JP3218815B2 - アンチスキッド制御装置 - Google Patents

アンチスキッド制御装置

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JP3218815B2
JP3218815B2 JP19682793A JP19682793A JP3218815B2 JP 3218815 B2 JP3218815 B2 JP 3218815B2 JP 19682793 A JP19682793 A JP 19682793A JP 19682793 A JP19682793 A JP 19682793A JP 3218815 B2 JP3218815 B2 JP 3218815B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両制動時に車輪に対
する制動力を制御し車輪のロックを防止するアンチスキ
ッド制御装置に関し、特に車両の走行路面の摩擦係数の
変化に応じて適切な制動力制御を行ない得るアンチスキ
ッド制御装置に係る。
【0002】
【従来の技術】車両の急制動時に車輪がロックしないよ
うに、各車輪のホイールシリンダに対するブレーキ液圧
を増減することにより制動力を制御するアンチスキッド
制御装置が普及している。このアンチスキッド制御装置
は一般的に、車両の各車輪の車輪速度を検出し、検出結
果に応じて各車輪のホイールシリンダに対するブレーキ
液圧を制御し、最大摩擦係数が得られるように制動力を
制御することとしている。そして、路面摩擦力、若しく
は路面摩擦係数を直接測定するアンチロックブレーキ装
置が提案されており、特開平4−331336号公報に
は、路面摩擦力、垂直抗力、並びに路面摩擦係数等を検
出する車輪作用力測定装置が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、車輪と路面
との間の摩擦係数に応じて制動力を制御するアンチスキ
ッド制御装置においても、摩擦係数の変化に追従するこ
とが困難であり、制御に遅れが生ずる。例えば、アンチ
スキッド制御中に車輪が低摩擦係数路面から高摩擦係数
路面に進入した場合には、一旦進入直後のスリップ率に
対応する高摩擦係数路面上での摩擦係数をとりながら、
直ちに低摩擦係数路面での摩擦係数と同じ摩擦係数にさ
れた後、高摩擦係数路面の摩擦係数−スリップ率特性に
基づくブレーキ液圧制御が行なわれることになる。従っ
て、高摩擦係数路面に進入した後であっても、低い摩擦
係数の値から順次摩擦係数が増加するようにブレーキ液
圧制御が行なわれるので、それだけ制動作動が遅れ制動
距離が延びることとなる。逆に、高摩擦係数路面から低
摩擦係数路面に進入した場合には、一旦進入直後のスリ
ップ率に対応する摩擦係数をとりながら、直ちに進入前
の摩擦係数をとるべく大きなブレーキ液圧が加えられる
ので、スリップ率が一挙に大となる方向に進むこととな
る。
【0004】そこで、本発明は車輪と路面との間の摩擦
係数に応じて制動力を制御するアンチスキッド制御装置
において、摩擦係数の変化状態に応じて適切な制動力制
御を行なうようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明のアンチスキッド制御装置は図1に構成の概
要を示したように、車輪WLに装着し制動力を付与する
ホイールシリンダWCと、このホイールシリンダWCに
ブレーキ液圧を供給する液圧発生装置PGと、この液圧
発生装置PGとホイールシリンダWCとの間に介装しホ
イールシリンダWCのブレーキ液圧を制御する液圧制御
装置ACと、車輪WLと路面との間の摩擦係数を所定時
間毎に検出し検出結果を格納する摩擦係数検出手段CF
と、この摩擦係数検出手段CFの出力に基づき摩擦係数
の変化状態を判定する変化状態判定手段CDと、この判
定結果及び摩擦係数検出手段CFの出力に基づき変化後
の摩擦係数のピークの有無を判定するピーク判定手段P
Dと、このピーク判定手段PD及び摩擦係数検出手段C
Fの出力に応じて液圧制御装置ACを駆動し、ホイール
シリンダWCに供給するブレーキ液圧を増減して制動力
を制御する制動力制御手段BCであって、ピーク判定手
段PDにより変化後の摩擦係数にピーク有と判定された
ときには、ピーク近傍の摩擦係数に基づき制動力の制御
を開始し、ピーク判定手段PDにより変化後の摩擦係数
にピーク無と判定されたときには、変化直後近傍の摩擦
係数に基づき制動力の制御を開始する制動力制御手段B
Cを備えることとしたものである。
【0006】前記アンチスキッド制御装置において、摩
擦係数検出手段CFは、車輪WLの路面に対する摩擦力
によるトルクを検出するタイヤトルクセンサで構成する
ことができる。
【0007】あるいは、摩擦係数検出手段CFは、車輪
WLに付与される制動トルクを検出する制動トルクセン
サTSと、車輪WLの回転角速度を検出する車輪速度セ
ンサWSを備えたものとし、制動トルク及び回転角速度
に基づき摩擦係数を演算するように構成してもよい。
【0008】更に、前記アンチスキッド制御装置に対
し、前記車輪速度センサの出力に基づき車輪WLのスリ
ップ率を演算するスリップ率演算手段を設け、ピーク判
定手段PDを、変化状態判定手段CDの出力が高摩擦係
数から低摩擦係数に変化した後、スリップ率演算手段の
演算するスリップ率が第1の所定値を超えるときには、
摩擦係数のピーク経由後の状態と判定してピーク無と判
定し、また、変化状態判定手段CDの出力が低摩擦係数
から高摩擦係数に変化した後、スリップ率演算手段の演
算するスリップ率が第2の所定値を下回るときには、摩
