JPH0694068A - エンジンマウント - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】万が一ダイナミックダンパが脱落しても、その
ダイナミックダンパがその他の装置や部品と干渉するこ
とを防止する。 【構成】カップ状のケーシング２の開口部４ａに防振ゴ
ム５を設け、その防振ゴム５の中心に内芯８を固着して
設ける。ケーシング２の内部で底壁３ａと防振ゴム５と
の間に空気室６を形成する。そして、その空気室６に支
持されたブラケット１２の下面にダイナミックダンパ１
５を設ける。そして、このように構成したエンジンマウ
ント１のケーシング２をボルト７によりボデーに接続
し、内芯８をボルトによりエンジンに接続する。従っ
て、ダイナミックダンパ１５が万が一脱落したとして
も、ダイナミックダンパ１５がケーシング２の内部で受
け止められてケーシング２の外へ出ることはない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、自動車のボデー等に
対してエンジンを懸架するのに使用されるエンジンマウ
ントに係り、詳しくはダイナミックダンパを備えてなる
エンジンマウントに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から、振動吸収器の一つであるダイ
ナミックダンパを振動体に取り付けることにより、その
振動体の共振時における振幅を抑えられることが知られ
ている。そこで、エンジンマウントにもダイナミックダ
ンパを付加することが既に行われている。その一つとし
て、実開平１−７７１４８号公報に開示された「筒型防
振ゴム装置」の技術が挙げられる。

【０００３】図４に示すように、この公報の技術では、
外筒３１と内筒３２との間に両者３１，３２を接続する
ゴム状弾性部材３３が設けられている。そして、そのゴ
ム状弾性部材３３の欠損部３４の壁面３５に対して、ダ
イナミックダンパを構成する質量部材３６が加硫接着等
の手段により固着されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、前記従来公
報の技術では、質量部材３６がゴム状弾性部材３３に取
り付けられた状態で、両者３６，３３が外筒３１と内筒
３２との間から外部へ露出したかたちとなっている。そ
のため、上記の技術が車両等に使用された場合には、ゴ
ム状弾性部材３３に熱劣化や経時劣化が生じて質量部材
３６が壁面３５から脱落するおそれも考えられた。万が
一、質量部材３６が脱落した場合には、そのことが運転
者に気付かれ難いばかりでなく、脱落した質量部材３６
がエンジン周りの他の装置や部品と干渉するおそれもあ
った。

【０００５】この発明は前述した事情に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、ダイナミックダンパを備え
たエンジンマウントにおいて、万が一ダイナミックダン
パが脱落した場合でも、そのダイナミックダンパがその
他の装置や部品と干渉することを防止することの可能な
エンジンマウントを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明においては、カップ状のケーシングと、
そのケーシングの開口部に設けられた弾性体と、ケーシ
ングの内部にてその底壁と弾性体との間に形成された空
気室とを備え、ケーシング及び弾性体の一方を取付け部
材を介してエンジンに接続し、他方を取付け部材を介し
てボデーに接続することにより、エンジンをボデーに懸
架するエンジンマウントにおいて、空気室にダイナミッ
クダンパを設けたことを趣旨としている。

【０００７】

【作用】上記の構成によれば、ダイナミックダンパがケ
ーシング内部の空気室に設けられている。従って、ダイ
ナミックダンパが万が一脱落した場合でも、ダイナミッ
クダンパはケーシングの内部で受け止められてケーシン
グの外へ出ることはない。

【０００８】

【実施例】以下、この発明のエンジンマウントを自動車
に具体化した一実施例を図１に基づいて詳細に説明す
る。

【０００９】図１はこの実施例におけるエンジンマウン
ト１を示す断面図である。エンジンマウント１は金属よ
りなるカップ状のケーシング２を備えている。このケー
シング２は互いに組み合わされた下部外筒３と上部外筒
４とから構成されており、上部外筒４の上側には開口部
４ａが形成されている。又、下部外筒３にはその上下の
途中で縮径されて段部３ａが形成されている。そして、
下部外筒３の上半分から上部外筒４の開口部４ａにかけ
て、弾性体としての防振ゴム５が設けられている。この
防振ゴム５はその一部が下部外筒３及び上部外筒４の内
壁に固着されている。又、下部外筒３の内部では、その
底壁３ｂと防振ゴム５との間が空気室６となっている。
更に、下部外筒３の底壁３ａには、取付け部材を構成す
る一対のボルト７が下方へ貫通して設けられている。

【００１０】防振ゴム５の中央には、取付け部材を構成
する略棒状の金属よりなる内芯８が一体に固着されてお
り、その内芯８の上部が、開口部４ａを上方へ貫通して
設けられている。又、内芯８の上端には、金属よりなる
板状のストッパ９が固着されている。内芯８の中心には
上方へ開口するボルト穴８ａが形成れ、ストッパ９の中
心には、そのボルト穴８ａに整合する穴９ａが形成され
ている。又、ストッパ９の下面には、ケーシング２の開
口部４ａを覆うように、ゴムよりなるカップ状のダスト
カバー１０が固着されている。更に、ストッパ９には上
方へ突出する位置決め用のピン１１が取り付けられてい
る。

【００１１】そして、ケーシング２の側の各ボルト７
を、図示しないボデーに設けられたブラケットに接続す
ることにより、エンジンマウント１がボデーに固定され
る。併せて、ボルト穴８ａに締め付けられる図示しない
ボルトを介して、内芯８を図示しないエンジンのブラケ
ットに接続することにより、エンジンマウント１がエン
ジンに固定される。このとき、ピン１１がブラケットに
形成された凹みに嵌合されることにより、ボルトの締め
付け時におけるエンジンマウント１の回り止めが行われ
る。このように、エンジンマウント１をエンジンとボデ
ーとに接続することにより、エンジンがボデーに懸架さ
れる。又、この懸架状態では、開口部４ａがダストカバ
ー１０により覆われているので、ケーシング２の内部に
異物が混入することが防止される。

