%、粘度約1500c
psの水分散樹脂を得た。
【0078】〔製造例2〕攪拌機付き容量2リットルの
ガラスフラスコに、水400g及びポリビニルアルコー
ル〔(株)クラレ製、「PVA−217」〕5gを加え
溶解して、ポリビニルアルコールの水溶液を得た。一
方、水130gにポリオキシエチレンノニフェニルエー
テル(エチレンオキサイド付加モル数約30モル)20
g、ドデシルベンゼンスルフォン酸ソーダ3g及びモノ
マー成分としてジアセトンアクリルアミド24gを溶解
して得た界面活性剤水溶液に、更にモノマー成分として
アクリル酸ブチル372g及びアクリロニトリル204
gを加え、攪拌混合してモノマー混合物を含む単量体組
成物を得た。次いで、上記フラスコ内を窒素置換した
後、反応温度70℃に維持しながら、該フラスコ内の水
溶液中に、上記単量体組成物753g、4%過硫酸アン
モニウム水溶液50g及び4%メタ重亜硫酸ナトリウム
50gを5時間にわたって添加して乳化重合を行った。
その後、少量のアンモニアを添加し、pH7.3、固形
分約50%、粘度約1000cpsの水分散樹脂を得
た。
【0079】〔実施例1〜5〕〔表1〕に示す水分散樹
脂、架橋剤、顔料、紫外線吸収剤及び撥水剤を〔表1〕
に示す配合量で配合し、可剥離性水系被覆組成物を得
た。得られた可剥離性水系被覆組成物について、耐熱
性、耐温水性、耐候性、耐酸性雨性について試験した。
その結果を〔表1〕に示す。
【0080】〔製造例3〕攪拌機付き容量2リットルの
ガラスフラスコに、水413g及びポバール〔(株)ク
ラレ製、「PVA−205」)18gを加え溶解して、
ポリビニルアルコールの水溶液を得た。一方、水130
gにポリオキシエチレンノニフェニルエーテル(エチレ
ンオキサイド付加モル数約30モル)20g及びドデシ
ルベンゼンスルフォン酸ソーダ3gを溶解して得た界面
活性剤水溶液に、アクリル酸ブチル420g、アクリロ
ニトリル180gを加え、攪拌混合し単量体組成物を得
た。次いで、上記フラスコ内を窒素置換した後、反応温
度70℃に維持しながら、該フラスコ内の水溶液中に、
上記単量体組成物753g、4%過硫酸アンモニウム水
溶液50g及び4%メタ重亜硫酸ナトリウム50gを5
時間にわたって添加して乳化重合を行った。その後、少
量のアンモニアを添加し、pH7.2、固形分約50
%、粘度約1400cpsの水分散樹脂を得た。
【0081】〔製造例4〕攪拌機付き容量2リットルの
ガラスフラスコに、水400g及びポリビニルアルコー
ル〔(株)クラレ製、「PVA−217」〕5gを加え
溶解して、ポリビニルアルコールの水溶液を得た。一
方、水130gにポリオキシエチレンノニルフェニルエ
ーテル(エチレンオキサイド付加モル数約30モル)2
0g及びドデシルベンゼンスルフォン酸ソーダ3gを溶
解して得た界面活性剤水溶液に、アクリル酸ブチル39
0g及びアクリロニトリル180g及びジビニルベンゼ
ン30gからなるモノマー混合物を加え、攪拌混合して
単量体組成物を得た。次いで、上記フラスコ内を窒素置
換した後、反応温度70℃に維持しながら、該フラスコ
内の水溶液中に、上記単量体組成物753g、4%過硫
酸アンモニウム水溶液50g及び4%メタ重亜硫酸ナト
リウム50gを5時間にわたって添加して乳化重合を行
った。その後、少量のアンモニアを添加し、pH7.
5、固形分約50%、粘度約1100cpsの水分散樹
脂を得た。
【0082】〔比較例1〜2〕 〔表1〕に示す水分散樹脂、顔料、紫外線吸収剤及び撥
水剤を〔表1〕に示す配合量で配合し、可剥離性水系被
覆組成物を得た。得られた可剥離性水系被覆組成物につ
いて、耐熱性、耐水性、耐候性、耐酸性雨性について試
験した。その結果を〔表1〕に示す。
【0083】
【表1】
【0084】表中の*は以下の通りである。 *1 量:固形分の重量部。 *2 バイオソーブ130:共同薬品(株)製、商品
名。粉末、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェ
ノン。 *3 バイオソーブ520:共同薬品(株)製、商品
名。粉末、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール。 *4 バイオソーブ582:共同薬品(株)製、商品
名。粉末、2−(2'−ヒドロキシ−3’,5'−ジt−
ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール。 *5 ケミパールW−300:三井石油化学工業(株)
製、商品名。水分散液低分子量ポリオレフィン粒子径3
μ、融点115℃。 *6 トスパール120:東芝シリコーン(株)製、商
品名、粉末、シリコーン樹脂、粒子径2μ。 *7 ポリフルオ400:MPI(株)製、商品名、粉
末、フッ素樹脂、粒子径3μ。 *8 耐酸性雨性
【0085】尚、上記各試験は、下記の如くして作成し
た試験板を用いて、それぞれ下記〜の如く行った。 〔試験板製作〕まず、「バルボンド3060」で表面処
理した軟鋼版(厚さ0.8mm)にアミノアルキド樹脂糸
塗料(関西ペイント(株)製、商品名:「アミラッ
ク」)を140℃、20分間焼き付け塗装した塗板を素
材として、実施例1〜5及び比較例1〜3で得た剥離性
被覆組成物を乾燥膜厚100μmになるようにアプリケ
ーターで塗布し、20℃にて、24時間乾燥せしめるこ
とによって、塗面上に皮膜が形成された試験板を得た。