擦係数のピーク経由後の状態と判定してピーク無と判定
するように構成することもできる。
【0009】あるいは、前記アンチスキッド制御装置に
おけるピーク判定手段PDを、変化状態判定手段CDの
出力が変化した後、所定時間内にピークを持たないとき
ピーク無と判定するように構成することもできる。
【0010】
【作用】上記の構成になるアンチスキッド制御装置にお
いて、液圧発生装置PGを駆動すると液圧制御装置AC
を介してホイールシリンダWCにブレーキ液圧が供給さ
れ、車輪WLに対し制動力が付与される。一方、摩擦係
数検出手段CFにて車輪WLと路面との間の摩擦係数が
所定時間毎に検出され、検出結果が格納される。そし
て、摩擦係数検出手段CFの出力に基づき変化状態判定
手段CDにて摩擦係数の変化状態が判定され、その判定
結果及び摩擦係数検出手段CFの出力に基づき、ピーク
判定手段PDにより変化後の摩擦係数にピークが存在す
るか否かが判定される。而して、制動力制御手段BCに
より車輪WLに関し摩擦係数の変化に応じて液圧制御装
置ACが駆動され、ホイールシリンダWCへのブレーキ
液圧が増減し、従って車輪WLに対する制動力が制御さ
れる。この場合において、ピーク判定手段PDにより変
化後の摩擦係数にピーク有と判定されたときには、ピー
ク近傍の摩擦係数に基づき制動力の制御を開始し、ピー
ク判定手段PDにより変化後の摩擦係数にピーク無と判
定されたときには、変化直後近傍の摩擦係数に基づき制
動力制御が開始される。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図2は本発明の一実施例のアンチスキッド制御装
置を示すもので、マスタシリンダ2a及びブースタ2b
から成り、ブレーキペダル3によって駆動される液圧発
生装置2と、車輪FR,FL,RR,RLに配設された
ホイールシリンダ51乃至54の各々とが接続される液
圧路に、ポンプ21,22、リザーバ23,24及び電
磁弁31乃至38が介装されている。尚、車輪FRは運
転席からみて前方右側の車輪を示し、以下車輪FLは前
方左側、車輪RRは後方右側、車輪RLは後方左側の車
輪を示しており、図2に明らかなように所謂ダイアゴナ
ル配管が構成されている。
【0012】液圧発生装置2とホイールシリンダ51乃
至54との間には本発明にいう液圧制御装置たるアクチ
ュエータ30が介装されている。このアクチュエータ3
0は、マスタシリンダ2aの一方の出力ポートとホイー
ルシリンダ51,54の各々を接続する液圧路に夫々電
磁弁31,32及び電磁弁33,34が介装され、これ
らとマスタシリンダ2aとの間にポンプ21が介装され
て成る。同様に、マスタシリンダ2aの他方の出力ポー
トとホイールシリンダ52,53の各々を接続する液圧
路に夫々電磁弁35,36及び電磁弁37,38が介装
され、これらとマスタシリンダ2aとの間にポンプ22
が介装されている。ポンプ21,22は電動モータ20
によって駆動され、これらの液圧路に所定の圧力に昇圧
されたブレーキ液が供給される。従って、これらの液圧
路が常開の電磁弁31,33,35,37に対するブレ
ーキ液圧の供給側となっている。
【0013】常閉の電磁弁32,34の排出側液圧路は
リザーバ23を介してポンプ21に接続され、同じく常
閉の電磁弁36,38の排出側液圧路はリザーバ24を
介してポンプ22に接続されている。リザーバ23,2
4は夫々ピストンとスプリングを備えており、電磁弁3
2,34,36,38から排出側液圧路を介して還流さ
れるブレーキ液を収容し、ポンプ21,22作動時にこ
れらに対しブレーキ液を供給するものである。
【0014】電磁弁31乃至38は2ポート2位置電磁
切替弁であり、夫々ソレノイドコイル非通電時には図2
に示す第1位置にあって、各ホイールシリンダ51乃至
54は液圧発生装置2及びポンプ21あるいは22と連
通している。ソレノイドコイル通電時には第2位置とな
り、各ホイールシリンダ51乃至54は液圧発生装置2
及びポンプ21,22とは遮断され、リザーバ23ある
いは24と連通する。尚、図2中のチェックバルブはホ
イールシリンダ51乃至54及びリザーバ23,24側
から液圧発生装置2側への還流を許容し、逆方向の流れ
を遮断するものである。
【0015】而して、これらの電磁弁31乃至38のソ
レノイドコイルに対する通電、非通電を制御することに
よりホイールシリンダ51乃至54内のブレーキ液圧を
増圧、減圧、又は保持することができる。即ち、電磁弁
31乃至38のソレノイドコイル非通電時にはホイール
シリンダ51乃至54に液圧発生装置2及びポンプ21
あるいは22からブレーキ液圧が供給されて増圧し、通
電時にはリザーバ23あるいは24側に連通し減圧す
る。また、電磁弁31,33,35,37のソレノイド
コイルに通電しその余の電磁弁のソレノイドコイルを非
通電とすれば、ホイールシリンダ51乃至54内のブレ
ーキ液圧が保持される。従って、通電、非通電の時間間
隔を調整することにより所謂パルス増圧(ステップ増
圧)又はパルス減圧を行ない、緩やかに増圧又は減圧す
るように制御することもできる。
【0016】上記電磁弁31乃至38は電子制御装置1
0に接続され、各々のソレノイドコイルに対する通電、
非通電が制御される。電動モータ20も電子制御装置1
0に接続され、これにより駆動制御される。また、車輪
FR,FL,RR,RLには夫々車輪速度センサ41乃
至44が配設され、これらが電子制御装置10に接続さ
れており、各車輪の回転角速度に応じた信号が電子制御
装置10に入力されるように構成されている。車輪速度
センサ41乃至44は各車輪の回転に伴って回転する歯
