JPH07112660A - アンチスキッド制御装置 - Google Patents

アンチスキッド制御装置

Info

Publication number
JPH07112660A
JPH07112660A JP28404993A JP28404993A JPH07112660A JP H07112660 A JPH07112660 A JP H07112660A JP 28404993 A JP28404993 A JP 28404993A JP 28404993 A JP28404993 A JP 28404993A JP H07112660 A JPH07112660 A JP H07112660A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
friction coefficient
control
pressure
wheel
mode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP28404993A
Other languages
English (en)
Inventor
Naoyasu Enomoto
直泰 榎本
Takeshi Naito
剛 内藤
Yoshinori Suzuki
良教 鈴木
Jun Nagase
純 永瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Aisin Seiki Co Ltd filed Critical Aisin Seiki Co Ltd
Priority to JP28404993A priority Critical patent/JPH07112660A/ja
Publication of JPH07112660A publication Critical patent/JPH07112660A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Regulating Braking Force (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 車輪の制動作動が追従可能な範囲で摩擦係数
に応じた制動力制御を行なう。 【構成】 液圧発生装置PGにより液圧制御装置ACを
介してホイールシリンダWCにブレーキ液圧を供給し、
車輪WLに対し制動力を付与する。一方、摩擦係数検出
手段CFにより摩擦係数を検出し、その出力に応じて少
なくとも減圧モード及び増圧モードの何れかの制御モー
ドを選択し、この制御モードに基づきブレーキ液圧を増
減し、車輪WLに対する制動力を制御する。この場合に
おいて、制御モード切替判定手段INにより制御モード
が切替わったと判定された後、所定の条件を充足するま
で、制御状態維持手段CNによって、その制御モードに
基づく制御状態を維持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両制動時に車輪に対
する制動力を制御し車輪のロックを防止するアンチスキ
ッド制御装置に関し、特に車両の走行路面の摩擦係数の
変化に応じて適切な制動力制御を行ない得るアンチスキ
ッド制御装置に係る。
【0002】
【従来の技術】車両の急制動時に車輪がロックしないよ
うに、各車輪のホイールシリンダに対するブレーキ液圧
を増減することにより制動力を制御するアンチスキッド
制御装置が普及している。このアンチスキッド制御装置
は一般的に、車両の各車輪の車輪速度を検出し、検出結
果に応じて各車輪のホイールシリンダに対するブレーキ
液圧を制御し、最大摩擦係数が得られるように制動力を
制御することとしている。そして、路面摩擦力若しくは
路面摩擦係数を直接測定し、測定結果に応じて制動力を
制御するアンチスキッド制御装置が提案されている。例
えば特開平3−220056号公報及び特開平3−27
3948号公報には、路面摩擦係数を検出し、ブレーキ
液圧の上昇に伴って路面摩擦係数が増大する間は、ブレ
ーキ液圧を上昇させ、路面摩擦係数の上昇速度が設定速
度以下になったときにブレーキ液圧を緩和又は解放し、
路面摩擦係数が設定値以下に減衰した後にブレーキ液圧
を再上昇させ、これらの動作を反復するようにした車両
のアンチロックブレーキ制御装置が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、車輪と路面
との間の摩擦係数に応じて制動力を制御するアンチスキ
ッド制御装置においても、測定結果に基づく制御信号に
対しブレーキ液圧変化が遅れ、更には車輪の制動力に変
換される際に遅れが生ずるので、制動力制御を摩擦係数
の変化に追従させることが困難である。特に、ブレーキ
液圧の増減圧制御に対する車輪の制動作動の遅れに起因
して所期のアンチスキッド制御を行なうことができなく
なる。例えば、ブレーキ液圧制御モードが増圧モードか
ら減圧モードに切替わる際、摩擦係数に基づいて液圧制
御装置が駆動され、ホイールシリンダ内のブレーキ液圧
が実際に減圧されるまでに時間を要し、更にこの減圧に
応じて車輪の制動力が減少するまでにも時間を要する。
この間に、即ち減圧モードに切替わって一定時間経過し
ていても、検出摩擦係数が所定の閾値と比較されると、
摩擦係数はスリップ率の深い方に向かい閾値以下になる
ことがあり、減圧作動が完了した後の増圧モードに切替
わる状態と同様の状態となることがあり得る。このた
め、減圧モード時であるのに拘らず、減圧作動が行なわ
れないまま増圧モードに切替えられることになる。同様
に、摩擦係数に基づく制動力の制御が開始し、ブレーキ
液圧制御モードが減圧モードから増圧モードに切替わり
一定時間経過したとき、増圧モード時であるのに拘ら
ず、増圧作動が行なわれないまま減圧モードに切替えら
れる。従って、増圧モードあるいは減圧モードの何れに
切替わる際にも、実際に制動力の制御が行なわれるまで
制御状態を維持することが必要である。
【0004】そこで、本発明は車輪と路面との間の摩擦
係数に応じて制動力を制御するアンチスキッド制御装置
において、車輪の制動作動が追従可能な範囲で制動力制
御を行ない得るようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明のアンチスキッド制御装置は図1に構成の概
要を示したように、車輪WLに装着し制動力を付与する