【0086】耐熱性;上記試験板を120℃で5時間
放置した後、20℃で1時間放置し、次いで、温度20
℃において試験板上の皮膜を1inchの幅で端部から20
mm/min の速度で剥がし、その際の剥離強度(kg/inc
h)を測定した。また、皮膜を剥がした後の被塗物の塗
面におけるシミの発生や色の変化、光沢の変化(塗面の
外観)を下記評価基準に従って評価した。 〔評価基準〕 ○・・・初期と変わらず良好。 △・・・若干の変化が認められる。 ×・・・著しい変化が認められる。
【0087】耐温水性;上記試験板を温度60℃の水
中に240hr浸漬した後、試験板を取り出し、皮膜が
自然剥離したり、部分的に剥離したりしていないかを下
記評価基準に従って評価した(剥離性)。その後、皮膜
を剥がし、被塗物の塗面におけるシミの発生や色の変
化、光沢の変化(塗面の外観)を下記評価基準に従って
評価した。 〔剥離性の評価基準〕 ○・・・初期と変わらず良好。 △・・・部分的に剥離しているところが認められる。 ×・・・自然剥離してしまっている。 〔塗面の外観の評価基準〕○・・・初期と変わらず良
好。 △・・・若干の変化が認められる。 ×・・・著しい変化が認められる。
【0088】耐候性;スガ試験機(株)製「サンシャ
インウェザーメーター」を用いて促進耐候試験を行っ
た。 試験条件 ・ブラックパネル温度;63℃ ・降雨時間;2時間の間に18分間 ・紫外線照射;400時間 上記の試験を行った試験板を上述したと同様な方法で
剥離性〔剥離強度(kg/inch)〕を測定し、塗面の外観
を評価した。
【0089】耐酸性雨性 上記試験板を水平に置き、下記する<組成>及び<調整
法>で調製した試験液をスポットする(尚、試験液のス
ポット量は0.5mlとする)。その後、85℃に設定し
たオーブンで30分乾燥し、剥離性組成物を剥がし、被
塗物の塗面におけるシミの発生や色の変化、光沢の変化
を下記評価基準に従って観察した。
【0090】<組成> (アニオン液)下記1)〜3)を混合し、これに更にイオン
交換水を加えて全体を1000gとして、アニオン液を得
た。 1)硫酸(JISK8951) H2SO4(98%)102.0g 2)塩酸(JISK8180) HCl (35%)200.0g 3)硝酸(JISK8541) HNO3(70%) 42.9g (カチオン液)下記4)〜7)を混合し、これに更にイオン
交換水を加えて全体を1000gとして、アニオン液を得
た。 4)アンモニア水 (JISK8085)NH3 (28%) 35.7g 5)水酸化カルシウム(JISK8575)Ca(OH)(95%) 10.5g 6)水酸化ナトリウム (JISK8576)NaOH (95%) 12.6g 7)水酸化カリウム (JISK8574)KOH (85%) 1.2g 尚、( )内の%は、各試薬の純度(含有量)を示し、
また、JISの番号は参考記載したものである。 <調整法>カチオン液にアニオン液をpH=1となるま
で加え、24Hr攪拌を続ける。24Hr後に再度pH
=1に調整し、これを試験液とする。
【0091】〔評価基準〕 ○・・・・塗面の外観が初期と変わらず良好。 ×・・・・塗面が試験液によっておかされ、膨れ、白
化、艶びけ等が発生。
【0092】
【発明の効果】本発明の可剥離性水系被覆組成物は、耐
水性、強度、耐酸性雨性、耐候性及び剥離性に優れる塗
膜を形成することができ、保存時等における安定性に優
れたものである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(a)及び(b)を必須成分として
    なることを特徴とする可剥離性水系被覆組成物。 (a)反応性官能基を有するモノマー0.05〜30重
    量%とアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エス
    テル90〜50重量%とを必須のモノマー成分として含
    有するモノマー混合物を、分散剤として水溶性高分子を
    上記モノマー混合物100重量部に対して0.5〜20
    重量部用いて、重合して得られる水分散樹脂 (b)上記反応性官能基を有するモノマー1モルに対し
    て、0.1〜5モルの架橋剤
  2. 【請求項2】 上記(a)及び(b)の混合物からなる
    ことを特徴とする請求項1記載の可剥離性水系被覆組成
    物。
  3. 【請求項3】 少なくとも上記(a)を含むI剤と少な
    くとも上記(b)を含むII剤とからなることを特徴とす
    る請求項1記載の可剥離性水系被覆組成物。
  4. 【請求項4】 上記水溶性高分子がアニオン化ポリビニ
    ルアルコールであることを特徴とする請求項1記載の可
    剥離性水系被覆組成物。
  5. 【請求項5】 上記(a)のモノマー混合物が、モノマ
    ー成分として、更にアクリロニトリルを含有することを
    特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の可剥離性水系
    被覆組成物。
  6. 【請求項6】 更に、顔料、紫外線吸収剤及び撥水剤を
    含有することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載
    の可剥離性水系被覆組成物。
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