付ロータと、このロータの歯部に対向して設けられたピ
ックアップから成る周知の電磁誘導方式のセンサであ
り、ホールIC、光センサ等を用いることとしてもよ
い。而して、車輪速度センサ41乃至44の出力が微分
されると回転角加速度が得られるが、直接車輪の回転角
加速度を検出する車輪加速度センサを設けることとして
もよい。
【0017】また、車輪FR,FL,RR,RLの各々
に制動トルクセンサ45乃至48が設けられている。制
動トルクセンサ45乃至48は、例えばディスクブレー
キのブレーキパッド(図示せず)の端部に歪センサ(図
示せず)を配置し、この歪センサの検出出力、即ちブレ
ーキパッドに加わる荷重に基づき制動トルクを検出する
ものである。更に、電子制御装置10には、ブレーキペ
ダル3が踏み込まれたときオンとなるブレーキスイッチ
49が接続されている。
【0018】電子制御装置10は、図3に示すように、
バスを介して相互に接続されたCPU14、ROM1
5、RAM16、タイマ17、入力インターフェース回
路12及び出力インターフェース回路13から成るマイ
クロコンピュータ11を備えている。上記車輪速度セン
サ41乃至44、制動トルクセンサ45乃至48及びブ
レーキスイッチ49の出力信号は増幅回路18a乃至1
8iを介して夫々入力インターフェース回路12からC
PU14に入力されるように構成されている。また、出
力インターフェース回路13からは駆動回路19aを介
して電動モータ20に制御信号が出力されると共に、駆
動回路19b乃至19iを介して夫々電磁弁31乃至3
8に制御信号が出力されるように構成されている。マイ
クロコンピュータ11においては、ROM15は図4以
降に示した各フローチャートに対応したプログラムを記
憶し、CPU14は図示しないイグニッションスイッチ
が閉成されている間当該プログラムを実行し、RAM1
6は当該プログラムの実行に必要な変数データを一時的
に記憶する。
【0019】上記のように構成された本実施例において
は、電子制御装置10によりアンチスキッド(ABS)
制御のための一連の処理が行なわれ、アクチュエータ3
0が制御されブレーキ液圧が制御されるが、理解を容易
にするため、先ず図15乃至図20に示した摩擦係数−
スリップ率曲線(μ−S曲線)を用いて説明した後、図
4乃至図9のフローチャートに基づき基本制御について
説明する。
【0020】周知のように、摩擦係数μとスリップ率S
nの関係は路面の状態やタイヤの種類等によって異な
り、例えば乾燥したアスファルト道路等の高摩擦係数路
(以下、高μ路という)では、図15に一点鎖線で示す
ようにスリップ率Snが15乃至20%で摩擦係数μが
ピークを示し、最大値に至るまでは摩擦係数μとスリッ
プ率Snは略比例関係にあり、最大値を超えるとスリッ
プ率Snの増加に伴い徐々に摩擦係数μが小さくなる。
一方、凍結した雪路等の低摩擦係数路(以下、低μ路と
いう)では図15に破線で示すように摩擦係数μの最大
値は極めて低くなるが、一応スリップ率Snは20%前
後でピークを示す。これに対し、砂利道等では図17及
び図20に二点鎖線で示すように、スリップ率Snの増
加に伴い摩擦係数μは漸増するがピークが存在しない。
尚、図17は高μ路でピークが存在しない場合、図20
は低μ路でピークが存在しない場合を示している。
【0021】車両が低μ路から高μ路に進入する場合に
は、大別して図15乃至図17の三つの状況が考えられ
る。先ず、図15においては低μ路から高μ路に進入し
たときのスリップ率が高μ路の摩擦係数μのピーク(μ
p)を過ぎたところにある状態を示すもので、摩擦係数
は図15の実線の経路で変化し、破線矢印に示すよう
に、高μ路側のピークを経て瞬時にそのときの摩擦係数
μの値に到達することになる。また、低μ路から高μ路
に進入したときのスリップ率が高μ路の摩擦係数μのピ
ーク(μp)の前にある状態のときにも、図16に破線
矢印で示すように高μ路側でピーク近傍を経由してその
ときの摩擦係数の値に到達する。更に、ピークが存在し
ない高μ路に進入したときには図17に示すような経路
を経て、高μ路に進入した時の低μ路での摩擦係数μの
値となる。
【0022】而して、車両が低μ路から高μ路に進入
し、そのまましばらくの間高μ路を走行するような場合
には、高μ路進入直後は摩擦係数μが低い値から制御が
開始することになるので、制動力制御の追従性が悪くな
る。然し乍ら、低μ路から高μ路に進入したときの摩擦
係数の変化状態が図15及び図16に示す状態であれ
ば、一旦高μ路側の摩擦係数μのピーク近傍を経由する
ことから、そのピーク近傍の摩擦係数μの値に対応する
タイヤトルクが得られるようにブレーキ液圧を制御すれ
ば、最適な制動力が得られることになる。但、図17の
ように摩擦係数μにピークが存在しない場合には、サイ
ドフォースを確保するため、低μ路から高μ路に進入し
た時の摩擦係数μの値の所定割合(例えば80乃至95
%)の値に対応するタイヤトルクが得られるようにブレ
ーキ液圧制御を行ない、スリップ率Snが15乃至20
%となるように制御することが望ましい。
【0023】一方、車両が高μ路から低μ路に進入する
場合には、大別して図18乃至図20の三つの状況が考
えられる。先ず、図18は高μ路から低μ路に進入した
ときのスリップ率が低μ路の摩擦係数μのピーク(μ
p)の前にある状態を示すもので、摩擦係数は図18の
実線の経路で変化する。即ち、高μ路側ではブレーキ液
圧が高くなっているので、低μ路に進入するとそのまま
ロック方向に向かう。この場合においては、低μ路側の
摩擦係数μのピークを経由するので、このピークを検出
