JPH0710500U - 合成樹脂製ポンプケーシング - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】ケーシング分割部材を接合する場合、接着面積
が増し、位置合せが容易になり、接合強度が大きくなる
合成樹脂製ポンプケーシングを提供する。 【構成】合成樹脂により形成されたケーシング分割部材
２１、２２を相互に接合して構成した合成樹脂製ポンプ
ケーシング１において、上記分割部材のそれぞれ接着面
２１ａ、２２ａに互いに嵌まり合う凹凸の嵌合部２３、
２４を形成し、上記分割部材相互を所定の押圧力で押圧
した場合に上記嵌合部の弾性変形によりこれら嵌合部が
圧入され、この圧入と接着剤２５や超音波接着などの接
着とによって上記分割部材を互いに接合したことを特徴
とする。 【効果】凹凸形状の嵌合部を形成したので、接着面積が
増し接着強度が大きくなり、また嵌合部により相互の位
置決めがなされ、かつ嵌合部の圧入と接着とで分割部材
が接合されるので、接合強度がきわめて強くなる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、合成樹脂製ポンプケーシングに係り、特にポンプケーシングを分割 し、この分割部材を相互に接合した場合の接合構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

海水や化学液等を取り扱うポンプは、ポンプケーシングを鋳鉄やステンレス等 の金属材料によって構成するとケーシングが海水や化学液に触れて早期に錆や腐 食を生じる不具合がある。このため、ケ−シングを合成樹脂材料により形成した ポンプが知られている。

【０００３】 しかしながら、樹脂製ポンプケーシングの場合、鋳造成形のように中子を使用 することができないため、複雑な形状の場合はケーシングを複数に分割し、これ ら分割部材を相互に接合して構成するようになっている。複数のケーシング分割 部材を接合する場合、これらケーシング分割部材相互をボルトにより締結する構 造がよく知られているが、ボルトを用いる結合構造は、ボルトを挿通する孔を形 成する必要があり、この挿通孔を設けるために格別なフランジや肉厚部を設けな ければならず、ケーシングの外径が大きくなる不具合があり、また複数のボルト の締め付け作業に手間を要するなどの欠点もある。

【０００４】 このような不具合を解消するためには、上記ボルトの使用に代わって、上記複 数のケーシング分割部材を分割面で直接に接着する方が有利である。つまり、複 数のケーシング分割部材を接着剤または超音波接着等により接合すれば、格別な フランジなどの結合部を必要とせず、しかも接合作業が容易である。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、ケーシング分割部材を分割面で接着する場合、接着面積が小さ いと接着強度が不足する心配がある。従来の場合、分割面（接合面）は平坦な面 となっており、接着強度を増すために接触面積を大きくしようとすると、接合面 が大きくなり、フランジ構造となるので外径が大きくなり、ポンプケーシングが 大形になる不具合がある。

【０００６】 また、接着面が平坦な場合は相互に突き合わせたときに分割部材が互いに径方 向へ位置ずれすることがあり、位置合せが困難になる不具合もある。 本考案は上記の事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、ケ ーシング分割部材を接着剤または超音波接着により接合する場合、接着面積を増 すことができるとともに、位置合せが容易になり、かつ接合強度を大きくするこ とができる合成樹脂製ポンプケーシングを提供しようとするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため本考案は、合成樹脂により形成されたケーシング分割 部材を相互に接合して構成した合成樹脂製ポンプケーシングにおいて、 上記分割部材のそれぞれ接着面に互いに嵌まり合う凹凸の嵌合部を形成し、上 記分割部材相互を所定の押圧力で押圧した場合に上記嵌合部の弾性変形によりこ れら嵌合部が圧入され、この圧入と接着とによって上記分割部材を互いに接合し たことを特徴とする。

【０００８】

【作用】

本考案の構成によれば、接着面に相互に嵌合する凹凸形状の嵌合部を形成した ので、接着面が凹凸面になり、よって接着面積が増し、接着強度が大きくなり、 また、これら嵌合部の嵌合により相互の位置合せがなされるから位置決めが容易 になる。しかも、上記嵌合部を相互に接触させて圧入する前には、接着面間に微 小な隙間が形成されるから接着前か接着後かの判別が可能となり、かつ分割部材 相互を所定の押圧力で押圧した場合には嵌合部の弾性変形によりこれら嵌合部が 圧入されるようになり、これにより接着面相互の隙間が解消され圧入が確認でき る。そして、この圧入と、接着剤や超音波接着等の接着とで分割部材が接合され るので、接合強度がきわめて強くなる。