ホイールシリンダWCと、このホイールシリンダWCに
ブレーキ液圧を供給する液圧発生装置PGと、この液圧
発生装置PGとホイールシリンダWCとの間に介装しホ
イールシリンダWCのブレーキ液圧を制御する液圧制御
装置ACと、車輪WLと路面との間の摩擦係数を検出す
る摩擦係数検出手段CFと、この摩擦係数検出手段CF
の出力に応じて少なくとも減圧モード及び増圧モードの
何れかの制御モードを選択し、この制御モードに基づき
液圧制御装置ACを駆動し、ホイールシリンダWCに供
給するブレーキ液圧を増減して制動力を制御する制動力
制御手段BCとを備えている。そして、この制動力制御
手段BCは、制御モードが切替わったか否かを判定する
制御モード切替判定手段INと、この制御モード切替判
定手段INにより制御モードが切替わったと判定された
後、所定の条件を充足するまで当該制御モードに基づく
制御状態を維持する制御状態維持手段CNを備えること
としたものである。
【0006】前記アンチスキッド制御装置において、摩
擦係数検出手段CFは、車輪WLの路面に対する摩擦力
によるトルクを検出するタイヤトルクセンサで構成する
ことができる。
【0007】あるいは、摩擦係数検出手段CFは、車輪
WLに付与される制動トルクを検出する制動トルクセン
サTSと、車輪WLの回転角速度を検出する車輪速度セ
ンサWSを備えたものとし、制動トルク及び回転角速度
に基づき摩擦係数を演算するように構成してもよい。
【0008】更に、前記アンチスキッド制御装置に対
し、車輪速度センサWSの出力に基づき車輪WLのスリ
ップ率を演算するスリップ率演算手段を設け、制御状態
維持手段CNを、制御モード切替判定手段により制御モ
ードが切替わったと判定されたときのスリップ率を基準
スリップ率として格納し、制動力制御手段BCが減圧モ
ードから増圧モードに切替えたときには、スリップ率演
算手段の演算するスリップ率が基準スリップ率を超える
まで、増圧モードに基づく制御状態を維持し、また、制
動力制御手段BCが増圧モードから減圧モードに切替え
たときには、スリップ率演算手段の演算するスリップ率
が基準スリップ率を下回るまで、減圧モードに基づく制
御状態を維持するように構成することもできる。
【0009】
【作用】上記の構成になるアンチスキッド制御装置にお
いて、液圧発生装置PGを駆動すると液圧制御装置AC
を介してホイールシリンダWCにブレーキ液圧が供給さ
れ、車輪WLに対し制動力が付与される。一方、摩擦係
数検出手段CFにて車輪WLと路面との間の摩擦係数が
検出され、その出力に応じて少なくとも減圧モード及び
増圧モードの何れかの制御モードが選択され、この制御
モードに基づき液圧制御装置ACが駆動され、ホイール
シリンダWCへのブレーキ液圧が増減し、従って車輪W
Lに対する制動力が制御される。この場合において、制
御モード切替判定手段INにより制御モードが切替わっ
たと判定された後、所定の条件を充足するまで、制御状
態維持手段CNによって当該制御モードに基づく制御状
態が維持される。例えば、増圧モードもしくは減圧モー
ドにおいて、夫々ブレーキ液圧の増圧もしくは減圧を指
示する信号が所定回数出力されるまで、ブレーキ液圧制
御状態(増圧モードもしくは減圧モードに基づく制御)
が維持される。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図2は本発明の一実施例のアンチスキッド制御装
置を示すもので、マスタシリンダ2a及びブースタ2b
から成り、ブレーキペダル3によって駆動される液圧発
生装置2と、車輪FR,FL,RR,RLに配設された
ホイールシリンダ51乃至54の各々とが接続される液
圧路に、ポンプ21,22、リザーバ23,24及び電
磁弁31乃至38が介装されている。尚、車輪FRは運
転席からみて前方右側の車輪を示し、以下車輪FLは前
方左側、車輪RRは後方右側、車輪RLは後方左側の車
輪を示しており、図2に明らかなように所謂ダイアゴナ
ル配管が構成されている。
【0011】液圧発生装置2とホイールシリンダ51乃
至54との間には本発明にいう液圧制御装置たるアクチ
ュエータ30が介装されている。このアクチュエータ3
0は、マスタシリンダ2aの一方の出力ポートとホイー
ルシリンダ51,54の各々を接続する液圧路に夫々電
磁弁31,32及び電磁弁33,34が介装され、これ
らとマスタシリンダ2aとの間にポンプ21が介装され
て成る。同様に、マスタシリンダ2aの他方の出力ポー
トとホイールシリンダ52,53の各々を接続する液圧
路に夫々電磁弁35,36及び電磁弁37,38が介装
され、これらとマスタシリンダ2aとの間にポンプ22
が介装されている。ポンプ21,22は電動モータ20
によって駆動され、これらの液圧路に所定の圧力に昇圧
されたブレーキ液が供給される。従って、これらの液圧
路が常開の電磁弁31,33,35,37に対するブレ
ーキ液圧の供給側となっている。
【0012】常閉の電磁弁32,34の排出側液圧路は
リザーバ23を介してポンプ21に接続され、同じく常
閉の電磁弁36,38の排出側液圧路はリザーバ24を
介してポンプ22に接続されている。リザーバ23,2
4は夫々ピストンとスプリングを備えており、電磁弁3
2,34,36,38から排出側液圧路を介して還流さ
れるブレーキ液を収容し、ポンプ21,22作動時にこ
れらに対しブレーキ液を供給するものである。
【0013】電磁弁31乃至38は2ポート2位置電磁
切替弁であり、夫々ソレノイドコイル非通電時には図2
に示す第1位置にあって、各ホイールシリンダ51乃至
54は液圧発生装置2及びポンプ21あるいは22と連
通している。ソレノイドコイル通電時には第2位置とな
り、各ホイールシリンダ51乃至54は液圧発生装置2
及びポンプ21,22とは遮断され、リザーバ23ある
いは24と連通する。尚、図2中のチェックバルブはホ
イールシリンダ51乃至54及びリザーバ23,24側
から液圧発生装置2側への還流を許容し、逆方向の流れ
を遮断するものである。
【0014】而して、これらの電磁弁31乃至38のソ
レノイドコイルに対する通電、非通電を制御することに
よりホイールシリンダ51乃至54内のブレーキ液圧を
増圧、減圧、又は保持することができる。即ち、電磁弁
31乃至38のソレノイドコイル非通電時にはホイール
シリンダ51乃至54に液圧発生装置2及びポンプ21