し、その時の摩擦係数μの値に対応するタイヤトルクと
なるようにブレーキ液圧を制御すれば、最適な制動力が
得られることになる。
【0024】また、高μ路から低μ路に進入したときの
スリップ率が低μ路の摩擦係数μのピーク(μp)を過
ぎたところにある状態のときには、図19に実線で示す
ようになるが、低μ路に進入した直後の値となるまでブ
レーキ液圧を下げれば最適な制動力となる。ピークが存
在しない路面に関しては、図20に示すように、一旦低
μ路側の摩擦係数μに移行した時の値を基準に、例えば
その値の1.2倍の摩擦係数μに対応するタイヤトルク
が得られるようにブレーキ液圧を制御すれば最適な制動
力となる。
【0025】本実施例においては、上述のようにアンチ
スキッド制御中に摩擦係数μが異なる路面に進入したと
きにも、以下に説明するように最適なブレーキ液圧制御
が行なわれる。先ずイグニッションスイッチ(図示せ
ず)が閉成されると、マイクロコンピュータ11におい
て、図4乃至図9のフローチャートに対応したプログラ
ムの実行が開始する。図4は各車輪と路面との摩擦係数
μを求めるフローチャートで、ステップ100にてタイ
マの値tnがクリア(0)され、所定時間毎にステップ
120乃至150の処理が行なわれる都度インクリメン
トされる(ステップ110)。即ち、所定の演算周期
(例えば1mS)で、摩擦係数μが演算されメモリRA
Mに格納される。先ずステップ120において、各車輪
の路面との摩擦力によるトルク(タイヤトルク)Ttが
検出され、続いてステップ130にて車輪に対する荷重
(タイヤ荷重)Fが検出され、これらに基づきステップ
140において摩擦係数μがμ=Tt/R・Fとして演
算される。ここで、Rは各車輪の有効半径を示す。この
ようにして演算された摩擦係数μは、ステップ150に
て順次メモリRAMに読み込まれ、最新の演算結果のA
個分の摩擦係数μの値が格納される。この演算はステッ
プ160にてアンチスキッド(ABS)制御が終了と判
定されるまで行なわれ、演算周期毎に順次摩擦係数μの
値が更新される。上記タイヤトルク及びタイヤ荷重の検
出手段としては種々の手段があるが、本実施例において
は図5に示すように図3の制動トルクセンサ45乃至4
8及び車輪速度センサ41乃至44の検出出力に基づき
タイヤトルクを検出すると共に、車高を検出するハイト
センサ(図示せず)によってタイヤ荷重を検出し、これ
らの検出値に基づき摩擦係数μを演算することとしてい
る。もちろん、これらの方法に限ることなく、直接摩擦
係数μを検出することとしてもよい。
【0026】図5においては、図4のステップ120に
対応する処理としてステップ121乃至123が行なわ
れ、ステップ130,140に対応する処理として夫々
ステップ131,141が行なわれる。即ち、ステップ
121にて制動トルクセンサにより制動トルクTbが検
出されると共に、ステップ122にて車輪速度センサ4
1乃至44によって検出された各車輪の回転角速度が微
分され、回転角加速度DAwが検出される。そして、こ
れらの検出値に基づきタイヤトルクTtがTt=Tb−
It・DAwとして求められる。ここで、Itは各車輪
の慣性力に応じた係数で、車輪の大きさ、重量等に応じ
て設定される。続いてステップ131においてハイトセ
ンサによりハイト信号Htが検出される。このハイト信
号Htは車両の車高値に対応しているので、車両の荷重
と一定の関係にあり、従ってタイヤ荷重FはKh・Ht
(但し、Khは係数)で表すことができる。尚、ハイト
センサに替えて、上下G(加速度)センサ等によってタ
イヤ荷重Fを検出することができる。而して、摩擦係数
μはステップ141においてμ=Tt/R・Kh・Ht
として求められる。
【0027】図6は本発明の一実施例におけるアンチス
キッド制御の処理を示すもので、後述する実施例に対し
基本制御を構成するものである。先ずアンチスキッド制
御が開始すると、ステップ201にてタイマがリセット
され(0)、所定時間(Δt)毎にステップ203以降
の処理が行なわれる(ステップ202)。尚、アンチス
キッド制御が開始されるか否かは、従来同様の開始条件
を用いればよく、例えばスリップ率が所定値(例えば5
%以上)のとき、または車輪の回転角加速度が所定値
(例えば−10G)以下のとき、またはマスタシリンダ
圧から推測される制動トルクとタイヤトルクセンサから
測定されるタイヤトルクとの差が所定値以上のとき等
に、アンチスキッド制御が開始されるようにすればよ
い。
【0028】先ずステップ203において、メモリRA
Mからその時(t時)の摩擦係数μが呼び出され、摩擦
係数の傾きdμ/dtが求められ、摩擦係数の変化状態
が判定される。そして、ステップ210にて前回が増圧
状態か減圧状態の何れであるかが判定され、増圧状態で
あればステップ211にてフラグBがリセット(0)さ
れた後ステップ212に進む。尚、フラグBは減圧状態
で摩擦係数μに変化があったときにセット(1)される
フラグであり、増圧状態で摩擦係数μに変化があると後
述するようにフラグAがセットされる。ステップ212
においては、摩擦係数μの傾きdμ/dtが所定値K1
(例えばK1=−10)より小さいか否かが判定され
る。即ち、摩擦係数μに所定範囲以上の変化(減少)が
あったか否かが判定され、変化があったと判定されると
ステップ213にてフラグAがセット(1)された後ス
テップ300に進み、後述する高μ→低μ判定処理が行
なわれる。
【0029】ステップ212において、摩擦係数μの傾
きdμ/dtが所定値K1以上と判定されると、ステッ
プ214にてフラグAがセットされているか否かが判定