【０００９】

【実施例】

以下本考案について、図１および図２に示す第１の実施例にもとづき説明する 。 本実施例は水中ポンプに適用した例を示し、水中ポンプの全体図を図１に示す 。図において１はＰＰＥ樹脂等の合成樹脂からなるポンプケーシングであり、こ のポンプケーシング１は上部ケーシング２１と下部ケーシング２２とに分割され ており、これら分割された部材、つまり樹脂製上部ケーシング２１と樹脂製下部 ケーシング２２は後述する構造により相互に接合されている。

【００１０】 上記ポンプケーシング１を構成する上部ケーシング２１には、背面閉塞板２が 連結ボルト３…を介して連結されており、この背面閉塞板２には水中電動機４が 他の連結ボルト５…を介して連結されている。上記電動機４の駆動軸６は背面閉 塞板２を遊貫してポンプケーシング１内に導かれており、この導入端に樹脂製イ ンペラ７がナット８により固定されている。インペラ７はポンプケーシング１内 で水平姿勢で回転される。上記駆動軸６は、メカニカルシール９によって背面閉 塞板２との間の液封がなされている。

【００１１】 上記ポンプケーシング１を構成する下部ケーシング２２には、上記インペラ７ と対向する位置に吸込口１０が開口されており、この吸込口１０から外部の液体 が吸い込まれる。なお、この場合、吸込口１０の外部には図示しないストレーナ が設置されており、上記吸込口１０に導入される流体はストレーナを通る過程で 濾過される。また、ポンプケーシング１を構成する上部ケーシング２１には、一 側に偏った位置の上面に吐出口１１が形成されており、この吐出口１１には吐出 口フランジ１２がボルト１３…により連結されている。この吐出口フランジ１２ には図示しない吐出管が連結される。

【００１２】 上記樹脂製ポンプケーシング１を構成する上部ケーシング２１と下部ケーシン グ２２は、図２に詳しく示すようにして接着されている。すなわち、上部ケーシ ング２１と下部ケーシング２２の接着面２１ａおよび２２ａはそれぞれ他の箇所 に比べて若干肉厚に形成されており、これら接着面２１ａおよび２２ａには相互 に対向して凸および凹形状の嵌合部２３および２４が形成されている。これら凸 嵌合部２３と凹嵌合部２４は全周に亘り連続して形成するか、周方向に沿って複 数個形成してもよく、本実施例の場合、それぞれ側壁が傾斜した凹凸形状をなし て相互に嵌まり合うようになっている。そして、これら凸嵌合部２３と凹嵌合部 ２４を互いに軽く当接させた状態では、図２の（ａ）に示すように、凸嵌合部２ ３と凹嵌合部２４の傾斜面が当たって接着面２１ａと２２ａの密着を阻害し、こ れら接着面２１ａと２２ａの間に目視可能な微細な隙間Ｌを形成するようになっ ている。しかしながら、これら凸嵌合部２３と凹嵌合部２４は、上部ケーシング ２１と下部ケーシング２２を所定の押圧力で押し付けた場合に弾性変形し、これ により図２の（ｂ）に示すように、凸嵌合部２３と凹嵌合部２４が圧入され、よ って接着面２１ａと２２ａが密着するようになっている。

【００１３】 このような接着面２１ａと２２ａの間には接着剤２５が充填され、この接着剤 ２５により上記上部ケーシング２１と下部ケーシング２２が接着されている。 このような構成においては、図２の（ａ）に示すように、上部ケーシング２１ の接着面２１ａおよび下部ケーシング２２の接着面２２ａの少なくとも一方に接 着剤２５を塗布したのち、上部ケーシング２１と下部ケーシング２２の接着面２ １ａ、２２ａを相互に突き合わせる。すると、これら接着面２１ａ、２２ａに形 成した凸嵌合部２３と凹嵌合部２４が嵌まり合う。これにより上部ケーシング２ １と下部ケーシング２２の位置合せがなされ、よって相互の位置決めが容易にな される。

【００１４】 また、上記凸嵌合部２３と凹嵌合部２４が嵌まり合って軽く当接されている場 合は、図２の（ａ）に示すように、凸嵌合部２３と凹嵌合部２４の相互傾斜面が 当たって接着面２１ａと２２ａの密着が阻止されるようになっており、このため 接着面２１ａと２２ａの間に目視可能な微細な隙間Ｌが形成される。ゆえに、こ の状態の場合は、未だ接着が終了していない、または接着が不充分であることが 目視で確認でき、作業の進行状態や接合具合を調べることができる。