あるいは22からブレーキ液圧が供給されて増圧し、通
電時にはリザーバ23あるいは24側に連通し減圧す
る。また、電磁弁31,33,35,37のソレノイド
コイルに通電しその余の電磁弁のソレノイドコイルを非
通電とすれば、ホイールシリンダ51乃至54内のブレ
ーキ液圧が保持される。従って、通電、非通電の時間間
隔を調整することにより所謂パルス増圧(ステップ増
圧)又はパルス減圧を行ない、緩やかに増圧又は減圧す
るように制御することもできる。
【0015】上記電磁弁31乃至38は電子制御装置1
0に接続され、各々のソレノイドコイルに対する通電、
非通電が制御される。電動モータ20も電子制御装置1
0に接続され、これにより駆動制御される。また、車輪
FR,FL,RR,RLには夫々車輪速度センサ41乃
至44が配設され、これらが電子制御装置10に接続さ
れており、各車輪の回転角速度に応じた信号が電子制御
装置10に入力されるように構成されている。車輪速度
センサ41乃至44は各車輪の回転に伴って回転する歯
付ロータと、このロータの歯部に対向して設けられたピ
ックアップから成る周知の電磁誘導方式のセンサであ
り、ホールIC、光センサ等を用いることとしてもよ
い。而して、車輪速度センサ41乃至44の出力が微分
されると回転角加速度が得られるが、直接車輪の回転角
加速度を検出する車輪加速度センサを設けることとして
もよい。
【0016】また、車輪FR,FL,RR,RLの各々
に制動トルクセンサ45乃至48が設けられている。制
動トルクセンサ45乃至48は、例えばディスクブレー
キのブレーキパッド(図示せず)の端部に歪センサ(図
示せず)を配置し、この歪センサの検出出力、即ちブレ
ーキパッドに加わる荷重に基づき制動トルクを検出する
ものである。更に、電子制御装置10には、ブレーキペ
ダル3が踏み込まれたときオンとなるブレーキスイッチ
49が接続されている。
【0017】電子制御装置10は、図3に示すように、
バスを介して相互に接続されたCPU14、ROM1
5、RAM16、タイマ17、入力インターフェース回
路12及び出力インターフェース回路13から成るマイ
クロコンピュータ11を備えている。上記車輪速度セン
サ41乃至44、制動トルクセンサ45乃至48及びブ
レーキスイッチ49の出力信号は増幅回路18a乃至1
8iを介して夫々入力インターフェース回路12からC
PU14に入力されるように構成されている。また、出
力インターフェース回路13からは駆動回路19aを介
して電動モータ20に制御信号が出力されると共に、駆
動回路19b乃至19iを介して夫々電磁弁31乃至3
8に制御信号が出力されるように構成されている。マイ
クロコンピュータ11においては、ROM15は図4以
降に示した各フローチャートに対応したプログラムを記
憶し、CPU14は図示しないイグニッションスイッチ
が閉成されている間当該プログラムを実行し、RAM1
6は当該プログラムの実行に必要な変数データを一時的
に記憶する。
【0018】上記のように構成された本実施例において
は、電子制御装置10によりアンチスキッド(ABS)
制御のための一連の処理が行なわれ、アクチュエータ3
0が制御されブレーキ液圧が制御されるが、理解を容易
にするため、先ず図13乃至図20に示した摩擦係数−
スリップ率曲線(μ−S曲線)を用いて説明した後、図
4乃至図10のフローチャートに基づき具体的制御につ
いて説明する。
【0019】図13はブレーキ液圧制御モードが増圧モ
ードから減圧モードに切替わったときの摩擦係数μとス
リップ率Snの関係を示すものである。例えば、図13
に実線で示すように、検出摩擦係数の傾きdμ/dtが
t1時点で所定値以下となって増圧モードから減圧モー
ドに切替わったときには破線で示す特性Ddとなること
が望ましい。しかし、ホイールシリンダ内のブレーキ液
圧が実際に減圧され、更に車輪の制動力が減少するまで
には時間を必要とするので、従来装置にあっては、一定
時間経過していても図13に実線で示す特性Adをと
り、この間に検出摩擦係数が所定の閾値と比較されると
摩擦係数はこの閾値以下ということがあり、減圧作動が
完了した後の増圧モードに切替わる状態と同様の状態と
なる。従って、減圧モードであるのにかかわらず減圧作
動が行なわれないまま増圧モードに切替えられることに
なる。そこで、以下の実施例においては破線で示す所期
の特性Ddをとり得るように制御するものである。
【0020】また、図14は減圧モードから増圧モード
に切替わったときの摩擦係数μとスリップ率Snの関係
を示すもので、図14に実線で示すように、検出摩擦係
数がt2時点で所定の閾値以下となって減圧モードから
増圧モードに切替わって一定時間を経過したとき、従来
装置にあっては図14に実線で示す特性Aiをとり、摩
擦係数の傾きdμ/dtが所定値以下となって増圧モー
ドであるのに増圧作動が行なわれないまま減圧モードに
切替えられることになる。そこで、本実施例において
は、破線で示す所期の特性Diをとり得るように制御す
るものである。
【0021】ところで、周知のように、摩擦係数μとス
リップ率Snの関係は路面の状態やタイヤの種類等によ
って異なり、例えば乾燥したアスファルト道路等の高摩
擦係数路(以下、高μ路という)では、図15に一点鎖
線で示すようにスリップ率Snが15乃至20%で摩擦
係数μがピークを示し、最大値に至るまでは摩擦係数μ
とスリップ率Snは略比例関係にあり、最大値を超える
とスリップ率Snの増加に伴い徐々に摩擦係数μが小さ
くなる。一方、凍結した雪路等の低摩擦係数路(以下、
低μ路という)では図15に破線で示すように摩擦係数
μの最大値は極めて低くなるが、一応スリップ率Snは
20%前後でピークを示す。これに対し、砂利道等では
図17及び図20に二点鎖線で示すように、スリップ率
Snの増加に伴い摩擦係数μは漸増するがピークが存在
しない。尚、図17は高μ路でピークが存在しない場
合、図20は低μ路でピークが存在しない場合を示して
いる。
【0022】車両が低μ路から高μ路に進入する場合に
は、大別して図15乃至図17の三つの状況が考えられ
る。先ず、図15においては低μ路から高μ路に進入し
たときのスリップ率が高μ路の摩擦係数μのピーク(μ
p)を過ぎたところにある状態を示すもので、摩擦係数
は図15の実線の経路で変化し、破線矢印に示すよう
に、高μ路側のピークを経て瞬時にそのときの摩擦係数