され、セットされていればそのままステップ300に進
む。フラグAがセットされていなければステップ215
に進み、そのときの傾きdμ/dtが所定値K2(例え
ばK2=1)と比較され、所定値K2以上であればその
まま増圧状態が維持されてステップ230に進む。これ
に対し、摩擦係数の傾きdμ/dtが所定値K2より小
であるときには、ステップ216にて、この時の摩擦係
数を摩擦係数μ1(μ1はこの路面の摩擦係数のピーク
値となる)に代入し、その後、ステップ217において
「減圧」作動に切替えられ、ステップ230に進む。
【0030】ステップ210において前回が減圧状態に
あると判定された場合には、図7のフローチャートに示
す処理が行なわれ、先ずステップ221にてフラグAが
リセット(0)された後ステップ222に進む。尚、フ
ラグAは増圧状態で摩擦係数μに変化があったときにセ
ットされるフラグである。ステップ222においては、
摩擦係数の傾きdμ/dtが所定値K4(例えばK4=
10)より大であるか否かが判定される。即ち、摩擦係
数μに所定範囲以上の変化があったか否かが判定され、
変化があったと判定されるとステップ223にてフラグ
Bがセット(1)された後ステップ400に進み、後述
する低μ→高μ判定処理が行なわれる。ステップ222
において、摩擦係数の傾きdμ/dtが所定値K4以下
と判定されると、ステップ224にてフラグBがセット
されているか否かが判定され、セットされていればその
ままステップ400に進む。フラグBがセットされてい
なければステップ225に進み、そのときの摩擦係数μ
の値が所定値μ1・K5(例えばK5=0.95)と比
較され、所定値μ1・K5以上であればそのまま減圧状
態が維持されてステップ230に進む。これに対し、摩
擦係数μの値が所定値μ1・K5より小であるときに
は、ステップ226にて「増圧」作動に切替えられ、ス
テップ230に進む。
【0031】上記の処理が各車輪毎に行なわれた後(ス
テップ230,231)、ステップ232において増圧
作動が所定回数K3回(例えばK3=120)以上継続
して行なわれたか否かが判定され、所定回数K3回未満
であればステップ202に戻る。而して、増圧作動が所
定回数K3回以上の場合、車両停止と判断して、このル
ーチンを終了する。
【0032】上記ステップ300における「高μ→低μ
判定処理」は図8に示すフローチャートに基づいて実行
される。先ず、ステップ301において摩擦係数の傾き
dμ/dtが最小値(dμ/dt)minとなった時刻
tnが検出され、ステップ302に進み最小値(dμ/
dt)minの時刻tn以降に摩擦係数のピークμpが
存在したか否かが判定される。摩擦係数のピークμpが
検知されなかったときにはステップ303に進み、フラ
グAがセット(1)された後このルーチンが10回以上
行なわれたか否かが判定され、10回未満であればステ
ップ304にてブレーキ液圧は保持され、図6のルーチ
ンに戻る。
【0033】ステップ302にて摩擦係数の傾きの最小
値(dμ/dt)minの時刻tn以降に摩擦係数のピ
ークμpが検知されたとき、あるいはフラグAのセット
後10回以上このルーチンが行なわれたときには、ステ
ップ305において最小値(dμ/dt)minの時刻
tnからt1時間経過したときの摩擦係数の傾きdμ/
dtの方向が判定される。摩擦係数の傾きdμ/dtの
値が正(>0)でなければ(負であれば)図19の状態
にあるので、ステップ306に進み(tn+t1)時の
摩擦係数μの値(即ち、摩擦係数の傾きの最小値(dμ
/dt)minを示した時の次のルーチン時の値)とな
るまで減圧される。摩擦係数の傾きdμ/dtが正(>
0)の値であれば、ステップ307にて摩擦係数の最大
値μmaxの時刻と摩擦係数の最終値μendの時刻が
同じか否か、即ち判定時の摩擦係数の値(最終値)が最
大値μmaxか否かが判定される。ここで、最大値μm
axとなっていると判定されると(即ち、図20の状
態)、ステップ308に進み摩擦係数の最小値μmin
に定数K6(例えばK6=1.2)を乗じた値μmin
・K6となるまで減圧される。最大値μmax時と最終
値μend時が異なるときには、そこでピークμpを有
していることになるので(即ち、図18の状態)、ステ
ップ309に進み摩擦係数のピークμpに定数K7(例
えばK7=0.95)を乗じた値となるまで減圧され
る。尚、K7=1としてピークμpとなるまで減圧する
こととしてもよいが、制御が困難であるので95%の値
まで減圧することとしている。
【0034】また、ステップ400における「低μ→高
μ判定処理」は図9に示すフローチャートに基づいて実
行される。先ず、ステップ401において摩擦係数の傾
きdμ/dtが最大値(dμ/dt)maxとなった時
刻tnが検出され、ステップ402に進み最大値(dμ
/dt)maxの時刻tn以降に摩擦係数のピークμp
が存在したか否かが判定される。摩擦係数のピークμp
が検知されなかったときにはステップ403に進み、フ
ラグBがセット(1)された後このルーチンが10回以
上行なわれたか否かが判定され、10回未満であればス
テップ404にてブレーキ液圧は保持され、図6のルー
チンに戻る。このようにブレーキ液圧が保持されている
間に摩擦係数μが変化してピークμpが検出され、検出
されないときには摩擦係数μの値が刻々と測定される。
【0035】ステップ402にて摩擦係数の傾きの最大
値(dμ/dt)maxの時刻tn以降に摩擦係数のピ
ークμpが検知されたとき、あるいはフラグBがセット
後10回以上このルーチンが行なわれたときには、ステ