【００１５】 そして、上記凸嵌合部２３と凹嵌合部２４が嵌まり合った状態で上部ケーシン グ２１と下部ケーシング２２を互いに所定の力で押し付けると、合成樹脂からな る凸嵌合部２３と凹嵌合部２４が弾性変形して相互の圧入される。このため接着 面２１ａおよび２２ａが密着し、これらの間に介在されている接着剤２５が伸び 、薄膜状に広がる。したがって、上部ケーシング２１と下部ケーシング２２はこ の接着剤２５により互いに接着される。この場合、上記接着剤２５による接着強 度と、凸嵌合部２３と凹嵌合部２４の圧入により生じた摩擦係合力とが同時に作 用するので、上部ケーシング２１と下部ケーシング２２の接合強度は大きくなる 。

【００１６】 加えて、上部ケーシング２１と下部ケーシング２２の接着面２１ａおよび２２ ａは、凸嵌合部２３と凹嵌合部２４を形成してあることから表面積が増し、よっ て接触面積が大きくなっているので接合強度が一層増大する。このため、接合の 信頼性が増す。

【００１７】 なお、上記実施例の場合、凸嵌合部２３と凹嵌合部２４は、それぞれの両側面 に傾斜面を形成した例を説明したが、本考案はこれに限らず、図３の（ａ）に示 す第２の実施例のように、凸嵌合部２３と凹嵌合部２４はそれぞれ一側面に傾斜 面を形成してもよい。

【００１８】 また、本考案は、図３の（ｂ）に示す第３の実施例のように、凸嵌合部２３と 凹嵌合部２４をそれぞれ接着面２１ａ、２２ａの外周部に形成してもよい。 さらにまた、上記実施例の場合、上部ケーシング２１と下部ケーシング２２を 接着剤２４によって接合した場合について説明したが、本考案はこれに限らず、 上部ケーシング２１と下部ケーシング２２を超音波接着してもよい。

【００１９】 そしてまた、上記実施例は本考案を水中ポンプに適用した場合について説明し たが、本考案はこれに限らず、地上で使用される各種ポンプの樹脂製ポンプケー シングにも実施可能である。

【００２０】

【考案の効果】

以上説明したように本考案によれば、接着面に凹凸形状の嵌合部が形成されて いるので接着面積が増し、接着強度が大きくなる。また、これら嵌合部の嵌合に より相互の位置合せがなされるから位置決めが容易になる。しかも、上記嵌合部 を相互に接触させて圧入する前には、接着面間に微小な隙間が形成されるから接 着前か接着後かの判別が可能となり、かつ分割部材相互を所定の押圧力で押圧し た場合には嵌合部の弾性変形によりこれら嵌合部が圧入されるようになり、これ により接着面相互の隙間が解消され圧入が確認できる。よって、作業の確認や接 着状況を確認できる。さらには、上記嵌合部の圧入と、接着剤や超音波接着等に より接着とで分割部材が接合されるので、接合強度がきわめて強くなり、接合の 信頼性が高くなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１の実施例を示す水中ポンプの断面
図。

【図２】図１におけるＡ部を拡大して示すもので、
（ａ）は接着前の断面図、（ｂ）は接着後の断面図。

【図３】本考案の他の実施例を示すもので、（ａ）は第
２の実施例の接着前の断面図、（ｂ）は第３の実施例の
接着前の断面図。

【符号の説明】

１…樹脂製ポンプケーシング ４…電動機 ６…駆動軸 ７…インペラ ２１…樹脂製上部ケーシング ２２…樹脂製
下部ケーシング ２１ａ、２２ａ…接着面 ２３…凸嵌合部 ２４…凹嵌合
部 ２５…接着剤

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 合成樹脂により形成されたケーシング分
   割部材を相互に接合して構成した合成樹脂製ポンプケー
   シングにおいて、 上記分割部材のそれぞれ接着面に互いに嵌まり合う凹凸
   形状の嵌合部を形成し、上記分割部材相互を所定の押圧
   力で押圧した場合に上記嵌合部の弾性変形によりこれら
   嵌合部が圧入され、この圧入と接着とによって上記分割
   部材を互いに接合したことを特徴とする合成樹脂製ポン
   プケーシング。