μの値に到達することになる。また、低μ路から高μ路
に進入したときのスリップ率が高μ路の摩擦係数μのピ
ーク(μp)の前にある状態のときにも、図16に破線
矢印で示すように高μ路側でピーク近傍を経由してその
ときの摩擦係数の値に到達する。更に、ピークが存在し
ない高μ路に進入したときには図17に示すような経路
を経て、高μ路に進入した時の低μ路での摩擦係数μの
値となる。
【0023】而して、車両が低μ路から高μ路に進入
し、そのまましばらくの間高μ路を走行するような場合
には、高μ路進入直後は摩擦係数μが低い値から制御が
開始することになるので、制動力制御の追従性が悪くな
る。然し乍ら、低μ路から高μ路に進入したときの摩擦
係数の変化状態が図15及び図16に示す状態であれ
ば、一旦高μ路側の摩擦係数μのピーク近傍を経由する
ことから、そのピーク近傍の摩擦係数μの値に対応する
タイヤトルクが得られるようにブレーキ液圧を制御すれ
ば、最適な制動力が得られることになる。但、図17の
ように摩擦係数μにピークが存在しない場合には、サイ
ドフォースを確保するため、低μ路から高μ路に進入し
た時の摩擦係数μの値の所定割合(例えば80乃至95
%)の値に対応するタイヤトルクが得られるようにブレ
ーキ液圧制御を行ない、スリップ率Snが15乃至20
%となるように制御することが望ましい。
【0024】一方、車両が高μ路から低μ路に進入する
場合には、大別して図18乃至図20の三つの状況が考
えられる。先ず、図18は高μ路から低μ路に進入した
ときのスリップ率が低μ路の摩擦係数μのピーク(μ
p)の前にある状態を示すもので、摩擦係数は図18の
実線の経路で変化する。即ち、高μ路側ではブレーキ液
圧が高くなっているので、低μ路に進入するとそのまま
ロック方向に向かう。この場合においては、低μ路側の
摩擦係数μのピークを経由するので、このピークを検出
し、その時の摩擦係数μの値に対応するタイヤトルクと
なるようにブレーキ液圧を制御すれば、最適な制動力が
得られることになる。
【0025】また、高μ路から低μ路に進入したときの
スリップ率が低μ路の摩擦係数μのピーク(μp)を過
ぎたところにある状態のときには、図19に実線で示す
ようになるが、低μ路に進入した直後の値となるまでブ
レーキ液圧を下げれば最適な制動力となる。ピークが存
在しない路面に関しては、図20に示すように、一旦低
μ路側の摩擦係数μに移行した時の値を基準に、例えば
その値の1.2倍の摩擦係数μに対応するタイヤトルク
が得られるようにブレーキ液圧を制御すれば最適な制動
力となる。
【0026】本実施例においては、上述のようにアンチ
スキッド制御中に摩擦係数μが異なる路面に進入したと
きにも、以下に説明するように最適なブレーキ液圧制御
が行なわれる。先ずイグニッションスイッチ(図示せ
ず)が閉成されると、マイクロコンピュータ11におい
て、図4乃至図10のフローチャートに対応したプログ
ラムの実行が開始する。図4は各車輪と路面との摩擦係
数μを求めるフローチャートで、ステップ100にてタ
イマの値tnがクリア(0)され、所定時間毎にステッ
プ120乃至150の処理が行なわれる都度インクリメ
ントされる(ステップ110)。即ち、所定の演算周期
(例えば1mS)で、摩擦係数μが演算されメモリRA
Mに格納される。先ずステップ120において、各車輪
の路面との摩擦力によるトルク(タイヤトルク)Ttが
検出され、続いてステップ130にて車輪に対する荷重
(タイヤ荷重)Fが検出され、これらに基づきステップ
140において摩擦係数μがμ=Tt/R・Fとして演
算される。ここで、Rは各車輪の有効半径を示す。この
ようにして演算された摩擦係数μは、ステップ150に
て順次メモリRAMに読み込まれ、最新の演算結果のA
個分の摩擦係数μの値が格納される。この演算はステッ
プ160にてアンチスキッド(ABS)制御が終了と判
定されるまで行なわれ、演算周期毎に順次摩擦係数μの
値が更新される。上記タイヤトルク及びタイヤ荷重の検
出手段としては種々の手段があるが、本実施例において
は図5に示すように図3の制動トルクセンサ45乃至4
8及び車輪速度センサ41乃至44の検出出力に基づき
タイヤトルクを検出すると共に、車高を検出するハイト
センサ(図示せず)によってタイヤ荷重を検出し、これ
らの検出値に基づき摩擦係数μを演算することとしてい
る。もちろん、これらの方法に限ることなく、直接摩擦
係数μを検出することとしてもよい。
【0027】図5においては、図4のステップ120に
対応する処理としてステップ121乃至123が行なわ
れ、ステップ130,140に対応する処理として夫々
ステップ131,141が行なわれる。即ち、ステップ
121にて制動トルクセンサにより制動トルクTbが検
出されると共に、ステップ122にて車輪速度センサ4
1乃至44によって検出された各車輪の回転角速度が微
分され、回転角加速度DAwが検出される。そして、こ
れらの検出値に基づきタイヤトルクTtがTt=Tb−
It・DAwとして求められる。ここで、Itは各車輪
の慣性力に応じた係数で、車輪の大きさ、重量等に応じ
て設定される。続いてステップ131においてハイトセ
ンサによりハイト信号Htが検出される。このハイト信
号Htは車両の車高値に対応しているので、車両の荷重
と一定の関係にあり、従ってタイヤ荷重FはKh・Ht
(但し、Khは係数)で表すことができる。尚、ハイト
センサに替えて、上下G(加速度)センサ等によってタ
イヤ荷重Fを検出することができる。而して、摩擦係数
μはステップ141においてμ=Tt/R・Kh・Ht
として求められる。
【0028】図6乃至図10は本発明の一実施例におけ
るアンチスキッド制御の処理を示すもので、スリップ率
を用いることなく上述の摩擦係数μの検出結果のみに応
じてアンチスキッド制御を行なうこととしている。そし
て、減圧モードから増圧モードに切替わったときに前述
の図13の特性Ddをとり得るように、本実施例におい
ては、図6及び図8に示す増圧フラグを用い、増圧モー
ドか否かを判定すると共に、増圧作動が所定回数(K
i)以上継続して続いた場合に増圧モードを終了とし、
以後の処理を行なうようにしている。同様に、増圧モー
ドから減圧モードに切替わったときに前述の図14の特
性Diをとり得るように、図6及び図7に示す減圧フラ
グを用い、減圧モードに切替わったか否かを判定すると