【００１２】上記の構成は、この種のエンジンマウント
として既に知られたものであり、この実施例では、以下
の点で他と異なっている。即ち、下部外筒３の段部３ａ
には金属よりなる板状のブラケット１２が支持されてい
る。このブラケット１２の下面にはゴム１３が固着され
ており、そのゴム１３の下面には金属等よりなる質量部
材１４が固着されている。そして、上記のうようにブラ
ケット１２に設けられたゴム１３及び質量部材１４によ
り、ダイナミックダンパ１５が構成されている。

【００１３】従って、上記のようなエンジンマウント１
によってエンジンがボデーに懸架された状態では、ケー
シング２に設けられた防振ゴム５によりエンジンの振動
が吸収され易くなり、エンジンの振動がボデーに伝達さ
れ難くなる。つまり、エンジンマウント１としての防振
機能が発揮される。又、このエンジンマウント１では、
ケーシング２に設けられたダイナミックダンパ１５によ
り、エンジンマウント１とエンジンとの共振時における
振幅が小さく抑えられる。つまり、ダイナミックダンパ
１５としての作用が得られる。

【００１４】一方、ダイナミックダンパ１５はケーシン
グ２の内部の空気室６に設けられていることから、万が
一、ダイナミックダンパ１５そのものがブラケット１２
から脱落したり、質量部材１４がゴム１３から脱落した
りした場合に対処することができる。即ち、質量部材１
４等が脱落した場合には、同部材１４等が下部外筒３の
内部で受け止められてケーシング２の外へ出ることはな
い。そのため、脱落した質量部材１４等が、エンジン周
りの他の装置や部品と干渉することを未然に防止するこ
とができる。又、その意味から、ダイナミックダンパ１
５の脱落防止のためのストッパを何ら付加する必要がな
い。又、脱落した質量部材１４等が下部外筒３と繰り返
し接触することにより打音が発生するので、その打音に
よってダイナミックダンパ１５の異常を運転者に気付か
せることができる。

【００１５】更に、この実施例では、防振ゴム５やダイ
ナミックダンパ１５のゴム１３がケーシング２の内部に
収容されていることから、それらに雨水、海水、雪、泥
或いは飛び石等が接触し難くい。そのため、防振ゴム５
やゴム１３の耐久性を向上させることができ、その意味
からもダイナミックダンパ１５やエンジンマウント１そ
れ自体の耐久性を向上させることができる。

【００１６】加えて、この実施例では、防振ゴム５やダ
イナミックダンパ１５がケーシング２の内部に収容され
て外部へ露出していないことから、エンジンマウント１
としての見栄えも向上させることができる。併せて、ダ
イナミックダンパ１５のために特別なスペースを必要と
しないので、エンジンマウント１としてのスペース効率
を向上させることもできる。

【００１７】尚、この発明は前記実施例に限定されるも
のではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で構成の一部
を適宜に変更して次のように実施することもできる。 （１）前記実施例では、ケーシング２の内部にてブラケ
ット１２の下面にダイナミックダンパ１５を設けて配置
したが、それ以外の配置とすることもできる。例えば、
図２に示すように、下部外筒３の底壁３ｂに設けられた
ベース１６の上にゴム１７を固着し、そのゴム１７の上
に質量部材１８を固着し支持してダイナミックダンパ１
９としてもよい。或いは、図３に示すように、質量部材
２０の周囲にゴム２１を固着し、そのゴム２１を下部外
筒３の内周壁３ｃに固着し支持してダイナミックダンパ
２２としてもよい。これらの場合には、下部外筒３の底
壁３ｂと防振ゴム５との間の空気室６のスペースを更に
有効に利用してダイナミックダンパ１９，２２設けるこ
とができる。

【００１８】（２）前記実施例では、エンジンマウント
１の内芯８の側をエンジンに接続し、ケーシング２の側
をボデーに接続したが、その逆の接続としてもよい。

【００１９】

【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれ
ば、ダイナミックダンパを備えたエンジンマウントにお
いて、カップ状のケーシングの内部の空気室にダイナミ
ックダンパを設けたので、ダイナミックダンパが万が一
脱落した場合でも、ダイナミックダンパがケーシングの
外へ出ることはない。そのため、ダイナミックダンパが
その他の装置や部品と干渉することを未然に防止するこ
とができるという優れた効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明を具体化した一実施例のエンジンマウ
ントを示す断面図である。

【図２】この発明を具体化した別の実施例のエンジンマ
ウントを示す断面図である。

【図３】この発明を具体化した別の実施例のエンジンマ
ウントを示す断面図である。

【図４】従来技術の「筒型防振ゴム装置」を示す断面図
である。

【符号の説明】

２…ケーシング、５…防振ゴム、６…空気室、７…ボル
ト、８…内芯（７，８は取付け部材を構成している）、
１５，１９，２２…ダイナミックダンパ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 カップ状のケーシングと、そのケーシン
   グの開口部に設けられた弾性体と、前記ケーシングの内
   部にてその底壁と前記弾性体との間に形成された空気室
   とを備え、前記ケーシング及び前記弾性体の一方を取付
   け部材を介してエンジンに接続し、他方を取付け部材を
   介してボデーに接続することにより、前記エンジンを前
   記ボデーに懸架するエンジンマウントにおいて、 前記空気室にダイナミックダンパを設けたことを特徴と
   するエンジンマウント。