JPH0551559A - 自己架橋型樹脂水性分散液 - Google Patents

自己架橋型樹脂水性分散液

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JPH0551559A
JPH0551559A JP23679491A JP23679491A JPH0551559A JP H0551559 A JPH0551559 A JP H0551559A JP 23679491 A JP23679491 A JP 23679491A JP 23679491 A JP23679491 A JP 23679491A JP H0551559 A JPH0551559 A JP H0551559A
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正博 青木
Yoshinori Kato
義則 加藤
Toyoji Tomita
豊二 富田
Masami Takahashi
正美 高橋
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 建築物用の塗料、シーラー、弾性ワンコート
塗料等として用いられる自己架橋型樹脂水性分散液にお
ける皮膜の光沢性を特に向上させる。 【構成】 カルボニル基(カルボキシル基及びカルボン
酸エステル基にもとづくカルボニル基を除く)を含有す
る不飽和単量体0.1〜30重量%、及びこの不飽和単
量体と共重合可能な他の不飽和単量体99.9〜70重
量%との混合物100重量部に、連鎖移動剤を0.03
〜5重量部含有せしめたものを乳化重合させて得られた
樹脂水性分散液に、分子中に少なくとも2個のヒドラジ
ン残基を含有するヒドラジン誘導体を配合してなる自己
架橋型樹脂水性分散液。そのカルボニル基を含有する不
飽和単量体の具体例はアクロレイン、ジアセトンアクリ
ルアミド及びビニルメチルケトンなどである。またその
連鎖移動剤としては、各種のメルカプタン類、アルコー
ル類、ハロゲン化炭化水素類等が用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐久性、耐水性及び基
材に対する付着性に優れ、しかも光沢にも優れた皮膜を
与える自己架橋型樹脂水性分散液に関する。この樹脂水
性分散液は、光沢性や鮮明性や耐水性が要求される建築
物用の塗料であるグロスペイント、基材に対する付着性
の要求されるシーラー、及びその両特性の要求されるワ
ンコートフイニシユペイント、弾性ワンコート塗料等と
して有用なものである。
【0002】
【従来の技術】カルボニル基(カルボキシル基及びカル
ボン酸エステル基にもとづくカルボニル基を除く)を含
有する単量体を共重合させて得られたカルボニル基含有
樹脂水性エマルジョンに、分子中に少なくとも2個のヒ
ドラジン残基を有する化合物を配合してなる樹脂水性エ
マルジョンは、既に提案されている(特公昭58−20
991号公報)。そして、この樹脂水性エマルジョン
は、常温架橋性一液型という優れた特性を有するもので
あるが、その皮膜は光沢性、基材に対する付着性及び耐
水性が充分といえないことが多く、特に光沢性が充分で
なかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、光沢性、耐
久性、耐水性及び基材に対する付着性に優れた皮膜、特
に光沢性に優れた皮膜を与えることのできる自己架橋型
樹脂水性分散液を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の自己架橋型樹脂
水性分散液は、(A)カルボニル基(カルボキシル基及
びカルボン酸エステル基にもとづくカルボニル基を除
く)を含有する不飽和単量体0.1〜30重量%、及び
同不飽和単量体と共重合可能な他の不飽和単量体99.
9〜70重量%の混合物100重量部に、連鎖移動剤を
0.03〜5重量部を含有せしめてなる単量体混合物の
乳化重合によって得られた樹脂水性分散液に、(B)分
子中に少なくとも2個のヒドラジン残基を含有するヒド
ラジン誘導体を配合してなることを特徴とする水性分散
液である。
【0005】本発明の自己架橋型樹脂水性分散液を調製
するのに用いられるカルボニル基を含有する不飽和単量
体とは、分子中に少なくとも1個のカルボニル基(カル
ボキシル基及びカルボン酸エステル基にもとづくカルボ
ニル基を除く)を含有する重合可能な二重結合を含有す
る不飽和単量体、換言すれば、アルド基又はケト基にも
とづくカルボニル基を分子中に少なくとも1個含有する
重合可能な二重結合を有する不飽和単量体である。
【0006】そのカルボニル基を含有する不飽和単量体
の具体例としては、たとえばアクロレイン、ジアセトン
アクリルアミド、ホルミルスチロール、好ましくは4〜
7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(たとえ
ばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイ
ソブチルケトンなど)、ジアセトンアクリレート、アセ
トニルアクリレート、ジアセトンメタクリレート、2−
ヒドロキシプロピルアクリレート−アセチルアセテー
ト、ブタンジオール−1,4−アクリレート−アセチル
アセテート、及び下記の一般式(1)で表わされるアク
リル(又はメタクリル)オキシアルキルプロパナールが
あげられる。
【0007】
【化1】
【0008】(式中、R1 はH又はCH3 、R2はH又
は1〜3個の炭素原子を有するアルキル基、R3 は1〜
3個の炭素原子を有するアルキル基、そしてR4 は1〜
4個の炭素原子を有するアルキル基を示す。
【0009】これらのカルボニル基を含有する不飽和単
量体の中でも、アクロレイン、ジアセトンアクリルアミ
ド、及びビニルメチルケトンが好ましい。またカルボニ
ル基を含有する不飽和単量体は、1種類を用いてもよい
し、2種以上を併用してもよい。このカルボニル基を含
有する不飽和単量体の使用量は、全不飽和単量体量に対
し0.1〜30重量%、好ましくは3〜10重量%であ
る。
【0010】また、本発明の自己架橋型樹脂水性分散液
を調製するのに用いられる、前記のカルボニル基を含有
する不飽和単量体と共重合可能な他の不飽和単量体とし
ては、種々のものが使用できるが、通常、得られる樹脂
水性分散液の樹脂のガラス転移温度が−80〜+100
℃になるように、1種又は2種以上の種々の不飽和単量
体を使用する。
【0011】その用いられる他の不飽和単量体の具体例
としては、たとえばアクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、
アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル
などのアクリル酸低級アルキルエステル;メタクリル酸
メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピ
ル、メタクリル酸ブチルなどのメタクリル酸低級アルキ
ルエステル;スチレン、α−メチルスチレン、アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオ
ン酸ビニル、エチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン;
アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールア
クリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどの
アミド基を有する不飽和単量体及びその誘導体;グリシ
ジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのエ
ポキシ基を有する不飽和単量体;アクリル酸、メタクリ
ル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸;ヒドロキシ
エチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレー
ト、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブ
チルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレートな
どの水酸基を有する不飽和単量体;N−フエニルマレイ
ミド、N−(メチル)フエニルマレイミド、N−(ヒド
ロキシ)フエニルマレイミド、N−(メトキシ)フエニ
ルマレイミド、N−安息香酸マレイミド、N−メチルマ
レイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマ
レイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−n−ブチ
ルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−t−ブ
チルマレイミドなどがあげられる。これらの他の不飽和
単量体の使用量は、全不飽和単量体量に対して99.9
〜70重量%である。
【0012】本発明の自己架橋型樹脂水性分散液の調製
に用いられる樹脂水性分散液(B)は、上記のカルボニ
ル基を含有する不飽和単量体0.1〜30重量%、及び
上記の同不飽和単量体と共重合可能な他の単量体99.
9〜70重量%の混合物100重量部に、連鎖移動剤を
0.03〜5重量部を含有せしめてなる単量体混合物を
乳化重合することにより製造されるものである。
【0013】この連鎖移動剤としては、この種の不飽和
単量体の(共)重合において分子量調節等のために通常
用いられている連鎖移動剤はすべて使用できる。その連
鎖移動剤の具体例としては、たとえばメチルメルカプタ
ン、t−ブチルメルカプタン、デシルメルカプタン、ベ
ンジルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、ステアリ
ルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデ
シルメルカプタン、メルカプト酢酸、メルカプトプロピ
オン酸等の各種のメルカプタン類;メタノール、エタノ
ール、プロパノール、n−ブタノール、イソプロパノー
ル、t−ブタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコー
ル、アリルアルコールなどのアルコール類;クロルエタ
ン、フルオロエタン、トリクロロエチレンなどのハロゲ
ン化炭化水素類、メチル−4−シクロヘキセン−1,2
−ジカルボン酸無水物等があげられる。
【0014】本発明の乳化重合における連鎖移動剤使用
量は、前述のとおり、不飽和単量体混合物100重量部
に対して0.03〜5重量部である。連鎖移動剤の使用
量が少なすぎると生成樹脂の分子量が高くなりすぎて、
得られる自己架橋型樹脂水性分散液の塗膜の光沢性が劣
ってくるし、また連鎖移動剤の使用量が多すぎると生成
樹脂の分子量が低くなりすぎて、得られる自己架橋型樹
脂水性分散液の塗膜の耐水性が低下してくるので、いず
れも好ましくない。
【0015】本発明の自己架橋型樹脂水性分散液の調製
に用いられる樹脂水性分散液(A)を製造するための前
記の連鎖移動剤を含有せしめてなる単量体混合物の乳化
重合は、常法にしたがって容易に行なわせることができ
る。すなわち、乳化剤や分散剤や保護コロイドなどを含
有する水中において、過硫化カリウムなどの重合開始剤
の存在下で、上記の単量体混合物を、たとえば80〜9
5℃の加熱下で乳化重合させる。重合開始剤は、還元剤
を用いたレドックス開始剤を用いてもよい。また、単量
体の供給方法は、一括仕込方法であってもよいし、単量
体の逐次添加法であってもよいし、単量体を水性エマル
ジョンにしてから添加する方法であってもよい。また、
重合系の単量体組成を段階的或いは連続的に変化させ
る、たとえばシード重合法やパワーフイード重合法等も
使用することができる。
【0016】その乳化剤としては、たとえば高級アルコ
ール硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、
ポリオキシエチレンアルキルサルフエート塩、ポリオキ
シエチレンアルキルフエノールエーテルサルフエート塩
などの陰イオン性界面活性剤或いは種々のノニオン界面
活性剤を使用することができる。また、分子中に重合性
二重結合を有する反応性乳化剤を使用してもよい。さら
に、場合によってはカチオン性界面活性剤を単独で、又
はノニオン界面活性剤と併用して使用することも可能で
ある。界面活性剤の使用量は、通常、全不飽和単量体量
に対して0.2〜10重量%である。
【0017】また、上記の乳化重合における分散剤とし
て、(a)分子中に少なくとも1個のアルデヒド基又は
ケトン基と、1個の重合性二重結合を有するカルボニル
基含有単量体単位を0.5〜99.5重量%、(b)3
〜5個の炭素原子を有するモノオレフイン性不飽和カル
ボン酸単位、同不飽和カルボン酸アミド単位、同不飽和
カルボン酸アミドのN−アルキル及び/又はN−アルキ
ロール誘導体単位、アミノ基含有単量体単位(たとえば
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート単位、
N,N−ジエチルアミノメタクリレート単位)、モノオ
レフイン性不飽和カルボン酸単位よりなる群から選ばれ
た単量体単位を99.5〜0.5重量%、(c)アクリ
ル酸又はメタクリル酸の炭素数1〜8個のアルキルエス
テル単位、ビニル芳香族単量体単位、ハロゲン化ビニル
単位、エチレン単位、アクリロニトリル単位、メタクリ
ロニトリル単位、飽和カルボン酸ビニルエステル単位、
水酸基含有単量体単位(たとえばヒドロキシエチルアク
リレート単位、ヒドロキシエチルメタクリレート単
位)、1,3−ジエン単位よりなる群から選ばれた単位
を0〜70重量%含有する共重合体、又は同共重合体の
アルカリ中和物を用いてもよい。かかる共重合体系分散
剤を用いると、分散剤成分が架橋によって樹脂分子と一
体化しているために、得られる本発明の樹脂水性分散液
の塗膜は耐水性、耐候性により一層優れたものとなる。
【0018】次に、以上の乳化重合によって得られた樹
脂水性分散液(A)に、分子中に少なくとも2個のヒド
ラジン残基を含有するヒドラジン誘導体(B)を配合す
れば、本発明の自己架橋型樹脂水性分散液が得られる。
【0019】その分子中に少なくとも2個のヒドラジン
残基を含有するヒドラジン誘導体(B)としては、2〜
10個、好ましくは4〜6個の炭素原子を有するジカル
ボン酸とヒドラジンとの脱水縮合物であるジカルボン酸
ジヒドラジド(たとえばしゅう酸ジヒドラジド、マロン
酸ジヒドラジド、こはく酸ジヒドラジド、グルタル酸ジ
ヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒ
ドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラ
ジド、イタコン酸ジヒドラジドなど);2〜4個の炭素