共に、減圧作動が所定回数(Kd)以上継続して続いた
場合に減圧モードを終了とし、以後の処理を行なうよう
にしている。
【0029】先ず図6において、アンチスキッド制御が
開始するとステップ201にてタイマがリセットされ
(0)、所定時間(Δt)毎にステップ203以降の処
理が行なわれる(ステップ202)。尚、アンチスキッ
ド制御が開始されるか否かは、従来同様の開始条件を用
いればよく、例えば車輪の回転角加速度が所定値(例え
ば−10G)以下のとき、またはマスタシリンダ圧から
推測される制動トルクとタイヤトルクセンサから測定さ
れるタイヤトルクとの差が所定値以上のとき等に、アン
チスキッド制御が開始されるようにすればよい。尚、後
述の実施例のようにスリップ率を用いた制御を行なう場
合には、スリップ率が所定値(例えば5%)以上のとき
にアンチスキッド制御が開始されるようにすることがで
きる。
【0030】ステップ203においては、メモリRAM
からその時(t時)の摩擦係数μが呼び出され、摩擦係
数の傾きdμ/dtが求められ、摩擦係数の変化状態が
判定される。そして、ステップ204に進み、増圧フラ
グがセット(1)されているか否かが判定される。尚、
増圧フラグは後述する図8のステップ227においてセ
ットされる。ステップ204において増圧フラグがセッ
トされていると判定された場合には、ステップ205に
て増圧フラグがセットされた回数が所定回数Ki(例え
ばKi=4)と比較され、Ki回以上であればステップ
206にて増圧フラグがリセット(0)された後ステッ
プ230に進み、Ki回未満であればそのままステップ
230に進む。ステップ204において、増圧フラグが
セットされていないと判定されたときには、ステップ2
07に進み減圧フラグがセット(1)されているか否か
が判定される。この減圧フラグは後述する図7のステッ
プ218においてセットされる。ステップ207におい
て減圧フラグがセットされていないと判定された場合に
は、そのまま図6のステップ210に進む。減圧フラグ
がセットされている場合にはステップ208にて減圧フ
ラグの回数が所定回数Kd(例えばKd=2)と比較さ
れ、Kd回以上であればステップ209にて減圧フラグ
がリセットされた後ステップ230に進み、Kd回未満
であればそのままステップ230に進む。
【0031】図6のステップ210においては、前回が
増圧状態か減圧状態の何れであるかが判定され、増圧状
態であれば図7のステップ211に進みフラグBがリセ
ット(0)された後ステップ212に進む。尚、フラグ
Bは減圧状態で摩擦係数μに変化があったときにセット
(1)されるフラグであり、増圧状態で摩擦係数μに変
化があると後述するようにフラグAがセットされる。ス
テップ212においては、摩擦係数μの傾きdμ/dt
が所定値K1(例えばK1=−10)より小さいか否か
が判定される。即ち、摩擦係数μに所定範囲以上の変化
(減少)があったか否かが判定され、変化があったと判
定されるとステップ213にてフラグAがセット(1)
された後ステップ300に進み、後述する高μ→低μ判
定処理が行なわれる。
【0032】ステップ212において、摩擦係数μの傾
きdμ/dtが所定値K1以上と判定されると、ステッ
プ214にてフラグAがセットされているか否かが判定
され、セットされていればそのままステップ300に進
む。フラグAがセットされていなければステップ215
に進み、そのときの傾きdμ/dtが所定値K2(例え
ばK2=1)と比較され、所定値K2以上であればその
まま増圧状態が維持されてステップ230に進む。これ
に対し、摩擦係数の傾きdμ/dtが所定値K2より小
であるときには、ステップ216にて、この時の摩擦係
数μが摩擦係数μ1(μ1はこの路面の摩擦係数のピー
ク値となる)に設定された後、ステップ217において
「減圧」作動に切替えられ、ステップ218にて減圧フ
ラグがセット(1)された後ステップ230に進む。
【0033】図6のステップ210において前回が減圧
状態にあると判定された場合には、図8のステップ22
1に進みフラグAがリセット(0)された後ステップ2
22に進む。尚、フラグAは増圧状態で摩擦係数μに変
化があったときにセットされるフラグである。ステップ
222においては、摩擦係数の傾きdμ/dtが所定値
K4(例えばK4=10)より大であるか否かが判定さ
れる。即ち、摩擦係数μに所定範囲以上の変化があった
か否かが判定され、変化があったと判定されるとステッ
プ223にてフラグBがセット(1)された後ステップ
400に進み、後述する低μ→高μ判定処理が行なわれ
る。ステップ222において、摩擦係数の傾きdμ/d
tが所定値K4以下と判定されると、ステップ224に
てフラグBがセットされているか否かが判定され、セッ
トされていればそのままステップ400に進む。フラグ
Bがセットされていなければステップ225に進み、そ
のときの摩擦係数μの値が所定値μ1・K5(例えばK
5=0.95)と比較され、所定値μ1・K5以上であ
ればそのまま減圧状態が維持されてステップ230に進
む。これに対し、摩擦係数μの値が所定値μ1・K5よ
り小であるときには、ステップ226にて「増圧」作動
に切替えられ、ステップ227にて増圧フラグがセット
(1)された後ステップ230に進む。
【0034】上記の処理が各車輪毎に行なわれた後(図
6のステップ230,231。尚、jは各車輪を表
す。)、ステップ232において増圧作動が所定回数K
3回(例えばK3=120)以上継続して行なわれたか
否かが判定され、所定回数K3回未満であれば、ステッ
プ233でjがリセットされた後ステップ202に戻
る。而して、増圧作動が所定回数K3回以上の場合には
車両停止と判断して、このルーチンを終了する。
【0035】上記図7のステップ300における「高μ
→低μ判定処理」は図9に示すフローチャートに基づい
て実行される。先ず、ステップ301において摩擦係数
の傾きdμ/dtが最小値(dμ/dt)minとなっ
た時刻tnが検出され、ステップ302に進み最小値
(dμ/dt)minの時刻tn以降に摩擦係数のピー
クμpが存在したか否かが判定される。摩擦係数のピー
クμpが検知されなかったときにはステップ303に進
み、フラグAがセット(1)された後このルーチンが1
0回以上行なわれたか否かが判定され、10回未満であ