ップ405において最大値(dμ/dt)maxの時刻
tnからt1時間経過したときの摩擦係数の傾きdμ/
dtの方向が判定される。傾きdμ/dtの値が負(<
0)でなければ(正であれば)図15の状態にあるの
で、ステップ406に進み摩擦係数の最大値μmaxに
定数K8(例えばK8=0.95)を乗じた値μmax
・K8となるまで増圧され、負(<0)の値であればス
テップ407にて(tn+t1)時の摩擦係数の傾きd
μ/dtが定数K9(例えばK9=−20)未満か否か
が判定される。ここで、(tn+t1)時の摩擦係数の
傾きdμ/dtが定数K9未満となっていると判定され
ると(即ち、図16の状態)、ステップ408に進み摩
擦係数の最大値μmaxとなるまで増圧作動が行なわ
れ、(tn+t1)時の摩擦係数の傾きdμ/dtがK
9以上であるときには(即ち、図17の状態)、ステッ
プ409に進み(tn+t1)時の摩擦係数μ値に定数
K10(例えばK10=0.95)を乗じた値となるま
で増圧作動が行なわれる。
【0036】図10乃至図12は本発明の他の実施例に
係るもので、車輪速度センサ41乃至44を具備せず、
図4で用いるタイヤトルクセンサ(図示せず)の検出信
号に応じてアンチスキッド制御を行なうこととしたもの
である。本実施例ではスリップ率を求めることができな
いので、増圧時にdμ/dtが減少方向にあるとき、減
圧に切替えるようにしている。しかし、例えば、図15
において低μ路から高μ路に移り、一旦ピークμpを通
過して摩擦係数が減少する方向(図示μpより左側の領
域)にあるときは増圧を行なう領域になるが、液圧の変
更に対して車輪の変化が遅れるために、増圧にもかかわ
らず摩擦係数が減少することがあり、dμ/dt<1と
なる。このため、一旦増圧に切替えた後すぐに減圧に切
替ってしまい、摩擦係数がピークμpから離れる方向
(図示左方向)に減少し続ける可能性がある。これを防
止するために、増圧フラグを用い、増圧が所定回数(K
i)継続して続いた場合に次の判定を行なうようにして
いる。同様に、図15において図示右方向に移動しピー
クμpを通過して摩擦係数が減少する方向(図示μpよ
り右側の領域)にあるときには減圧を行なう領域になる
が、液圧の変更に対して車輪の変化が遅れるために、減
圧にもかかわらずピークμpから離れる方向へ動き、μ
<μ1・K5となることがある。このため、一旦減圧に
切替えた後すぐ増圧に切替ってしまい、摩擦係数がピー
クμpから離れる方向(図示右方向)に減少し続ける可
能性がある。これを防止するために、減圧フラグを用
い、減圧が所定回数(Kd)継続して続いた場合に次の
判定を行なうようにしている。尚、図10乃至図12の
各フローは図6乃至図9のフローに組入れられて一つの
ルーチンが構成される。即ち、図10及び図11に示す
ように、図6のステップ217にて減圧作動に切替えら
れた後ステップ218にて減圧フラグがセット(1)さ
れ、図7のステップ226にて増圧作動に切替えられた
後ステップ227にて増圧フラグがセット(1)され
る。
【0037】そして、図12に示すように、図6のステ
ップ203にて摩擦係数の傾きdμ/dtが演算された
後に、増圧フラグがセット(1)されているか否かが判
定され、セットされていればステップ205にて増圧フ
ラグがセットされた回数が所定回数Ki(例えばKi=
4)と比較され、Ki回以上であればステップ206に
て増圧フラグがリセット(0)された後図6ステップ2
30に進み、Ki回未満であればそのままステップ23
0に進む。ステップ204において、増圧フラグがセッ
トされていないと判定されたときには、ステップ207
に進み減圧フラグがセット(1)されているか否かが判
定され、セットされていなければそのまま図6のステッ
プ210に進む。減圧フラグがセットされている場合に
はステップ208にて減圧フラグの回数が所定回数Kd
(例えばKd=2)と比較され、Kd回以上であればス
テップ209にて減圧フラグがリセットされた後ステッ
プ230に進み、Kd回未満であればそのままステップ
230に進む。
【0038】図13及び図14は本発明の更に他の実施
例に係るもので、図2の実施例と同様、車輪速度センサ
41乃至44及び制動トルクセンサ45乃至48を備
え、前者の検出信号に基づきスリップ率Snを演算し、
このスリップ率Snと摩擦係数μの変化によって、例え
ば図15のピークμpの左側にあるか右側にあるかを判
断する処理を示したもので、図13及び図14の各フロ
ーが図6及び図7のステップ212乃至230と入れ替
えられて一つのルーチンが構成される。尚、スリップ率
Snの演算については周知であるので説明は省略する。
先ず、図13においては、図6のステップ214にてフ
ラグAがセットされていないと判定されると、ステップ
501に進み摩擦係数の傾きdμ/dtが所定値K2と
比較されると共に、スリップ率Snが所定のスリップ率
S2(図14のステップ602にて設定)と比較され
る。ここで傾きdμ/dtが所定値K2を下回り、且つ
このときのスリップ率Snがスリップ率S2を超えてい
ると判定されるとステップ216以降に進むが、そうで
なければ増圧状態のままステップ230に進む。ステッ
プ216では摩擦係数のピークμpが摩擦係数μ1とし
て設定され、続いてステップ502においてこのときの
スリップ率Snがスリップ率S1として設定された後、
ステップ217にて減圧作動に切替えられる。
【0039】一方、ステップ214にてフラグAがセッ
トされステップ301にて摩擦係数の傾きの最小値(d
μ/dt)minの時刻tnが検出されると、図13の