原子を有する脂肪族水溶性ジヒドラジン(たとえばエチ
レン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,3−ジ
ヒドラジン、ブチレン−1,4−ジヒドラジンなど)が
あげられる。
【0020】また、下記の一般式で表わされるヒドラジ
ド基を有するポリマーもそのヒドラジン誘導体として使
用することができる。かかるヒドラジド基を有するポリ
マーは、たとえば特開昭55−6535号公報に詳記さ
れている。
【0021】
【化2】
【0022】〔式中、Xは水素原子又はカルボキシル基
であり、Yは水素原子又はメチル基であり、Aはアクリ
ルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メ
タクリル酸エステル又は無水マレイン酸の各単位であ
り、Bはアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル
酸エステル、メタクリル酸エステル又は無水マレイン酸
と共重合可能な単量体の単位である。また、k、m及び
nは下記の各式 2モル%≦k≦100モル% 0モル%≦(m+n)≦98モル% (k+m+n)=100モル% を満足する数を示す。〕
【0023】本発明におけるヒドラジン誘導体の配合割
合は、(A)成分中のカルボニル基1モルに対してヒド
ラジン残基が好ましくは0.05〜5モル、より好まし
くは0.4〜1.2モルになる割合である。
【0024】本発明の自己架橋型樹脂水性分散液には、
必要に応じて種々の他の成分を添加することができる。
たとえば、ヒドラジン誘導体のヒドラジン残基1モルに
対して、水溶性金属塩(たとえば亜鉛塩、マンガン塩、
コバルト塩及び鉛塩など)の1種又は2種以上を0.0
02〜0.02モルを添加することができる。これらの
水溶性金属塩を添加すると、ヒドラジン誘導体を含有す
るカルボニル基含有共重合体水性分散液(すなわち本発
明の自己架橋型樹脂水性分散液)を貯蔵する際に、安定
性の妨害となる量の遊離ヒドラジンが生成するのを防止
でき、しかもこれらの金属塩は形成せしめた塗膜におけ
る架橋反応には不利な影響を及ぼすことがない。
【0025】また、本発明の自己架橋型樹脂水性分散液
には、その樹脂水性分散液の塗膜物性を損なわない範囲
内において他の樹脂水性分散液を添加することができ
る。たとえば、一般の乳化重合によって得られる樹脂水
性分散液やウレタン樹脂エマルジョンなどを添加するこ
とができる。特に、本発明の自己架橋型樹脂水性分散液
の調製に用いられる上記の樹脂水性分散液の製造におい
て用いられるのと全く同一の単量体組成の単量体混合物
を、実質的に連鎖移動剤を全く含有せしめない反応系で
乳化重合させて得られる樹脂水性分散液を添加すること
ができる。
【0026】さらに、本発明の自己架橋型樹脂水性分散
液には、その使用目的や使用分野等に応じて、分散剤、
潤滑剤、消泡剤、溶剤、造膜助剤、可塑剤、凍結防止
剤、増粘剤、空気連行剤、減水剤、急結剤、硬化促進
剤、凝結遅延剤、タツクフアイアーなどの各種の添加剤
を添加することができる。
【0027】
【実施例】以下に、実施例及び比較例をあげてさらに詳
述する。これらの例に記載の「部」及び「%」は、特記
しない限り重量部及び重量%をそれぞれ示す。
【0028】実施例1 温度調節器、いかり形攪拌器、還流冷却器、供給容器、
温度計及び窒素導入管を備えた反応容器内に、ポリオキ
シエチレンノニルフエニルエーテル硫酸塩(以下、これ
を「アニオン性乳化剤A」という。)の35%水溶液1
部、及びポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル
(以下、これを「非イオン性乳化剤B」という。)の2
0%水溶液2.5部を水60部に溶解した溶液を装入し
た。
【0029】別に、それぞれ別の供給容器内に、下記の
供給物I及び供給物IIを用意した。
【0030】 供給物I: 水 30部 アニオン性乳化剤Aの35%水溶液 4.7部 メタクリル酸メチル 47部 アクリル酸n−ブチル 45部 アクロレイン 5.0部 アクリル酸 1.5部 アクリルアミド 1.5部 t−ドデシルメルカプタン 0.07部
【0031】 供給物II: 水 20部 過硫酸カリウム 0.5部
【0032】前記の両乳化剤水溶液を装入した反応容器
内を窒素でよく洗浄したのち、前記の供給物Iの10%
を加え、その混合物を90℃に加熱した。次いで、その
反応容器内の混合物を90℃に保持しながら、供給物I
Iの10%を一括して加えたのち、引続き供給物I及び
供給物IIの残りを3〜3.5時間かけて徐々に添加し
た。その添加終了後さらに1.5時間90℃に保って重
合を行なわせてから、室温に冷却して樹脂水性分散液を
得た。
【0033】次いで、得られた樹脂水性分散液に、アジ
ピン酸ジヒドラジド3部を加え、1時間攪拌混合して、
固形分46%、樹脂の平均粒子径0.1μmの自己架橋
型樹脂水性分散液を得た。
【0034】この樹脂水性分散液の塗膜について、下記
の試験方法で光沢性、耐水性、基材付着性、耐候性、温