ればステップ304にてブレーキ液圧は保持され、図7
のルーチンに戻る。
【0036】ステップ302にて摩擦係数の傾きの最小
値(dμ/dt)minの時刻tn以降に摩擦係数のピ
ークμpが検知されたとき、あるいはフラグAのセット
後10回以上このルーチンが行なわれたときには、ステ
ップ305において最小値(dμ/dt)minの時刻
tnからt1時間経過したときの摩擦係数の傾きdμ/
dtの方向が判定される。摩擦係数の傾きdμ/dtの
値が正(>0)でなければ(負であれば)図19の状態
にあるので、ステップ306に進み(tn+t1)時の
摩擦係数μの値(即ち、摩擦係数の傾きの最小値(dμ
/dt)minを示した時の次のルーチン時の値)とな
るまで減圧される。摩擦係数の傾きdμ/dtが正(>
0)の値であれば、ステップ307にて摩擦係数の最大
値μmaxの時刻と摩擦係数の最終値μendの時刻が
同じか否か、即ち判定時の摩擦係数の値(最終値)が最
大値μmaxか否かが判定される。ここで、最大値μm
axとなっていると判定されると(即ち、図20の状
態)、ステップ308に進み摩擦係数の最小値μmin
に定数K6(例えばK6=1.2)を乗じた値μmin
・K6となるまで減圧される。最大値μmax時と最終
値μend時が異なるときには、そこでピークμpを有
していることになるので(即ち、図18の状態)、ステ
ップ309に進み摩擦係数のピークμpに定数K7(例
えばK7=0.95)を乗じた値となるまで減圧され
る。尚、K7=1としてピークμpとなるまで減圧する
こととしてもよいが、制御が困難であるので95%の値
まで減圧することとしている。
【0037】また、図8のステップ400における「低
μ→高μ判定処理」は図10に示すフローチャートに基
づいて実行される。先ず、ステップ401において摩擦
係数の傾きdμ/dtが最大値(dμ/dt)maxと
なった時刻tnが検出され、ステップ402に進み最大
値(dμ/dt)maxの時刻tn以降に摩擦係数のピ
ークμpが存在したか否かが判定される。摩擦係数のピ
ークμpが検知されなかったときにはステップ403に
進み、フラグBがセット(1)された後このルーチンが
10回以上行なわれたか否かが判定され、10回未満で
あればステップ404にてブレーキ液圧は保持され、図
8のルーチンに戻る。このようにブレーキ液圧が保持さ
れている間に摩擦係数μが変化してピークμpが検出さ
れ、検出されないときには摩擦係数μの値が刻々と測定
される。
【0038】ステップ402にて摩擦係数の傾きの最大
値(dμ/dt)maxの時刻tn以降に摩擦係数のピ
ークμpが検知されたとき、あるいはフラグBがセット
後10回以上このルーチンが行なわれたときには、ステ
ップ405において最大値(dμ/dt)maxの時刻
tnからt1時間経過したときの摩擦係数の傾きdμ/
dtの方向が判定される。傾きdμ/dtの値が負(<
0)でなければ(正であれば)図15の状態にあるの
で、ステップ406に進み摩擦係数の最大値μmaxに
定数K8(例えばK8=0.95)を乗じた値μmax
・K8となるまで増圧され、負(<0)の値であればス
テップ407にて(tn+t1)時の摩擦係数の傾きd
μ/dtが定数K9(例えばK9=−20)未満か否か
が判定される。ここで、(tn+t1)時の摩擦係数の
傾きdμ/dtが定数K9未満となっていると判定され
ると(即ち、図16の状態)、ステップ408に進み摩
擦係数の最大値μmaxとなるまで増圧作動が行なわ
れ、(tn+t1)時の摩擦係数の傾きdμ/dtがK
9以上であるときには(即ち、図17の状態)、ステッ
プ409に進み(tn+t1)時の摩擦係数μ値に定数
K10(例えばK10=0.95)を乗じた値となるま
で増圧作動が行なわれる。
【0039】図11及び図12は本発明の他の実施例に
係るもので、車輪速度センサ41乃至44の検出出力に
基づき、スリップ率Snを演算するように構成した実施
例のフローチャートの一部である。尚、スリップ率Sn
の演算については周知であるので説明は省略する。これ
ら図11及び図12の各フローチャートは図6乃至図1
0のフローチャートに組入れられて一つのルーチンが構
成される。即ち、図11に示すように、図7のステップ
217にて減圧モードに切替えられた後ステップ218
にて減圧フラグがセット(1)される。そして、ステッ
プ219において、そのときのスリップ率Snが基準ス
リップ率S1とされた後、図6のステップ300に進
む。同様に図8のステップ226にて増圧モードに切替
えられた後ステップ227にて増圧フラグがセット
(1)され、ステップ228においてそのときのスリッ
プ率Snが基準スリップ率S2とされた後、図6のステ
ップ300に進む。
【0040】そして、図12に示すように、図6のステ
ップ203にて摩擦係数の傾きdμ/dtが演算された
後に、ステップ204に進み増圧フラグがセット(1)
されているか否かが判定され、セットされていればステ
ップ245に進み、スリップ率Snが基準スリップ率S
2と比較され、これを超えていれば(Sn>S2)ステ
ップ206にて増圧フラグがリセット(0)された後ス
テップ230に進み、基準スリップ率S2以下であれば
そのままステップ230に進む。ステップ204におい
て増圧フラグがセットされていないと判定されたときに
は、ステップ207に進み減圧フラグがセットされてい
るか否かが判定され、セットされていなければそのまま
図6のステップ210に進む。減圧フラグがセットされ
ている場合にはステップ248に進み、スリップ率Sn
が基準スリップ率S1と比較され、これを下回っていれ
ば(Sn<S1)ステップ209にて減圧フラグがリセ
ット(0)された後ステップ230に進み、基準スリッ
プ率S1以上であればそのままステップ230に進む。
而して、本実施例によれば図6のステップ205及びス
テップ208の処理を行なうことなく、車輪の制動状態
を確認した後次の処理に移行することができる。
【0041】以上のように、本発明の各実施例によれ
ば、路面の摩擦係数が変化した場合にも直ちに最適な制
動力を確保することができ、従来装置に比し制動距離を
短縮することができる。しかも、摩擦係数に基づく従来
のアンチスキッド制御装置においてはブレーキ液圧の増
減圧制御に対する車輪の制動作動の遅れに起因して所期
のアンチスキッド制御を行なうことができなくなるのに