ステップ500に進みスリップ率Snが30%を超えて
いるか否かが判定される。ここでスリップ率Snが30
%以下であると判定されると、ステップ304に進みブ
レーキ液圧が保持されるが、30%を超えている場合に
は変化後の摩擦係数のピークμpを経由した状態にある
と判定され、ステップ305以降に進み図8と同様に処
理される。
【0040】また、図14においては、ステップ224
においてフラグBがセットされていないと判定される
と、ステップ601に進み摩擦係数の傾きdμ/dtが
所定値K5と比較されると共に、スリップ率Snが所定
値S1と比較される。ここで傾きdμ/dtが所定値K
5を下回り、且つこのときのスリップ率Snがスリップ
率S1を下回ると判定されると、ステップ602にてこ
のときのスリップ率Snがスリップ率S2として設定さ
れ、ステップ226にて増圧に切替えられる。
【0041】一方、ステップ224にてフラグBがセッ
トされステップ401にて摩擦係数の傾きの最大値(d
μ/dt)maxの時刻tnが検出されると、図14の
ステップ600に進みスリップ率Snが10%を下回っ
ているか否かが判定される。ここでスリップ率Snが1
0%以上であると判定されると、ステップ404に進み
ブレーキ液圧が保持されるが、10%を下回っている場
合には変化後の摩擦係数のピークμpを経由した状態に
あると判定され、ステップ405以降に進み図9と同様
に処理される。而して、図13及び図14に示す実施例
によれば、高摩擦係数から低摩擦係数に変化した状態、
もしくは低摩擦係数から高摩擦係数に変化した状態で摩
擦係数のピーク経由後か否かを迅速に判定することがで
きるので、変化後の摩擦係数の誤検知を防止することが
できる。
【0042】以上のように、本発明の各実施例によれ
ば、路面の摩擦係数が変化した場合にも直ちに最適な制
動力を確保することができ、従来装置に比し制動距離を
短縮することができる。図21は、図5乃至図7並びに
図10乃至図12のルーチンを行なう実施例の実験結果
の一例を示すもので、高μ路を走行中、a点で低μ路に
進入し、b点で再び高μ路に戻ったときの制御状況を示
している。同図に明らかなように低μ路に進入したとき
には直ちに減圧され、高μ路に進入したときには直ちに
増圧され、車輪速度Vwが車体速度Vaに迅速に漸近す
るように制御される。
【0043】
【発明の効果】本発明は上述のように構成されているの
で以下の効果を奏する。即ち、本発明のアンチスキッド
制御装置によれば、ピーク判定手段により変化後の摩擦
係数にピーク有と判定されたときには、ピーク近傍の摩
擦係数に基づき制動力の制御を開始し、ピーク判定手段
により変化後の摩擦係数にピーク無と判定されたときに
は、変化直後近傍の摩擦係数に基づき制動力制御が開始
されるように構成されているので、アンチスキッド制御
中に異なる摩擦係数の路面に突然進入した場合でも、安
定した制動作動を確保することができると共に、従来に
比し制動距離を短縮することができる。
【0044】前記アンチスキッド制御装置において、摩
擦係数検出手段をタイヤトルクセンサで構成したものに
あっては、最小のセンサ数で所期の効果が得られ、配
線、組付等が容易である。
【0045】また、摩擦係数検出手段を、制動トルクセ
ンサ及び車輪速度センサによって構成したものにあって
は、車輪速度センサの検出出力を他の制御に利用するこ
とができるので、種々の制御が可能となる。
【0046】更に、前記アンチスキッド制御装置に対し
てスリップ率演算手段を設けたものにあっては、高摩擦
係数から低摩擦係数に変化した状態、もしくは低摩擦係
数から高摩擦係数に変化した状態で摩擦係数のピーク経
由後か否かを誤検知することなく峻別することができる
ので、一層迅速な制動力制御を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアンチスキッド制御装置の概要を示す
ブロック図である。
【図2】本発明のアンチスキッド制御装置の実施例の全
体構成図である。
【図3】図2の電子制御装置の構成を示すブロック図で
ある。
【図4】本発明の一実施例における摩擦係数の演算処理
のフローチャートである。
【図5】本発明の一実施例における摩擦係数の演算処理
のフローチャートである。
【図6】本発明の一実施例におけるアンチスキッド制御
の処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施例におけるアンチスキッド制御
の処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施例におけるアンチスキッド制御
のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施例におけるアンチスキッド制御
のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図10】本発明の他の実施例におけるアンチスキッド
制御の処理の一部を示すフローチャートである。
【図11】本発明の他の実施例におけるアンチスキッド
制御の処理の一部を示すフローチャートである。
【図12】本発明の他の実施例におけるアンチスキッド
制御の処理の一部を示すフローチャートである。
【図13】本発明の更に他の実施例におけるアンチスキ
ッド制御の処理の一部を示すフローチャートである。
【図14】本発明の更に他の実施例におけるアンチスキ
ッド制御の処理の一部を示すフローチャートである。
【図15】本発明の更に他の実施例におけるアンチスキ
ッド制御の処理の一部を示すフローチャートである。