冷サイクルの各試験を行なった。その結果は表2に示す
とおりであった。
【0035】 光沢性 樹脂水性分散液を、ガラス板に湿潤塗膜厚が150μm
になるように塗布し、その塗膜を20℃、湿度65%R
Hの空気中で48時間乾燥させた後、60°鏡面光沢を
JIS K−5660の方法により測定する。
【0036】 耐水性 樹脂水性分散液を、フレキシブル板(150×70m
m)に刷毛で2回塗りしたのち、その塗膜を20℃、湿
度65%RHの空気中で7日間乾燥させて、試験片とす
る。この試験片を7日間水中に浸漬したのち、その塗膜
のふくれ状態を、日本塗料検査協会の塗膜の評価基準に
準じて判定し、下記の基準により表示する。
【0037】評価基準: (a) ふくれの全くないものは、10と表示する。 (b) ふくれのあるものは、ふくれた部分の総合面積
と、ふくれの大きさ(平均径)とを、標準判定写真と比
較して判定し、下記の標準判定写真の等級記号表にした
がって表示する。大きさの異なるふくれが混在するとき
は、大きさ別に評価する。標準判定写真の等級記号は、
ふくれの部分の総合面積と大きさとの組合わせによって
表示するようになっている。
【0038】
【表1】
【0039】 基材付着性 耐水性試験におけると同様にして作成した試験片の塗膜
に、カッターナイフで2mm幅の切り込みを入れて25
個のゴバン目を作り、粘着テープによる剥離試験を行な
い、剥離せずに残ったゴバン目数で表示する。
【0040】 耐候性 耐水性試験におけると同様にして作成した試験片を、耐
候性試験機(スガ試験機株式会社商品名 スーパーロン
グサンシヤインW−O−M)中で、250時間照射後の
塗膜の光沢保持率を、下記式により算出する。なお、光
沢値は60°反射光沢の測定値である。 塗膜の光沢保持率(%)=〔(250時間照射後の光沢
値)÷(照射前のブランク時の光沢値)〕×100
【0041】 温冷サイクル試験 耐水性試験におけると同様にして作成した試験片を、
(20℃±3℃の水中浸漬16時間→−20℃±3℃水
中浸漬4時間→50℃±3℃水中浸漬4時間)を1サイ
クルとして、10サイクル処理した後の塗膜状態を目視
観察して、下記の基準で評価する。 ○ ・・・ 異常なし △ ・・・ 一部にクラック発生 × ・・・ 全面にクラック発生
【0042】実施例2〜6 比較例1〜4 乳化重合に用いる単量体組成、及び連鎖移動剤の種類及
びその使用量、ヒドラジン誘導体の種類及びその使用量
を表2、表3又は表4にそれぞれ示すように変更し、そ
のほかは実施例1に記載の方法に準じて各自己架橋型樹
脂水性分散液を調製した。得られた各樹脂水性分散液の
塗膜物性は表2、表3又は表4にそれぞれ示すとおりで
あった。
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】表2、表3及び表4の注: *1・・・Wはt−ドデシルメルカプタンを示す *2・・・Xは3−メルカプトプロピオン酸を示す *3・・・Yはアジピン酸ジヒドラジドを示す *4・・・Zはセバシン酸ジヒドラジドを示す
【0047】表2、表3及び表4から明らかなように、
連鎖移動剤を全く用いなかった比較例1は、各実施例に
較べて塗膜の光沢性に著しく劣るし、連鎖移動剤を著し
く多量に用いた比較例2は、各実施例に較べて塗膜の耐
水性が劣る。さらに、カルボニル基含有単量体を全く使
用せず、かつヒドラジン誘導体を全く配合しなかった比
較例3は、各実施例に較べて塗膜の耐水性が著しく劣
る。
【0048】
【発明の効果】本発明の樹脂水性分散液は、耐久性、耐
水性及び基材に対する付着性等に優れ、しかも光沢性に
も優れた皮膜を与えることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 正美 三重県四日市市川尻町1000番地 三菱油化 バーデイツシエ株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)カルボニル基を含有する不飽和単
    量体0.1〜30重量%、及び同不飽和単量体と共重合
    可能な他の不飽和単量体99.9〜70重量%の混合物
    100重量部に、連鎖移動剤を0.03〜5重量部を含
    有せしめてなる単量体混合物の乳化重合によって得られ
    た樹脂水性分散液に、(B)分子中に少なくとも2個の
    ヒドラジン残基を含有するヒドラジン誘導体を配合して
    なることを特徴とする自己架橋型樹脂水性分散液。
  2. 【請求項2】 (A)成分中のカルボニル基1モルに対
    して、(B)成分中のヒドラジン残基を0.05〜5モ
    ルの割合で配合してなる請求項1に記載の樹脂水性分散
    液。
JP23679491A 1991-08-26 1991-08-26 ワンコートフィニッシュ塗料用自己架橋型樹脂水性分散液 Expired - Fee Related JP2869551B2 (ja)

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