対し、本実施例ではこのような問題を生ずることなく、
車輪の制動作動が追従可能な範囲で適切な制動力制御を
行なうことができる。図21は、図5乃至図10並びに
図11及び図12のルーチンを行なう実施例の実験結果
の一例を示すもので、高μ路を走行中、a点で低μ路に
進入し、b点で再び高μ路に戻ったときの制御状況を示
している。同図に明らかなように低μ路に進入したとき
には直ちに減圧され、高μ路に進入したときには直ちに
増圧され、車輪速度Vwが車体速度Vaに迅速に漸近す
るように制御される。
【0042】
【発明の効果】本発明は上述のように構成されているの
で以下の効果を奏する。即ち、本発明のアンチスキッド
制御装置によれば、制御モード切替判定手段により制御
モードが切替わったと判定された後、所定の条件を充足
するまで、制御状態維持手段によって当該制御モードに
基づく制御状態が維持されるように構成されているの
で、車輪の制動作動が追従可能な範囲で制動力制御を行
なうことができ、安定した制動作動を確保することがで
きる。
【0043】前記アンチスキッド制御装置において、摩
擦係数検出手段をタイヤトルクセンサで構成したものに
あっては、最小のセンサ数で所期の効果が得られ、配
線、組付等が容易である。
【0044】また、摩擦係数検出手段を、制動トルクセ
ンサ及び車輪速度センサによって構成したものにあって
は、車輪速度センサの検出出力を他の制御に利用するこ
とができるので、種々の制御が可能となる。
【0045】更に、前記アンチスキッド制御装置に対し
てスリップ率演算手段を設けたものにあっては、車輪の
制動作動状態を容易に確認することができるので、一層
迅速な制動力制御を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアンチスキッド制御装置の概要を示す
ブロック図である。
【図2】本発明のアンチスキッド制御装置の実施例の全
体構成図である。
【図3】図2の電子制御装置の構成を示すブロック図で
ある。
【図4】本発明の一実施例における摩擦係数の演算処理
のフローチャートである。
【図5】本発明の一実施例における摩擦係数の演算処理
のフローチャートである。
【図6】本発明の一実施例におけるアンチスキッド制御
の処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施例におけるアンチスキッド制御
の処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施例におけるアンチスキッド制御
の処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施例におけるアンチスキッド制御
のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図10】本発明の一実施例におけるアンチスキッド制
御のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図11】本発明の他の実施例におけるアンチスキッド
制御の処理の一部を示すフローチャートである。
【図12】本発明の他の実施例におけるアンチスキッド
制御の処理の一部を示すフローチャートである。
【図13】本発明の一実施例における制御を説明するた
めの摩擦係数とスリップ率の関係を示すグラフである。
【図14】本発明の一実施例における制御を説明するた
めの摩擦係数とスリップ率の関係を示すグラフである。
【図15】本発明の一実施例における制御を説明するた
めの摩擦係数とスリップ率の関係を示すグラフである。
【図16】本発明の一実施例における制御を説明するた
めの摩擦係数とスリップ率の関係を示すグラフである。
【図17】本発明の一実施例における制御を説明するた
めの摩擦係数とスリップ率の関係を示すグラフである。
【図18】本発明の一実施例における制御を説明するた
めの摩擦係数とスリップ率の関係を示すグラフである。
【図19】本発明の一実施例における制御を説明するた
めの摩擦係数とスリップ率の関係を示すグラフである。
【図20】本発明の一実施例における制御を説明するた
めの摩擦係数とスリップ率の関係を示すグラフである。
【図21】本発明の一実施例における制御状況を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
WL 車輪, WC ホイールシリンダ PG 液圧発生装置 AC 液圧制御装置 BC 制動力制御手段 CF 摩擦係数検出手段 CD 変化状態判定手段 FR,FL,RR,RL 車輪 2 液圧発生装置, 2a マスタシリンダ, 2b
ブースタ 3 ブレーキペダル, 10 電子制御装置 11 マイクロコンピュータ 12 入力インターフェース回路 13 出力インターフェース回路 18a〜18i 増幅回路 19a〜19i 駆動回路 20 電動モータ 21,22 ポンプ, 23,24 リザーバ 30 アクチュエータ 31〜38 電磁弁 41〜44 車輪速度センサ 45〜48 制動トルクセンサ 49 ブレーキスイッチ 51〜54 ホイールシリンダ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永瀬 純 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪に装着し制動力を付与するホイール
    シリンダと、該ホイールシリンダにブレーキ液圧を供給
    する液圧発生装置と、該液圧発生装置と前記ホイールシ
    リンダとの間に介装し前記ホイールシリンダのブレーキ
    液圧を制御する液圧制御装置と、前記車輪と路面との間
    の摩擦係数を検出する摩擦係数検出手段と、該摩擦係数
    検出手段の出力に応じて少なくとも減圧モード及び増圧
    モードの何れかの制御モードを選択し、該制御モードに
    基づき前記液圧制御装置を駆動し、前記ホイールシリン
    ダに供給するブレーキ液圧を増減して制動力を制御する
    制動力制御手段とを備えたアンチスキッド制御装置にお
    いて、前記制動力制御手段は、前記制御モードが切替わ
    ったか否かを判定する制御モード切替判定手段と、該制
    御モード切替判定手段により制御モードが切替わったと
    判定された後、所定の条件を充足するまで当該制御モー
    ドに基づく制御状態を維持する制御状態維持手段を備え
    たことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  2. 【請求項2】 前記摩擦係数検出手段が、前記車輪の前
    記路面に対する摩擦力によるトルクを検出するタイヤト
    ルクセンサであることを特徴とする請求項1記載のアン
    チスキッド制御装置。
  3. 【請求項3】 前記摩擦係数検出手段が、前記車輪に付
    与される制動トルクを検出する制動トルクセンサと、前
    記車輪の回転角速度を検出する車輪速度センサを備え、
    前記制動トルク及び前記回転角速度に基づき前記摩擦係
    数を演算することを特徴とする請求項1記載のアンチス
    キッド制御装置。
  4. 【請求項4】 前記車輪速度センサの出力に基づき前記
    車輪のスリップ率を演算するスリップ率演算手段を備
    え、前記制御状態維持手段は、前記制御モード切替判定
    手段により前記制御モードが切替わったと判定されたと
    きのスリップ率を基準スリップ率として格納し、前記制
    動力制御手段が前記減圧モードから前記増圧モードに切
    替えたときには、前記スリップ率演算手段の演算するス
    リップ率が前記基準スリップ率を超えるまで、前記増圧
    モードに基づく制御状態を維持し、また、前記制動力制
    御手段が前記増圧モードから前記減圧モードに切替えた
    ときには、前記スリップ率演算手段の演算するスリップ
    率が前記基準スリップ率を下回るまで、前記減圧モード
    に基づく制御状態を維持することを特徴とする請求項1
    記載のアンチスキッド制御装置。
JP28404993A 1993-10-18 1993-10-18 アンチスキッド制御装置 Pending JPH07112660A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28404993A JPH07112660A (ja) 1993-10-18 1993-10-18 アンチスキッド制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28404993A JPH07112660A (ja) 1993-10-18 1993-10-18 アンチスキッド制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07112660A true JPH07112660A (ja) 1995-05-02

Family

ID=17673633

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28404993A Pending JPH07112660A (ja) 1993-10-18 1993-10-18 アンチスキッド制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07112660A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002154418A (ja) * 2000-11-20 2002-05-28 Toyota Motor Corp 路面の最大摩擦係数推定装置
JP2005145338A (ja) * 2003-11-18 2005-06-09 Mitsubishi Motors Corp アンチロックブレーキ装置
JP2007191041A (ja) * 2006-01-19 2007-08-02 Advics:Kk タイヤ前後力推定装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002154418A (ja) * 2000-11-20 2002-05-28 Toyota Motor Corp 路面の最大摩擦係数推定装置
JP2005145338A (ja) * 2003-11-18 2005-06-09 Mitsubishi Motors Corp アンチロックブレーキ装置
JP2007191041A (ja) * 2006-01-19 2007-08-02 Advics:Kk タイヤ前後力推定装置
JP4697430B2 (ja) * 2006-01-19 2011-06-08 株式会社アドヴィックス タイヤ前後力推定装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3346041B2 (ja) アンチスキッド制御装置
JP3304575B2 (ja) アンチロック制御装置
JP2649935B2 (ja) 路上走行車用の液圧式多重回路形ブレーキ装置を持ったアンチロック装置
US8897986B2 (en) Brake system and brake control method
JP3258476B2 (ja) 車両走行路面の最大摩擦係数推定装置
JPH02254051A (ja) アンチロック制御装置
JP4110634B2 (ja) アンチスキッド制御装置
JP4543484B2 (ja) ブレーキ液圧制御装置
JP2903552B2 (ja) アンチスキッド制御装置
JP2844777B2 (ja) アンチスキッド制御装置
JPH07112660A (ja) アンチスキッド制御装置
JP3218815B2 (ja) アンチスキッド制御装置
JP3217421B2 (ja) 車両のアンチロックブレーキ装置
JPH09249111A (ja) アンチスキッド制御装置
JP3939859B2 (ja) 車両走行路面の段差判定装置
JP4419272B2 (ja) アンチスキッド制御装置
JP4453152B2 (ja) 制動力配分制御の開始方法
JP4560850B2 (ja) ブレーキ液圧制御装置
JP4422248B2 (ja) アンチスキッド制御装置
JPH05213174A (ja) アンチスキッド制御装置
EP0405984B1 (en) Traction control method for vehicle
JPH07156781A (ja) アンチスキッド制御装置
JP2924065B2 (ja) アンチスキッド制御装置
JP5418022B2 (ja) 車両運動制御装置
JP3607318B2 (ja) 車両用アンチスキッド制御装置