【図16】本発明の一実施例における制御を説明するた
めの摩擦係数とスリップ率の関係を示すグラフである。
【図17】本発明の一実施例における制御を説明するた
めの摩擦係数とスリップ率の関係を示すグラフである。
【図18】本発明の一実施例における制御を説明するた
めの摩擦係数とスリップ率の関係を示すグラフである。
【図19】本発明の一実施例における制御を説明するた
めの摩擦係数とスリップ率の関係を示すグラフである。
【図20】本発明の一実施例における制御を説明するた
めの摩擦係数とスリップ率の関係を示すグラフである。
【図21】本発明の一実施例における制御状況を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
WL 車輪 WC ホイールシリンダ PG 液圧発生装置 AC 液圧制御装置 BC 制動力制御手段 CF 摩擦係数検出手段 CD 変化状態判定手段 FR,FL,RR,RL 車輪 2 液圧発生装置 2a マスタシリンダ 2b ブースタ 3 ブレーキペダル 10 電子制御装置 11 マイクロコンピュータ 12 入力インターフェース回路 13 出力インターフェース回路 18a〜18i 増幅回路 19a〜19i 駆動回路 20 電動モータ 21,22 ポンプ 23,24 リザーバ 30 アクチュエータ 31〜38 電磁弁 41〜44 車輪速度センサ 45〜48 制動トルクセンサ 49 ブレーキスイッチ 51〜54 ホイールシリンダ
フロントページの続き (72)発明者 内藤 剛 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイ シン精機株式会社内 (72)発明者 榎本 直泰 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイ シン精機株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−191261(JP,A) 特開 昭62−88650(JP,A) 特開 平3−273848(JP,A) 特開 昭62−175248(JP,A) 特開 昭57−7745(JP,A) 特開 平4−331336(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 8/58

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪に装着し制動力を付与するホイール
    シリンダと、該ホイールシリンダにブレーキ液圧を供給
    する液圧発生装置と、該液圧発生装置と前記ホイールシ
    リンダとの間に介装し前記ホイールシリンダのブレーキ
    液圧を制御する液圧制御装置と、前記車輪と路面との間
    の摩擦係数を所定時間毎に検出し検出結果を格納する摩
    擦係数検出手段と、該摩擦係数検出手段の出力に基づき
    前記摩擦係数の変化状態を判定する変化状態判定手段
    と、該変化状態判定手段の判定結果及び前記摩擦係数検
    出手段の出力に基づき変化後の摩擦係数のピークの有無
    を判定するピーク判定手段と、該ピーク判定手段及び前
    記摩擦係数検出手段の出力に応じて前記液圧制御装置を
    駆動し、前記ホイールシリンダに供給するブレーキ液圧
    を増減して制動力を制御する制動力制御手段であって、
    前記ピーク判定手段により前記変化後の摩擦係数にピー
    ク有と判定されたときには、前記ピーク近傍の摩擦係数
    に基づき制動力の制御を開始し、前記ピーク判定手段に
    より前記変化後の摩擦係数にピーク無と判定されたとき
    には、変化直後近傍の摩擦係数に基づき制動力の制御を
    開始する制動力制御手段を備えたことを特徴とするアン
    チスキッド制御装置。
  2. 【請求項2】 前記摩擦係数検出手段が、前記車輪の前
    記路面に対する摩擦力によるトルクを検出するタイヤト
    ルクセンサであることを特徴とする請求項1記載のアン
    チスキッド制御装置。
  3. 【請求項3】 前記摩擦係数検出手段が、前記車輪に付
    与される制動トルクを検出する制動トルクセンサと、前
    記車輪の回転角速度を検出する車輪速度センサを備え、
    前記制動トルク及び前記回転角速度に基づき前記摩擦係
    数を演算することを特徴とする請求項1記載のアンチス
    キッド制御装置。
  4. 【請求項4】 前記車輪速度センサの出力に基づき前記
    車輪のスリップ率を演算するスリップ率演算手段を備
    え、前記ピーク判定手段は、前記変化状態判定手段の出
    力が高摩擦係数から低摩擦係数に変化した後、前記スリ
    ップ率演算手段の演算するスリップ率が第1の所定値を
    超えるときには、摩擦係数のピーク経由後の状態と判定
    してピーク無と判定し、また、前記変化状態判定手段の
    出力が低摩擦係数から高摩擦係数に変化した後、前記ス
    リップ率演算手段の演算するスリップ率が第2の所定値
    を下回るときには、摩擦係数のピーク経由後の状態と判
    定してピーク無と判定することを特徴とする請求項1記
    載のアンチスキッド制御装置。
  5. 【請求項5】 前記ピーク判定手段は、前記変化状態判
    定手段の出力が変化した後、所定時間内にピークを持た
    ないときピーク無と判定することを特徴とする請求項1
    記載のアンチスキッド制御装置。
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